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公開番号2021006773
公報種別公開特許公報(A)
公開日20210121
出願番号2019120725
出願日20190628
発明の名称電極シート
出願人日本製鉄株式会社
代理人アセンド特許業務法人
主分類G01N 27/02 20060101AFI20201218BHJP(測定;試験)
要約【課題】実際の構造部材に形成される液膜の厚さ及び塩分量を測定できる電極シートを提供する。
【解決手段】電極シート100は、電気化学インピーダンス法による金属の腐食環境測定に用いられる。電極シート100は、基材10と、離型層20と、1対の第1電極30A,30Bと、1対の第2電極40A,40Bと、接着層50と、を備える。基材10は、シート状である。離型層20は、基材10上に設けられる。1対の第1電極30A,30Bは、離型層20上に貼付される。1対の第2電極40A,40Bは、離型層20上に貼付される。1対の第2電極40A,40Bは、第1電極30A,30B同士の間隔L1よりも長い間隔L2を有する。接着層50は、第1電極30A,30B及び第2電極40A,40B上に設けられる。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
電気化学インピーダンス法による金属の腐食環境測定に用いられる電極シートであって、
シート状の基材と、
前記基材上に設けられた離型層と、
前記離型層上に貼付された1対の第1電極と、
前記離型層上に貼付され、前記第1電極同士の間隔よりも長い間隔を有する1対の第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極上に設けられた接着層と、を備える、電極シート。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、電極シートに関し、より詳細には、電気化学インピーダンス法による金属の腐食環境測定に用いられる電極シートに関する。
続きを表示(約 5,400 文字)【背景技術】
【0002】
電気化学系の特性を調査する方法として、電気化学インピーダンス法が知られている。電気化学インピーダンス法は、例えば、次のようにして行われる。まず、1対の電極と電解質溶液とを接触させ、電極間に種々の周波数の交流電圧を印加する。次に、各周波数の交流電圧に対する周波数応答から電極間のインピーダンスを求め、それに基づき目的の特性値を算出する。
【0003】
例えば、特許文献1は、電気化学インピーダンス法によって高電圧用の絶縁板の表面に付着した汚損を検出する汚損検出器を開示する。この汚損検出器は、絶縁板を冷却して結露を生じさせて絶縁板上の電極間の絶縁抵抗値を測定することにより、絶縁板の汚損度、すなわち塩分量を検出する。電極間には、吸湿材が配置されている。
【0004】
例えば、非特許文献1は、電気化学インピーダンス法を用い、熱交換器の伝熱管等の表面に形成される液膜の厚さを模擬的に測定する円筒型電極センサを開示する。この円筒型電極センサでは、複数対の電極を有するフレキシブルプリント基板が、伝熱管等を模擬した金属パイプに巻き付けられる。電極センサ上に形成される液膜の厚さを、各電極によって測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
実開昭62−088952号公報
【非特許文献】
【0006】
新井崇洋、古谷正裕、金井大造著「高密度多点電極法による液膜厚さ計測技術の開発、電力中央研究所報告L09008」財団法人電力中央研究所発行、平成22年6月、P.2−11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電気化学インピーダンス法は、金属の腐食環境測定にも使用することができる。腐食環境測定は、例えば、実際の構造部材において金属の腐食の進行度合いを把握するために行われる。実際の構造部材は、例えば、H形鋼や、道路橋等である。金属の腐食は、金属表面に付着した塩分が吸湿し、液膜が形成されることで進行する。大気腐食のメカニズムの解明、腐食促進試験、金属の寿命予測方法の構築のためには、金属表面の塩分量及び液膜の厚さの双方を測定することが好ましい。
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、絶縁板上の塩分量を測定することはできても、液膜の厚さを測定することはできない。また、特許文献1の技術を実際の構造部材の腐食環境測定に適用しようとすれば、検出器を支持する架台が別途必要になる。そのため、H形鋼のフランジ等の垂直部分に検出器を設置することは困難である。検出器を道路橋等に設置する場合には、架台の落下や飛散の防止対策が必要になる。よって、特許文献1の技術では、様々な形状を有する実際の構造部材において、液膜の厚さ及び塩分量を測定することはできない。
【0009】
非特許文献1の技術では、予め組成が判明している液膜を用いて液膜の厚さを測定する。非特許文献1では、金属表面に付着した塩分量の測定は考慮されていない。また、非特許文献1の技術では、測定対象として熱交換器の伝熱管のような円筒のみを想定しており、様々な形状を有する構造部材は考慮されていない。
【0010】
本開示は、実際の構造部材に形成される液膜の厚さ及び塩分量を測定できる電極シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る電極シートは、電気化学インピーダンス法による金属の腐食環境測定に用いられる。電極シートは、基材と、離型層と、1対の第1電極と、1対の第2電極と、接着層と、を備える。基材は、シート状である。離型層は、基材上に設けられる。1対の第1電極は、離型層上に貼付される。1対の第2電極は、離型層上に貼付される。1対の第2電極は、第1電極同士の間隔よりも長い間隔を有する。接着層は、第1電極及び第2電極上に設けられる。
【発明の効果】
【0012】
本開示による電極シートによれば、実際の構造部材に形成される液膜の厚さ及び塩分量を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1は、一般的な電気化学インピーダンス法を説明するための模式図である。
図2は、図1の系における等価回路を示す図である。
図3は、没水環境を示す模式図である。
図4は、薄膜環境を示す模式図である。
図5は、本実施形態に係る電極シートの概略斜視図である。
図6は、電極シートの概略側面図である。
図7は、電極シートの製造方法を説明するための模式図である。
図8は、電極シートの製造方法を説明するための模式図である。
図9は、電極シートの製造方法を説明するための模式図である。
図10は、電極シートの製造方法を説明するための模式図である。
図11は、電極シートの使用方法を説明するための模式図である。
図12は、電極シートの使用方法を説明するための模式図である。
図13は、マスターデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[電気化学インピーダンス法]
初めに、金属の腐食環境測定に利用される電気化学インピーダンス法について説明する。図1は、一般的な電気化学インピーダンス法を説明するための模式図である。電気化学インピーダンス法では、交流電源103に接続された1対の電極101,102を用いる。電極101,102は、腐食環境の測定対象である金属からなる。腐食環境の測定の際には、電極101,102上に液膜110を形成し、電極101,102間に交流電圧を印加して液膜110中に交流電流を流す。
【0015】
図2は、図1の系における等価回路を示す図である。図2では、図1中の一方の電極101のみを示している。液膜110は、溶液抵抗RSを有する。液膜110と電極101との境界は、腐食反応抵抗RP及びコンデンサCの並列回路と置き換えることができる。
【0016】
この等価回路に高周波の交流電圧が印加された場合、並列回路において全ての電流がコンデンサCを通る。この場合、等価回路には溶液抵抗RSのみが抵抗(インピーダンス)として存在するとみなすことができる。したがって、電極101,102間に高周波の交流電圧を印加すれば、電極101,102間のインピーダンスを求めることができる。このインピーダンスを用いれば、液膜110の電気伝導率、及び厚さを別々にであれば求めることができる。
【0017】
高周波の交流電圧によって得られたインピーダンスZは、オームの法則より以下の式(1)を満たす。
Z=(1/σ)・(L/A) (1)
σは液膜110の電気伝導率、Lは電極101,102の間隔、Aは液膜110中の交流電流が通る部分の断面積、を表す。
【0018】
上述したように、インピーダンスZは、電極101,102間に高周波の交流電圧を印加することで求められる。電極101,102の間隔Lは、既知の値である。したがって、交流電流が通る部分の断面積Aが求まれば、式(1)に基づき、液膜110の電気伝導率σを求めることができる。
【0019】
図3を参照して、交流電流ACは、その性質上、液膜110中において電極101,102に近い部分を流れる。そのため、液膜110が十分に厚い場合、液膜110のうち電極101,102からある程度離れた部分Pには、交流電流ACが流れない。以下、液膜110が十分に厚く、交流電流ACが液膜110の厚さ方向全域に流れない環境を、没水環境という。
【0020】
没水環境において、交流電流ACが流れる部分の断面積Aは、一定であり、液膜110の厚さに依存しない。没水環境における断面積Aは、シミュレーション又は予備試験等によって予め求めておくことができる。実際の腐食環境測定では、予め求めた断面積A、及び上述のインピーダンスZを使用し、式(1)より、液膜110の電気伝導率σを求めることができる。この電気伝導率σにより、液膜110中の塩分量を把握することができる。
【0021】
図4を参照して、液膜110が薄い場合、交流電流ACは液膜110の厚さ方向全域に流れる。以下、液膜110が薄く、交流電流ACが液膜110の厚さ方向全域で流れる環境を、薄膜環境という。薄膜環境において、交流電流ACが流れる部分の断面積Aは、液膜110の厚さに比例する。薄膜環境において、液膜110の電気伝導率σが既知であれば、式(1)に基づいて断面積Aを算出し、液膜110の厚さを求めることができる。
【0022】
このように、電極101,102が没水環境にある場合、液膜110の電気伝導率σを求めることができ、電極101,102が薄膜環境にある場合、電気伝導率σさえわかれば、液膜110の厚さを求めることができる。これより、液膜110の電気伝導率σ及び厚さの双方を把握するためには、まず、没水環境での腐食環境測定において電気伝導率σを求めた後、別途の腐食環境測定において、求めた電気伝導率σを用い、薄膜環境で液膜110の厚さを求める必要がある。本発明者等は、電極101,102の間隔Lに着目し、一回の腐食環境測定において液膜110の電気伝導率σ及び厚さの双方を同時に求めることを検討した。
【0023】
本発明者等が検討した結果、電極101,102の間隔Lが比較的短い場合、一方の電極101から流出した交流電流ACは、直ぐに他方の電極102に流入する。反対に、電極101,102の間隔Lが比較的長い場合、一方の電極101から流出した交流電流ACは、液膜110中を厚さ方向に広がりながら流れた後、他方の電極102に流入する。すなわち、電極101,102の間隔Lが短ければ没水環境に近づき、間隔Lが長ければ薄膜環境に近づく。本発明者等は、この検討結果に基づき、実施形態に係る電極シートを完成させた。
【0024】
本実施形態に係る電極シートは、電気化学インピーダンス法による金属の腐食環境測定に用いられる。電極シートは、基材と、離型層と、1対の第1電極と、1対の第2電極と、接着層と、を備える。基材は、シート状である。離型層は、基材上に設けられる。1対の第1電極は、離型層上に貼付される。1対の第2電極は、離型層上に貼付される。1対の第2電極は、第1電極同士の間隔よりも長い間隔を有する。接着層は、第1電極及び第2電極上に設けられる。
【0025】
本実施形態に係る電極シートを使用する際には、接着層側を評価対象の構造部材に向けて、第1電極及び第2電極を構造部材に貼り付けることができる。基材は、離型層により、第1電極及び第2電極から容易に剥離する。これにより、第1電極及び第2電極は、その間隔を維持したまま、構造部材に配置される。よって、様々な形状を有する実際の構造部材において第1電極及び第2電極を設置することができる。
【0026】
構造部材上において、第2電極の間隔は、第1電極の間隔よりも長い。そのため、第1電極及び第2電極を含む液膜が構造部材上に形成されたとき、第1電極を没水環境に、第2電極を薄膜環境に置くことができる。没水環境における第1電極間のインピーダンスからは、電気伝導率を求めることができる。電気伝導率は、液膜の塩分量に換算することができる。また、没水環境で求めた電気伝導率と、薄膜環境における第2電極間のインピーダンスを用いて、液膜の厚さを求めることができる。
【0027】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
【0028】
<電極シート100の構成>
図5は、本実施形態に係る電極シート100の概略斜視図である。電極シート100は、基材10と、離型層20と、1対の電極30A,30Bと、1対の電極40A,40Bと、接着層50と、を備える。
【0029】
[基材10]
基材10は、シート状である。基材10の材質は、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン等の樹脂である。基材10の厚さは特に限定されないが、0.05〜1.5mmが好ましい。
【0030】
[離型層20]
離型層20は、基材10上に設けられる。離型層20は、基材10に接着される。離型層20の材質は、低密度ポリエチレン、アイオノマー、テフロン(登録商標)樹脂等の熱可塑性樹脂である。離型層20の厚さは特に限定されないが、0.01〜0.5μmが好ましい。
(【0031】以降は省略されています)

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