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公開番号2020203317
公報種別公開特許公報(A)
公開日20201224
出願番号2020149652
出願日20200907
発明の名称銅鋳造材
出願人日立金属株式会社
代理人
主分類B22D 21/00 20060101AFI20201127BHJP(鋳造;粉末冶金)
要約【課題】銅荒引線の表面に割れ等の欠陥が生じにくい銅鋳造材を提供する。
【解決手段】本発明の一態様において、断面形状が四辺形であり、前記四辺形の厚さ方向および幅方向のそれぞれに沿って伸びる柱状晶のみで形成された鋳造組織を有し、前記鋳造組織において、前記厚さ方向に形成される柱状晶の平均の長さL1(L1=(L1A+L1B)/2)と、前記幅方向に形成される柱状晶が前記厚さ方向に形成される柱状晶にぶつかり合うことで形成される境界の交点から前記四辺形の側面までの長さL2と、の比L1/L2が1.0以上1.6以下(ただし、1.2以下を除く)であり、前記長さL1が15mm以上50mm以下である、銅鋳造材を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
断面形状が四辺形であり、前記四辺形の厚さ方向および幅方向のそれぞれに沿って伸びる柱状晶のみで形成された鋳造組織を有し、
前記鋳造組織において、前記厚さ方向に形成される柱状晶の平均の長さL
1
(L
1
=(L
1A
+L
1B
)/2)と、前記幅方向に形成される柱状晶が前記厚さ方向に形成される柱状晶にぶつかり合うことで形成される境界の交点から前記四辺形の側面までの長さL
2
と、の比L
1
/L
2
が1.0以上1.6以下(ただし、1.2以下を除く)であり、前記長さL
1
が15mm以上50mm以下である、
銅鋳造材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電線やケーブル等の導体として利用される銅鋳造材に関するものである。
続きを表示(約 6,000 文字)【背景技術】
【0002】
鉄道車両等に配線される電線やケーブル、自動車等に搭載されるモータ用コイルを構成するエナメル線などでは、導体として銅線が使用されている。この銅線の多くは、無酸素銅やタフピッチ銅などからなる銅荒引線を連続鋳造圧延法によって製造し、次いで得られた銅荒引線に対して冷間伸線加工や熱処理(焼き鈍し処理)などを施すことによって得られる。
【0003】
銅荒引線を製造する際には、電気銅等の原料銅を溶解炉で溶解して得られた溶銅を移送樋、保持炉等を経由してベルト&ホイール方式の連続鋳造機に供給し、供給された溶銅を連続鋳造することによって銅鋳造材が得られる。そして、得られた銅鋳造材をさらに熱間圧延して冷却することにより、所定の外径を有する銅荒引線が製造される。なお、銅荒引線を製造する際には、原料銅の溶解、連続鋳造、熱間圧延の各工程が連続している連続鋳造圧延法が用いられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2010−234442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
銅鋳造材を連続鋳造によって製造する場合、溶融された状態で鋳型内に供給された溶銅は、水冷式鋳型によって冷却される。これにより、鋳型内の溶銅は、鋳型との接触面で凝固して凝固層(以下、凝固シェルともいう)が生成される。この凝固シェルから内部にかけては、鋳型の上流側において未凝固の溶銅が存在するが、この未凝固の溶銅は、鋳型の下流側に供給されながら冷却されることによって凝固する。このようにして鋳型に供給された溶銅が完全に凝固することによって鋳造材が製造される。
【0006】
このとき、鋳型内における溶銅の冷却が不均一になると、凝固シェルの厚みが不均一となる。凝固シェルには、冷却の際に凝固シェルに生じる収縮や変形に起因する応力が作用する。凝固シェルの凝固初期においては、この応力が凝固シェルの厚みの薄い部分に集中する。そして、この応力によって凝固シェルの厚みの薄い部分の表面には、割れが発生する。
【0007】
この凝固シェルの表面の割れは、連続鋳造工程におけるその後の熱応力や連続鋳造機の曲げ応力及び矯正応力などの外力によって拡大し、銅鋳造材の表面に大きな割れが発生する。銅鋳造材に存在する割れは、次工程の熱間圧延工程において表面欠陥となり、銅荒引線の表面に傷や割れ等の欠陥が生じることになる。このため、銅鋳造材を製造する段階において、銅鋳造材の表面に割れが生じないようにすることが必要となる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、銅荒引線の表面に割れ等の欠陥が生じにくい銅鋳造材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]の銅鋳造材を提供する。
【0010】
[1]断面形状が四辺形であり、前記四辺形の厚さ方向および幅方向のそれぞれに沿って伸びる柱状晶のみで形成された鋳造組織を有し、前記鋳造組織において、前記厚さ方向に形成される柱状晶の平均の長さL
1
(L
1
=(L
1A
+L
1B
)/2)と、前記幅方向に形成される柱状晶が前記厚さ方向に形成される柱状晶にぶつかり合うことで形成される境界の交点から前記四辺形の側面までの長さL
2
と、の比L
1
/L
2
が1.0以上1.6以下(ただし、1.2以下を除く)であり、前記長さL
1
が15mm以上50mm以下である、銅鋳造材。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、銅荒引線の表面に割れ等の欠陥が生じにくい銅鋳造材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の一実施形態に係る銅鋳造材および銅荒引線の製造装置を示す概略構成図である。
本発明の一実施形態に係る銅鋳造材を鋳造方向から観察したときの断面写真である。
本発明の一実施形態に係る銅鋳造材を連続鋳造する際の溶銅温度と銅鋳造材が有する柱状晶の長さL
1
、L
2
の比との関係、および得られる銅鋳造材の表面の割れの有無を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、連続鋳造する際の溶銅温度が高いほど得られる銅鋳造材の表面の結晶粒が粗大化し、銅鋳造材の表面に割れが生じやすいことを確認した。そして、本発明者らは、連続鋳造する際の溶銅温度と、これによって得られる銅鋳造材に形成される柱状晶の長さとの関係に着目すると、均一な凝固シェルが形成されて銅鋳造材の表面の割れの発生が抑制される範囲があることを見出した。本発明は、この知見に基づいて成されたものであり、以下のとおりである。
【0014】
〔銅鋳造材、銅荒引線の製造装置〕
本発明の一実施形態にかかる銅鋳造材および銅荒引線の製造装置について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る銅鋳造材および銅荒引線の製造装置を示す概略構成図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る銅荒引線の製造装置10は、銅合金材を連続鋳造圧延するための、いわゆるベルト&ホイール式の連続鋳造圧延装置として構成され、例えば、溶解炉210と、上樋220と、保持炉230と、下樋260と、タンディッシュ300と、注湯ノズル320と、連続鋳造機500と、連続圧延装置620と、コイラー640と、を有している。
【0016】
溶解炉210は、原料銅を加熱して溶解させ、溶銅110を生成するよう構成され、例えば、炉本体と、炉本体の下部に設けられるバーナーと、を有している。原料銅が炉本体に投入され、バーナーで加熱されることで、溶銅110が連続的に生成される。原料銅の材料としては、例えば、タフピッチ銅、無酸素銅、高純度銅などの純銅からなる電気銅等を用いることができる。
【0017】
上樋220は、溶解炉210の下流側に設けられ、溶解炉210と保持炉230との間を連結し、溶解炉210で生成された溶銅110を下流側の保持炉230に移送するよう構成されている。
【0018】
保持炉230は、上樋220の下流側に設けられ、上樋220から移送される溶銅110を所定の温度で加熱して一時的に貯留するよう構成されている。また、保持炉230は、溶銅110を所定の温度に保持したまま、所定量の溶銅110を下樋260に移送するよう構成されている。
【0019】
下樋260は、保持炉230の下流側に設けられ、保持炉230から移送される溶銅110を下流側のタンディッシュ300に移送するよう構成されている。
【0020】
なお、上樋220からタンディッシュ300までの装置では、供給される溶銅110に対して所定の金属元素を連続的に添加するよう構成されていてもよい。溶銅110に添加される金属元素としては、例えば、錫(Sn)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マンガン(Mn)等が挙げられる。つまり、好ましくは、これらの金属元素のうち少なくとも1つが、溶銅110に添加される。これらの金属元素は、例えば0.02質量%以上10質量%以下の濃度で溶銅中に含有されるように添加される。金属元素を添加する方法としては、特に限定されないが、例えば、金属元素からなるワイヤを溶銅110中に投入するワイヤインジェクションを用いることができる。
【0021】
タンディッシュ300は、下樋260の下流側に設けられ、下樋260から移送される溶銅110を一時的に貯留し、連続鋳造機500に対して所定量の溶銅110を連続的に供給するよう構成されている。
【0022】
タンディッシュ300の下流側には、貯留する溶銅110を連続鋳造機500に供給させるための注湯ノズル320が接続されている。注湯ノズル320は、例えば、ケイ素酸化物、ケイ素炭化物、ケイ素窒化物等の耐火物で形成されている。タンディッシュ300に溜まった溶銅110は、注湯ノズル320を介して、連続鋳造機500へと供給される。注湯ノズル320の開口部近傍には、注湯ノズル320を介して連続鋳造機500へ供給される溶銅110の供給量を調整するための調整部材が設けられていてもよい。
【0023】
連続鋳造機500は、いわゆるベルト&ホイール式の連続鋳造を行うよう構成され、例えば、ホイール(またはリング)510と、ベルト520と、を有している。円筒状のホイール510は、外周に所定の断面形状を有する溝部(例えば断面形状が四辺形からなる溝部)を有している。また、ベルト520は、ホイール510の外周面の一部に接触しながらホイール510の周囲を周回移動するよう構成されている。ホイール510の溝部とベルト520との間に形成される空間に、タンディッシュ300の下流側に接続された注湯ノズル320から流出される溶銅110が注入される。また、ホイール510およびベルト520は、例えば冷却水により冷却されている。この冷却水による冷却により、ホイール510の溝部とベルト520との間に形成される空間に注入される溶銅110が冷却・固化(凝固)されて、鋳造方向からみたときの断面形状が四辺形からなる棒状の銅鋳造材120が連続的に鋳造される。
【0024】
タンディッシュ300から連続鋳造機500へ供給される溶銅110から銅鋳造材120が製造される際、断面形状が四辺形からなる銅鋳造材120は、連続鋳造機500へ供給される溶銅110が温度T(℃)を有して連続鋳造されるときに得られる銅鋳造材120の厚さ方向に形成される柱状晶の平均の長さL
1
と銅鋳造材120の幅方向に形成される柱状晶の長さL
2
との比L
1
/L
2
が下記(1)式を満たすように、連続的に鋳造される。

1
/L
2
≦(1580−T)/300 …(1)
【0025】
このとき、銅鋳造材120に形成される柱状晶の長さの比L
1
/L
2
は、1.0以上1.6以下であることが好ましく、1.2以上1.5以下がより好ましく、さらに好ましくは1.2以上1.4以下である。銅鋳造材120に形成される柱状晶の長さの比L
1
/L
2
をこのような範囲とすることにより、鋳型内において形成される凝固シェルの厚さを不均一になりにくくすることができる。そのため、連続鋳造して得られる銅鋳造材120は、その表面の割れの発生が抑制されたものとなる。また、L
1
は、15mm以上50mm以下であることが好ましい。さらに連続鋳造機500へ供給される溶銅110の温度Tは、1090℃以上1200℃以下であることが好ましく、1120℃以上1160℃以下がより好ましい。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係る銅鋳造材120を鋳造方向から観察したときの断面写真である。銅鋳造材120の厚さ方向に形成される柱状晶の平均の長さL
1
とは、図2に示されるように、断面形状が四辺形からなる銅鋳造材120において、その断面の厚さ方向に沿って形成される柱状晶同士がぶつかり合うことで形成される境界の位置(境界121a)から厚さ方向に配置される対辺の各辺122の位置までの柱状晶の長さL
1A
およびL
1B
を平均した長さ(L
1
=(L
1A
+L
1B
)/2)であることを示す。また、銅鋳造材120の幅方向に形成される柱状晶の長さL
2
とは、断面形状が四辺形からなる銅鋳造材120において、その断面の厚さ方向に沿って形成される柱状晶と幅方向に沿って形成される柱状晶とがぶつかり合うことで形成される境界の位置(境界121b)であって、かつ境界121aと交差する位置(交点123)から幅方向に配置される対辺の各辺122bの位置までの鋳造晶の長さであることを示す。なお、銅鋳造材120の断面の各長さ(L
1A
、L
1B
、L
2
)は、得られた銅鋳造材120の断面に対して研磨およびエッチングを施すことによって断面の鋳造組織を出した後、直接スケールを当て測定することにより求めることが出来る。また、マイクロスコープで断面の写真を撮影し、測長機能を使って測定しても良い。
【0027】
連続圧延装置620は、連続鋳造機500の下流側(鋳造材排出側)に設けられ、連続鋳造機500から移送される銅鋳造材120を例えば450℃以上950℃以下の温度で連続的に熱間圧延するよう構成されている。銅鋳造材120が圧延されることで、所定の外径を有する銅荒引線130が成形加工される。
【0028】
コイラー640は、連続圧延装置620の下流側(銅荒引線の排出側)に設けられ、連続圧延装置620から移送される銅荒引線130を巻き取るよう構成されている。
【0029】
〔銅鋳造材、銅荒引線の製造方法〕
次に、上述した銅鋳造材および銅荒引線の製造装置10を用いて銅鋳造材および銅荒引線を製造する方法について説明する。
【0030】
本実施形態の銅鋳造材および銅荒引線の製造方法は、溶融工程、タンディッシュ貯留工程、溶銅流出工程、連続鋳造工程、連続圧延工程を有している。これらの工程は、個々に不連続に行われるのではなく、一連の工程として連続的に行われる。
(【0031】以降は省略されています)

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