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公開番号2021027742
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210222
出願番号2019145433
出願日20190807
発明の名称回転子
出願人株式会社東芝,東芝インフラシステムズ株式会社
代理人特許業務法人スズエ国際特許事務所
主分類H02K 1/27 20060101AFI20210125BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】永久磁石の破損を防止しつつ渦電流の発生を抑制することが可能な永久磁石型の回転電機の回転子を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、回転子は、複数の磁極を有する回転子鉄心24と、回転子鉄心に埋設された複数の永久磁石Mと、を備えている。永久磁石は、互いに対向する第1長辺SA1および第2長辺SA2、並びに、互いに対向する一対の短辺を有する断面形状を有し、第2長辺の長手方向に間隔を置いて形成されそれぞれ第2長辺から第1長辺に向って延出した少なくとも3つのスリットS1〜S5を有している。永久磁石は、第1長辺および第2長辺が回転子鉄心のd軸とほぼ直交して配置され、第2長辺が第1長辺に対して回転子鉄心の内周側に位置している。永久磁石のスリットのうち、d軸の最も近傍に位置するスリットS3は、d軸から離れた隣のスリットよりも第2長辺からの長さが短い。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
中心軸線の回りで回転自在なシャフトと、前記中心軸線の回りで周方向に並んだ複数の磁極を有し前記シャフトに同軸的に固定された回転子鉄心と、前記回転子鉄心の前記磁極に配置された複数の永久磁石と、を備え、
前記中心軸線と直交する前記回転子鉄心の横断面において、周方向に隣合う磁極の間および前記中心軸線を通り前記回転子鉄心の径方向に延びる軸をq軸、前記q軸に対して電気的に90°離間した軸をd軸とすると、
前記永久磁石は、互いに対向する第1長辺および第2長辺、並びに、互いに対向する一対の短辺を有する断面形状を有し、前記第2長辺の長手方向に間隔を置いて形成されそれぞれ前記第2長辺から第1長辺に向って延出した少なくとも3つのスリットを有し、
前記永久磁石は、前記第1長辺および第2長辺が前記d軸とほぼ直交して配置され、前記第2長辺が前記第1長辺に対して前記回転子鉄心の内周側に位置し、
前記永久磁石のスリットのうち、前記d軸に最も隣接するスリットは、前記d軸から離れた隣のスリットよりも前記第2長辺からの長さが短い回転子。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記永久磁石は、前記d軸に対して線対称に配置され、
前記スリットは、前記d軸上に位置する中央スリットと、前記第2長辺の長手方向両端と前記d軸との間に位置する複数本のスリットと、を含み、
前記中央スリットは、他の複数本のスリットよりも前記第2長辺からの長さが短く形成されている請求項1に記載の回転子。
【請求項3】
中心軸線の回りで回転自在なシャフトと、前記シャフトに同軸的に固定され、円周方向に並んだ複数の磁極を有する回転子鉄心と、前記回転子鉄心に埋設され前記磁極ごとに配置された複数の永久磁石と、を備え、
前記中心軸線と直交する前記回転子鉄心の横断面において、前記中心軸線を通り回転子鉄心の径方向に延びる軸をd軸とすると、
前記永久磁石は、互いに対向する第1長辺および第2長辺、並びに、互いに対向する一対の短辺を有する断面形状を有し、前記第2長辺の長手方向に間隔を置いてそれぞれ前記第2長辺から第1長辺に向って延出した少なくとも3つのスリットを有し、
前記永久磁石は、前記第1長辺および第2長辺が前記d軸とほぼ直交して配置され、前記第2長辺が前記第1長辺に対して前記回転子鉄心の内周側に位置し、
前記永久磁石のスリットの内、前記回転子鉄心が前記中心軸線の回りで回転した時に前記永久磁石に最も曲げ応力が作用する位置にあるスリットは、隣のスリットよりも前記第2長辺からの長さが短い回転子。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、永久磁石が設けられた回転電機の回転子に関する。
続きを表示(約 8,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、永久磁石の目覚しい研究開発により、高磁気エネルギー積の永久磁石が開発され、このような永久磁石を用いた永久磁石型の回転電機が電車や自動車の電動機あるいは発電機として適用されつつある。通常、永久磁石型の回転電機は、円筒状の固定子と、この固定子の内側に回転自在に支持された円柱形状の回転子と、を備えている。回転子は、回転子鉄心と、この回転子鉄心内に埋め込まれた複数の永久磁石と、を備えている。
このような永久磁石型の回転電機では、永久磁石に鎖交する磁束の変化により永久磁石内に渦電流が生じ、損失増加、及び、磁石温度上昇に伴う不可逆減磁の発生の一因となっている。渦電流損失を低減する方法として、永久磁石にスリットを設ける方法が提案されているが、強度低下による永久磁石の破損が課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2000−295804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の実施形態の課題は、永久磁石の破損を防止しつつ渦電流の発生を抑制することが可能な回転電機の回転子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、回転電機の回転子は、中心軸線の回りで回転自在なシャフトと、前記中心軸線の回りで周方向に並んだ複数の磁極を有し前記シャフトに同軸的に固定された回転子鉄心と、前記回転子鉄心の前記磁極に配置された複数の永久磁石と、を備え、
前記中心軸線と直交する前記回転子鉄心の横断面において、周方向に隣合う磁極の間および前記中心軸線を通り前記回転子鉄心の径方向に延びる軸をq軸、前記q軸に対して電気的に90°離間した軸をd軸とすると、
前記永久磁石は、互いに対向する第1長辺および第2長辺、並びに、互いに対向する一対の短辺を有する断面形状を有し、前記第2長辺の長手方向に間隔を置いて形成されそれぞれ前記第2長辺から第1長辺に向って延出した少なくとも3つのスリットを有し、
前記永久磁石は、前記第1長辺および第2長辺が前記d軸とほぼ直交して配置され、前記第2長辺が前記第1長辺に対して前記回転子鉄心の内周側に位置し、
前記永久磁石のスリットのうち、前記d軸に最も隣接するスリットは、前記d軸から離れた隣のスリットよりも前記第2長辺からの長さが短い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1は、実施形態に係る永久磁石型の回転電機の横断面図。
図2は、前記回転電機の回転子の一部を拡大して示す横断面図。
図3は、永久磁石を概略的に示す斜視図。
図4は、前記永久磁石に作用する曲げ応力と永久磁石の幅方向位置(長手方向位置)との関係を模式的に示す前記永久磁石の横断面図。
図5は、第1変形例に係る回転子の一部を拡大して示す横断面図。
図6は、第2変形例に係る回転子の一部を拡大して示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、図面を参照しながら、この発明の実施形態について説明する。なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
【0008】
図1は、実施形態に係る永久磁石型の回転電機の横断面図、図2は、回転子の1磁極部分を拡大して示す断面図である。
図1に示すように、回転電機10は、例えば、インナーロータ型の回転電機として構成され、図示しない固定枠に支持された環状あるいは円筒状の固定子12と、固定子の内側に中心軸線Cの回りで回転自在に、かつ固定子12と同軸的に支持された回転子14と、を備えている。回転電機10は、例えば、ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)において、駆動モータあるいは発電機に好適に適用される。
【0009】
固定子12は、円筒状の固定子鉄心16と固定子鉄心16に巻き付けられた電機子巻線18とを備えている。固定子鉄心16は、磁性材、例えば、ケイ素鋼などの円環状の電磁鋼板を多数枚、同芯状に積層して構成されている。固定子鉄心16の内周部には、複数のスロット20が形成されている。複数のスロット20は、円周方向に等間隔を置いて並んでいる。各スロット20は、固定子鉄心16の内周面に開口し、この内周面から放射方向に延出している。また、各スロット20は、固定子鉄心16の軸方向の全長に亘って延在している。複数のスロット20を形成することにより、固定子鉄心16の内周部は、回転子14に面する複数(例えば、本実施形態では48個)の固定子ティース21を構成している。複数のスロット20に電機子巻線18が埋め込まれ、各固定子ティース21に巻き付けられている。電機子巻線18に電流を流すことにより、固定子12(固定子ティース21)に所定の鎖交磁束が形成される。
【0010】
回転子14は、両端が図示しない軸受により回転自在に支持された円柱形状のシャフト(回転軸)22と、このシャフト22の軸方向ほぼ中央部に固定された円筒形状の回転子鉄心24と、回転子鉄心24内に埋め込まれた複数の永久磁石Mと、を有している。回転子14は、固定子12の内側に僅かな隙間(エアギャップ)を置いて同軸的に配置されている。すなわち、回転子14の外周面は、僅かな隙間をおいて、固定子12の内周面に対向している。回転子鉄心24は中心軸線Cと同軸的に形成された内孔25を有している。シャフト22は内孔25に挿通および嵌合され、回転子鉄心24と同軸的に延在している。回転子鉄心24は、磁性材、例えば、ケイ素鋼などの円環状の電磁鋼板を多数枚、同芯状に積層した積層体として構成されている。
【0011】
本実施形態において、回転子14は、複数磁極、例えば、8磁極に設定されている。回転子鉄心24において、中心軸線Cおよび周方向に隣合う磁極の間を通り径方向に延びる軸をq軸、およびq軸に対して電気的に90°離間した軸をd軸と称する。ここでは、固定子12によって形成される鎖交磁束の流れ易い方向をq軸と称する。d軸およびq軸は、回転子鉄心24の円周方向に交互に、かつ、所定の位相で設けられている。回転子鉄心24の1磁極分とは、q軸間の領域(1/8周の周角度領域)をいう。このため、回転子鉄心24は、8極(磁極)に構成されている。1磁極のうちの周方向中央がd軸となる。
【0012】
図1および図2に示すように、回転子鉄心24には、1磁極ごとに、永久磁石Mが埋設されている。回転子鉄心24の円周方向において、各d軸と交差する位置に、永久磁石Mの形状に対応した形状の磁石埋め込み孔(以下、埋め込み孔と称する)34が形成されている。永久磁石Mは、それぞれ埋め込み孔34内に装填および配置され、例えば、接着剤等により回転子鉄心24に固定されている。
【0013】
各埋め込み孔34は、回転子鉄心24を軸方向に貫通して延びている。回転子鉄心24の中心軸線Cと直交する横断面でみた場合、埋め込み孔34は、ほぼ矩形の断面形状を有し、それぞれd軸とほぼ直交している。埋め込み孔34は、d軸に対して左右対称に形成されている。より詳細に述べると、フラックスバリアとして機能する各埋め込み孔34は、永久磁石Mの断面形状に対応した矩形状の磁石装填領域34aと、磁石装填領域34aの長手方向の両端から延出する一対の端空隙34b、34cと、を有している。また、回転子鉄心24は、埋め込み孔34内に突出し永久磁石Mに係合する保持突起を有していてもよいが、本実施形態では、保持突起を省略している。
【0014】
磁石装填領域34aは、平坦な矩形状の外周側端面(外周側長辺)35aと、この外周側端面35aと隙間を置いて平行に対向する平坦な矩形状の内周側端面(内周側長辺)35bとの間に規定されている。外周側長辺35aおよび内周側長辺35bは、d軸と直交している。磁石装填領域34aは、外周側長辺35aおよび内周側長辺35bの長手方向中央がd軸と交差する位置に設けられている。
一対の端空隙34b、34cは、磁石装填領域34aの長手方向両端からd軸と直交する方向に延出している。端空隙34b、34cは、回転子鉄心24の外周面に向かって延出している。端空隙34bと回転子鉄心24の外周面との間、および端空隙3cと回転子鉄心24の外周面との間に、それぞれ幅の狭い磁路狭隘部(第2ブリッジ部)38が形成されている。端空隙34b、34cは、永久磁石Mの長手方向両端部から回転子鉄心24への磁束漏れを抑制するフラックスバリアとして機能するとともに、回転子鉄心24の軽量化にも寄与する。
【0015】
図3は、永久磁石を模式的に示す斜視図である。図示のように、永久磁石Mは、例えば、横断面が矩形状の細長い平板状に形成され、回転子鉄心24の軸方向長さとほぼ等しい長さを有している。永久磁石Mは回転子鉄心24のほぼ全長に亘って埋め込まれる。永久磁石Mは、軸方向(長手方向)に複数に分割された磁石を組み合わせて構成されてもよく、この場合、複数の磁石の合計の長さが回転子鉄心24の軸方向長さとほぼ等しくなるように形成される。
【0016】
永久磁石Mは、矩形状の断面形状を有し、互いに平行に対向する第1長辺SA1および第2長辺SA2、および互いに対向する一対の短辺SSを有している。本実施形態によれば、永久磁石Mの第2長辺SA2に複数本、例えば、5本のスリットS1、S2、S3、S4、S5が設けられている。スリットS1〜S5は、それぞれ永久磁石Mの長手方向の全長に亘って形成されている。スリットS1〜S5は、永久磁石Mの幅方向に等間隔を置いて設けられている。例えば、スリットS3が永久磁石Mの幅方向の中央に設けられ、スリットS1、S2およびスリットS4、S5はスリットS3(中央スリット)の幅方向両側に等間隔を置いて設けられている。各スリットは、第2長辺SA2から第1長辺SA1に向かって、第2長辺SA2に対して垂直に形成されている。スリットS1〜S5の深さ、すなわち、第2長辺SA2からスリット先端までの長さは、中央スリットS3が、他のスリットS1、S2、S4、S5よりも短くなるように形成されている。本実施形態では、長手方向の両端に位置するスリットS1、S5が最も長く、その内側のスリットS2、S4が次に長く、中央スリットS3が最も短く形成されている。
【0017】
図2に示したように、永久磁石Mは、埋め込み孔34の磁石装填領域34aに装填され、第1長辺SA1が外周側端面35aに当接し、第2長辺SA2が内周側端面35bに当接している。第1長辺SA1および第2長辺SA2はd軸とほぼ直交して延びている。また、第1長辺SA1は第2長辺SA2に対して回転子鉄心24の外周側に位置している。永久磁石Mは、d軸に対して左右線対称に形成および配置されている。
【0018】
永久磁石Mの5本のスリットS1〜S5は、内周側に位置する第2長辺SA2から外周側の第1長辺SA1に向って、第2長辺SA2に対して垂直に延びている。第2長辺SA2の長手方向中央に位置する中央スリットS3は、d軸の近傍に位置し、ここでは、d軸と整列して位置している。スリットS1、S2およびスリットS4、S5は、d軸と第2長辺SA2の長手方向両端との間にそれぞれ並んで位置している。前述したように、中央スリットS3は、両側のスリットS1、S2、S4、S5よりも第2長辺SA2からの長さが短く(浅く)形成されている。一例では、中央スリットS3の長さ(深さ)は、永久磁石Mの厚さの30〜60%程度としている。
中央スリットS3の両側に位置するスリットS2、S4は、中央スリットS3よりも第2長辺SA2からの長さが長く(深く)形成されている。長手方向の両端側に位置するスリットS1、S5は、スリットS2、S4よりも長く形成されている。このように本実施形態によれば、複数のスリットは、永久磁石Mの長手方向(あるいは幅方向)の中央に位置する中央スリットS3が最も短く、長手方向の両端に向かってスリットが順次長くなるように形成されている。
【0019】
なお、スリットS1〜S5は、第2長辺SA2に対して垂直に形成されている場合に限らず、第2長辺SA2に対し、90°よりも小さい角度(あるいは90°よりも大きい角度)で傾斜して形成してもよい。この場合、第2長辺SA2に垂直な方向の長さ成分を、第2長辺SA2からのスリットの長さとして用いる。
【0020】
各永久磁石Mは、第1長辺SA1および第2長辺SA2に垂直な方向に磁化されている。本実施形態では、回転電機10は、隣接する1磁極毎に永久磁石MのN極とS極の表裏を交互に配置した、8極、48スロットで、単層分布巻で巻線した永久磁石埋め込み型の回転電機を構成している。
【0021】
図4は、永久磁石Mに作用する曲げ応力と永久磁石の幅方向位置(長手方向位置)との関係を模式的に示す断面図である。図示のように、回転電機10の稼働時、回転子14が回転している間、永久磁石Mに遠心力Fが作用する。この遠心力Fに起因して、永久磁石Mに永久磁石を外周側に曲げる曲げ応力が生じる。曲げ応力は、永久磁石Mの幅方向(長手方向)中央部で最も大きく、幅方向の両端部に近づくに従って減少していく。このように、永久磁石Mの中央部は最も大きな曲げ応力が作用し、最も損傷し易い。
本実施形態では、永久磁石Mに形成された複数のスリットの内、磁石の幅方向中央に位置するスリットS3、すなわち、最も大きな曲げ応力が作用する位置にあるスリットS3は、隣の他のスリットよりも短く形成されている。そのため、永久磁石Mの幅方向中央部の機械的強度は、永久磁石Mの他のスロットが形成されている領域の機械的強度よりも高い。すなわち、永久磁石Mの機械的強度は、永久磁石に発生する曲げ応力に対応して、幅方中央部が最も高く幅方向両端に向かって低下している。従って、永久磁石Mに曲げ応力が作用した場合でも、永久磁石Mの割れ、損傷が防止される。
【0022】
以上のように構成された本実施形態に係る回転電機10によれば、回転子鉄心24に埋め込まれた永久磁石Mに複数のスリットS1〜S5を設けることにより、永久磁石における渦電流の発生を効果的に抑制することができ、渦電流損失を大幅に低減することが可能となる。同時に、永久磁石に作用する曲げ応力に応じてスリットの長さ(深さ)を調整することにより、永久磁石の強度を維持し、磁石の割れ、破損を防止することができる。
これにより、永久磁石の損傷を防止しつつ渦電流の発生を抑制することが可能な永久磁石型の回転電機の回転子が得られる。
【0023】
次に、変形例に係る回転子について説明する。なお、以下に説明する変形例において、前述した実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、実施形態と異なる部分を中心に詳しく説明する。
(第1変形例)
図5は、第1変形例に係る固定子の永久磁石部分と永久磁石Mに作用する曲げ応力との関係を模式的に示す断面図である。
第1変形例によれば、永久磁石Mは、矩形の断面形状を有し、d軸に対して左右線対称に形成および配置されている。永久磁石Mには8本のスリットS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8が設けられている。スリットS1〜S8は、永久磁石Mの第2長辺SA2の長手方向に等間隔を置いて設けられ、それぞれ第2長辺SA2から第1長辺SA1に向かってほぼ垂直に延出している。複数のスリットの内、第2長辺SA2の長手方向のほぼ中央部に位置する2本のスリット(中央スリット)S4、S5は、d軸の近傍でd軸の両側に位置している。スリットS1、S2、S3は、スリットS4と永久磁石Mの一方の短辺との間に設けられている。スリットS6、S7、S8は、スリットS5と永久磁石Mの他方の短辺との間に設けられている。
【0024】
d軸の近傍に位置する2本のスリットS4、S5の深さ、すなわち、第2長辺SA2からスリット先端までの長さは、隣のスリットS3、S6よりも短くなるように形成されている。第1変形例では、長手方向の両端に位置するスリットS1、S2、S7、S8が最も長く、その内側のスリットS3、S6が次に長く、中央スリットS4、S5が最も短く形成されている。すなわち、最も大きな曲げ応力が作用する位置にある2本の中央スリットS4、S5は、隣の他のスリットよりも短く形成されている。
【0025】
(第2変形例)
図6は、第2変形例に係る固定子の永久磁石部分と永久磁石Mに作用する曲げ応力との関係を模式的に示す断面図である。
第2変形例によれば、永久磁石Mは、矩形の断面形状を有し、第1長辺SA1および第2長辺SA2がd軸とほぼ直交するように配置されている。永久磁石Mは、d軸に対して、左右非対称に形成および配置されている。図示の例では、永久磁石Mは、第1長辺SA1の長手方向の中央部がd軸から一方向(右側)に離間して位置するように配置されている。
永久磁石Mには複数本、例えば、5本のスリットS1、S2、S3、S4、S5が設けられている。スリットS1〜S5は、永久磁石Mの第2長辺SA2の長手方向に等間隔を置いて設けられ、それぞれ第2長辺SA2から第1長辺SA1に向かってほぼ垂直に延出している。複数のスリットの内、スリットS4がd軸上に、あるいは、d軸に最も隣接して設けられ、スリットS1、S2、S3は、スリットS4と永久磁石Mの一方の短辺との間に設けられている。スリットS5は、スリットS4と永久磁石Mの他方の短辺との間に設けられている。
【0026】
d軸上に、あるいは、d軸の近傍に位置するスリットS4の深さ、すなわち、第2長辺SA2からスリット先端までの長さは、隣のスリットS3、S5よりも短くなるように形成されている。第2変形例では、d軸から最も離間し永久磁石Mの一方の短辺に隣接するスリットS1が最も長く形成され、その内側のスリットS2が次に長く、更に内側のスリットS3および反対側のスリットS5が次に長く形成されている。d軸上に、あるいは、d軸の近傍に位置するスリットS4が最も短く形成されている。すなわち、最も大きな曲げ応力が作用する位置にあるスリットS4は、隣の他のスリットよりも短く形成されている。
【0027】
以上のように構成された第1変形例および第2変形例においても、回転子鉄心24に埋め込まれた永久磁石Mに複数のスリットを設けることにより、永久磁石における渦電流の発生を効果的に抑制することができ、渦電流損失を大幅に低減することが可能となる。同時に、永久磁石Mに作用する曲げ応力に応じてスリットの長さ(深さ)を調整することにより、永久磁石の強度を維持し、磁石の割れ、破損を防止することができる。
【0028】
なお、この発明は上述した実施形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、永久磁石のスリット数は、5本あるいは8本に限らず、少なくとも3本程度設けられていればよい。いずれの本数においても、永久磁石の最も曲げ応力が作用する位置にある1本あるいは複数本のスリットを隣の他のスリットよりも短く形成すればよい。また、回転子の磁極数、寸法、形状等は、前述した実施形態に限定されることなく、設計に応じて種々変更可能である。
【符号の説明】
【0029】
10…回転電機、12…固定子、14…回転子、16…固定子鉄心、
18…電機子巻線、20…スロット、22…シャフト、24…回転子鉄心、
M…永久磁石、34…埋め込み孔、34a…磁石装填領域、34b、34c…端空隙、
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8…スリット、
SA1…第1長辺、SA2…第2長辺

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