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公開番号2020145891
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200910
出願番号2019042500
出願日20190308
発明の名称電鉄用アクティブフィルタおよびその制御方法並びにそれを具備する電力変換装置および鉄道車両
出願人株式会社日立製作所
代理人特許業務法人第一国際特許事務所
主分類H02M 7/48 20070101AFI20200814BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】車両制御用通信信号へ擾乱を与える虞を回避しつつ、き電線に流出するノイズ電流の量を低減する電鉄用アクティブフィルタ備えた電力変換装置を提供する。
【解決手段】電鉄用アクティブフィルタとして、平滑コンデンサを備え車両加減速用モータを駆動するインバータの入力側に接続される変圧器と、半導体スイッチング素子の直列回路で構成されるアーム回路と、アーム回路と変圧器との間に直列に接続される高調波フィルタ回路と、記高調波フィルタ回路と変圧器との間を通電する第1の電流を検出する第1の電流センサとを備え、第1の電流の検出信号に基づいてアーム回路のスイッチング信号を制御する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
平滑コンデンサを備え車両加減速用モータを駆動するインバータの入力側に接続される変圧器と、
半導体スイッチング素子の直列回路で構成されるアーム回路と、
前記アーム回路と前記変圧器との間に直列に接続される高調波フィルタ回路と、
前記高調波フィルタ回路と前記変圧器との間を通電する第1の電流を検出する第1の電流センサと
を備え、
前記第1の電流の検出信号に基づいて前記アーム回路のスイッチング信号を制御する
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタ。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
請求項1に記載の電鉄用アクティブフィルタであって、
前記変圧器は、直流き電の電源から前記インバータの入力側に至る直流線路に接続される
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電鉄用アクティブフィルタであって、
前記変圧器、前記高調波フィルタ回路および前記平滑コンデンサにより構成される共振回路の共振周波数が、前記インバータを搭載する車両に対する車両制御用通信信号の周波数に比べて低い
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電鉄用アクティブフィルタであって、
前記直流線路と前記インバータとの間を通電する第2の電流を検出する第2の電流センサを備え、
前記第2の電流の検出値に基づいて前記アーム回路の出力電流に対する指令値を算出する
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電鉄用アクティブフィルタであって、
前記アーム回路は、前記直列回路として前記半導体スイッチング素子を直列接続したアーム1組または2組から構成され、当該1組または2組の前記アームをスイッチングによりPWM制御するための搬送波信号の供給を受ける
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載の電鉄用アクティブフィルタであって、
前記アーム回路が前記2組のアームから構成される場合に、当該2組のアームそれぞれに対する前記搬送波信号は互いに位相が異なる
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電鉄用アクティブフィルタおよび前記インバータを具備する電力変換装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電力変換装置を搭載する鉄道車両。
【請求項9】
平滑コンデンサを備え車両加減速用モータを駆動するインバータの入力側に接続される変圧器と、
半導体スイッチング素子の直列回路で構成されるアーム回路と、
前記アーム回路と前記変圧器との間に直列に接続される高調波フィルタ回路と
から構成される電鉄用アクティブフィルタの制御方法であって、
前記高調波フィルタ回路と前記変圧器との間を通電する第1の電流を検出し、
前記第1の電流の検出値に基づいて前記アーム回路のスイッチング信号を制御する
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタの制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電鉄用アクティブフィルタの制御方法であって、
前記変圧器は、前記直流き電の電源から前記インバータの入力側に至る直流線路に接続される
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタの制御方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の電鉄用アクティブフィルタの制御方法であって、
前記変圧器、前記高調波フィルタ回路および前記平滑コンデンサにより構成される共振回路の共振周波数を、前記インバータを搭載する車両に対する車両制御用通信信号の周波数より低い値に設計する
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタの制御方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載の電鉄用アクティブフィルタの制御方法であって、
前記直流き電の電源から前記インバータの入力側に至る前記直流線路を通電する第2の電流を検出し、
前記第2の電流の検出値を基づいて前記アーム回路の出力電流に対する指令値を算出する
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタの制御方法。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか1項に記載の電鉄用アクティブフィルタの制御方法であって、
前記アーム回路が前記直列回路として前記半導体スイッチング素子を直列接続したアーム2組から構成される場合に、該アーム2組それぞれに対する前記スイッチング信号を、互いに位相が異なる搬送波信号に基づいて生成する
ことを特徴とする電鉄用アクティブフィルタの制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電気鉄道車両用の電力変換装置が備える電鉄用アクティブフィルタおよびその制御方法に関する。
続きを表示(約 8,700 文字)【背景技術】
【0002】
電気鉄道車両は、き電線およびレールを介して変電所より電力を受電し、受電した電力をインバータにより周波数変換して車両加減速用のモータを駆動する。また、運行管理システムからの車両制御用通信信号は、上記インバータの電力受電経路であるレールを介して送信される。
【0003】
そのため、上記インバータから流出するノイズ電流が過大となる場合、上記車両制御用通信信号の送受信を妨げる原因となる。そのため、直流き電区間を走行する車両が搭載するモータ駆動用インバータシステムは、ノイズ電流を吸収する直流コンデンサおよびレールに流れるノイズ電流を抑制する直流リアクトルを備える。これらの電気機器は、車両の床下に実装されることが多いが、一方で、車両空間を拡大して乗客の快適性を向上させるという要求もあることから、小型化へのニーズが大きい。
【0004】
その中でも、直流リアクトルは大型かつ重量の大きい構成部品である。この直流リアクトルによるノイズ低減効果を、インバータ技術を用いたアクティブフィルタで補助する構成が、特許文献1に開示されている。
【0005】
上記アクティブフィルタは、変圧器を介してき電回路に接続され、モータ駆動用インバータの直流平滑コンデンサの端子電圧脈動成分を検出し、この検出信号を増幅器で増幅した後に変圧器二次端子に出力する構成を備える。
【0006】
しかし、特許文献1には、上記増幅器の主回路構成が開示されておらず、更に、信号増幅器は一般に出力容量が小さいことから、容量不足により数百kW定格のインバータから流出するノイズを抑制することが困難である。
【0007】
また、大容量のアクティブフィルタとしては、特許文献2に開示されるように、インバータを内蔵した構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開昭61−026401号公報
特開平11−69627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アクティブフィルタをインバータで構成する場合には、このインバータのスイッチングにより生じる高周波ノイズ電流がき電線に流出し、誘導障害の原因となる。高周波ノイズ電流は、高調波フィルタ回路をアクティブフィルタ内に設置することで抑制できるが、この高調波フィルタ、き電線連系用変圧器およびモータ駆動用インバータの直流平滑コンデンサにより共振回路が構成され、この共振が車両制御用通信信号に擾乱を与える虞を招くこととなる。
【0010】
本発明は、車両制御用通信信号へ擾乱を与える虞を回避しつつ、き電線に流出するノイズ電流の量を低減する電鉄用アクティブフィルタを備えた電力変換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電鉄用アクティブフィルタは、平滑コンデンサを備える車両加減速用モータを駆動するインバータの入力側に接続される変圧器と、半導体スイッチング素子の直列回路で構成されるアーム回路と、アーム回路と変圧器との間に直列に接続される高調波フィルタ回路と、記高調波フィルタ回路と変圧器との間を通電する第1の電流を検出する第1の電流センサとを備え、第1の電流の検出信号に基づいてアーム回路のスイッチング信号を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両制御用通信信号が、電鉄用アクティブフィルタを備えた電力変換装置から共振現象により通信障害を受けることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明に係る電鉄用アクティブフィルタを含む電力変換装置のシステム構成の一例を示す図である。
実施例1に係るアクティブフィルタの制御装置内のブロック構成を示す図である。
図1に示すシステム構成の等価回路を示す図である。
図3に示す回路を変動成分に着目して変形した等価回路を示す図である。
図4に示すアクティブフィルタの出力電流がき電線電流のK倍である場合の等価回路を示す図である。
アーム回路の出力電圧からアクティブフィルタの出力電流までの伝達関数の周波数特性の一例を示す図である。
き電システムのインダクタンスのみを変化させた場合における伝達関数の周波数特性の変化を示す図である。
図1に示すアクティブフィルタの変形例を含む電力変換装置のシステム構成の一例を示す図である。
実施例2に係るアクティブフィルタの制御装置内のブロック構成を示す図である。
デッドタイム期間中のアーム回路の出力電圧を説明する図である。
共通の搬送波でゲート信号を作成した場合のグラフを示す図である。
2相のアームで位相差を持たせた搬送波を用いる場合のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、まず、本発明を適用する電力変換装置のシステム構成を示し、次いで、本発明を実施するための形態として、実施例1および2について、それぞれ図面に沿って説明する。各実施例において参照番号が同一のものは、同一の構成要件または類似の機能を備えた構成要件として示している。
なお、以下に説明する構成は、あくまでも実施例として提示したものであり、本発明に係る実施態様は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明に係る電鉄用アクティブフィルタを含む電力変換装置のシステム構成の一例を示す図である。なお、以下では、「電鉄用アクティブフィルタ」を「アクティブフィルタ」と略して使用する。
図1には、直流き電区間を走行する鉄道車両500に搭載される電力変換装置のシステムを示す。き電システム200は、直流電源Vsysとき電回路(インダクタンス成分Ls)の直列回路として等価回路で示す。また、き電システム200に、パンタグラフ501および車輪502を介して鉄道車両500が電気的に接続される。
【0016】
鉄道車両500が搭載する車両電気回路80は、主に車両加減速用モータ60を駆動するモータ駆動用インバータ50、平滑コンデンサ70およびアクティブフィルタ1により構成され、アクティブフィルタ1は、モータ駆動用インバータ50に対して直列に接続される。
【0017】
アクティブフィルタ1は、変圧器7、高調波フィルタ回路30およびアーム回路10を主回路構成とし、アーム回路10の直流部に直流電源3を接続する。
また、アクティブフィルタ1は、変圧器7を介してき電回路に接続される。高調波フィルタ回路30は、リアクトル5およびフィルタコンデンサ6により構成されるLCフィルタである。
【0018】
更に、アクティブフィルタ1は、検出系として、き電線電流Isを検出する電流センサ20およびアクティブフィルタ1の出力電流Ioutを検出する電流センサ21を備える。電流センサ20および21からの検出値は、アクティブフィルタ1の制御装置100に入力される。
【0019】
制御装置100は、電流センサ20の検出値を元にアクティブフィルタ1の出力電流指令値を算出し、この出力電流指令値と電流センサ21からの検出値との偏差を低減するように、アーム回路10内のU相アーム10uおよびV相アーム10v内の各半導体スイッチング素子のゲート信号を算出する。
【0020】
また、アーム回路10内のU相アーム10uおよびV相アーム10vそれぞれは、逆並列接続されるダイオードを備えるIGBTの直列回路により構成され、単相インバータを構成する。ただし、各相アームが備える半導体スイッチング素子をIGBTとして図示するが、これに限定されるものではなくMOSなど他の自己消弧型スイッチング素子を用いることができる。
【実施例】
【0021】
次に、本発明の実施例として、アクティブフィルタ1を制御する制御装置100について説明する。
図2は、実施例1に係るアクティブフィルタ1の制御装置100内のブロック構成(演算器等を含む具体的構成)を示す図である。
【0022】
電流センサ20で検出されたき電線電流Isは、帯域通過フィルタ1001に入力される。帯域通過フィルタ1001は、き電線電流Isの検出値から鉄道車両500の走行区間における通信周波数帯域を含んだ周波数帯域成分を抽出し、乗算器1002に出力する。乗算器1002は、正の定数を帯域通過フィルタ1001の出力に乗算し、その積をアクティブフィルタ1の出力電流指令値として減算器1003に出力する。
【0023】
電流センサ21で検出されたアーム回路10の出力電流Ioutの検出値は減算器1003に入力され、出力電流指令値との偏差が低減すべく電流制御器1004に入力され、電流制御器1004はその偏差を低減すべく機能する。実施例1では、電流制御器1004を乗算器として示しているが、比例・積分器や微分・比例・積分器など、他の補償演算器であってもよい。
【0024】
電流制御器1004の出力は、アクティブフィルタ1の出力電圧指令値であり、U相用PWM演算器1005UおよびV相用PWM演算器1005Vに入力される。アクティブフィルタ1は、2相のアームにより構成される単相インバータであるため、V相用PWM演算器1005Vには、乗算器1007により符号反転された出力電圧指令値が入力される。
【0025】
PWM演算器1005Uおよび1005Vでは、入力された出力電圧指令値と搬送波算出器1006とが大小比較され、U相アーム10uおよびV相アーム10vに出力するゲート信号(Gate UPとUNおよびGate VPとVN)が算出され出力される。
【0026】
以上のように、本発明に係るアクティブフィルタ1は、ノイズ源であるモータ駆動用インバータ50に対して直列に接続されながら、電流制御系で動作する。
【0027】
次に、本発明により、モータ駆動用インバータ50が、き電システム200に流出するノイズ電流を低減できるメカニズムについて、図3および4を用いて説明する。
【0028】
図3は、図1に示すシステム構成の等価回路を示す図である。説明の煩雑さを回避するため、ここでは変圧器7の巻数比を1:1として説明する。
モータ駆動用インバータ50を、ノイズ電流を出力する電流源Iinvとして表現する。
【0029】
変圧器7を、漏れインダクタンスL1、L2および相互インダクタンスLmを備えるT型等価回路として表現する。すなわち、L1は、き電回路側巻線(一次巻線)の漏れインダクタンス、L2は、二次側巻線の漏れインダクタンス、Lmは、変圧器7の相互インダクタンスである。
Lsは、き電システム200のインダクタンス、Cfcは、平滑コンデンサ70の容量、Lfは、リアクトル5のインダクタンス、Cfは、フィルタコンデンサ容量である。
また、アーム回路10の出力電圧Vuvを、制御可能な電圧源として表現する。
【0030】
図3に示す回路を、変動成分に着目して整理変形し、その結果を図4に等価回路として示す。
ΔVuvおよびΔIinvはそれぞれ、アーム回路10の出力電圧Vuvの変動成分、モータ駆動用インバータ50から出力されるノイズ成分である。き電システム200の電圧源Vsysは一定とし、図4には図示せず削除した。
【0031】
図4に示すアクティブフィルタ1の出力電流Ioutが、き電線電流IsのK倍である場合の等価回路を図5に示す。変圧器7の相互インダクタンスLmで発生する電圧降下は、き電線電流IsだけがLmを流れる場合に比べて(1+K)倍になる。これは、き電システム200側からアクティブフィルタ1を見込んだ場合、相互インダクタンスLmが(1+K)倍になったことと等価である。そのため、インピーダンスが増加し、ノイズ電流がき電線に流出することを抑制することと同じ効果が得られ、き電システム200に流出するノイズ電流を抑制することができる。これが、本発明に係るアクティブフィルタ1によるノイズ低減の原理である。
【0032】
以上のように、アクティブフィルタ1が、き電線電流Isのノイズ抑制対象となる周波数帯成分に対し、K倍の電流を出力することができれば、上述した原理によりき電システム200に流出するノイズ電流を抑制することができる。
【0033】
しかし、実際には、アクティブフィルタ1内の高調波フィルタ回路10および変圧器7と平滑コンデンサ70とにより共振回路が構成されるため、この共振回路における共振により、電流制御が不安定化する虞や共振周波数成分を持つノイズ電流が増幅する虞が生じる。
【0034】
図6は、アーム回路10の出力電圧Vuvからアクティブフィルタ1の出力電流Ioutまでの伝達関数の周波数特性の一例を示す図である。
鉄道車両500は変電所直近に位置することを想定し、回路定数の数値としては表1に示す値とした。ここで、Rf、R2およびR1は、それぞれリアクトル5の抵抗値、変圧器7の2次巻線および1次巻線の各抵抗値を示す。表1に示す数値は説明用のための値であり、本発明はこの数値に限定されるものではない。
【0035】
図6から分かるように、上記伝達関数は、二つの共振周波数(共振周波数1および共振周波数2)を有する特性を示す。共振周波数1は、リアクトル5のインダクタンスLf、変圧器7の漏れインダクタンスL1とL2および平滑コンデンサ70の容量Cfcにより決まる共振周波数である。また、共振周波数2は、リアクトル5のインダクタンスLf、フィルタコンデンサ6の容量Cf、変圧器7の漏れインダクタンスL1とL2およびき電システム200のインダクタンスLsにより決まる共振周波数である。
【0036】
すなわち、共振周波数1をfr1[Hz]、共振周波数2をfr2[Hz]とすると、以下の式が成り立つ。
2πfr1≒[1/{(L1+L2+Lf+Ls)×Cfc}]
0.5
(1)
2πfr2≒[(L1+L2+Ls+Lf)/{(L1+L2+Ls)×Lf×Cf}]
0.5
(2)
【0037】
(1)式より、本発明に係るアクティブフィルタ1の回路定数は、き電システム200のインダクタンスLs=0の場合(例えば、鉄道車両が変電所直下に位置する時)に、共振周波数1(fr1)が車両制御用通信信号の周波数帯の下限値より低くなるよう、上記のL1、L2、LfおよびCfcを設計する。このように設計することにより、回路共振による車両制御用通信信号への擾乱に対する課題を回避することができる。
【0038】
また、共振周波数1(fr1)を車両制御用通信信号の周波数帯より高く設定することで、同様に共振による車両制御用通信信号への擾乱を回避する方法も考えられるが、鉄道車両の位置が変電所から離れるに従い、二つの共振周波数(共振周波数1および共振周波数2)が共に変化する。
【0039】
図7は、図6で用いた定数でき電システム200のインダクタンスLsのみを変化させた場合における、VuvからIoutまでの伝達関数の周波数特性の変化を示す図である。実線はLs=0mH、破線はLs=2mH、点線はLs=5mH、の場合の特性である。
【0040】
図7から分かるように、Lsが大きくなるにつれ、共振周波数1(fr1)および共振周波数2(fr2)共に低い値に変化する。伝達ゲインは、共振周波数1(fr1)の場合が最大となるため、車両制御用通信信号への擾乱を回避するには、鉄道車両の位置が変化しても、共振周波数1(fr1)が車両制御用通信信号の周波数帯と重複しないことが望ましい。したがって、Ls=0の条件で、(1)式で示される共振周波数1(fr1)が車両制御用通信信号の周波数帯の下限値よりも低ければよい。
【0041】
以上のとおり、実施例1に係るアクティブフィルタ1は、アクティブフィルタ自体が車両制御用通信信号へ擾乱を与えることを回避しつつ、き電線に流出するノイズ電流の量を低減できる効果を奏するものである。
なお、図1では、本発明に係るアクティブフィルタ1を2つのアームを備える単相インバータとして説明したが、本発明に係るアクティブフィルタは、単相インバータの構成に限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、直流電源の中点(直流電源3aと3bとの接続点)に出力配線が接続される構成としてもよい。この構成によっても、上述した同様の効果を奏するものである。
【実施例】
【0042】
図9は、実施例2に係るアクティブフィルタ1の制御装置100´内のブロック構成(演算器等を含む具体的構成)を示す図である。実施例2に係るアクティブフィルタ1と左記の実施例1に係るアクティブフィルタ1の差異は、制御装置100の構成のみである。
【0043】
実施例2で採用する制御装置100´の演算器構成と実施例1で採用する制御装置100との差異は、実施例2の制御装置100´が遅延回路1008を備えることにより、U相用PWM演算器1005Uへの搬送波とV相用PWM演算器1005Vへの搬送波との位相を異ならせる点にある。
【0044】
以上の構成により、アーム回路10から出力する電圧振幅が小さく、かつ、アーム電流Icの振幅がゼロ近傍である場合の出力電流歪みを低減でき、結果として、き電線に流出するノイズ電流の増加を回避できることになる。
【0045】
次に、出力電流の歪みの発生原因と実施例2の構成により出力電流の歪みを改善できるメカニズムについて説明する。
U相アーム10uおよびV相アーム10vはそれぞれ、IGBTと該IGBTに逆並列接続されるダイオードとが2つ直列に接続される構成である。IGBTは、スイッチング状態を切替える際に有限の時間を有する。そこで、直流回路を介した回路短絡を回避するため、デッドタイム制御が一般に用いられ、両方のIGBTにオフ指令を入力し、オン状態であったIGBTがオフに確実に遷移した後に、他方のIGBTへオン指令を送る制御を行っている。
【0046】
図10は、デッドタイム期間中のアーム回路10の出力電圧を説明する図である。アーム上下の両IGBTにオフ指令が入力されているため、アーム回路10に流出する電流の極性により通電するダイオードが変わり、その結果、アーム回路10の出力電圧も変わる。
例えば、アーム回路10から流出する電流が正の場合、N側ダイオードが通電し、アーム回路10の出力電圧は負となる(図10の左図)。逆に、流出する電流が負の場合、P側ダイオードが通電し、アーム回路10の出力電圧は正となる(図10の右図)。また、流出する電流がゼロの場合は、双方のダイオードが通電せず、アーム回路10としてはハイインピーダンス状態となる(図10の中央図)。
【0047】
本発明に係るアクティブフィルタ1は、出力電圧がノイズ電流に依存するため、ノイズ電流が小さい場合には、アーム回路10の出力電圧指令も小さな値となる。
【0048】
次に、U相アーム10uおよびV相アーム10vのゲート信号が、実施例1のように共通の搬送波により算出される場合および実施例2のように位相差を持たせた搬送波により算出される場合のアーム回路の出力状態について説明する。図11に、共通の搬送波を用いる場合を示し、図12に、位相差を持たせた搬送波を用いる場合を示す。
【0049】
図11は、共通の搬送波でゲート信号を作成した場合のグラフを示す図である。
グラフの上段より順に、搬送波、変調波(U相変調波:Uref、V相変調波:Vref)、U相アーム出力電圧Vu、V相アーム出力電圧Vv、および出力電流iである。
【0050】
出力電圧の振幅が小さい場合、UrefとVrefはゼロ近傍の値となる。そのため、大半の時間において、U相アーム回路出力電圧VuとV相アーム回路出力電圧Vvとは等しくなる。
(【0051】以降は省略されています)

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