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公開番号2021080540
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210527
出願番号2019210829
出願日20191121
発明の名称溶鋼の製造方法
出願人株式会社神戸製鋼所
代理人個人,個人,個人
主分類C21C 5/52 20060101AFI20210430BHJP(鉄冶金)
要約【課題】固体還元鉄の原料として低品位の鉄鉱石を利用しても高い歩留まりで溶鋼を得ることができる溶鋼の製造方法を提供する。
【解決手段】固体還元鉄は、SiO2およびAl2O3を合計で3.0質量%以上、炭素を1.0質量%以上含有し、固体還元鉄に含有される全鉄分に占める金属鉄の割合が90質量%以上であり、固体還元鉄に含有される前記炭素のうち、余剰炭素量Cxが0.2質量%以上であり、第1の炉において、固体還元鉄のうち40〜100質量%を溶融させて、炭素含有量が2.0〜5.0質量%でありかつ温度が1350〜1550℃の溶銑と、塩基度が1.0〜1.4であるスラグと、に分離する工程と、第2の炉において、固体還元鉄の残部を、前記第1の炉において分離された前記溶銑とともに溶融させ、当該溶融物に酸素を吹き付けて脱炭し、溶鋼とする工程と、を含む、溶鋼の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
固体還元鉄を原料とする溶鋼の製造方法であって、
前記固体還元鉄は、SiO

およびAl



を合計で3.0質量%以上、炭素を1.0質量%以上含有し、
前記固体還元鉄に含有される全鉄分に占める金属鉄の割合が90質量%以上であり、
前記固体還元鉄に含有される前記炭素のうち、下記式(1)で規定する余剰炭素量Cxが0.2質量%以上であり、
第1の炉において、前記固体還元鉄のうち40〜100質量%を溶融させて、炭素含有量が2.0〜5.0質量%でありかつ温度が1350〜1550℃の溶銑と、塩基度が1.0〜1.4であるスラグと、に分離する工程と、
第2の炉において、前記固体還元鉄の残部を、前記第1の炉において分離された前記溶銑とともに溶融させ、当該溶融物に酸素を吹き付けて脱炭し、溶鋼とする工程と、を含む、溶鋼の製造方法。
Cx=[C]−[FeO]×12÷(55.85+16)÷0.947…(1)
式中、Cx:余剰炭素量(質量%)、[C]:固体還元鉄の炭素含有量(質量%)、[FeO]:固体還元鉄のFeO含有量(質量%)である。
続きを表示(約 100 文字)【請求項2】
前記第1の炉において、アークにより前記固体還元鉄を溶融させ、
前記溶銑およびスラグをそれぞれ連続的に前記第1の炉から排出させる、請求項1に記載の溶鋼の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、溶鋼の製造方法に関する。
続きを表示(約 5,800 文字)【背景技術】
【0002】
鉄鉱石等の酸化鉄源を炭材や還元性ガスによって固体状態のまま還元し、還元鉄(Direct Reduced Iron)を得る直接製鉄法が行われている。非特許文献1には、天然ガスを用いて鉄鉱石を還元し、得られた還元鉄を電気炉で溶解し、溶鋼を得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
厚雅章、上村宏、坂口尚志、「MIDREX(登録商標)プロセス」、R&D神戸製鋼技報、Vol.60、No.1、2010年4月、p.5〜11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、脈石等の不純物含有量が少ない、いわゆる高品位の鉄鉱石の生産量が減少していることから、低品位の鉄鉱石の重要性が高まりつつある。
【0005】
しかし、低品位の鉄鉱石を原料として得られた還元鉄は、比較的多量の脈石を含有するため、電気炉で溶解すると溶鋼とともに多量のスラグが発生する。
【0006】
溶鋼とともに発生するスラグの鉄含有量は約25質量%と高いため、スラグ量が多いほど、スラグに含まれる鉄も増加し、溶鋼の歩留まりが大幅に低下する。そのため、低品位の鉄鉱石は高品位の鉄鉱石に比べて単位重量当たりの価格が低いものの、単位量の溶鋼の製造に必要な鉄鉱石の量は低品位の鉄鉱石の方が高品位の鉄鉱石よりも大幅に多くなり、単位量の溶鋼の製造コストは高品位の鉄鉱石と大きく変わらない。
【0007】
このように、現在、還元鉄の原料としての低品位の鉄鉱石の利用は、歩留まりの低さに起因して、コスト面での大きなメリットがないため限定的となっている。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、固体還元鉄の原料として低品位の鉄鉱石を利用しても高い歩留まりで溶鋼を得ることができる溶鋼の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、種々検討した結果、上記目的は、以下の発明により達成されることを見出した。
【0010】
本発明の一局面に係る溶鋼の製造方法は、固体還元鉄を原料とする溶鋼の製造方法であって、前記固体還元鉄は、SiO

およびAl



を合計で3.0質量%以上、炭素を1.0質量%以上含有し、前記固体還元鉄に含有される全鉄分に占める金属鉄の割合が90質量%以上であり、前記固体還元鉄に含有される前記炭素のうち、下記式(1)で規定する余剰炭素量Cxが0.2質量%以上であり、第1の炉において、前記固体還元鉄のうち40〜100質量%を溶融させて、炭素含有量が2.0〜5.0質量%でありかつ温度が1350〜1550℃の溶銑と、塩基度が1.0〜1.4であるスラグと、に分離する工程と、第2の炉において、前記固体還元鉄の残部を、前記第1の炉において分離された前記溶銑とともに溶融させ、当該溶融物に酸素を吹き付けて脱炭し、溶鋼とする工程と、を含む。
【0011】
Cx=[C]−[FeO]×12÷(55.85+16)÷0.947…(1)
式中、Cx:余剰炭素量(質量%)、[C]:固体還元鉄の炭素含有量(質量%)、[FeO]:固体還元鉄のFeO含有量(質量%)である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、固体還元鉄の原料として低品位の鉄鉱石を利用しても高い歩留まりで溶鋼を得ることができる溶鋼の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る溶鋼の製造方法のフローチャートである。
図2は、溶融した鉄に含有される炭素量と、溶融した鉄と共存するスラグに含有可能な全鉄分の量との関係の一例を示すグラフである。
図3は、本発明の一実施形態に係る溶鋼の製造方法に使用可能な製銑電気炉の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る溶鋼の製造方法について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
[溶鋼の製造方法]
本実施形態に係る溶鋼の製造方法は、固体還元鉄を原料として溶鋼を製造する方法であり、固体還元鉄は、SiO

およびAl



を合計で3.0質量%以上、炭素を1.0質量%以上含有し、固体還元鉄に含有される全鉄分に占める金属鉄の割合が90質量%以上であり、固体還元鉄に含有される前記炭素のうち、下記式(1)で規定する余剰炭素量Cxが0.2質量%以上である。
【0016】
Cx=[C]−[FeO]×12÷(55.85+16)÷0.947…(1)
式中、Cx:余剰炭素量(質量%)、[C]:固体還元鉄の炭素含有量(質量%)、[FeO]:固体還元鉄のFeO含有量(質量%)である。
【0017】
また、本実施形態に係る溶鋼の製造方法は、図1のフローチャートに示すように、第1の炉において、原料である固体還元鉄のうち40〜100質量%を溶融させて、炭素含有量が2.0〜5.0質量%でありかつ温度が1350〜1550℃の溶銑と、塩基度が1.0〜1.4であるスラグと、に分離する工程(以下、「第1の炉における工程」ともいう。)と、第2の炉において、固体還元鉄の残部を、第1の炉において分離された溶銑とともに溶融させ、当該溶融物に酸素を吹き付けて脱炭し、溶鋼とする工程(以下、「第2の炉における工程」ともいう。)と、を含む。
【0018】
以下では、本実施形態に係る溶鋼の製造方法の上記各要件について説明する。
【0019】
(固体還元鉄)
本実施形態に係る溶鋼の製造方法では、SiO

およびAl



の合計含有量が3.0質量%以上である固体還元鉄を使用する。固体還元鉄は、例えば鉄鉱石等の酸化鉄源を、炭材または還元性ガスによって固体状態のまま還元したものを使用することができる。固体還元鉄の製造方法については特に制限はなく、回転炉床炉、ストレートグレート等の移動床型還元炉、シャフト炉等の竪型炉、ロータリーキルン等の回転炉等、公知の還元鉄製造プラントを用いた製造方法を適用することができる。
【0020】
固体還元鉄のSiO

およびAl



の合計含有量が3.0質量%未満である場合には、当該固体還元鉄の製造に用いた鉄鉱石等の酸化鉄源の品位が高い。このような固体還元鉄は、直接第2の炉において溶解させても副次的に発生するスラグ量が少ないため、高い歩留まりで溶鋼を得ることができる。これにより、固体還元鉄のSiO

およびAl



の合計含有量が3.0質量%未満である場合には、第2の炉に先だって第1の炉で固体還元鉄を溶銑とする本実施形態に係る溶鋼の製造方法を適用する必要がない。そのため、本実施形態に係る溶鋼の製造方法では、SiO

およびAl



の合計含有量が3.0質量%以上である固体還元鉄を使用する。
【0021】
固体還元鉄の炭素含有量は、1.0質量%以上とする。第1の炉において固体還元鉄を溶融させた際に、固体還元鉄が含有する炭素によって、固体還元鉄中のFeOが還元され、それに伴ってCOガスが発生する。固体還元鉄の炭素含有量を1.0質量%以上とすることにより、十分な量のCOガスを発生させることができ、スラグを十分にフォーミングさせることができる。このフォーミングしたスラグ中でアーク加熱を行うことにより、効率的な加熱が可能となる。この観点から、固体還元鉄の炭素含有量は、1.5質量%以上が好ましい。
【0022】
また、固体還元鉄の炭素含有量が過剰であると、溶銑の炭素濃度が飽和炭素濃度を超えることがある。溶銑の炭素濃度が飽和炭素濃度を超えた場合、FeOの還元反応に寄与しなかった炭素はスラグまたは排ガスとともに炉外に排出され、無駄となる。そのため、固体還元鉄の炭素含有量は、7.0質量%以下が好ましく、6.0質量%以下がより好ましい。
【0023】
固体還元鉄に含有される全鉄分に占める金属鉄の割合(以下、「固体還元鉄の金属化率」、または単に「金属化率」ともいう。)は、90質量%以上とする。固体還元鉄の金属化率を90質量%以上とすることにより、本実施形態に係る溶鋼の製造方法で高い歩留まりで溶鋼を製造することができる。
【0024】
固体還元鉄の金属化率が90質量%未満である場合、固体還元鉄中のFeO含有量が多くなる。固体還元鉄の炭素含有量は、固体還元鉄の製造時に行われる浸炭プロセスにおいて増加させることができるものの、工業的に実現可能な固体還元鉄の炭素含有量には上限がある。そのため、固体還元鉄中のFeOの含有量が多い場合には、第1の炉において固体還元鉄に含有される炭素によって還元されないFeOが発生する。還元されなかったFeOはそのままスラグへ溶出し、スラグとともに第1の炉から排出される。このように、固体還元鉄の金属化率が90質量%未満である場合、本実施形態に係る第1の炉における工程および第2の炉における工程を適用しても、高い歩留まりで溶鋼を製造することが困難である。そのため、本実施形態に係る溶鋼の製造方法では、固体還元鉄の金属化率は90質量%以上とする。また、固体還元鉄中のFeO含有量が多いと、第1の炉における工程および第2の炉における工程で、FeOの還元に必要なエネルギーも多くなる。そのため、固体還元鉄の金属化率は92質量%以上がより好ましい。金属化率は高いほど好ましいため、特に上限はないが、過度に高い金属化率は固体還元鉄の製造プロセスにおける固体還元鉄の生産性を大きく低下させるため、98質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましい。
【0025】
固体還元鉄に含有される前記炭素のうち、上記式(1)で規定する余剰炭素量Cxは、0.2質量%以上とする。余剰炭素量Cxは、固体還元鉄に含有されるFeOを全て固体還元鉄に含有される炭素で還元した場合に残存する炭素(以下「余剰炭素」ともいう。)の量である。余剰炭素量Cxを0.2質量%以上とすることにより、第1の炉において固体還元鉄を溶融させた際に、固体還元鉄に含まれるFeOが全て固体還元鉄に含有される炭素によって還元され、固体還元鉄に含まれるFeOのスラグへの溶出を抑制することができる。
【0026】
さらに、溶融した鉄中の炭素含有量を余剰炭素によって増加させることができるため、炭素含有量が2.0〜5.0質量%の溶銑を得るために必要な外装加炭の割合を減らすことができる。ここで、「外装加炭」とは、炉に固体還元鉄とともに炭素を投入することをいう。これに対して、「内装加炭」とは、固体還元鉄に炭素を含有させることをいい、例えば固体還元鉄の製造時に行われる。外装加炭は、内装加炭に比べて加炭効率が劣るため、余剰炭素量Cxを0.2質量%以上とすることにより、全体として加炭効率を向上させることができる。ここで、「加炭効率」とは、外装加炭または内装加炭により炉に投入された炭素のうち、溶銑に溶解した炭素の割合を意味する。
【0027】
余剰炭素量Cxは、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、余剰炭素量Cxが過剰であると、溶銑の炭素濃度が飽和炭素濃度を超えるおそれがある。溶銑の炭素濃度が飽和炭素濃度を超えた場合、上述のように、FeOの還元反応に寄与しなかった炭素はスラグまたは排ガスとともに炉外に排出され、無駄となるため、余剰炭素量Cxは、6.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましい。
【0028】
次に、本実施形態に係る溶鋼の製造方法の各工程について説明する。
【0029】
(第1の炉における工程)
第1の炉では、溶鋼の原料である固体還元鉄のうち40〜100質量%を溶融させる。第1の炉で溶融させる固体還元鉄の割合は、例えば、固体還元鉄に含まれるSiO

およびAl



の合計含有量、ならびに第2の炉において固体還元鉄の残部から生成させる目標スラグ量等に応じて決めることができる。固体還元鉄は、SiO

およびAl



の合計含有量が高いほど、第1の炉で溶融させる割合を高くすることが好ましい。これは、第1の炉で溶融させる固体還元鉄の割合が高いほど、第2の炉において発生するスラグ量を低減し、溶鋼の歩留まりを高くすることができるからである。一方、必要以上に第1の炉で溶融させる固体還元鉄の割合を高くすると、第1の炉における工程および第2の炉における工程を合わせた溶鋼1t当たりの電力使用量が多くなる。そのため、第1の炉で溶融させる固体還元鉄の割合は、45質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。また、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
【0030】
第1の炉には、例えば後述する製銑電気炉を使用することができる。
(【0031】以降は省略されています)

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