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公開番号2021068493
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210430
出願番号2018032913
出願日20180227
発明の名称燃料電池
出願人住友電気工業株式会社
代理人特許業務法人河崎・橋本特許事務所
主分類H01M 8/0232 20160101AFI20210402BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】作動時の内部抵抗が低い燃料電池を提供する。
【解決手段】カソード2と、アノード3と、カソード及びアノードの間に介在する固体電解質層4とを含むセル構造体、カソードに酸化剤を供給するための酸化剤流路23、アノードに燃料を供給するための燃料流路53、アノード側セパレータ52、及び、カソード側セパレータ22、を備え、アノード側セパレータと前記アノードの間、または、カソード側セパレータとカソードの間の少なくともいずれか一方に、集電体21,51が設けられ、集電体は線材が編み込まれた金属メッシュであり、線材の少なくとも表層に耐腐食層を備える、燃料電池。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に介在する固体電解質層とを含むセル構造体、
カソードに酸化剤を供給するための酸化剤流路、
アノードに燃料を供給するための燃料流路、
アノード側セパレータ、及び、
カソード側セパレータ、を備え、
前記アノード側セパレータと前記アノードの間、または、前記カソード側セパレータと前記カソードの間の少なくともいずれか一方に、集電体が設けられ、
前記集電体は線材が編み込まれた金属メッシュであり、前記線材の少なくとも表層に耐腐食層を備える、燃料電池。
続きを表示(約 530 文字)【請求項2】
前記耐腐食層がNiおよびSnを含む、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記耐腐食層内において、Niに対するSn濃度が異なる第1相と第2相が共存しており、
前記第1相の前記Sn濃度が、前記第2相の前記Sn濃度よりも高い、請求項2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記集電体が、前記アノード側セパレータと前記アノードの間に設けられている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記固体電解質層が、酸素イオン伝導性を有する、請求項4に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記燃料電池の作動温度が800℃以上である、請求項4または請求項5に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記燃料電池の燃料利用率が75%以上である、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記集電体が、前記カソード側セパレータと前記カソードの間に設けられている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記燃料電池の作動温度が700℃以下である、請求項8に記載の燃料電池。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質層として固体酸化物を含む、燃料電池に関する。
続きを表示(約 6,400 文字)【背景技術】
【0002】
燃料電池は、水素などの燃料ガスと空気(酸素)との電気化学反応によって発電する装置であり、化学エネルギーを電気に直接変換できるため、発電効率が高い。なかでも、作動温度が700℃以上、特には800℃〜1000℃程度である固体酸化物型燃料電池(以下、SOFCと称する)は、反応速度が速いため、有望視されている。SOFCには、固体酸化物を含む電解質層が、セラミックス(焼結体)により形成される2枚の電極で挟まれて一体化されたMEA(Membrane Electrode Assembly、膜−電極接合体)が使用される。すなわち、MEAの構成要素がすべて固体であるため、取り扱いが容易である。
【0003】
固体電解質として、酸素イオン伝導性を有する金属酸化物、例えばイットリウム安定化ジルコニア(YSZ:Yttria-Stabilized Zirconia)が使用されている。酸素イオン伝導性のYSZを電解質として使用するSOFCの作動温度は、750℃〜1000℃の高温である。加熱に必要なエネルギー消費の低減や、耐高温性を有する材料の選択性の観点から、安価な汎用ステンレス鋼を利用できる400℃〜600℃の中温域で作動するSOFCの開発が進められている。BaCe
0.8

0.2

2.9
(BCY)、BaZr
0.8

0.2

2.9
(BZY)などのペロブスカイト酸化物は、中温域で高いプロトン伝導性を示すため、中温型燃料電池の固体電解質として期待されている。
【0004】
通常、大きな電力を得るために、複数のMEAが積層されて配置され、MEA同士の間には、燃料ガスと空気とを分離するインターコネクタ(セパレータ)が配置される。インターコネクタは、発生した電流を外部へ取り出すための集電機能も有する。
【0005】
燃料電池には、MEAに燃料ガスあるいは空気を供給するため、MEAに隣接するガス流路が必要とされる。ガス流路を確保するために、例えば特許文献1では、MEAとインターコネクタとの間にエキスパンドメタルが配置されている。特許文献2は、インターコネクタに、エッチング等によりガス流路となるディンプルを形成する方法を教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2007−250297号公報
国際公開第2003/12903号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
セルに流れる電子は、アノードおよび/またはカソードに接触する金属材料を経由して集電される。このとき、アノードおよび/またはカソードと接触する金属材料が少ないと、電子が流れにくくなって、抵抗が高くなる。特許文献1の方法では、ガス流路の確保のために配置されるエキスパンドメタルが、集電体としての役割も担う。しかし、エキスパンドメタルは孔径が大きいため、抵抗が高くなり易い。
【0008】
そこで、集電性を主な役割とする材料と、ガス拡散性を主な役割とする材料とを、それぞれ別に配置することが考えられる。例えば、セルとインターコネクタとの間に、集電機能を主な役割とする金属材料(集電体)を配置する。
【0009】
上述の通り、700℃〜1000℃の高温で作動するSOFCは、稼動と停止を繰り返すと、室温から1000℃までの広範な温度変化にさらされる。このため、集電体には、高い耐熱衝撃性が必要とされる。また、集電体は、高温環境における耐腐食性に優れた材料が好ましい。特に空気(酸化性ガス)と接触するカソード側の集電体には、高温の高酸化性雰囲気にさらされるため、高い耐腐食性が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面は、カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に介在する固体電解質層とを含むセル構造体、カソードに酸化剤を供給するための酸化剤流路、アノードに燃料を供給するための燃料流路、アノード側セパレータ、及び、カソード側セパレータ、を備えた燃料電池セル、を備え、前記アノード側セパレータと前記アノードの間、または、前記カソード側セパレータと前記カソードの間の少なくともいずれか一方に、集電体が設けられ、前記集電体は線材が編み込まれた金属メッシュであり、前記線材の少なくとも表層に耐腐食層を備える燃料電池に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記一局面によれば、燃料電池の作動時の内部抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の一実施形態に係る燃料電池の構成を模式的に示す断面図である。
図1の燃料電池に含まれるセル構造体を模式的に示す断面図である。
Ni−Sn層を含む耐腐食層の一例のSEM写真である。
燃料電池のアノード側セパレータとカソード側セパレータとの間の電圧の稼働回数増に伴う経時変化を、電圧の減少割合(劣化率)の変化として示すグラフである。
燃料電池のアノード側セパレータとカソード側セパレータとの間の電圧の稼働回数増に伴う経時変化を、電圧の減少割合(劣化率)の変化として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の一実施形態に係る燃料電池は、カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に介在する固体電解質層とを含むセル構造体、カソードに酸化剤を供給するための酸化剤流路、アノードに燃料を供給するための燃料流路、アノード側セパレータ、及び、カソード側セパレータ、を備え、
アノード側セパレータとアノードの間、または、カソード側セパレータと前記カソードの間の少なくともいずれか一方に、集電体が設けられ、
集電体は線材が編み込まれた金属メッシュであり、線材の少なくとも表層に耐腐食層を備えている。
【0014】
本発明の上記実施形態によれば、耐腐食層が線材の少なくとも表層に形成された金属メッシュを集電体として、アノード側セパレータとアノードの間、または、カソード側セパレータとカソードの間に設けたことで、燃料電池の作動時の抵抗が低減される。上記メッシュで構成された集電体は、高い耐熱性と耐熱衝撃性を有しており、熱衝撃後の作動抵抗の増加が抑制される。また、耐腐食層が形成されていることで、メッシュの耐酸化性が向上し、高燃料利用率で稼動時の内部抵抗の上昇が抑制される。
【0015】
(2)耐腐食層は、NiおよびSnを含むことが好ましい。耐熱性を備えた耐腐食層を容易に形成できる。
Snは、メッシュを構成する線材と合金を形成し易く、耐腐食層を形成し易い。なかでも、NiとSnの合金は、高い耐熱性および耐腐食性(耐酸化性)を有している。NiおよびSnを含む耐腐食層は、NiメッシュをSn層またはNiとSnの合金層でめっきすることにより形成してもよい。
【0016】
例えば、Niメッシュの表面を、めっき処理等を用いてSn層またはNiとSnの合金層で被覆した後、還元雰囲気下で熱処理することによって、SnがNi線材の内部に拡散し、線材の表層から一定の深さの領域までを、NiとSnとの合金層(以下において、適宜「Ni−Sn層」と称する)に変化させることができる。Ni−Sn層は、耐腐食層を形成する。
【0017】
(3)好ましくは、耐腐食層内において、Niに対するSn濃度が異なる第1相と第2相が共存しており、第1相のSn濃度が第2相のSn濃度よりも高い。
【0018】
耐腐食層であるNi−Sn層中には、Niに対するSn濃度が高い第1相と、Niに対するSn濃度が第1相よりも低い第2相とが共存していてもよい。第1相では、NiとSnが金属間化合物(例えば、Ni

Sn)の形で存在している。第2相は、Niを主成分とする相であり、SnがNi中に固溶した形で存在していると考えられる。上記第1および第2相のうち、金属間化合物相である第1相が、第2相より高い耐腐食性を有している。したがって、耐腐食層内の第1相と第2相の合計に占める第1相の割合が高いほど、耐腐食層は、耐腐食性に優れる。しかしながら一方で、第1相の割合が高いほど、耐熱性が低下し、電気伝導性が低下する。
【0019】
上記Ni−Sn層内において、NiとSnとの組成比は、耐腐食性を高める観点から、Ni−Sn層に含まれるSnの割合が、NiとSnの全量を100質量%として4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。一方で、高い耐熱性および電気伝導性を維持する観点から、Ni−Sn層に含まれるSnの割合が、Ni−Sn層に含まれるNiとSnの全量を100質量%として15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。このような条件を満たす組成比でNi−Sn層中にSnが含まれるとき、Ni−Sn層は、Ni

Snを主成分とする金属間化合物相(第1相)と、Niを主成分とし、Ni中にSnが固溶した相(第2相)との2相が観察される。第1相と第2相が共存することで、耐腐食性、耐熱性および良好な電気伝導性を確保できる。
【0020】
図3に、Ni−Sn層の断面のSEM写真を示す。図3は本発明と同様にしてNi−Sn層を形成した金属多孔体(セルメット)の断面写真である。しかしながら、Ni−Sn金属メッシュにおいても、少なくとも表層において図3と同様の組成分布を示す。
図3から分かるように、Ni−Sn層は、Location 1として示される部分(第1相)と、Location 2として示される、Location 1よりも黒色の濃い灰色の部分(第2相)の2相が観察される。Location 1では、Ni、Sn、およびO(酸素)が、原子分率でそれぞれ、75at%、18at%、7at%の割合で含まれていた。このことから、Location 1では、NiおよびSnの大半は、金属間化合物Ni

Snの形で存在していると考えられる。一方、Location 2では、Ni、Sn、およびOが、原子分率でそれぞれ、91at%、4at%、5at%の割合で含まれていた。このことから、Location 2では、SnはNiに固溶した状態で含まれていると考えられる。
【0021】
メッシュを構成する線材の全部が、Ni−Sn層であることがより好ましい。
【0022】
また、金属メッシュの表面を、NiおよびSnを含む層で被覆することによっても、Ni−Sn層を線材の少なくとも表層に形成することができる。この場合、金属メッシュを構成する線材はNiに限られない。
【0023】
(4)(1)において、集電体は、アノード側セパレータとアノードの間に設けられることができる。以下において、アノード側セパレータとアノードの間に設けられた集電体を、適宜「アノード側集電体」と称する。
アノードでは、水素などの燃料を酸化して、プロトンと電子とを放出する反応が進行する。アノードおよびアノード側集電体周辺の雰囲気は、水素ガスが含まれていることから、基本的に還元性の雰囲気である。しかしながら、高温で、且つ高い燃料利用率で稼動させる場合には、アノード側で水(水蒸気)の量が多くなり、アノード側集電体の周辺の雰囲気が酸化性に傾く。
【0024】
アノード側集電体として、例えば多孔質のニッケル焼結体や、ニッケルのみからなる金属メッシュを用いる場合には、高温且つ高い燃料利用率での稼動において、ニッケルが酸化され易く、これに伴って内部抵抗が上昇し易い。しかしながら、上記実施形態によれば、金属メッシュの線材の少なくとも表層に耐腐食層を形成したことから、耐酸化性が向上しており、高温且つ高い燃料利用率での稼動においても金属メッシュが酸化され難く、内部抵抗の上昇を抑制できる。
【0025】
(5)(4)において、固体電解質層が、酸素イオン伝導性を有してもよい。この場合、アノード側において、プロトンと酸化物イオンが反応して水が生成する。したがって、アノード側集電体の周辺の雰囲気が酸化性雰囲気となり易い。この場合においても、上記実施形態によれば、金属メッシュの線材の少なくとも表層に耐腐食層を形成したことから、金属メッシュが酸化され難く、内部抵抗の上昇を抑制できる。
【0026】
(6)(4)において、燃料電池の作動温度が800℃以上であってもよい。このような高温では、アノード側集電体の周辺の雰囲気が高い酸化性雰囲気となり易いが、金属メッシュの線材の少なくとも表層に耐腐食層を形成したことから、金属メッシュが酸化され難く、内部抵抗の上昇を抑制できる。
【0027】
(7)(4)において、燃料利用率が75%以上であってもよい。このような高い燃料利用率では、アノード側集電体の周辺の雰囲気が高い酸化性雰囲気となり易いが、金属メッシュの線材の少なくとも表層に耐腐食層を形成したことから、金属メッシュが酸化され難く、内部抵抗の上昇を抑制できる。
【0028】
なお、燃料利用率とは、燃料流路を介して燃料電池に供給した燃料量のうち、実際に電池反応に使用された燃料量の割合を指す。燃料利用率は、燃料電池により流れた電流量、および、燃料流路を介して供給された燃料ガスの流量に基づいて算出できる。
【0029】
(8)(1)において、集電体は、カソード側セパレータとカソードの間に設けられることができる。以下において、カソード側セパレータとカソードの間に設けられた集電体を、適宜「カソード側集電体」と称する。カソードでは、酸化剤流路から導入された酸化剤(酸素)が解離し、酸化物イオンが生成される。このため、カソードおよびカソード側集電体の周辺は、高温であり、且つ高酸化性の雰囲気にさらされている。
【0030】
耐酸化性のカソード側集電体として、例えばカソード材料としても用いられるランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)のペーストが用いられている。しかしながら、この場合、高温での稼動と稼動停止を繰り返すことで、LSCFが熱衝撃により割れ、酸化物ペーストが脱落し易く、これに伴って内部抵抗が上昇し易い。これに対し、上記実施形態によれば、金属メッシュは高い耐熱性および耐熱衝撃性を有し、且つ、金属メッシュの線材の少なくとも表層に耐腐食層を形成したことにより耐酸化性を備えている。このため、金属メッシュをカソード側集電体に用いることで、燃料電池作動時の内部抵抗の上昇を抑制できる。
(【0031】以降は省略されています)

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