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公開番号2021014856
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210212
出願番号2019128103
出願日20190710
発明の名称高圧タンク
出願人株式会社SOKEN,トヨタ自動車株式会社
代理人特許業務法人明成国際特許事務所
主分類F17C 1/06 20060101AFI20210115BHJP(ガスまたは液体の貯蔵または分配)
要約【課題】巻き端部のめくれの発生を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】高圧タンクは、ライナと、ライナの表面に形成された補強層と、補強層の外側に形成された保護層と、を備え、保護層は、ヘリカル層とヘリカル層の外側に形成されたフープ層とを有し、フープ層の巻き端部の厚みは、ヘリカル層の厚みよりも小さい。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
高圧タンクであって、
ライナと、
前記ライナの表面に形成された補強層と、
前記補強層の外側に形成された保護層と、を備え、
前記保護層は、ヘリカル層と前記ヘリカル層の外側に形成されたフープ層とを有し、
前記フープ層の巻き端部の厚みは、前記ヘリカル層の厚みよりも小さい、高圧タンク。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧タンクに関する。
続きを表示(約 6,200 文字)【背景技術】
【0002】
燃料電池システムに用いられる水素を収容する高圧タンクにおいて、例えば、特許文献1に記載されているように、補強層の外側に熱硬化性樹脂を含浸させたガラス繊維からなる保護層を備えるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2019−27578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保護層は、水素透過率が低い傾向にあるため、保護層に予め亀裂を設けて、水素透過を可能とする構成が知られている。亀裂を設けるために、熱硬化による収縮率が大きい樹脂材料を保護層に用いる場合、保護層の巻き端部における反り返りの力が大きくなり、めくれが発生するおそれがある。そのため、巻き端部のめくれの発生を抑制できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本発明の一形態によれば、高圧タンクが提供される。この高圧タンクはライナと、前記ライナの表面に形成された補強層と、前記補強層の外側に形成された保護層と、を備え、前記保護層は、ヘリカル層と前記ヘリカル層の外側に形成されたフープ層とを有し、前記フープ層の巻き端部の厚みは、前記ヘリカル層の厚みよりも小さい。この形態の高圧タンクによれば、フープ層の巻き端部の厚みが、ヘリカル層の厚みよりも小さいため、巻き端部がタンク表面からめくれようとする応力が小さくなり、巻き端部のめくれの発生を抑制できる。
【0007】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、高圧タンクの製造方法や、フィラメントワインディング装置、フィラメントワインディング装置の制御方法などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
高圧タンクの概略構造を示す断面図である。
高圧タンクの製造方法の一例を示す工程図である。
フープ層の巻き付け方法の比較例を示す図である。
図3をIV−IVラインで切断した保護層の断面図である。
第1の巻き付け方法を示す図である。
図5のVI−VIラインで切断した保護層の断面図である。
第2の巻き付け方法を示す図である。
図7のVIII−VIIIラインで切断した保護層の断面図である。
第3の巻き付け方法で巻き付けた場合の保護層の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態の高圧タンクの製造方法によって製造される高圧タンク100の概略構造を示す断面図である。高圧タンク100は、例えば10〜70MPaの高圧水素を収容し、燃料電池車両に搭載される。高圧タンク100は、ライナ10と、口金20と、補強層30と、保護層40とを備える。図1には互いに直行するx軸、y軸、z軸を示している。x軸は高圧タンク100の軸方向、つまり高圧タンク100の長手方向に沿った方向である。これらの軸は図2以降に示した軸に対応している。
【0010】
ライナ10は、円筒部12と円筒部12の両端に設けられた二つのドーム部14とを有する。ライナ10は、例えばポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン等の水素ガスに対するガスバリア性を有する樹脂によって形成されている。なお、本実施形態においては、ライナ10は樹脂製としたが、金属製であってもよく、また、上記の樹脂に水素吸蔵合金などのガス不透過材料を混入して形成されていてもよい。円筒部12およびドーム部14の外周には補強層30が形成されている。本実施形態において、口金20は、ライナ10の長手方向両端に設けられているが、一端だけに設けられてもよい。
【0011】
補強層30は、ガラス繊維や炭素繊維(以下、単に「繊維」という)を10000〜40000本程度束ね、樹脂を含浸させることによって形成された繊維束を、フィラメントワインディング法によって、ライナ10の外表面に巻き付け、熱硬化させることによって形成されている。補強層30の外表面には保護層40が形成されている。
【0012】
保護層40は、例えば、繊維を10000〜40000本程度束ね、エポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させることによって形成された繊維束を、フィラメントワインディング法によって、ライナ10の外周の補強層30上に巻き付け、熱硬化させることによって形成されている。保護層40は、樹脂成分が接着剤となり補強層30の外周に固定される。保護層40は、ヘリカル層41と、円筒部12上におけるヘリカル層41の外側に形成されたフープ層42と、を備える(後述する図6参照)。また、フープ層42の外側には、繊維束が熱硬化されることで繊維から浮き出た熱硬化性樹脂によって樹脂層43が形成される(図6参照)。
【0013】
補強層30および保護層40を形成する繊維束に含浸させる樹脂(マトリックス樹脂)としては、例えば、エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリミアド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルポロリドン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等を単独または2種類以上を混合して用いることができる。
【0014】
図2は、本実施形態における高圧タンクの製造方法の一例を示す工程図である。本実施形態の高圧タンク製造では、まず、ステップS100で、口金が装着済みの樹脂製容器をライナ10として用意する。ライナ10は、例えば、円筒部12の両端に、口金20が装着済みのドーム部14を溶着して準備される。
【0015】
次に、ステップS110において、ライナ10の外表面に、樹脂が含浸した繊維束を巻き付けて補強層30を形成する。本実施形態において、補強層30は2層形成される。
【0016】
続いて、ステップS120において、ステップS110で形成された補強層30の上に樹脂が含浸した繊維束をヘリカル巻きによって巻き付けてヘリカル層41を形成する。本実施形態において、ヘリカル層41は2層形成される。
【0017】
続いて、ステップS130において、ステップS120で形成されたヘリカル層41の上に樹脂が含浸した繊維束をフープ巻きによって巻き付けて、フープ層42を形成する。フープ層42の巻き端部の厚みは、ヘリカル層41の厚みよりも小さくなるよう巻き付けられる。本実施形態において「巻き端部」とは、フープ層42の巻き付けの終端部であり、巻き終わりの1周分を示す。フープ層42の巻き端部がめくれようとする応力は、巻き端部の厚みの約3乗に比例するため、フープ層42の巻き端部の厚みは小さいほど、めくれの発生が抑制できる。巻き端部におけるヘリカル層41に接着する接着力が、めくれようとする応力よりも大きくなるようにフープ層42を巻き付けることが好ましい。フープ層42の巻き付け方法の詳細については後述する。ステップS120とステップS130との処理により、保護層40が形成される。
【0018】
続いて、ステップS140において、ステップS110で巻き付けた補強層30の繊維束の樹脂とステップS120およびステップS130で巻き付けた保護層40の繊維束の樹脂とを硬化する。より具体的には、熱ヒーターを備える熱硬化炉や、加熱コイルを用いた高周波誘電加熱式の熱硬化炉において、ライナ10を回転させつつ加熱して、熱硬化性樹脂を熱硬化させる。この処理によって樹脂層43が形成される。
【0019】
最後に、ステップS150において樹脂の熱硬化後の冷却養生を経て、高圧タンク100の強度を確認するための加圧検査を行い、高圧タンクの製造が完了する。ステップS150では、熱可塑性樹脂の収縮により、ヘリカル層41およびフープ層42内の微少な空隙に連通した通路となる亀裂が樹脂層43に形成される。
【0020】
フープ層42の巻き端部の厚みをヘリカル層41の厚みよりも小さくなるよう巻き付ける方法には、例えば以下の3通りある。第1の巻き付け方法は、フープ層42を1層のみ形成する方法である。第2の巻き付け方法は、巻き端部における巻き付け角度を、巻き端部以外の部分における巻き付け角度と異なる角度になるよう巻き付ける方法である。第3の巻き付け方法は、巻き端部における巻き付けの張力を大きくする巻き付け方法である。
【0021】
図3は、フープ層42の巻き付け方法の比較例を示す図である。図3の上部に示すように、比較例では、円筒部12上の黒丸の位置から繊維束の巻き付けを開始し、矢印方向に巻き付けることで2層のフープ層42を形成する。具体的には、円筒部12上の任意の位置から+x軸方向に向けて巻き付けを開始し、円筒部12の+x軸方向の端部で逆方向(−x軸方向)に折り返して巻き付ける。円筒部12の−x軸方向の端部でまた逆方向(+x軸方向)に折り返して巻き付け、巻き始め付近である黒丸の位置付近で巻き終わる。
【0022】
図4は、図3をIV−IVラインで切断した保護層40の断面図である。上述した通り、保護層40において、ヘリカル層41の外側にはフープ層42が形成されており、フープ層42の外側には樹脂層43が形成されている。図4に示すように、フープ層42の巻き端部WEは、フープ層の巻き初め部WSに重なる場合がある。そのため、フープ層42の巻き端部WEの厚み42tは、ヘリカル層41の厚み41tよりも大きくなる場合がある。
【0023】
図5は第1の巻き付け方法を示す図であり、図6は図5をVI−VIラインで切断した保護層40の断面図である。図6に示すように、第1の巻き付け方法は、フープ層42を1層のみ形成する巻き付け方法である。ヘリカル層41は2層であるため、フープ層42の巻き端部WEの厚み42tは、ヘリカル層41の厚み41tよりも小さくなる。
【0024】
図5の上部に示すように、第1の巻き付け方法では、(1)まず、円筒部12上の黒丸の位置から繊維束の巻き付けを開始し、円筒部12の+x軸方向の端部に向かって巻き付ける。円筒部12の+x軸方向の端部まで巻き終えたら、繊維束を切断する。(2)次に、白丸の位置から繊維束の巻き付けを開始し、円筒部12の−x方向の端部に向かって巻き付ける。円筒部12の−x軸方向の端部まで巻き終えたら、繊維束を切断する。(3)最後に、二重丸の位置から繊維束の巻き付けを開始し、(1)で繊維束の巻き付けを開始した位置(黒丸の位置)付近まで、+x軸方向に向かって巻き付ける。なお、(1)と(2)との巻き順はこれに限らない。また、(3)の巻き方向も逆であってもよい。つまり、黒丸の位置付近から白丸の位置付近まで−x軸方向に向かって巻き付けてもよい。
【0025】
図7は、第2の巻き付け方法を示す図である。図7に示すように、第2の巻き付け方法は、比較例と同じ巻き順で繊維束を巻き付けるが、巻き端部WEの巻き付け角度θ2を、巻き端部WE以外の部分における巻き付け角度θ1と異なる角度になるよう巻き付ける方法である。巻き付け角度とは、高圧タンク100の軸に対する繊維束の長手方向の角度である。巻き付け角度θ1と巻き付け角度θ2との差は0度より大きく2度以下の範囲であることが好ましい。図7において、巻き付け角度θ1は89度であり、巻き付け角度θ2は90度である。
【0026】
図8は、図7をVIII−VIIIラインで切断した保護層40の断面図である。図8に示すように、第2の巻き付け方法では、巻き端部WEの巻き付け角度θ2を、巻き端部WE以外の部分における巻き付け角度θ1と異なる角度になるよう巻き付ける。図8に示すように、フープ層42は、隣り合う繊維束の上に乗り上げて巻き付けられる場合があるが、巻き端部WEとそれ以外の部分とで、異なる角度で巻き付けを行うと、巻き端部WEの1周前に巻き付けた隣の繊維束との間に隙間ができる。そのため、巻き端部WEが隣の繊維束に乗り上げて巻き付けられることを抑制できる。また、巻き端部WEが、フープ層の巻き初め部WSに重なることを抑制できる。これにより、フープ層42の巻き端部WEの厚み42tが厚くなることを抑制できる。ヘリカル層41においても、隣り合う繊維束の上に乗り上げて巻き付けられる場合があるため、フープ層42の巻き端部WEの厚み42tは、ヘリカル層41の厚み41tよりも小さくなる。
【0027】
図9は、第3の巻き付け方法で巻き付けた場合の保護層40の断面図である。第3の巻き付け方法は、巻き端部WEにおける巻き付けの張力を、巻き端部WE以外の部分における巻き付けの張力よりも大きくする。例えば、1割以上3割以下の範囲で大きくする。これにより、巻き端部WEにおける繊維束が拡幅して厚み42tが1割以上3割以下の範囲で薄くなる。そのため、フープ層42の巻き端部WEの厚み42tが厚くなることを抑制できる。ヘリカル層41は、巻き端部WEにおける巻き付けの張力よりも小さい張力で巻き付けられるため、フープ層42の巻き端部WEの厚み42tは、ヘリカル層41の厚み41tよりも小さくなる。
【0028】
以上で説明した本実施形態の高圧タンク100は、フープ層42の巻き端部WEの厚み42tが、ヘリカル層41の厚み41tよりも小さい。従って、巻き端部WEがタンク表面からめくれようとする応力が小さくなり、巻き端部WEのめくれの発生を抑制できる。
【0029】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述した課題を解決するために、あるいは上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
10…ライナ、12…円筒部、14…ドーム部、20…口金、30…補強層、40…保護層、41…ヘリカル層、42…フープ層、43…樹脂層、100…高圧タンク、WE…巻き端部、WS…巻き初め部

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