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公開番号2021021791
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210218
出願番号2019137252
出願日20190725
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人特許業務法人秀和特許事務所
主分類G03G 9/08 20060101AFI20210122BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立することで、精密な帯電制御を可能とし、高画質を達成できるトナーを提供すること。
【解決手段】トナー粒子を有するトナーであって、トナーを1000kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率をG1(S/m)とし、トナーを100kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率をG2(S/m)としたときに、G1が5.0×10-13以上1.0×10-10以下であり、G2のG1に対する比(G2/G1)が0.10以上0.60以下であることを特徴とするトナー。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
トナー粒子を有するトナーであって、
該トナーを1000kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率をG1(S/m)とし、
該トナーを100kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率をG2(S/m)としたときに、
該G1が、5.0×10
−13
以上1.0×10
−10
以下であり、
該G2の該G1に対する比(G2/G1)が、0.10以上0.60以下であることを特徴とするトナー。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記G2が、1.0×10
−13
以上2.0×10
−11
以下である、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーは、前記トナー粒子の表面に、
微粒子B1、及び、金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該微粒子B1の個数平均粒径DBが、50nm以上500nm以下であり、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が5.0atomic%以上10.0atomic%以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナー粒子が、
トナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部B2、並びに、
該トナー粒子表面の金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該凸部B2の凸高さHの個数平均値が、50nm以上500nm以下であり、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が5.0atomic%以上10.0atomic%以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項5】
前記トナー粒子が、
トナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部B2、並びに、
該トナー粒子表面の金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該凸部B2の凸高さHの個数平均値が、50nm以上500nm以下であり、
該凸部B2が、金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを含み、該凸部B2の表面に該金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aが存在し、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が3.0atomic%以上10.0atomic%以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項6】
前記微粒子B1の前記トナー粒子に対する被覆率が、5%以上60%以下である、請求項3に記載のトナー。
【請求項7】
前記微粒子B1の個数平均粒径DBの、前記金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aの個数平均粒径DA(DB及びDAの単位は、nm)に対する比が、2.0以上20.0以下である、請求項3又は6に記載のトナー。
【請求項8】
前記微粒子B1が、シリカ微粒子又は有機ケイ素重合体微粒子である、請求項3、6又は7に記載のトナー。
【請求項9】
前記凸部B2の前記トナー母粒子に対する被覆率が、30%以上90%以下である、請求項4又は5に記載のトナー。
【請求項10】
前記凸部B2の凸高さHの個数平均値の、前記金属元素を含有する化合物を含む微粒子
Aの個数平均粒径DA(H及びDAの単位は、nm)に対する比が、2.0以上20.0以下である、請求項4、5、又は9に記載のトナー。
【請求項11】
前記凸部B2が、有機ケイ素重合体を含有する、請求項4、5、9又は10に記載のトナー。
【請求項12】
前記金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aが、多価酸金属塩を含有する、請求項3〜11のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項13】
前記トナーの平均円形度が、0.950以上0.995以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項14】
トナーを担持するトナー担持体と、
該トナー担持体に当接して該トナー担持体に担持される該トナーを規制するトナー規制部材と、
を有し、
画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、
該トナーが、請求項1〜13のいずれか1項に記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項15】
静電潜像が形成される像担持体と、
トナーを担持し、該静電潜像をトナー像に現像するトナー担持体と、
該トナー担持体に当接して該トナー担持体に担持される該トナーを規制するトナー規制部材と、
該トナー担持体と該トナー規制部材との間にバイアスを印加する印加部材と、
を有し、
該トナーが、請求項1〜13のいずれか1項に記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット方式記録法を利用した記録方法に用いられるトナーに関する。
続きを表示(約 9,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、電子写真による画像形成が利用される分野はプリンターや複写機から商業印刷機にいたるまで多岐にわたってきている。それに伴い、電子写真に求められる画質はますます高まってきている。
その中で、トナーには潜像を忠実に再現することが求められている。潜像を忠実に再現するためには、トナーの帯電を精密に制御することが有効である。トナーの帯電制御が不十分だと、低帯電のトナーを非画像部に現像するカブリや、過帯電のトナーがトナー担持体に融着する規制不良などの弊害が発生し、潜像の忠実な再現を妨げる要因となる。
従来、トナーの帯電プロセスとしては、トナーと、キャリアや帯電部材(以下、帯電部材と総称する)との摺擦によってトナーに電荷を付与する摩擦帯電が広く検討されている。
しかしながら、摩擦帯電では、帯電部材とトナーとの摺擦が均一に起こらず、過帯電のトナーと低帯電のトナーが発生する場合があった。これは、摩擦帯電による電荷が、トナーと帯電部材とが接触した部分にのみ発生するためである。
また、摩擦帯電は湿度の影響を受けやすく、低湿度の環境と高湿度の環境では帯電量が変化する場合がある。さらに、摩擦帯電はトナーの流動性の影響を大きく受けるために、長期使用などによりトナーが劣化して流動性が低下した場合には帯電量が変化する場合がある。
【0003】
このような摩擦帯電プロセスの課題を解決するため、注入帯電プロセスの検討が行われている。注入帯電プロセスとは、トナーと帯電部材との電位差によって電荷を注入することでトナーを帯電させるプロセスである。
この場合、トナー中やトナー間に導電パスが存在すれば、帯電部材と接触している部分だけではなく、トナー全体を均一に帯電させることができる。
また、注入帯電によれば、電位差を変えることで任意に帯電量を制御できるため、システムが要求する帯電量を満たすことが容易になる。さらに、注入帯電は湿度の影響を受けにくいため、環境による帯電量の変化を抑制することが可能である。
しかしながら、注入帯電プロセスには、電荷の注入と保持を両立することが難しいという課題があった。これは、トナー中やトナー間に導電パスが存在することにより、注入した電荷がリークしやすくなるため、電荷注入性と電荷保持性がトレードオフの関係となるためである。
【0004】
特許文献1には、高電圧下で体積抵抗率が低下するトナー及びそのトナーを用いた注入帯電プロセスが開示されている。特許文献1に記載のプロセスにおいては、トナーへの電荷注入プロセスのみを、トナーの体積抵抗率が低下する高電圧下で行うことで、電荷注入性と電荷保持性のトレードオフを解消することを目的としている。
特許文献2には、電圧でトナーの体積抵抗率を制御することに加え、トナーに加えられた圧力によっても体積抵抗率を制御することができるトナーが開示されている。
該トナーは体積抵抗率が圧力によって変化することから、該トナーを注入帯電プロセスに適用することで、圧力によって電荷注入性と帯電保持性を制御することが考えられる。
【0005】
別の観点として、特許文献3には、トナーの電気特性を制御することによる帯電制御を目的として、トナー表面に有機ケイ素縮合体を有し、トナーの電荷減衰定数を制御したト
ナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2005−148409号公報
特開2009−157022号公報
特開2018−194833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1において、上記プロセスで注入帯電を達成するためには、電荷注入プロセスにおいて高電圧が必要であるために放電が起こりやすく、帯電量の精密な制御は困難であった。また、その他のプロセスを低電圧で達成する必要があることから、プロセスの電圧設定の設計自由度が低かった。
特許文献2に記載のトナーは、加圧後に除圧した場合に体積抵抗率が低下したままとなり、帯電保持が困難であった。加えて、注入帯電プロセスの圧力を極めて高く設定する必要があり、トナーの劣化という新たな課題が生じる。
このように、注入帯電システムにおいて電荷注入性と電荷保持性を両立することは困難であった。
特許文献3に記載のトナーは、従来の摩擦帯電プロセスにおいては現像耐久性、高帯電性及び低温低湿環境下での過帯電抑制の観点では優れた特性を示した。
一方で、注入帯電プロセスへ適用するためには、電荷注入性が不足しており、改善が必要であった。
上述の通り、注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立したトナーは得られておらず、更なる改善が求められていた。
本発明は、注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立することで、精密な帯電制御を可能とし、高画質を達成できるトナーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
トナー粒子を有するトナーであって、
該トナーを1000kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率をG1(S/m)とし、
該トナーを100kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率をG2(S/m)としたときに、
該G1が、5.0×10
−13
以上1.0×10
−10
以下であり、
該G2の該G1に対する比(G2/G1)が、0.10以上0.60以下であることを特徴とするトナーに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立することで、精密な帯電制御を可能とし、高画質を達成できるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図(1A)及び図(1B)は、トナー構成の模式図の一例
画像形成装置の断面図の一例
プロセスカートリッジの断面図の一例
薄片状のサンプル切り出しの模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明は、
トナー粒子を有するトナーであって、
該トナーを1000kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率をG1(S/m)とし、
該トナーを100kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率をG2(S/m)としたときに、
該G1が、5.0×10
−13
以上1.0×10
−10
以下であり、
該G2の該G1に対する比(G2/G1)が、0.10以上0.60以下であることを特徴とするトナーである。
【0012】
該トナーにおいて、注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立できた要因は明確ではないが、本発明者らは以下のように推測している。
本発明を完成させるにあたり、本発明者らはトナーを軽度に加圧することで導電率が上昇し、除圧することで導電率が低下する構成とすることで、電荷注入性と電荷保持性を両立できると考えた。
上記構成の場合、注入帯電プロセスにおいてトナーを軽度に加圧することで、トナーの導電率を一時的に上昇させてトナーの電荷注入性を高めることで、注入帯電が可能となる。
一方、注入帯電プロセスの後に除圧することで、トナーの導電率を低下させてトナーの電荷保持性を高めることで、トナーからの電荷リークを抑制することが可能となる。
【0013】
そこで、本発明者らは上記考察のもとに鋭意検討の結果、
トナーを1000kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率をG1(S/m)とし、
トナーを100kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率をG2(S/m)としたときに、
該G1が、5.0×10
−13
以上1.0×10
−10
以下であり、
該G2の該G1に対する比(G2/G1)が、0.10以上0.60以下であることで注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性が高度に両立できることを見出した。
【0014】
なお、上記構成は特許文献2に開示されている構成と類似しているようだが、特許文献2の構成においては、高い圧力下で体積抵抗率が低下し、低い圧力下で体積抵抗率が上昇することは示されているものの、除圧による変化や、体積抵抗率が変化する圧力の条件については触れられていない。そこで、本発明者らは、特許文献2に開示されているトナーは、上記条件における加圧下での測定後に除圧しても導電率が変化しないことを確認した。
【0015】
以下詳細に説明するが、該説明に限定されるわけではない。
上記1000kPaの圧力下とは、軽度に加圧された状態の圧力を示し、100kPaの圧力下とは、除圧された状態の圧力を示す。
理想的には、除圧された状態の圧力は0(Pa)とするのが好ましいが、あまりに圧力が低すぎる場合、導電率の測定時にトナー層が乱れてしまい、導電率を安定して測定することが難しい。そのため、安定して導電率を測定可能な範囲において、可能な限り低い圧力として100kPaを採用している。
【0016】
トナーを1000kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率G1(単位:S/m)は、加圧された状態での導電率を表し、電荷注入性と相関する。
具体的には、導電率G1が5.0×10
−13
以上1.0×10
−10
以下であると、トナーの電荷注入性が高まる。
該導電率G1は1.0×10
−12
以上1.0×10
−10
以下であることが好ましく、5.0×10
−12
以上1.0×10
−10
以下であることがより好ましい。
【0017】
該G2の該G1に対する比(G2/G1)は、軽度に加圧された状態から除圧した場合の導電率の低下度合いを表し、電荷注入後の電荷保持性と相関する。
具体的には、G2/G1が下記式(1)を満たすと、トナーの電荷保持性が高まる。また、G2/G1は下記式(1’)を満たすことが好ましい。
0.10≦G2/G1≦0.60 (1)
0.30≦G2/G1≦0.55 (1’)
G2/G1が0.60を超える場合、加圧状態から除圧した場合の導電率の変化が小さいため、電荷注入性と電荷保持性を両立することが困難である。
【0018】
一方、トナーを100kPaの圧力下において、周波数0.01Hzで測定した導電率G2(単位:S/m)は、除圧後の導電率を表し、電荷保持性と相関する。
具体的には、導電率G2が1.0×10
−13
以上2.0×10
−11
以下であると、トナーの電荷保持性がより高まり、好ましい。
該導電率G2は1.0×10
−13
以上1.5×10
−11
以下であることがより好ましい。
【0019】
なお、該導電率G1及びG2を測定する際の周波数を0.01Hzとしているのは、該周波数における導電率が、トナーと、トナー又は帯電部材との界面における電荷移動性を表すためである。一般的に、1kHz〜100kHz程度の高周波の導電率は材料内部における電子やイオン伝導による電荷移動を表し、0.01Hz前後の低周波の導電率は材料界面の電荷移動を表す。そして、上記のように圧力をかけた場合には、トナーとトナーの界面の状態が変化することによって電気特性の変化が引き起こされる。そのため、圧力による電気特性の変化は周波数0.01Hzにおける導電率に強く表れる。そして、その導電率の変化がトナーの電荷注入性と電荷保持性に影響するものと考えている。
【0020】
以下、トナーの構成について詳細に述べるがそれらに限定されるわけではない。
上記各圧力下における導電率に関する数値範囲を達成可能なトナーの態様を複数例示するが、それらに限定されるわけではない。
例えば、トナー粒子表面にトナー粒子よりも高い導電率を有する材料を配置する態様が挙げられる。そして、該態様において、1000kPaの圧力下においては、トナー粒子間に上記材料によるネットワーク構造が形成され、該ネットワーク構造が導電パスとなることで導電性を高めることができる。
一方、100kPaの圧力下においては、上記ネットワーク構造が失われることで導電率を低めるような構成とすることができる。
このような構成であれば、1000kPaの圧力下ではトナーが導電性を有するために電荷注入性に優れる。一方で、100kPaの圧力下においては、トナーの導電性が低下するために電荷保持性に優れるトナーとすることが可能である。
上記態様は、例えば、トナー粒子内部に高い導電率を有する材料を配置する場合など、他の導電率を制御する方法と比較して、圧力による導電率の変化を生じさせやすいため、好ましい。
以下は、上記態様に沿ってトナーの構成を複数例示する。ただし、トナーとしては上記電気特性を満たすものであれば以下に示す構成に限定されるものではない。
【0021】
第一の態様として、
トナーは、トナー粒子の表面に、
微粒子B1、及び、金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該微粒子B1の個数平均粒径DBが、50nm以上500nm以下であり、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が5.0atomic%以上10.0atomic%以下であること、が挙げられる。
【0022】
第二の態様として、
トナー粒子を有するトナーにおいて、
該トナー粒子が、
トナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部B2、並びに、
該トナー粒子表面の金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該凸部B2の凸高さHの個数平均値が、50nm以上500nm以下であり、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が5.0atomic%以上10.0atomic%以下であること、が挙げられる。
【0023】
第三の態様として、
トナー粒子を有するトナーにおいて、
該トナー粒子が、
トナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部B2、並びに、
該トナー粒子表面の金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを有し、
該凸部B2の凸高さHの個数平均値が、50nm以上500nm以下であり、
該凸部B2が、金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを含み、該凸部B2の表面に該金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aが存在し、
該トナー表面をX線光電子分光法で測定したときに、該金属元素の存在割合が3.0atomic%以上10.0atomic%以下であること、が挙げられる。
【0024】
上記のように、トナー粒子を有するトナーにおいて、トナー粒子表面にトナー粒子よりも高い導電率を有する材料を配置することが好ましい。
例えば、該材料として、金属元素を含有する化合物を含む微粒子A(以下単に、金属化合物微粒子Aともいう)が挙げられる。
トナー粒子の表面に金属化合物微粒子Aを有することで、トナー粒子表面の導電率を制御しやすくなる。そのため、G1及びG2/G1を上記数値範囲に制御しやすくなる。
また、トナー表面をX線光電子分光法で測定したとき、上記第一及び第二の態様においては、該金属元素の存在割合は、5.0atomic%以上10.0atomic%以下であることが好ましく、5.0atomic%以上8.0atomic%以下であることがより好ましい。
また、上記第三の態様においては、該金属元素の存在割合は、3.0atomic%以上10.0atomic%以下であることが好ましく、3.0atomic%以上8.0atomic%以下であることがより好ましい。
上記第三の態様においては、金属化合物微粒子Aが凸部B2に固定されているため、より安定した導電パスが形成される。そのため、上記第一及び第二の態様と比較して少ない金属元素の存在割合でも好ましい特性を得やすい。
該金属元素の存在割合が上記範囲である場合、トナー粒子間において金属化合物微粒子Aによるネットワーク構造を形成しやすくなる。そして、該ネットワーク構造が圧力によって変化することにより、圧力による導電率の変化が生じやすくなる。
【0025】
該金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aの個数平均粒径DAは、1nm以上45nm以下であることが好ましい。DAの値が上記範囲である場合、トナー粒子表面に存在する金属化合物微粒子A間の接点が増加するため、圧力によるネットワーク構造の変化が大きくなる。該個数平均粒径DAは3nm以上40nm以下であることがより好ましい。
【0026】
該金属化合物微粒子Aの含有量は、上述の金属化合物微粒子Aの個数平均粒径DA(DAの単位は、nm)に応じて、上記トナー表面をX線光電子分光法で測定したときの金属元素の存在割合が上記数値範囲を満たすように調整することが好ましい。
個数平均粒径DAが小さくなるほど含有量を少なく、個数平均粒径DAが大きくなるほど含有量を多くすることで、該金属元素の存在割合を上記数値範囲に制御しやすくなる。
より具体的には、トナー中の金属化合物微粒子Aの含有量は、0.01質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
【0027】
該金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aの体積抵抗率は、1.0×10

(Ω・m)以上1.0×10

(Ω・m)以下であることが好ましく、1.0×10

(Ω・m)以上1.0×10

(Ω・m)以下であることがより好ましい。
該体積抵抗率が上記範囲であることで、トナーの導電率の制御が容易になる。体積抵抗率は、試料を電極で挟み、トルクレンチを用いて一定の荷重をかけた状態として、電極間の距離と抵抗値を計測することで算出できる。詳細な測定方法は後述する。
【0028】
金属元素を含有する化合物を含む微粒子Aを構成する金属化合物として、特段の制限なく従来公知の金属化合物を用いることができる。
具体的には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどに代表される複合酸化物、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウムなどに代表される多価酸金属塩などが挙げられる。
中でも、構造の安定性及び体積抵抗率の観点から金属酸化物又は多価酸金属塩が好ましい。加えて、適度な分極構造を有することで、電位差による誘導電荷が生じやすいこと、及び、分子中のネットワーク構造によって電荷移動がスムーズなことによって、より効率的な注入帯電が可能なことから、多価酸金属塩がより好ましい。
また、該金属元素としては、特段の制限なく従来公知の金属元素を用いることができる。
中でも、3族から13族に含まれる金属元素からなる群より選択される少なくとも一の金属元素を含むことが好ましい。3族から13族の金属元素を含む金属化合物は吸水性が低くなる傾向があるため、電荷注入性及び電荷保持性の湿度依存性がより低下し、より使用環境に対する安定性を高めることができる。
【0029】
該金属元素のポーリングの電気陰性度は、1.25以上1.80以下であることが好ましく、1.30以上1.70以下であることがより好ましい。金属元素のポーリングの電気陰性度が上記範囲である場合、金属化合物内における金属部と非金属部に適度な分極が生じ、より効率的な注入帯電が可能となる。
なお、ポーリングの電気陰性度は、「日本化学会編(2004)『化学便覧 基礎編』改訂5版、表表紙裏の表、丸善出版」に記載の値を用いた。
該金属元素の具体例としては、チタン(第4族、電気陰性度:1.54)、ジルコニウム(第4族、1.33)、アルミニウム(第13族、1.61)、亜鉛(第12族、1.65)、インジウム(第13族、1.78)、ハフニウム(第4族、1.30)などが挙げられる。
中でも、3価以上の価数を持ちうる金属を用いることが好ましく、チタン、ジルコニウム、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一がより好ましく、チタンがさらに好ましい。
【0030】
金属化合物として多価酸金属塩を用いる場合の金属元素としては、上述の金属元素を好適に用いることができる。また、多価酸としては特段の制限なく従来公知の多価酸を用いることができる。
中でも、多価酸は無機酸を含むことが好ましい。無機酸は有機酸と比較して剛直な分子
骨格を有するため、長期保管における性状の変化が小さい。よって、長期保管後も安定して注入帯電性を得ることができる。
該多価酸の具体例としては、リン酸(3価)、炭酸(2価)、硫酸(2価)などの無機酸;ジカルボン酸(2価)、トリカルボン酸(3価)などの有機酸が挙げられる。
有機酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸;クエン酸、アコニット酸、無水トリメリット酸などのトリカルボン酸などが挙げられる。
中でも無機酸であるリン酸、炭酸、及び硫酸からなる群から選択される少なくとも一が好ましく、リン酸がさらに好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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