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公開番号2021017637
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210215
出願番号2019135070
出願日20190723
発明の名称鋼材
出願人日本製鉄株式会社
代理人特許業務法人ブライタス
主分類C22C 38/00 20060101AFI20210118BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】酸腐食環境において耐食性を有し、熱間加工性および溶接性の両方に優れた鋼材を提供する。
【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.010%以上0.20%未満、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.10〜1.00%、S:0.0005〜0.015%、Cu:0.10〜0.50%、Cr:0.10〜1.75%、Sb:0.005〜0.15%、Ni:0.01〜0.50%、Ti:0.010〜0.150%、Al:0.005〜0.10%、P:0.025%以下、N:0.0005〜0.0090%、O:0.0005〜0.0035%、残部:Feおよび不純物であり、BI=(Cr/52)/(N/14)が4.5〜60.0であり、CI=(Cu/64)/(S/32)が4.0〜33.0であり、DI=(Cu/64)/(Ni/59)が0.96〜3.00であり、Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15が0.180〜0.320である、鋼材。
【選択図】 なし

特許請求の範囲【請求項1】
化学組成が、質量%で、
C:0.010%以上0.20%未満、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:0.10〜1.00%、
S:0.0005〜0.015%、
Cu:0.10〜0.50%、
Cr:0.10〜1.75%、
Sb:0.005〜0.15%、
Ni:0.01〜0.50%、
Ti:0.010〜0.150%、
Al:0.005〜0.10%、
P:0.025%以下、
N:0.0005〜0.0090%、
O:0.0005〜0.0035%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で定義されるBIが4.5〜60.0であり、
下記(ii)式で定義されるCIが4.0〜33.0であり、
下記(iii)式で定義されるDIが0.96〜3.00であり、
下記(iv)式で定義されるCeqが0.180〜0.320である、
鋼材。
BI=(Cr/52)/(N/14) ・・・(i)
CI=(Cu/64)/(S/32) ・・・(ii)
DI=(Cu/64)/(Ni/59) ・・・(iii)
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 ・・・(iv)
但し、上記式中の元素記号は、鋼材中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合は0を代入するものとする。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Mo:0.50%以下、
W:0.50%以下、
Sn:0.30%以下、
As:0.30%以下、
Co:0.30%以下、および
Bi:0.010%以下、
から選択される1種以上を含有するものである、
請求項1に記載の鋼材。
【請求項3】
前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Nb:0.10%以下、
V:0.10%以下、
Zr:0.050%以下、
Ta:0.050%以下、および
B:0.010%以下、
から選択される1種以上を含有するものである、
請求項1または請求項2に記載の鋼材。
【請求項4】
前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、および
REM:0.010%以下、
から選択される1種以上を含有するものである、
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の鋼材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材に関する。
続きを表示(約 5,500 文字)【背景技術】
【0002】
火力発電所の火炉および廃棄物焼却施設の焼却炉では、水蒸気、硫黄酸化物、塩化水素などを含む排ガスが発生する。この排ガスは、排ガス煙突などにおいて冷却されると、凝縮して硫酸および塩酸となり、硫酸露点腐食および塩酸露点腐食として知られるように、排ガス流路を構成する鋼材に対し、著しい腐食を引き起こす。
【0003】
このような問題に対し、耐硫酸・塩酸露点腐食鋼および高耐食ステンレス鋼が提案されている。例えば、特許文献1〜4では、Cu、Sb、Co、Crなどを添加した耐硫酸露点腐食性に優れた鋼材が提案されている。また、特許文献5では、CrおよびNiなどを添加した高耐食ステンレス鋼が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2001−164335号公報
特開2003−213367号公報
特開2007−239094号公報
特開2012−57221号公報
特開平7−316745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Cu、Sb、Cr、Coなどを含有する鋼材は、排ガス煙突のような硫酸腐食環境において、優れた耐食性を発揮する。しかし、発電設備および焼却設備を長寿命化するために、さらなる耐食性の向上が期待されている。
【0006】
また、排ガス煙突に加えて、ガス化溶融炉、熱交換器、ガス−ガスヒータ、脱硫装置、電気集塵機などの焼却炉煙道に使用される鋼材は、鋼板または鋼管として設置されるため、耐食性だけでなく、熱間加工性および溶接性も要求される。
【0007】
本発明は上記の問題を解決し、硫酸腐食環境および塩酸腐食環境において、優れた耐食性を有し、かつ、熱間加工性および溶接性に優れた鋼材の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、下記の鋼材を要旨とする。
【0009】
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.010%以上0.20%未満、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:0.10〜1.00%、
S:0.0005〜0.015%、
Cu:0.10〜0.50%、
Cr:0.10〜1.75%、
Sb:0.005〜0.15%、
Ni:0.01〜0.50%、
Ti:0.010〜0.150%、
Al:0.005〜0.10%、
P:0.025%以下、
N:0.0005〜0.0090%、
O:0.0005〜0.0035%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で定義されるBIが4.5〜60.0であり、
下記(ii)式で定義されるCIが4.0〜33.0であり、
下記(iii)式で定義されるDIが0.96〜3.00であり、
下記(iv)式で定義されるCeqが0.180〜0.320である、
鋼材。
BI=(Cr/52)/(N/14) ・・・(i)
CI=(Cu/64)/(S/32) ・・・(ii)
DI=(Cu/64)/(Ni/59) ・・・(iii)
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 ・・・(iv)
但し、上記式中の元素記号は、鋼材中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合は0を代入するものとする。
【0010】
(2)前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Mo:0.50%以下、
W:0.50%以下、
Sn:0.30%以下、
As:0.30%以下、
Co:0.30%以下、および
Bi:0.010%以下、
から選択される1種以上を含有するものである、
上記(1)に記載の鋼材。
【0011】
(3)前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Nb:0.10%以下、
V:0.10%以下、
Zr:0.050%以下、
Ta:0.050%以下、および
B:0.010%以下、
から選択される1種以上を含有するものである、
上記(1)または(2)に記載の鋼材。
【0012】
(4)前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、および
REM:0.010%以下、
から選択される1種以上を含有するものである、
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の鋼材。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、酸腐食環境において耐食性を有し、熱間加工性および溶接性の両方に優れた鋼材を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは前記した課題を解決するために、鋼材の耐食性、熱間加工性、溶接性を詳細に調査した結果、以下の知見を得るに至った。
【0015】
Cu、Sb、Crを含む耐食性鋼に生じた腐食の原因を検討したところ、鋼材表面で生成する窒化物および介在物が起点であることが分かった。Crは鋼材の耐食性向上のために有効であるが、含有量が過剰となると窒化物を形成し、腐食の起点となる。そこで、まず、窒化物の生成を抑制するためには、耐酸性腐食指数BI=(Cr/52)/(N/14)の値を4.5〜60.0とすることが重要であるという知見を得た。
【0016】
また、Sの含有量を減少させることで介在物の生成を抑制することができる。しかし、CuとSとを同時に含有させると、鋼材表面にCuSの難溶性被膜を形成し、予想以上に鋼材の耐食性を向上させることが分かった。つまり、CuおよびSの含有量のバランスが重要であり、耐酸性腐食指数CI=(Cu/64)/(S/32)の値を4.0〜33.0とすることで、鋼板表面でCuSの被膜を形成させつつ、腐食の起点となりやすい介在物の生成を抑制することができる。
【0017】
一方で、Cuは耐食性に有効であるものの表面赤熱脆性を生じ、鋼中の固溶限を超えたCuが結晶粒界および地鉄表面に偏析して、表面割れの原因となる。そこで、Cuの含有量について検討を重ねた結果、CuとNiとを同時に含有させ、赤熱脆化指数DI=(Cu/64)/(Ni/59)の値を0.96〜3.00とすることで、耐食性を維持しつつ、表面割れを抑制し、安定した熱間加工性を維持できることを明らかにした。
【0018】
さらに、上記条件を満足し、溶接性に優れた鋼材を得るためには、炭素当量Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15を0.180〜0.320とすることが重要であることを見出した。
【0019】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
【0020】
(A)化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
【0021】
C:0.010%以上0.20%未満
Cは、鋼材の強度を向上させる元素である。しかしながら、Cが過剰に含有された場合、炭化物が増加し、耐食性が劣化する。そのため、C含有量は0.010%以上0.20%未満とする。C含有量は0.030%以上であるのが好ましく、0.050%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.15%以下であるのが好ましく、0.10%以下であるのがより好ましい。
【0022】
Si:0.10〜0.50%
Siは、脱酸および強度の向上に寄与し、酸化物の形態を制御する元素である。しかしながら、Siが過剰に含有された場合、酸化物が増加し、耐食性を損なう。そのため、Si含有量は0.10〜0.50%とする。Si含有量は0.15%以上であるのが好ましく、0.20%以上であるのがより好ましい。また、Si含有量は0.40%以下であるのが好ましく、0.30%以下であるのがより好ましい。
【0023】
Mn:0.10〜1.00%
Mnは、強度および靭性を向上させる元素である。しかしながら、Mnが過剰に含有された場合、粗大なMnSが生成し、耐食性および機械特性が劣化する。そのため、Mn含有量は0.10〜1.00%とする。Mn含有量は0.30%以上であるのが好ましく、0.50%以上であるのがより好ましい。また、Mn含有量は0.85%以下であるのが好ましく、0.70%以下であるのがより好ましい。
【0024】
S:0.0005〜0.015%
Sは、Cuとの組み合わせによってCuSを形成することで予想以上の耐食性を発揮する元素である。しかしながら、Sが過剰に含有された場合、熱間加工性および鋼材の機械特性を低下させる。そのため、S含有量は0.0005〜0.015%とする。S含有量は0.0010%以上であるのが好ましく、0.0050%以上であるのがより好ましい。また、S含有量は0.008%以下であるのが好ましい。
【0025】
Cu:0.10〜0.50%
Cuは、Sbと同時に含有させると、硫酸および塩酸に対する耐食性を顕著に発現する極めて重要な元素である。しかしながら、Cuが過剰に含有された場合、熱間加工性が低下し、製造性を損なう。そのため、Cu含有量は0.10〜0.50%とする。Cu含有量は0.15%以上であるのが好ましく、0.20%以上であるのがより好ましい。また、Cu含有量は0.40%以下であるのが好ましく、0.30%以下であるのがより好ましい。
【0026】
Cr:0.10〜1.75%
Crは、CuおよびSbと同様に耐食性を向上させる元素である。特に、CrをCuおよびSbと同時に含有させることで高温・高濃度となる酸性環境において優れた耐食性を発揮する。しかしながら、Crが過剰に含有された場合、腐食の起点となる窒化物の増加により耐食性を損なう。そのため、Cr含有量は0.10〜1.75%とする。Cr含有量は0.15%以上であるのが好ましい。また、Cr含有量は1.60%以下であるのが好ましく、1.00%以下であるのがより好ましい。
【0027】
Sb:0.005〜0.15%
Sbは、上述のように、Cuと同時に含有させると耐食性を向上させる極めて重要な元素である。しかしながら、Sbが過剰に含有された場合、熱間加工性が低下する。そのため、Sb含有量は0.005〜0.15%とする。Sb含有量は0.03%以上であるのが好ましい。また、Sb含有量は0.13%以下であるのが好ましい。
【0028】
Ni:0.01〜0.50%
Niは、Cuを含有する鋼において、製造性を高める効果を発現する。Cuは、耐食性を向上させる効果が大きいが、偏析し易く、単独で含有させると鋳造後の割れを助長する場合がある。これに対して、NiはCuの表面偏析を軽減する作用がある。Niを含有させることで、Cuの偏析および鋳片割れの抑制に加えて、偏析に起因する局部腐食の発生も抑制されるため、耐食性を向上させる効果が顕著に発現される。しかしながら、Niは高価な元素であり、多量の含有は製鋼コストの増大を招く。そのため、Ni含有量を0.01〜0.50%とする。Ni含有量は0.05%以上であるのが好ましく、0.10%以上であるのがより好ましく、0.15%以上であるのがさらに好ましい。また、Ni含有量は0.30%以下であるのが好ましく、0.25%以下であるのがより好ましい。
【0029】
Ti:0.010〜0.150%
Tiは、窒化物を形成し、結晶粒の微細化および強度の向上に寄与する元素である。しかしながら、Tiが過剰に含有された場合、腐食の起点となる介在物の増加により、耐食性を損なう。そのため、Ti含有量を0.010〜0.150%とする。Ti含有量は0.020%以上であるのが好ましい。また、Ti含有量は0.100%以下であるのが好ましく、0.060%以下であるのがより好ましい。
【0030】
Al:0.005〜0.10%
Alは、脱酸剤として添加される。しかしながら、Alが過剰に含有された場合、介在物の増加によって耐食性を損なう。そのため、Al含有量は0.005〜0.10%とする。Al含有量は0.020%以上であるのが好ましい。また、Al含有量は0.050%以下であるのが好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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