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公開番号2021021792
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210218
出願番号2019137253
出願日20190725
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人特許業務法人秀和特許事務所
主分類G03G 9/08 20060101AFI20210122BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立することで、精密な帯電制御を可能とし、高画質を達成できるトナーを提供すること。
【解決手段】トナー粒子を含有するトナーであって、トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接をtanδ50℃(1)とし、トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定後、温度30℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接をtanδ30℃(2)としたときに、tanδ50℃(1)が0.015以上0.050以下であり、tanδ50℃(1)>tanδ30℃(2)の関係を満たし、tanδ30℃(2)/tanδ50℃(1)が0.25以上0.66以下であることを特徴とするトナー。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
トナー粒子を含有するトナーであって、
該トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接をtanδ50℃(1)とし、
該トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定後、温度30℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接をtanδ30℃(2)としたときに、
該tanδ50℃(1)が、0.015以上0.050以下であり、
該tanδ50℃(1)及び該tanδ30℃(2)が、
tanδ50℃(1)>tanδ30℃(2)の関係を満たし、
該tanδ30℃(2)の該tanδ50℃(1)に対する比が、0.25以上0.66以下である、ことを特徴とするトナー。
続きを表示(約 2,200 文字)【請求項2】
前記トナーは、前記トナー粒子の表面に、
微粒子B1、及び、金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該微粒子B1の個数平均粒径DBが、50nm以上500nm以下であり、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が5.0atomic%以上10.0atomic%以下であり、
該トナーの動的粘弾性測定における、G’が1.0×10

Paであるときの温度をTaとし、
該トナーの示差走査熱量測定におけるガラス転移温度をTgとしたときに、
該Tgが、40℃以上70℃以下であり、
該Taが、60℃以上90℃以下である、
請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナー粒子が、
トナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部B2、並びに、
該トナー粒子表面の金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該凸部B2の凸高さHの個数平均値が、50nm以上500nm以下であり、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が5.0atomic%以上10.0atomic%以下であり、
該トナーの動的粘弾性測定における、G’が1.0×10

Paであるときの温度をTaとし、
該トナーの示差走査熱量測定におけるガラス転移温度をTgとしたときに、
該Tgが、40℃以上70℃以下であり、
該Taが、60℃以上90℃以下である、
請求項1に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナー粒子が、
トナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部B2、並びに、
該トナー粒子表面の金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該凸部B2の凸高さHの個数平均値が、50nm以上500nm以下であり、
該凸部B2が、金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを含み、該凸部B2の表面に該金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aが存在し、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が3.0atomic%以上10.0atomic%以下であり、
該トナーの動的粘弾性測定における、G’が1.0×10

Paであるときの温度をTaとし、
該トナーの示差走査熱量測定におけるガラス転移温度をTgとしたときに、
該Tgが、40℃以上70℃以下であり、
該Taが、60℃以上90℃以下である、
請求項1に記載のトナー。
【請求項5】
前記Tgが、50℃以上60℃以下であり、
前記Taが、60℃以上80℃以下である、
請求項2〜4のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項6】
前記トナーを、温度30℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接をtanδ30℃(1)としたときに、
該tanδ30℃(1)の前記tanδ30℃(2)に対する比が、0.80以上1.20以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項7】
前記金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aの個数平均粒径DAが、1nm以上45nm以下である、請求項2〜5のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項8】
前記微粒子B1の前記トナー粒子に対する被覆率が、5%以上60%以下である、請求項2に記載のトナー。
【請求項9】
前記凸部B2の前記トナー母粒子に対する被覆率が、30%以上90%以下である、請求項3又は4に記載のトナー。
【請求項10】
前記凸部B2が、有機ケイ素重合体を含有する、請求項3、4、又は9に記載のトナー。
【請求項11】
前記金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aが、多価酸金属塩を含有する、請求項2〜5、7〜10のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項12】
前記トナーの平均円形度が、0.950以上0.990以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項13】
トナーを担持するトナー担持体と、
該トナー担持体に当接して該トナー担持体に担持される該トナーを規制するトナー規制部材と、
を有し、
画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、
該トナーが、請求項1〜12のいずれか1項に記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
静電潜像が形成される像担持体と、
トナーを担持し、該静電潜像をトナー像に現像するトナー担持体と、
該トナー担持体に当接して該トナー担持体に担持される該トナーを規制するトナー規制部材と、
該トナー担持体と該トナー規制部材との間にバイアスを印加する印加部材と、
を有し、
該トナーが、請求項1〜12のいずれか1項に記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット方式記録法を利用した記録方法に用いられるトナーに関する。
続きを表示(約 12,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、電子写真による画像形成が利用される分野はプリンターや複写機から商業印刷機にいたるまで多岐にわたってきている。それに伴い、電子写真に求められる画質はますます高まってきている。
その中で、トナーには潜像を忠実に再現することが求められている。潜像を忠実に再現するためには、トナーの帯電を精密に制御することが有効である。トナーの帯電制御が不十分だと、低帯電のトナーが非画像部に現像するカブリや、過帯電のトナーがトナー担持体に融着する規制不良などの弊害が発生し、潜像の忠実な再現を妨げる要因となる。
従来、トナーの帯電プロセスとしては、トナーと、キャリアや帯電部材(以下、帯電部材と総称する)との摺擦によってトナーに電荷を付与する摩擦帯電が広く検討されている。
しかしながら、摩擦帯電では、帯電部材とトナーとの摺擦が均一に起こらず、過帯電のトナーと低帯電のトナーが発生する場合があった。これは、摩擦帯電による電荷が、トナーと帯電部材とが接触した部分にのみ発生するためである。
また、摩擦帯電は湿度の影響を受けやすく、低湿度の環境と高湿度の環境では帯電量が変化する場合がある。さらに、摩擦帯電はトナーの流動性の影響を大きく受けるために、長期使用などによりトナーが劣化して流動性が低下した場合には帯電量が変化する場合がある。
【0003】
このような摩擦帯電プロセスの課題を解決するため、注入帯電プロセスの検討が行われている。注入帯電プロセスとは、トナーと帯電部材との電位差によって電荷を注入することでトナーを帯電させるプロセスである。
この場合、トナー中やトナー間に導電パスが存在すれば、帯電部材と接触している部分だけではなく、トナー全体を均一に帯電させることができる。
また、注入帯電によれば、電位差を変えることで任意に帯電量を制御できるため、システムが要求する帯電量を満たすことが容易になる。さらに、注入帯電は湿度の影響を受けにくいため、環境による帯電量の変化を抑制することが可能である。
しかしながら、注入帯電プロセスには、電荷の注入と保持を両立することが難しいという課題があった。これは、トナー中やトナー間に導電パスが存在することにより、注入した電荷がリークしやすくなるため、電荷注入性と電荷保持性がトレードオフの関係となるためである。
【0004】
特許文献1には、高電圧下で体積抵抗率が低下するトナー及びそのトナーを用いた注入帯電プロセスが開示されている。特許文献1に記載のプロセスにおいては、トナーへの電荷注入プロセスのみを、トナーの体積抵抗率が低下する高電圧下で行うことで、電荷注入性と電荷保持性のトレードオフを解消することを目的としている。
特許文献2には、温度20℃、相対湿度50%RHの環境下において、1kHzから100kHzまでの周波数の範囲で測定して得られる誘電正接tanδの最大値をtanδmaxとし、最小値をtanδminとしたとき、tanδmaxを示す周波数<tanδminを示す周波数となるトナーが開示されている。
特許文献3には、温度変化法による25℃・50%RHでの体積抵抗率が、1.0×10
14
Ω・cm以上であり、かつ、該温度変化法による67℃での体積抵抗率が、1.0×10
15
Ω・cm以下であるトナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2005−148409号公報
特開2017−181743号公報
特開2018−124463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において、上記プロセスで注入帯電を達成するためには、電荷注入プロセスにおいて高電圧が必要であるために放電が起こりやすく、帯電量の精密な制御は困難であった。また、その他のプロセスを低電圧で達成する必要があることから、プロセスの電圧設定の設計自由度が低かった。このように、注入帯電システムにおいて電荷注入性と電荷保持性を両立することは困難であった。
特許文献2に記載のトナーは、トナー母体粒子に含まれる着色剤や、結着樹脂に含まれうる水素イオンや、Naイオン、Kイオンなどの第1族元素の陽イオンにより、トナーの誘電正接tanδを制御している。それにより、低温定着性を確保しつつ帯電量の立ち上がりが改善され、高速及び高印字率の画像形成時でも、濃度ムラが少ない高画質の画像を得ることを目的としている。
しかしながら、該トナーは、注入帯電システムにおいて、電荷注入性と電荷保持性の両立には、課題があった。
特許文献3に記載のトナーは、トナー母体粒子に結晶性物質を含有していても、トナー母体粒子の表面における活性剤の残存量により、定着前のトナーの帯電性が良好であり、かつ、定着後の静電オフセットの発生を抑制できることを目的としている。
しかしながら、該トナーは、注入帯電システムにおいて、電荷注入性と電荷保持性の両立においては課題があった。
上述の通り、注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立したトナーは得られておらず、更なる改善が求められていた。
本発明は、注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立することで、精密な帯電制御を可能とし、高画質を達成できるトナーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
トナー粒子を含有するトナーであって、
該トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接をtanδ50℃(1)とし、
該トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定後、温度30℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接をtanδ30℃(2)としたときに、
該tanδ50℃(1)が、0.015以上0.050以下であり、
該tanδ50℃(1)及び該tanδ30℃(2)が、
tanδ50℃(1)>tanδ30℃(2)の関係を満たし、
該tanδ30℃(2)の該tanδ50℃(1)に対する比が、0.25以上0.66以下である、ことを特徴とするトナーに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立することで、精密な帯電制御を可能とし、高画質を達成できるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
画像形成装置の断面図の一例
プロセスカートリッジの断面図の一例
薄片状のサンプル切り出しの模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明は、
トナー粒子を含有するトナーであって、
該トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接をtanδ50℃(1)とし、
該トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定後、温度30℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接をtanδ30℃(2)としたときに、
該tanδ50℃(1)が、0.015以上0.050以下であり、
該tanδ50℃(1)及び該tanδ30℃(2)が、
tanδ50℃(1)>tanδ30℃(2)の関係を満たし、
該tanδ30℃(2)の該tanδ50℃(1)に対する比が、0.25以上0.66以下である、ことを特徴とするトナーである。
【0011】
該トナーにおいて、注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立できた要因は明確ではないが、本発明者らは以下のように推測している。
本発明を完成させるにあたり、本発明者らはトナー層を規制する規制プロセスに着目した。一般的な画像形成プロセスは、トナーが保持する電荷を用いてトナーをトナー担持体から像担持体へと現像する現像プロセスを有する。該現像プロセスに先立ち、トナー担持体上のトナーを規制ブレードなどの規制部材を用いてトナー担持体と規制部材の間で規制し、該トナー層をトナー担持体上に形成する規制プロセスを有する。現像プロセスにおいて、トナーは帯電している必要があることから、注入帯電プロセスは現像プロセスの前、言い換えれば規制プロセスの近傍で実施する必要がある。
この時、該トナーは、トナー担時体と規制部材の間で、規制によりトナーが溶融しない程度に熱がかかる。この規制時にかかる熱に応答して、トナーの誘電正接tanδが大きくなり、規制プロセスにおいてトナーに電荷を注入することができる。また、規制後、該トナーが降温し、トナーの誘電正接tanδが小さくなることで、現像時や転写時において、トナーの電荷保持性が良好となる。
【0012】
該トナーは、
トナー粒子を有するトナーであって、
(A)30℃から50℃に加温した際に、トナー粒子が微小に弾性変形することで、トナー粒子間の接触点が増加する。このトナー粒子間の接触点の増加により、トナー粒子間での導電パスが増える。この導電パスが増えることで、トナーの誘電正接tanδが大きくなり、電荷注入性が良好となる。
(B)50℃から30℃に降温した際に、トナー粒子が50℃に加温する前のトナー粒子の状態に戻る。それにより、トナー粒子間での接触点が減少し、トナー粒子間での導電パスが減少する。結果として、トナーの誘電正接tanδが小さくなり、電荷保持性が良好となる。
【0013】
該(A)と(B)の両立について鋭意検討したところ、以下のことがわかった。
該トナーにおいて、注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を示す電気特性として、周波数10kKzで測定して得られる誘電正接tanδで表現しうる。
誘電正接tanδは、ε”/ε’で算出され、ε’は電気的エネルギーの貯蔵能力を意味し、ε”は電気的エネルギーの損失を意味する。また、物質の電気特性を示す物性として指標として、導電率がある。
一般的に、1kHz〜100kHzの高周波の導電率は、バルクの電荷移動を表し、0.01kHz前後の低周波の導電率は、界面での電荷移動を表す。
該トナーのように、加温と降温でトナー粒子を微小に弾性変形させることで、トナー粒子間の接触点を変化させて、トナーの電気特性を制御する場合、トナー粒子界面のみならず、トナー粒子を微小に弾性変形させた影響(バルクの影響)も電気特性に影響を与える。
そのため、1kHz〜100kHzの高周波での電気特性が支配的になる。
該高周波領域においては、導電率ではなく、誘電正接tanδで表すことが電荷注入性と電荷保持性をより正確に表現する物性値となると考える。
【0014】
該トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接tanδ50℃(1)は、0.015以上0.050以下である。また、該誘電正接tanδ50℃(1)は、0.018以上0.045以下であることが好ましく、0.025以上0.040以下であることがより好ましい。
誘電正接tanδ50℃(1)が上記範囲である場合、電荷注入性と電荷保持性に優れる。
誘電正接tanδ50℃(1)が0.050を超える場合、トナー担持体上でのトナーの電荷保持性が低下し、トナー飛散やかぶりが発生する。
一方、tanδ50℃(1)が、0.015未満の場合、電荷注入性が低下する。
【0015】
該トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定後、温度30℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接をtanδ30℃(2)としたときに、
上記tanδ50℃(1)及び該tanδ30℃(2)が、
tanδ50℃(1)>tanδ30℃(2)の関係を満たし、
該tanδ30℃(2)の上記tanδ50℃(1)に対する比が、0.25以上0.66以下である。
tanδ50℃(1)及びtanδ30℃(2)が上記関係を満たし、tanδ30℃(2)のtanδ50℃(1)に対する比〔tanδ30℃(2)/tanδ50℃(1)〕を上記範囲に調整することで、規制プロセス後、トナーの温度低下により、トナーの誘電正接tanδが低下する。その結果、トナーが現像時、転写時において、優れた電荷保持性を発揮する。
該〔tanδ30℃(2)/tanδ50℃(1)〕が、0.66を超える場合、現像時や転写時において、トナーの電荷保持性が低下し、トナー飛散やかぶりが発生する。
一方、該比が0.25未満の場合、現像時や転写時において、トナーの誘電正接tanδが小さく、トナートナー間の電荷授受が遅くなる。その結果、現像時のかぶりや、転写不良による画像の不均一性による画像欠陥が発生する。
また、該〔tanδ30℃(2)/tanδ50℃(1)〕は、0.30以上0.50以下であることが好ましい。
【0016】
該トナーを、温度30℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した誘電正接tanδ30℃(1)としたときに、
該tanδ30℃(1)の上記tanδ30℃(2)に対する比〔tanδ30℃(1)/tanδ30℃(2)〕が、0.80以上1.20以下であることが好ましく、0.90以上1.10以下であることがより好ましい。
比〔tanδ30℃(1)/tanδ30℃(2)〕が上記範囲であることにより、上
記効果に加えて、現像時のかぶりの発生をさらに抑制することができる。
比〔tanδ30℃(1)/tanδ30℃(2)〕は、例えば、誘電正接tanδ50℃(1)と、後述のトナーの動的粘弾性測定における、G’が1.0×10

Paであるときの温度Taと、トナーの示差走査熱量測定におけるガラス転移温度Tgを制御することにより調整することができる。
現像時のかぶりを抑制するメカニズムは、明確ではないが、以下のように考えている。
現像装置内のトナーは、トナー担時体と規制部材の間で、規制によりトナーが溶融しない程度に熱がかかる。この規制時にかかる熱に応答して、トナーの誘電正接tanδが大きくなり、規制プロセスにおいてトナーに電荷を注入することができる。また、規制後、該トナーが降温し、トナーの誘電正接tanδが小さくなることで、現像時や転写時において、トナーの電荷保持性が良好となる。
一方、現像されなかったトナーは、例えば、トナー担時体からトナーを供給する供給部材としてのトナー供給ローラなどにより剥ぎ取られて、トナー収容室に回収される。
トナー収容室内は、現像されなかったトナーとトナー担持体に供給される前のトナーとが混合状態となる。比〔tanδ30℃(1)/tanδ30℃(2)〕が上記範囲であれば、トナー担持体に供給される前のトナーと、トナー担持体に供給された後、現像されず回収されたトナーとで電荷注入性や電荷保持性の差が小さくなりやすい。結果として、トナー間での帯電性の差が小さくなり、現像時のかぶりの発生をさらに抑制することができる。また、耐久前後での帯電量の変化を小さくすることができる。
【0017】
トナーの平均円形度は0.950以上0.995以下であることが好ましく、0.950以上0.990以下であることがより好ましく、0.970以上0.995以下であることがさらに好ましい。
トナーの平均円形度が上記範囲である場合、トナーの形状が均一であることを意味し、トナー間の導電パス形成が均一になるため、帯電量分布が均一になりやすい。なお、トナーの平均円形度は、製造条件を調整することで制御することができる。
【0018】
該トナーを、温度50℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定後、温度30℃、相対湿度50%RHの環境下でのインピーダンス測定において、周波数10kHzで測定した比誘電率は、1.2以上4.0以下であることが好ましい。より好ましくは1.5以上2.5以下である。該トナーの比誘電率は、トナー粒子中の構成材料及び、トナー粒子表面の構成材料により制御することが可能である。
該比誘電率は、後述のトナーの誘電正接tanδの測定方法と同様の方法により、測定することができる。
【0019】
以下、トナーの構成について詳細に述べるがそれらに限定されるわけではない。
上記各温度及び湿度下における誘電正接に関する数値範囲又は関係性を達成可能なトナーの態様を複数例示するが、それらに限定されるわけではない。
【0020】
第一の態様として、
トナーは、トナー粒子の表面に、
微粒子B1、及び、金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該微粒子B1の個数平均粒径DBが、50nm以上500nm以下であり、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が5.0atomic%以上10.0atomic%以下であり、
該トナーの動的粘弾性測定における、G’が1.0×10

Paであるときの温度をTaとし、
該トナーの示差走査熱量測定におけるガラス転移温度をTgとしたときに、
該Tgが、40℃以上70℃以下であり、
該Taが、60℃以上90℃以下である、
ことが挙げられる。
【0021】
第二の態様として、
トナー粒子を有するトナーにおいて、
該トナー粒子が、
トナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部B2、並びに、
該トナー粒子表面の金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該凸部B2の凸高さHの個数平均値が、50nm以上500nm以下であり、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が5.0atomic%以上10.0atomic%以下であり、
該トナーの動的粘弾性測定における、G’が1.0×10

Paであるときの温度をTaとし、
該トナーの示差走査熱量測定におけるガラス転移温度をTgとしたときに、
該Tgが、40℃以上70℃以下であり、
該Taが、60℃以上90℃以下である、
ことが挙げられる。
【0022】
第三の態様として、
トナー粒子を有するトナーにおいて、
該トナー粒子が、
トナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部B2、並びに、
該トナー粒子表面の金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該凸部B2の凸高さHの個数平均値が、50nm以上500nm以下であり、
該凸部B2が、金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを含み、該凸部B2の表面に該金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aが存在し、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が3.0atomic%以上10.0atomic%以下であり、
該トナーの動的粘弾性測定における、G’が1.0×10

Paであるときの温度をTaとし、
該トナーの示差走査熱量測定におけるガラス転移温度をTgとしたときに、
該Tgが、40℃以上70℃以下であり、
該Taが、60℃以上90℃以下である、
ことが挙げられる。
【0023】
該トナーの動的粘弾性測定における、G’が1.0×10

Paであるときの温度をTaとし、
該トナーの示差走査熱量測定におけるガラス転移温度をTgとしたときに、
該Tgは、40℃以上70℃以下であることが好ましく、該Taは、60℃以上90℃以下であることが好ましい。
Tgは示差走査熱量(DSC)測定におけるガラス転移温度であり、Tg以上でトナーの弾性変形が大きくなる。
Tgが40℃以上70℃以下であれば耐熱性を維持しつつ弾性変形に優れる。
Tgが40℃以上の場合、規制プロセス時において、トナーが加温され、弾性変形した後、規制プロセス後、降温しても変形したトナーが元の状態に戻りやすくなる。その結果、〔tanδ30℃(2)/tanδ50℃(1)〕が、上記数値範囲を満たしやすくなる。
一方、Tgが70℃以下の場合、弾性変形が可能で有り、tanδ50℃(1)>tanδ30℃(2)の関係を満たしやすくなる。該Tgは、50℃以上60℃以下であることがより好ましい。
【0024】
Taは、トナーの動的粘弾性測定における、G’が1.0×10

Paであるときの温度である。該Taが60℃以上90℃以下であれば、耐久性を維持しつつ弾性変形に優れる。
Taが60℃以上の場合、規制プロセス時において、トナーが加温され、弾性変形した後、規制プロセス後、降温しても変形したトナーが元の状態に戻りやすくなる。その結果、〔tanδ30℃(2)/tanδ50℃(1)〕が、上記数値範囲を満たしやすくなる。
一方、Taが90℃以下の場合、tanδ50℃(1)>tanδ30℃(2)の関係を満たしやすくなる。該Taは、60℃以上80℃以下であることが好ましい。
トナーのTgは、トナーを構成する結着樹脂のTgを制御することで上記範囲に調整することができる。例えば、結着樹脂がスチレンアクリル樹脂の場合、各モノマーの比率や重合度などを変更することが挙げられる。
一方、トナーのTaは、トナーを構成する結着樹脂の重合度、Tgを変更することで制御できる。また、結着樹脂に対し、可塑性を有する化合物(可塑剤)を用いて制御することもできる。この場合、可塑性を有する化合物(可塑剤)は、分子量1500以下の化合物であることが好ましい。
【0025】
上記のように、トナー粒子を有するトナーにおいて、トナー粒子表面に導電パスを形成しうる材料を配置することが好ましい。
例えば、該材料として、金属元素を含有する化合物を含む微粒子A(以下単に、金属化合物微粒子Aともいう)が挙げられる。
また、トナー粒子の表面に金属化合物微粒子Aを有することで、上記tanδ50℃(1)と、上記tanδ30℃(2)が制御しやくなる。その結果、tanδ50℃(1)とtanδ30℃(2)の関係性、及び、tanδ30℃(2)のtanδ50℃(1)に対する比を上記範囲に制御しやすくなる。
また、トナー表面をX線光電子分光法で測定したとき、上記第一及び第二の態様においては、該金属元素の存在割合は、5.0atomic%以上10.0atomic%以下であることが好ましく、5.0atomic%以上8.0atomic%以下であることがより好ましい。
また、上記第三の態様においては、該金属元素の存在割合は、3.0atomic%以上10.0atomic%以下であることが好ましく、3.0atomic%以上8.0atomic%以下であることがより好ましい。
上記第三の態様においては、金属化合物微粒子Aが凸部B2に固定されているため、より安定した導電パスが形成される。そのため、上記第一及び第二の態様と比較して少ない金属量でも好ましい特性を得やすい。
該金属元素の存在割合が上記範囲である場合、トナー粒子間において金属化合物微粒子Aによるネットワーク構造を形成しやすくなる。そして、該ネットワーク構造が温度によって変化することにより、上記誘電正接の変化が生じやすくなる。
【0026】
該金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aの個数平均粒径DAは、1nm以上45nm以下であると好ましく、3nm以上40nm以下であることがより好ましい。
DAの値が上記範囲である場合、トナー粒子表面に存在する金属化合物微粒子A間のネットワークに起因する導電パスが形成されやすく、電荷注入性がより高まる。
【0027】
該金属化合物微粒子Aの含有量は、上述の金属化合物微粒子Aの個数平均粒径DA(DAの単位は、nm)に応じて、上記トナー表面をX線光電子分光法で測定したときの金属元素の存在割合が上記数値範囲を満たすように調整することが好ましい。
個数平均粒径DAが小さくなるほど含有量を少なく、個数平均粒径DAが大きくなるほど含有量を多くすることで、該金属元素の存在割合を上記数値範囲に制御しやすくなる。
より具体的には、トナー中の金属化合物微粒子Aの含有量は、0.01質量%以上10
.0質量%以下であることが好ましい。
【0028】
金属化合物微粒子Aの体積抵抗率は、1.0×10

(Ω・m)以上1.0×10

(Ω・m)以下であることが好ましく、1.0×10

(Ω・m)以上1.0×10

(Ω・m)以下であることがより好ましい。
該体積抵抗率が上記範囲であることで、トナーの誘電正接tanδ50℃(1)と、tanδ30℃(2)が制御しやくなる。
体積抵抗率は、試料を電極で挟み、トルクレンチを用いて一定の荷重をかけた状態として、電極間の距離と抵抗値を計測することで算出できる。詳細な測定方法は後述する。
【0029】
金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを構成する金属化合物としては、特段の制限なく従来公知の金属化合物を用いることができる。
具体的には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどに代表される複合酸化物、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウムなどに代表される多価酸金属塩などが挙げられる。
中でも、構造の安定性及び体積抵抗率の観点から金属酸化物又は多価酸金属塩が好ましい。加えて、適度な分極構造を有することで、電位差による誘導電荷が生じやすいこと、及び、分子中のネットワーク構造によって電荷移動がスムーズなことによって、より効率的な注入帯電が可能なことから、多価酸金属塩がより好ましい。
また、該金属元素としては、特段の制限なく従来公知の金属元素を用いることができる。
中でも、3族から13族に含まれる金属元素からなる群より選択される少なくとも一の金属元素を含むことが好ましい。3族から13族の金属元素を含む金属化合物は吸水性が低くなる傾向があるため、電荷注入性及び電荷保持性の湿度依存性がより低下し、より使用環境に対する安定性を高めることができる。
【0030】
該金属元素のポーリングの電気陰性度は、1.25以上1.80以下であることが好ましく、1.30以上1.70以下であることがより好ましい。金属元素のポーリングの電気陰性度が上記範囲である場合、金属化合物内における金属部と非金属部に適度な分極が生じ、より効率的な注入帯電が可能となる。
なお、ポーリングの電気陰性度は、「日本化学会編(2004)『化学便覧 基礎編』改訂5版、表表紙裏の表、丸善出版」に記載の値を用いた。
該金属元素の具体例としては、チタン(第4族、電気陰性度:1.54)、ジルコニウム(第4族、1.33)、アルミニウム(第13族、1.61)、亜鉛(第12族、1.65)、インジウム(第13族、1.78)、ハフニウム(第4族、1.30)などが挙げられる。
中でも、3価以上の価数を持ちうる金属を用いることが好ましく、チタン、ジルコニウム、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一がより好ましく、チタンがさらに好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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