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公開番号2021057576
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210408
出願番号2020125904
出願日20200723
発明の名称変圧器
出願人日立金属株式会社
代理人
主分類H01F 27/25 20060101AFI20210312BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】無負荷損の低減された変圧器を提供する。
【解決手段】Fe基アモルファス合金薄帯の少なくとも一方面に、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向に沿って設けられた点列状レーザ照射痕を複数有し、点列状レーザ照射痕間のライン間隔をd1(mm)とし、点列状レーザ照射痕のスポット間隔をd2(mm)とし、スポット間隔が0.10mm〜0.50mmであり、レーザ照射痕の数密度D(D=(1/d1)×(1/d2))が0.05個/mm2〜0.50個/mm2であり、その単板での周波数50Hz、周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.150W/kg以下であるFe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心と、鉄心に巻かれた巻線とを備える変圧器。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
Fe基アモルファス合金薄帯の少なくとも一方面に、前記Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向に沿って設けられた点列状レーザ照射痕を複数有し、
複数の前記点列状レーザ照射痕のうち、互いに隣り合う点列状レーザ照射痕間の、前記鋳造方向に直交する幅方向の中央部における中心線間隔をライン間隔とし、前記点列状レーザ照射痕を構成する個々のレーザ照射痕の中心点間隔をスポット間隔とした場合に、前記スポット間隔が、0.10mm〜0.50mmであり、前記ライン間隔をd1(mm)とし、前記スポット間隔をd2(mm)とし、前記レーザ照射痕の数密度DをD=(1/d1)×(1/d2)としたとき、前記レーザ照射痕の数密度Dが、0.05個/mm

〜0.50個/mm

であり、
前記Fe基アモルファス合金薄帯の単板での周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.150W/kg以下であるFe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心と、前記鉄心に巻かれた巻線とを備える変圧器。
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
前記変圧器は単相変圧器であって、前記鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.15W/kg以下、または60Hzにおいて0.19W/kg以下である、請求項1に記載の変圧器。
【請求項3】
前記変圧器は3相変圧器であって、前記鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.19W/kg以下、または60Hzにおいて0.24W/kg以下である、請求項1に記載の変圧器。
【請求項4】
前記変圧器の定格容量が10kVA以上である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項5】
前記ライン間隔d1が10mm〜60mmである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項6】
前記Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向の長さ全体に占める、前記点列状レーザ照射痕の幅方向の長さの割合が、幅方向の中心から幅方向両端に向かう方向にそれぞれ10%〜50%の範囲内である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項7】
前記Fe基アモルファス合金薄帯の厚さが18μm〜35μmである、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項8】
前記Fe基アモルファス薄帯は、Fe、Si、B、及び不純物からなり、Fe、Si、及びBの合計含有量を100原子%とした場合に、Feの含有量が78原子%以上であり、Bの含有量が10原子%以上であり、B及びSiの合計含有量が17原子%〜22原子%である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項9】
前記Fe基アモルファス合金薄帯は、自由凝固面及びロール面を有し、前記点列状レーザ照射痕部分を除く前記自由凝固面における最大断面高さRtが、3.0μm以下である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項10】
前記点列状レーザ照射痕は、前記Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向を8等分した8個の領域から両端の2個の領域を除く、前記幅方向の中央の6個の領域内に少なくとも形成されている、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の変圧器。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、Fe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心と、前記鉄心に巻かれた巻線とを備える変圧器に関する。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
変圧器は、小型から大型のものまで、多種多様な構成を有し、生活環境のあらゆる場面で使用されている。そして、その使用量の多さから、電力損失の大きな一因ともなっており、常に変圧器での損失を抑制する要求が存在する。このため、世界各国では、その損失を抑制するための規格を定めている。その代表的なものとしては、日本のトップランナー規格JIS C 4304: 2013およびJIS C 4306: 2013、米国のDOE規格US Department of Energy 10 CFR Part 431.196、EU規格Commotions Regulation(EU) No.548/2014、中国国家規格GB 20052-2013、インド規格IS 1180 (Part 1):2018などがあり、いずれも定期的な改定作業の都度、許容される損失、あるいはエネルギー効率が厳格化されている。このため、これらの規格に対応する形で、より損失が少ない高効率変圧器が普及している。
【0003】
変圧器は、鉄心と巻線とを主な構成要素として構成され、鉄心には、一般的に方向性電磁鋼板が多く用いられている。しかし、方向性電磁鋼板よりも低損失な材料として、Fe基アモルファス合金薄帯も存在し、このFe基アモルファス合金薄帯を用いた鉄心も使用されている。
変圧器の損失は、大きく分けると、鉄心で発生しその負荷電流に関わらず常に一定量発生する無負荷損(鉄損)と、巻線で発生しその負荷電流の2乗に比例して発生する負荷損(銅損)とが存在する。それぞれ損失を低減する検討が繰り返し行われ、損失の改善はみられるものの、更なる損失の低減が求められている。
【0004】
変圧器の無負荷損を低減するため、いくつかの方法が提案されている。
特開2017−54896号公報では、無負荷損を低減した効率の良い鉄心を得るため、内周側の接合構造をオーバーラップ接合とし、外周側の接合構造をステップラップ接合とし、内周側に配置されたオーバーラップ構造の鉄心の割合を32〜62%としたアモルファス材料を用いた巻鉄心を採用する。
特開2008−71982号公報では、アモルファス合金薄帯を複数層に環状に成形した鉄心と励磁用の巻線を備えて成る変圧器であって、該鉄心を形成するアモルファス合金薄帯の表面に絶縁性の薄膜が形成されていて、このアモルファス合金薄帯表面に絶縁性の薄膜を形成することで、渦電流損の増加を抑制し、変圧器の無負荷損を低減することができる。
特開2005−72160号公報では、三相五脚巻鉄心変圧器において、巻鉄心の磁性材料にアモルファス合金薄帯と電磁鋼板を同時に用いた構造とする。具体的には、三相五脚巻鉄心変圧器において、外側の一つの巻線とのみ鎖交する巻鉄心を電磁鋼板とし、二つの巻線と鎖交する中央の巻鉄心をアモルファス合金薄帯とする構造である。これにより、巻線を押さえる補強材を不要とし、構造をコンパクトにすることで、組立作業の工数や材料費を低減し、また磁性材料が電磁鋼板のみの場合よりも無負荷損を低減するアモルファス合金薄帯巻鉄心及び三相五脚巻鉄心変圧器を提供する。
【0005】
また、鉄心の材料として用いられるFe基アモルファス合金薄帯においても、損失の低減のための取り組みが行われている。
例えば、Fe基アモルファス合金薄帯の異常渦電流損失を低減する方法として、Fe基アモルファス合金薄帯の表面を機械的にスクラッチする方法、Fe基アモルファス合金薄帯の表面にレーザ光を照射することにより局部的に溶解・急冷凝固させて磁区を細分化するレーザスクライビング法等が知られている。
レーザスクライビング法として、例えば特公平3−32886号公報には、パルスレーザをアモルファス合金薄帯の幅方向に照射することにより、アモルファス合金薄帯の表面を局部的かつ瞬間的に溶解し、次いで急冷凝固させてアモルファス化させたスポットを点列状に形成することにより磁区を細分化する方法が開示されている。
特開昭61−258404号公報には、薄帯の表面温度が300℃以上にある間にレーザ光を薄帯の幅方向に掃引しながら照射することが開示されている。
【0006】
特公平2−53935号公報には、薄帯を局部的に加熱することにより、この薄帯の長手方向に、2〜100mmの間隔で、しかも該薄帯幅方向となす角度θが30゜以下で列状に並ぶ条状の結晶化領域を形成すると同時に、前記各領域の板厚方向の平均深さdと薄帯の厚さDとの比d/Dが0.1以上となるようにすると共に、それらの領域が占める薄帯中での割合が8体積%以下となるようにすることが開示されている。
特開昭61−29103号公報には、従来材の板厚(20〜30μm)より大きな板厚(40〜80μm)の非晶質合金の性能を十分に引き出すために、ビーム径が0.5mmφ以下に絞ったパルスレーザ光を照射することが開示されている。具体的には、板幅50mm、板厚65μmの非晶質薄帯に、周波数400Hz、ビーム径0.2mmφ、出力5W、ビーム掃引速度10cm/see、点列の間隔5mmの条件でYAGレーザを照射することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2017−54896号公報
特開2008−71982号公報
特開2005−72160号公報
特公平3−32886号公報
特開昭61−258404号公報
特公平2−53935号公報
特開昭61−29103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したとおり、変圧器の損失は、鉄心で発生する無負荷損と、巻線で発生する負荷損とが主な損失を構成している。変圧器の無負荷損を低減するため、鉄損の小さいFe基アモルファス合金薄帯を用いることが考えられる。特に、配電用変圧器の場合、高木、山本、山地:「柱上変圧器負荷パターン作成モデルを用いたアモルファス変圧器の評価」P885〜892、電学論B、128巻6号、2008年、あるいはFinal Report, LOT 2: Distribution and power transformers Tasks 1-7 2010/ETE/R/106, January 2011に記載されるように、その年間を通じての負荷率の実効値に相当する平均等価負荷率は15%程度と低いことが知られており、無負荷損の小さなFe基アモルファス合金薄帯を用いた変圧器が省エネルギーとCO

排出量削減の観点から極めて有効である。
【0009】
変圧器の鉄心用のFe基アモルファス合金薄帯としては、JIS C2534:2017(対応IEC規格IEC60404−8−11)の表1と表2に記載されるように普通材と高磁束密度材の2種類に大別され、その鉄損の最大値と占積率の最小値を基準として、各々、16種類存在する。最も鉄損の小さなもので、その周波数50Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損の最大値は0.08W/kg、その周波数60Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損の最大値は0.11W/kgとなっている。しかし、より高効率の変圧器を得るためには、これよりも小さな鉄損のFe基アモルファス合金薄帯を鉄心に使用する必要がある。
【0010】
アモルファス合金薄帯の低鉄損化のため、前述したレーザスクライビング法が試みられているが、その鉄損は上記JIS C2534:2017の表1と表2に記載される最低鉄損値に達していない(例えば、特公平3−32886号公報、特開昭61−258404号公報、特公平2−53935号公報、特開昭61−29103号公報の各々における実施例参照)。
【0011】
また、レーザ照射によりアモルファス合金薄帯の表面形態が大きく変形することがある。変形が大きい場合、アモルファス合金薄帯を巻いたり、積層したりして鉄心を構成した場合のアモルファス合金薄帯の占積率が低くなる。このようなアモルファス合金薄帯の表面形態の大きな変形は、鉄心特性においては好ましい形態ではない。また、薄帯を局部的に加熱することにより、結晶化領域を形成すると、結晶化により、所望の特性が得られない。
【0012】
本開示は、前記JIS C2534:2017の表1と表2に記載される最低鉄損値よりも小さな鉄損値を示すFe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心を備えた変圧器であって、その無負荷損の低減された変圧器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> Fe基アモルファス合金薄帯の少なくとも一方面に、前記Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向に沿って設けられた点列状レーザ照射痕を複数有し、
複数の前記点列状レーザ照射痕のうち、互いに隣り合う点列状レーザ照射痕間の、前記鋳造方向に直交する幅方向の中央部における中心線間隔をライン間隔とし、前記点列状レーザ照射痕を構成する個々のレーザ照射痕の中心点間隔をスポット間隔とした場合に、前記スポット間隔が、0.10mm〜0.50mmであり、前記ライン間隔をd1(mm)とし、前記スポット間隔をd2(mm)とし、前記レーザ照射痕の数密度DをD=(1/d1)×(1/d2)としたとき、前記レーザ照射痕の数密度Dが、0.05個/mm

〜0.50個/mm

であり、前記Fe基アモルファス合金薄帯の単板での周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.150W/kg以下であるFe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心と、前記鉄心に巻かれた巻線とを備える変圧器。
<2> 前記変圧器は単相変圧器であって、前記鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.15W/kg以下、または60Hzにおいて0.19W/kg以下である、<1>に記載の変圧器。
<3> 前記変圧器は3相変圧器であって、前記鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.19W/kg以下、または60Hzにおいて0.24W/kg以下である、<1>に記載の変圧器。
<4> 前記変圧器の定格容量が10kVA以上である、<1>〜<3>のいずれかに記載の変圧器。
<5> 前記ライン間隔d1が10mm〜60mmである、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の変圧器。
<6> 前記Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向の長さ全体に占める、前記点列状レーザ照射痕の幅方向の長さの割合が、幅方向の中心から幅方向両端に向かう方向にそれぞれ10%〜50%の範囲内である<1>〜<5>のいずれかに記載の変圧器。
<7> 前記Fe基アモルファス合金薄帯の厚さが18μm〜35μmである、<1>〜<6>のいずれかに記載の変圧器。
<8> 前記Fe基アモルファス薄帯は、Fe、Si、B、及び不純物からなり、Fe、Si、及びBの合計含有量を100原子%とした場合に、Feの含有量が78原子%以上であり、Bの含有量が10原子%以上であり、B及びSiの合計含有量が17原子%〜22原子%である<1>〜<7>のいずれかに記載の変圧器。
<9> 前記Fe基アモルファス合金薄帯は、自由凝固面及びロール面を有し、前記点列状レーザ照射痕部分を除く前記自由凝固面における最大断面高さRtが、3.0μm以下である<1>〜<8>のいずれかに記載の変圧器。
<10> 前記点列状レーザ照射痕は、前記Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向を8等分した8個の領域から両端の2個の領域を除く、前記幅方向の中央の6個の領域内に少なくとも形成されている、<1>〜<9>のいずれかに記載の変圧器。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様によれば、無負荷損が低減された変圧器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本実施形態の変圧器の一例を示す概略図である。
本実施形態の変圧器の別の例を示す概略図である。
本実施形態の変圧器の更に別の例を示す概略図である。
本実施形態のFe基アモルファス合金薄帯の一例を示す模式図である。
スポット間隔を変えた場合の磁束密度と鉄損との関係を示すグラフである。
スポット間隔を変えた場合の磁束密度と励磁電力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本明細書において段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、Fe基アモルファス合金薄帯とは、Fe基アモルファス合金からなる薄帯を指す。
本明細書において、Fe基アモルファス合金とは、Fe(鉄)を主成分とするアモルファス合金を指す。ここで、主成分とは、含有比率(質量%)が最も高い成分を指す。
以下、本開示に関する実施形態について記載する。なお、本開示は、以下に記載の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0017】
本開示に関する実施形態の変圧器は、
Fe基アモルファス合金薄帯の少なくとも一方面に、前記Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向に沿って設けられた点列状レーザ照射痕を複数有し、複数の前記点列状レーザ照射痕のうち、互いに隣り合う点列状レーザ照射痕間の、前記鋳造方向に直交する幅方向の中央部における中心線間隔をライン間隔とし、前記点列状レーザ照射痕を構成する個々のレーザ照射痕の中心点間隔をスポット間隔とした場合に、前記スポット間隔が、0.10mm〜0.50mmであり、前記ライン間隔をd1(mm)とし、前記スポット間隔をd2(mm)とし、前記レーザ照射痕の数密度DをD=(1/d1)×(1/d2)としたとき、前記レーザ照射痕の数密度Dが、0.05個/mm

〜0.50個/mm

であり、
前記Fe基アモルファス合金薄帯の単板での周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.150W/kg以下であるFe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心と、前記鉄心に巻かれた巻線とを備える変圧器である。
【0018】
また、上記Fe基アモルファス合金薄帯は、単板での周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損も低減されている。上記Fe基アモルファス合金薄帯は、単板での周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.120W/kg以下であることが好ましい。
上記Fe基アモルファス合金薄帯は、周波数50Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損が0.08W/kg以下、または周波数60Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損が0.11W/kg以下であることが好ましい。
【0019】
また、本実施形態における鉄心は、複数枚のFe基アモルファス合金薄帯を曲げてオーバーラップ巻きされた周回状の鉄心を用いることが好ましい。また、この周回状の鉄心を複数個組み合わせて用いることが好ましい。また、この鉄心としては、複数枚のFe基アモルファス合金薄帯を積み重ねて構成した積み鉄心を用いてもよいし、Fe基アモルファス合金薄帯を巻き回して構成した巻鉄心を用いてもよい。
また、本実施形態の変圧器は、単相変圧器または3相変圧器であることが好ましく、その変圧器の定格容量が10kVA以上であることが好ましい。
また、単相変圧器の場合、鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.15W/kg以下、または60Hzにおいて0.19W/kg以下であることが好ましい。
また、3相変圧器の場合、鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.19W/kg以下、または60Hzにおいて0.24W/kg以下であることが好ましい。
【0020】
実施例1
本実施形態の変圧器の鉄心と巻線の構成の1例を図1に示す。図1に示す変圧器は、積層された複数枚のFe基アモルファス合金薄帯を曲げてオーバーラップ巻きされた周回状の鉄心1と、前記鉄心に巻き回された巻線2とを備える。なお、鉄心をオーバーラップする前の、鉄心が開いた状態で、鉄心に巻線2が組み込まれる。この第1の実施形態の鉄心1は、1つの周回状の鉄心(単相2脚巻鉄心)から構成されている。この実施形態の鉄心1を用いたJIS C 4304:2013に準拠した本発明による単相50Hz、定格容量10kVAの油入り変圧器(以下、実施例1)の主な特性と重量を従来例1との比較で表1に示す。ここで、実施例1に使用したFe基アモルファス合金薄帯は上記特性を有することから、JIS C 2534:2017の「5アモルファス帯の種類の記号」の定義に従い、鉄心材料を25AMP06−88と表記した。従来例1で使用したFe基アモルファス合金薄帯は25AMP08−88である。なお、以下の実施例1から実施例8の特性は、シミュレーションによる解析で得られた数値である。
【0021】
実施例1に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、厚さ25μm、幅142.2mmであり、自由凝固面に点列状レーザ照射痕が形成されており、点列状レーザ照射痕のライン間隔が20mmであり、スポット間隔が0.20mmであり、レーザ照射痕の数密度Dが0.25個/mm

であり、周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.083W/kg、周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.105W/kgである。
また、従来例1に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、厚さ25μm、幅142.2mmであり、レーザ照射痕が形成されていなく、周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.130W/kg、周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.167W/kgである。
この実施例1および従来例1において、周回状の鉄心1は、積層数が1875枚であり、その重量は表1に示す。
この変圧器の一次巻線は、直径0.9mmの銅線を用い、3143ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の3.2mm×6.0mmの平角線を用い、一つ100ターンの巻線を並列接続とした。
【0022】
【0023】
表1から、実施例1では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.149W/kgとなり、従来例1の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.197W/kgに比べ約25%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例1が0.73の比(表1の「エネルギー消費効率比」に記載。以下、同様。)であるのに対し、実施例1では0.70に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO

排出量も約15%改善されることが分かる。このことは、表1に記載の「負荷率15%とした場合の年間CO

排出量比」が0.85となっていることから分かる(以下、同様)。
【0024】
実施例2
図1に示す本実施形態の鉄心と巻線の構成の変圧器の第2の実施例として、JIS C 4304:2013に準拠した本発明による単相60Hz、定格容量10kVAの油入り変圧器(以下、実施例2)の主な特性と重量を従来例2との比較で表2に示す。
実施例2に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、実施例1と同一であり、従来例2に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、従来例1と同一である。
この実施例2および従来例2において、周回状の鉄心1は、積層数が1785枚であり、その重量は表2に示す。
この変圧器の一次巻線は、直径0.9mmの銅線を用い、2776ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の2.6mm×6.0mmの平角線を用い、一つ88ターンの巻線を並列接続とした。
【0025】
【0026】
表2から、実施例2では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.189W/kgとなり、従来例2の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.259W/kgに比べ約27%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例2が0.72の比であるのに対し、実施例2では0.68に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO

排出量も約18%改善されることが分かる。
【0027】
実施例3
図1に示す本実施形態の鉄心と巻線の構成の変圧器の第3の実施例として、JIS C 4304:2013に準拠した本発明による単相50Hz、定格容量30kVAの油入り変圧器(以下、実施例3)の主な特性と重量を従来例3との比較で表3に示す。
実施例3に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、厚さ25μm、幅213.4mmであり、自由凝固面に点列状レーザ照射痕が形成されており、点列状レーザ照射痕のライン間隔が20mmであり、スポット間隔が、0.20mmであり、レーザ照射痕の数密度Dが、0.25個/mm

であり、周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.085W/kg、周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.108W/kgである。
また、従来例3に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、厚さ25μm、幅213.4mmであり、レーザ照射痕が形成されていなく、周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.132W/kg、周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.168W/kgである。
この実施例3および従来例3において、周回状の鉄心1は、積層数が3015枚であり、その重量は表3に示す。
この変圧器の一次巻線は、直径1.4mmの銅線を用い、1509ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の3.2mm×15mmの平角線を用い、一つ44ターンの巻線を並列接続とした。
【0028】
【0029】
表3から、実施例3では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.138W/kgとなり、従来例3の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.197W/kgに比べ約30%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例3が0.72の比であるのに対し、実施例3では0.68に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO

排出量も約18%改善されることが分かる。また、前記実施例1の鉄心の重量当たりの無負荷損が0.149W/kgだったのに対し、実施例3では0.138W/kgと0.011W/kg改善されている。この理由は、鉄心の大型化により鉄心の磁路長に対する曲線部の長さの比が小となり、鉄心曲線部の残留応力による無負荷損加が抑制されたためである。
【0030】
実施例4
図1に示す本実施形態の鉄心と巻線の構成の変圧器の第4の実施例として、JIS C 4304:2013に準拠した本発明による単相60Hz、定格容量30kVAの油入り変圧器(以下、実施例4)の主な特性と重量を従来例4との比較で表4に示す。
実施例4に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、実施例3と同一であり、従来例4に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、従来例3と同一である。
この実施例4および従来例4において、周回状の鉄心1は、積層数が2715枚であり、その重量は表4に示す。
この変圧器の一次巻線は、直径1.3mmの銅線を用い、1509ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の4.0mm×13mmの平角線を用い、一つ44ターンの巻線を並列接続とした。
(【0031】以降は省略されています)

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