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公開番号2021033186
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210301
出願番号2019156272
出願日20190829
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人特許業務法人秀和特許事務所
主分類G03G 9/087 20060101AFI20210201BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】良好な画像濃度安定性、画質及び転写性を有し、カブリを抑制できるトナー。
【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーの個数基準におけるメジアン径D50が、3.0μm以上6.0μm以下であり、該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とに個数基準で概ね均等に二分して、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群とに分け、吸着平衡測定装置による該大粒径側粒子群又は該小粒径側粒子群の水分吸着測定で得られた30℃での水分吸着等温線において、相対湿度80%のときの水分吸着量に関して、該小粒径側粒子群の該水分吸着量をAds(mg/g)とし、該大粒径側粒子群の該水分吸着量をAdl(mg/g)としたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
3.0≧Adl/Ads≧1.1 (1)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの個数基準におけるメジアン径D50が、3.0μm以上6.0μm以下であり、
該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とに個数基準で概ね均等に二分して、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群とに分け、
吸着平衡測定装置による該大粒径側粒子群又は該小粒径側粒子群の水分吸着測定で得られた30℃での水分吸着等温線において、相対湿度80%のときの水分吸着量に関して、
該小粒径側粒子群の該水分吸着量をAds(mg/g)とし、該大粒径側粒子群の該水分吸着量をAdl(mg/g)としたとき、
下記式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
3.0≧Adl/Ads≧1.1 (1)
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
前記Adsが下記式(2)を満たし、
前記Adlが下記式(3)を満たす請求項1に記載のトナー。
5.0> Ads ≧2.0 (2)
8.0> Adl ≧5.0 (3)
【請求項3】
前記トナーの個数基準の粒度分布において、小粒子側からの累積値が10個数%となる粒径をD10とし、小粒子側からの累積値が90個数%となる粒径をD90としたとき、
下記式(4)で得られるスパン値が、0.2以上0.7以下である請求項1又は2に記載のトナー。
スパン値=(D90−D10)/D50 (4)
【請求項4】
X線光電子分光分析による前記トナー粒子表面のO−C=O結合に由来する炭素原子の存在量Aの測定において、
前記大粒径側粒子群の前記トナー粒子における該存在量AをAl(atomic%)とし、
前記小粒径側粒子群の前記トナー粒子における該存在量AをAs(atomic%)としたとき、
下記式(5)及び(6)を満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
3.00>Al≧1.50 (5)
1.50>As≧0.50 (6)
【請求項5】
前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項6】
前記トナー粒子が、結晶性ポリエステル樹脂を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項7】
前記トナー粒子が、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体及び離型剤を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項8】
前記トナー粒子が、粉砕トナー粒子である請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式、及び、静電印刷方式などに用いられるトナーに関する。
続きを表示(約 9,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、更なる高速化、高画質化はもちろんのこと、画像濃度の安定化の向上も要求されている。
具体的な高画質化対応策としては、ドット再現性を高めるため、小粒径のトナーが求められている。
そこで、ドット再現性を高めるため、小粒径かつ粒度分布がシャープなトナーが提案されている(特許文献1)。
さらに、粒度分布にばらつきがあるトナーに対して、帯電性能や歩留まりを良くするため、ケイ酸微粒子の被覆率をその粒径範囲ごとに調整したトナーも提案されている(特許文献2)。
また、具体的な画像濃度の安定化策としては、低湿環境下でも帯電量が大きくなりすぎないトナーが求められている。
そこで、低湿環境下でも帯電量が大きくならない外添設計がなされたトナーが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2016−128885号公報
特開2006−145800号公報
特開平04−316056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の小粒径トナーは、常温常湿環境下における画像出力では、良好な画質が得られる。しかし、粒径に依らず、一律のシェル層及び無機微粒子の被覆率を有しているため、表面電荷密度は一定である。そのために、粒径が小さくなることにより表面積が減るため、トナー1粒当たりの帯電量が小さくなっている。
この現象は、高温高湿環境下における小粒径トナーの粒度分布のうち、さらに微粉側のトナーでより顕著に現れ、帯電量が小さいことから電界への追従性が低下する。その結果、電子写真方式における転写工程において、静電潜像担持体から中間転写体あるいはメディアへ電界を用いて転写を試みると、トナーの転写性が低下する場合があることがわかった。また、AC現像システムにおいては、静電潜像担持体からの引き戻しバイアスによる力が弱いため、静電潜像担持体にトナーが付着したままとなり、カブリが発生する場合があることがわかった。
また、特許文献2に記載のトナーは、粒径範囲ごとに無機微粒子の被覆率を調整しているため、粒径により表面電荷密度が異なる。しかし、微粉側のトナーの帯電性能を抑える方向に被覆率を調整しているため、転写性は低下し、カブリがより顕著に発生する場合があることがわかった。
【0005】
また、特許文献3に記載のトナーは、画像濃度安定性は良化する。しかし、高画質の観点からこの無機微粒子を小粒径トナーに適用すると、比表面積の観点化から被覆率は下がるため、トナー1粒あたりの帯電量が小さくなる。その結果、静電潜像担持体から中間転写体あるいはメディア上へのトナーの転写性が低下する場合があることがわかった。
また、AC現像システムにおいては、静電潜像担持体に付着したトナーの帯電量が小さいことにより、静電潜像担持体からの引き戻しバイアスによる力より付着力が勝る。そのため、静電潜像担持体にトナーが付着したままとなり、カブリが発生する場合があることがわかった。
一方、その対策としてトナー1粒あたりの帯電量を高くするため、無機微粒子の添加量を多くすると、単位質量当たりの帯電量が高くなりすぎるため、静電潜像が少量のトナーによって埋められてしまい、画像濃度が低下し、画像濃度安定性が低下する場合があることがわかった。
以上のことから、画像濃度安定性と、転写性及びカブリの抑制と、はトレードオフ関係にあり、このトレードオフ関係を脱却し、優れた画質性を示すトナーの開発が急務となっている。本発明は、良好な画像濃度安定性、画質及び転写性を有し、カブリを抑制できるトナーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの個数基準におけるメジアン径D50が、3.0μm以上6.0μm以下であり、
該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とに個数基準で概ね均等に二分して、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群とに分け、
吸着平衡測定装置による該大粒径側粒子群又は該小粒径側粒子群の水分吸着測定で得られた30℃での水分吸着等温線において、相対湿度80%のときの水分吸着量に関して、
該小粒径側粒子群の該水分吸着量をAds(mg/g)とし、該大粒径側粒子群の該水分吸着量をAdl(mg/g)としたとき、
下記式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
3.0≧Adl/Ads≧1.1 (1)
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、良好な画像濃度安定性、画質及び転写性を有し、カブリを抑制できるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
熱球形化処理装置の例
【発明を実施するための形態】
【0009】
数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
【0010】
上述のように、特許文献1に記載のような小粒径トナーは、画像濃度安定性と、転写性及びカブリの抑制と、がトレードオフ関係にある。すなわち、画質、画像濃度安定性、転写性、及び、カブリの抑制に改良の余地がある。
そこで、本発明者等は、優れた画質、画像濃度安定性及び転写性を有し、カブリを抑制できるトナーの検討を進めた。画質を向上させるためにトナーを小粒径化すると、トナー1粒子当たりの表面積が低下し、帯電量が低下する。そのために、電界で駆動する転写性が低下し、カブリが発生しやすくなる。
これに対して、従来から提案されているようにトナーの帯電量を上げるだけでは、転写性が良化しカブリを抑制できるものの、静電潜像が少量のトナーによって埋められてしまうため、画像濃度が低下し、画像濃度安定性が低下する。
【0011】
そこで、本発明者らは、さらに検討を進め、転写性低下及びカブリ発生の主要因と、画像濃度安定性低下の主要因は、トナーの粒径分布において異なる粒径の粒子にあることを
見出した。
具体的には、転写性低下及びカブリ発生の主要因は、1粒子当たりの帯電量が低い微粉である。一方、画像濃度安定性低下の主要因は、1粒子当たりの質量が大きい粗粉が影響を及ぼす質量当たりの帯電量である。そのため、それぞれの粒径ごとに課題の対策を施せば、このトレードオフを脱却できることを見出した。
【0012】
該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とに個数基準で概ね均等に二分して、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群とに分け、
吸着平衡測定装置による該大粒径側粒子群又は該小粒径側粒子群の水分吸着測定で得られた30℃での水分吸着等温線において、相対湿度80%のときの水分吸着量に関して、
該小粒径側粒子群の該水分吸着量をAds(mg/g)とし、該大粒径側粒子群の該水分吸着量をAdl(mg/g)としたとき、下記式(1)を満たすことが必要である。
3.0≧Adl/Ads≧1.1 (1)
【0013】
トナー1粒あたりの水分吸着量が小さいほど、トナー1粒の電荷が水に漏えいしにくくなり、帯電量は上昇する。トナーが式(1)を満たすことにより、トナー1粒あたりの水分吸着量は、大粒径側粒子群(以下、大粒径側トナーともいう)よりも小粒径側粒子群(以下、小粒径側トナーともいう)のほうが相対的に小さくなる。
その結果、小粒径側のトナー1粒あたりの帯電量が上昇し、小粒径化に伴う課題である転写性低下及びカブリを抑制することができる。さらに、小粒径側と大粒径側の帯電量の差が小さくなるため、画像濃度安定性を高くすることができる。
【0014】
好ましくは、下記式(1’)を満たし、さらに好ましくは下記式(1’’)を満たすことである。
2.5≧Adl/Ads≧1.6 (1’)
2.0≧Adl/Ads≧1.6 (1’’)
上記範囲であると、電界飛翔力の小さいトナーを低減できるため、転写性低下及びカブリを抑制することができる。さらに、小粒径側トナーと大粒径側トナーの帯電量の差が小さくなるため、画像濃度安定性を高くすることができる。
なお、トナーを大粒径側粒子群と小粒径側粒子群とに分割する方法については後述する。両粒子群はいずれも、粒径に関して分布を有するものであり、大粒径側粒子群の中心粒径が、小粒径側粒子群の中心粒径よりも大きいという関係にある。また、大粒径側粒子群に含まれる最小の粒子が、小粒径側粒子群に含まれる最大の粒子よりも大きいという関係にはない。
【0015】
トナーの水分吸着量は、下記の方法により測定することが可能である。
<トナーの水分吸着量の測定方法>
トナーへの水分吸着量は、吸着平衡測定装置(BELSORP−aqua3:日本ベル株式会社製)によって測定される。この装置は、対象とする気体(水蒸気)の吸着量を測定する装置である。
(脱気)
測定前にサンプルに吸着している水分を脱気する。セル、フィラーロット、キャップをつけて、空の重さを量る。サンプルを約0.3g量りセルへ投入する。フィラーロットをセル内へ入れ、キャップを取り付けて、脱気ポートへ取り付ける。測定するセルを全て脱気ポートへ取り付けたら、ヘリウムの弁を開ける。脱気するポートのボタンをONにし、「VAC」ボタンを押す。これで1日以上脱気を行う。
【0016】
(測定方法)
定部本体の電源をON(本体後ろ側にスイッチがある)にする。同時に真空ポンプも起動する。循環水用の本体及び操作盤の電源をONにする。PC画面中央部にある「BEL
aqua3.exe」(測定用ソフト)を立ち上げる。空気高温槽の温度制御:「流路図」ウインドウ上の「TIC1」の枠にある「SV」をダブルクリックし、「温度設定」ウインドウを開く。温度(80℃)を入力して、設定をクリックする。吸着温度の制御:「流路図」ウインドウの「吸着温度」の「SV」をダブルクリックし、「SV値」(吸着温度)を入力する。「循環開始」及び「外温制御」をクリックし、設定をクリックする。
「PURGE」ボタンを押し、脱気を止め、ポートのボタンをOFFにしてサンプルを取り外し、キャップ2を取り付けて、サンプルの重さを量った後、本体測定部にサンプルを取り付ける。PC上で、「測定条件」をクリックし、「測定条件設定」ウインドウを開く。測定条件は以下の通り。
【0017】
空気恒温槽温度:80.0℃、吸着温度:30.0℃、吸着質名称:H

O、平衡時間:500sec、温度待ち:60min、飽和蒸気圧:4.245kPa、サンプル管排気速度:普通、化学吸着測定:しない、初期導入量:0.20cm

(STP)・g
−1
、測定相対圧範囲数:4
測定検体数を選択し、「測定データファイル名」と「サンプル重量」を入力する。測定をスタートする。
(解析)
解析ソフトを立ち上げて、解析する。相対水蒸気圧80%における水分吸着量Ads、Adlを求める。
【0018】
〔トナーを二分する方法〕
以下の方法で、トナーを大粒径側と小粒径側とに個数基準で概ね均等に二分して得られた大粒径側粒子群と小粒径側粒子群を上記サンプルとして用いて水分吸着量を測定する。
トナーを、慣性分級方式のエルボージェット分級機(日鉄鉱業(株)製)を用い、大粒径側と小粒径側とに個数基準で概ね均等に二分する。エルボージェットの運転条件であるフィード量・微粉分級エッジを適正化し、粗粉分級エッジを最大にして閉じることで、トナーを大粒径側粒子群と小粒径側粒子群に概ね均等に二分されるように調整する。
エルボージェットの運転条件の設定においては、先ず、大粒径側と小粒径側の風量が同じになるように風量調節弁を調整した上で、微粉分級エッジを動かし、大粒径側と小粒径側とに振り分けられる粒子数の差が8%程度になる位置を求める。その後、微粉分級エッジをその位置に固定して、大粒径側と小粒径側の風量調節弁を微調整し、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群とが個数基準で概ね均等に(粒子数の差が4%以下に)二分されるように調整する。この際、例えば、フィード量を5kg/hrとし、エルボージェット内の微粉通過側の壁と微粉分級エッジの先端との距離を10〜15mmとすればよい。
分級した大粒径側粒子群と小粒径側粒子群それぞれに対し、上述の方法で水分吸着量を測定する。
なお、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群との粒子数の差が4%以下になる程度に二分して、それらの粒子群が本発明の規定を満たすのであれば、効果が十分に得られる。そのため、本発明における“概ね均等に二分する”とは、粒子数の差が4%以下になる程度に二分することを意味する。
【0019】
また、好ましくは、小粒径側粒子群の水分吸着量Ads(mg/g)が下記式(2)を満たし、大粒径側粒子群の水分吸着量Adl(mg/g)が下記式(3)を満たす。より好ましくは、下記式(2’)及び(3’)を満たす。
5.0> Ads ≧2.0 (2)
8.0> Adl ≧5.0 (3)
4.5> Ads ≧2.5 (2’)
7.5> Adl ≧6.0 (3’)
【0020】
式(2)及び(3)を満たすことにより、トナー1粒あたりの水分吸着量が、大粒径側
よりも小粒径側のほうが相対的に小さくなる。その結果、小粒径側のトナー1粒あたりの帯電量が上昇し、小粒径化に伴う課題である転写性低下カブリをより抑制することができる。さらに、小粒径側と大粒径側の帯電量の差が小さくなるため、画像濃度安定性をより高くすることができる。
トナー1粒あたりの水分吸着量は、トナー粒子表面のO−C=O結合の存在量に起因する。カルボニル基と水分子とが水素結合するため、トナー粒子表面のO−C=O結合が多く存在するほど、水分吸着量は大きくなると考える。
したがって、トナー粒子表面のO−C=O結合の存在量により、Adl、Adsを制御することができる。
【0021】
トナー粒子表面のO−C=O結合の存在量は、トナー粒子表面の結晶性樹脂の存在量に比例すると考える。
トナー粒子表面の結晶性樹脂の存在量は、結着樹脂に用いられる非晶性樹脂の種類、結晶性樹脂の種類、結晶性樹脂の含有量により制御することができる。
例えば、非晶性樹脂と結晶性樹脂の親和性が低い場合、結晶性樹脂はトナー粒子内部よりもトナー粒子表面に存在したほうがエネルギー的に安定である。そのため、トナー粒子表面近傍へ移行しやすく、トナー粒子表面のO−C=O結合の存在量は高くなると推測する。
【0022】
非晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分としてビスフェノール類を使用する場合、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の比率をコントロールすることによって、樹脂の極性を変えることができる。エチレンオキサイド付加物の比率を高くすることにより、結晶性ポリエステルとの親和性が低くなる。その結果、結晶性ポリエステル樹脂はトナー粒子表面近傍へ移行しやすく、トナー粒子表面のO−C=O結合の存在量は高くなることがある。
また、トナー粒子中の結晶性樹脂の含有量が多いほど、トナー粒子表面への移行は顕著であると考える。
トナー表面を熱処理した際には、トナー粒子内部の結晶性樹脂の分子運動が活発になり、結晶性樹脂のトナー粒子表面への移行が促進される。
【0023】
また、トナーの個数基準のメジアン径(D50)が、3.0μm以上6.0μm以下であることが必要である。D50は、3.0μm以上5.5μm以下であることが好ましく、3.0μm以上5.0μm以下であることがより好ましい。
D50が前記範囲である場合、ドット再現性が良くなり、優れた画質が得られる。D50が3.0μm以上であることで、転写性が良好になりカブリを抑制できる。また、D50が6.0μm以下であることで、高精細の画質が良好となる。
トナーの個数基準におけるメジアン径(D50)は走査型電子顕微鏡による二次電子像の観察と、続く画像処理により求めることができる。
【0024】
トナーの個数基準におけるメジアン径(D50)の測定は、走査電子顕微鏡(SEM)、S−4800(日立製作所社製)を用いて行う。
具体的には、電子顕微鏡観察用の試料台上にカーボンテープでトナーを一層になるように固定し、白金による蒸着を行い、以下の条件にて、走査電子顕微鏡S−4800(日立製作所社製)で観察する。フラッシング操作を行ってから観察を行う。
SignalName=SE(U,LA80)
AcceleratingVoltage=2000Volt
EmissionCurrent=10000nA
WorkingDistance=6000um
LensMode=High
Condencer1=5
ScanSpeed=Slow4(40秒)
Magnification=50000
DataSize=1280×960
ColorMode=Grayscale
【0025】
走査電子顕微鏡S−4800の制御ソフト上で‘コントラスト5、ブライトネス−5’に明るさを調整し、キャプチャスピード/積算枚数‘Slow4を40秒’、画像サイズ1280×960pixelsの8bitの256階調グレースケール画像として、二次電子像であるトナーの投影像を得る。画像上のスケールから、1pixelの長さは0.02μm、1pixelの面積は0.0004μm

となる。
続いて、得られた二次電子による投影像を用いて、トナー100粒について投影面積円相当径を算出する。解析するトナー100粒の選択方法の詳細は後述する。
【0026】
次に、トナー粒群の部分を抽出し、抽出されたトナー1粒のサイズをカウントする。具体的には、まず、解析するトナー粒群を抽出するため、トナー粒群と背景部分を分離する。Image−Pro Plus5.1Jの「測定」−「カウント/サイズ」を選択する。「カウント/サイズ」の「輝度レンジ選択」で、輝度レンジを50〜255の範囲に設定して、背景として写りこんでいる輝度の低いカーボンテープ部分を除外し、トナー粒群の抽出を行う。
カーボンテープ以外の方法でトナー粒群を固定した際には、必ずしも背景が輝度の低い領域とならない、あるいは、部分的にトナー粒群と同じような輝度となる可能性は皆無ではない。しかし、トナー粒群と背景の境界については、二次電子観察像から容易に区別できる。抽出を行う際、「カウント/サイズ」の抽出オプションで、4連結を選択し、平滑度5を入力、穴埋めるにチェックを入れ、画像の全ての境界(外周)上に位置するトナー粒や他のトナー粒と重なっているトナー粒については、計算から除外する。
次に「カウント/サイズ」の測定項目で、面積とフェレ径(平均)を選択し、面積の選別レンジを最小100pixel、最大10000pixelとして、画像解析するトナー各粒を抽出する。抽出されたトナー粒群からトナー1粒を選択し、その粒子に由来する部分の大きさ(pixel数)を(ja)を求める。得られたjaより下記式を用いて、投影面積円相当径d

を得る。


={(4×ja×0.3088)/3.14}
1/2
次いで、抽出された粒子群の各粒子に対して、選択されるトナー粒の数が100となるまで同様の処理を行う。一視野中のトナー粒の数が100に満たない場合には、別視野のトナー投影像について同様の操作を繰り返す。
得られたトナー100粒について、投影面積円相当径が昇順に並べ、50個目にあたるトナー粒の投影面積円相当径を、トナーの個数基準におけるメジアン径(D50)とする。
【0027】
トナー中の、小粒径側粒子群の含有量は、30質量%〜70質量%であることが好ましく、40質量%〜60質量%であることがより好ましい。また、大粒径側粒子群の含有量は、30質量%〜70質量%であることが好ましく、40質量%〜60質量%であることがより好ましい。
【0028】
また、トナーの個数基準の粒度分布において、小粒子側からの累積値が10個数%となる粒径をD10とし、小粒子側からの累積値が90個数%となる粒径をD90としたとき、下記式(4)で得られるスパン値が0.2以上0.7以下であることが好ましく、0.2以上0.5以下であることがより好ましい。
スパン値=(D90−D10)/D50 (4)
スパン値が前記範囲である場合、粒度分布がシャープであることを意味する。粒度分布がシャープであると、1粒当たりの帯電量が極端に小さい微粉が少ないため、優れた現像
性及びカブリの抑制が得られる。また、1粒当たりの帯電量が極端に大きい粗粉が少ないため、現像時や転写時の飛び散りを抑制し、優れた画質が得られる。
D90及びD10は、上記走査型電子顕微鏡による二次電子像の観察と、続く画像処理より得ることができる。
【0029】
また、X線光電子分光分析によるトナー粒子表面のO−C=O結合に由来する炭素原子の存在量Aの測定において、大粒径側粒子群のトナー粒子における該存在量AをAl(atomic%)とし、小粒径側粒子群のトナー粒子における該存在量AをAs(atomic%)としたとき、下記式(5)及び(6)を満たすことが好ましい。
3.0>Al≧1.5 (5)
1.5>As≧0.5 (6)
【0030】
トナー1粒あたりの水分吸着量は、トナー粒子表面のO−C=O結合の存在量に起因すると考えている。カルボニル基と水分子とが水素結合するため、トナー粒子表面のO−C=O結合が多く存在するほど、水分吸着量は大きくなると推測する。トナー粒子表面のO−C=O結合の存在量は、結着樹脂に用いられる非晶性樹脂の種類、結晶性樹脂の種類、結晶性樹脂の含有量により制御することができる。
式(5)及び(6)を満たすことにより、トナー1粒あたりの水分吸着量が、大粒径側よりも小粒径側のほうが相対的に小さくなる。その結果、小粒径側のトナー1粒あたりの帯電量が上昇し、小粒径化に伴う課題である転写性低下及びカブリ発生をより抑制することができる。さらに、小粒径側と大粒径側の帯電量の差が小さくなるため、画像濃度安定性をより高くすることができる。
(【0031】以降は省略されています)

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