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公開番号2021046570
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210325
出願番号2019168356
出願日20190917
発明の名称鋼材の温度予測方法
出願人株式会社神戸製鋼所
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C21D 11/00 20060101AFI20210226BHJP(鉄冶金)
要約【課題】本発明は、加熱炉内の鋼材の温度を精度良く予測することができる鋼材の温度予測方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の鋼材の温度予測方法は、搬送方向におけるバーナーより上流側の第1位置及び下流側の第2位置での上記加熱炉の炉内温度を測定する工程と、上記バーナーの燃料流量を測定する工程と、上記第1位置と上記のバーナーとの間の第3位置及び上記バーナーと上記第2位置との間の第4位置での上記加熱炉の炉内温度を算出する工程と、上記加熱炉内における上記搬送方向の各位置での炉内温度を予測する工程と、上記各位置での予測炉内温度に基づいて上記各位置での熱流束を算出する工程と、上記算出熱流束に基づいて上記各位置での上記鋼材の温度を算出する工程とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
加熱炉内を搬送される鋼材の温度予測方法であって、上記加熱炉が上記鋼材の搬送方向に沿って配置された1又は複数のバーナーを備えており、
上記搬送方向における上記バーナーより上流側の第1位置及び下流側の第2位置での上記加熱炉の炉内温度を測定する工程と、
上記バーナーの燃料流量を測定する工程と、
上記第1位置及び上記第2位置での測定炉内温度並びに上記バーナーの測定燃料流量に基づいて、上記第1位置と上記のバーナーとの間の第3位置及び上記バーナーと上記第2位置との間の第4位置での炉内温度を算出する工程と、
上記第1位置及び上記第2位置での測定炉内温度、並びに上記第3位置及び上記第4位置での算出炉内温度に基づいて上記加熱炉内における上記搬送方向の各位置での炉内温度を予測する工程と、
上記予測炉内温度に基づいて上記各位置での熱流束を算出する工程と、
上記算出熱流束に基づいて上記各位置での上記鋼材の温度を算出する工程と
を備え、
上記炉内温度予測工程が、
上記第1位置及び上記第2位置での測定炉内温度に基づいて上記各位置での基準炉内温度を算出する工程と、
上記第3位置及び上記第4位置での算出炉内温度を用いて上記基準炉内温度を補正した補正炉内温度を算出する工程と
を含む鋼材の温度予測方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材の温度予測方法に関する。
続きを表示(約 6,900 文字)【背景技術】
【0002】
鋼材を例えば連続加熱炉等で加熱する際、加熱炉内での鋼材の温度履歴は鋼材の品質に大きく影響する。目標とする温度履歴からの偏差が大きいと、脱炭と呼ばれる現象が発生し、所望の機械特性が得られなくなる可能性がある。そのため、製品の品質を担保するためには、加熱炉内における鋼材の温度履歴をオペレータが適切に制御する必要がある。
【0003】
オペレータが温度履歴を適切に制御するには、高精度の鋼材の温度予測が必要である。一方、生産性の観点からは温度予測の時間とコストを抑制する必要もある。そこで、バーナーの使用数量に基づいて総括熱吸収率(炉から鋼材への熱伝達効率)を補正することで鋼材の温度を予測する方法が提案されている(特開2018−3084号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018−3084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加熱炉においては、操業条件によってはバーナーの使用数量が同じであっても、バーナーに供給される燃料の流量が異なる場合がある。この場合、バーナーの使用数量に基づく補正を行う上記特許文献1の方法では、鋼材の温度の予測精度を十分に向上させることが困難となる。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、加熱炉内の鋼材の温度を精度良く予測することができる鋼材の温度予測方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく本発明者らは以下のように鋭意研究を行った。すなわち、例えば加熱炉内の鋼材の温度を予測する方法として、バーナーよりも鋼材の搬送方向上流側及び下流側の位置で加熱炉内の温度をそれぞれ測定し、この2つの位置の温度(図5のT1、T2)を直線で結ぶことによって加熱炉内の各位置での温度を算出し(図5に破線で示す直線Ls)、この各温度に基づいて鋼材の温度を予測することが考えられる。
【0008】
しかし、上記2つの位置の間では、バーナーからの熱の影響によって加熱炉内の温度が上記直線よりも増大し、しかもその増大の程度がバーナーの燃焼負荷、すなわちバーナーに供給する燃料の流量によって変動する。このため、上記方法では上記直線に基づく予測温度の精度が十分とはいえない。そこで、上記2つの位置とバーナーとの間にてバーナーの燃料流量に基づいて加熱炉内の温度を算出し、上記2つの位置での温度(T1、T2)に加え、算出した温度(図5のK1、K2)にも基づいて上記各位置での炉内温度を予測することで、上記各位置での鋼材の温度を精度良く予測できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、加熱炉内を搬送される鋼材の温度予測方法であって、上記加熱炉が上記鋼材の搬送方向に沿って配置された1又は複数のバーナーを備えており、上記搬送方向における上記バーナーより上流側の第1位置及び下流側の第2位置での上記加熱炉の炉内温度を測定する工程と、上記バーナーの燃料流量を測定する工程と、上記第1位置及び上記第2位置での測定炉内温度並びに上記バーナーの測定燃料流量に基づいて、上記第1位置と上記のバーナーとの間の第3位置及び上記バーナーと上記第2位置との間の第4位置での炉内温度を算出する工程と、上記第1位置及び上記第2位置での測定炉内温度、並びに上記第3位置及び上記第4位置での算出炉内温度に基づいて上記加熱炉内における上記搬送方向の各位置での炉内温度を予測する工程と、上記予測炉内温度に基づいて上記各位置での熱流束を算出する工程と、上記算出熱流束に基づいて上記各位置での上記鋼材の温度を算出する工程とを備え、上記炉内温度予測工程が、上記第1位置及び上記第2位置での測定炉内温度に基づいて上記各位置での基準炉内温度を算出する工程と、上記第3位置及び上記第4位置での算出炉内温度を用いて上記基準炉内温度を補正した補正炉内温度を算出する工程とを含む鋼材の温度予測方法である。
【0010】
当該鋼材の温度予測方法は、上記第1位置及び第2位置での上記測定炉内温度に加え、上記第3位置及び第4位置での上記算出炉内温度に基づいて加熱炉内における搬送方向の各位置での炉内温度を予測することで、バーナーの燃料流量に応じて上記各位置での炉内温度を予測することができる。この炉内温度の予測にて上記第1位置及び上記第2位置での上記測定温度に基づく上記基準炉内温度を、上記第3位置及び上記第4位置での上記算出炉内温度を用いて補正することで、上記各位置での炉内温度を精度良く予測することができる。このようにして得られた補正炉内温度に基づいて上記熱流束を算出し、この熱流束に基づいて上記鋼材の温度を算出することで、加熱炉内の鋼材の温度を精度良く予測することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鋼材の温度予測方法によれば、加熱炉内の鋼材の温度を精度良く予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の一実施形態の鋼材の温度予測方法の手順を示すフロー図である。
バーナー及び温度計の配置を示す加熱炉内の平面図であって、搬送面の上方から視た平面図である。
バーナー及び温度計の配置を示す加熱炉内の側面図である。
鋼材の搬送方向における温度取得位置を示す加熱炉内の平面図であって、搬送面の上方から視た平面図である。
鋼材の搬送方向における加熱炉内の各位置と、この各位置での炉内温度との関係を模式的に示す平面図である。
試験例1での搬送方向における加熱炉内の位置N1から位置N6までの各位置と、この各位置での鋼材直上の予測炉内温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0014】
[鋼材の温度予測方法]
当該鋼材の温度予測方法は、加熱炉内を搬送される鋼材の温度予測方法であって、上記加熱炉が上記鋼材の搬送方向に沿って配置された1又は複数のバーナーを備える鋼材の温度予測方法である。
【0015】
当該鋼材の温度予測方法は、図1に示すように、上記搬送方向における上記バーナーより上流側の第1位置及び下流側の第2位置での上記加熱炉の炉内温度を測定する工程(炉内温度測定工程)S1と、上記バーナーの燃料流量を測定する工程(燃料流量測定工程)S2と、上記第1位置及び上記第2位置での測定炉内温度並びに上記バーナーの測定燃料流量に基づいて、上記第1位置と上記のバーナーとの間の第3位置及び上記バーナーと上記第2位置との間の第4位置での炉内温度(補正用炉内温度)を算出する工程(補正用炉内温度算出工程)S3と、上記第1位置及び上記第2位置での測定炉内温度、並びに上記第3位置及び上記第4位置での算出炉内温度(補正用炉内温度)に基づいて上記加熱炉内における上記搬送方向の各位置での炉内温度を予測する工程(炉内温度予測工程)S4と、上記予測炉内温度に基づいて上記各位置での熱流束を算出する工程(熱流束算出工程)S5と、上記算出熱流束に基づいて上記各位置での上記鋼材の温度を算出する工程(鋼材温度算出工程)S6とを備える。なお、「加熱炉内における搬送方向の各位置」とは、加熱炉内の搬送方向の任意の位置をいう。また、図1には、炉内温度予測工程S4を図示する代わりに、以下の工程を図示する。
【0016】
具体的に本実施形態では、当該鋼材の温度予測方法は、図1に示すように、上記炉内温度予測工程S4として、上記第1位置及び上記第2位置での測定炉内温度に基づいて上記各位置での基準炉内温度を算出する工程(基準炉内温度算出工程)S41と、上記第3位置及び上記第4位置での補正用炉内温度を用いて基準炉内温度を補正した補正炉内温度を算出する工程(補正炉内温度算出工程)S42とを含む。
【0017】
当該鋼材の温度予測方法が適用される加熱炉は、図2及び図3に示すように、上記1又は複数のバーナー1a、1b、1c、1dを備える。バーナー1a〜1dは、鋼材の搬送方向(図中白抜き矢印方向)Dに沿って配置される。バーナー1a〜1dは、火炎を噴出するノズルを有する。このノズルには、火炎を噴射するための燃料が供給される。このノズルの向きは特に限定されない。ノズルの向きとしては、例えば鋼材の搬送方向に交差する向きが好まく、図2及び図3に示すように、鋼材の搬送方向に直交する向きがより好ましい。このようなノズルを有するバーナーとして、いわゆるサイドバーナーが挙げられる。また、このバーナーとしては例えば軸流バーナーが使用できる。
【0018】
図2及び図3に示す態様では、鋼材Aの搬送面10の上側及び下側に上記サイドバーナーを設けた加熱炉が用いられる。なお、搬送面10は、鋼材Aをウォーキングビームにより搬送する面である。また、図2及び図3では、搬送面10の上方かつ搬送方向上流側に1対のバーナー1a、搬送面10の下方かつ搬送方向上流側に1対のバーナー1b、搬送面10の上方かつ搬送方向下流側に1対のバーナー1c、搬送面10の下方かつ搬送方向下流側に1対のバーナー1dを配設しているが、バーナーの数や位置はこれに限定されない。また、加熱炉は図2及び図3に示す構成を1つの加熱ゾーンとし、複数の加熱ゾーンを有する構成としてもよい。
【0019】
上流側のバーナー1a及びバーナー1bは、鋼材Aの搬送方向Dにおいて同じ位置(図4の位置N3)に配置される。下流側のバーナー1c及び1dは、鋼材Aの搬送方向において同じ位置(図4の位置N4)に配置される。
【0020】
当該鋼材の温度予測方法が対象とする鋼材の形状は特に限定されず、棒鋼、鋼板等に適用が可能である。なお、鋼材の最終加熱温度は例えば1000℃以上1200℃以下である。
【0021】
加熱炉内における上流側のバーナー1a及びバーナー1bよりも搬送方向上流側の第1位置(図4の位置N1)には、炉内温度を測定する第1温度計7aが配置される。具体的には、この第1温度計7aは、加熱炉内における鋼材Aの装入側の第1開口の位置(図4の位置Ns)と上流側のバーナー1a及びバーナー1bの位置N3との間に配置される。加熱炉内における下流側のバーナー1c及びバーナー1dよりも搬送方向下流側の第2位置(図4の位置N6)には、炉内温度を測定する第2温度計7bが配置される。具体的には、この第2温度計7bは、加熱炉内における鋼材Aの抽出側の第2開口の位置(図4の位置Nf)と下流側のバーナー1c及びバーナー1dの位置N4との間に配置される。第1温度計7a及び第2温度計7bとしては、例えば従来公知の熱電対等が挙げられる。これら第1温度計7a及び第2温度計7bは、加熱炉内に挿入されて使用される。図2及び図3では、第1温度計7a及び第2温度計7bの先端に配された温度測定部のみを示す。
【0022】
<炉内温度測定工程>
炉内温度測定工程S1では、第1温度計7a及び第2温度計7bによって位置N1及び位置N6での測定炉内温度T1、T2を測定する(図4及び図5参照)。図5に示すように、搬送方向Dを横軸、温度Tを縦軸とし、縦軸と横軸とが位置Nsで交差する座標において、位置N1での炉内測定温度T1と位置N6での炉内測定温度T2とを通る直線は、後述する基準温度直線Ls(図5の破線)となる。
【0023】
<燃料流量測定工程>
燃料流量測定工程S2では、バーナー1a、バーナー1b、バーナー1c及びバーナー1dでの燃料流量(合計燃料流量)Fを測定する。この測定には、従来公知の流量計を用いることができる。加熱炉の操業時、バーナー1a〜1bの各燃料流量が変動すると、それに応じてこれらの合計である燃料流量Fが変動する。
【0024】
<補正用炉内温度算出工程>
補正用炉内温度算出工程S3では、位置N1及び位置N6での測定炉内温度T1、T2、並びに上記バーナーの燃料流量Fに基づいて、位置N1と位置N3との間の第3位置(図4の位置N2)及び位置N4と位置N6との間の第4位置(図4の位置N5)での補正用炉内温度K1、K2を算出する。
【0025】
位置N2については、バーナー1a〜1d(特に上流側のバーナー1a及びバーナー1b)からの熱がこれらよりも搬送方向上流側にて炉内温度に及ぼす影響を予め調べておき、上記バーナー1a〜1dの熱が炉内温度に対して影響を及ぼす限界となる、すなわち影響を及ぼさない位置(加熱炉内の搬送方向の位置)を、補正用炉内温度K1を算出するための位置N2として決定する。例えばこの位置N2については、位置N1と位置N3との間で少しずつ位置をずらして後述する炉内温度算出工程S1〜鋼材温度算出工程S6を行い、予測温度の精度が高くなる位置を位置N2として決定することができる。
【0026】
一方、位置N5については、バーナー1a〜1d(特に下流側のバーナー1c及びバーナー1d)からの熱がこれらよりも搬送方向下流側にて炉内温度に及ぼす影響を予め調べておき、上記バーナー1a〜1dが炉内温度に対して影響を及ぼす限界となる、すなわち影響を及ぼさない位置(加熱炉内の搬送方向の位置)を、補正用炉内温度度K2を算出するための位置N5として決定する。例えばこの位置N5については、位置N4と位置N6との間で少しずつ位置をずらして後述する炉内温度算出工程S1〜鋼材温度算出工程S6を行い、予測温度の精度が高くなる位置を位置N5として決定することができる。
【0027】
具体的には、例えば上記バーナーよりも上流側の位置N2では、上記バーナーから放出される熱の炉内温度に及ぼす影響が比較的大きいと考えられる。このことを考慮し、位置N2での補正用炉内温度K1は、例えば下記式(1)に基づいて算出することができる。なお、下記式(1)に用いられる上記バーナーの燃料流量Fの最小値Fmin及び最大値Fmaxは、例えば鋼材の種類、幅、厚み、長さ、搬送速度等の加熱炉の操業実績に基づいて決定され得る。
K1=T1+(F−Fmin)×(K2−T1)/(Fmax−Fmin)・・・(1)
K2:位置N5での補正用炉内温度[℃]
T1:位置N1での測定炉内温度[℃]
F:燃料流量の測定値[Nm

/h]
Fmin:燃料流量の最小値[Nm

/h]
Fmax:燃料流量の最大値[Nm

/h]
【0028】
一方、例えば上記バーナーよりも下流側の位置N5では、上記バーナーから放出される熱の影響が比較的小さいと考えられる。このことを考慮し、位置N5での補正用炉内温度K2は、図5に示すように、後述する基準温度直線Ls上に位置すると仮定し得る。この位置N5での補正用炉内温度K2は、例えば下記式(2)に基づいて算出することができる。
K2={(T2−T1)/(D6−D1)}×(D5−D1)+T1 ・・・(2)
T1:位置N1での測定炉内温度[℃]
T2:位置N6での測定炉内温度[℃]
D1:位置Nsから位置N1までの距離
D5:位置Nsから位置N5までの距離
D6:位置Nsから位置N6までの距離
【0029】
このように、上記2つの式(1)、(2)によって位置N2での補正用炉内温度K1と、位置N5での補正用炉内温度K2とを算出することができる。これら温度K1、K2は、後述する補正炉内温度算出工程S42で使用される。
【0030】
なお、燃料流量Fが最大値(Fmax)となる場合には、上記式(1)にて、K1=K2となる(図5の位置N2と位置N5との間の領域における二点鎖線Lc2)。一方、燃料流量Fが最小値(Fmin)となる場合には、上記式(1)にて、K1=T1となる(図5の位置N1と位置N2との間の領域における二点鎖線Lc1)。
(【0031】以降は省略されています)

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