TOP特許意匠商標
特許ウォッチ DM通知 Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2021036742
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210304
出願番号2019157882
出願日20190830
発明の名称鉄道車両
出願人株式会社日立製作所
代理人青稜特許業務法人
主分類B60L 3/00 20190101AFI20210205BHJP(車両一般)
要約【課題】
電動機起点のノイズ電流主経路として車体を積極活用し、ノイズ電流が車体以外の構造物やレール等へ拡散して流出することを抑制した鉄道車両を提供する。
【解決手段】
台車上に配置して車輪を回転駆動する電動機と、架線から供給される電力を前記電動機を駆動する三相交流電力に変換する主変換装置と、前記電動機と前記主変換装置間を繋いで前記三相交流電力を送電する三相電線と、少なくとも前記電動機と前記主変換装置間を連続して覆う導体である車体と、前記三相電線を前記車体側へ近接するように支持する電線支持構造とを具備する鉄道車両であって、前記主変換装置と前記車体とを電気的に接続する接地導体と、前記三相電線の可とう性が必要となる領域において前記電動機のフレームと前記車体を電気的に接続する帰還導体とを有し、前記帰還導体は、前記三相電線に近接して沿うように配置するものである。
【選択図】 図1A
特許請求の範囲【請求項1】
台車上に配置して車輪を回転駆動する電動機と、架線から供給される電力を前記電動機を駆動する三相交流電力に変換する主変換装置と、前記電動機と前記主変換装置間を繋いで前記三相交流電力を送電する三相電線と、少なくとも前記電動機と前記主変換装置間を連続して覆う導体である車体と、前記三相電線を前記車体側へ近接するように支持する電線支持構造とを具備する鉄道車両であって、
前記主変換装置と前記車体とを電気的に接続する接地導体と、前記三相電線の可とう性が必要となる領域において前記電動機のフレームと前記車体を電気的に接続する帰還導体とを有し、
前記帰還導体は、前記三相電線に近接して沿うように配置することを特徴とする鉄道車両。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記電線支持構造は、前記車体と電気的に接続され、
前記帰還導体は、前記電線支持構造と接続することにより、前記車体と電気的に接続されることを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記三相電線の可とう性が必要となる領域は、前記電線支持構造の電動機側の終端より、前記電動機間の領域を少なくとも含み、
前記帰還導体は、前記電線支持構造の前記電動機側の終端部近傍において、前記車体と電気的に接続することを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記電線支持構造の電動機側の終端と前記電動機間に前記三相電線等の電線を中継する中継端子台を有し、
前記三相電線の可とう性が必要となる領域は、前記中継端子台より、前記電動機間の領域を少なくとも含み、
前記帰還導体は、前記中継端子台または前記中継端子台近傍において前記車体と電気的に接続することを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記帰還導体は、面状導体または複数の電線で構成し、前記三相電線の少なくとも車体側の面を覆うように配置することを特徴とする鉄道車両。
【請求項6】
請求項5に記載の鉄道車両であって、更に、
前記三相電線の車体側とは反対側の面を覆う帰還導体を備えることを特徴とする鉄道車両。
【請求項7】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記帰還導体は、前記三相電線の周囲を覆うシールド状導体で構成することを特徴とする鉄道車両。
【請求項8】
請求項7に記載の鉄道車両であって、
前記帰還導体を、着脱可能な中継コネクタで前記電線支持構造に接続したことを特徴とする鉄道車両。
【請求項9】
請求項1に記載の鉄道車両であって、前記帰還導体と前記車体間は、コンデンサを介して電気的に接続することを特徴とする鉄道車両。
【請求項10】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記主変換装置より隣接車両の電動機へ前記三相交流電力を送電する列車構成において、
前記車体と隣接車両の車体間を電気的に接続する車間帰還導体を有し、
前記車間帰還導体は前記車体間の空隙を渡って配置される前記三相電線に沿うように配置することを特徴とする鉄道車両。
【請求項11】
請求項10に記載の鉄道車両であって、
前記車間帰還導体は、面状導体または複数の電線で構成することを特徴とする鉄道車両。
【請求項12】
請求項10に記載の鉄道車両であって、
前記車間帰還導体は、前記車体間の空隙を渡って配置される前記三相電線を覆うシールド状導体で構成することを特徴とする鉄道車両。
【請求項13】
請求項10に記載の鉄道車両であって、
前記車体と隣接車両の車体間は、抵抗器またはコンデンサを介して電気的に接続することを特徴とする鉄道車両。
【請求項14】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記車体上に設置される機器は、前記三相電線の配線経路の領域を除いて、前記車体と接地接続することを特徴とする鉄道車両。
【請求項15】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記電線支持構造は、樋状構造または梯子状構造であることを特徴とする鉄道車両。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機を備える鉄道車両に関する。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
電気鉄道車両においては、架線より取得する電力を元に、インバータ等の主変換装置にて三相交流電力を生成して、台車上の電動機へ三相電線を通して供給し、電動機を回転駆動する。主変換装置における三相交流電力の生成には、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)方式が用いられる。同方式では、電動機の高効率な変速制御を可能とする一方、主変換装置内のスイッチング素子の制御シーケンスに起因して、電動機内固定子巻線の中性点の電位変動が生じる。
【0003】
上記構成の鉄道車両にて電動機を駆動する際、固定子巻線の中性点で発生する電位変動は、寄生容量を介して電動機のフレーム等に表出する。そして、付近に存在する電線、台車枠や車軸などのあらゆる導電性構造物との電気的結合によって、コモンモードノイズ電流として車体やレールへ広がって流出し、主変換装置に帰還する経路を形成する。ノイズ電流の帰還電流経路上に車上装置の接地線等が存在する場合、装置の基準電位等を擾乱して機能不全を誘発し得る。また、レールへ流出するノイズ電流は、軌道上に配置される信号装置と結合して誘導障害を誘発し得るし、隣接車両等へ伝搬して被害範囲拡大の原因となり得る。このため、上述したノイズ電流拡散の抑制対策を採る必要がある。
【0004】
電動機起因のノイズ電流を抑制する技術として、特開平4−193001号公報(特許文献1)には、「この発明にかかる電気車の駆動装置の接地装置は、制御装置と駆動電動機間の導電性金属材からなる配線用ダクトの一端を制御装置箱体に、他端を固定子枠にそれぞれ接続し、電機子巻線に発生した高調波電流が車体を経由することなく、直接半導体装置制御部へ吸収させるようにしたものである。」と記載されている(課題を解決するための手段参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平4−193001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、三相電線を収容する配線用ダクトがノイズ電流経路となるよう、車体と絶縁した配線用ダクトの一端を主変換装置の箱体に、他端を電動機フレームへ接続し、車体を含む他構造物へ流出するノイズ電流を抑制する構成例を開示している。この構成においては、三相電線と配線用ダクト間、ならびに、配線用ダクトと車体間の寄生容量が考慮されておらず、MHz帯の高周波成分を含むノイズ電流の多くは、寄生容量を通して配線用ダクト上に表出し、配線用ダクトよりも低インダクタンス導体である車体へと拡散して流出する恐れがある。
【0007】
特許文献1のように従来の鉄道車両では、ノイズ電流経路に極力車体を含めないように設計されてきた。しかしながら、実際の車両構成においては、電線や配線用ダクト径に比して大きい面導体である車体が主変換装置と電動機上を連続して覆い、かつ、三相電線と近接して存在している。そのため、車体との寄生容量や相互誘導等の影響を完全に排除して、車体経由の電流経路の形成を抑制することは困難である。さらに、これを抑制しようとして電線等用いた帰還経路を別に構成する場合、三相電線や電動機周辺構造物との寄生容量を介したより低インダクタンスの新規ノイズ電流経路を形成して、却って問題が複雑化する等の課題がある。
【0008】
そこで本発明は、従来の鉄道車両設計とは相異なり、電動機起点のノイズ電流主経路として車体を積極活用し、ノイズ電流が車体以外の構造物やレール等へ拡散して流出することを抑制した鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、
台車上に配置して車輪を回転駆動する電動機と、架線から供給される電力を前記電動機を駆動する三相交流電力に変換する主変換装置と、前記電動機と前記主変換装置間を繋いで前記三相交流電力を送電する三相電線と、少なくとも前記電動機と前記主変換装置間を連続して覆う導体である車体と、前記三相電線を前記車体側へ近接するように支持する電線支持構造とを具備する鉄道車両であって、前記主変換装置と前記車体とを電気的に接続する接地電線と、前記三相電線の可とう性が必要となる領域において前記電動機のフレームと前記車体を電気的に接続する帰還導体とを有し、前記帰還導体は、前記三相電線に近接して沿うように配置するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電動機を起点としたノイズ電流が車体以外の構造物やレール等へ拡散して流出することを抑制した鉄道車両を提供できる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施例1に係る鉄道車両の構成とノイズ電流経路を示した側方から見た構成図である。
本発明の実施例1に係る鉄道車両の構成とノイズ電流経路を示した下方から見上げた構成図である。
従来技術の鉄道車両の構成とノイズ電流経路を示した側方から見た構成図である。
従来技術の鉄道車両の構成とノイズ電流経路を示した下方から見上げた構成図である。
電線支持構造が樋状構造である場合の、従来技術の車両構成における車体下面のノイズ電流分布の解析結果を示す図である。
電線支持構造が樋状構造である場合の、実施例1の車両構成における車体下面のノイズ電流分布の解析結果を示す図である。
電線支持構造が梯子状構造である場合の、実施例1の車両構成における車体下面のノイズ電流分布の解析結果を示す図である。
本発明の実施例1に係る帰還導体の構成例を示す図である。
本発明の実施例1に係る帰還導体の他の構成例を示す図である。
本発明の実施例1に係る帰還導体の他の構成例を示す図である。
本発明の実施例2に係る鉄道車両の構成を示した図である。
本発明の実施例3に係る鉄道車両の構成を示した図である。
本発明の実施例4に係る車上機器の接地接続例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0015】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例1である鉄道車両を図1から図7を用いて説明する。本実施例では、特定構成の鉄道車両の形態を説明するが、本発明の構成仕様は本実施例に限定されるものではなく、車両に搭載する装置や電線の構成、配置等に応じて適宜変形できる。また、適用車両は、架線や第三軌条より電力を取得して走行する車両に限らない。新交通システムや磁気浮上式鉄道等動力の方式に依らず、電動機より主変換装置へと帰還するノイズ電流が発生し得る車両であれば、適用することができる。
【0017】
図1Aおよび図1Bは、本実施例における鉄道車両を示した図である。図1Aは側方から見た構成図、図1Bは車両下より見上げた構成図を示す。本実施例の鉄道車両は、変電所から鉄道車両の駆動電力を送電する架線300、鉄道車両の走行路かつ変電所への帰線電流経路を兼ねるレール301で構成する設備上を走行する。本実施例の鉄道車両は、金属構体である車体100、架線300より電力を取得するパンタグラフ200、パンタグラフ200で取得した電力を送電する高圧電線201、レール301と接触して車両を支える車輪105、三相交流電力受けて車輪105を回転駆動する電動機103、電動機103を固定支持する台車枠106、車輪105を介してレール301へ接続する接地装置104、電動機103を回転駆動する三相交流電力を生成する主変換装置101、主変換装置101と電動機103間を接続して三相交流電力を送電する三相電線107、三相電線107を車体100側に近接して支持する電線支持構造102、電動機103のフレーム上に誘起する低周波ノイズ電流を主変換装置101へ帰還させる主経路として設けるフレーム接地線108により構成される。さらに、電動機103のフレームと車体100または車体100と同電位の電線支持構造102とを接続する帰還導体110、三相電線107側で主変換装置101と車体100または車体100と同電位の電線支持構造102とを接続する接地導体a111、主変換装置101と車体100とを接地接続する接地導体b112を備えている。なお、符号109は、電動機103内の固定子とフレーム間に存在する寄生容量を示す。
【0018】
図では、電線支持構造102は、車体側を開放として主変換装置101と電動機103間を連続して覆う樋状構造を意図して示したが、梯子状に構成するラックやダクト構造など、車体側に近接して三相電線107を固定支持する構造であれば良い。また、各支持構造を構成する金属部材は、浮遊導体とならないよう車体100と電気的に接続されていることが望ましい。ダクト構造を採用する際は、車体100と同電位となるよう複数点で車体100と電気的に接続することが望ましい。図では、電動機103のフレームと接地装置104間を電線で接続するよう示したが、これは電動機103のフレーム上に誘起するノイズ電圧をレール301上に逃すこと等を目的として一般的に採られる構成である。同ノイズ電圧を主変換装置101へ逃すフレーム接地線108が十分に機能していれば省略しても良いが、上記のうち少なくとも一方は設置することが望ましい。図では、フレーム接地線108は1本の電線として示したが、インダクタンス低減を目的に複数本配置しても良い。また、フレーム接地線108は、三相電線107との相互誘導効果を高めるため、三相電線107と極力近接させて敷設することが望ましい。図では、主変換装置101の接地手段として、接地導体a111および接地導体b112を並列して示しているが、車体100と接地導体a111との間の抵抗値が規格基準を下回るようであれば、接地導体b112を省略しても良い。また、接地導体b112を設ける場合は、主変換装置101上の三相電線107引き出し口に極力近接させて設けることが望ましい。また、図では、直流き電を想定して高圧電線201を主変換装置101に直接接続して示したが、本発明は直流車両に限定されるものではない。交流き電の場合は、変圧器および、主変換装置101内に直流変換部等を適宜追加して構成する。
【0019】
図2Aおよび図2Bにおいて、従来技術の車両構成における電動機103のフレーム上に表出するコモンモードノイズ電流経路について説明する。図2Aは側方から見た構成図、図2Bは車両下より見上げた構成図を示す。図では、主変換装置101より電動機103へ向かう電流をコモンモードノイズ進行電流、電動機103より主変換装置101へ戻る電流をコモンモードノイズ帰還電流として定義した。このとき、ノイズ帰還電流は主として3つの経路を持つ。(1)相互誘導効果によって三相電線107に近接する車体100および樋状電線支持構造102上を流れる経路、(2)ノイズ進行電流経路周辺に存在する静電容量109を介して低インダクタンス導体である車体100上を拡散して流れる経路、ならびに、(3)電動機103フレームに接続された接地線等を通してレール〜他台車を経由して、隣接車両より流入して車体100上を拡散して流れる経路である。
【0020】
鉄道車両の三相電線107等、車体100から台車部へ接続される電線や構造物は、台車部が軌道曲線部においてピッチ角に回転するため、余長を以て可とう性が必要となる領域が発生する(図2B、点破線部分)。このため、従来技術の車両構成においては、同領域において電線支持構造等の可とう性を持たない構造物は配置できず、(1)のノイズ帰還電流経路形成の妨げとなっていた。したがって、ノイズ帰還電流の多くは(2)および(3)の経路へと拡散して流出することとなり、軌道上の信号装置や車上機器の機能不全を誘発することがあった。今後、主変換装置101のスイッチング高速化によってノイズ帰還電流経路が複雑化し、低電力駆動の車上機器の増加に伴って被害対象装置が拡大し、従来のフェライトコアやシールド部材の追加等の対策では解決が困難となることが懸念される。そのため、安定したノイズ帰還電流経路を設計する必要性がある。
【0021】
図1Aおよび図1Bに示した本実施例の構成では、電線支持構造102と台車上の電動機103との間の三相電線107の可とう性が必要となる領域において、帰還導体110を追加接続する。ここで、可とう性が必要となる領域とは、電線支持構造102の電動機側の終端より電動機103間の領域を少なくとも含む領域である。帰還導体110は、電動機103のフレームと車体100、または車体と接続された電線支持構造102を電気的に接続し、三相電線107に近接して沿うように配置する。これにより、三相電線107と帰還導体110の相互誘導効果が生じ、ノイズ帰還電流の誘導効果が大きい(1)のノイズ電流経路を活用することが可能となる。
【0022】
図3Aおよび図3Bに、電線支持構造102を樋状に構成し、車体100の中央部に配置された三相電線107の一方に4MHzのコモンモードノイズ電流を入力した場合の、車体100上のノイズ電流分布の解析結果(車両下より見上げ方向)を示す。図3Aは従来技術の車両構成における解析結果、図3Bは本実施例の車両構成(可とう性が必要となる領域において、三相電線の上下に面状帰還導体を追加接続した構成。後述する図5。)における解析結果であり、白色に近いほどノイズ電流が大きいことを意味している。図3Aに示した解析結果より、従来技術の車両構成では、台車部付近の電線支持構造102が途切れる領域を起点として、(2)ノイズ進行電流周辺経路周辺に存在する静電容量を介して車体上を拡散して流れる経路と、(3)電動機フレームに接続された接地線等を通してレール〜他台車を経由して車体上を拡散して流れる経路の誘起が確認できる。一方、帰還導体を有する本実施例の図3Bの解析結果では、(1)相互誘導効果によって三相電線に近接する車体および樋状電線支持構造上を流れる経路が支配的となり、(2)および(3)経路上のノイズ帰還電流は−30dB以上低減される。つまり、本実施例の構成によれば、ノイズ帰還電流の拡散が少ない鉄道車両を提供できる。
【0023】
図4に、図3Aおよび図3Bと同様の解析条件において、電線支持構造102を梯子状に構成した場合の、車体100上のノイズ電流分布の解析結果を示す。樋状構造に比して側方および下方が開放状態であるにも関わらず、相互誘導効果によって車体100上の三相電線107の対向面に限定してノイズ帰還電流が集中し、車体100上に拡散して還るノイズ帰還電流の発生が抑制されている。つまり、より軽量な電線支持構造によっても、ノイズ帰還電流の拡散が少ない鉄道車両を提供できる。
【0024】
図5には、帰還導体の構成例を示す。本構成例は、三相電線107とフレーム接地線108を支持する、車体100と同電位である電線支持構造102と、電動機103のフレーム間を簡易かつ効果的に接続する例である。三相電線107およびフレーム接地線108は、図示の都合上分断しているが、実際には電動機103の固定子各相の端子までそれぞれ引き回して接続される。本構成例において、三相電線107は主変換装置101付近を起点とする電線支持構造102の終端部と電動機103間において可とう性が必要となる。帰還導体110aは、面状もしくは複数本の電線から成る低インダクタンス経路であり、車体100と三相電線107間の静電結合を疎とし、車体100と連続したノイズ経路が構成されるよう、少なくとも三相電線107の上部の車体100側を覆うように配置することが望ましい。本例では相互誘導効果を高めるため、三相電線107の下部にも帰還導体110bを配置している。帰還導体110a,110bは、一端を電動機103のフレーム上に、他端を電線支持構造102等の車体100と同電位の導体、または、車体100と直接接続する。図では、上部の帰還導体110aは車体100に接続され、下部の帰還導体110bは電線支持構造102へ接続されている。帰還導体110a,110bは三相電線107との相互誘導効果が高まるよう三相電線107に沿うように配置する。前述した接続位置は、相互誘導効果が十分に得られるよう車体100と三相電線107間の離隔距離が変化する箇所より1mの範囲内に接続することが望ましい。このとき、三相電線107に沿っていれば、帰還導体110a,110bの接続位置は主変換装置101側に延長しても良い。また、走行時の風圧等による帰還導体110a,110bの姿勢変化が懸念される場合は、三相電線107等の電線類と帰還導体110a,110bを合わせて適宜固定して良い。なお、面状導体は台車部のピッチ回転に耐え得る可とう性素材である必要があり、面状編組線や複数本の電線等を適用する。本構成例によれば、簡易な追加改造により、ノイズ帰還電流の拡散が少ない鉄道車両を提供できる。
【0025】
図6に、帰還導体の他の構成例を示す。本構成例は、電線支持構造102と電動機103間に、三相電線107およびフレーム接地線108を中継する中継端子台118を設け、台車部と車体100間の切離しの際の作業容易性を考慮した車両構成において、帰還導体110を設けた例である。三相電線107およびフレーム接地線108は、図示の都合上分断しているが、実際には連続して中継端子台118および電動機103の固定子各相の端子までそれぞれ接続される。本構成例において、三相電線107は、中継端子台118と電動機103間において可とう性が必要となる。なお、中継端子台118と電動機103間に電線支持構造が存在する場合は、終端の電線支持構造を起点とする。帰還導体110は、一端を電動機103のフレーム上に、他端を中継端子台118等の車体100と同電位の導体、または、車体100と直接接続する。電線支持構造102と中継端子台118間において、三相電線107と車体100間の離隔距離が変化する場合は、三相電線107の経路に沿うように両端を車体100または車体100と同電位の構造物と電気的に接続する帰還導体を追加設置しても良い。本構成例によれば、車体と台車間着脱時の作業性に優れた、ノイズ帰還電流の拡散が少ない鉄道車両を提供できる。
【0026】
図7に、帰還導体の他の構成例を示す。本構成例は、三相電線107とフレーム接地線108を支持する車体100と同電位である電線支持構造102と、電動機103のフレーム間をケーブルシールド構造の帰還導体120により効果的に接続する例である。三相電線107、フレーム接地線108および帰還導体120は、図示の都合上一部分断しているが、実際には連続して相互に接続される。帰還導体120は、三相電線107およびフレーム接地線108を覆う可とう性のシールド状導体として構成する。ここでは、電線支持構造102側の接続を着脱可能な中継コネクタ113とし、電動機103のフレームへの接続には編組線等の面状導体として例示した。本構成例においては、三相電線107は、中継コネクタ113と電動機103間において可とう性が必要となる。また、帰還導体120両端の接続については、双方ともに低インピーダンスで接続されていれば良く、他の接続手段を採用しても良い。中継コネクタ113は、シールドである帰還導体120と取付面の板状導体とを電気的に接続する。図では、板状導体は電線支持構造102と接続する最良例を示したが、相互に離隔した前の構成例の中継端子台として構成しても良い。このとき、前記板状導体は車体100と確実に接続する。本構成例によれば、三相電線107の配線経路上のうち一部へのケーブルシールド構造の追加のみで良く、主変換装置101から電動機103まで全てに渡ってケーブルシールドを適用する構成に比して、重量、コストや作業性の面でも優れ、双方の装置間電位差に起因して誘起する電流が発生する可能性も低い。これに加えて、ケーブル長増大によるシールドインダクタンス値の増加についても影響は限定的である。着脱容易なコネクタの採用によって、作業性と耐久性に優れた、ノイズ帰還電流の拡散が少ない鉄道車両を提供できる。
【0027】
本実施例によれば、電線支持構造により三相電線を車体に近接配置し、電線支持構造と台車部間の三相電線の可とう性が必要となる領域では、電動機のフレームと車体とを接続する帰還導体を、三相電線に沿って配置したので、ノイズ電流帰還経路とノイズ電流進行経路が近接し、他へ拡散流出する電流を抑制できる。かつ、ノイズ電流経路で構成するループ面積が小さくなるため、放射ノイズも低減する。即ち、軌道上装置や車上機器の機能不全の誘発を防止し、周囲環境への放射ノイズ量の小さい、低ノイズ鉄道車両を提供できる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明の実施例2である鉄道車両を、図8を用いて説明する。
図8は、本発明の構成において、レール301上を流れる変電所への帰線電流を考慮しなければならない場合の構成例である。架線300より取得した電力は、車両上の負荷を経由した後、レール301通って変電所へ帰還する。レール301上を流れる帰線電流は数百Aオーダとなる場合も存在するため、車体100を経由する帰線電流経路が構成されると、接地装置104等を損傷する恐れがある。したがって、従来技術の車両構成においても、フレーム接地線108を有する場合は主変換装置101内のフレーム接地線108上にコンデンサを設けて、帰線電流の直流成分もしくは商用周波数の交流成分を遮断する方法が一般的に採られている。本発明の構成においても同様に、車両上を帰線電流が流れる懸念が有り、電動機103のフレームを接地する必要がある場合には、車輪105〜接地装置104〜電動機103のフレーム〜帰還導体110〜車体100を通して、他台車や他車両を経由し、レール301へ戻る経路が構成されてしまう。このため、帰線電流を帰還導体110上で遮断するコンデンサ114を配置する。コンデンサ114は、ノイズ電流の周波数において数Ω未満の低インピーダンスとなる容量値を選定する。図では、コンデンサ114の位置を車体100上の電線支持構造102寄りとしたが、確実に固定されて振動耐性が十分であれば、電動機103側に設置しても良い。また、帰還導体110と車体100、または、電線支持構造102間を中継コネクタ113にて接続する場合には、コネクタシェル内にコンデンサ114を実装しても良い。
【0029】
本実施例によれば、帰線電流の流入を防止した、ノイズ帰還電流の拡散が少ない鉄道車両を提供できる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例3である鉄道車両を、図9を用いて説明する。
図9は、本発明の構成において、主変換装置101より隣接車両の電動機109へ三相交流電力を送電する場合の構成例である。図において、主変換装置101より隣接車両100の電動機103へ三相電線107により三相交流電力を送電する。この場合、ノイズ帰還電流の主要経路である車体100が途切れる車両間の空隙部が生じる。この空隙部において、車体間の空隙を渡って、三相電線107に近接して沿うように車間帰還導体116を設置する。車間帰還導体116は、低インダクタンス導体であり、推奨構造等は帰還導体110と同様の、面状導体または複数の電線である。また、三相電線107を覆うシールド状導体で構成することもできる。
(【0031】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

株式会社日立製作所
冷却器
株式会社日立製作所
鉄道車両
株式会社日立製作所
制御装置
株式会社日立製作所
編成車両
株式会社日立製作所
軌条車両
株式会社日立製作所
軌条車両
株式会社日立製作所
電源装置
株式会社日立製作所
軌条車両
株式会社日立製作所
軌条車両
株式会社日立製作所
制御装置
株式会社日立製作所
制御装置
株式会社日立製作所
鉄道車両
株式会社日立製作所
開閉装置
株式会社日立製作所
撮像装置
株式会社日立製作所
ガス遮断器
株式会社日立製作所
半導体装置
株式会社日立製作所
ガス遮断器
株式会社日立製作所
ガス遮断器
株式会社日立製作所
光計測装置
株式会社日立製作所
ガス遮断器
株式会社日立製作所
ガス遮断器
株式会社日立製作所
ガス遮断器
株式会社日立製作所
ガス遮断器
株式会社日立製作所
ガス遮断器
株式会社日立製作所
半導体装置
株式会社日立製作所
ガス遮断器
株式会社日立製作所
細胞培養装置
株式会社日立製作所
風力発電装置
株式会社日立製作所
軌条車両構体
株式会社日立製作所
診断支援装置
株式会社日立製作所
乗客コンベア
株式会社日立製作所
情報処理装置
株式会社日立製作所
半導体チップ
株式会社日立製作所
細胞製造装置
株式会社日立製作所
静止誘導電器
株式会社日立製作所
エレベーター
続きを見る