TOP特許意匠商標
特許ウォッチ DM通知 Twitter
公開番号2021055735
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210408
出願番号2019178621
出願日20190930
発明の名称嵌合構造
出願人株式会社神戸製鋼所
代理人特許業務法人梶・須原特許事務所
主分類F16B 7/20 20060101AFI20210312BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】段付部曲面の応力集中部の影響と、軸部材と筒状部材との接触端部(応力集中部)の影響とが重畳することを防止できるとともに、軸部材と筒状部材との接触面圧を低減することができる軸部材と筒状部材との嵌合構造を提供すること。
【解決手段】筒状部材2の軸方向の端面2bであって、筒状部材2の内側に、当該軸方向に凹んだ溝6が全周にわたって形成される。筒状部材2は、軸部材1の軸本体部3が挿通される挿通孔2aの一部を内周面7aが構成し、外周面7bが溝6の内壁面の一部を構成する筒状の嵌合壁部7を有する。軸本体部3の直径をd(mm)、嵌合壁部7の先端と曲面部5の軸本体部側の末端P2との間の軸方向の距離をLa(mm)としたとき、La>0.414dを満たす。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
軸本体部よりも大径の大径部を有する軸部材と、前記軸本体部が挿通される挿通孔を有する筒状部材との嵌合構造であって、
前記軸本体部と前記大径部との段付部の外周面は全周にわたって曲面部とされており、
前記筒状部材の軸方向の端面であって、当該筒状部材の内側に、当該軸方向に凹んだ溝が全周にわたって形成されており、
前記筒状部材は、内周面が前記挿通孔の一部を構成し、外周面が前記溝の内壁面の一部を構成する筒状の嵌合壁部を有し、
前記軸本体部の直径をd(mm)、前記嵌合壁部の先端と前記曲面部の前記軸本体部側の末端との間の前記軸方向の距離をLa(mm)としたとき、La>0.414dを満たす、嵌合構造。
続きを表示(約 420 文字)【請求項2】
請求項1に記載の嵌合構造において、
前記筒状部材の最大外径と前記挿通孔の孔径との差の1/2をt
A
(mm)、前記嵌合壁部の先端の厚みをt
B
(mm)、前記嵌合壁部の前記軸方向の長さをL
gr
(mm)としたとき、t
B
<t
A
/4、およびL
gr
>2t
B
を満たす、嵌合構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の嵌合構造において、
前記筒状部材の軸方向の前記端面における前記溝の直径が、前記大径部の直径よりも小さくされている、嵌合構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の嵌合構造において、
前記嵌合壁部の前記外周面が、前記嵌合壁部の前記先端から前記軸方向に沿って遠ざかるほど径が大きくなるテーパ形状とされている、嵌合構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部材と筒状部材との嵌合構造に関する。
続きを表示(約 5,300 文字)【背景技術】
【0002】
特許文献1の第1図、第2図に示されているように、一般に、軸部材の段付部にはR加工が施される。また、軸部材に嵌合されるリング部材の孔の角部は面取りされる。R加工部の末端は応力が集中する応力集中部であり、軸部材とリング部材との接触端部(嵌合端部)は、フレッティング疲労が発生し易い応力集中部である。
【0003】
特許文献1に記載の発明では、推力軸受カラーにおける45度の角度の面取り部分の軸方向高さが、段付部曲部(R加工部)の曲率半径よりも大きくされることで、R加工部の応力集中部と、上記接触端部(応力集中部)とが離されている。この構成により、車軸折損の危険性を軽減することができるとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特公昭53−12010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明には次のような問題がある。特許文献1に記載の発明では、R加工部の応力集中部、および軸部材とリング部材との接触端部(応力集中部)という双方の応力集中部の影響が互いに干渉しなくなるまで、双方の応力集中部を離すことができているとは言えない。さらには、上記接触端部の位置におけるリング部材の厚みが大きいため、軸部材とリング部材との接触面圧が変わらず、フレッティング疲労が起きやすいままである。
【0006】
本発明の目的は、段付部曲面の応力集中部の影響と、軸部材と筒状部材との接触端部(応力集中部)の影響とが重畳することを防止できるとともに、軸部材と筒状部材との接触面圧を低減することができる軸部材と筒状部材との嵌合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る嵌合構造は、軸本体部よりも大径の大径部を有する軸部材と、前記軸本体部が挿通される挿通孔を有する筒状部材との嵌合構造であって、前記軸本体部と前記大径部との段付部の外周面は全周にわたって曲面部とされており、前記筒状部材の軸方向の端面であって、当該筒状部材の内側に、当該軸方向に凹んだ溝が全周にわたって形成されている。前記筒状部材は、内周面が前記挿通孔の一部を構成し、外周面が前記溝の内壁面の一部を構成する筒状の嵌合壁部を有する。前記軸本体部の直径をd(mm)、前記嵌合壁部の先端と前記曲面部の前記軸本体部側の末端との間の前記軸方向の距離をLa(mm)としたとき、La>0.414dを満たす。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、段付部曲面の応力集中部の影響と、軸部材と筒状部材との接触端部(応力集中部)の影響とが重畳することを防止できるとともに、軸部材と筒状部材との接触面圧を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の一実施形態に係る軸部材と筒状部材との嵌合構造を示す断面図である。
軸部材および筒状部材の各部寸法を変化させて、両部材の嵌め合い計算(数値解析)を行った結果を示すグラフである。
上記嵌め合い計算の結果を整理した一グラフである。
軸部材に対してその軸方向に引張力を負荷した場合の軸部材の表面の応力分布の一例を示すグラフである。
軸部材の各部寸法を変化させて、軸部材に対してその軸方向に引張力を負荷した場合の計算結果(数値解析結果)を整理した一グラフである。
軸部材と2種類の厚みを有する筒状部材との接触面圧を数値解析によって求めた結果と、理論式による接触面圧の計算結果とを対比させて示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しつつ説明する。
【0011】
図1に実施形態の一例を示すように、本発明は、軸本体部3よりも大径の大径部4を有する軸部材1と、軸本体部3が挿通される挿通孔2aを有する筒状部材2との嵌合構造である。軸部材1は、例えば曲げ駆動や回転駆動されるものであり、筒状部材2は、例えばリング形状のカラーである。なお、筒状部材2は、例えば車体の車輪や車軸などにつける軸受カラーであってもよい。さらには、本発明の軸部材と筒状部材との勘合構造は、車体の車輪や車軸への適用に限定されるものではなく、その他の様々な軸体、例えば産業機械のロータ軸などにも適用することが可能である。
【0012】
軸部材1のうち、軸本体部3と、軸本体部3よりも大径の大径部4との間であって、径が変化する部位には、段付部がある。図1に示すように、軸部材1を構成する軸本体部3と大径部4との段付部の外周面は全周にわたって曲面部5とされている。曲面部5は、例えば曲率:1/RのR加工が施されたR加工部である。なお、曲面部5は、滑らかな凹の曲面部であればよい。また、筒状部材2の軸方向の端面2bと、軸部材1の大径部4の軸方向の端面4aとは、図1に示すように、各々の一部の面において、互いに当接する。また、筒状部材2の軸方向の端面2bであって、筒状部材2の内側(筒状部材2の軸方向の端面2bと、軸部材1の大径部4の軸方向の端面4aとが当接する部位よりも、軸部材1および筒状部材2の軸の中心に近い、内側)には、当該軸方向に凹んだ溝6が筒状部材2の全周にわたって形成されている。なお、この溝6は、筒状部材2の軸方向の端面2bであって、軸部材1の曲面部5に対向する部分の端面2bに形成されているとも言える。筒状部材2は、内周面7aが上記挿通孔2aの一部を構成し、外周面7bが溝6の内壁面の一部を構成する筒状の嵌合壁部7を有する。
【0013】
本実施形態では、軸部材1と筒状部材2とは、軸部材1の軸本体部3において焼嵌めにより嵌合される。但し、嵌合方法は特に限定されず、冷やし嵌め、圧入などの嵌合方法で軸部材1と筒状部材2とが嵌合されてもよい。
【0014】
ここで、本実施形態の嵌合構造では、軸部材1と筒状部材2との曲面部5側における接触端部P1(嵌合端部)の位置での筒状部材2の厚みt
B
は、上記溝6の存在により薄くなっている。そのため、フレッティング疲労の原因となる嵌合端部における接触面圧を低減することができ、その結果、フレッティング疲労の発生が抑制される。なお、上記厚みt
B
は、嵌合壁部7の先端の厚みでもある。
【0015】
本件発明者らは、軸部材1と筒状部材2との上記接触端部P1(応力集中部)の影響と、段付部曲面である上記曲面部5の末端P2(応力集中部)の影響とが重畳することを防止するには、軸部材1の軸本体部3の直径をd(mm)、嵌合壁部7の先端(接触端部P1)と曲面部5の軸本体部3側の末端P2との間の軸方向の距離をLa(mm)としたときに、La>0.414dを満たせばよいことを究明した。以下、説明する。
【0016】
まず、軸部材1と筒状部材2との接触端部P1(応力集中部)の影響を無視できる程度に緩和することができる距離Lb(mm)は、次の通りである。なお、距離Lbは、図2中に示すように、嵌合壁部7の先端(接触端部P1)から曲面部5の上記末端P2側への軸方向の距離のことである。
【0017】
図2は、軸部材1および筒状部材2の各部寸法を変化させて、両部材の嵌め合い計算(数値解析)を行った結果を示すグラフである。変化させた上記各部寸法は、嵌合壁部7の先端の厚みt
B
、軸本体部3の直径d、および軸本体部3と筒状部材2との焼き嵌め代δである。
【0018】
図2に示すグラフの横軸は、軸本体部3(筒状部材2)の長手方向(軸方向)の位置であり、縦軸は、径方向の応力である。グラフの横軸の原点0は、軸部材1と筒状部材2との接触端部P1である。
【0019】
図2からわかるように、接触端部P1に応力特異場があり、接触端部P1からその図2の右方へ離れるほど応力は低減する。各条件(A1〜C3)における応力の最大値σmaxが1/10に低減する距離を、上記距離Lbとし算出した。算出した距離Lbは、上記厚みt
B
、焼き嵌め代δに関係なく、図3に示すように、軸本体部3の直径dと一対一の関係にあり、且つこの直径dにのみ比例することがわかった。縦軸に距離Lb(mm)、横軸に直径d(mm)をとったとき、直線の傾きは、0.414であり、この直線は、ほぼ原点を通る直線であった。
【0020】
したがって、La>0.414dを満たせば、曲面部5の末端P2(応力集中部)への、接触端部P1(応力集中部)の影響を無視できる程度に緩和することができる。
【0021】
次に、曲面部5の末端P2(応力集中部)の影響を無視できる程度に緩和することができる距離Lc(mm)は、次の通りである。なお、距離Lcは、図4中に示すように、曲面部5の末端P2から嵌合壁部7の先端(接触端部P1)側への軸方向の距離のことである。
【0022】
図4は、軸部材1に対してその軸方向に引張力を負荷した場合の軸部材1の表面の応力分布の一例を示すグラフである。
【0023】
図4に示すグラフの横軸は、軸部材1の長手方向(軸方向)の位置であり、縦軸は、軸部材1の表面の応力である。グラフの横軸の原点0は、曲面部5の末端P2である。図4中に示すσrは、径方向の応力であり、σxは、長手方向の応力であり、τrxは、せん断応力であり、σθは、周方向の応力である。
【0024】
軸部材1の各部寸法を変化させて、軸部材1に対してその軸方向に引張力を負荷した場合の軸部材1の表面の応力(σr、σx、τrx、σθ)の分布を計算(数値解析)した。変化させた上記各部寸法は、軸本体部3の直径d、曲面部5の曲率(1/R)、および大径部4の直径Dである。
【0025】
曲面部5の表面の応力の最大値をσmax、平滑部(軸本体部3の表面)の応力をσ0としたとき、Δσ=σmax−σ0が、σmaxの1/10となる距離を、上記距離Lcとし算出した。算出した距離Lcは、上記曲率(1/R)、直径Dに関係なく、図5に示すように、軸本体部3の直径dと一対一の関係にあり、且つこの直径dにのみ比例することがわかった。縦軸に距離Lc(mm)、横軸に直径d(mm)をとったとき、直線の傾きは、0.116であり、この直線は、原点を通る直線であった。
【0026】
したがって、La>0.116dを満たせば、接触端部P1(応力集中部)への曲面部5の末端P2(応力集中部)の影響を無視できる程度に緩和することができる。
【0027】
以上より、軸部材1と筒状部材2との接触端部P1(応力集中部)の影響と、段付部曲面である曲面部5の末端P2(応力集中部)の影響とが重畳することを防止するには、条件が厳しい方であるLa>0.414dを満たせばよい。
【0028】
ここで、筒状部材2の溝6を形成する嵌合壁部7の先端の厚みt
B
(mm)、および嵌合壁部7の軸方向の長さL
gr
(mm)に関し、t
B
<t
A
/4、およびL
gr
>2t
B
を満たすことが好ましい。t
A
(mm)は、筒状部材2の最大外径と挿通孔2aの孔径との差の1/2のことである。なお、本実施形態の筒状部材2は、前記のとおりリング形状のカラーである。このカラーは外径が一定なので、最大外径=外径である。一方、筒状部材2が、その外周の形状が長手方向(軸方向)に沿って変化するものである場合には外径が一定ではない。その場合でも、筒状部材2が回転したときの円の軌跡の直径が、筒状部材2の最大外径ということになる。
【0029】
軸部材1と筒状部材2との焼嵌面圧P(接触面圧)は、軸部材1および筒状部材2を2次元の焼嵌め体として扱うと、次式の理論式から求めることが可能である。
【0030】
P=Eδ/2a(1−(a/b)
2
) ・・・・・・・・・・・・・・(式1)
E:ヤング率
δ:焼き嵌め代
a:軸径(軸本体部3の直径)
b:筒状部材2の外径
(【0031】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

株式会社神戸製鋼所
圧縮機
株式会社神戸製鋼所
嵌合構造
株式会社神戸製鋼所
車体構造
株式会社神戸製鋼所
圧延方法
株式会社神戸製鋼所
発電装置
株式会社神戸製鋼所
構造部材
株式会社神戸製鋼所
高強度鋼板
株式会社神戸製鋼所
熱回収装置
株式会社神戸製鋼所
欠陥検知方法
株式会社神戸製鋼所
電気集塵装置
株式会社神戸製鋼所
溶鋼の製造方法
株式会社神戸製鋼所
液化ガス気化器
株式会社神戸製鋼所
部材の接合方法
株式会社神戸製鋼所
厚鋼板冷却方法
株式会社神戸製鋼所
膨張機評価装置
株式会社神戸製鋼所
圧縮機ユニット
株式会社神戸製鋼所
溶鋼の製造方法
株式会社神戸製鋼所
相互作用システム
株式会社神戸製鋼所
車両用サイドドア
株式会社神戸製鋼所
水素透過試験装置
株式会社神戸製鋼所
ラビリンスシール
株式会社神戸製鋼所
相互作用システム
株式会社神戸製鋼所
スポット溶接方法
株式会社神戸製鋼所
構造部材及び構造体
株式会社神戸製鋼所
有価元素の回収方法
株式会社神戸製鋼所
接合方法及び接合体
株式会社神戸製鋼所
鋼材の温度予測方法
株式会社神戸製鋼所
鉄鋼スラグの処理方法
株式会社神戸製鋼所
検査方法及び検査装置
株式会社神戸製鋼所
圧縮空気貯蔵発電装置
株式会社神戸製鋼所
スラブの連続鋳造方法
株式会社神戸製鋼所
基板表面欠陥検査方法
株式会社神戸製鋼所
異材接合用アーク溶接法
株式会社神戸製鋼所
バッテリー収容ユニット
株式会社神戸製鋼所
バイナリー発電システム
株式会社神戸製鋼所
圧延機の通板ガイド装置
続きを見る