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公開番号2020186988
公報種別公開特許公報(A)
公開日20201119
出願番号2019091159
出願日20190514
発明の名称空気流量計
出願人日立オートモティブシステムズ株式会社
代理人ポレール特許業務法人
主分類G01F 1/696 20060101AFI20201023BHJP(測定;試験)
要約【課題】
従来の空気流量計では実際のエンジンの脈動波形の様に高調波を含んだ歪んだ波形に対応することが困難であった。
【解決手段】
本発明の空気流量計100Aは、測定する空気流量に応じた出力信号を発生させる空気流量検出素子1と、空気流量検出素子1からの出力信号が所定のしきい値を通過したことを検出する信号検出器2と、信号検出器2の出力信号をトリガにしてパルス信号を発生するパルス発生器3と、パルス発生器3の出力信号を空気流量検出素子1の出力信号に加算する加算器4と、により構成される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
発熱体の上流側に配置した上流側温度センサおよび前記発熱体の下流側に配置した下流側温度センサを有する空気流量検出素子を備え、前記空気流量検出素子の出力信号に基づいて空気流量信号を出力する空気流量計において、
前記空気流量検出素子の出力信号が所定のしきい値を通過したことを検出する信号検出器と、
前記信号検出器の出力信号をトリガにしてパルス信号を発生するパルス発生器と、
前記パルス発生器の出力に基づいて前記空気流量検出素子の出力信号を補正することを特徴とする空気流量計。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
請求項1に記載の空気流量計において、
前記空気流量検出素子の出力信号に基づいて、前記パルス発生器の出力信号を補正することを特徴とする空気流量計。
【請求項3】
請求項1に記載の空気流量計において、
前記空気流量検出素子の出力信号を微分処理する微分器を有し、
前記空気流量検出素子の出力信号の微分値に基づいて、前記パルス発生器の出力信号を補正することを特徴とする空気流量計。
【請求項4】
請求項1に記載の空気流量計において、
前記空気流量検出素子の出力信号から代表値を抽出する代表値検出部を有し、
前記代表値に基づいて、前記パルス発生器の出力信号を補正することを特徴とする空気流量計。
【請求項5】
請求項4に記載の空気流量計において、
前記代表値は、前記空気流量検出素子の出力信号の平均値、周波数、最大値、または最小値の少なくともいずれか一つであることを特徴とする空気流量計。
【請求項6】
請求項4に記載の空気流量計において、
前記空気流量検出素子の出力信号を流量換算値にリニアライズするリニアライズ部を有し、
前記代表値は、前記リニアライズ部でリニアライズした信号から抽出されることを特徴とする空気流量計。
【請求項7】
請求項4に記載の空気流量計において、
前記空気流量検出素子の出力信号の代表値を所定の関数で変換する変換部を有することを特徴とする空気流量計。
【請求項8】
請求項1に記載の空気流量計において、
前記パルス発生器として、
前記信号検出器の出力信号の立ち上がりをトリガにしてパルス信号を発生する立ち上がり検出パルス発生器あるいは、
前記信号検出器の出力信号の立ち下りをトリガにしてパルス信号を発生する立ち下がり検出パルス発生器、
の少なくともいずれか一方を有することを特徴とする空気流量計。
【請求項9】
請求項1に記載の空気流量計において、
前記空気流量検出素子は、上流側温度センサおよび下流側温度センサから各々の出力信号を出力し、
前記信号検出器は、前記下流側温度センサの出力信号が所定のしきい値を通過したことを検出することを特徴とする空気流量計。
【請求項10】
請求項1に記載の空気流量計において、
前記しきい値は、空気の順流から逆流への変化する時点、または空気の逆流から順流への変化する時点を検出する値に設定され、
前記パルス発生器で発生する前記パルス信号に基づいて、空気流量検出素子の上部空間を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによる誤差を補正することを特徴とする空気流量計。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は発熱体の上下流に温度センサを持つ空気流量検出素子の出力信号に基づいて空気流量信号を出力する空気流量計に係り、特に、脈動によって生じる誤差(脈動誤差)を低減できる空気流量計に関する。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
脈動誤差を低減する空気流量計の例として、特開2015−49135号公報(特許文献1)に記載された熱式流量センサがある。特許文献1の熱式流量センサは、半導体基板に形成された薄膜部(ダイアフラム)、ダイアフラム上に配置された発熱抵抗体、および発熱抵抗体の上流側及び下流側に配置された上流側測温抵抗体及び下流側測温抵抗体を有する空気流量検出素子と、上流側測温抵抗体と下流側測温抵抗体との温度差情報に基づいて空気流量検出素子の出力信号として処理する補正回路と、を備える(要約及び段落0013)。補正回路部は、空気流量検出素子の出力信号が所定値を超えた場合に前記所定値を出力することで、ピーク値を成す山部あるいは谷部の一部が前記所定値にカットされた出力信号波形にする(要約)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2015−49135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
要するに、空気流量検出素子の出力信号の最大値と最小値とを求め、これらの値から求めたクランプ値を使って空気流量検出素子の出力信号をクランプすることで、空気流量検出素子の出力信号の平均値をマイナス方向にシフトさせ、脈動誤差を低減する。
【0005】
しかし、実際のエンジンの脈動波形は高調波を含んだ歪んだ脈動波形であり、エンジンの種類やエンジンの負荷条件によって、脈動波形の高調波成分は変化する。この為、上記従来技術の様に空気流量検出素子の出力信号の最大値と最小値とに基づいて空気流量検出素子の出力信号をクランプする値を決定する方法では、高調波を含んだ歪んだ脈動波形に対応できない。高調波を含んだ歪んだ脈動波形の最大値および最小値は、高調波を含まない脈動波形の最大値および最小値とは異なる。この結果、高調波成分の変化に応じて適切なクランプ値を設定することが困難になり、高調波を含む出力信号に対して適切な補正ができなくなる可能性がある。つまり、上記従来技術ではエンジンの種類や負荷条件によって変化する実際のエンジンの脈動波形に対する配慮が欠けていた。
【0006】
本発明の目的は、高調波を含んで歪んだ波形に対して脈動誤差を低減できる空気流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の空気流量計は、流量検出素子の出力信号が所定のしきい値を通過したことを検出し、この検出信号をトリガにしたパルス信号を発生させ、このパルス信号に基づいて前記流量検出素子の出力信号を補正する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流量検出素子の出力信号が所定のしきい値を通過したことを検出して脈動誤差を補正するので、流量検出素子で起こる物理現象に沿った波形処理をすることができ、より脈動誤差の小さい空気流量計を提供することが可能となる。
【0009】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の第1実施例に係る空気流量計100Aの構成を示す図である。
本発明の第1実施例に係る空気流量検出素子1の平面図である。
図2におけるA−A’断面および流量検出素子1の上部空間(上空)を流れる空気流の温度分布を示す図である。
空気流量検出素子1の各部の波形を示す図である。
補正前の空気流量計100Aの測定誤差を示す図である。
空気流量計100Aの各部の波形を示す図である。
補正後の空気流量計100Aの測定誤差を示す図である。
本発明の第2実施例に係る空気流量計100Bの構成を示す図である。
補正前後の空気流量計100Bの測定誤差を示す図である。
本発明の第3実施例に係る空気流量計100Cの構成を示す図である。
本発明の第4実施例に係る空気流量計100Dの構成を示す図である。
本発明の第5実施例に係る空気流量計100Eの構成を示す図である。
空気流量計100Eの各部の波形を示す図である。
本発明の第6実施例に係る空気流量計100Fの構成を示す図である。
上流側温度センサ7および下流側温度センサ9の空気流量に対する出力特性を示す図である。
脈動時の上流側温度センサ7および下流側温度センサ9の出力波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各実施例は、矛盾しない限り組み合わせ可能である。各実施例において、共通する構成には同じ符号を付し、説明を省略する。第1実施例で説明する内容は、その他の実施例にも共通し、その他の実施例においては第1実施例と異なる構成について説明する。
【0012】
[実施例1]
本発明の第1実施例の空気流量計100Aを図1から図7により説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1実施例に係る空気流量計100Aの構成を示す図である。
【0014】
本実施例の空気流量計100Aは測定する空気流量に応じた出力信号を発生させる空気流量検出素子1と、空気流量検出素子1からの出力信号が所定のしきい値を通過したことを検出する信号検出器2と、信号検出器2の出力信号をトリガにしてパルス信号を発生するパルス発生器3と、パルス発生器3の出力信号を空気流量検出素子1の出力信号に加算する加算器4と、により構成される。空気流量計100Aは空気流量検出素子1の出力信号に基づいて空気流量信号を出力する。
【0015】
なお、加算器4はパルス発生器3の出力に基づいて空気流量検出素子1の出力信号を補正する補正部に相当する。
【0016】
図2は、本発明の第1実施例に係る空気流量検出素子1の平面図である。図3は、図2におけるA−A’断面および流量検出素子1の上部空間を流れる空気流の温度分布を示す図である。
【0017】
空気流量検出素子1は、図2,3に示す様に、シリコン基板5に形成された、熱絶縁膜で構成されるダイアフラム6を有する。ダイアフラム6には、測定空気流の温度よりも高温に加熱される発熱体8と、発熱体8の上流側に配置された上流側温度センサ7と、発熱体8の下流側に配置された下流側温度センサ9と、が設けられる。なお、上流側温度センサ7および下流側温度センサ9はポリシリコン薄膜や白金薄膜で作られた感熱抵抗やポリシリコン薄膜や金属薄膜で作られた熱電対で構成される。上流側温度センサ7は発熱体8の上流側の温度を計測し、下流側温度センサ9は発熱体8の下流側の温度を計測する。つまり、空気流量計100Aは、空気流量検出素子1の上部空間(以下、上空という)を流れる空気流よりも発熱体8の温度を高温に加熱し、空気流量検出素子1の上空を流れる空気流によって発熱体8の上流側の温度が下がり、下流側の温度が上昇することを利用して、空気流量を計測する。この温度の変化を検出するために、上流側温度センサ7および下流側温度センサ9が設けられる。
【0018】
次に、空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布について図3により説明する。図3は、図2におけるA−A’断面および流量検出素子1の上部空間(上空)を流れる空気流の温度分布を示す図である。なお、空気流の温度分布については、順流時の上空温度を実践で、逆流時の上空温度を点線で示す。
【0019】
まず、順流(図3中では空気流が左から右側に流れる状態)の場合、空気流検出素子1の上空の空気流の温度は発熱体8に到達するまで低温を維持するが、発熱体8の上空を空気流が通過することで空気流量検出素子1の上空の空気流の温度は発熱体8の温度まで上昇する。そして、発熱体8の上空を過ぎると周囲への放熱により徐々に温度が低下する。
【0020】
次に、逆流(図3中では空気流が右から左側に流れる状態)の場合も同様に、空気流量検出素子1の上空の空気流の温度は発熱体8に到達するまで低温で、発熱体8の上空を空気流が通過することで空気流検出素子1の上空の空気流の温度は発熱体8の温度まで上昇し、発熱体8を過ぎると空気流の温度は周囲への放熱により徐々に低下する。この結果、上流側温度センサ7の上空の温度は順流の場合は低温で、逆流の場合は高温になる。また、下流側温度センサ9の上空の温度は順流の場合は高温で、逆流の場合は低温になる。つまり、空気流量検出素子1の上空の温度は順流と逆流とで温度分布が異なり、順流から逆流に変化する時あるいは逆流から順流に変化する時に、温度分布の遷移が生じる。また、この温度分布の遷移には移行時間を要し、この移行時間は空気流量および空気流量の変化速度などの影響を受ける。例えば、順流の場合に空気流量が多くなると、外部への放熱量が増えて、下流側温度センサ9の上空の温度上昇が遅くなる。
【0021】
次に、図4を用いて、この温度分布の遷移が空気流量検出素子1の出力信号へ与える影響について説明する。図4は、空気流量検出素子1の各部の波形を示す図である。
【0022】
空気流量が図4に示す様に順流の状態Aと逆流の状態Bとを行き来した場合、上流側温度センサ7の上空の温度は順流時には低温で逆流時には高温になるが、高温から低温への移行は高速であり、低温から高温への移行は低速になる。これは高温から低温に移行する場合には空気流に沿った低温の空気の移動で高温から低温に移行するが、低温から高温に移行する場合には発熱体8で加熱された空気の移動と周囲への放熱が釣り合うまでの時間が必要になるからである。
【0023】
同様に、下流側温度センサ9の上空の温度は順流時には高温で逆流時には低温になるが、高温から低温への移行は高速であり、低温から高温への移行は低速になる。
【0024】
また、上流側温度センサ7および下流側温度センサ9の空気流量に対する感度は、上流側温度センサ7および下流側温度センサ9の上空の空気流の温度に依存する。この為、上流側温度センサ7の出力は順流から逆流への移行時に感度が低下し、図4に破線で示すように、本来の出力よりも出力の絶対値が小さくなる。これは、上流側温度センサ7の上空温度が上昇するまでに時間を要し、この移行時間の間は上流側温度センサ7の感度が低下するためである。
【0025】
同様に、下流側温度センサ9の出力は逆流から順流への移行時に感度が低下し、図4に破線で示すように、本来の出力よりも出力の絶対値が小さくなる。これは、下流側温度センサ9の上空温度が上昇するまでに時間を要し、この移行時間の間は下流側温度センサ9の感度が低下するためである。
【0026】
また、図4に示す様に順流側の流量Qaが大きく逆流側の流量Qbが小さい場合、下流側温度センサ9の上空温度の遅れの方が大きくなる。これは、下流側温度センサ9の温度が低温から高温に移行する時の流量が順流側の流量になり、流量の絶対値が大きい為に外部への放熱量が大きくなり、下流側温度センサ9の上空温度が上昇するのが遅くなるためである。この結果、下流側温度センサ9の誤差が大きくなり、上流側温度センサ7の検出温度と下流側温度センサ9の検出温度との差分として得られる空気流量検出素子1の出力の平均値は小さくなる。つまり、順流の状態と逆流の状態とを行き来する脈動状態では、順流から逆流あるいは逆流から順流に切り換わる時に、空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移に遅れが生じることで、空気流量検出素子1の出力の平均値は小さくなる。
【0027】
この結果、図5に示す様な測定誤差が生じる。図5は、補正前の空気流量計100Aの測定誤差を示す図である。なお、横軸の脈動振幅率は脈動振幅と平均流量との比、縦軸の空気流量計の測定誤差は真の流量の平均値と空気流量計の測定値の平均値との差を示す。
【0028】
脈動振幅率が増加すると図中A点の脈動振幅率で逆流が発生するが、この時に空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによるマイナス誤差が発生する。脈動振幅率が更に増加すると、流量平均値に対して順流側および逆流側の流量最大値が大きくなることで、順流側の流量波形と逆流側の流量波形が対称に近づく。その結果、空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによるマイナス誤差は、順流から逆流に切り換わる時と逆流から順流に切り換わる時とで打消し合うようになるため、空気流量計の測定誤差は減少する。本実施例の空気流量計100Aは、この空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによるマイナス誤差の補正方法を提供する。
【0029】
次に、図6により本実施例の空気流量計の動作について説明する。図6は、空気流量計100Aの各部の波形を示す図である。図6では、空気流量が図4と同様に順流の状態と逆流の状態とを行き来した場合を想定し、この時の空気流量検出素子1の出力を示した。なお、空気流量検出素子1の出力のグラフで示した破線は、空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによる誤差がない場合の空気流量検出素子1の出力である。
【0030】
空気流量検出素子1の出力が図6に示す様に変化した場合、信号検出器2は空気流量検出素子1の出力が所定のしきい値(本実施例では0)を通過したことを検出し、図6に示す様な出力信号を出力する。本実施例では、しきい値が0ボルトに設定され、信号検出器2はしきい値でH(high)とL(low)とが切り替わる矩形波を出力する。なお本実施例では、信号検出器2は、順流から逆流に切り換わる時に出力信号がLからHに立ち上り、逆流から順流に切り換わる時に出力信号がHからLに立ち下るように、構成されている。
【0031】
パルス発生器3は信号検出2の立ち下りエッジをトリガにして図6に示す三角形の波形を1パルス出力する。このパルス信号は加算器4により空気流量検出素子1の出力信号に加算され、空気流量計の出力信号として出力される。つまり、本実施例の空気流量計100Aでは空気流量が逆流から順流に変化することを信号検出器2で捉え、パルス発生器3で発生させたパルス信号を逆流から順流に変化するタイミングで空気流量検出素子1の出力信号に加算することで、空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによるマイナス誤差を補正する。
【0032】
図7は、補正後の空気流量計100Aの測定誤差を示す図である。上述のマイナス誤差の補正により、図5に示した測定誤差(図7の補正前)を図7に示す測定誤差(図7の補正後)に修正することができる。
【0033】
なお、本実施例では加算器4を用いたが、加算器4の代わりに乗算器や除算器に変更し、パルス発生器3の出力信号をこれらの演算に応じた信号に変更することも可能である。また、パルス発生器3の出力信号を本実施例では三角形の波形にしたが、方形波でも一次遅れの様な波形でも良い。要するに、パルス発生器3の出力信号は、図6の空気流量検出素子1の出力信号の破線(実際の流量値)と実線(マイナス誤差を含む測定値)との差分を補正して、実線を破線に近づける波形であればよい。
【0034】
また、本実施例の空気流量計100Aでは空気流量検出素子1で生じる物理的な現象に即した補正であるため、如何なる空気流に対しても対応できる。つまり、実際のエンジンの脈動波形の様に高調波を含んだ歪んだ波形にも対応できる。
【0035】
[実施例2]
次に、本発明の第2実施例である空気流量計100Bを図8,9により説明する。図8は、本発明の第2実施例に係る空気流量計100Bの構成を示す図である。図9は、補正前後の空気流量計100Bの測定誤差を示す図である。
【0036】
本実施例の空気流量計100Bは基本的には第1実施例の空気流量計100Aと同じであるが、空気流量検出素子1の出力信号を所定の関数で変換する変換マップ10と、パルス発生器3の出力信号と変換マップ10の出力とを乗算する乗算器11を付加した。本実施例において、変換マップ10および乗算器11は、空気流量検出素子1の出力信号に基づいて、パルス発生器3の出力信号を補正する補正部を構成する。
【0037】
実施例1で説明した様に、空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れは、その時の空気流量の状態に依存する。空気流量の状態は概ね空気流量検出素子1の出力信号と考えられるので、空気流量検出素子1の出力信号を、変換マップ10を介して変換し、乗算器11によりパルス発生器3の出力信号の大きさを変化させる。こうすることで、より正確に空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによる誤差を補正することができる。この結果、図9に示す様に、より広い範囲の脈動振幅率で測定誤差を低減することが可能になる。
【0038】
[実施例3]
本発明の第3実施例である空気流量計100Cを図10により説明する。図10は、本発明の第3実施例に係る空気流量計100Cの構成を示す図である。
【0039】
本実施例の空気流量計100Cは、基本的には第2実施例の空気流量計100Bと同じであるが、空気流量検出素子1の出力信号を微分処理する微分器12と、微分器12の出力信号を所定の関数で変換する変換マップ(変換部)13と、乗算器11の出力信号と変換マップ13の出力を乗算する乗算器14と、空気流量検出素子1の出力信号から代表値を抽出する代表値検出部15、代表値検出部15の出力信号を所定の関数で変換する変換マップ(変換部)16と、乗算器14の出力信号と変換マップ16の出力を乗算する乗算器17とを、第2実施例の空気流量計100Bに付加した。なお、代表値検出部15は空気流量検出素子1の出力信号から平均値、周波数、最大値、最小値などを抽出する。
【0040】
本実施例では、代表値、すなわち空気流量検出素子の出力信号の平均値、周波数、最大値、または最小値のいずれかを用いて、パルス発生器3で発生するパルス信号を補正する。パルス信号を補正する代表値として、平均値、周波数、最大値、または最小値の中から複数の代表値を用いるようにしてもよい。すなわち本実施例では、平均値、周波数、最大値、または最小値の少なくともいずれか一つを用いて、パルス発生器3で発生するパルス信号を補正する。
【0041】
空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによる誤差はその時の空気流量の状態に依存するので、本実施例では空気流量検出素子1の出力信号の微分値および空気流量検出素子1の出力信号の代表値を用いて補正量を調整できるようにした。こうすることで、より正確に空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによる誤差を補正することができる。微分器12の出力信号および代表値検出部15の出力信号で、パルス発生器3で発生するパルス信号のパルス幅を調整することで、より正確に流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによる誤差を補正することができる。
なお、微分器12の出力信号または代表値検出部15の出力信号のいずれか一方で、パルス発生器3で発生するパルス信号のパルス幅を調整することも可能であり、こうすることで、第2実施例の空気流量計100Bよりも正確に、流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによる誤差を補正することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施例では、空気流量検出素子1の出力信号の代表値または空気流量検出素子1の出力信号の微分値の少なくともいずれか一方に基づいて、パルス発生器3の出力信号を補正する。微分器12、変換マップ13および乗算器14と、代表値検出部15、変換マップ16および乗算器17とは、それぞれパルス発生器3の出力信号を補正する補正部を構成する。
【0043】
また、本実施例で追加した、第2実施例と異なる構成は、第1実施例の空気流量計100Aに適用することができる。この場合、変換マップ10および乗算器11による補正部と、微分器12、変換マップ13および乗算器14による補正部と、代表値検出部15、変換マップ16および乗算器17による補正部とのうち、少なくともいずれか一つの補正部を有するように構成してもよい。
【0044】
[実施例4]
本発明の第4実施例である空気流量計100Dを図11により説明する。図11は、本発明の第4実施例に係る空気流量計100Dの構成を示す図である。
【0045】
本実施例の空気流量計100Dは基本的には第3実施例の空気流量計100Cと同じであるが、空気流量検出素子1の出力信号を流量換算値にリニアライズする変換マップ(リニアライズ部)18を付加した。こうすることで、空気流量検出素子1の出力信号から空気流量に換算した代表値を容易に求めることを可能にした。また、空気流量検出素子1の出力信号から空気流量に換算した微分値も容易に求めることができる。これは、一般的に熱式の空気流量検出素子1の出力が空気流量の2〜4乗根の関数となり非線形であるため、空気流量検出素子1の出力信号を空気流量に換算するようにした。
【0046】
また、本実施例で追加した、第3実施例と異なる構成は、第1,2実施例の空気流量計100A,100Bに適用することができる。
【0047】
[実施例5]
本発明の第5実施例である空気流量計100Eを図12,13により説明する。図12は、本発明の第5実施例に係る空気流量計100Eの構成を示す図である。図13は、空気流量計100Eの各部の波形を示す図である。
【0048】
本実施例の空気流量計100Eは、基本的には第2実施例の空気流量計100Bと同じであるが、信号検出器2の出力信号の立ち上がりエッジをトリガにして三角形の波形を1パルス出力するパルス発生器19を追加し、パルス発生器19の出力を空気流量検出素子1の出力信号に応じて大きさを変えるために、空気流量検出素子1の出力信号を所定の関数で変換する変換マップ20と、パルス発生器19の出力信号と変換マップ20の出力とを乗算する乗算器21と、乗算器11の出力と乗算器21の出力との加算を行う加算器22を付加した。こうすることで、空気流量が逆流から順流に変化する時に生じる空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによる誤差だけではなく、空気流量が順流から逆流に変化する時に生じる空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによる誤差も補正できるようにした。このことにより、より高精度に空気流量検出素子1の上空を流れる空気流の温度分布の遷移遅れによる誤差を補正できる。
【0049】
また、本実施例で追加した、第2実施例と異なる構成は、第1,3〜4実施例の空気流量計100Aに適用することができる。なお、逆流から順流に変化する時に生じる遷移遅れによる誤差を補正する方が補正の効果が大きいものの、順流から逆流に変化する時に生じる遷移遅れによる誤差だけを補正するようにしても補正の効果は得られる。
【0050】
すなわち、パルス発生器としては、信号検出器2の出力信号の立ち上がりをトリガにしてパルス信号を発生する立ち上がり検出パルス発生器19、あるいは信号検出器2の出力信号の立下りをトリガにしてパルス信号を発生する立ち下がり検出パルス発生器3の少なくともいずれか一方を有するようにするとよい。
(【0051】以降は省略されています)

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