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公開番号2021079877
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210527
出願番号2019210536
出願日20191121
発明の名称車両用駆動装置
出願人アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
代理人特許業務法人R&C
主分類B60W 10/08 20060101AFI20210430BHJP(車両一般)
要約【課題】自動変速機が変速動作する際に、高い再現性でシフトフィールを付加する。
【解決手段】第1車輪の駆動力源に駆動連結される入力部材と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、入力部材と第1出力部材とを結ぶ動力伝達経路に設けられた自動変速機とを備えた車両用駆動装置は、動力伝達経路における自動変速機よりも第1車輪側において第1出力部材に駆動連結された回転電機、又は、第1車輪とは独立して回転可能な第2車輪に駆動連結される第2出力部材に駆動連結された回転電機と、少なくとも回転電機を制御する制御装置とをさらに備え、回転電機が駆動連結された出力部材を対象出力部材として、制御装置は、自動変速機の変速動作に合わせて回転電機の出力トルクT5が変速挙動を模擬したトルクQSTを含むように回転電機の出力トルクT5を制御する。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
第1車輪の駆動力源に駆動連結される入力部材と、前記第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、前記入力部材と前記第1出力部材とを結ぶ動力伝達経路に設けられた自動変速機と、を備えた車両用駆動装置であって、
前記動力伝達経路における前記自動変速機よりも前記第1車輪側において前記第1出力部材に駆動連結された回転電機、又は、前記第1車輪とは独立して回転可能な第2車輪に駆動連結される第2出力部材に駆動連結された回転電機と、
少なくとも前記回転電機を制御する制御装置と、をさらに備え、
前記第1出力部材と前記第2出力部材とのうちの前記回転電機が駆動連結された方を対象出力部材として、
前記制御装置は、前記自動変速機の変速動作に合わせて、前記回転電機の出力トルクが変速挙動を模擬したトルクを含むように前記回転電機の出力トルクを制御する、車両用駆動装置。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記制御装置は、前記対象出力部材に伝達される出力トルクが、前記変速挙動を模擬して規定された目標トルク変化線に沿って変化するように、前記自動変速機の変速動作に合わせて前記回転電機の出力トルクを制御する、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記変速挙動を模擬したトルクは、トルクが低下した後に上昇し、再度低下するように設定されている、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記変速挙動を模擬したトルクは、第1トルクから第2トルクまで低下した後に、前記第1トルクよりも高い第3トルクまで上昇し、前記第2トルクよりも高い第4トルクまで低下するように設定されている、請求項3に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記変速挙動を模擬したトルクは、三角波状に設定されている、請求項3又は4に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記自動変速機は、複数の係合要素を備え、それら複数の係合要素のうちの解放側係合要素の解放と係合側係合要素の係合とを行って変速段を変更するように構成され、
前記動力伝達経路における前記自動変速機よりも前記入力部材側の特定の回転部材を基準回転部材として、
前記制御装置は、前記変速動作中、前記係合側係合要素のトルク容量と前記解放側係合要素のトルク容量との和が、前記駆動力源から前記基準回転部材に伝達されるトルクと一致するように、前記係合側係合要素及び前記解放側係合要素の係合圧を制御する、請求項1から5の何れか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
前記動力伝達経路における前記自動変速機よりも前記入力部材側の回転部材を入力側回転部材として、
前記制御装置は、前記変速動作に合わせて、当該変速動作に伴う前記入力側回転部材の回転変化によるイナーシャトルクを低減させるトルクを前記駆動力源に発生させるイナーシャトルク低減制御を実行する、請求項1から6の何れか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項8】
前記自動変速機は、複数の係合要素を備え、それら複数の係合要素のうちの解放側係合要素の解放と係合側係合要素の係合とを行って変速段を変更するように構成され、
前記変速挙動を模擬したトルクの変化の開始時期は、前記係合側係合要素のトルク容量及び前記解放側係合要素のトルク容量の変化の開始時期を基準として設定されている、請求項1から7の何れか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項9】
前記変速挙動を模擬したトルクの変化の開始時期は、前記係合側係合要素及び前記解放側係合要素のトルク容量におけるトルクの分担が変化するトルク相の開始時期である、請求項8に記載の車両用駆動装置。
【請求項10】
前記変速挙動を模擬したトルクの変化の開始時期は、前記トルク相の開始と同時である、請求項9に記載の車両用駆動装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機を備えた車両用駆動装置に関する。
続きを表示(約 9,200 文字)【背景技術】
【0002】
有段の自動変速機を備えた車両用駆動装置では、変速段が変わる際の変速ショックを緩和するために、自動変速機の変速入力部材に駆動力を与える駆動力源に、イナーシャトルクを低減させるためのトルクを生じさせるような制御が行われる場合がある。例えば、特開2018−17318号公報には、アクセルがオン状態で自動変速機が備える係合装置の掛け替えを行って変速比の高い変速段から低い変速段への変速を行うパワーオンアップシフト時の制御技術が開示されている。この車両用駆動装置では、それぞれの係合装置におけるトルク容量の分担が変化するトルク相の制御中に、自動変速機の入力部材の回転速度が変化するイナーシャ相が始まった場合でも変速ショックが生じないように、係合側の係合装置の目標トルク容量を補正して係合装置を油圧制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2018−17318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、自動変速機の目標トルク容量を補正することによって、自動変速機が変速していることを、運転者を含む乗員が気づきにくいように滑らかな変速を行うことができる。しかし、変速ショックには、乗員が不快と感じるものだけではなく、乗員によっては心地良さを覚えるようなものもある。例えば、より能動的な運転を好む運転者の場合には、変速による加速感等のいわゆるシフトフィールを得たい場合がある。上記のように、目標トルク容量を補正して油圧制御することで、そのようなシフトフィールを実現するような車両の加速度変化を生じさせようとすると、温度等の影響による油圧のばらつきによってシフトフィールの再現性が低くなる可能性がある。
【0005】
上記背景に鑑みて、自動変速機が変速動作する際に、高い再現性でシフトフィールを付加することができる車両用駆動装置の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた車両用駆動装置は、1つの態様として、第1車輪の駆動力源に駆動連結される入力部材と、前記第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、前記入力部材と前記第1出力部材とを結ぶ動力伝達経路に設けられた自動変速機と、を備えた車両用駆動装置であって、前記動力伝達経路における前記自動変速機よりも前記第1車輪側において前記第1出力部材に駆動連結された回転電機、又は、前記第1車輪とは独立して回転可能な第2車輪に駆動連結される第2出力部材に駆動連結された回転電機と、少なくとも前記回転電機を制御する制御装置と、をさらに備え、前記第1出力部材と前記第2出力部材とのうちの前記回転電機が駆動連結された方を対象出力部材として、前記制御装置は、前記対象出力部材に伝達される出力トルクが、変速挙動を模擬して規定された目標トルク変化線に沿って変化するように、前記自動変速機の変速動作に合わせて前記回転電機の出力トルクを制御する。
【0007】
本構成によれば、駆動力源と回転電機とで、分担することによって安定して快適に車両を走行させると共に、乗員に心地よさを感じさせたり運転の楽しさを感じさせたりするようなシフトフィールを提供することができる。例えば、自動変速機に駆動連結された駆動力源が、車両の特性や走行環境に応じて、乗員の快適性を重視して制御されている状態で、制御装置は、回転電機を制御して車輪に伝達されるトルクにシフトフィールを重畳させることができる。また、回転電機の出力トルクは、油圧回路等を介すること無く出力されるので、温度などの環境による影響を受けにくい。即ち、本構成によれば、自動変速機が変速動作する際に、高い再現性でシフトフィールを付加することができる車両用駆動装置を提供することができる。
【0008】
車両用駆動装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
車両用駆動装置の構成例を模式的に示すブロック図
自動変速機の構成例を示すスケルトン図
自動変速機の作動表
変速時の制御の一例を示すタイムチャート
車両用駆動装置の他の構成例を模式的に示すブロック図
車両用駆動装置の他の構成例を模式的に示すブロック図
車両用駆動装置の他の構成例を模式的に示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、車両用駆動装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、車両用駆動装置10の構成例を模式的に示している。車両用駆動装置10は、第1車輪W1の駆動力源1に駆動連結される入力部材2と、第1車輪W1に駆動連結される第1出力部材4と、入力部材2と第1出力部材4とを結ぶ動力伝達経路に設けられた自動変速機3とを備えている。本実施形態では、駆動力源1として、内燃機関11と、回転電機(後述する回転電機5と区別する場合「主回転電機13」と称する)とを備えたパラレルハイブリッド駆動装置として構成されている。内燃機関11と主回転電機13とは、伝達係合装置12を介して駆動連結されている。
【0011】
図1に示すように、入力部材2は、内燃機関11を含む駆動力源1に駆動連結されている。内燃機関11は、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン等である。内燃機関11の出力部材である内燃機関出力部材(クランクシャフト等)は、伝達係合装置12を介して主回転電機13に駆動連結されている。尚、伝達係合装置12と内燃機関出力部材とは、直接的に連結されても良いし、ダンパ等の他の部材を介して連結されても良い。
【0012】
伝達係合装置12は、内燃機関出力部材と、主回転電機13とを選択的に連結する。即ち、伝達係合装置12は、内燃機関11と主回転電機13との間を連結した状態と、その連結を解除した状態とに状態変化可能である。これにより、伝達係合装置12は、主回転電機13及び自動変速機3を備えた車両用駆動装置10から内燃機関11を切り離す内燃機関切離用係合装置として機能する。本実施形態では、伝達係合装置12は摩擦係合装置であり、例えば湿式多板クラッチ等を用いることができる。尚、図示及び詳細な説明は省略するが、この伝達係合装置12を第1伝達係合装置として、主回転電機13と自動変速機3との間にさらに第2伝達係合装置が備えられていてもよい。第2伝達係合装置は、主回転電機13と自動変速機3(変速入力部材)とを選択的に連結する。
【0013】
主回転電機13は、非回転部材であるケースに固定された不図示のステータと、このステータの径方向内側に回転自在に支持された不図示のロータとを含む。主回転電機13は、不図示のインバータ装置を介して不図示の蓄電装置に接続されている。主回転電機13は、蓄電装置から電力の供給を受けて力行し、或いは、内燃機関11のトルクや車両の慣性力等によって発電した電力を蓄電装置に供給して蓄電させる。主回転電機13のロータは、入力部材2と一体的に回転するように駆動連結されている。また、自動変速機3の入力部材である変速入力部材(後述する第1遊星歯車機構PG1の第1リングギヤR1、第2遊星歯車機構PG2の第2キャリヤCA2)は、入力部材2と一体的に回転するように駆動連結されている。従って、本実施形態では、変速入力部材の回転速度は主回転電機13(ロータ)の回転速度に一致する。
【0014】
本実施形態では、自動変速機3は、複数の遊星歯車機構(PG1,PG2)と、複数の変速用の係合要素3Cとを備えた有段自動変速機である。例えば図2に示すように、自動変速機3は、本実施形態では、第1サンギヤS1、第1リングギヤR1、第1キャリヤCA1、第1ピニオンギヤP1を備えたシングルピニオン型の第1遊星歯車機構PG1と、第2機構第1サンギヤS21、第2機構第2サンギヤS22、第2キャリヤCA2、第2機構第1ピニオンギヤP21、第2機構第2ピニオンギヤP22、第2リングギヤR2を備えたラビニヨ型の第2遊星歯車機構PG2とを備えている。第2遊星歯車機構PG2の第2機構第2ピニオンギヤP22は、第2機構第1ピニオンギヤP21及び第2機構第1サンギヤS21と噛み合うロングピニオンギヤである。また、本実施形態では、係合要素3Cとして、クラッチ(第1クラッチC1,第2クラッチC2,第3クラッチC3と、ブレーキ(第1ブレーキB1,第2ブレーキB2)とが含まれる。各クラッチ(C1,C2,C3)及び各ブレーキ(B1,B2)は摩擦係合装置であり、例えば湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキ等を用いることができる。なお、係合要素3Cには、1つ又は複数のワンウェイクラッチが含まれても良い。
【0015】
自動変速機3は、例えば図3に示される作動表に従い、各クラッチ(C1,C2,C3)及び各ブレーキ(B1,B2)のそれぞれの係合の状態に応じて、複数の変速段のいずれかを選択的に形成可能である。例えば自動変速機3は、第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の直結係合状態、且つ、その他の係合要素3Cの解放状態で、第1変速段(1st)を形成する。また、例えば自動変速機3は、第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の直結係合状態、且つ、その他の係合要素3Cの解放状態で、第2変速段(2nd)を形成する。他の変速段(3rd〜6th)についても、図3に従って同様に考えることができるため、詳細な説明は省略する。
【0016】
自動変速機3は、変速入力部材(入力部材2)の回転速度を、形成された変速段に応じた変速比に基づいて変速して第1出力部材4に伝達する。ここで、「変速比」は、第1出力部材4の回転速度に対する入力部材2の回転速度の比であり、入力部材2の回転速度を第1出力部材4の回転速度で除算した値として算出される。すなわち、入力部材2から第1出力部材4に伝達される回転は変速比が大きくなるに従って大きく減速され、入力部材2から第1出力部材4に伝達されるトルクは変速比が大きくなるに従って増幅されて伝達される。
【0017】
図1に示すように、第1出力部材4は、第1差動歯車装置D1を介して、左右一対の第1車輪W1に駆動連結されている。第1出力部材4に伝達されたトルクは、第1差動歯車装置D1を介して左右2つの第1車輪W1に分配されて伝達される。これにより、車両用駆動装置10は、内燃機関11及び主回転電機13の一方又は双方のトルクを第1車輪W1に伝達して車両を走行させることができる。尚、第1出力部材4は、例えば軸部材(出力軸)で構成されている。
【0018】
本実施形態では、車両用駆動装置10は、さらに、第1車輪W1とは独立して回転可能な第2車輪W2に駆動連結される第2出力部材6に駆動連結された回転電機5を備えている。回転電機5は、主回転電機13と同様に、非回転部材であるケースに固定された不図示のステータと、このステータの径方向内側に回転自在に支持された不図示のロータとを含む。また、回転電機5は、不図示のインバータ装置を介して不図示の蓄電装置(主回転電機13と同じ蓄電装置であってもよい)に接続されている。回転電機5は、蓄電装置から電力の供給を受けて力行し、或いは、車両の慣性力等によって発電した電力を蓄電装置に供給して蓄電させる。例えば、回転電機5のロータは、第2出力部材6と一体的に回転するように、或いは固定変速比の変速機を介して第2出力部材6に駆動連結されている。従って、第2出力部材6の回転速度は回転電機5(ロータ)の回転速度に一致又は比例する。当然ながら、回転電機5のロータは、可変変速比の変速機を介して第2出力部材6に駆動連結されていてもよい。また、本実施形態では、第2出力部材6は、後述する対象出力部材8に相当する。
【0019】
図1に示すように、第2出力部材6は、第2差動歯車装置D2を介して、左右一対の第2車輪W2に駆動連結されている。第2出力部材6に伝達されたトルクは、第2差動歯車装置D2を介して左右2つの第2車輪W2に分配されて伝達される。これにより、車両用駆動装置10は、回転電機5のトルクを第2車輪W2に伝達して車両を走行させることができる。本実施形態では、車両用駆動装置10は、車両の前輪及び後輪をそれぞれ駆動して車両を走行させること、並びに前輪又は後輪のみを駆動して車両を走行させること、ができる駆動装置である。
【0020】
また、車両用駆動装置10は、図1に示すように、車両用駆動装置10を構成する各部を制御する制御装置7を備えている。制御装置7は少なくとも回転電機5を制御する。また、本実施形態では、制御装置7は、自動変速機3の変速動作に合わせて、回転電機5の出力トルクT5が変速挙動を模擬したトルク(模擬変速トルクQST)を含むように、回転電機5の出力トルクT5を制御する(図4参照)。詳細は後述するが、具体的には、回転電機5が駆動連結された第2出力部材6を対象出力部材8として、制御装置7は、対象出力部材8に伝達される出力トルクが、変速挙動を模擬して規定された目標トルク変化線TLに沿って変化するように、自動変速機3の変速動作に合わせて回転電機5の出力トルクT5を制御する。
【0021】
自動変速機3は、上述したように複数の係合要素3Cを備えており、図3の作動表に例示するように、それら複数の係合要素3Cの内の解放側係合要素の解放と、係合側係合要素の係合とを行って変速段を変更する。例えば、自動変速機3が、第3変速段(3rd)から第4変速段(4th)への変速動作を行う場合、第3クラッチC3が係合状態から解放状態となり、第2クラッチC2が解放状態から係合状態となるように、第3クラッチC3と第2クラッチC2との間で、係合要素3Cの掛け替えが行われる。この場合、第3クラッチC3が解放側係合要素であり、第2クラッチC2が係合側係合要素である。この掛け替えの際には、それぞれの係合要素3Cにおけるトルク容量の分担が変化し、その後、自動変速機3の変速入力部材の回転速度が変化する。この際、係合要素3Cを円滑に掛け替えることができるように、制御装置7は、それぞれの係合要素3Cの係合圧を油圧制御する。つまり、制御装置7は、掛け替え変速制御を実行する。
【0022】
ここで、動力伝達経路における自動変速機3よりも入力部材2の側の特定の回転部材(例えば入力部材2)を基準回転部材とする。例えば、掛け替え制御として、制御装置7は、自動変速機3の変速動作中、係合側係合要素のトルク容量(係合側係合装置に伝達される伝達トルク容量)と解放側係合要素のトルク容量との和が、駆動力源1から基準回転部材に伝達されるトルクと一致するように、係合側係合要素及び解放側係合要素の係合圧(Happ,Hrel:図4参照)を制御する。
【0023】
図4のタイムチャートに示すように、変速動作は時刻t1に開始される。変速動作が始まると解放側係合要素の解放側係合圧Hrelが低下し始める。時刻t2になると、係合側係合要素の係合側係合圧Happを上昇させるための制御が開始し、時刻t3から時刻t4の間には、係合側係合要素のトルク容量と解放側係合要素のトルク容量との和が、駆動力源1から基準回転部材に伝達されるトルクと一致するように、トルクの掛け替えが行われる。この時刻t3から時刻t4の期間は、それぞれの係合要素におけるトルク容量の分担が変化するトルク相PTである。
【0024】
時刻t4から時刻t5の間は、自動変速機3の変速入力部材(入力部材2)の回転速度V2が変化するイナーシャ相PIである。図4において、破線で示す回転速度Vbは、解放側係合要素が係合されている場合(変速前の変速段で)の回転速度を示し、破線で示す回転速度Vaは、係合側係合要素が係合されている場合(変速後の変速段で)の回転速度を示している。本例では、イナーシャ相PIにおいて、入力部材2の回転速度が一定の割合で低下し、円滑に変速段の切り替えが行われる。
【0025】
図4において、T1は駆動力源1の出力トルク(駆動力源出力トルクT1)を示し、T11は内燃機関11の出力トルク(内燃機関出力トルクT11)を示し、T13は主回転電機13の出力トルク(主回転電機出力トルクT13)を示している。ここで、動力伝達経路において自動変速機3よりも入力部材2の側の回転部材(入力部材2や主回転電機13のロータなど、自動変速機3よりも入力部材2の側の全ての回転部材を含む)を入力側回転部材とする。制御装置7は、自動変速機3の変速動作に合わせて、当該変速動作に伴う入力側回転部材の回転変化によるイナーシャトルクを低減させるトルクを駆動力源1に発生させるイナーシャトルク低減制御を実行する。このイナーシャトルクは、入力側回転部材のイナーシャ(慣性モーメント)と、変速動作による入力側回転部材の回転変化量及びその変化時間と、に基づいて導出できる。制御装置7は、このように導出したイナーシャトルクとは反対向きのトルクであって、イナーシャトルク以下のトルクを駆動力源1に出力させる。本例では、制御装置7は、イナーシャトルクと同じ大きさのトルクを駆動力源1に出力させる。
【0026】
このイナーシャトルク低減制御により、自動変速機3による変速の際には、車両の特性や走行環境に応じて、乗員の快適性を重視して不快な変速ショックが生じないように車両用駆動装置10が制御されている。しかし、例えばより能動的な運転を好む運転者の場合には、変速による加速感等の心地良い変速感、いわゆるシフトフィールを得たい場合がある。このような能動的な運転操作に基づく変速挙動により生じるシフトフィールは、実際の変速動作のための油圧制御によって実現することも可能である。しかし、油圧制御は、オイルの温度など環境条件による影響を受けやすく、目標とするシフトフィールの実現や、同じ変速挙動に対するシフトフィールの再現性の確保が難しい。そこで、本実施形態では、駆動力源1の制御や、自動変速機3の制御ではなく、より制御性の高い回転電機5によってシフトフィールを付加している。
【0027】
一般的に車両が加速中において変速段が変わる場合、つまり加速中のシフトアップ(パワーオンアップシフト)では、係合要素3Cの掛け替えが行われる際に、解放側係合要素の解放によってトルクが減少するいわゆる抜け感が生じた後、係合側係合要素の係合によってトルクが増加する加速感が生じると、心地良いシフトフィールとなり易い。上述したように、制御装置7は、駆動力源1と自動変速機3との間の動力伝達においては、意図しない抜け感や加速感が不快な変速ショックとなることを抑制するために、掛け替え変速制御及びイナーシャトルク低減制御を実行している。一方、回転電機5は、運転者にとって心地よい抜け感や加速感を伴った変速挙動となるようなシフトフィールを実現するトルク(模擬変速トルクQST)を出力する。制御装置7は、回転電機5の出力トルクT5が変速挙動を模擬したトルク(模擬変速トルクQST)を含むように、回転電機5の出力トルクT5を制御する。具体的には、図4に示すように、制御装置7は、対象出力部材8(ここでは第2出力部材6)に伝達される出力トルクが、変速挙動を模擬して規定された目標トルク変化線TLに沿って変化するように、回転電機5の出力トルクT5を制御する。尚、T10は、駆動力源1及び回転電機5を合わせた車両全体のトルク(車両トルクT10)を示している。
【0028】
上述したように、パワーオンアップシフトにおける変速挙動では、抜け感の後に加速感が生じることが好ましい。このため、変速挙動を模擬したトルク(模擬変速トルクQST)として、トルクが低下した後に上昇し、再度低下するようなトルクを含むように回転電機5の出力トルクT5が制御される。図4に示すように、本実施形態では、模擬変速トルクQSTは、第1トルクQ1から第2トルクQ2まで低下した後に、第1トルクQ1よりも高い第3トルクQ3まで上昇し、その後、第2トルクQ2よりも高い第4トルクQ4まで低下するように設定されている。また、ここでは、模擬変速トルクQSTは三角波状に設定されている。このような模擬変速トルクQSTを生じさせるため、本実施形態では、目標トルク変化線TLは、トルクが低下した後に上昇し、再度低下する三角波状に設定されている。
【0029】
また、本実施形態では、目標トルク変化線TLの変化の開始時期は、係合側係合要素のトルク容量及び解放側係合要素のトルク容量の変化の開始時期である時刻t3、即ちトルク相PTの開始時期を基準として設定されている。本例では、目標トルク変化線TLの変化の開始時期は、トルク相PTの開始時期と一致させている。即ち、本例では、変速挙動を模擬したトルクの変化の開始時期は、トルク相PTの開始と同時である。このように変速動作の初期にシフトフィールを付加することによって、運転者に対して迅速に変速が行われているという感覚も与えることができる。なお、目標トルク変化線TLの変化の開始時期を、トルク相PTの開始時期から規定時間後(例えば0.3秒後等)とし、又は、トルク相PTの開始時期よりも規定時間前(例えば0.3秒前等)としても良い。
【0030】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(【0031】以降は省略されています)

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