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公開番号2021045989
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210325
出願番号2019167974
出願日20190917
発明の名称ガス発生器
出願人日本化薬株式会社
代理人
主分類B60R 21/263 20110101AFI20210226BHJP(車両一般)
要約【課題】環境温度の相違の影響を可能な限り排除しつつ、作動時において所望のガス出力を確実に得ることができるデュアル構造のガス発生器を提供する。
【解決手段】隔壁部材45には、第2燃焼室S2にて発生したガスを第1燃焼室S1に向けて通過させるための第1ガス通過孔48aと、前記第1ガス通過孔48aより内径が大きい第2ガス通過孔48bが設けられ、前記隔壁部材45には、前記隔壁部材45の外側表面に宛がわれることで前記第1ガス通過孔48aを閉鎖する第1閉鎖部46a、および前記第2ガス通過孔48bを覆う第2閉鎖部46bを備えた遮蔽部材46が組付けられたガス発生器1A。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ガス噴出口が設けられた周壁部、前記周壁部の軸方向の一端を閉塞する天板部、および、前記周壁部の軸方向の他端を閉塞する底板部を含むハウジングと、
外周面が前記周壁部の内周面に対向するように前記ハウジングの内部に収容された筒状のフィルタと、
前記天板部側に位置する頂壁部および前記フィルタの内周面に対向する側壁部を含むカップ状の形状を有し、前記底板部に組付けられることにより、前記フィルタの内側の空間を第1ガス発生剤が収容された第1燃焼室および第2ガス発生剤が収容された第2燃焼室に仕切る隔壁部材と、
前記隔壁部材の外側の空間である前記第1燃焼室に面するように前記底板部に組付けられた第1点火器と、
前記隔壁部材の内側の空間である前記第2燃焼室に面するように前記底板部に組付けられた第2点火器と、を備え、
前記隔壁部材には、前記第2燃焼室にて発生したガスを前記第1燃焼室に向けて通過させるための第1ガス通過孔と、前記第1ガス通過孔より内径が大きい第2ガス通過孔が設けられ、
前記隔壁部材には、前記隔壁部材の外側表面に宛がわれることで前記第1ガス通過孔を閉鎖する第1閉鎖部、および前記第2ガス通過孔を覆う第2閉鎖部を備えた遮蔽部材が組付けられ、
前記第2点火器の作動時において、前記第2ガス発生剤が燃焼することで生じる前記第2燃焼室の圧力上昇に起因して前記遮蔽部材が変形して前記第1閉鎖部が変位することにより、前記第1閉鎖部による前記ガス通過孔の閉鎖が解除され、これに伴い、前記第2燃焼室にて発生したガスが、前記ガス通過孔を通過することで前記第1燃焼室に導入され、
前記第2点火器の作動時において、前記第2ガス発生剤が燃焼することで生じる前記第2燃焼室の圧力上昇に起因して前記遮蔽部材が破裂又は脱落して前記第2閉鎖部が開裂又は脱落することにより、前記第2閉鎖部による前記ガス通過孔の閉鎖が解除され、これに伴い、前記第2燃焼室にて発生したガスが、前記ガス通過孔を通過することで前記第1燃焼室に導入される、
ガス発生器。
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
前記第1ガス通過孔及び前記第2ガス通過孔が、前記頂壁部に設けられ、
前記頂壁部は前記遮蔽部材で覆われ、固定されている、請求項1に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記遮蔽部材は前記隔壁部材の前記第2ガス通過孔の周面にかしめ又は溶接で固定されている、請求項2に記載のガス発生器。
【請求項4】
前記遮蔽部材の第2閉鎖部が脆弱部を有している、請求項3に記載のガス発生器。
【請求項5】
前記遮蔽部材が、前記隔壁部材の前記頂壁部と前記側壁部を繋ぐ湾曲部に沿って前記隔壁部材を覆う肩部を備えている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス発生器。
【請求項6】
前記第1ガス通過孔が、前記第2ガス通過孔の頂壁部において径方向外側に、周方向へ向かって点在して複数設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス発生器。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等衝突時に乗員を保護する乗員保護装置に組み込まれるガス発生器に関し、特に、自動車等に装備されるエアバッグ装置に組み込まれるガス発生器に関する。
続きを表示(約 5,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の乗員の保護の観点から、乗員保護装置であるエアバッグ装置が普及している。エアバッグ装置は、車両等衝突時に生じる衝撃から乗員を保護する目的で装備されるものであり、車両等衝突時に瞬時にエアバッグを膨張および展開させることにより、エアバッグがクッションとなって乗員の体を受け止めるものである。
【0003】
ガス発生器は、このエアバッグ装置に組み込まれ、車両等衝突時にコントロールユニットからの通電によって点火器を発火し、点火器において生じる火炎によりガス発生剤を燃焼させて多量のガスを瞬時に発生させ、これによりエアバッグを膨張および展開させる機器である。
【0004】
ガス発生器には、種々の構成のものが存在するが、運転席側エアバッグ装置や助手席側エアバッグ装置等に特に好適に組み込まれるガス発生器として、外径が比較的大きい短尺略円柱状のディスク型ガス発生器がある。このディスク型ガス発生器にも、種々の構造のものが存在し、その一つとしてデュアル構造のディスク型ガス発生器がある。
【0005】
デュアル構造のディスク型ガス発生器は、ハウジングの内部に設置された筒状のフィルタの内側に形成される燃焼室を2室に仕切るとともに、当該2室の各々にガス発生剤を充填し、さらにこれら2室に対応づけて2個の点火器を設け、通常は、一方の点火器が他方の点火器よりも遅れて作動するように構成されたものである。このデュアル構造のディスク型ガス発生器は、単一の燃焼室および単一の点火器のみを具備したシングル構造のディスク型ガス発生器に比べ、所望のガス出力を長時間にわたって維持できるといった、エアバッグの展開により適したガスの出力特性が得られるものである。
【0006】
デュアル構造のディスク型ガス発生器においては、燃焼室を2室に仕切るために、ガス噴出口が設けられたハウジングの内部に圧力隔壁が設けられる。この圧力隔壁は、一般にカップ状の部材にて構成される場合が多く、その場合には、圧力隔壁の外側の空間が、先に燃焼が開始される第1ガス発生剤が収容される第1燃焼室として規定され、圧力隔壁の内側の空間が、遅れて燃焼が開始される第2ガス発生剤が収容される第2燃焼室として規定される。
【0007】
ここで、カップ状の圧力隔壁の筒状の側壁部には、第2燃焼室にて発生したガスが第1燃焼室を介して外部に噴出されるようにするためのガス通過孔が設けられることになるが、当該ガス通過孔は、第1燃焼室における第1ガス発生剤の燃焼時において、未だ燃焼が開始されていない第2燃焼室に収容された第2ガス発生剤に当該第1ガス発生剤の燃焼が影響を及ぼすことがないように封止されていることが必要になる。
【0008】
そのため、ある種のデュアル構造のディスク型ガス発生器においては、上記圧力隔壁を、閉塞端を含むカップ部材と、当該閉塞端を覆うようにカップ部材に組付けられたカップ状の脆弱なカバー部材との2部材に分けて構成し、カップ部材の周壁にガス通過孔を設けることにより、第1ガス発生剤の燃焼時においては、カバー部材によってガス通過孔が閉塞され、第2ガス発生剤の燃焼時においては、第2ガス発生剤が燃焼することで生じる圧力によってガス通過孔を覆う部分のカバー部材に開裂が生じるようにし、これによって第2燃焼室と第1燃焼室とが連通するように構成されている。
【0009】
また、さらに他のある種のデュアル構造のディスク型ガス発生器においては、上記圧力隔壁を、閉塞端を含むカップ部材と、当該カップ部材が相対移動可能に組付けられた筒状部材との2部材に分けて構成し、カップ部材の周壁にガス通過孔を設けることにより、第1ガス発生剤の燃焼時においては、筒状部材によってガス通過孔が閉塞され、第2ガス発生剤の燃焼時においては、第2ガス発生剤が燃焼することで生じる圧力によってカップ部材が筒状部材に対して相対的に移動することにより、ガス通過孔が露出して第2燃焼室と第1燃焼室とが連通するように構成されている。
【0010】
なお、前者の構成のデュアル構造のディスク型ガス発生器が開示された文献としては、たとえば特開2007−131077号公報(特許文献1)があり、後者の構成のデュアル構造のディスク型ガス発生器が開示された文献としては、特表2009−517263号公報(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
特開2007−131077号公報
特表2009−517263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、ガス発生器の出力特性は、当該ガス発生器が置かれた周囲環境の影響を受け、特にその環境温度に依存し、高温環境下において出力特性が強まり、低温環境下において出力特性が弱まる傾向にある。すなわち、高温環境下においては、ガスがより早くかつより強く噴出することになり、低温環境下においては、ガスがより遅くかつより弱く噴出することになる。
【0013】
また、ガス発生器においては、作動時においてガス発生剤が安定して持続的に燃焼することが重要であるところ、ガス発生剤を安定して持続的に燃焼させるためには、ガス発生剤を所定の高圧環境下に置くことが必要である。そのため、通常は、燃焼室と当該燃焼室の外側の空間とを結ぶガス排出孔(デュアル構造のディスク型ガス発生器においては、上述したガス噴出口およびガス通過孔がこれに相当する)の開口面積を所望の大きさに絞ることにより、作動時において燃焼室の圧力が相当程度にまで高まるようにその設計がなされている。
【0014】
ここで、上述したデュアル構造のディスク型ガス発生器においては、その構造上の制約により、第2燃焼室の容積が、第1燃焼室の容積に比べて必然的に小さくなってしまう。そのため、特に低温環境下においてディスク型ガス発生器が作動した場合にも、第2燃焼室の内圧が十分に高まることとなるようにするためには、上述したガス通過孔の開口面積を相当程度に小さく設計することが必要になる。
【0015】
この点、上記特許文献1、2に開示される如くのデュアル構造のディスク型ガス発生器において、上述した低温環境下における第2燃焼室の内圧上昇を確実ならしめるためにガス通過孔の開口面積を相当程度に小さく設計した場合には、高温環境下においてこれが作動した場合に、逆に第2燃焼室の内圧が必要以上に上昇してしまうおそれがある。
【0016】
このように、デュアル構造のガス発生器において、環境温度の相違の影響を可能な限り排除しつつ、所望のガス出力が確実に得られるようにするためには、低温環境下における作動の際の第2ガス発生剤の持続的な燃焼と、高温環境下における作動の際の第2燃焼室の圧力上昇の抑制との、双方を満たすことが必要になる。
【0017】
したがって、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、環境温度の相違の影響を可能な限り排除しつつ、作動時において所望のガス出力を確実に得ることができるデュアル構造のガス発生器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に基づくガス発生器は、ハウジングと、フィルタと、隔壁部材と、第1点火器と、第2点火器とを備えている。上記ハウジングは、ガス噴出口が設けられた周壁部と、上記周壁部の軸方向の一端を閉塞する天板部と、上記周壁部の軸方向の他端を閉塞する底板部とを含んでいる。上記フィルタは、その外周面が上記周壁部の内周面に対向するように上記ハウジングの内部に収容された筒状の部材からなる。上記隔壁部材は、カップ状の形状を有しており、上記天板部側に位置する頂壁部と、上記フィルタの内周面に対向する側壁部とを含んでいる。上記隔壁部材は、上記底板部に組付けられることにより、上記フィルタの内側の空間を、第1ガス発生剤が収容された第1燃焼室と、第2ガス発生剤が収容された第2燃焼室とに仕切っている。上記第1点火器は、上記隔壁部材の外側の空間である上記第1燃焼室に面するように上記底板部に組付けられている。第2点火器は、前記隔壁部材の内側の空間である前記第2燃焼室に面するように前記底板部に組付けられている。上記隔壁部材には、前記第2燃焼室にて発生したガスを前記第1燃焼室に向けて通過させるための第1ガス通過孔と、前記第1ガス通過孔より内径が大きい第2ガス通過孔が設けられている。上記隔壁部材には、前記隔壁部材の外側表面に宛がわれることで前記第1ガス通過孔を閉鎖する第1閉鎖部、および前記第2ガス通過孔を覆う第2閉鎖部を備えた遮蔽部材が組付けられている。上記第2点火器の作動時において、前記第2ガス発生剤が燃焼することで生じる前記第2燃焼室の圧力上昇に起因して前記遮蔽部材が変形して前記第1閉鎖部が変位することにより、前記第1閉鎖部による前記ガス通過孔の閉鎖が解除され、これに伴い、前記第2燃焼室にて発生したガスが、前記ガス通過孔を通過することで前記第1燃焼室に導入される。上記第2点火器の作動時において、前記第2ガス発生剤が燃焼することで生じる前記第2燃焼室の圧力上昇に起因して前記遮蔽部材が破裂又は脱落して前記第2閉鎖部が開裂又は脱落することにより、前記第2閉鎖部による前記ガス通過孔の閉鎖が解除され、これに伴い、前記第2燃焼室にて発生したガスが、前記ガス通過孔を通過することで前記第1燃焼室に導入される。
【0019】
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記第1ガス通過孔及び上記第2ガス通過孔が、上記頂壁部に設けられていてもよい。その場合には、上記頂壁部は前記遮蔽部材で覆われ固定されていてもよい。
【0020】
上記遮蔽部材は第2ガス通過孔の大孔の周面にかしめ又は溶接で固定されていてもよい。
【0021】
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記遮蔽部材の第1開口部に脆弱部を設けてもよい。
【0022】
上記遮蔽部材が、上記隔壁部材の上記頂壁部と上記側壁部を繋ぐ湾曲部に沿って上記隔壁部材を覆う肩部を備えていてもよい。
【0023】
上記第1ガス通過孔が、上記第2ガス通過孔の頂壁部において径方向外側に、周方向へ向かって点在して複数設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、環境温度の相違の影響を可能な限り排除しつつ、作動時において所望のガス出力を確実に得ることができるデュアル構造のガス発生器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aの模式断面図である。
図1に示すII−II線に沿った模式断面図である。
図1に示す隔壁部材の頂壁部の平面図である。
図1に示す遮蔽部材の組立図である。
図1に示すディスク型ガス発生器1Aの動作時の第1段階を示す模式断面図である。
図5中に示すVI−VI線に沿った模式断面図である。
図1に示すディスク型ガス発生器1Aの動作時の第2段階を示す模式断面図である。
図1に示すディスク型ガス発生器1Aの高圧動作時の第3段階を示す模式断面図である。
実施の形態2に係るディスク型ガス発生器1Bの高圧動作時の第3段階を示す模式断面図である。
実施の形態3に係るディスク型ガス発生器1Cの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、自動車のステアリングホイール等に搭載されるエアバッグ装置に好適に組み込まれるデュアル構造のディスク型ガス発生器に本発明を適用したものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aの模式断面図であり、図2は、図1に示すII−II線に沿った模式断面図である。また、図3は、図1に示す隔壁部材の頂壁部の平面図である。図4は、図1に示す遮蔽部材の組立図である。まず、これら図1ないし図4を参照して、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aの構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、ディスク型ガス発生器1Aは、軸方向の一端および他端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間に、内部構成部品としての第1点火器組立体30、第2点火器組立体40、第1ガス発生剤51、第2ガス発生剤52、下側支持部材61、上側支持部材62、フィルタ70等が収容されてなるものである。
【0029】
図1に示すように、ハウジングは、下部側シェル10および上部側シェル20を含んでいる。下部側シェル10および上部側シェル20の各々は、たとえば圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。下部側シェル10および上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等からなる金属板が利用され、好適には440[MPa]以上780[MPa]以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が利用される。
【0030】
下部側シェル10および上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とフランジ部23とを有している。
(【0031】以降は省略されています)

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