TOP特許意匠商標
特許ウォッチ DM通知 Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2021036316
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210304
出願番号2020132679
出願日20200804
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人特許業務法人秀和特許事務所
主分類G03G 9/087 20060101AFI20210205BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】低温定着性、耐ホットオフセット性及び濃度ムラの解消を満足させるトナー。
【解決手段】非晶性部位と結晶性部位を有する樹脂を結着樹脂として含有するトナーであって、樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の含有割合が、40質量%以上80質量%以下であり、該テトラヒドロフラン不溶分の示差走査熱量計測定において、最大吸熱ピークの温度をTm[℃]とし、吸熱量をH(I)[J/g]としたとき、下記式(1)及び(2)を満足することを特徴とするトナー。
55.0 ≦ Tm ≦ 80.0 (1)
10.0 ≦ H(I)≦ 80.0 (2)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
非晶性部位と結晶性部位を有する樹脂を結着樹脂として含有するトナーであって、
樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の含有割合が、40質量%以上80質量%以下であり、
樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の割合は下記式、
樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の割合=(トナーにおける樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の量)/(トナーにおける樹脂成分の量)×100
で求められ、
該テトラヒドロフラン不溶分の示差走査熱量計測定において、
最大吸熱ピークの温度をTm[℃]とし、吸熱量をH(I)[J/g]としたとき、
下記式(1)及び(2)を満足することを特徴とするトナー。
55.0 ≦ Tm ≦ 80.0 (1)
10.0 ≦ H(I)≦ 80.0 (2)
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記吸熱量H(I)が、下記式(3)を満足する請求項1に記載のトナー。
16.5 ≦ H(I)≦ 65.0 (3)
【請求項3】
前記結晶性部位が、結晶性を有するビニル樹脂部位であり、
該結晶性を有するビニル樹脂部位が、重合性単量体A

を含む単量体の重合体である重合体A

部位であり、
該重合性単量体A

が、炭素数18〜36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートであり、
該重合体A

部位中の該重合性単量体A

ユニットの質量割合が、30質量%〜99質量%である請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記非晶性部位は、結晶性を有するビニル樹脂とポリエステル樹脂が炭素―炭素結合により相互に架橋された非晶性の変性樹脂部位である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項5】
前記変性樹脂部位における、前記結晶性を有するビニル樹脂に由来する部位が、重合性単量体A

を含む単量体の重合体である重合体A

部位であり、
該重合性単量体A

が、炭素数18〜36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートであり、
該重合体A

部位中の重合性単量体A

ユニットの質量割合が、30質量%〜99質量%である請求項4に記載のトナー。
【請求項6】
前記結着樹脂は、
前記非晶性部位である、結晶性を有するビニル樹脂とポリエステル樹脂とが炭素―炭素結合により相互に架橋された架橋型ポリエステル樹脂部位、及び
前記結晶性部位である、結晶性を有するビニル樹脂部位
を含有する請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項7】
前記樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分のガラス転移温度が、25〜55℃である請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項8】
前記トナーにおける炭素―炭素二重結合の含有量が、トナーの質量に基づいて、0.50mmol/g以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項9】
前記トナーの定荷重押し出し方式のレオメータによる昇温測定において、1/2流出温
度が、80℃以上130℃以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項10】
前記トナーが離型剤を含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項11】
該離型剤のピーク分子量が、1000以上である請求項10に記載のトナー。
【請求項12】
該離型剤の融点が、80℃以上120℃以下である請求項10又は11に記載のトナー。
【請求項13】
前記離型剤の酸価が、5.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下である請求項10〜12のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項14】
該離型剤の酸価をAV

、前記非晶性部位の酸価をAV

としたとき、下記式(4)を満足する請求項10〜13のいずれか1項に記載のトナー。
AV

>AV

(4)
【請求項15】
前記トナーのテトラヒドロフラン可溶分の粘弾性測定において、150℃における貯蔵弾性率G’(150)が、1.0×10

Pa以上1.0×10

Pa以下である請求項1〜14のいずれか1項に記載のトナー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法を利用した画像形成方法に用いられるトナーに関する。
続きを表示(約 11,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンターといった電子写真装置の分野においても、省エネルギー化が大きな技術的課題として考えられ、この課題を解決するために定着装置にかかる熱量の大幅な削減が求められている。そのため、トナーには、低熱量で定着が可能であること、即ち良好な低温定着性が求められている。
従来、より低温での定着を可能とするためには、結着樹脂をよりシャープメルトにする手法が効果的な方法の一つとして知られている。この点において結晶性樹脂を用いたトナーが紹介されている。結晶性樹脂は、分子鎖が配列することにより、明確なガラス転移を示さず、結晶融点まで軟化しにくい特性をもつため、耐熱保存性と低温定着性を両立できる材料として検討が行われている。
また、メディアの多品種化も進んでいる。紙の坪量が大きく凹凸面が多いボンド紙の需要は多く、ボンド紙の紙繊維への含浸性は、結晶性樹脂によるシャープメルト性で担保する必要がある。しかし、結晶性樹脂を用いるとシャープメルト性は向上するものの、高温での弾性が不足し、高温オフセットが発生しやすい。そのため、結晶性樹脂を非晶性樹脂と混合することにより、高温での弾性を確保することが考えられるが、この場合、十分なシャープメルト性を示すことができていない。
【0003】
また、トナー粒子内の結着樹脂の架橋構造を制御することで、トナーの高温における弾性を制御することは可能だが、ボンド紙の凹部では、定着工程で熱がかかりにくくなるため、架橋された樹脂の可塑性が低くなり、濃度ムラが発生するとともに低温定着性が低下する。
特許文献1では、結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ブロックをエステル化することによって得られたブロック共重合体を粉砕トナーに用いることで、低温加熱による定着が可能であることが示されている。
また、特許文献2では、アルコール成分と不飽和脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とを縮重合させてえられる結晶性ポリエステルと、非晶質ポリエステルをラジカル重合開始剤の存在下で、溶融混練する工程を含む電子写真用トナーの製造方法が提案されている。
この文献においては、結晶性ポリエステルを部分的に炭素−炭素結合で架橋して高分子量化させることで、混練後の冷却工程において、結晶性ポリエステルの再結晶化が促進される。
特許文献3では、長鎖アルキル基を含有する結晶性樹脂および非晶性樹脂を含有するトナーが提案されている。この文献においては、示差走査熱量計(DSC)により測定されたトナーバインダーの、第1回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークに基づく吸熱量に対する、第1回目の昇温過程から冷却した後の第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークに基づく吸熱量の比が規定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007−114635号公報
特開2010−145929号公報
特開2018−156074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1について本発明者らが検討した結果、前記ブロック共重合体を使用して融点以上の加熱を施すと、結晶性樹脂における結晶性を崩してしまう可能性があり、シャープメルト性が低下して低温定着性が阻害されることがわかった。
また、特許文献2について本発明者らが検討した結果、再結晶化が促進される状態を維持しようとすると、高温側での弾性が不足して、ホットオフセットが発生しやすくなるとともに濃度ムラが発生しやすくなることがわかった。
また、特許文献3のトナーバインダーを使用して作製したトナーについて本発明者らが検討した結果、結晶性樹脂のシャープメルト性に優れるものの、架橋構造を含む非晶性樹脂の可塑が進みにくいため、低温定着性が改善しないことがわかった。
これらの構成では、シャープメルト性による低温定着性、高温側の定着性(耐ホットオフセット性)、及び濃度ムラの解消に関して、いずれかについて満足しなかった。以上のように結晶性部位を結着樹脂に導入したトナーにおいて、さらなる改善が求められる。
本発明の目的は、低温定着性、耐ホットオフセット性及び濃度ムラの解消を満足させるトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
非晶性部位と結晶性部位を有する樹脂を結着樹脂として含有するトナーであって、
樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の含有割合が、40質量%以上80質量%以下であり、
樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の割合は下記式、
樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の割合=(トナーにおける樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の量)/(トナーにおける樹脂成分の量)×100
で求められ、
該テトラヒドロフラン不溶分の示差走査熱量計測定において、
最大吸熱ピークの温度をTm[℃]とし、吸熱量をH(I)[J/g]としたとき、
下記式(1)及び(2)を満足することを特徴とするトナー。
55.0 ≦ Tm ≦ 80.0 (1)
10.0 ≦ H(I)≦ 80.0 (2)
【発明の効果】
【0007】
本発明により、低温定着性、耐ホットオフセット性及び濃度ムラの解消を満足させるトナーを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
粘弾性を測定するための測定サンプル及び治具の概略図
摩擦帯電量を測定する装置の概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本明細書において、数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
結晶性を有する樹脂とは、示差走査熱量計測定において、明確な吸熱ピークを有する樹脂を示す。
【0010】
以下にトナーについて説明する。
電子写真プロセスにおける定着工程は、トナーに対して熱と圧力を極短時間に加えることで、トナーを転写材に固定化する工程である。
トナーは非晶性部位と結晶性部位を有する樹脂を結着樹脂として含有する。
背景技術で述べたように結晶性部位を導入することにより、シャープメルト性に優れたトナーを作製することが可能になった。ここでいうシャープメルト性とは、トナーに熱量を付与しながら温度を上げていったときに溶融が開始する挙動を表したものである。
また、トナーに耐ホットオフセット性を付与するには、非晶性部位の弾性を向上させる手段が考えられる。例えば、非晶性部位に架橋構造を導入することで弾性を制御することが可能になる。
よって、低温定着性に必要なシャープメルト性を保持した結晶性部位と、耐ホットオフセット性の付与に必要な高温弾性を保持する非晶性部位をトナーの結着樹脂に組み込む手段が挙げられる。
【0011】
しかしながら、上記特徴をもった結晶性部位を保持した結晶性樹脂と非晶性部位を保持した非晶性樹脂を単純に混合した結着樹脂を使用した場合、定着工程においてトナーが溶融した際に、溶融した結晶性樹脂がトナー粒子から遊離してくるため、ホットオフセット発生の原因となる。また、定着時には、ボンド紙のような凹凸部が多い転写材を使用すると、定着部材とトナーの距離が不均一になり接触時間がバラつくため、加熱が不均一になる。そのため、トナーの溶融ムラが発生しやすくなり、画像上に濃度ムラ(モトリング)が発生する。
また、非晶性部位は架橋構造を有すると分子構造の運動性が低下するため、ガラス転移温度が上昇して、定着時に可塑しにくくなる。そのため、低温定着時には、ボンド紙のような転写材を使用した際は、トナー同士の接着が弱くなり、定着画像の一部が欠落して定着工程のローラなどに定着したトナーが付着して、画像上に抜け(ポツ抜け)が発生する。
【0012】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、結晶性部位と非晶性部位によるブロックポリマー化を進めた結着樹脂を使用することで、いずれの弊害も解消することが可能になることを見出した。
ブロックポリマー化した結着樹脂においては、結晶性部位と非晶性部位がミクロ相分離構造をとるため、結晶性部位が定着工程で速やかに可塑しても、非晶性部位と遊離することがなくなり耐ホットオフセット性が改善する。また、結晶性部位が可塑することにより、非晶性部位も十分に可塑することになるため、低温定着時にトナー同士の接着が速やかに進むことになるため、ポツ抜けが発生しにくくなる。また、トナー母体粒子の溶融も均一に進みやすくなるため、濃度ムラも解消する。
【0013】
トナーにおける樹脂成分のテトラヒドロフラン(以下、THFともいう)不溶分を用いた、示差走査熱量計測定において、最大吸熱ピークの温度をTm[℃]とし、吸熱量をH(I)[J/g]としたとき、
下記式(1)及び(2)を満足することが必要である。
55.0 ≦ Tm ≦ 80.0 (1)
10.0 ≦ H(I)≦ 80.0 (2)
【0014】
Tmが55.0℃未満では、トナーの耐熱保存性が満足できない。また、Tmが80.0℃を超えると、定着時に転写材にかける温度を非常に高くする必要がでてくるため、低温定着性が低下する。Tmは、好ましくは58.0℃〜77.0℃であり、より好ましくは60.0℃〜77.0℃である。Tmは、結晶性樹脂の組成により制御できる。
【0015】
さらに、吸熱量H(I)が、10.0J/g未満であると、結着樹脂に含まれる結晶性部位と非晶性部位のブロックポリマー化が不十分であり、非晶性部位の可塑が進まずポツ抜けが発生する。また、吸熱量が低いと非晶性樹脂のトナー間での溶融にばらつきが出るため、濃度ムラが発生し、耐ホットオフセット性が低下する。吸熱量H(I)は、好まし
くは11.5J/g以上であり、より好ましくは13.0J/g以上であり、さらに好ましくは16.5J/g以上である。
一方、H(I)が80.0J/gを超えると吸熱量が大きくなりすぎるため、トナー全体の溶融に熱量が必要になる。そのため、高速で多数枚印字した画像において、十分にトナー溶融の熱が確保できず、画像上のトナーが剥離し、ポツ抜けが発生しやすくなる。吸熱量H(I)は、好ましくは65.0J/g以下であり、より好ましくは50.0J/g以下であり、さらに好ましくは40.0J/g以下である。
H(I)は、結晶性部位と非晶性部位の結合度により制御でき、結合度は後述する開始剤の添加量や非晶性部位の原料となる架橋型ポリエステルに含まれる炭素―炭素結合の濃度により制御できる。
【0016】
樹脂成分のTHF不溶分の含有割合が、40質量%以上80質量%以下である必要があり、
樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の割合は下記式で求められる。
樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の割合は下記式、
樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の割合=(トナーにおける樹脂成分のテトラヒドロフラン不溶分の量)/(トナーにおける樹脂成分の量)×100
不溶分率が40質量%未満であると、例えば非晶性部位の架橋構造によってもたらされる高温弾性が不十分となり、耐ホットオフセット性が確保できない。不溶分率が80質量%を超えるとトナーの弾性が高すぎることにより、低温定着性が低下して定着域が十分に確保できなくなる。また、定着工程で多数枚印字するとトナーの溶融ムラが大きくなり、画像のモトリングが発生する。
該THF不溶分の含有量は、好ましくは45質量%以上78質量%以下であり、より好ましくは50質量%以上77質量%以下であり、さらに好ましくは、53質量%以上76質量%以下である。該THF不溶分の含有量は、結晶性部位及び非晶性部位の組成や分子量、結晶性部位と非晶性部位の結合度により制御でき、結合度は後述する開始剤の添加量や非晶性部位の原料となる架橋型ポリエステルに含まれる炭素―炭素結合の濃度により制御できる。
【0017】
トナーにおいて、非晶性部位は、結晶性を有するビニル樹脂とポリエステル樹脂が炭素―炭素結合により相互に架橋された非晶性の変性樹脂部位(架橋型ポリエステル樹脂)であることが好ましい。尚、架橋される前のビニル樹脂が有していた結晶構造は、ビニル樹脂がポリエステル樹脂と架橋したことによって崩れるため、変性樹脂部位としては非晶性を示すようになる。
結着樹脂の製造方法について説明する。
結着樹脂は、非晶性部位である、結晶性を有するビニル樹脂とポリエステル樹脂とが炭素―炭素結合により相互に架橋された非晶性の架橋型ポリエステル樹脂部位及び、結晶性部位である結晶性を有するビニル樹脂部位を含有することが好ましい。
例えば、架橋型ポリエステル樹脂及び結晶性を有するビニル樹脂や添加剤を混合する場合の混合方法は一般的に行われる公知の方法でよく、混合方法としては、粉体混合、溶剤混合及び溶融混合等が挙げられる。粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
【0018】
溶剤混合の方法としては、以下の方法が挙げられる。架橋型ポリエステル樹脂及び結晶性を有するビニル樹脂を有機溶剤に溶解し、均一化させた後、脱溶剤及び粉砕する方法;並びに架橋型ポリエステル樹脂及び結晶性を有するビニル樹脂を有機溶剤に溶解し、水中に分散させた後、造粒及び脱溶剤する方法
溶融混合の方法としては、炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂及び結晶性を有するビニル樹脂を溶融混合しながら、炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂を
架橋して、架橋型ポリエステル樹脂を形成させ、結着樹脂を得る方法が挙げられる。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度において、短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、2軸押出器、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等が挙げられる。
【0019】
また、架橋型ポリエステル樹脂及び結晶性を有するビニル樹脂や添加剤は、トナーを製造する時に同時に混合してもよい。この方法の中では、均一に混合し、溶剤除去の必要のない溶融混合が好ましい。
なかでも結晶性を有するビニル樹脂と炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂とを溶融混合しながら架橋する方法が好ましい。この方法により、炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂の炭素―炭素二重結合を反応させる。これは、加熱等による水素引き抜き反応によって、炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂に含まれる炭素原子に結合した水素原子を引き抜いて架橋する方法によっても可能である。
また、この製造方法では、同時に結晶性を有するビニル樹脂の主鎖においても、ラジカル開始剤などを添加することにより、水素引き抜き反応を誘発させることができる。これにより、炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂と結晶性を有するビニル樹脂を反応させて、結着樹脂のブロックポリマー化(架橋型ポリエステル樹脂化)を達成することが可能となる。
【0020】
この溶融混合を行うための具体的方法としては、炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂と結晶性を有するビニル樹脂との混合物を、例えば、2軸押出機に一定速度で注入し、同時にラジカル反応開始剤も一定速度で注入し、好ましくは100℃〜200℃の温度で混練搬送しながら反応を行わせるなどの方法がある。
このとき、2軸押出機に投入又は注入される反応原料である炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂と結晶性を有するビニル樹脂は、それぞれ樹脂反応溶液から冷却することなくそのまま直接押出機に注入してもよい。一旦製造した樹脂を冷却、粉砕したものを2軸押出機に供給してもよい。
溶融混合する方法がこれら具体的に例示された方法に限られるわけではなく、例えば反応容器中に原料を仕込み、溶液状態となる温度に加熱し、混合するような方法など適宜の方法で行うことが可能である。
【0021】
トナーに使用する結着樹脂は、結晶性を有するビニル樹脂の重合時に使用した化合物及びその残渣を含んでいてもよい。
結着樹脂を製造する際に、結晶性を有するビニル樹脂の炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂に対する混合質量比(ビニル樹脂/ポリエステル樹脂)は、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性を改善する観点から、好ましくは45/55〜95/5であり、より好ましくは48/52〜80/20であり、さらに好ましくは、50/50〜70/30である。
結着樹脂中の、結晶性部位の非晶性部位に対する質量比(結晶性部位/非晶性部位)は、好ましくは18/82〜65/35であり、より好ましくは22/78〜55/45である。
結着樹脂の数平均分子量Mnは、好ましくは5000〜40000程度であり、より好ましくは8000〜20000程度である。
結着樹脂の重量平均分子量Mwは、好ましくは10000〜80000程度であり、より好ましくは20000〜60000程度である。
結着樹脂における重量平均分子量Mwの数平均分子量Mnに対する比(Mw/Mn)は、好ましくは2.5〜6.0程度であり、より好ましくは3.0〜5.0程度である。
【0022】
ラジカル反応開始剤は、特に制限されず、無機過酸化物、有機過酸化物、及びアゾ化合
物等が挙げられる。また、これらのラジカル反応開始剤を併用してもかまわない。
無機過酸化物は、特に限定されないが、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0023】
有機過酸化物は、特に制限されないが、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサート、アセチルパーオキシド、イソブチルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m−トルイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及びt−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
【0024】
アゾ化合物又はジアゾ化合物は、特に制限されないが、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’ −アゾビスイソブチロニトリル、1,
1 ’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−
メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0025】
これらの中でも開始剤効率が高く、シアン化合物などの有毒な副生成物を生成しないことから、有機過酸化物が好ましい。さらに、架橋反応が効率よく進行し、使用量が少なくて済むことから、水素引抜き能の高い反応開始剤がさらに好ましく、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ベンゾイルパーオキンド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ヘキシルパーオキシド等の水素引抜き能の高いラジカル
反応開始剤が特に好ましい。
【0026】
ラジカル反応開始剤の使用量は、特に制限されないが、炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂の構成成分中に含まれる不飽和カルボン酸成分及び不飽和アルコール成分に基づいて、混合する結晶性を有するビニル樹脂及び炭素―炭素二重結合を有するポリエステル樹脂100.0質量部に対して0.1質量部〜10.0質量部が好ましい。
ラジカル反応開始剤の使用量が、0.1質量部以上の場合に架橋反応が進行し易くなる傾向にあり、10.0質量部以下の場合に、臭気が良好となる傾向にある。この使用量は、0.3質量部以上8.0質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上5.0質量部以下であることがさらに好ましい。
【0027】
トナーにおける炭素―炭素二重結合の含有量は、特に制限されないが、トナーの質量に基づいて、好ましくは0.50mmol/g以下であり、より好ましくは0.40mmol/g以下であり、さらに好ましくは0.30mmol/g以下である。
上記範囲の場合、トナーの電荷リークが軽減され、帯電性が安定化する。
下限は特に制限されないが、好ましくは0.10mmol/g以上であり、より好ましくは0.20mmol/g以上である。
【0028】
結晶性部位は、結晶性を有するビニル樹脂部位であることが好ましい。結晶性を有するビニル樹脂部位は、重合性単量体Aを含む単量体の重合体である重合体A

部位であるこ
とが好ましい。重合性単量体A

は、炭素数18〜36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートである。重合体A

部位中の重合性単量体A

ユニットの質量割合が、30質量%〜99質量%であることが好ましい。
該質量割合が30質量%以上であると低温定着性が向上し、99質量%以下であると耐ホットオフセット性が向上する。さらに低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の両立の点から、より好ましくは50質量%〜98質量%であり、さらに好ましくは55質量%〜97質量%であり、さらにより好ましくは60質量%〜95質量%である。
重合性単量体A

の鎖状炭化水素基の炭素数が18以上であると、結晶性部位の融点が上昇し、トナーの耐熱保存性が向上する。該炭素数が36以下であると融点が適切であるため、低温定着性が向上する。
非晶性部位は、結晶性を有するビニル樹脂とポリエステル樹脂が炭素―炭素結合により相互に架橋された非晶性の変性樹脂部位であって、結晶性を有するビニル樹脂に由来する部位とポリエステル部位を有する。非晶性部位において、結晶性を有するビニル樹脂に由来する部位は、重合性単量体A

を含む単量体の重合体である重合体A

部位であることが好ましい。重合性単量体A

は、炭素数18〜36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートである。
ブロックポリマーを形成しやすくする観点から、非晶性部位である変性樹脂部位(架橋型ポリエステル樹脂部位)における結晶性を有するビニル樹脂部位(即ち、重合体A

部位)、及び結晶性部位における結晶性を有するビニル樹脂部位(即ち、重合体A

部位)が同様の構造を有することが好ましい。すなわち、非晶性部位である変性樹脂における結晶性を有するビニル樹脂部位が、重合性単量体A

を含む単量体の重合体である重合体A

に由来するものであることが好ましい。
そして、重合性単量体A

は、炭素数18〜36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートであり、重合体A

部位中の重合性単量体A

ユニットの質量割合が、30質量%〜99質量%であることが好ましい。同様に、重合体A

部位中の重合性単量体A

ユニットの質量割合も、30質量%〜99質量%であることが好ましい。
【0029】
炭素数18〜36の鎖状炭化水素基は、炭素数18〜36の鎖状不飽和炭化水素基及び炭素数18〜36の鎖状飽和炭化水素基(以下、アルキル基とも記載する)等が挙げられる。炭素数18〜36の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートの内、好ましいものとしては、炭素数18〜36のアルキル基を有する(メタ)アクリレートである。
【0030】
炭素数18〜36のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、炭素数18〜36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ヘンエイコサニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、モンタニル(メタ)アクリレート、ミリシル(メタ)アクリレート及びドドリアコンチル(メタ)アクリレート等]及び炭素数18〜36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
(【0031】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

キヤノン株式会社
金型
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
光学系
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
梱包材
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
複合機
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
モータ
キヤノン株式会社
トナー
キヤノン株式会社
梱包体
キヤノン株式会社
表示装置
キヤノン株式会社
電子機器
キヤノン株式会社
撮像装置
続きを見る