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公開番号2021071124
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210506
出願番号2019196003
出願日20191029
発明の名称発進装置
出願人アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
代理人特許業務法人アイテック国際特許事務所
主分類F16H 45/02 20060101AFI20210409BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】発進装置の部品点数やコストを削減しつつ、当該発進装置の入力部材と出力部材とを連結するクラッチの制御性を向上させる。
【解決手段】本開示の発進装置は、入力部材と出力部材とを連結可能なクラッチを含み、当該クラッチは、出力部材と共に回転する環状プレートと、当該環状プレートの一方の面と対向するように入力部材により軸方向に移動自在に支持されると共に、入力部材と共に係合油室を画成するピストンと、出力部材に連結されるタービンランナとピストンとの軸方向における間で入力部材の軸心側から径方向外側に延在して環状プレートの他方の面と対向するように入力部材に固定され、ピストンと共に解放油室を画成するプレート部材とを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
エンジンからの動力が伝達される入力部材と、出力部材と、前記入力部材と一体に回転するポンプインペラと、前記出力部材に連結されるタービンランナと、前記入力部材と前記出力部材とを連結可能なクラッチとを含む発進装置において、
前記クラッチは、
前記出力部材と共に回転する環状プレートと、
前記環状プレートの一方の面と対向するように前記入力部材により軸方向に移動自在に支持されると共に、前記入力部材と共に係合油室を画成するピストンと、
前記タービンランナと前記ピストンとの軸方向における間で前記入力部材の軸心側から径方向外側に延在して前記環状プレートの他方の面と対向するように前記入力部材に固定され、前記ピストンと共に解放油室を画成するプレート部材と、
を備える発進装置。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
請求項1に記載の発進装置において、前記プレート部材の外径は、前記ピストンの外径以上である発進装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発進装置において、
前記入力部材と前記ピストンとの間には、前記係合油室と、前記タービンランナが配置される流体室との連通を規制するシール部材が配置されている発進装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発進装置において、
前記係合油室、前記解放油室および前記流体室には、油圧制御装置により調圧された油圧が独立して供給され、前記クラッチを係合させる際、前記係合油室および前記流体室には、前記解放油室に供給される油圧よりも高く、かつ同一の油圧が供給される発進装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の発進装置において、前記シール部材は、前記摩擦材よりも径方向内側に配置される発進装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の発進装置において、
前記クラッチは、前記ピストンと前記プレート部材との軸方向における間に配置されると共に、前記プレート部材から前記ピストンにトルクを伝達するように両者に連結される弾性部材を更に含む発進装置。
【請求項7】
請求項6に記載の発進装置において、
前記ピストンは、前記入力部材と前記プレート部材との固定部よりも径方向外側で前記入力部材により支持される発進装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の発進装置において、
前記環状プレートと一体に回転する入力要素と、前記出力部材に固定される出力要素と、前記入力要素と前記出力要素との間でトルクを伝達する弾性体とを含むダンパ装置を更に備える発進装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載の発進装置において、
前記環状プレートの前記一方の面および前記ピストンの前記環状プレートと対向する面の何れか一方と、前記環状プレートの前記他方の面および前記プレート部材の前記環状プレートと対向する面の何れか一方とには、摩擦材が貼着されている発進装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジンからの動力が伝達される入力部材と、出力部材と、入力部材と一体に回転するポンプインペラと、出力部材に連結されるタービンランナと、入力部材と出力部材とを連結可能なクラッチとを含む発進装置に関する。
続きを表示(約 9,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関のクランク軸に連結されるケーシング(入力部材)と、伝動装置の入力軸に連結されるハブ(出力部材)と、ケーシングに固定されるポンプ羽根車と、ハブにより回転自在に支持されるタービン車と、タービン車と一体に回転する入力部分(入力要素)、ハブと一体に回転する出力部分(出力要素)、入力部分と出力部分との間でトルクを伝達するコイルおよび中間部分を含むダンパ機構と、ダンパ機構を介してケーシングとハブとを連結可能なブリッジクラッチとを含む動力伝達装置(発進装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。この動力伝達装置のブリッジクラッチは、ケーシングと共に油室を画成するピストンと、半径方向外側の範囲の両面に摩擦ライニングを有する摩擦ライニング支持体と、ケーシングに溶接された環状円板とを含む。摩擦ライニング支持体の内周部は、ダンパ機構の入力部分の内周部により支持され、環状円板は、摩擦ライニング支持体の一方の摩擦ライニングと対向するようケーシングの外周側から内周側に向けて延在する。これにより、油室内の圧力を高めた際に、ピストンと環状円板とが摩擦ライニング支持体の対応する摩擦ライニングと摩擦係合し、それによりケーシングがダンパ機構を介してハブに連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2000−002312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような摩擦ライニング支持体を含むクラッチによれば、いわゆる多板クラッチを採用した場合に比べて、発進装置の部品点数やコストを削減することができる。しかしながら、上記従来の発進装置では、ブリッジクラッチを係合させる際に、タービン車がポンプインペラと共に常時回転しており、当該タービン車周辺の圧力が低下する。このため、タービン車と環状円板との間にダンパ機構が存在していても、ピストンがタービン車側に吸引されてしまい、油室内の圧力を高めた際にブリッジクラッチが急係合したり、当該ブリッジクラッチを精度よくスリップ係合させ得なくなったりするおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、発進装置の部品点数やコストを削減しつつ、当該発進装置の入力部材と出力部材とを連結するクラッチの制御性を向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の発進装置は、エンジンからの動力が伝達される入力部材と、出力部材と、前記入力部材と一体に回転するポンプインペラと、前記出力部材に連結されるタービンランナと、前記入力部材と前記出力部材とを連結可能なクラッチとを含む発進装置において、前記クラッチは、前記出力部材と共に回転する環状プレートと、前記環状プレートの一方の面と対向するように前記入力部材により軸方向に移動自在に支持されると共に、前記入力部材と共に係合油室を画成するピストンと、前記タービンランナと前記ピストンとの軸方向における間で前記入力部材の軸心側から径方向外側に延在して前記環状プレートの他方の面と対向するように前記入力部材に固定され、前記ピストンと共に解放油室を画成するプレート部材とを含むものである。
【0007】
本開示の発進装置のクラッチは、出力部材と共に回転する環状プレートを介してトルクを伝達するものであり、いわゆる多板クラッチに比べて部品点数やコストを削減することができる。また、当該クラッチのピストンは、環状プレートの一方の面と対向するように入力部材により軸方向に移動自在に支持されると共に、入力部材と共に係合油室を画成する。更に、ピストンと共に解放油室を画成するプレート部材は、タービンランナとピストンとの軸方向における間で入力部材の軸心側から径方向外側に延在して環状プレートの他方の面と対向するように入力部材に固定される。これにより、回転するタービンランナの周辺の圧力が低下しても、タービンランナとピストンとの軸方向における間に介在するプレート部材によって、圧力低下の影響がピストンに及ぶのを抑制可能となる。この結果、クラッチの係合に際してピストンがタービンランナ側に吸引されるのを抑制し、ショックを発生させることなくクラッチを係合させると共に、スリップ制御の精度を良好に確保することができる。従って、本開示の発進装置では、部品点数やコストを削減しつつ、当該発進装置の入力部材と出力部材とを連結するクラッチの制御性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の発進装置を示す断面図である。
本開示の他の発進装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本開示の発進装置1を示す断面図である。同図に示す発進装置1は、図示しないエンジン(内燃機関)からのトルク(動力)が伝達される入力部材としてのフロントカバー3や、ポンプインペラ(入力側流体伝動要素)4、タービンランナ(出力側流体伝動要素)5、ステータ6、変速機の入力軸ISに固定される出力部材としてのタービンハブ7、ダンパ装置8、ロックアップクラッチ10等を含む流体伝動装置である。変速機は、例えば4段−10段変速式の有段変速機であってもよく、機械式の無段変速機(CVT)であってもよい。
【0011】
なお、以下の説明において、「軸方向」は、特に明記するものを除いて、基本的に、発進装置1やダンパ装置8の中心軸(軸心)の延在方向を示す。また、「径方向」は、特に明記するものを除いて、基本的に、発進装置1やダンパ装置8、当該ダンパ装置8等の回転要素の径方向、すなわち発進装置1やダンパ装置8の中心軸から当該中心軸と直交する方向(半径方向)に延びる直線の延在方向を示す。更に、「周方向」は、特に明記するものを除いて、基本的に、発進装置1やダンパ装置8、当該ダンパ装置8等の回転要素の周方向、すなわち当該回転要素の回転方向に沿った方向を示す。
【0012】
フロントカバー3は、図1に示すように、環状のカバー本体30と、当該カバー本体30の内周に固定されるセンターピース35とを含む。カバー本体30は、環状の内側背板部31と、当該内側背板部31の外周から軸方向に延びる短尺の筒状部32と、当該筒状部32の先端から径方向外側に延びる環状の外側背板部33と、当該外側背板部33の外周から軸方向に延びる外筒部34とを含む。フロントカバー3の外側背板部33には、複数のセットブロックBが周方向に間隔をおいて溶接により固定されている。各セットブロックBには、上記エンジンのクランクシャフトに締結された図示しないドライブプレートがボルトを介して固定(連結)される。センターピース35は、有底筒状に形成されており、軸方向における中央部付近にフランジ状の大径部36を有する。
【0013】
ポンプインペラ4は、フロントカバー3の外筒部34に溶接により密に固定されるポンプシェル40と、ポンプシェル40の内面に配設された複数のポンプブレード41と、ポンプシェル40の中央部からフロントカバー3側とは反対側に軸方向に延出されたスリーブ部44とを含む。フロントカバー3およびポンプインペラ4(ポンプシェル40)は、作動油(ATF)で満たされる流体室9を画成する。また、タービンランナ5は、ポンプインペラ4と同軸に回転するように流体室9内に配置される。タービンランナ5は、タービンシェル50と、タービンシェル50の内面に配設された複数のタービンブレード51とを含む。タービンシェル50の内周部は、複数のリベットを介して出力部材としてのタービンハブ7に固定される。
【0014】
ステータ6は、互いに対向し合うポンプインペラ4とタービンランナ5との間に両者と同軸に配置され、ステータ6の回転方向は、ワンウェイクラッチ60により一方向すなわちポンプインペラ4およびタービンランナ5の回転方向と同方向のみに制限される。ポンプインペラ4、タービンランナ5およびステータ6は、作動油を循環させるトーラス(環状流路)を形成し、トルク増幅機能をもったトルクコンバータとして機能する。すなわち、トルクコンバータの速度比(タービンランナ5の回転数/ポンプインペラ4の回転数)が大きい場合、ステータ6は、ポンプインペラ4およびタービンランナ5に連れ回る。これに対して、当該速度比が小さくなると、ワンウェイクラッチ60の作用によりステータ6の回転が制限され、タービンランナ5からの作動油がステータ6の各ステータブレード61により整流されてポンプインペラ4に戻される。これにより、トルクコンバータのトルク比(出力トルク/入力トルク)を大きくすることが可能となる。ただし、発進装置1において、ステータ6やワンウェイクラッチ60を省略し、ポンプインペラ4およびタービンランナ5を流体継手のみとして機能させてもよい。
【0015】
ダンパ装置8は、図1に示すように、タービンランナ5のフロントカバー3(カバー本体30)側に配置される。ダンパ装置8は、回転要素として、ロックアップクラッチ10によりフロントカバー3に連結されるドライブ部材(入力要素)80と、タービンランナ5と共にタービンハブ7に固定されるドリブン部材(出力要素)85とを含む。本実施形態において、ドライブ部材80は、互いに連結される第1および第2ドライブプレート81,82を含む。また、ドリブン部材85は、1枚のプレートであり、第1および第2ドライブプレート81,82の軸方向における間に配置される。
【0016】
更に、ダンパ装置8は、トルク伝達要素(トルク伝達弾性体)として、ドライブ部材80とドリブン部材85との間でトルクを伝達する複数の第1スプリングSP1と、第1スプリングSP1の径方向外側に配置されると共にドライブ部材80とドリブン部材85との間でトルクを伝達する複数の第2スプリングSP2とを含む。複数の第2スプリングSP2は、ドライブ部材80への入力トルクが予め定められたトルク(第1の閾値)T1に達して当該ドライブ部材80のドリブン部材85に対する捩れ角が所定角度θref以上になってから、複数の第1スプリングSP1と並列に作用する。これにより、ダンパ装置8は、2段階(2ステージ)の減衰特性を有することになる。ただし、ダンパ装置8は、少なくとも1つの中間部材(中間要素)を含むものであってもよい。
【0017】
ロックアップクラッチ10は、フロントカバー3とタービンハブ7とを連結するロックアップを実行すると共に当該ロックアップを解除するものである。ロックアップクラッチ10は、1枚の環状のクラッチプレート11と、クラッチプレート11を押圧可能なピストン14と、プレート部材15とを含む。クラッチプレート11は、環状プレート12および当該環状プレート12の表裏両面に貼着された摩擦材13を含む両面貼り式摩擦板である。環状プレート12の外周部は、ダンパ装置8のドライブ部材80の第1ドライブプレート81の外周部から延出された筒状部81cの先端部(遊端部)に嵌合される。これにより、クラッチプレート11は、ダンパ装置8のドライブ部材80と一体に回転すると共に、タービンハブ7と共に回転可能となる
【0018】
ロックアップクラッチ10のピストン14は、タービンランナ5の外径と概ね同一の外径およびタービンランナ5(タービンシェル50)の内径よりも小さい内径を有する環状部材である。ピストン14は、フロントカバー3のカバー本体30の内側背板部31および外側背板部33に近接するように配置される。ピストン14の内周面は、フロントカバー3のセンターピース35に形成された大径部36の外周面により支持され、ピストン14の内周面と大径部36との間には、Oリング等のシール部材16iが配置される。また、ピストン14は、径方向における中央部付近に軸方向に突出する環状の突出部14aを有する。当該突出部14aは、フロントカバー3のカバー本体30の筒状部32内に嵌合され、突出部14aと筒状部32の内周面との間には、Oリング等のシール部材16oが配置される。ピストン14の突出部14aよりも外周側の部分は、環状プレート12の一方の面(図1における左側の面)に貼着された摩擦材13と対向する
【0019】
これにより、ピストン14は、クラッチプレート11の一方の摩擦材13と対向するようにフロントカバー3すなわちカバー本体30の筒状部32およびセンターピース35の大径部36により軸方向に移動自在に支持される。更に、ピストン14は、フロントカバー3すなわちカバー本体30(内側背板部31および筒状部32)およびセンターピース35と共にタービンランナ5等が配置される流体室9から独立した係合油室17を画成する。そして、ロックアップクラッチ10では、クラッチプレート11の摩擦材13よりも径方向内側で、シール部材16oにより流体室9と係合油室17との連通が規制される。
【0020】
ロックアップクラッチ10のプレート部材15は、開口部を有さない金属製の環状部材であり、ピストン14の外径と同一の外径と、当該ピストン14の内径よりも小さい内径とを有する。プレート部材15の内周部は、フロントカバー3のセンターピース35の内側端部(図1における右側の端部)に嵌合されると共に当該内側端部に溶接により固定され、当該プレート部材15の外周側の部分は、環状プレート12の他方の面(図1における右側の面)に貼着された摩擦材13と対向する。すなわち、プレート部材15は、ダンパ装置8(タービンランナ5)とピストン14との軸方向における間でセンターピース35(フロントカバー3)の軸心側(図1における一点鎖線参照)から径方向外側に延在してクラッチプレート11の他方の摩擦材13と対向するようにフロントカバー3に固定される。また、プレート部材15は、ピストン14およびセンターピース35と共に解放油室18を画成する。なお、プレート部材15は、センターピース35と一体に形成されてもよい。
【0021】
更に、ピストン14とプレート部材15との軸方向における間には、ピストン14をプレート部材15から離間させる方向に付勢するリターンスプリングとしての皿ばね(弾性部材)19が配置される。皿ばね19は、ピストン14の外径よりも十分に小さい外径およびプレート部材15の内径よりも若干大きい内径を有する環状の板ばねである。本実施形態において、皿ばね19は、外周部および内周部のそれぞれに周方向に間隔をおいて形成された複数のリベット孔と、外周部と内周部との間に周方向に間隔をおいて形成された複数の貫通孔とを含む。図1に示すように、皿ばね19の外周部は、それぞれ外周側のリベット孔に挿通される複数のリベットを介してピストン14の突出部14aよりも内周側の部分に固定(連結)される。また、皿ばね19の内周部は、それぞれ内周側のリベット孔に挿通される複数のリベットを介してプレート部材15の内周部に固定(連結)される。これにより、上記エンジンからフロントカバー3(センターピース35)に伝達されたトルクをプレート部材15から皿ばね19を介してピストン14に伝達することが可能となる。
【0022】
ロックアップクラッチ10の係合油室17には、変速機の入力軸ISに形成された油路、入力軸ISとセンターピース35とにより画成される油路およびセンターピース35に形成された第1油路37を介して、図示しない油圧制御装置により調圧された油圧(係合油圧)P1が供給される。また、ロックアップクラッチ10の解放油室18には、変速機の入力軸ISに形成された他の油路およびセンターピース35に形成された第2油路38を介して、油圧制御装置により調圧された油圧(解放油圧)P2が供給される。更に、フロントカバー3およびポンプインペラ4(ポンプシェル40)により画成される流体室9には、入力軸ISと図示しないステータシャフトとの間に画成される油路やワンウェイクラッチ60の周辺に形成される油路を介して、油圧制御装置により調圧された油圧P3が供給される。すなわち、係合油室17、解放油室18および流体室9には、油圧制御装置により調圧された油圧が独立して供給される。
【0023】
上述のように構成される発進装置1では、クラッチプレート11の各摩擦材13がピストン14またはプレート部材15に当接するように係合油室17内の油圧によりピストン14を移動させることで、ロックアップクラッチ10を完全係合あるいはスリップ係合させることができる。すなわち、係合油室17内の油圧が高まると、ピストン14は、皿ばね19の付勢力に抗してタービンランナ5側に移動してクラッチプレート11の一方の摩擦材13に当接(摩擦係合)し、ピストン14の移動に伴ってクラッチプレート11の他方の摩擦材13がプレート部材15に当接(摩擦係合)する。
【0024】
これにより、エンジンからフロントカバー3(センターピース35)に伝達されたトルクがプレート部材15に伝達されると共に、プレート部材15および皿ばね19を介してピストン14に伝達され、ピストン14およびプレート部材15の双方から、クラッチプレート11、ダンパ装置8およびタービンハブ7を介して変速機の入力軸ISにトルク(動力)が伝達される。本実施形態では、ロックアップクラッチ10の係合に際して、油圧P1およびP3が互いに同一の値となり、かつ油圧P2より高くなるように油圧P1,P2およびP3が調整される。
【0025】
一方、ロックアップクラッチ10を解放させる際には、解放油室18に供給される油圧P2を係合油室17に供給される油圧P1よりも高くする。これにより、ピストン14がクラッチプレート11から離間するように軸方向に移動し、それに伴ってクラッチプレート11の各摩擦板13がピストン14またはプレート部材15から離間する。この結果、ロックアップクラッチ10が解放され、当該ロックアップクラッチ10を介したフロントカバー3(エンジン)とタービンハブ7との連結が解除されることになる。
【0026】
また、発進装置1において、ロックアップクラッチ10のピストン14は、クラッチプレート11の一方の摩擦材13と対向するようにフロントカバー3により軸方向に移動自在に支持される。更に、プレート部材15は、タービンランナ5(ダンパ装置8)とピストン14との軸方向における間でフロントカバー3の軸心側から径方向外側に延在してクラッチプレート11の他方の摩擦材13と対向する。これにより、ロックアップクラッチ10を係合させる際に回転しているタービンランナ5の周辺の圧力が低下しても(負圧が形成されても)、タービンランナ5とピストン14との軸方向における間に介在するプレート部材15によって、圧力低下の影響がピストン14に及ぶのを抑制可能となる。
【0027】
この結果、ロックアップクラッチ10の係合に際してピストン14がタービンランナ5側に吸引されるのを抑制し、ショックを発生させることなくロックアップクラッチ10を係合させると共に、スリップ制御の精度を良好に確保することができる。加えて、ロックアップクラッチ10は、環状プレート12および当該環状プレート12の両面に貼着された摩擦材13を有するクラッチプレート11を含むものであり、複数の摩擦プレートおよびセパレータプレートを含む多板クラッチに比べて部品点数やコストを削減することができる。従って、発進装置1では、部品点数やコストを削減しつつ、フロントカバー3とタービンハブ7とを連結するロックアップクラッチ10の制御性を向上させることが可能となる。
【0028】
更に、発進装置1では、プレート部材15の外径がピストン14の外径と同一に定められている。これにより、回転するタービンランナ5の周辺における圧力低下の影響がピストン14に及ぶのをプレート部材15によって良好に抑制することが可能となる。ただし、プレート部材15の外径は、ピストン14の外径よりも大きく定められてもよい。
【0029】
また、フロントカバー3とピストン14との間であってクラッチプレート11の摩擦材13よりも径方向内側には、係合油室17と、タービンランナ5が配置される流体室9との連通を規制するシール部材16oが配置される。これにより、速やかに作動油を充填することができるように係合油室17の容積を適正化してロックアップクラッチ10の応答性(制御性)、特にロックアップクラッチ10をスリップ係合させる際の応答性をより向上させることが可能となる。ただし、図2に示す発進装置1Bのロックアップクラッチ10Bのように、突出部14aと筒状部32の内周面との間のシール部材16oを省略して係合油室17と流体室9とを連通させてもよい。かかるロックアップクラッチ10Bを係合させる際には、係合油室17に供給される油圧P1と、流体室9に供給される油圧P3とを同一にすればよい。
【0030】
更に、発進装置1では、係合油室17、解放油室18および流体室9に、油圧制御装置により調圧された油圧が独立して供給され、ロックアップクラッチ10を係合させる際、係合油室17および流体室9には、解放油室18に供給される油圧P2よりも高く、かつ同一の油圧P1,P3が供給される。これにより、ロックアップクラッチ10を要求に応じて精度よく完全係合またはスリップ係合させることが可能となる。加えて、ロックアップクラッチ10を係合させる際に油圧P1およびP3を同一に設定することで、クラッチプレート11を介してピストン14からプレート部材15に印加される押圧力と流体室9内の油圧P3によりプレート部材15に作用する力とを概ね等しくすることができる。これにより、プレート部材15(特に根元部(溶接部W)付近)に加えられる負荷を小さくして、ロックアップクラッチ10ひいては発進装置1の耐久性をより向上させることができる。ただし、ロックアップクラッチ10を係合させる際、係合油室17に供給される油圧P1と、流体室9に供給されるP3とは、油圧P2よりも高く、かつ互いに異なる圧力に設定されてもよい。
(【0031】以降は省略されています)

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