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公開番号2021033155
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210301
出願番号2019155605
出願日20190828
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人個人,個人
主分類G03G 9/097 20060101AFI20210201BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】トナーの低温定着性を改良させた場合においても、高温高湿環境で高速プリンターを長期間使用した際のベタ画像の濃度ムラや画像欠けの発生を抑制できるトナーを提供することにある。
【解決手段】結着樹脂、ワックス、及び脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を含むトナーであって、
ヘキサンを用いて、前記トナー粒子に対してソックスレー抽出を2時間行った際のヘキサン抽出分に含有される前記脂肪酸金属塩の量が、前記結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上0.18質量部以下であり、
前記結着樹脂100質量部に対して、前記ワックスの含有量をA(質量部)とし、前記脂肪酸金属塩の含有量をB(質量部)としたとき、前記Aが10.0質量部以上40.0質量部以下であり、前記Bが0.04質量部以上0.43質量部以下であり、
走査透過型電子顕微鏡で観察される前記トナー粒子の断面において、前記ワックスのドメインが存在し、前記ドメインの円相当個数平均径が、30nm以上1000nm以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
結着樹脂、ワックス、及び脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を含むトナーであって、
ヘキサンを用いて、前記トナー粒子に対してソックスレー抽出を2時間行った際のヘキサン抽出分に含有される前記脂肪酸金属塩の量が、前記結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上0.18質量部以下であり、
前記結着樹脂100質量部に対して、前記ワックスの含有量をA(質量部)とし、前記脂肪酸金属塩の含有量をB(質量部)としたとき、前記Aが10.0質量部以上40.0質量部以下であり、前記Bが0.04質量部以上0.43質量部以下であり、
走査透過型電子顕微鏡で観察される前記トナー粒子の断面において、前記ワックスのドメインが存在し、前記ドメインの円相当個数平均径が、30nm以上1000nm以下であることを特徴とするトナー。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
走査透過型電子顕微鏡で観察される前記トナー粒子の断面において、前記ワックスのドメインが存在し、前記ドメインの円相当個数平均径が、30nm以上500nm以下であり、前記ドメインの平均個数が、20個以上3000個以下である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記ワックスの含有量Aに対する前記脂肪酸金属塩の含有量Bが、下記式(1)を満たす請求項1または2に記載のトナー。
0.002≦B/A≦0.025 ・・・・式(1)
【請求項4】
ヘキサンを用いて、前記トナー粒子に対してソックスレー抽出を2時間行った際、2時間抽出したときのヘキサン可溶分をW2質量%、8時間抽出したときのヘキサン可溶分をW8質量%としたとき、
下記式(2)、(3)を満たす請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
8.0≦W2≦20.0 ・・・・式(2)
1.0≦W8−W2≦32.0 ・・・・式(3)
【請求項5】
前記脂肪酸金属塩が、2価または3価の金属と飽和脂肪酸からなる脂肪酸金属塩である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項6】
前記脂肪酸金属塩の炭素鎖長分布において、含有量が最も多い炭素鎖長成分の含有量が60質量%以上であり、前記脂肪酸金属塩を示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、もっともピーク高さが高い冷結晶化ピークの温度をCfとし、前記ワックスを示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、もっともピーク高さが高い冷結晶化ピークの温度をCwとした時に、下記式(4)、(5)を満たす請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトナー。
50≦Cf≦100 ・・・・式(4)
|Cf−Cw|≦30 ・・・・式(5)
【請求項7】
前記ワックスが、2価以上3価以下のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、或いは、2価以上3価以下のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステルを含有し、前記エステル、及び前記結着樹脂の溶解度パラメーターをSPw、SPcとし、前記エステルの重量平均分子量をMwとしたときに、前記SPw、SPc、及びMwが下記式(6)の関係を満たす(但し、溶解度パラメーターの単位は(cal/cm
3

1/2
である)請求項1乃至6のいずれか1項に記載のトナー。
450≦(SPc−SPw)
2
×Mw≦780 ・・・・式(6)
【請求項8】
前記トナー粒子が懸濁重合トナー粒子であり、前記トナー粒子が非晶性ポリエステル樹脂を含有し、
前記非晶性ポリエステル樹脂の酸価が3.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であり、前記非晶性ポリエステル樹脂が下記式(7)で示されるイソソルビドユニットを、前記非晶性ポリエステル樹脂を構成する全モノマーユニットを基準として、0.10mol%以上30.00mol%以下含有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のトナーの製造方法であって、
a)非晶性ポリエステル樹脂、ワックス、脂肪酸金属塩、及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物Aを作製する工程、
b)水系媒体中に前記重合性単量体組成物Aを添加し、水系媒体中に重合性単量体組成物Aの粒子が分散された分散液Bを作製する工程、
c)前記分散液Bに重合開始剤を添加して、前記分散液B中に含まれる前記重合性単量体Aを重合し、水系媒体中にトナー粒子が分散された分散液Cを作製する工程、
d)前記分散液Cを、ワックスの結晶化温度、脂肪酸金属塩の結晶化温度もしくはトナー粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれか高い方の温度より高い温度Ta(℃)で保持する工程、
e)工程dを経た前記分散液Cを、温度Taから、トナー粒子のTg(℃)以下の温度まで、40.0℃/分以上の冷却速度で冷却する工程、
f)工程eを経た前記分散液Cを、Tg−10℃以上Tg+10℃以下の温度領域に、30分間以上保持する工程、
を有することを特徴とするトナーの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法などに用いられるトナーに関する。
続きを表示(約 9,200 文字)【背景技術】
【0002】
電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般的には、種々の手段により、光導電性物質を利用した静電潜像担持体上に静電潜像を形成する。次いで、上記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成し、静電気力により紙などの記録媒体にトナー像を転写する。その後、転写されたトナーを、熱および/または圧力により、記録媒体上に定着して複写物を得る方法である。このような電子写真法を利用した画像形成装置としては、複写機やプリンターなどがある。
これら複写機やプリンターは、社会全体の省エネルギー化の要求に伴い、省電力化が求められている。その中で、トナーには低温で転写材に定着する低温定着性が求められている。
一方、高画質が要求される軽印刷(パソコンによる文書の編集からコピー、製本までの多品種少量印刷が可能なプリント・オン・デマンド用途)向けにプリンターが使われ始め、グラフや図など印字率の高いベタ画像に対する画質への要求も高まっている。
トナーの低温定着性は、トナー中に定着助剤として結晶性材料を含有させることや、トナーを構成する結着樹脂のガラス転移点を下げることで改善できる。一方で上記手法では、高速機においては、トナーが定着ニップを通過する時間が短くなるため、定着ニップ内でトナーが溶融せず、トナーが記録媒体に定着しないことがある。特に、印字率の高い画像は定着ニップでトナーを溶融させるのに必要な熱量が増加するため、トナーが記録媒体に定着しにくくなる。これに対して、トナー中の結晶性ポリエステルやワックスの分散ドメイン径を微分散化することで、トナー表層近傍をシャープメルト化する技術が提案されている(特許文献1)。
しかし、トナー中の結晶性ポリエステルやワックスの分散ドメイン径を微分散化させると、結晶性ポリエステルやワックス等の可塑剤がトナー表面に染み出しやすくなる。トナー表層に染み出してきた可塑剤は印字率の高いベタ画像の画質低下を引き起こす。トナー表層の可塑剤が引き起こすベタ画像の画質低下には、静電潜像担持体上のトナーが静電潜像担持体に固着するという現象(以下、ドラム融着と呼ぶ)により、ベタ画像の一部が欠けるという弊害がある。ドラム融着はトナー表層に染み出した可塑剤により、トナーと静電潜像担持体の非静電付着力が増大することにより起こる。ドラム融着が発生すると、静電潜像担持体に固着したトナーにより、トナー固着部位にトナーが現像されなくなるため、ベタ画像の一部が欠ける。
また、上記ドラム融着起因の以外のベタ画像の画質低下としては、可塑剤がトナー表層を被覆することにより、トナーの帯電特性が低下しベタ画像の濃度ムラが顕著になることがある。これは、静電潜像担持体上のトナーのうち、一部のトナーの表層を可塑剤が被覆することにより、静電潜像担持体上のトナー間付着力が増大することや帯電特性が低下することにより、転写工程で記録媒体に移行できないトナーが発生することで起こる。
特に、高速プリンターを高温高湿環境で使用した際には、定着工程で発生する熱により本体内が昇温しやすく、トナー表層に可塑剤が染み出しやすくなることで、ベタ画像の画像欠けや濃度ムラが発生しやすい。加えて、高温高湿環境で長期間使用した後に、低温低湿環境で使用した際には、トナー表層に染み出してきた可塑剤がトナー表層で結晶化することで、トナーの帯電特性が低下し、転写工程で記録媒体に移行できないトナーが発生することで、濃度ムラが顕著になる。このように、高速プリンターに求められる低温定着性に対応しつつ、高温高湿環境で長期間使用した場合や高温高湿環境で長期間使用した後に低温低湿環境で使用した場合のベタ画像の画質低下を抑制するには未だ改善の余地があった。
これに対して、近年、トナー中に含有されるワックスや結晶性樹脂などの可塑剤の結晶化を促進するために、結晶核剤を添加し、可塑剤の結晶化度を高める検討が行われている。特許文献2では、結晶性樹脂に最適な結晶核剤として脂肪酸金属塩を添加することで、結晶性樹脂の再結晶化を促進し、低温定着性と耐熱保存性を両立させる技術が提案されている。特許文献3では、エステルワックスに最適な結晶核剤としてリン酸エステル金属塩を添加することで、エステルワックスの再結晶化を促進し、低温定着性、耐熱保存性、及び定着器汚染を抑制させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2002−287426号公報
特開2007−79329号公報
特開2018−138980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの手法では、高速プリンターを高温高湿環境で長期間使用した際や、その後、低温低湿環境で使用した際にも、低温定着性に優れ、かつ、ベタ画像の画質低下を抑制するには十分ではなく、改善の余地があった。
本発明は、高速プリンターを高温高湿環境で長期間使用した際や、その後、低温低湿環境で使用した際にも、低温定着性に優れ、かつ、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けの発生を抑制したトナーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、結着樹脂、ワックス、及び脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を含むトナーであって、
ヘキサンを用いて、前記トナー粒子に対してソックスレー抽出を2時間行った際のヘキサン抽出分に含有される前記脂肪酸金属塩の量が、前記結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上0.18質量部以下であり、
前記結着樹脂100質量部に対して、前記ワックスの含有量をA(質量部)とし、前記脂肪酸金属塩の含有量をB(質量部)としたとき、前記Aが10.0質量部以上40.0質量部以下であり、前記Bが0.04質量部以上0.43質量部以下であり、
走査透過型電子顕微鏡で観察される前記トナー粒子の断面において、前記ワックスのドメインが存在し、前記ドメインの円相当個数平均径が、30nm以上1000nm以下であることを特徴とするトナーである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高速プリンターを高温高湿環境で長期間使用した際や、その後、低温低湿環境で使用した際にも、低温定着性に優れ、かつ、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けの発生を抑制したトナーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明者らは、高速プリンターを高温高湿環境で長期間使用した際や、その後、低温低湿環境で使用した際にも、低温定着性に優れ、かつ、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けの発生を抑制できるトナーについて鋭意検討した。
【0008】
これまで、高速プリンターにおける低温定着性改良は、トナーを定着ニップ内でシャープメルト化させるために、定着助剤として結晶性材料を多量に含有させることや、結晶性材料の分散ドメイン径を微粒子化することが行われてきた。
【0009】
しかし、上記手法のように結晶性材料を多量に含有させることや、結晶性材料の分散ドメイン径を微粒子化させると、高温高湿環境では、結晶性材料がトナー表面に染み出してきてしまうため、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けの発生を抑制することは難しい。
【0010】
そこで、本発明者らは、結晶性材料としてワックス、結晶核剤として脂肪酸金属塩を添加したトナーを作製し、結晶性材料を結晶化させることにより、染み出しを抑制することを試みた。しかし、単純に脂肪酸金属塩を適量添加するだけでは、脂肪酸金属塩の核剤効果によりトナー表層に染み出してくる全ての結晶性材料を結晶化させることができず、結晶性材料のトナー表層への染み出しを抑制できていなかった。特に、脂肪酸金属塩の核剤効果を大きくするために、脂肪酸金属塩の含有量を増加させてしまうと、脂肪酸金属塩自体が結着樹脂を可塑化してしまい、トナー表層に脂肪酸金属塩が染み出してしまう。この結果、トナー表層で脂肪酸金属塩の核剤効果によりワックスが結晶化してしまい、トナーの抵抗値が低下してしまう。特に、高温高湿環境で長期間使用した後に低温低湿環境で使用した際には、トナー表層に染み出したワックスが脂肪酸金属塩の核剤効果により結晶化し、トナー表層にワックスが染み出したトナーは抵抗値が低下するため、帯電特性が低下する。この結果、転写工程において、記録媒体上に移行できないトナーが発生することにより、ベタ画像の濃度ムラが顕著になることが判明した。
【0011】
さらに、低温定着性を良化させるためにワックスを多量添加した場合には、脂肪酸金属塩の添加量を調整したとしても、高温高湿環境で長期間使用した際にトナー表層に染み出してくるワックスが増加してしまうため、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けが悪化する。つまり、特許文献2及び特許文献3に記載の手法では、低温定着性を良化させつつ、高温高湿環境で使用した場合、及び高温高湿環境で使用した後に低温低湿環境で使用した場合におけるベタ画像の濃度ムラや画像欠けの発生を抑制することはできなかった。
【0012】
この結果を受け、本発明者らはトナー粒子中の脂肪酸金属塩の分散性に関して更なる検討を進めた。その結果、トナー中のワックスの分散ドメイン径を微粒子化させると同時に、トナー表層近傍のワックスに含有される脂肪酸金属塩の量を適切に制御することにより、低温定着性に優れ、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けを抑制したトナーを提供できることを見出した。
【0013】
すなわち本発明のトナーは、結着樹脂、ワックス、及び脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を含むトナーであって、
ヘキサンを用いて、前記トナー粒子に対してソックスレー抽出を2時間行った際のヘキサン抽出分に含有される前記脂肪酸金属塩の量が、前記結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上0.18質量部以下であり、
前記結着樹脂100質量部に対して、前記ワックスの含有量をA(質量部)とし、前記脂肪酸金属塩の含有量をB(質量部)としたとき、前記Aが10.0質量部以上40.0質量部以下であり、前記Bが0.04質量部以上0.43質量部以下であり、
走査透過型電子顕微鏡で観察される前記トナー粒子の断面において、前記ワックスのドメインが存在し、前記ドメインの円相当個数平均径が、30nm以上1000nm以下であることを特徴とする。
【0014】
上記構成のトナーが、高速プリンターを高温高湿環境で長期間使用した場合や、高温高湿環境で長期間使用した後低温低湿環境で使用した場合にも、低温定着性に優れ、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けの発生を抑制できるのは以下の3つの理由によると考えている。
(1−1)ワックスの含有量が多く、少ない脂肪酸金属塩でワックスを結晶化させること
(1−2)トナー中のワックスの分散ドメイン径が適度な大きさを有すること
(1−3)脂肪酸金属塩によりトナー表層近傍のワックスが結晶化されていること
【0015】
(1−1)は、低温定着性に寄与するワックスの含有量を増やす一方、ワックスの結晶核剤である脂肪酸金属塩の含有量は極力減らし、脂肪酸金属塩自体の結着樹脂に対する可塑化を抑制することを意味する。これは、脂肪酸金属塩の性質が長鎖アルキル基を有すると共に、金属塩であるため、脂肪酸金属塩はワックスと結着樹脂の両方になじむ性質を持っていることが影響している。つまり、脂肪酸金属塩の含有量を多くしてしまうと、核剤効果によりワックスを結晶化すると共に結着樹脂を可塑化してしまい、トナー表層に脂肪酸金属塩が染み出してしまう。このため、脂肪酸金属塩をワックスの結晶核剤として効果的に使用するには、脂肪酸金属塩の結着樹脂に対する可塑化を抑制するため、脂肪酸金属塩の含有量は必要最低限にする必要がある。
【0016】
本発明のトナーは、結着樹脂100質量部に対して、ワックスの含有量をA(質量部)とし、脂肪酸金属塩の含有量をB(質量部)としたとき、Aが10.0質量部以上40.0質量部以下であり、Bが0.04質量部以上0.43質量部以下である。さらに、上記Aが15.0質量部以上35.0質量部以下、上記Bが0.05質量部以上0.40質量部以下であることがより好ましい。上記A及びBが本発明の範囲内であれば、低温定着性に必要なワックス量を含有すると共に、ワックスの結晶化を促進する脂肪酸金属塩の含有量を極力減らし、結着樹脂を可塑化する脂肪酸金属塩の量が少ないことを意味する。
【0017】
(1−2)は、低温定着性のためにワックスの分散ドメイン径を小さくしつつ、微粒子化による弊害を抑制できる範囲にワックスの分散ドメイン径を制御することを意味する。ワックスの分散ドメイン径を微粒子化すると、ワックスと結着樹脂の界面が増加するため、迅速に結着樹脂を可塑することができ、高速プリンターのような定着ニップ通過時間が短い場合には低温定着性を良化させることができる。一方で、ワックスの添加量を変えずにワックスの分散ドメイン径を微粒子化していくと、ワックスと結着樹脂の界面が指数関数的に増加するため、高温高湿環境では一部のワックスがトナー表層に染み出してしまう。特に、高速プリンターにおいては、定着工程で発生する熱によりプリンター本体が昇温しやすく、トナー表層に染み出してくるワックス量が増加する。このため、ワックスのドメイン径を適度な大きさに制御する必要がある。
【0018】
本発明のトナーは、走査透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面において、ワックスのドメインが存在し、ドメインの円相当個数平均径が、30nm以上1000nm以下である。ワックスのドメイン径が本発明の範囲内であるということは、高速プリンターにおける低温定着性を悪化させずに、ワックスのトナー表層への染み出しを抑制できることを意味する。
【0019】
ワックスのドメインの円相当個数平均径は、ワックスの組成、ワックスの含有量、脂肪酸金属塩の組成、脂肪酸金属塩の含有量、及びトナー粒子の製造方法により制御することができる。
【0020】
(1−3)の脂肪酸金属塩によるトナー表層近傍のワックスの結晶化は、脂肪酸金属塩の核剤効果を発揮させつつ、脂肪酸金属塩のトナー表層への染み出しによる弊害を抑制することを目的としている。
【0021】
トナー表層近傍のワックスは、結着樹脂を可塑することによりトナー表層に染み出しやすいため、脂肪酸金属塩により結晶化度を高める必要がある。トナー粒子中の脂肪酸金属塩はワックスとの界面において、結晶核を形成するため、脂肪酸金属塩由来の結晶核をワックス中に形成させることができれば、結晶核を中心にワックスの結晶化が比較的容易に起きる。一方、トナー表層近傍の脂肪酸金属塩がワックスの結晶核として利用されていれば、脂肪酸金属塩が結着樹脂を可塑することで起きる、トナー表層への脂肪酸金属塩の染み出しを抑制することにもつながる。このため、脂肪酸金属塩をトナー表層近傍のワックス中に分散させて、ワックスとの界面で形成される脂肪酸金属塩由来の結晶核を増やす必要がある。
【0022】
本発明のトナーは、ヘキサンを用いて、トナー粒子に対してソックスレー抽出を2時間行った際のヘキサン抽出分に含有される脂肪酸金属塩の量が、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上0.18質量部以下である。さらに、上記ヘキサン抽出分に含有される脂肪酸金属塩の量が、結着樹脂100質量部に対して、0.04質量部以上0.15質量部以下であることがより好ましい。ヘキサンを用いてソックスレー抽出を2時間行うと、トナー表層近傍のワックス、及びワックスの結晶核となっている脂肪酸金属塩のみを抽出することができる。ソックスレー抽出を2時間行った際のヘキサン抽出分に含有される脂肪酸金属塩を上記範囲内に制御すると、脂肪酸金属塩の核剤効果によりトナー表層近傍のワックスの結晶化度を高くでき、トナー表層へのワックス、及び脂肪酸金属塩の染み出しを抑制できる。
【0023】
ヘキサンを用いてソックスレー抽出を2時間行った際のヘキサン抽出分に含有される脂肪酸金属塩の量は、脂肪酸金属塩の組成、脂肪酸金属塩の含有量、ワックスの組成、ワックスの添加量、及びトナー粒子の製造方法により制御することができる。
【0024】
これら上記(1−1)〜(1−3)の相乗効果により初めて、高速プリンターを高温高湿環境で長期間使用した際や、高温高湿環境で長期間使用した後低温低湿環境で使用した際にも、低温定着性に優れ、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けを抑制できることが分かった。
【0025】
上記記載のように、脂肪酸金属塩の核剤効果を高めると共に、トナー表層への脂肪酸金属塩の染み出しを抑制するには、脂肪酸金属塩とワックスの界面を増やすため、脂肪酸金属塩をトナー粒子に外添するのではなく、トナー粒子中に分散させることが好ましい。
【0026】
結着樹脂100質量部に対して、ワックスの含有量をA(質量部)としたとき、Aが10.0質量部未満の場合、定着ニップ部においてワックスによりトナーを十分可塑することができなくなるため、低温定着性が低下する。特に、高速プリンターにおいては、定着ニップ通過時間が短くなるため、低温定着性が悪化しやすい。一方、Aが40.0質量部より大きい場合、ワックスのドメイン径によらず、トナー粒子中にワックスを内包できなくなってくるため、高温高湿環境で長期間使用した際に、ワックスがトナー粒子表面に染み出しくることにより、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けが悪化する。
【0027】
結着樹脂100質量部に対して、脂肪酸金属塩の含有量をB(質量部)としたとき、Bが0.04質量部未満の場合、脂肪酸金属塩量の核剤効果によりワックスを十分結晶化させることができなくなるため、トナー粒子中のワックスの結晶化度が低下する。この結果、高温高湿環境で長期間使用した際に、ワックスがトナー表層に染み出してくることを抑制できず、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けが悪化する。一方、Bが0.43質量部より大きい場合、トナー粒子中に脂肪酸金属塩が必要以上に含有されているため、一部の脂肪酸金属塩が結着樹脂を可塑化することでトナー表層に染み出してきてしまう。この結果、高温高湿環境で長期間使用した後に低温低湿環境で使用すると、トナー表層に染み出してきたワックスが脂肪酸金属塩の核剤効果によりトナー表層で結晶化し、トナーの帯電特性低下に起因した濃度ムラが悪化する。特に、高速プリンターにおいては、定着工程で発生する熱により、プリンター本体が昇温しやすく、トナー表層に染み出してくるワックス及び脂肪酸金属塩が増加するため、濃度ムラ悪化が顕著になる。
【0028】
走査透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面において、ワックスのドメインの円相当個数平均径が、30nm未満の場合、ワックスのドメイン数が指数関数的に増加することで、ワックスと結着樹脂の界面が増加し、結着樹脂が可塑化されやすくなる。特に、高速プリンターを高温高湿環境で長期間使用した際には、定着工程で発生する熱により本体内が昇温しやすく、トナー表層近傍のワックスがトナー表層に染み出してくることを抑制できず、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けが悪化する。一方、走査透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面において、ワックスのドメインの円相当個数平均径が、1000nmより大きい場合、高速プリンターの定着ニップ通過時間では、トナー中のワックスが結着樹脂を十分可塑化することが出来ないため、低温定着性が低下する。
【0029】
前記ソックスレー抽出を2時間行った際のヘキサン抽出分に含有される脂肪酸金属塩の量が、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部より小さい場合、トナー表層近傍のワックスに含有される脂肪酸金属塩の量が少なくなりすぎることで、トナー表層近傍のワックスの結晶化度が低下する。この結果、高温高湿環境で長期間使用した際に、ワックスがトナー表層に染み出してくることを抑制できず、ベタ画像の濃度ムラや画像欠けが悪化する。一方、前記ソックスレー抽出を2時間行った際のヘキサン抽出分に含有される脂肪酸金属塩の量が、結着樹脂100質量部に対して、0.18質量部より大きい場合、トナー表層近傍のワックスに含有される脂肪酸金属塩がワックスの結晶化に必要な量以上含有されていることを意味する。これにより、トナー表層近傍に存在するワックス中の脂肪酸金属塩の一部が、トナー表層近傍の結着樹脂を可塑化させ、脂肪酸金属塩が染み出してしまう。この結果、高温高湿環境で長期間使用した後低温低湿環境で評価すると、トナー表層に染み出してきた脂肪酸金属塩の核剤効果により、トナー表層でワックスが結晶化してしまい、帯電特性が低下する。この結果、転写工程において、静電潜像担持体上の一部のトナーが記録媒体に移行できず、濃度ムラが悪化する。特に、高速プリンターにおいては、定着工程で発生する熱により、プリンター本体が昇温しやすく、トナー表層に染み出してくるワックス及び脂肪酸金属塩が増加するため、濃度ムラ悪化が顕著になる。
【0030】
本発明のトナーは、走査透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面において、ワックスのドメインが存在し、ドメインの円相当個数平均径が、30nm以上500nm以下であり、ドメインの平均個数が、20個以上3000個以下であることが好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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