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公開番号2021048014
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210325
出願番号2019168761
出願日20190917
発明の名称全固体電池
出願人昭和電工株式会社
代理人
主分類H01M 10/0562 20100101AFI20210226BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】高電圧使用環境下においても、優れたサイクル特性を有する全固体電池を提供する。
【解決手段】正極集電体、正極活物質層、酸化物系固体電解質層、負極活物質層、負極集電体をこの順に有する全固体電池であって、前記正極集電体が、シート状の導電性基材の両主面に被覆層が形成された集電体であり、前記被覆層は粉体状炭素材料、酸変性されたポリフッ化ビニリデンおよびポリN-ビニルピロリドンを含み、前記被覆層中の前記ポリN-ビニルピロリドンの含有率が0.099〜5.0質量%であり、前記被覆層中の前記粉体状炭素材料の含有率が15.0〜45.0質量%であり、前記導電性基材一主面当たりの前記被覆層の目付量が0.2〜5.0g/m2であることを特徴とする。
【選択図】なし

特許請求の範囲【請求項1】
正極集電体、正極活物質層、酸化物系固体電解質層、負極活物質層、負極集電体をこの順に有する全固体電池であって、
前記正極集電体が、シート状の導電性基材の両面に被覆層が形成された集電体であり、
前記被覆層は粉体状炭素材料、酸変性されたポリフッ化ビニリデンおよびポリN−ビニルピロリドンを含み、
前記被覆層中の前記ポリN−ビニルピロリドンの含有率が0.099〜5.0質量%であり、
前記被覆層中の前記粉体状炭素材料の含有率が15.0〜45.0質量%であり、
前記導電性基材一面当たりの前記被覆層の目付量が0.2〜5.0g/m

であることを特徴とする全固体電池。
続きを表示(約 600 文字)【請求項2】
前記導電性基材の両面に加えて、前記導電性基材の外周側面部に当たる端面部にも被覆層が形成されている請求項1に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記被覆層中の前記粉体状炭素材料の一次粒子の平均粒子径が10〜100nmである請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記粉体状炭素材料のBET比表面積が100m

/g以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の全固体電池。
【請求項5】
前記被覆層の表面粗さRaが0.1〜1.0μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の全固体電池。
【請求項6】
前記粉体状炭素材料がカーボンブラックであり、前記カーボンブラックのJIS K 1469:2003に準拠して測定される粉体での電気抵抗率が、100%の圧粉体で3×10
-1
Ω・cm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の全固体電池。
【請求項7】
前記酸変性されたポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量が2.5×10

〜1.3×10

であり、前記ポリN−ビニルピロリドンの重量平均分子量が3.0×10

〜1.3×10

である請求項1〜6のいずれか1項に記載の全固体電池。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物系固体電解質層を有する全固体電池に関する。
続きを表示(約 6,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、高電圧および高エネルギー密度を有する電池としてリチウムイオン電池が実用化されている。リチウムイオン電池の用途が広い分野に拡大していることおよび高性能化の要求から、リチウムイオン電池について様々な観点から研究が行われている。
その中で、従来用いられてきた非水電解液系のリチウムイオン電池に比べて、電解液を使用しない全固体電池の実用化が期待されている。全固体電池は、安全性向上のために必要なシステムを簡略化することができ、電極と電解質を直接並べて直列化した構造を持つ電池を製造できる。現行のリチウムイオン電池モジュールでは、負極−電解液−正極から構成される電池セルを、銅線やバスバーなどを使って直列接続している。一方、全固体電池ではこれらを1個の電池セルの中で実現できるようになる。そのため、電池セルを封止する複数の金属パッケージ、電池セルをつなぐ銅線やバスバーを省略できるので、電池のエネルギー密度が大幅に高められる。
【0003】
リチウムイオン電池の正極集電体には、表面に安定な不動態膜を形成するアルミや腐食に強いとされるSUSが使用される。しかし、4.3V以上の高電圧使用環境下でこれらの正極集電体を用いると、腐食が起こりやすく、電池のサイクル特性が低下する問題が発生する。上記問題に対し特許文献1では、バインダー粒子と導電性粒子とを含むコート層が形成された集電体が開示されている。
【0004】
一方、全固体電池の中でも酸化物系固体電解質は、材料の高電圧耐性の観点から活用が期待されるが、集電体、電極活物質層、および固体電解質層における各層の界面抵抗を低減する必要があるなど、解決すべき課題が多い。上記界面抵抗を効果的に低減する試みとして、特許文献2には、イミド系Li電解質塩、ナノ粒子、グライム、および第一の添加剤を含む固体電解質が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2014−203625号公報
国際公開第2018/030150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の集電体は、コート層に粒子状のバインダーを使用するため、被覆性や密着性の観点から十分な効果が得られない。また、特許文献2の固体電解質は、イミド系Li電解質塩の影響により、依然として正極集電体が腐食されやすい。アルミを用いた場合には、第一の添加剤によりアルミが不動態膜を形成して腐食を抑制することが開示されるが、この不動態膜により、界面抵抗の上昇が引き起こされる。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高電圧使用環境下においても、正極集電体の腐食が発生せず、サイクル特性に優れる全固体電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様を含む。
[1] 正極集電体、正極活物質層、酸化物系固体電解質層、負極活物質層、負極集電体をこの順に有する全固体電池であって、前記正極集電体が、シート状の導電性基材の両主面に被覆層が形成された集電体であり、前記被覆層は粉体状炭素材料、酸変性されたポリフッ化ビニリデンおよびポリN−ビニルピロリドンを含み、前記被覆層中の前記ポリN−ビニルピロリドンの含有率が0.099〜5.0質量%であり、前記被覆層中の前記粉体状炭素材料の含有率が15.0〜45.0質量%であり、前記導電性基材一主面当たりの前記被覆層の目付量が0.2〜5.0g/m2であることを特徴とする全固体電池。
【0009】
[2] 前記正極活物質層および/または前記酸化物系固体電解質層にイオン導電材を含有する[1]に記載の全固体電池。
[3] 前記イオン導電材が、グライムと、リチウムカチオンと、イミド構造を有するアニオンを含有する[2]に記載の全固体電池。
【0010】
[4] 前記導電性基材の両主面に加えて、前記導電性基材の外周側面部に当たる端面部にも被覆層が形成されている[1]〜[3]のいずれかに記載の全固体電池。
【0011】
[5] 前記被覆層中の前記粉体状炭素材料の一次粒子の平均粒子径が10〜100nmである[1]〜[4]のいずれかに記載の全固体電池。
[6] 前記粉体状炭素材料のBET比表面積が100m

/g以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の全固体電池。
【0012】
[7] 前記被覆層の表面粗さRaが0.1〜1.0μmである[1]〜[6]のいずれかに記載の全固体電池。
【0013】
[8] 前記粉体状炭素材料がカーボンブラックであり、前記カーボンブラックのJIS K 1469:2003に準拠して測定される粉体での電気抵抗率が、100%の圧粉体で3×10
−1
Ω・cm以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の全固体電池。
【0014】
[9] 前記酸変性されたポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量が2.5×10

〜1.3×10

であり、前記ポリN−ビニルピロリドンの重量平均分子量が3.0×10

〜1.3×10

である[1]〜[8]のいずれかに記載の全固体電池。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高電圧使用環境下においても、正極集電体の腐食が発生せず、サイクル特性に優れる全固体電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
実施例1−1で製造した塗工液のカーボンブラックの分散性の観察結果を示す。
実施例1−1で製造した塗工液の、グラビアロールへの付着状況外観を示す。
実施例1−1で形成された被覆層の密着性評価における観察結果を示す。
比較例1−1で製造した塗工液のカーボンブラックの分散性の観察結果を示す。
比較例1−1で製造した塗工液の、グラビアロールへの付着状況外観を示す。
比較例5で形成された被覆層の密着性評価における観察結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0018】
[全固体電池]
本発明にかかる好ましい実施形態の全固体電池は、正極集電体、正極活物質層、酸化物系固体電解質層、負極活物質層、負極集電体をこの順に有する。すなわち、正極集電体と正極活物質層からなる正極と、負極集電体と負極活物質層からなる負極が、それぞれ酸化物系固体電解質層を介して、活物質層側の面で接合される。そしてこれらの積層体が、外装材を備えることで全固体電池が形成されている。前記正極活物質層および/または前記酸化物系固体電解質層は、イオン導電材を含有してもよい。本明細書において、「前記正極活物質層および/または前記酸化物系固体電解質層」とは、前記正極活物質層および前記酸化物系固体電解質層から選択される一種以上の層を意味する。
【0019】
全固体電池は、 正極および負極にモーターや光源などの負荷を接続することで放電が可能となり、電源を接続することで充電が可能となる。
【0020】
全固体電池の電極に、導電性基材の表面に被覆層を備えた正極集電体を用いると、従来の正極集電体の場合と比較して、正極の抵抗値を下げることができる。すなわち、全固体電池の内部抵抗の低減を実現することができる。また、高電圧用活物質を適用した全固体電池の高電圧充電が可能になり、高容量の全固体電池を実現することができる。
【0021】
[正極集電体]
本実施形態の正極集電体は、シート状の導電性基材の両主面に被覆層が形成されている。より好ましい実施形態において、正極集電体は、シート状の導電性基材の両主面に被覆層が形成されている。被覆層はさらに外周側面部にあたる端面部にも形成されていることが好ましい。被覆層は、粉体状炭素材料、酸変性されたポリフッ化ビニリデンおよびポリN−ビニルピロリドンを含む。
【0022】
(導電性基材)
導電性基材の材質は金属であれば特に制限はない。具体的には、アルミニウム、SUSなどが挙げられる。
【0023】
アルミニウムの材質には特に制限はなく、好ましくは純アルミニウムまたはアルミニウムを95質量%以上含むアルミニウム合金である。純アルミニウムの例としてはA1085材やA1N30材などが挙げられ、アルミニウム合金の例としては、A3003材(Mn添加系)が挙げられる。
【0024】
導電性基材は固体電池用の集電体としてシート状、好ましくは箔状のものを用いる。導電性基材は厚さによって特に制限されないが、固体電池の小型化やハンドリング性などの観点から、通常3μm〜100μm厚、ロール・トゥー・ロール製法を行う場合、好ましくは5μm厚〜50μm厚のものが用いられる。
【0025】
導電性基材の形状は、孔の開いていないシート状でもよいし、二次元状のメッシュ、三次元状の網状やパンチングメタルなど、孔の開いているシート状でもよい。
【0026】
導電性基材の表面は公知の表面処理が施されていてもよく、例えば、機械的表面加工、エッチング、化成処理、陽極酸化、ウォッシュプライマー、コロナ放電、グロー放電などの処理が挙げられる。
【0027】
(被覆層)
シート状の導電性基材の両主面には、粉体状炭素材料、酸変性されたポリフッ化ビニリデンおよびポリN−ビニルピロリドンを含む被覆層が形成されている。被覆層により、導電性基材表面が保護されるため、高電圧環境下においても導電性基材が腐食することを防止できる。特に、正極活物質層および/または前記酸化物系固体電解質層がイオン導電材を含有する場合、被覆層による導電性基材の腐食抑制効果がより顕著になる。
被覆層の厚さは0.1μm以上15.0μm以下が好ましく、0.2μm以上10.0μm以下がより好ましく、0.3μm以上5.0μm以下がより一層好ましい。被覆層の厚さが0.1μm以上であれば、粉体状炭素材料により導電性基材と電極活物質の間の導電性が確保できるため好ましい。また、被覆層にピンホールが発生することを防ぐことができるので、導電性基材表面がまんべんなく保護され、高電圧環境下においても導電性基材が腐食することを防止できるため好ましい。一方、厚さが15.0μm以下であれば、層厚による電気抵抗の増加が大きくはならない点、さらに生産性の面からも好ましい。
被覆層の厚さを測定する手順を以下に記す。まず、導電性基材を樹脂包埋し、クロスセクションポリッシャーで処理して断面を出す。断面処理されたサンプルをSEMで観察し、その画像から被覆層の厚みを測長する。測長は、観察された画像内の被覆層のピークトップから導電性基材までの高さとし、5から10の観察画像において同様に測長された値の平均値を被覆層の厚みとする。
【0028】
より好ましい実施形態において、シート状の導電性基材の両主面に加えて、シートの外周側面部(厚さ方向面)にあたる端面部にも被覆層が形成されている。導電性基材の露出部を皆無にすることで、より効果的に腐食を防止することができる。
【0029】
導電性基材一主面当たりの被覆層の目付量(単位面積当たりの塗布重量)は0.2〜5.0g/m

であり、0.3〜3.0g/m

であることが好ましい。被覆層の目付量が0.2g/m

以上であれば、粉体状炭素材料により導電性基材と電極活物質の間の導電性を確保できる。また、被覆層にピンホールが発生することを防ぐことができるので、導電性基材表面がまんべんなく保護され、高電圧環境下においても導電性基材が腐食することを防止できるため好ましい。被覆層の目付量が5.0g/m

以下であれば、導電性基材に被覆層が形成されていない場合に較べて抵抗値を1/10以下程度に低減させることができる点、さらに生産性の面からも好ましい。なお、導電性基材の両主面に被覆層が形成されるので、表面と裏面の合計の目付量は前記の約2倍となる。表面と裏面で異なる目付量であってもよい。
目付量の測定は以下のようにして行う。導電性基材の被覆層が形成された部分から任意の大きさで測定片を切り出し、その面積と質量を測定する。その後、剥離剤を用いて切り出された測定片から被覆層を剥離する。剥離後の導電性基材の質量を測定する。被覆層がついた導電性基材の質量と、被覆層を剥離した後の導電性基材の質量との差分として被覆層の質量を求め、これを切り出された測定片の面積で除することにより単位面積当たりの目付量を算出する。剥離剤は、導電性基材(金属箔)を侵すものでなければ、一般的な塗料や樹脂の剥離剤を使用することが可能である。
【0030】
(粉体状炭素材料)
粉体状炭素材料は、被覆層に導電性を付与する役目を果たすものであれば特に限定されないが、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等の炭素繊維、カーボンブラック、および黒鉛微粒子等の炭素微粒子が好ましい。カーボンブラックの例としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。特に、被覆層への導電性の観点から、JIS K 1469:2003に準拠して測定される粉体での電気抵抗率が、100%の圧粉体で3×10
-1
Ω・cm以下のものが好ましく、2×10
-1
Ω・cm以下のものがより好ましく、必要に応じて上記のものを組み合わせて使用できる。これらの中でも、塗工液への分散性、被覆層の基材への密着性の観点から、カーボンブラックが好ましく、グラビアコーティングで被覆層を形成する場合には、塗工性の観点からアセチレンブラックがより好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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