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公開番号2021023035
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210218
出願番号2019138421
出願日20190729
発明の名称モータ
出願人国立大学法人信州大学
代理人
主分類H02K 1/12 20060101AFI20210122BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】高速動作に適した高効率で高トルクまたは高パワーを発生することができる小型のモータを提供する。
【解決手段】本モータは、ヨークに巻回した導線2が設けられたコアレス構造の固定子1と、前記固定子に対向するように永久磁石3が設けられた可動子を有するモータであって、任意の巻回における前記導線と、前記可動子の可動方向に隣接する巻回における前記導線との間に軟磁性体21が設けられたことを特徴とする。前記軟磁性体は樹脂に磁性粉を混ぜて固化させた磁性コンポジット材料であってもよい。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ヨークに巻回した導線が設けられたコアレス構造の固定子と、前記固定子に対向するように永久磁石が設けられた可動子を有するモータであって、
任意の巻回における前記導線と、前記可動子の可動方向に隣接する巻回における前記導線との間に軟磁性体が設けられたことを特徴とするモータ。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
前記軟磁性体は、電磁鋼板、ナノ結晶板、圧粉、磁性コンポジット材のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記磁性コンポジット材はバインダに磁性粉を混ぜて固化させたものであることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記磁性粉はFe系アモルファス、純鉄、Fe−Si、ナノ結晶、センダストのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記導線の断面は平角形状であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記導線の断面は円形状であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記導線はα巻きに巻回されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記軟磁性体は前記ヨークに接する面を有し、前記軟磁性体の前記ヨークに接する面側には、前記可動子の可動方向と垂直な方向に前記導線を収納する溝が形成されたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
前記ヨークは軟磁性体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項10】
前記ヨークは電磁鋼板を積層して形成されたものであることを特徴とする請求項9に記載のモータ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、高速動作に適した高効率で高トルクを発生することができる小型のモータに関する。
続きを表示(約 5,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー消費の増加にともなって国際的に地球温暖化問題への関心が高まり、消費エネルギーの低減が求められている。世界のエネルギー消費の中でモータに係る割合は約40%であると言われ、各分野で電動化が進む中、モータの高効率化は急務となっている。モータの高効率化はモータ体格を大きくすることである程度は達成可能であるが、大型化するとアプリケーションが限られてくる。
【0003】
小型のモータとしては、自動車エンジンに用いられるターボチャージャー、ターボ分子ポンプ、医療用ロボットに使用するモータなどがある。これらのモータは効率の他に超高速、例えば100,000rpmを超える回転数が求められている。小型で超高速回転を実現する手段としてスロットレス(コアレス)モータが適していると言われている(非特許文献1)。超高速回転下では誘起電圧の上昇を抑制する必要があり、そのため巻線部分のインダクタンスを減らした方が有利だからである。
【0004】
しかし、その一方でスロットレスモータはコアが無いため固定子と回転子の間のギャップ内の磁束密度が低く、よってトルクが小さくなる。また永久磁石からの磁束が巻線に鎖交し、巻線内の電流密度の偏りが発生するために交流銅損が発生する。このような課題に対し、巻線(コイル)全体に磁性シートを貼付け、交流銅損を低減するといったIPMモータが検討されている(非特許文献2)。
【0005】
また、トルクを改善する方法として、ムービングコイル型のコアレスモータの回転子にコイルを固定するためのモールド樹脂に磁性粉を混ぜ、回転軸方向に磁化配列させることにより、高トルク化を図る技術も開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2006−25594号公報
【非特許文献】
【0007】
小森、他、「スロットレス超高速PMモータの高パワー密度設計」、電気学会産業応用部門大会、2013
鳥島、水野、他、「磁束経路制御技術を用いた平角線の銅損低減」,電気学会研究会資料、MAG−19−008、2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、非特許文献1の高効率化技術は、磁束が直接コイルに入らないように予めスロットに巻回されたコイルの、回転子(永久磁石)に近い側を磁性体で覆うものである。つまり、スロットを用いることを前提とした構成であって、スロットレス型のモータにそのまま適用しても効果が無いか、却って効率を落とすことになる。また、特許文献1の技術は、高トルク化を実現するため、磁性モールド材を磁化配列させているが、このようにするとインダクタンスの増加を招き、超高速回転には適さない、といった課題があった。また、コイル周辺を磁化配列させた場合、高磁場下で磁気飽和が生じるといった課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るモータは、ヨークに巻回した導線が設けられたコアレス構造の固定子と、前記固定子に対向するように永久磁石が設けられた可動子を有するモータであって、任意の巻回における前記導線と、前記可動子の可動方向に隣接する巻回における前記導線との間に軟磁性体が設けられたことを特徴とする。
【0010】
前記軟磁性体は、電磁鋼板、ナノ結晶板、圧粉、磁性コンポジット材のいずれかであってもよい。
【0011】
前記磁性コンポジット材はバインダに磁性粉を混ぜて固化させたものであってもよい。
【0012】
前記磁性粉はFe系アモルファス、純鉄、Fe−Si、ナノ結晶、センダストのいずれかであってもよい。
【0013】
前記導線の断面は平角形状であってもよい。
【0014】
前記導線の断面は円形状であってもよい。
【0015】
前記導線はα巻きに巻回されていてもよい
【0016】
前記軟磁性体は前記ヨークに接する面を有し、前記軟磁性体の前記ヨークに接する面側には、前記可動子の可動方向と垂直な方向に前記導線を収納する溝が形成されていてもよい。
【0017】
前記ヨークは軟磁性体で形成されていてもよい。
【0018】
前記ヨークは電磁鋼板を積層して形成されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、超高速動作しているスロット(コア)レス型のモータの固定子内の磁束経路を導線間に設けられた軟磁性体で制御することによってトルクやパワーの増加および巻線内の渦電流損失の低減を図ることができ、小型で高効率なモータを実現することが可能となる。さらに前記軟磁性体は、Fe等の金属または合金を含むため、比較的熱伝導性が良く、前記導線内で発生する熱を逃がす役割を果たし、発熱による直流抵抗の上昇も防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の一実施の形態のモータの断面図および詳細断面図
本開示の一実施の形態のモータの要部構成図
一般的なスロットレスモータの磁束経路を示す説明図
本開示の一実施の形態の効果を示す説明図
本開示の実施例1のモータにおける軟磁性体とその周辺の断面図
本開示の実施例1のモータにおけるステータの要部構成図
本開示の実施例2のモータにおけるステータの要部構成図
本開示の実施例3のモータにおけるステータの要部構成図
本開示の実施例4のモータの寸法図
本開示の実施例4の軟磁性体の特性を示すグラフ
本開示の実施例4および比較例の寸法図
本開示の実施例5および比較例の磁束密度と磁束線分布図
本開示の実施例5および比較例の電流密度と磁束線分布図
本開示の実施例5の効果を示すグラフ
本開示の実施例5の効果を示すグラフ
本開示の実施例5の効果を示すグラフ
本開示の実施例6の効果を示すグラフ
本開示の実施例7に対する比較例の部分構成図と交流銅損を示すグラフ
本開示の実施例7の一モデルの部分構成図と交流銅損を示すグラフ
本開示の実施例7の他のモデルの部分構成図と交流銅損を示すグラフ
本開示の実施例7の他のモデルの部分構成図と交流銅損を示すグラフ
本開示の実施例8に対する比較例の部分構成図と交流銅損を示すグラフ
本開示の実施例8の一モデルの部分構成図と交流銅損を示すグラフ
本開示の実施例8の他のモデルの部分構成図と交流銅損を示すグラフ
本開示の実施例8の他のモデルの部分構成図と交流銅損を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の一態様に係る実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態においてモータは回転型モータとする。図1に本実施の形態におけるモータの断面図と、破線で描かれた円内の詳細断面図を示す。図1において、1は(固定子)ヨークであり、巻回された導線(以下、巻線)2とともに固定子を構成する。3は永久磁石であり、ヨーク4、シャフト5とともに可動子(以下、回転子)を構成する。永久磁石3は前記固定子に対向するように設けられ、予め図中白矢印で示す方向に着磁されている。
【0022】
図1の詳細断面図において、21は軟磁性体であり、任意の巻回における導線2と、ヨーク1の円周方向に隣接する巻回における導線との間に設けられている。言い換えれば、ヨーク1おいて、軟磁性体21を介さずに(単に絶縁層のみで)導線どうしが接して巻かれることはない。軟磁性体21の材料は、例えば、電磁鋼板、ナノ結晶板、圧粉、磁性コンポジット材であればよい。比透磁率の大きさの点では、電磁鋼板や圧粉が軟磁性体21の材料として適しているが、成型のしやすさという点では磁性コンポジット材が優れている。またヨーク1も電磁鋼板、ナノ結晶板、圧粉、磁性コンポジット材等の軟磁性体で形成されていてもよい。
【0023】
磁性コンポジット材料は樹脂等のバインダに磁性粉を混ぜて固化させたであってもよい。例えば、球状の磁性粉にエポキシ樹脂と希釈材を混合・攪拌・注型し、熱硬化させたものでもよい。磁性粉としては、例えばFe系アモルファス、純鉄、Fe−Si、ナノ結晶、センダストを用いることができる。形状としては球状が好ましい。扁平形状の磁性粉では、強磁場により配向が生じ、磁束密度が飽和する可能性があるからである。また、磁性コンポジット材料における磁性粉の分量は体積比で30〜60%が好ましい。この範囲より低いと磁束経路が十分に制御されず、逆に高いと材料自身の剛性が低下する。軟磁性体21の具体的構造や磁性コンポジット材料の具体例については実施例1〜4で改めて説明する。
【0024】
図1の詳細断面図において、20は巻線2の一部である導線である。導線20の断面は平角形状であっても円形状であってもよい。断面形状の詳細については実施例1と2で改めて説明する。本実施の形態では導線20は平角形状の断面を有するとする。ここで平角形状とは、長方形状であってもよいし、長方形の角が削られた多角形であってもよい。巻線2は2層のα巻であり、U−U’(図中はU上バー)相、V−V’(図中はV上バー)相、W−W’(図中はW上バー)相ごとに分布巻されたものであってもよい。
【0025】
図2に導線20の周辺の構成図を示す。図2において、導線20のヨーク1円周方向(図面左右の方向)に隣接する導線20との間には必ず軟磁性体21が設けられている。導線20と軟磁性体21は直接接していなくてもよい。磁気特性に影響を与えない程度であれば非磁性絶縁層23(例えば接着層)を設けてもよい。また、一層目(ヨーク1側)の巻線と二層目の巻線の間、および二層目の巻線と回転子3(図示せず)との間に軟磁性体21を設けてもよい。
【0026】
以上のように構成されたモータについて、以下、その作用(動作)を説明する。まず図3に一般のスロットレスモータ(軟磁性層21を用いないもの)における磁束線の経路を描いた概念図を示す(以下、Rectangular Copper Wire:略してRCW)。図3において、永久磁石(3)からの磁束φmは導体(20)内を鎖交し、巻線内で渦電流が生ずることで電流密度の偏りが生まれ、電流が流れる実効断面積が減少する。この結果、巻線抵抗が増加し、交流銅損が発生する。
【0027】
一方、巻線2が軟磁性体21(磁性コンポジット材料など)に埋め込まれた場合(以下、

agnetic

old

oil:略してMMC)の磁束φmの経路を図4に示した。このように、巻線2が軟磁性体21に埋め込まれた構造のモータを、以降、埋込巻線形同期モータ(Interior Winding Synchronous Motor:IWSM)と称することがある。軟磁性体21の原料となる磁性コンポジット材料は空気より透磁率が高く、磁束の多くは軟磁性体21を通るため、巻線内で生ずる交流銅損はその分低減される。また、軟磁性体21に磁束を集中させることができるため、ギャップ磁束密度が増加し、トルクの増加が期待できる。導体20や軟磁性体21等の具体的な構成と動作については以下の実施例にて詳細に説明する。
【0028】
なお、本実施の形態においては、モータは回転型モータとしたが、回転型に限定されない。例えば、ヨークが長尺状であり可動子がレールに沿ってヨークと平行に動く、いわゆるリニアモータであってもよい。
【実施例】
【0029】
以下、本開示の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では回転型モータにおける軟磁性体21の具体的な構成について説明する。図5に軟磁性体21とその周辺部品の断面図を示す。図5において、軟磁性体21はヨーク1(部分的に点線で表示)内接する円筒形状を成す。ヨーク1と内接する軟磁性体21の表面には、回転子の回転方向と垂直な方向すなわち図面上では紙面と垂直な方向に、巻回された導線20を収納する溝が形成されている。
【0030】
図5の要部構成図を図6に示す。軟磁性体21に設けられた溝に沿って平角状の導線20が巻回される。例えば、W相α巻きの場合、導線20を軟磁性体21に設けられた溝に埋め込みながら、W相とW’(図中はバーで表示)相を跨ぎながら、外周から内周に巻いて1層目を形成し、次に最内周から第2層目を巻きはじめ、最外周で巻き終えるようにすればよい。他相もすべて巻き終わった後、円筒状のヨーク1をかぶせることにより、図6に示されるように各導線20はヨークと軟磁性体21によって密閉される。なお図6において、導体20周りの空白は絶縁層であっても接着層であってもよい。導線20内部で発生した熱を軟磁性体21に逃がすことを考えると、この絶縁層等はできるだけ薄く、かつ熱伝導性がよいものが好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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