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公開番号2021047401
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210325
出願番号2020150549
出願日20200908
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人特許業務法人秀和特許事務所
主分類G03G 9/08 20060101AFI20210226BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】高速機においても良好な低温定着性を有し、ベタ画像濃度ムラを抑制できるトナー。
【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーのレオメーターによる測定により得られる、温度T-貯蔵弾性率G’曲線において、80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)が、2.0×103Pa以上2.0×105Pa以下であり、60℃から80℃の範囲における貯蔵弾性率G’の温度Tに対する変化量(dG’/dT)の極小値が、-1.0×106以下であり、該トナーを昇温したとき、80℃における該トナーの投影面積をS1(μm2)とし、80℃における該トナーの投影面積の半径をR1(μm)とし、120℃における該トナーの投影面積をS2(μm2)としたとき、該S1、R1及びS2が、下記式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
(1) S2/S1×1/R1≦0.22
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの回転平板型レオメーターによる測定により、2.0℃/minで昇温した際に得られる、温度T(℃)−貯蔵弾性率G’(Pa)曲線において、
(i)80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)が、2.0×10

Pa以上2.0×10

Pa以下であり、
(ii)60℃から80℃の範囲における貯蔵弾性率G’の温度Tに対する変化量(dG’/dT)の極小値が、−1.0×10

以下であり、
25℃から120℃まで、10℃/minの昇温速度で該トナーを昇温したとき、80℃における該トナーの投影面積をS

(μm

)とし、80℃における該トナーの投影面積の半径をR

(μm)とし、120℃における該トナーの投影面積をS

(μm

)としたとき、
該S

、R

及びS

が、下記式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
(1) S

/S

×1/R

≦0.22
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
前記温度T(℃)−貯蔵弾性率G’(Pa)曲線において、
120℃における貯蔵弾性率G’(120℃)が、2.0×10

Pa以上2.0×10

Pa以下である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーのテトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出において18時間抽出したとき、前記トナーがテトラヒドロフラン不溶分を含有し、
該テトラヒドロフラン不溶分の回転平板型レオメーターによる測定により、2.0℃/minで昇温した際に測定される、120℃における貯蔵弾性率G’(120℃)が、1.0×10

Pa以上1.0×10

Pa以下である請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
酢酸エチルを用いた前記トナーのソックスレー抽出において、18時間抽出したときの前記トナーの酢酸エチル不溶分の含有量をα質量%とし、
テトラヒドロフランを用いた前記トナーのソックスレー抽出において、18時間抽出したときの前記トナーのテトラヒドロフラン不溶分の含有量をβ質量%としたとき、
該α及び該βが、下記式(2)及び(3)を満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
(2) 5.0 ≦ β ≦ 30.0
(3) 10.0≦(α−β)≦40.0
【請求項5】
前記結着樹脂が、ビニル重合体部位及び非晶性ポリエステル部位を有するハイブリッド樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項6】
前記ビニル重合体部位は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一が重合した構造を有し、
該ビニル重合体部位中の該アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一が重合した構造の合計の含有量が、50質量%以上98質量%以下である請求項5に記載のトナー。
【請求項7】
前記ハイブリッド樹脂中の前記非晶性ポリエステル部位の含有量が、50質量%以上98質量%以下である請求項5又は6に記載のトナー。
【請求項8】
前記非晶性ポリエステル部位が、3価以上の多価アルコール及び3価以上の多価カルボン酸からなる群から選択される少なくとも一により架橋された構造を有する請求項5〜7のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項9】
前記トナー粒子が、結晶性ポリエステルを含有し、
該結晶性ポリエステルが、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含む酸成分との縮重合物であり、
該脂肪族ジオールの炭素数をC1とし、該脂肪族ジカルボン酸の炭素数をC2としたときに、C1及びC2の和が、10以上16以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項10】
前記トナーの示差走査熱量計(DSC)測定において、
(i)降温時における40℃以上120℃以下の範囲での冷結晶化ピークの個数をX個とし、
(ii)2回目の昇温時における40℃以上120℃以下の範囲での吸熱ピークの個数をY個としたとき
X及びYが、下記式(7)及び(8)を満たす
請求項1〜9のいずれか一項に記載のトナー。
(7) X ≧ 1
(8) Y ≧ X+1
【請求項11】
前記トナー粒子が、結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
前記トナーの示差走査熱量測定において、
25℃から120℃まで1000℃/秒の速さで昇温し、
100m秒の間、120℃で温度を保持し、25℃まで1000℃/秒の速さで冷却した後に、
120℃まで1000℃/秒の速さで昇温し、
1度目の昇温におけるガラス転移温度をTg1(℃)とし、2度目の昇温におけるガラス転移温度をTg2(℃)としたとき、
下記式(9)及び(10)を満たす請求項1〜10のいずれか一項に記載のトナー。
(9) 65℃≦Tg1≦85℃
(10) 7℃≦Tg1−Tg2≦30℃
【請求項12】
前記温度T(℃)−貯蔵弾性率G’(Pa)曲線において、貯蔵弾性率が1.0×10

Paとなる温度をT1(℃)とし、
前記トナーの示差走査熱量測定により得られるDSC曲線において、30℃から120℃の範囲に吸熱ピークを有し、
該吸熱ピークの最も低温側に存在するピークのピーク温度をT2(℃)としたとき、
下記式(11)を満たす請求項1〜11のいずれか一項に記載のトナー。
(11) T1−T2≧40

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真、静電荷像を顕像化するための画像形成方法に使用されるトナーに関する。
続きを表示(約 9,200 文字)【背景技術】
【0002】
電子写真法を用いた画像形成装置は、省エネルギー化に対する要求が高く、トナーの低温定着性の向上が求められている。一般的に低温定着性はトナーの粘度と関係があり、定着時の熱により素早く粘度が低下するトナーが求められる。しかし、このような低温定着性を満足させたトナーは現像器内の攪拌や本体の昇温といった外的なストレスに対して弱く、外添剤の埋め込みによる耐久性の低下や保存性の低下といった問題を生じやすい。
また、近年では省エネルギー化に加えて、装置の高速化に対する要望も高い。高速化された画像形成装置において、全面ベタ画像を出力すると、紙表面の凹凸によって、トナーの溶融度に差が生じる濃度ムラといった課題も見られる。このような現象は低粘度化されたトナーにおいて発生しやすく、省エネルギー化対応と高速化対応を両立することは技術的なハードルが高く非常に困難である。
特許文献1では、低温定着性及び耐オフセット性を向上するために、80℃から140℃における貯蔵弾性率G’を制御したトナーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014−167602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記文献のように貯蔵弾性率G’を制御したトナーは、低温定着性に一定の効果はあるものの、より高速化された画像形成装置においては、ベタ画像濃度ムラを発生することがわかった。よって、ベタ画像濃度ムラに対して改善の余地を有する。
本発明は上記問題点を解消したトナーを提供する。
すなわち、高速機においても良好な低温定着性を有し、ベタ画像濃度ムラを抑制できるトナーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、検討を重ねた結果、下記構成にすることで、上記要求を満足できることを見いだし、本発明に至った。
即ち本発明は、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの回転平板型レオメーターによる測定により、2.0℃/minで昇温した際に得られる、温度T(℃)−貯蔵弾性率G’(Pa)曲線において、
(i)80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)が、2.0×10

Pa以上2.0×10

Pa以下であり、
(ii)60℃から80℃の範囲における貯蔵弾性率G’の温度Tに対する変化量(dG’/dT)の極小値が、−1.0×10

以下であり、
25℃から120℃まで、10℃/minの昇温速度で該トナーを昇温したとき、80℃における該トナーの投影面積をS1(μm

)とし、80℃における該トナーの投影面積の半径をR1(μm)とし、120℃における該トナーの投影面積をS2(μm

)としたとき、
該S1、R1及びS2が、下記式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
(1) S

/S

×1/R

≦0.22
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高速機においても良好な低温定着性を有し、ベタ画像濃度ムラを抑制できるトナーを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
低温定着性が良好にするためには、定着のニップを通過するわずかな時間でトナーを迅速に溶融させる必要がある。一般的にトナーを迅速に溶融させる手法としては、トナー中の樹脂成分の溶融特性を制御することが知られている。近年では定着助剤(低融点ワックスや結晶性樹脂等の添加物)を用い、可塑効果により樹脂成分の溶融特性を制御する方法が種々検討されている。
そこで低温定着性向上の観点から、結晶性ポリエステルを添加したトナーを評価したところ、低温定着性に一定の効果はあるものの、次世代を想定した高速印字条件下においてはベタ画像濃度ムラを発生することがわかった。そのため、今後の省エネルギー化や高速化の要求に対しては、定着ニップ通過時にトナーを低粘度化しても、紙上の凸部でトナーが濡れ広がり過ぎず、ベタ画像濃度ムラを抑制できるトナーの検討が必要である。
【0008】
本発明者らが、低温定着性の向上とベタ画像濃度ムラの抑制というトレードオフ項目を解決すべく検討を進めた結果、下記に示す特徴を有するトナーを用いることで、上記課題を解決できるという考えに行きついた。
即ち本発明は、
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの回転平板型レオメーターによる測定により、2.0℃/minで昇温した際に得られる、温度T(℃)−貯蔵弾性率G’(Pa)曲線において、
(i)80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)が、2.0×10

Pa以上2.0×10

Pa以下であり、
(ii)60℃から80℃の範囲における貯蔵弾性率G’の温度Tに対する変化量(dG’/dT)の極小値が、−1.0×10

以下であり、
25℃から120℃まで、10℃/minの昇温速度で該トナーを昇温したとき、80℃における該トナーの投影面積をS1(μm

)とし、80℃における該トナーの投影面積の半径をR1(μm)とし、120℃における該トナーの投影面積をS2(μm

)としたとき、
該S1、R1及びS2が、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
(1) S

/S

×1/R

≦0.22
【0009】
以下に、トナーについて具体的に示していく。
トナーの回転平板型レオメーターによる測定により、2.0℃/minで昇温した際に得られる温度T(℃)−貯蔵弾性率G’(Pa)曲線において、80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)が2.0×10

Pa以上2.0×10

Pa以下であることが必要である。
また、貯蔵弾性率G’(80℃)は、良好な低温定着性を得られることから、2.0×10

Pa以上1.5×10

Pa以下が好ましく、2.0×10

Pa以上1.0×10

Pa以下がより好ましい。
【0010】
通常、紙表面には無数の凹凸が存在し、凹部は凸部よりも定着ニップ通過時に受ける熱及び圧力が少なくなる傾向にある。よって、凹部のトナーは凸部のトナーに対して溶融不
足になりやすく、定着不良を生じやすい。本発明者らが鋭意検討を行った結果、80℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’(80℃)と、紙上の凹部におけるトナーの溶融度合いが対応することがわかった。
貯蔵弾性率G’は、高分子における弾性、すなわち応力に対する可逆な性質を表す指標である。トナーの貯蔵弾性率G’は、定着ニップ部においてトナーが熱と圧力により変形した際にもとの状態に復元する力を表すものである。つまりトナーを形成する分子内にばねのような性質があるかどうかを示しており、値が小さいほどトナーが柔らかく、良好な低温定着性を有することを示す。
【0011】
トナーの貯蔵弾性率G’(80℃)が、2.0×10

Paより大きいと、定着ニップ内で受けた熱、及び定着ニップ通過後に受けた余熱により、トナーが十分に低粘度化しない。結果として、メディア−トナー間、及びトナー−トナー間の付着力が低下し、定着画像を擦った際にメディア表面からトナーが剥がれる定着不良が発生する。
【0012】
また、高速印字条件下において画像を出力した場合、メディアが定着ニップを通過した際に、印字部の一部が欠けたり、抜けたりする定着不良も見られる。これは、マシンの高速化によってメディア上のトナーの定着ニップ間を通過する時間が減少することが原因と考えられる。
定着ニップ通過中に十分に溶融しきれなかったトナーは、熱源である定着部材側に対して強く付着し、印字部がオフセットしてしまう。この印字部の抜け及び欠けは、トナーが定着ニップを通過した瞬間に発生するため、トナーが定着ニップ中で受けた熱量のみで発生の有無が決まる。つまり、定着ニップ通過後の余熱によるトナーの溶融は影響しない。
本発明者らが、印字部の抜け及び欠けを抑制するために鋭意検討を行った結果、下記構成を採用することで解決できるという考えに行きついた。
【0013】
トナーの回転平板型レオメーターによる測定により、2.0℃/minで昇温した際に得られる温度T[℃]−貯蔵弾性率G’[Pa]曲線において、60℃から80℃の範囲における貯蔵弾性率G’の温度Tに対する変化量(dG’/dT)の極小値が、−1.0×10

以下である。
該変化量(dG’/dT)の極小値は、良好な低温定着性を得られることから、−5.0×10

以下が好ましい。下限は特に制限されないが、好ましくは−1.0×10

以上であり、より好ましくは−5.0×10

以上である。
【0014】
該変化量(dG’/dT)は、温度Tに対する貯蔵弾性率G’の傾きを示している。つまり、値が小さいほど急激にトナーの粘度が変化しやすいことを意味しており、印字部の抜け及び欠けを抑制しやすいトナーであるといえる。
トナーの貯蔵弾性率G’の温度Tに対する変化量(dG’/dT)の極小値が、−1.0×10

よりも大きいと、トナーが定着ニップを通過する短い時間内で十分に粘度低下できず印字部の抜け及び欠けが発生する。
【0015】
トナーの貯蔵弾性率G’(80℃)、及びトナーの貯蔵弾性率G’の温度Tに対する変化量(dG’/dT)の極小値は、例えば、トナー中の樹脂成分の組成や定着助剤の組成、さらには材料(定着助剤、着色剤等)の分散性を変更することで制御できる。その他、トナー中に含まれる無機粒子の含有量を調整することでも制御できる。
【0016】
また、該温度T(℃)−貯蔵弾性率G’(Pa)曲線において、120℃における貯蔵弾性率G’(120)が、2.0×10

Pa以上2.0×10

Pa以下であることが好ましく、4.0×10

Pa以上1.0×10

Pa以下であることがより好ましい。
【0017】
上述したように、紙表面の凸部は凹部よりも定着ニップ通過時に受ける熱量が多くなる
傾向にある。よって、凸部のトナーは凹部のトナーに対して過剰溶融になりやすく、ベタ画像濃度ムラを生じやすい。本発明者らが鋭意検討を行った結果、120℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’(120)と、紙上の凸部における溶融度合が対応することがわかった。
トナーの貯蔵弾性率G’(120℃)を上記範囲とすることで、ベタ画像濃度ムラを抑制できると共に、ホットオフセット耐性が良好なトナーを得ることができる。貯蔵弾性率G’(120℃)は、例えば、トナー中の樹脂成分の組成や定着助剤の組成、さらには材料(定着助剤、着色剤等)の分散性を変更することで制御できる。その他、トナー中に含まれる無機粒子の含有量を調整することにより制御できる。
【0018】
25℃から120℃まで、10℃/minの昇温速度でトナーを昇温したとき、80℃におけるトナーの投影面積をS

[μm

]とし、80℃におけるトナーの投影面積の半径をR

[μm]とし、120℃におけるトナーの投影面積をS

[μm

]としたとき、


、R

及びS

が下記式(1)を満たす。
(1) S

/S

×1/R

≦0.22
【0019】


、S

、及びR

の関係を上記範囲にすることで、高速印字した際にも、ベタ画像濃度ムラを抑制できる。その理由について、以下のように考察している。
上述したように、ベタ画像濃度ムラの主な発生要因は、メディアの凹凸によるトナーの溶けムラだと考えられている。特に、一般的に用いられている紙の場合は、紙表面の凹部と凸部で約30μm程度のばらつきが存在する。
通常、定着器の温度は、定着ニップ部で受ける熱量が小さい凹部のトナーが定着できるように設定するため、凸部のトナーは定着ニップ部で受ける熱量が過剰となる。高速化対応したマシンの場合、凹部上のトナーと凸部上のトナーの受ける熱量の差はより大きくなり、トナーの到達温度には約40℃程度の差が生じることがわかった。
よって、高速化対応したマシンにおいても、ベタ画像濃度ムラを抑制する為には、異なる温度条件下においても紙上のトナーの濡れ広がる面積に、差が少ないことが求められる。このような効果を得るために発明者らが鋭意検討を行った結果、式(1)から算出される濡れ広がりパラメーターを上記の範囲とすることが重要であることがわかった。
【0020】
トナーのメディアに対する濡れ広がり易さは、トナー材料の組み合わせ、及びトナー粒径で制御することができる。ただし、トナー粒径は、本体やカートリッジCRGの構成によりしばしば限定され、自由に選択できない場合が多い。よって、トナーのメディアに対する濡れ広がりやすさは、トナー材料の組み合わせで制御することに着目した。
具体的には、トナーのメディアに対する濡れ広がり易さから、トナー粒径の因子を除くために、1/R

の積を取ることにした。その理由を以下に示す。
【0021】
トナーを球形と仮定した場合、定着前のトナーの体積は、半径の3乗に比例する。一方、トナーのメディアに対する投影面積は、半径の2乗に比例する。トナーがメディア上で一定の厚みまで濡れ広がると仮定すると、体積と面積の指数の差を考慮しなければならない。
よって、トナーの80℃における投影面積と120℃における投影面積の変化率S

/S

に対して、1/R

の積を取ることでトナー粒径の因子を除けると考えている。
【0022】


/S

×1/R

が、0.22よりも大きいと、紙表面の凹部に対して凸部のトナーの面積変化が大きくなるため、ベタ画像濃度ムラが発生してしまう。S

/S

×1/R

は、0.20以下であることが好ましい。一方、下限は特に制限されないが、好ましくは0.12以上であり、より好ましくは0.15以上である。


/S

×1/R

の値は、例えば後述するような結着樹脂を用いることにより制御
することができる。また、結晶性材料(結晶性樹脂、ワックス等)の分散径、融点、及び結着樹脂との相溶性を調整することでも制御できる。
【0023】
酢酸エチルを用いたトナーのソックスレー抽出において、18時間抽出したときのトナー中の酢酸エチル不溶分の含有量をα質量%としたとき、αが、25.0質量%以上55.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以上50.0質量%以下であることがより好ましい。
【0024】
酢酸エチルはエステル基を有しており、極性が高いため、同様にエステル基を持ち、極性が高い線状成分を抽出することができる。一方、極性が高い成分であっても分子同士の絡まりが強い場合や非極性成分の抽出はほとんど進まない。すなわち、後述するビニル重合体部位と非晶性ポリエステル部位の間の架橋構造、及び非晶性ポリエステル部位中の架橋構造などは酢酸エチルの不溶分となる。
酢酸エチルに可溶する線状成分は、高温高湿環境で樹脂を可塑化させるため、結着樹脂の酢酸エチル不溶分の含有量が上記範囲を満たすことで、高温高湿環境で長期間使用した際、トナーの可塑化を抑制し、耐久性が良好になる。
酢酸エチル不溶分の含有量は、結着樹脂のモノマー組成や製造条件、及びトナーの製造条件を変更することによって調整することができる。
【0025】
また、テトラヒドロフラン(THF)を用いたトナーのソックスレー抽出において、18時間抽出したときのトナー中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量をβ(質量%)としたとき、βが、下記式(2)を満たすことが好ましく、下記式(2’)を満たすことがより好ましく、下記式(2’’)を満たすことがさらに好ましい。
(2) 5.0 ≦ β ≦ 30.0
(2’) 5.0 ≦ β ≦ 20.0
(2’’) 8.0 ≦ β ≦ 20.0
【0026】
THFはフラン環を有しており、極性を持つ線状成分だけでなく、極性を持つ絡まりが強い成分、さらには非極性の線状成分を溶出できるため、結着樹脂の大部分の成分を溶出させることができる。
すなわち、後述する非晶性ポリエステル部位中の架橋構造などはTHFの不溶分となる。THFの不溶分は、定着時の温度領域において変形しにくく、トナーが溶融した際にトナーが過剰に変形することを抑制でき、ベタ画像濃度ムラを抑制できる。また、トナーの外添剤埋没を抑制できるため、耐久性が良好になる。
THF不溶分の含有量は、結着樹脂のモノマー組成や製造条件、及びトナーの製造条件を変更することによって調整することができる。
【0027】
また、該酢酸エチル不溶分の含有量α質量%、及びテトラヒドロフラン不溶分の含有量β質量%が下記式(3)を満たすことが好ましく、下記式(3’)を満たすことがより好ましく、下記式(3’’)を満たすことがさらに好ましい。
(3) 10.0≦(α−β)≦40.0
(3’) 15.0≦(α−β)≦33.0
(3’’) 17.0≦(α−β)≦25.0
【0028】
上述したように、酢酸エチル不溶分の量は、例えばビニル重合体部位と非晶性ポリエステル部位の間の架橋構造、及び非晶性ポリエステル部位中の架橋構造が影響しうる。また、THFの不溶分の量は、非晶性ポリエステル部位中の架橋構造が影響しうる。つまり、式(3)中の(α−β)はビニル重合体部位と非晶性ポリエステル部位の間での架橋構造が影響しうる。
後述するが、ビニル重合体部位と非晶性ポリエステル部位の間の架橋構造は、架橋点間
距離が短く、密な網目を形成しているため、他の原材料と絡み合い、トナー中の材料分散性を向上させることができる。結果として、(α−β)が上記範囲を満たすトナーは、ベタ画像濃度ムラを抑制できることに加えて、カブリを抑制できる。
【0029】
トナーのテトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出において18時間抽出したとき、トナーがテトラヒドロフラン不溶分を含有することが好ましい。そして、テトラヒドロフラン不溶分の回転平板型レオメーターによる測定により、2.0℃/minで昇温した際に測定される、120℃における貯蔵弾性率G’(120)が、1.0×10

Pa以上1.0×10

Pa以下であることが好ましく、2.0×10

Pa以上5.0×10

Pa以下であることがより好ましい。
THF不溶分の貯蔵弾性率G’(120)が上記範囲を満たすことで、ベタ画像濃度ムラを抑制できると共に、耐久性が良好なトナーを得ることができる。
【0030】
(結着樹脂)
結着樹脂は、特に制限されず公知の樹脂を用いることができる。結着樹脂は、ビニル重合体部位及び非晶性ポリエステル部位を有するハイブリッド樹脂を含有することが好ましい。結着樹脂が、溶融特性の優れる非晶性ポリエステル部位と、帯電特性に優れ、軟化点が高いビニル重合体部位とを有するハイブリッド樹脂を含有することで、結着樹脂の軟化点を高くしつつ、帯電安定性と低温定着性に優れる。その結果、低温定着性及び高湿環境下における画像濃度の安定性がより高まる。
結着樹脂中のハイブリッド樹脂の含有量は、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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