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公開番号2021086822
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210603
出願番号2019224062
出願日20191125
発明の名称イオン源ビーム絞り
出願人個人
代理人
主分類H01J 27/16 20060101AFI20210507BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】イオンビーム照射による試料表面の加工技術において、大面積を均一に加工する手段を提供する。また、多数の試料を一方向に連続的に移動させながら均一にイオンビーム照射加工する生産的手法を提供する。
【解決手段】イオンビーム電流密度の面内均一度を向上する手法に代わり、イオンビームの形状を調整する手法をイオン源のビーム引き出し電極近傍に配設した可動遮蔽板9とその移動手段10・11・12の組み合わせから成る機構により実現し、イオンビームのY-軸方向線密度をX-軸方向に均一化する手段を提供する。この手段と試料をY-軸方向へ一定速度で移動させる手段とを組み合せることで、大面積の均一加工が可能になる。また、多数の試料を一方向に連続的に搬送してイオンビーム照射領域を通過させることで、連続的に多数の試料を加工することが可能になる。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
希薄気体をプラズマ化して内部に閉じ込める容器であるプラズマ生成室(1)の一部に穴を設け、そこにグリッド状の電極板(2)を配設して電圧を印加し、プラズマからイオンビームを引き出す構造のイオン源において、イオンビーム引き出しのための開口部の大きさと形状を変えることができる可動遮蔽板(9)を電極板(2)の内側近傍(プラズマ側)に複数枚配設し、さらにその遮蔽板の位置をイオン源の外部からの操作で移動させるための可動軸(10・11・12)を遮蔽板(9)に接続して配設することを特徴とする、イオン源のイオンビーム絞り機構(9・10・11・12)。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
請求項1に記載したイオンビーム絞り機構(9・10・11・12)を組み込むことで、引き出されるイオンビームの断面形状、すなわちイオンビームの進行方向に沿った軸に垂直な平面内におけるイオンビーム電流密度の分布形状を変えることができるイオン源。
【請求項3】
請求項1に記載したイオンビーム絞り機構(9・10・11・12)の遮蔽板(9)を、イオン源の複数の電極板(2)の間隙の中に配設したイオンビーム絞り機構、及びそれを組み込むことで引き出されるイオンビームの断面形状、すなわちイオンビームの進行方向に沿った軸に垂直な平面内におけるイオンビーム電流密度の分布形状を変えることができるイオン源。
【請求項4】
請求項1に記載したイオンビーム絞り機構(9・10・11・12)の遮蔽板(9)を、イオン源の電極板(2)の外側(プラズマ側と反対側)に配設したイオンビーム絞り機構、及びそれを組み込むことで引き出されるイオンビームの断面形状、すなわちイオンビームの進行方向に沿った軸に垂直な平面内におけるイオンビーム電流密度の分布形状を変えることができるイオン源。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3、および請求項4に記載したイオンビーム絞り機構(9・10・11・12)を使用して、Y‐軸方向のイオンビーム線密度がX‐軸方向に均一になるように遮蔽板(9)の位置を調整し、イオンビーム被照射試料をY‐軸方向に一定速度で移動させてイオンビーム照射領域を通過させ、イオンビーム加工をする方式を使用したイオンビーム照射装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン源に配設する可動なイオンビーム遮蔽板(マスク)9を、イオンビーム遮蔽板の駆動機構10・11・12を介してイオン源外部からの操作により位置調整し、イオンビーム引き出し開口部の形状と大きさを調整することができるようにしたイオンビーム絞り機構、およびその機構を組み込んだイオン源に関するものである。
続きを表示(約 5,200 文字)【背景技術】
【】

【0002】
本発明に係わる一般的で公知であるイオン源(本発明のビーム絞りを配設していないイオン源)の構造の一例(マイクロ波型、ECR型などと呼ばれるタイプのイオン源)を図1に示す。ただし図1では少量のイオン化ガスを流入させる部分の構造や、真空シール部品などは省略して簡略に描き、イオン源と一緒に使用するイオンビーム被照射試料7と試料台8、およびその真空槽16も一緒に描いてある。その仕組みは、次の通りである(非特許文献1・2)。即ち希薄ガスからプラズマを生成する型のイオン源は、閉じた真空槽3の中に配設したプラズマ生成室1の中に少量のイオン化ガスを流し込み、そこへ定常なあるいは振動する電場や磁場を印加し、放電するなどの手段を用いてプラズマを生成し、そのプラズマを閉じ込めたプラズマ生成室1の一部に開けた窓に配設したグリッド状の電極板2に電圧を印加して、そのグリッドの穴からイオンビームを外に取り出す構造になっている。
【0003】
取り出したイオンビームは試料7に照射されて、イオンビームエッチングやミリングと呼ばれる方法で試料表面を加工するのに多く使用される。その際、試料7表面を均一に加工するためには試料7表面に照射されるイオンビームの密度が均一であることが求められる。
【0004】
イオン電流密度が均一になるようにイオンビームを引き出すには、引き出し電極2の近傍でのプラズマ密度や印加する電圧などによってグリッド穴近傍で形成されるプラズマ表面の形状(プラズマシース形状)や、イオンを引き出すための電界などをうまく制御して均一にする必要があるが、イオン源が大型になるほどそれが難しくなる。
【0005】
そのため、試料7表面を均一に加工するための手段としては、イオンビームに対する試料7の位置を移動や回転により動かすことで平均化する方法をとることが多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
石川順三著「イオン源工学」アイオニクス(株)1986年
N Sakudo,et al.Rev Sci.Instrum,48,762(1977)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の手段によって試料7表面を均一に加工する場合、試料サイズが大きくなるに従いイオンビームを引き出すイオン源のビーム引き出し口径を大きくする必要が生じるが、イオン源が大型になればそれに伴いイオンビーム断面全体にわたってビーム密度を均一にすることが難しくなる。その第一の理由は、ビーム引き出し口径全面にわたってプラズマシース形状を均一にするためには、プラズマ密度の制御など難しい技術が必要とされるからであり、引き出し電界も斑(むら)なく形成させる技術が要求されるからである。
【0008】
イオンビームの不均一性を補う手段として、試料台8を回転・移動運動させる方法を採用する場合には、試料(被加工物)7が大型化すればその手段も大型化する。また、一回の加工処理の間に試料台上に装着できる試料数はごく小数に限られる。複数の試料台を同時に使用する場合でも、回転・移動運動をさせるため、さらにそれだけ大掛かりな試料保持装置が必要になる。そして一回の加工処理が終了した段階で試料を交換し、次の加工処理へと進む必要がある。このことが、大量に試料を加工する目的に対して大きな障害(スループットの低下)となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、試料7表面を均一に加工する手段として、イオンビーム電流密度を均一にする代わりに、ビーム照射される試料7を一方向に一定速度で動かし、試料7表面における『試料7の移動方向のイオンビームの電流線密度』を、試料7の移動方向に垂直な方向に均一にする手段を提供することにより、[0007]および[0008]で記述した困難を解決する。
【0010】
ここで記述を明確にするために、座標軸を決める。図3の中に図解して示すように、イオンビームの進行方向にZ−軸を取り、Z−軸に垂直にY−軸を定める。試料7はY−軸方向に一定速度で移動をさせるか、またはY−軸と一定の角度を保ってZ−Y平面内で一定速度の移動をさせる。さらにZ−軸とY−軸に垂直に右手系X−軸を定める。上記の[0009]で述べたY−軸方向のイオンビーム電流線密度は、X−Y平面内の単位面積当たりで表されるイオンビーム電流密度(単位:A/m

)をY−軸方向に積分した物理量で、単位はA/mである。
【0011】
このイオンビーム線密度がX−軸方向に均一になるように調整すれば、イオンビーム照射領域を完全に通過するように試料7をY−軸方向に移動しながら照射することで、試料7表面のビーム線密度を均一にしたX−軸方向の幅の内側全体で、照射されるビーム電流密度を均一にすることができる。
【0012】
そしてこのイオンビーム線密度がX−軸方向に均一になるようにするための調整は、イオンビームの引き出し領域をY−軸方向に可変とする手段を配設することで可能となり、目的は達成できる。
【0013】
本発明は、図2及び図3にY−Z平面内の断面図として、また図4にX−Y平面内の断面図として示すように、イオンビームの引き出し領域をY−軸方向に可変とするための可動遮蔽板9(堰止め型遮蔽板:マスク)をビーム引き出し電極2近傍に多数(必要かつ可能な数)並べて配設し、同時にそれら各々の可動遮蔽板9にY−軸方向に動かす機構10・11・12を接続、配設し、それらを組み合わせて成る機構(システム)である。このシステムを使用すれば、真空外部からの操作によって遮蔽板9の位置を変え、イオンビームの引き出し開口部の形を変えることが可能である。ユニバーサル絶縁ジョイント11は、通常プラズマ生成室1には高電圧が印加されるために電気的に絶縁を確保し、同時に駆動軸10を滑らかに動かすために配設するもので、必ずしも本発明の本質的な構成要素ではない。また図4では、図が煩雑になるのを避けるため、プラズマ生成室1の壁の断面図は省略してある。
【0014】
以上の説明では、マイクロ波型(またはECR型)を例にとって図解・説明したが、本発明は類似の構造をしたイオン源、すなわち希薄気体をプラズマ化してグリッド状の電極2を通してイオンビームを引き出すタイプのイオン源であれば各種のイオン源に使用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、図3にその例を示すように、試料7を一方向に一定速度で移動させる搬送機構と組み合せて使用した場合に効果を発揮する。一連の可動遮蔽板9の位置の組み合わせを、試料7へのイオンビーム照射に先立ち、Y−軸方向に積分したイオンビーム線密度がX−軸方向に均一になるように調整し、その後試料7をイオンビームの被照射領域を潜る(くぐる)ように移動、通過させることで、通過した試料7表面には、全面にわたって均一にイオンビームが照射される。
【0016】
その際の遮蔽板位置調整には、図5に概略形状(正面図)で示すような専用の多チャンネルビーム線密度モニター14を使用すれば便利である。個々のモニターが持つY−軸方向に十分長いイオンビーム入射口15は、Y−軸方向のビーム積分量(ビーム電流線密度)の計測を可能にする。そのモニターをX−軸方向に多数個並べて多チャンネルとして同時に計測し、その計測値が一定になるように、遮蔽板9の位置を移動調整することで、イオンビーム線密度がX−軸方向に均一になるように調整することが可能である。
【0017】
図3には、一箇所(試料搬送機構13の中央部)に試料7の代わりに図5に示したイオンビーム線密度モニター14(使用法は[0016]に記述)が描き込んである。イオンビーム線密度モニター14を使用してイオンビームと遮蔽板9の位置調整をする際には、一時的に試料搬送機構13の移動を停止して調整を行う。あるいは、このイオンビームモニターは、試料搬送機構13に乗せず、必要な時に独立してイオンビーム照射領域に搬送し、イオンビーム照射位置に停止させた後に遮蔽板9の位置を調整し、調整終了後はイオンビーム照射領域の外へ移動する方法を採用することも可能である。
【0018】
本発明の効果を解り易く図解したものが図6である。本発明の可動イオンビーム絞り機構を配設しない場合(あるいは可動イオンビーム絞り機構を配設してあってもその絞りを全開にした場合)と、可動イオンビーム絞り機構を配設してその遮蔽板9の位置を最適化した場合の、イオンビーム電流線密度のX−方向の分布の違いを典型的な例として定性的に示してある。ただし、可動イオンビーム絞り機構を配設していない場合のイオンビーム電流線密度の値や分布形状は、イオン源の種類、大きさ、特性などによって大きく異なるので、あくまで一例である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明を使用しない従来のイオン源の一例(マイクロ波型、あるいはECR型)の内部構造をZ−Y平面の断面図として模式的に表した図である。
本発明の、請求項1に記述した可動イオンビーム絞り機構を図1のイオン源に配設した場合の内部構造を、Z−Y平面の断面図として模式的に表した図である。
本発明の、請求項1に記述した可動イオンビーム絞り機構を配設したイオン源を、試料をY−軸方向に一定速度で動かして連続的にビーム照射するための装置に取り付けた場合の一例を、Z−Y平面の断面図として模式的に表した図である。
本発明の、請求項1に記述した可動イオンビーム絞り機構を図1のイオン源に配設した場合の内部構造を、X−Y平面の断面図としてプラズマ生成室1の内部からZ−軸方向に見た場合を模式的に表した図で、可動イオンビーム絞り機構の配設例である。
本発明の可動イオンビーム絞りの遮蔽板の位置調整の際に使用する、イオンビーム線密度モニター14の、イオンビーム照射面の模式図である。本発明と組み合わせて使用する為、[0016]での説明の都合上掲載する
本発明の可動ビーム絞り機構を配設しない場合と配設した場合の、イオンビーム電流線密度のX−方向の分布の違いを、典型的な例として定性的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2、図3、及び図4は本発明に係るイオンビーム絞り機構の実施例を示す。それらの図において、遮蔽板9は、外部からビーム遮蔽板駆動軸真空外部分12を抜き差しして固定することで軸と連動して位置を変え、最適な配置に移動させることができる。その結果として、ビーム引き出しのための開口部の大きさと形状を外部からの操作で変え、最適化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明を使用するイオンビーム照射装置では、加工試料(被照射試料)を一方向に移動しながらイオンビーム照射をする方法を採用する。そのことで、1個の試料上を大面積にわたり均一に加工する目的の場合だけでなく、多数の試料を逐次連続的に加工する目的にも適しており、生産機用イオンビーム加工機への利用に有利である。
【符号の説明】
【0022】
1 プラズマ生成室
2 イオンビーム引き出し電極板(通常複数枚)
3 イオン源を構成する真空槽
4 マイクロ波導波管
5 絶縁性マイクロ波導入窓
6 電磁コイル
7 イオンビーム被照射試料(被加工物)
8 イオンビーム被照射試料台
9 可動イオンビーム遮蔽板(堰止め型遮蔽板:マスク)
10 イオンビーム遮蔽板駆動軸真空内部分
11 ユニバーサル絶縁ジョイント
12 イオンビーム遮蔽板駆動軸真空外部分
13 イオンビーム被照射試料搬送・移動機構
14 多チャンネルイオンビーム電流線密度モニター
15 多チャンネルビーム電流線密度モニターのビーム入射口の一つ
16 イオンビーム被照射試料室を構成する真空槽

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