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公開番号2021027766
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210222
出願番号2019146170
出願日20190808
発明の名称処理システム、処理方法、およびプログラム
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人
主分類H02P 23/12 20060101AFI20210125BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】 モータにおける鉄損を低減することができる励磁信号の時間波形を、計算精度の低下と計算時間の増大とを抑制しつつ決定することができるようにする。
【解決手段】 目標信号波形を決定するためのモータMのモデルとして、ロータの構成要素の全部または一部を実際のモータMに対し簡略化した簡略化モータモデルM'を採用する。目標信号波形決定装置100は、目標信号波形で簡略化モータモデルM'のステータコアを励磁した場合の、当該簡略化モータモデルM'におけるステータコアの板厚方向における磁束密度および渦電流密度の分布を導出することにより、当該簡略化モータモデルM'のステータの鉄損が最小になる目標信号波形を目標信号波形の最適値として導出する。駆動装置700は、この目標信号波形の最適値の励磁電圧がモータMのステータコイルに印加されるようにインバータ回路を動作させる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
モータを動作させるための処理を行う処理システムであって、
前記モータのステータコイルに印加される励磁信号の時間波形の目標値である目標信号波形を決定する目標信号波形決定手段を有し、
前記目標信号波形決定手段は、簡略化モータモデルにおけるステータコアが励磁された際の磁束密度および渦電流密度の分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出し、当該磁束密度および渦電流密度の分布に基づいて、当該簡略化モータモデルの鉄損を導出し、当該簡略化モータモデルの鉄損に基づいて、前記目標信号波形を決定し、
前記磁束密度および渦電流密度の分布は、前記簡略化モータモデルにおけるステータコアにおいて磁束および渦電流が浸透する深さ方向における分布を含み、
前記簡略化モータモデルは、数値解析を行うためのモータの領域を特定する情報を含むことを特徴とする処理システム。
続きを表示(約 2,500 文字)【請求項2】
前記目標信号波形決定手段は、前記簡略化モータモデルにおけるステータコアが励磁された際の磁束密度および渦電流密度の分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出し、当該磁束密度および渦電流密度の分布に基づいて、当該簡略化モータモデルの鉄損を導出する電磁場解析手段を有し、当該簡略化モータモデルの鉄損が最小になる前記目標信号波形を、最適化計算を実行することにより決定することを特徴とする請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記目標信号波形決定手段は、前記目標信号波形の候補を前記簡略化モータモデルにおけるステータコイルに印加して当該簡略化モータモデルにおけるステータコアを励磁した際の磁束密度および渦電流密度の分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出し、当該磁束密度および渦電流密度の分布に基づいて、当該簡略化モータモデルの鉄損を導出することを、前記目標信号波形の複数の候補のそれぞれについて行う電磁場解析手段を有し、メタヒューリスティック手法による最適化計算を実行することにより、当該簡略化モータモデルの鉄損が最小になる前記目標信号波形の候補を、前記目標信号波形として決定することを特徴とする請求項1または2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記目標信号波形の候補は、前記モータの速度指令値に対応する周期を有し、
前記目標信号波形決定手段は、前記モータのトルク指令値に対応する磁束密度を満足する磁束密度が得られる範囲内で前記簡略化モータモデルの鉄損が最小になる前記目標信号波形の候補を、前記目標信号波形として決定することを特徴とする請求項3に記載の処理システム。
【請求項5】
前記目標信号波形決定手段により決定された前記目標信号波形を目標値として励磁信号の時間波形を生成して前記モータに印加する駆動手段を更に有し、
前記駆動手段は、前記モータの速度指令値およびトルク指令値と、前記目標信号波形を特定するための情報とを相互に関連付けて記憶する目標信号波形記憶手段と、
前記モータの速度指令値およびトルク指令値に対応する前記目標信号波形を、前記目標信号波形記憶手段により記憶された前記情報に基づいて取得する目標信号波形取得手段と、を有し、
前記目標信号波形取得手段により取得された前記目標信号波形を目標値として励磁信号の時間波形を生成して前記モータに印加することを特徴とする請求項4に記載の処理システム。
【請求項6】
前記簡略化モータモデルにおけるロータは、同一の励磁条件において、前記簡略化モータモデルにおけるロータコアの平均磁束密度が、前記目標信号波形決定手段により決定された前記目標信号波形で動作させるモータにおけるロータコアの平均磁束密度よりも低くなるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の処理システム。
【請求項7】
前記簡略化モータモデルにおけるロータは、前記目標信号波形決定手段により決定された前記目標信号波形で動作させるモータのロータにおける磁極を構成する部分の全部または一部を含まないことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の処理システム。
【請求項8】
前記簡略化モータモデルにおけるステータコアは、積み重なった複数の軟磁性体板のモデルを含み、
前記磁束密度および渦電流密度の分布は、前記軟磁性体板の面内方向の二次元分布と、前記軟磁性体板の板厚方向の一次元分布とを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の処理システム。
【請求項9】
前記簡略化モータモデルにおけるステータコアは、積み重なった複数の軟磁性体板のモデルを含み、
前記目標信号波形決定手段は、前記軟磁性体板の面内方向の磁束密度および渦電流密度の二次元分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出することと、前記軟磁性体板の板厚方向の磁束密度および渦電流密度の一次元分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出することと、を含む計算を行うことを特徴とする請求項8に記載の処理システム。
【請求項10】
前記簡略化モータモデルにおけるステータは、前記目標信号波形決定手段により決定された前記目標信号波形で動作させる前記モータのステータと同じ構成を有することを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の処理システム。
【請求項11】
前記目標信号波形は、インバータに対する目標信号波形であり、
前記励磁信号は、パルス信号であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の処理システム。
【請求項12】
前記目標信号波形決定手段により決定された前記目標信号波形を目標値として励磁信号の時間波形を生成して前記モータに印加する駆動手段を更に有することを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の処理システム。
【請求項13】
モータを動作させるための処理を行う処理方法であって、
前記モータのステータコイルに印加される励磁信号の時間波形の目標値である目標信号波形を決定する目標信号波形決定工程を有し、
前記目標信号波形決定工程は、簡略化モータモデルにおけるステータコアが励磁された際の磁束密度および渦電流密度の分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出し、当該磁束密度および渦電流密度の分布に基づいて、当該簡略化モータモデルの鉄損を導出し、当該簡略化モータモデルの鉄損に基づいて、前記目標信号波形を決定し、
前記磁束密度および渦電流密度の分布は、前記簡略化モータモデルにおけるステータコアにおいて磁束および渦電流が浸透する深さ方向における分布を含み、
前記簡略化モータモデルは、数値解析を行うためのモータの領域を特定する情報を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項14】
請求項1〜12の何れか1項に記載の処理システムの各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、処理システム、処理方法、およびプログラムに関し、特に、モータに用いて好適なものである。
続きを表示(約 8,100 文字)【背景技術】
【0002】
モータにおいては、その損失を低減することが求められる。モータは、一般に、インバータ電源を用いて、ステータコイルに励磁電圧を印加することで駆動する。このため、インバータ電源から出力される電圧波形を制御することでモータの損失(鉄損)を低減することが行われる。この種の技術として、特許文献1では、励磁電圧の波形をパルス波形とすると共に、電気一周期のパルス数を5として、モータにおける電力損失が最小になるパルス幅を導出する。また、特許文献1では、パルス波形が擬似正弦波になるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5594301号公報
【非特許文献】
【0004】
電気学会技術報告書第1244号「電磁界解析による回転機の実用的性能評価技術」、電気学会産業応用部門回転機技術委員会、2012年2月
山崎克巳、里見倫、「電磁鋼板の渦電流を直接考慮した有限要素法による誘導電動機の特性解析」、電気学会マグネティックス研究会資料、MAG-08−32、SA−08−20、RM−08−20、p.39−44、2008年1月25日
中田高義、高橋則雄著、「電気工学の有限要素法」、第2版、森北出版株式会社、1986年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電気一周期のパルス数を5としている。実際にモータを駆動する場合には、電気一周期のパルス数が5である場合は少ない。このため、特許文献1に記載の技術を、実際のモータの駆動に適用する場合には、電気一周期のパルス数を多くしなければならず、決定すべき変数が多くなる。また、特許文献1に記載の技術では、パルス幅のみを変数としているため、パルスの信号レベルを考慮することができない。従って、モータの鉄損を十分に低減することが容易ではない。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、モータにおける鉄損を低減することができる励磁信号の時間波形を、計算精度の低下と計算時間の増大とを抑制しつつ決定することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の処理システムは、モータを動作させるための処理を行う処理システムであって、前記モータのステータコイルに印加される励磁信号の時間波形の目標値である目標信号波形を決定する目標信号波形決定手段を有し、前記目標信号波形決定手段は、簡略化モータモデルにおけるステータコアが励磁された際の磁束密度および渦電流密度の分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出し、当該磁束密度および渦電流密度の分布に基づいて、当該簡略化モータモデルの鉄損を導出し、当該簡略化モータモデルの鉄損に基づいて、前記目標信号波形を決定し、前記磁束密度および渦電流密度の分布は、前記簡略化モータモデルにおけるステータコアにおいて磁束および渦電流が浸透する深さ方向における分布を含み、前記簡略化モータモデルは、数値解析を行うためのモータの領域を特定する情報を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の処理方法は、モータを動作させるための処理を行う処理方法であって、前記モータのステータコイルに印加される励磁信号の時間波形の目標値である目標信号波形を決定する目標信号波形決定工程を有し、前記目標信号波形決定工程は、簡略化モータモデルにおけるステータコアが励磁された際の磁束密度および渦電流密度の分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出し、当該磁束密度および渦電流密度の分布に基づいて、当該簡略化モータモデルの鉄損を導出し、当該簡略化モータモデルの鉄損に基づいて、前記目標信号波形を決定し、前記磁束密度および渦電流密度の分布は、前記簡略化モータモデルにおけるステータコアにおいて磁束および渦電流が浸透する深さ方向における分布を含み、前記簡略化モータモデルは、数値解析を行うためのモータの領域を特定する情報を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のプログラムは、前記処理システムの各手段としてコンピュータを機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モータにおける鉄損を低減することができる励磁信号の時間波形を、計算精度の低下と計算時間の増大とを抑制しつつ決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
目標信号波形決定装置の機能的な構成の一例を示す図である。
渦電流密度が磁性体内部で減衰する様子を概念的に示す図である。
実際のモータM(のモデル)の一例を示す図である。
図3のI−I断面図である。
目標信号波形を決定するためのモータMのモデル(簡略化モータモデル)の一例を示す図である。
図5のI−I断面図である。
駆動装置の機能的な構成の一例を示す図である。
目標信号波形の決定方法の一例を説明するフローチャートである。
モータの駆動方法の一例を説明するフローチャートである。
目標信号波形の一例を示す図である。
鉄損の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。尚、以下の説明において、形状、寸法、大きさ、および向きの規定について同じであることは、当該規定の主旨を逸脱しない範囲であれば、厳密に同じである場合に限定されず、厳密に同じでない場合も含む。例えば、設計の公差の範囲内であれば、同じであると解釈される。
本実施形態の処理システムは、目標信号波形決定装置100と、駆動装置700と、モータMとを有する。
【0013】
[目標信号波形決定装置100]
目標信号波形決定装置100は、目標信号波形を生成する。目標信号波形は、駆動装置700からモータMに印加される励磁信号の時間波形の目標値である。本実施形態では、PWM(Pulse Width Modulation)制御により得られるパルス信号(パルス電圧)をモータのステータコイルに印加する場合を例に挙げて説明する。従って、本実施形態では、モータのステータコイルに印加する励磁電圧の時間波形の目標値として、PWM制御により得られるパルス信号の時間波形の目標値が、目標信号波形になる。目標信号波形は、電気一周期の各時刻における値が特定されればよい。例えば、目標信号波形を、電気一周期の各時刻における値とし、当該値から、各周期の各時刻における値を導出することができる。また、例えば、電気半周期の各時刻における値から、残りの半周期の各時刻における値を導出する場合、目標信号波形は、電気半周期の各時刻における値とすればよい。以下の説明では、電気一周期の各時刻における電圧値を、目標信号波形とする場合を例に挙げて説明する。
【0014】
図1は、目標信号波形決定装置100の機能的な構成の一例を示す図である。目標信号波形決定装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。本実施形態では、目標信号波形決定装置100は、遺伝的アルゴリズム(GA:Genetic Algorithm)を用いて、目標信号波形の最適値を導出する場合を例に挙げて説明する。その一例を以下に説明する。
【0015】
<候補解設定部101>
候補解設定部101は、モータMの速度指令値およびトルク指令値として想定される値を入力する。以下の説明では、モータMの速度指令値として想定される値を、必要に応じて、モータMの速度指令の想定値と称する。また、モータMのトルク指令値として想定される値を、必要に応じて、モータMのトルク指令の想定値と称する。モータMの速度指令の想定値およびトルク指令の想定値の入力の形態としては、例えば、目標信号波形決定装置100のユーザインタフェースのオペレータによる入力操作、外部装置からの受信、または、可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
【0016】
候補解設定部101は、遺伝的アルゴリズムに従って、それぞれが、目標信号波形を特定する情報からなる個体を候補解として複数設定する。このとき、候補解設定部101は、電気周期(電気周波数)が、モータMの速度指令の想定値に応じた電気周期(電気周波数)になるように、複数の候補解(目標信号波形)を設定する。目標信号波形を特定する情報は、例えば、電気一周期の各時刻における目標信号波形の値である。
【0017】
候補解設定部101は、初期の候補解を設定する際には、例えば、電気周期(電気周波数)および振幅以外のパラメータについてはランダムに設定して初期の候補解を設定する。
また、候補解設定部101は、2回目以降に候補解を設定する際には、例えば、複数の候補解のうち、後述する電磁場解析部102により導出される鉄損が小さくなるものから順に所定数の候補解を選択する。このとき、候補解設定部101は、後述する電磁場解析部102により導出される磁束密度の実効値が、トルク指令の想定値に対応する値以上になる候補解のみを選択する。即ち、候補解設定部101は、後述する電磁場解析部102により導出される磁束密度の実効値が、トルク指令の想定値に対応する値以上になる候補解を、鉄心が小さくなるものから順番に並べ、並べた候補解を鉄損が小さいものから順に所定数だけ選択する。
【0018】
そして、候補解設定部101は、交叉や突然変異を行い、新たな候補解を設定する。新たな候補解(目標信号波形)も、電気周期(電気周波数)が、モータMの速度指令の想定値に応じた電気周期(電気周波数)になるように設定される。尚、トルク指令の想定値に対応する磁束密度は、トルクと磁束密度との関係式から得られる。例えば、トルクをマクスウェル応力とし、マクスウェル応力と磁束密度との公知の関係式から、トルク(トルク指令の想定値)に対応する磁束密度(の実効値)を得ることができる。後述するように、本実施形態では、モータM(のステータ)の鉄損が最小となる解を探索する。従って、トルク指令の想定値に対応する磁束密度の実効値の下限値を定めておけば、トルク指令の想定値に近い(好ましくは一致する)磁束密度の実効値が得られる。
【0019】
<電磁場解析部102>
電磁場解析部102は、候補解設定部101により設定された複数の候補解(目標信号波形)のそれぞれでモータM(ステータコア)を励磁した際の鉄損を、マクスウェル(Maxwell)の方程式に基づく電磁場解析を行うことにより導出する。
【0020】
<<着想>>
一般に、電気自動車やハイブリッド車等の駆動用モータのように、可変速、可変トルクで運転するモータは、インバータによって駆動し、モータの損失はインバータの駆動条件によって異なる。そのため、インバータの電圧パルスパターンを適切に制御することで、モータ効率を向上できる可能性がある。モータでの損失は、銅損、機械損、鉄損に大別される。これらのうち、銅損、機械損は、インバータ条件によって大きく変動しないのに対し、鉄損は、インバータ条件によって大きく変動する。鉄損は、渦電流損およびヒステリシス損に分類され、渦電流損は電磁鋼板などの磁性体内部の渦電流密度によって決定され、ヒステリシス損は磁束密度によって決定される。
【0021】
ここで、本発明者は、渦電流密度および磁束密度は、表皮効果により磁性体内部で減衰するため、渦電流損およびヒステリシス損を精度良く見積もるためには、この減衰の影響を含めて電磁場解析をする必要があることを着想した。図2は、渦電流密度が磁性体内部で減衰する様子を概念的に示す図である。図2において、z軸方向は、磁性体において、磁束および渦電流が浸透する深さ方向(表皮深さの方向)である。本実施形態では、磁性体は、磁性体板(電磁鋼板)により構成される。従って、z軸方向は、磁性体板の板面に対して垂直な方向(板厚方向)である。また、図2において、z軸に垂直な方向を向いている実線の矢印線は、渦電流を示す。当該矢印線の長さは、渦電流密度の大きさに対応する。図2に示すように、表皮効果により、磁性体板の内部の位置であるほど、渦電流密度は小さくなる。このことは、磁束密度についても同じである。
【0022】
渦電流の表皮深さは、磁性体の透磁率によって変化するため、高透磁率領域では渦電流の減衰量が大きくなり、鉄損が低減されるという現象から、本発明者は、鉄損を低減できるような励磁信号の時間波形は、擬似正弦波に限られないと考えた。また、前述したように、このような渦電流密度および磁束密度の減衰は、表皮深さの方向(板厚方向)で生じる。
このような着想の下、本実施形態では、励磁信号の時間波形を擬似正弦波に限定せず、擬似正弦波に限定されない励磁信号でモータMのステータコアを励磁した場合のモータMの磁束密度および渦電流密度の板厚方向の分布を導出し、当該磁束密度および渦電流密度に基づいて鉄損を導出し、当該鉄損をモータMの鉄損として推定する。このようにして推定した鉄損が小さくなる励磁信号を探索することにより、モータMの鉄損を低減することができる励磁信号を得ることができる。尚、モータMの鉄損は、厳密には、ステータコアの鉄損とロータの鉄損との和で表される。従って、このようにしてモータMの鉄損を表してもよいが、後述するようにロータコアにおいては時間高調波による影響は小さいので、ステータコアの鉄損のみでモータMの鉄損を評価しても、相対的な鉄損の大小関係を評価するのには十分である。そこで、本実施形態では、ステータコアの鉄損を、モータMの鉄損として表す場合を例に挙げて説明する。
【0023】
また、本発明者は、モータMの鉄損を、大きく精度を低下させることなく短時間(実用上実現できる時間内)に推定するための着想を得た。この着想について以下に説明する。
図3は、実際のモータM(のモデル)の一例を示す図である。図4は、図3のI−I断面図である。尚、図4では、表記の都合上、断面以外の部分の表記を省略する。図4〜図7において、x−y−z座標は、各図における向きを表すものであり、x−y−z座標の原点は、各図に示す位置に限定されない。
【0024】
実際のモータMとは、目標信号波形決定装置100により決定された目標信号波形を用いて駆動装置700により動作されるモータを指す。実際のモータMとして、目標信号波形決定装置100により決定された目標信号波形を用いて駆動装置700により駆動される現物のモータMを採用することができる。
ただし、当該現物のモータMを駆動することを模擬するためのモータのモデルを、実際のモータMとして扱ってもよい。モデルとは、数値解析を行うために、離散化領域(いわゆるメッシュ)の設定対象となるモータMの各部の領域(形状、大きさ、および位置)を特定する情報を含む。また、当該モータMの領域に対する物性値、および、数値解析を行う際の境界条件を示す情報をモデルに含めてもよい。例えば、非特許文献1に記載のいわゆる電気学会Dモデルモータを、実際のモータMとして扱ってもよい(図3では、いわゆる電気学会Dモデルモータを示す)。このようなモデルを実際のモータMとする場合の数値解析においては、モータMの対称性を利用して、いわゆる1/4モデルが使用される。尚、1/4モデルとは、モータMの回転軸の中心を原点0とし、原点0から径方向に伸びる2つの線であって、相互になす角度が90[°]となる2つの仮想線でモータMを切ったものである。
【0025】
図3および図4において、実際のモータMは、ロータとステータとを有する。図3において、U+、U−、V+、V−、W+、W−は、それぞれ、U+相、U−相、V+相、V−相、W+相、W−相のステータコイルであることを示す。
【0026】
ロータは、ロータコア310を有する。図4に示すように、ロータコア310は、例えば、平面形状が同じ複数の電磁鋼板を積み重ねることにより構成される。
ロータコア310には、モータMの回転軸に平行な方向(Z軸方向)において貫通する貫通穴311、312a〜312d、313a〜313h、314a〜314dを有する。
【0027】
貫通穴311の中心の位置は、モータMの中心の位置と同じである。貫通穴311には、回転軸(シャフト)が配置される。
貫通穴312a〜312dは、貫通穴311を取り巻くように、モータMの周方向において間隔を有して配置される。貫通穴312a〜312dの形状および大きさは同じである。貫通穴312a〜312dには、永久磁石315a〜315dが配置される。貫通穴312a〜312dに永久磁石315a〜315dが配置された状態で、永久磁石315a〜315dの両側方に空隙が形成される。当該空隙は、貫通穴312a〜312dの一部の領域である。尚、永久磁石315a〜315dの側方とは、永久磁石315a〜315dの面に沿う方向のうち、モータMの回転軸に平行な方向と、モータMの径方向とに垂直な方向である。
【0028】
貫通穴313a〜313hは、貫通穴311と貫通穴312a〜312dとの間の領域において、モータMの周方向において間隔を有して配置される。貫通穴313a〜313hの形状および大きさは同じである。
貫通穴314a〜314dは、貫通穴312a〜312dよりもモータMの外周側の領域に配置される。貫通穴314a〜314dの形状および大きさは同じである。
貫通穴313a〜313h、314a〜314dには、何も配置されない。
【0029】
円形に対して以上のような貫通穴311、312a〜312d、313a〜313h、314a〜314dに対応する穴が形成された形状を有する複数の電磁鋼板を、当該穴の位置が合うようにして積み重ねて固定したものがロータコア310である。
【0030】
ステータは、ステータコア320を有する。ステータコア320は、複数のティース部とヨーク部(コアバック部)とを有する。複数のティース部は、モータMの周方向において等間隔となるように配置される。複数のティース部の形状および大きさは同じである。ヨーク部は、概ね中空円筒形状を有する。複数のティース部およびヨーク部は、ヨーク部の内壁面と複数のティース部の基端面とが一致するように配置される。複数のティース部およびヨーク部は、一体となっている(境界線がない)。スロットにステータコイルが配置される。スロットは、モータMの周方向において間隔を有した状態で隣り合う2つのティース部の間の領域である。
(【0031】以降は省略されています)

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