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公開番号2021086746
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210603
出願番号2019215055
出願日20191128
発明の名称絶縁電線
出願人株式会社オートネットワーク技術研究所,住友電装株式会社,住友電気工業株式会社
代理人特許業務法人上野特許事務所
主分類H01B 7/295 20060101AFI20210507BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】ポリプロピレン樹脂を含むベース樹脂と、難燃剤としての金属水酸化物を含有し、高い耐摩耗性および耐低温性を有する絶縁電線を提供する。
【解決手段】電線導体12と、前記電線導体12の外周を被覆する絶縁被覆14と、を有し、前記絶縁被覆14は、ポリプロピレン樹脂を含む高分子成分と、金属水酸化物を含む難燃剤と、を含有し、前記ポリプロピレン樹脂の融解熱量が、35J/g以上であり、前記高分子成分の分子量分布において、最も面積が大きいピークから求めた数平均分子量が5.00×104以上である絶縁電線10とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電線導体と、前記電線導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有し、
前記絶縁被覆は、ポリプロピレン樹脂を含む高分子成分と、金属水酸化物を含む難燃剤と、を含有し、
前記ポリプロピレン樹脂の融解熱量が、35J/g以上であり、
前記高分子成分の分子量分布において、最も面積が大きいピークから求めた数平均分子量が5.00×10

以上である絶縁電線。
続きを表示(約 390 文字)【請求項2】
前記高分子成分の分子量分布において、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比として求められる多分散度Mw/Mnが、最も面積が大きいピークで、5.90以上である、請求項1に記載の絶縁電線。
【請求項3】
前記ポリプロピレン樹脂は、ホモポリプロピレンと、ブロックポリプロピレンとを含む、請求項1または請求項2に記載の絶縁電線。
【請求項4】
前記高分子成分は、熱可塑性エラストマーをさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
【請求項5】
前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウムである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
【請求項6】
前記絶縁被覆の表面の算術平均粗さRaが、3.00μm以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の絶縁電線。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、絶縁電線に関する。
続きを表示(約 5,800 文字)【背景技術】
【0002】
自動車等の車両や各種機器において使用される絶縁電線として、環境調和性等を目的として、ハロゲンを含有しない樹脂組成物を用いて絶縁被覆を構成した、ハロゲンフリー電線が用いられる場合がある。ハロゲンフリー電線を構成する絶縁被覆の代表例の1つとして、ポリプロピレン樹脂をベース樹脂とし、難燃剤として、水酸化マグネシウムをはじめとする金属水酸化物が添加されたものが、挙げられる。ポリプロピレン樹脂を含むベース樹脂と、金属水酸化物とを含有した絶縁被覆を有する絶縁電線は、例えば下の特許文献1,2に開示されている。金属水酸化物の粒子をベース樹脂に添加することにより、ベース樹脂の特性に影響が及ぶ場合もあるが、下記の各文献においては、表面処理等による金属水酸化物の改質、あるいはベース樹脂の配合の工夫等により、耐摩耗性や耐寒性等、絶縁被覆の特性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2002−212354号公報
特開2010−174113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリプロピレン樹脂をベース樹脂として用い、難燃剤として金属水酸化物を混合した材料よりなる絶縁被覆を有する絶縁電線においては、絶縁被覆の耐低温性が低くなりやすい。耐低温性を高めるための方法の1つとして、非晶成分が多く(すなわち、結晶性が低く)、かつ平均分子量の大きいポリプロピレンが用いられる場合がある。しかし、この場合には、結晶性の低さにより、絶縁被覆の耐摩耗性が低くなりやすい。
【0005】
非晶成分が多く、平均分子量の大きいポリプロピレン樹脂の使用による耐摩耗性の低下を回避するために、樹脂成分の一部として、結晶性の高いポリプロピレン樹脂を添加するという方法も考えられる。すると、結晶量の増加により、絶縁被覆の耐摩耗性を向上させることはできるが、十分な耐低温性を維持することが難しくなる。
【0006】
以上のように、ポリプロピレン樹脂をベース樹脂として用い、金属水酸化物を添加した絶縁被覆を有する絶縁電線において、絶縁被覆の耐摩耗性と耐低温性の両方を十分に向上させることは、困難である。ベース樹脂として用いるべきポリプロピレン樹脂の物性を、十分に検討することが、耐摩耗性と耐低温性の向上に重要である。そこで、ポリプロピレン樹脂を含むベース樹脂と、難燃剤としての金属水酸化物を含有し、高い耐摩耗性および耐低温性を有する絶縁電線を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の絶縁電線は、電線導体と、前記電線導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有し、前記絶縁被覆は、ポリプロピレン樹脂を含む高分子成分と、金属水酸化物を含む難燃剤と、を含有し、前記ポリプロピレン樹脂の融解熱量が、35J/g以上であり、前記高分子成分の分子量分布において、最も面積が大きいピークから求めた数平均分子量が5.00×10

以上である。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる絶縁電線は、ポリプロピレン樹脂を含むベース樹脂と、難燃剤としての金属水酸化物を含有し、高い耐摩耗性および耐低温性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、本開示の一実施形態にかかる絶縁電線を示す斜視図である。
図2は、試料A1について測定されたDSC曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態を列挙して説明する。
【0011】
本開示の絶縁電線は、電線導体と、前記電線導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有し、前記絶縁被覆は、ポリプロピレン樹脂を含む高分子成分と、金属水酸化物を含む難燃剤と、を含有し、前記ポリプロピレン樹脂の融解熱量が、35J/g以上であり、前記高分子成分の分子量分布において、最も面積が大きいピークから求めた数平均分子量が5.00×10

以上である。
【0012】
上記絶縁電線を構成する絶縁被覆においては、ポリプロピレン樹脂の融解熱量が、35J/g以上となっており、ポリプロピレンの結晶量が、十分に確保できる。ポリプロピレンの結晶量が多くなっていることで、絶縁被覆の耐摩耗性の向上に寄与する。また、高分子成分の分子量分布において、最も面積が大きいピークから求めた数平均分子量が5.00×10

以上となっていることにより、絶縁被覆が、高い耐低温性を示す。このように、ポリプロピレン樹脂を含む高分子成分の融解熱量と分子量分布を適切に設定することにより、絶縁被覆において、耐摩耗性と耐低温性の両方を、高めることができる。
【0013】
ここで、前記高分子成分の分子量分布において、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比として求められる多分散度Mw/Mnが、最も面積が大きいピークで、5.90以上であるとよい。すると、分子量の分布幅が大きいことにより、絶縁被覆の加工性が高くなり、押し出し成形等によって形成される絶縁被覆の外観が向上する。外観の向上は、絶縁被覆表面の凹凸が低減されていることを意味し、耐摩耗性および耐低温性の向上につながる。
【0014】
前記ポリプロピレン樹脂は、ホモポリプロピレンと、ブロックポリプロピレンとを含むとよい。ホモポリプロピレンとブロックポリプロピレンを混合することで、混合比の調整等により、所望の融解熱量および分子量分布を達成しやすくなる。また、ホモポリプロピレンは、高分子成分の結晶性の向上に高い効果を有する。一方、ブロックポリプロピレンは、絶縁被覆の加工性の向上に高い効果を有する。よって、それらを混合することで、耐摩耗性および耐低温性の向上を、高度に達成することができる。
【0015】
前記高分子成分は、熱可塑性エラストマーをさらに含むとよい。すると、高分子成分中に、金属水酸化物の粒子を分散させやすくなり、絶縁被覆の耐摩耗性や耐低温性の向上に、特に高い効果が得られる。
【0016】
前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウムであるとよい。水酸化マグネシウムは、安価で利用できるうえ、絶縁被覆に高い難燃性を付与するものとなる。
【0017】
前記絶縁被覆の表面の算術平均粗さRaが、3.00μm以下であるとよい。すると、絶縁被覆の外観が良くなり、それに対応して、高い耐摩耗性および耐低温性が得られやすくなる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を用いて本開示の一実施形態にかかる絶縁電線について、詳細に説明する。本明細書において、材料の各種物性は、特記しない限り、室温、大気中にて測定される値を指すものとする。
【0019】
[1]絶縁電線の構成
図1に、本開示の一実施形態にかかる絶縁電線10の概略を示す。図1に示すように、絶縁電線10は、電線導体12と、電線導体12の外周を被覆する樹脂組成物よりなる絶縁被覆14とを備えている。絶縁電線10は、絶縁被覆14となる樹脂組成物を、押し出し成形等によって、電線導体12の外周に配置することにより、得ることができる。
【0020】
電線導体12を構成する材料は、特に限定されず、銅を用いることが一般的であるが、銅以外にも、アルミニウム、鉄などの金属材料を用いることもできる。これらの金属材料は、合金であってもよい。合金とするための他の金属材料としては、鉄、ニッケル、マグネシウム、シリコン、それらの金属の組み合わせなどが挙げられる。電線導体12は、単線から構成されていても、複数本の素線12aを撚り合わせてなる撚線から構成されていてもよい。絶縁電線10の柔軟性を確保する観点からは、電線導体12が撚線となっていることが好ましい。
【0021】
絶縁被覆14は、ポリプロピレン樹脂を含む高分子成分よりなるベース樹脂と、金属水酸化物を含む難燃剤とを含有する樹脂組成物より構成されている。絶縁被覆14を構成する樹脂組成物については、後に詳しく説明するが、絶縁被覆14を構成する樹脂組成物においては、ポリプロピレン樹脂が、所定の下限以上の融解熱量を示すとともに、ポリプロピレン樹脂を含む高分子成分が、所定の分子量分布を有している。
【0022】
本実施形態にかかる絶縁電線10においては、電線導体12の導体断面積や、絶縁被覆14の厚さ等、各部の寸法は、特に限定されない。また、本実施形態にかかる絶縁電線10は、用途を特に限定されるものではなく、自動車用、電気・電子機器用、情報通信用、電力用、船舶用、航空機用など、各種電線として利用することができる。後に説明するように、絶縁被覆14が、難燃性に加え、耐摩耗性および耐低温性に優れるものであるため、絶縁電線10は、特に自動車用電線として、好適に利用することができる。
【0023】
本実施形態にかかる絶縁電線10は、単線の状態で用いても、複数の絶縁電線を含むワイヤーハーネスの形態で用いてもよい。ワイヤーハーネスを構成する全ての絶縁電線が本実施形態にかかる絶縁電線10であっても、その一部が本実施形態にかかる絶縁電線10であってもよい。
【0024】
[絶縁被覆を構成する樹脂組成物]
次に、本実施形態にかかる絶縁電線10の絶縁被覆14を構成する樹脂組成物について、詳細に説明する。
【0025】
絶縁被覆14を構成する樹脂組成物は、ベース樹脂と、金属水酸化物を含む難燃剤とを含有している。ベース樹脂となる高分子成分は、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)を含有しており、PP樹脂が、35J/g以上の融解熱量を示すとともに、高分子成分の数平均分子量が、5.00×10

以上となっている。
【0026】
(樹脂組成物の物性)
樹脂材料の融解熱量は、樹脂材料の結晶性の指標となり、融解熱量が大きいほど、結晶性が高い、つまり結晶量が多いことを示す。本実施形態において、絶縁被覆14を構成する樹脂組成物に含有されるPP樹脂は、35J/g以上の融解熱量を有している。PP樹脂が35J/g以上の融解熱量を有することで、絶縁被覆14において、十分な体積のポリプロピレンの結晶量が確保できる。絶縁被覆14を構成する樹脂組成物が、十分な量のポリプロピレン結晶を含んでいると、絶縁被覆14の耐摩耗性が高くなる。さらに耐摩耗性を向上させる観点からは、PP樹脂の融解熱量は、37J/g以上、さらには39J/g以上であるとよい。融解熱量には、上限は特に設けられないが、結晶量の過度の増大によって、難燃剤等の添加剤の、高分子成分への取り込み性が低下するのを抑制する等の理由から、80J/g以下程度に抑えておくことが好ましい。
【0027】
PP樹脂の融解熱量は、DSC(示差走査熱量計)を用いて、加熱による転移熱を測定することにより、JIS K 7122に準じて測定することができる。なお、実施例でも示すように、高分子成分が、PP樹脂として、ホモポリプロピレンとブロックポリプロピレンを含有する場合、通常、それら2種のポリプロピレンに由来する融解ピークは分離されず、ポリプロピレンの結晶構造に由来する融解ピークが、1つのみ出現する(図2参照)。融解熱量は、PP樹脂のみに対して測定するほか、他の樹脂も含んだ高分子成分全体に対して、あるいは、難燃剤等、高分子成分以外の成分をさらに含有した樹脂組成物全体に対して測定してもよい。
【0028】
本実施形態において、絶縁被覆14を構成する高分子成分は、数平均分子量が、5.00×10

以上となっている。分子量分布において、複数のピークが出現する場合には、それらのピークのうち、最も面積が大きいピークから算出される数平均分子量をもって、数平均分子量を定義する。つまり、分子量分布において、数平均分子量が、最も面積が大きいピークから求められる値で、5.00×10

以上となっている。
【0029】
絶縁被覆14を構成する高分子成分の数平均分子量が、5.00×10

以上となっていることにより、絶縁被覆14の耐低温性が高くなる。つまり、低温環境下において、絶縁被覆14の脆化が抑制され、絶縁被覆14の伸びが確保される。それらの効果をさらに高める観点から、高分子成分の数平均分子量は、5.50×10

以上、また5.70×10

以上であると、さらに好ましい。数平均分子量に、特に上限は設けられないが、樹脂組成物の流動性の低下を抑制する等の観点から、1.00×10

以下程度に抑えておくとよい。
【0030】
絶縁被覆14を構成する高分子成分の分子量分布としては、上記のように、所定の数平均分子量を有するとともに、さらに、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnとして定められる多分散度が、5.90以上となっていることが好ましい。分子量分布に複数のピークが出現する場合には、上記分子量分布の定義と同様、多分散度Mw/Mnについても、最も面積が大きいピークについて、定義する。つまり、分子量分布において、多分散度Mw/Mnが、最も面積が大きいピークについて、5.90以上となっていることが好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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