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公開番号2021021790
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210218
出願番号2019137251
出願日20190725
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人特許業務法人秀和特許事務所
主分類G03G 9/097 20060101AFI20210122BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】精密な帯電制御が可能で、高画質を達成できるトナー。
【解決手段】トナー粒子を有するトナーであって、該トナー粒子は、結着樹脂を含有するトナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部を有し、該凸部が、有機ケイ素重合体及び多価酸金属塩を含み、該凸部の表面に該多価酸金属塩が存在することを特徴とするトナー。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
トナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子は、結着樹脂を含有するトナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部を有し、
該凸部が、有機ケイ素重合体及び多価酸金属塩を含み、
該凸部の表面に該多価酸金属塩が存在することを特徴とするトナー。
続きを表示(約 2,500 文字)【請求項2】
透過型電子顕微鏡で観察される前記トナーの断面を、エネルギー分散型X線分光法を用いて解析することで得られる前記トナーの断面の構成元素のEDXマッピング像において、
前記トナー母粒子の像及び前記有機ケイ素重合体の像が観察され、
前記有機ケイ素重合体の像は前記トナー母粒子の像における前記トナー母粒子の表面に相当する位置に観察され、
該EDXマッピング像における前記有機ケイ素重合体の像と前記トナー母粒子の像とが形成する界面の端点同士を結んだ線分を基線とし、該基線と前記有機ケイ素重合体の像の表面とを結ぶ垂線のうち、最大長を取る垂線の長さを像高さH(nm)とするとき、
該像高さHが30nm以上300nm以下の前記有機ケイ素重合体の像を凸部Aとし、前記トナー母粒子の像の周囲長をトナー周囲長D(nm)とし、該凸部Aの該基線の長さを凸幅W(nm)とし、前記トナー一粒子中の該凸幅Wの合計をW
all
(nm)としたとき、以下の式(1)を満たす請求項1に記載のトナー。
0.30≦W
all
/D≦0.90 (1)
【請求項3】
前記トナーの断面の構成元素の前記EDXマッピング像において、前記凸部Aの表面の少なくとも一部に前記多価酸金属塩の像が観察され、
前記凸部Aの周囲長を凸周囲長C(nm)とし、一つの前記凸部Aの周囲のうち前記多価酸金属塩の像が存在する部分の長さの合計をC

(nm)とし、
前記トナー一粒子中の前記凸部Aの該凸周囲長Cの合計をC
all
(nm)とし、前記トナー一粒子中の該長さC

の合計をC
Mall
(nm)とするとき、以下の式(2)を満たす請求項2に記載のトナー。
0.05≦C
Mall
/C
all
≦0.50 (2)
【請求項4】
前記多価酸金属塩に含まれる金属元素を金属元素Mとし、
前記トナーのX線光電子分光分析によって得られたスペクトルから求められる、前記トナー表面の構成元素における該金属元素Mの比率をM1(atomic%)とし、
前記トナーの蛍光X線分析によって得られたスペクトルから求められる前記トナーに含まれる前記有機ケイ素重合体の質量比率をSi1(質量%)とし、
前記トナー1.0gを61.5質量%のショ糖水溶液31.0gと、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び有機ビルダーからなる10質量%の精密測定器洗浄用中性洗剤水溶液6.0gからなる混合水溶液に分散させ、シェーカーを用いて1分間に300回の振とうを20分行う処理(a)を施して得たトナーをトナー(a)とし、
該トナー(a)のX線光電子分光分析によって得られたスペクトルから求められる、該トナー(a)の表面の構成元素における該金属元素Mの比率をM2(atomic%)と
し、
該トナー(a)の蛍光X線分析によって得られたスペクトルから求められる該トナー(a)に含まれる前記有機ケイ素重合体の質量比率をSi2(質量%)とするとき、
該M1と該M2が、ともに1.00以上10.00以下であり、
該M1、Si1、M2及びSi2が以下の式(3)及び(4)を満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
0.90≦M2/M1 (3)
0.90≦Si2/Si1 (4)
【請求項5】
前記トナー(a)に、電気的出力120Wの超音波を印加する処理(b)を施して得たトナーをトナー(b)とし、
該トナー(b)のX線光電子分光分析によって得られたスペクトルから求められる、該トナー(b)の表面の構成元素における前記金属元素Mの比率をM3(atomic%)とし、
該トナー(b)の蛍光X線分析によって得られたスペクトルから求められる該トナー(b)に含まれる前記有機ケイ素重合体の質量比率をSi3(質量%)としたとき、
該M3が、1.00以上10.00以下であり、
前記M2、Si2、M3及びSi3が以下の式(5)及び(6)を満たす請求項4に記載のトナー。
0.90≦M3/M2 (5)
0.90≦Si3/Si2 (6)
【請求項6】
前記多価酸金属塩の4端子法によって測定される体積抵抗率が、1.0×10

Ω・cm以上1.0×10
11
Ω・cm以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項7】
前記多価酸金属塩が、多価酸と第3族から第13族の金属元素との塩を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項8】
前記金属元素のポーリングの電気陰性度が、1.25以上1.85以下である請求項7に記載のトナー。
【請求項9】
前記金属元素が、チタンである請求項7又は8に記載のトナー。
【請求項10】
前記多価酸が、無機酸である請求項7〜9のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項11】
前記無機酸が、リン酸である請求項10に記載のトナー。
【請求項12】
前記有機ケイ素重合体が、下記式(I)で表される構造を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載のトナー。
R−SiO
3/2
(I)
(式(I)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アリール基又はメタクリロキシアルキル基を示す)
【請求項13】
前記Rが、炭素数1以上6以下のアルキル基又はビニル基である請求項12に記載のト
ナー。
【請求項14】
前記結着樹脂が、酸価を有する樹脂を含む請求項1〜13のいずれか一項に記載のトナー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット方式記録法を利用した記録方法に用いられるトナーに関する。
続きを表示(約 9,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年、電子写真による画像形成が利用される分野はプリンターや複写機から商業印刷機にいたるまで多岐にわたってきている。それに伴い、電子写真に求められる画質はますます高まってきている。
その中で、トナーには潜像を忠実に再現することが求められている。潜像を忠実に再現するためには、トナーの帯電を精密に制御することが有効である。トナーの帯電制御が不十分だと、低帯電のトナーが非画像部に現像してしまうカブリや、過帯電のトナーがトナー担持体に融着する規制不良等の弊害が発生し、潜像の忠実な再現を妨げる要因となる。
【0003】
そのため、画質改善を目的として、トナー粒子表面に帯電性に優れる材料を付着させたり、トナー粒子表面を帯電性に優れる材料で被覆したりすることでトナーの帯電を制御する検討が広く行われている。
特許文献1には、トナー母粒子表面に有機ケイ素縮合体で被覆された金属酸化物微粒子を有し、トナーの電荷減衰定数を制御することで、現像耐久性・高帯電性と過帯電抑制を達成したトナーが開示されている。
特許文献2には、リン酸系陰イオンとジルコニウムイオンから構成される無機微粒子をトナー表面に付着させることで、現像性・耐久性を改良したトナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018−194833号公報
特開2001−209207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献に記載のトナーの画質は優れているが、帯電制御の観点では不十分であり、今後求められる画質水準に到達するために更なる改善が必要である。
本発明は、上記課題を解決することを目的とする。すなわち、精密な帯電制御が可能で、高画質を達成できるトナーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
トナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子は、結着樹脂を含有するトナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部を有し、
該凸部が、有機ケイ素重合体及び多価酸金属塩を含み、
該凸部の表面に該多価酸金属塩が存在することを特徴とするトナー。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、精密な帯電制御が可能で、高画質を達成できるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
画像形成装置の断面図の一例
プロセスカートリッジの断面図の一例
【発明を実施するための形態】
【0009】
数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明のトナーは、トナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子は、結着樹脂を含有するトナー母粒子及び該トナー母粒子表面の凸部を有し、
該凸部が、有機ケイ素重合体及び多価酸金属塩を含み、
該凸部の表面に該多価酸金属塩が存在することを特徴とする。
【0010】
本発明者らは、トナーの帯電量制御を検討するにあたり、トナー帯電プロセスに着目した。現状のトナー帯電プロセスは主に摩擦帯電を用いているが、摩擦帯電のみを用いた場合、帯電部材やキャリア(以下、帯電部材と総称する)とトナーとの摺擦が均一に起こらず、過帯電のトナーと低帯電のトナーが発生する場合がある。これは、摩擦帯電による電荷がトナーと帯電部材とが接触した部分にのみ発生するためである。
また、摩擦帯電は湿度の影響を受けやすく、低湿度の環境と高湿度の環境では帯電量が変化してしまう場合がある。さらに、摩擦帯電はトナーの流動性の影響を大きく受けるために、長期使用等によりトナーが劣化して流動性が低下した場合には帯電量が変化する場合がある。
【0011】
このように、摩擦帯電による帯電プロセスは精密帯電制御の観点では不十分である。また、上記課題を解決するために、トナー粒子表面に帯電性に優れる材料を付着させたり、トナー粒子表面を帯電性に優れる材料で被覆したりした場合でも、摩擦帯電プロセスの有する課題を充分に解決するものではない。そのため、今後更なる高画質化が求められることを考えると、根本的に異なる帯電プロセスが必要となる。
そこで、本発明者らは、摩擦帯電とは異なる帯電プロセスとして注入帯電に着目した。注入帯電とは、トナーと帯電部材との電位差によって電荷を注入することでトナーを帯電させるプロセスである。この場合、トナー中やトナー間に導電パスが存在すれば、帯電部材と接触している部分だけではなく、トナー全体を均一に帯電させることができる。
また、注入帯電によれば、電位差を変えることで任意に帯電量を制御できるため、システムが要求する帯電量を満たすことが容易になる。さらに、注入帯電は湿度の影響を受けにくいため、環境による帯電量の変化を抑制することが可能である。
【0012】
このことから、トナーに摩擦帯電性に加えて、電位差によって帯電する注入帯電性を持たせることができれば、トナーの帯電をより精密に制御できる。そこで、本発明者らはトナーの各種材料及び構成を鋭意検討した結果、結着樹脂を含有するトナー粒子の表面に有機ケイ素重合体及び多価酸金属塩を含む凸部を形成させ、当該凸部の表面に多価酸金属塩を存在させる構成を見出した。そして、上記構成のトナーは電位差によって帯電量を制御可能な注入帯電性を有し、帯電量を精密に制御可能であることを見出し、本発明に至った。
【0013】
トナーの注入帯電性を達成できた要因について、本発明者らは以下のように推測している。
通常、物体が注入帯電するには、物体が導体である必要がある。しかし、トナーが常に導体としてふるまう場合、帯電した電荷が速やかに漏洩してしまうため、帯電量が低くなりすぎてしまい、使いこなすことが困難である。そこで、トナーが注入帯電性を有し、なおかつ十分な帯電を保持できるようにするためには、帯電プロセスにおいては導体のようにふるまう一方で、その他の場合には絶縁体のようにふるまう必要がある。
ここで、プロセスとして一成分接触現像プロセスを考えた場合、帯電プロセスの特徴と
して、トナーが規制ブレードと帯電ローラの間に挟まれた圧密状態になることがあげられる。また、上記以外の帯電プロセスにおいても、帯電時には帯電部材と強く密着する必要があり、トナーは圧密状態になる。つまり、圧密状態では導体のようにふるまい、圧から解放された状態(以下、圧解除状態)では絶縁体のようにふるまうトナーが注入帯電性を有すると予想される。
【0014】
有機ケイ素重合体及び多価酸金属塩を含む凸部において表面に多価酸金属塩を有するトナーは、多価酸金属塩が高い分極性と適度な体積抵抗率を有することで、電位差によって多くの電荷が注入される。同時に、注入した電荷を、速やかに有機ケイ素重合体と多価酸金属塩との界面に蓄積することができる。このとき、有機ケイ素重合体は高い体積抵抗率を有するため、トナー母体へと電荷が漏洩することを抑制する。
加えて、凸部の表面に多価酸金属塩を有することで、圧密状態では凸部表面の多価酸金属塩が隣接するトナーの多価酸金属塩と面接触することで、トナー層全体に広がる導電パスが形成され、トナー層全体への電荷注入が達成できる。一方で、圧解除状態では、凸部のスペーサー効果によって隣接するトナーとの接触が点接触となるため、導電パスが解除され、電荷の漏洩が起こりにくくなる。
【0015】
このように、高い分極性と適度な体積抵抗率を有する多価酸金属塩の特性によって、注入された電荷が圧密時に形成された導電パスを経由してトナー層全体へと広がり、多価酸金属塩と有機ケイ素重合体との界面に蓄積する。一方で、圧解除時には凸部が有するスペーサー効果によってトナー間の接触面積が低減し、導電パスが解除されることで、電荷の漏洩を抑制できる。
以上のようなメカニズムで上記トナーは注入帯電性を有しながら十分な帯電量を保持することができる。
【0016】
以下に、トナーを詳細に説明する。
トナー粒子が有する凸部は有機ケイ素重合体及び多価酸金属塩を含み、凸部の表面に多価酸金属塩が存在する。有機ケイ素重合体及び多価酸金属塩の具体例については後述する。
【0017】
<トナーの断面の構造>
以下に、透過型電子顕微鏡でトナーの断面を観察した場合の好ましい形態について説明する。
透過型電子顕微鏡で観察されるトナーの断面を、エネルギー分散型X線分光法を用いて解析することで得られるトナーの断面の構成元素のEDXマッピング像において、
トナー母粒子の像及び有機ケイ素重合体の像が観察され、
有機ケイ素重合体の像はトナー母粒子の像におけるトナー母粒子の表面に相当する位置に観察されることが好ましい
そして、EDXマッピング像における有機ケイ素重合体の像とトナー母粒子の像とが形成する界面の端点同士を結んだ線分を基線とし、基線と有機ケイ素重合体の像の表面とを結ぶ垂線のうち、最大長を取る垂線の長さを像高さH(nm)とするとき、像高さHが30nm以上300nm以下の有機ケイ素重合体の像を凸部Aとし、トナー母粒子の像の周囲長をトナー周囲長D(nm)とし、凸部Aの基線の長さを凸幅W(nm)とし、トナー粒子1粒子中の凸幅Wの合計をW
all
(nm)としたとき、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
0.30≦W
all
/D≦0.90 (1)
【0018】
上記式(1)のW
all
/Dは凸部によるトナー母粒子の被覆状態を表し、数値が大きいほど被覆率が高く、数値が小さいほど被覆率が低いことを示す。そして、上記被覆状態は圧解除状態におけるスペーサー効果に寄与する。加えて、上記被覆状態はトナーの定着
性にも寄与する。有機ケイ素重合体は一般的な樹脂と比較して硬度が高いため、トナー中に多量に存在するとトナーの定着性を低下させる場合がある。
上記関係式(1)を満たす場合、スペーサー効果が十分となることで、帯電保持を達成しやすくなり、同時に定着性も良好に保つことができる。
凸幅W(nm)の算術平均値は、好ましくは20〜500であり、より好ましくは50〜300である。
【0019】
また、以下の式(1−2)を満たすことがより好ましく、式(1−3)を満たすことがさらに好ましい。
0.40≦W
all
/D≦0.80 (1−2)
0.50≦W
all
/D≦0.70 (1−3)
なお、W
all
/Dはトナー母粒子上に凸部を形成する際の原材料の量や製造方法によって制御可能である。凸部の形成方法については後述する。
【0020】
トナーの断面の構成元素のEDXマッピング像において、凸部Aの表面の少なくとも一部に多価酸金属塩の像が観察されることが好ましい。
そして、凸部Aの周囲長を凸周囲長C(nm)とし、一つの凸部Aの周囲のうち多価酸金属塩の像が存在する部分の長さの合計をC

(nm)とし、トナー一粒子中の凸部Aの凸周囲長Cの合計をC
all
(nm)とし、トナー一粒子中の長さC

の合計をC
Mall
(nm)とするとき、下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.05≦C
Mall
/C
all
≦0.50 (2)
【0021】
式(2)のC
Mall
/C
all
は多価酸金属塩による凸部の被覆状態を表し、数値が大きいほど被覆率が高く、数値が小さいほど被覆率が低いことを示す。そして、上記被覆状態は圧密状態と圧解除状態における導電パスの形成及び解除に寄与する。式(2)を満たす場合、圧密状態では十分な導電パスが形成される一方で、圧解除状態では導電パスが解除されやすく、帯電の保持と注入帯電性を達成しやすくなる。よって、さらに精密に帯電を制御することができる。

Mall
/C
all
が0.05以上であると、凸部の金属による被覆状態が好適であるため、電位差に対する帯電量の変化が大きくなる。また、C
Mall
/C
all
が0.50以下である場合、好適な帯電量が得られやすい。
【0022】
また、以下の式(2−1)を満たすことがより好ましく、式(2−2)を満たすことがさらに好ましい。
0.05≦C
Mall
/C
all
≦0.40 (2−1)
0.10≦C
Mall
/C
all
≦0.30 (2−2)
なお、C
Mall
/C
all
は多価酸金属塩を付着させる際の原材料の量や製造方法によって制御可能である。多価酸金属塩の付着方法については後述する。
【0023】
<凸部及び多価酸金属塩の固着状態>
以下に、トナーの凸部及び多価酸金属塩の好ましい固着状態について詳細に説明する。
多価酸金属塩に含まれる金属元素を金属元素Mとし、トナーのX線光電子分光分析によって得られたスペクトルから求められる、トナー表面の構成元素における金属元素Mの比率をM1(atomic%)とし、トナーの蛍光X線分析によって得られたスペクトルから求められるトナーに含まれる有機ケイ素重合体の質量比率をSi1(質量%)とし、
トナー1.0gを61.5質量%のショ糖水溶液31.0gと、非イオン性界面活性剤
、陰イオン界面活性剤及び有機ビルダーからなる10質量%の精密測定器洗浄用中性洗剤水溶液6.0gからなる混合水溶液に分散させ、シェーカーを用いて1分間に300回の振とうを20分行う処理(a)を施して得たトナーをトナー(a)とし、
トナー(a)のX線光電子分光分析によって得られたスペクトルから求められる、トナ
ー(a)の表面の構成元素における金属元素Mの比率をM2(atomic%)とし、トナー(a)の蛍光X線分析によって得られたスペクトルから求められるトナー(a)に含まれる有機ケイ素重合体の質量比率をSi2(質量%)とするとき、M1とM2がともに1.00以上10.00以下であり、
前記M1、Si1、M2及びSi2が下記式(3)及び(4)を満たすことが好ましい。
0.90≦M2/M1 (3)
0.90≦Si2/Si1 (4)
【0024】
また、処理(a)を施したトナー(a)に、電気的出力120Wの超音波を印加する処理(b)を施して得たトナーをトナー(b)とし、
トナー(b)のX線光電子分光分析によって得られたスペクトルから求められる、トナー(b)の表面の構成元素における金属元素Mの比率をM3(atomic%)とし、トナー(b)の蛍光X線分析によって得られたスペクトルから求められるトナー(b)に含まれる有機ケイ素重合体の質量比率をSi3(質量%)としたとき、
M3が1.00以上10.00以下であり、
M2、Si2、M3及びSi3が下記式(5)及び(6)を満たすことがさらに好ましい。
0.90≦M3/M2 (5)
0.90≦Si3/Si2 (6)
【0025】
処理(a)では、トナー母粒子表面に弱く付着している多価酸金属塩や有機ケイ素重合体を取り除くことができる。具体的には、トナー母粒子に対し、乾式法で付着させた多価酸金属塩や有機ケイ素重合体が処理(a)によって取り除かれやすい。一方、処理(b)では、トナー母粒子表面に比較的強く固着している多価酸金属塩や有機ケイ素重合体を取り除くことができる。
このように、処理(a)及び(b)によってトナー母粒子表面に存在する多価酸金属塩や有機ケイ素重合体の固着状態を評価することが可能である。処理(a)及び(b)による各パラメータの変化が小さいほど、多価酸金属塩や有機ケイ素重合体がトナー母粒子に強く固着していることを示す。
【0026】
M1、M2及びM3は各処理の前後における、多価酸金属塩によるトナー母粒子表面の被覆状態を表す。そして、多価酸金属塩によるトナー母粒子表面の被覆状態は圧密状態と圧解除状態における導電パスの形成及び解除に寄与する。
M1、M2及びM3は、それぞれ1.00atomic%以上10.00atomic%以下であることが好ましい。上記範囲であると、圧密状態では十分な導電パスが形成される一方で、圧解除状態では導電パスが解除されやすく、帯電の保持と注入帯電性を達成しやすくなる。よって、さらに精密に帯電を制御することができる。
M1、M2及びM3は、それぞれ1.00atomic%以上7.00atomic%以下であるとより好ましく、1.50atomic%以上5.00atomic%以下であるとさらに好ましい。
M1は、トナー製造時における多価酸金属塩の付着量及び付着方法や付着条件等により制御できる。
【0027】
Si1、Si2及びSi3は各処理の前後における、トナーに存在する有機ケイ素重合体の量を表す。トナーに存在する有機ケイ素重合体の量はトナーの定着性に寄与する。有機ケイ素重合体は一般的な樹脂と比較して硬度が高いため、トナー中に多量に存在するとトナーの定着性を低下させる場合がある。
Si1、Si2及びSi3は、それぞれ0.01質量%以上20.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上10.00質量%以下であることがより好ましい

【0028】
式(3)及び(5)は、それぞれ処理(a)及び(b)において多価酸金属塩がトナー母粒子表面から剥離せず、残存している比率を意味している。M2/M1及びM3/M2が0.90以上となる場合、トナー母粒子表面に多価酸金属塩が強く固着しているため、長期にわたる使用時にも安定して注入帯電特性を発揮することが可能な、耐久性に優れたトナーを得ることができる。
加えて、M2/M1及びM3/M2が0.90以上となることは凸部と多価酸金属塩とが強く固着していることを表す。この場合、凸部と多価酸金属塩との界面の面積が広くなるため、より多くの電荷を凸部と多価酸金属塩との界面に蓄積することが可能となり、注入帯電による帯電量をさらに多くすることができる。
また、M2/M1及びM3/M2がいずれも0.90以上であることがより好ましく、いずれも0.95以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、M2/M1が、1.00以下であることが好ましく、0.99以下であることがより好ましい。また、M3/M2が、0.99以下であることが好ましく、0.97以下であることがより好ましい。
M2/M1及びM3/M2は、トナー製造時における多価酸金属塩の製造方法や付着方法および付着条件等により制御できる。
【0029】
式(4)及び(6)は、それぞれ処理(a)及び処理(b)において、有機ケイ素重合体を含む凸部がトナー母粒子表面から剥離せず、残存している比率を意味している。Si2/Si1及びSi3/Si2が0.90以上となる場合、トナー母粒子表面に凸部が強く固着しているため、長期にわたる使用時にも安定して注入帯電特性を発揮することが可能な、耐久性に優れたトナーを得ることができる。
また、Si2/Si1及びSi3/Si2がいずれも0.90以上であることがより好ましく、いずれも0.95以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、Si2/Si1が、1.00以下であることが好ましく、0.99以下であることがより好ましい。また、Si3/Si2が、1.00以下であることが好ましく、0.99以下であることがより好ましい。
Si2/Si1及びSi3/Si2は、有機ケイ素重合体の原材料となる有機ケイ素化合物の種類やトナー製造時の有機ケイ素重合体の付着条件等により制御できる。
【0030】
以下に、トナーに含まれる材料について詳細に述べる。
<多価酸金属塩及び金属化合物>
以下に、トナーに含まれる多価酸金属塩について詳細に説明する
上述の通り、多価酸金属塩は塩構造に起因する高い分極性と適度な体積抵抗率を有することで、金属酸化物等の他の材料を用いた場合と比較して、注入帯電プロセスにおける電荷の注入量と移動速度を高めることができる。
中でも、多価酸金属塩の4端子法によって測定される体積抵抗率は、1.0×10

Ω・cm以上1.0×10
11
Ω・cm以下であることが好ましく、1.0×10

Ω・cm以上1.0×10

Ω・cm以下であることがより好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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