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公開番号2020145885
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200910
出願番号2019042266
出願日20190308
発明の名称回転電動機の制御装置
出願人株式会社豊田中央研究所,トヨタ自動車株式会社
代理人特許業務法人YKI国際特許事務所
主分類H02P 21/05 20060101AFI20200814BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】界磁巻線に現れる三相巻線の空間高調波を抑制する。
【解決手段】界磁電流測定値ifに現れる三相巻線の高調波成分を抽出してf軸電流値isfを取得し、f軸電流値isfの位相を90度遅らせたc軸電流値iscを取得し、f軸電流値とc軸電流値を、回転するfh-ch軸直交座標におけるfh軸電流値isfhとch軸電流値ischに変換し、fh軸電流値とch軸電流値を0に近づけるようにfh軸電圧値vsfhとch軸電圧値vschを設定し、fh軸電圧値vsfhとch軸電圧値vschを、f-c軸直交座標におけるf軸電圧値vsfに変換する。界磁電流測定値ifと界磁電流指令値の偏差に基づいて設定された暫定界磁電圧指令値vrftに、f軸電圧値vsf(付加指令値)を加算して界磁電圧指令値vrfとする。界磁電圧指令値vrfに基づいて、界磁巻線に接続されたコンバータを制御する。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
界磁巻線と三相巻線を備える回転電動機に適用され、前記界磁巻線に界磁電流を流すコンバータのスイッチングを制御する制御部を備える回転電動機の制御装置であって、
前記制御部は、界磁電流測定値と界磁電流指令値の偏差に基づき暫定界磁電圧指令値を設定する暫定指令値設定部と、前記暫定界磁電圧指令値に付加する付加指令値を生成する付加指令値生成部とを備え、
前記付加指令値生成部は、
前記界磁電流測定値に現れる、前記三相巻線を流れる三相電流の基本波周波数に対する予め定められた次数の高調波成分を、前記界磁電流測定値から抽出してf軸電流値を出力するバンドパスフィルタと、
前記f軸電流値の位相を90度遅らせた、または、進ませたc軸電流値を出力するオールパスフィルタと、
f−c軸直交座標における前記f軸電流値と前記c軸電流値を、前記回転電動機の回転角の前記予め定められた次数倍の回転角で回転するfh−ch軸直交座標におけるfh軸電流値とch軸電流値に変換する第1座標変換部と、
前記fh軸電流値を0に近づけるようにfh軸電圧値を設定すると共に、前記ch軸電流値を0に近づけるようにch軸電圧値を設定する電圧値設定部と、
前記fh−ch軸直交座標における前記fh軸電圧値と前記ch軸電圧値を、前記f−c軸直交座標におけるf軸電圧値に変換する第2座標変換部と、を含み、
前記f軸電圧値を前記付加指令値として出力し、
前記制御部は、
前記暫定界磁電圧指令値に前記付加指令値を加算して界磁電圧指令値を出力する加算部をさらに備え、
前記界磁電圧指令値に基づいて、前記コンバータのスイッチングを制御する、
ことを特徴とする回転電動機の制御装置。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
請求項1に記載の回転電動機の制御装置であって、
前記予め定められた次数は、6のn倍(但しnは1以上の整数)の数である、
ことを特徴とする回転電動機の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電動機の制御装置であって、
前記バンドパスフィルタの中心周波数は、前記三相巻線を流れる三相電流の基本波周波数の6×n倍(但しnは1以上の整数)の周波数に設定される、
ことを特徴とする回転電動機の制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の回転電動機の制御装置であって、
前記オールパスフィルタを前記f軸電流値の位相を90度遅らせるフィルタとして機能させる場合において、前記オールパスフィルタの通過帯域の特性を示すクオリティファクタQを√2(ルート2)に設定した際の前記オールパスフィルタの基底周波数Fac1は、前記バンドパスフィルタの中心周波数をFbcとし、前記予め定められた次数をDとする時、下記(1)式を満たす、ことを特徴とする回転電動機の制御装置。
Fac1=Fbc×2×(D/6)・・・(1)
【請求項5】
請求項3に記載の回転電動機の制御装置であって、
前記オールパスフィルタを前記f軸電流値の位相を90度進ませるフィルタとして機能させる場合において、前記オールパスフィルタの通過帯域の特性を示すクオリティファクタQを√2(ルート2)に設定した際の前記オールパスフィルタの基底周波数Fac2は、前記三相巻線を流れる三相電流の基本波周波数をFとし、前記予め定められた次数をDとする時、下記(2)式を満たす、ことを特徴とする回転電動機の制御装置。
Fac2=F×π×(D/6)・・・(2)
【請求項6】
請求項1に記載の回転電動機の制御装置であって、
前記制御部は、前記予め定められた次数の設定値が異なる複数の前記付加指令値生成部を備え、
前記制御部の前記加算部は、複数の前記付加指令値生成部のそれぞれから出力される前記付加指令値を前記暫定界磁電圧指令値に加算して前記界磁電圧指令値を出力する、
ことを特徴とする回転電動機の制御装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、界磁巻線と電機子巻線(三相巻線)を備えた回転電動機の制御装置に関する。
続きを表示(約 12,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来、界磁巻線と電機子巻線を備え、界磁巻線に界磁電流を流すことで生じる界磁磁束によりトルクを変化させることができる回転電動機が知られている。このような回転電動機では、界磁巻線を流れる界磁電流と、電機子巻線を流れる電機子電流とが互いに干渉することがある。特許文献1には、d軸電流(電機子電流のd軸成分)の変化により界磁巻線に外乱電圧が発生し、界磁電流が変動する問題と、界磁電流の変化により電機子巻線に外乱電圧が発生し、d軸電流が変動する問題が示されている。
【0003】
上記問題を解決するために、特許文献1に記載の制御装置は、電機子電流のd軸成分の指令値と実際値との偏差に基づいて、電機子巻線に印加する電機子電圧のd軸成分の指令値である第1指令電圧を設定し、界磁電流の指令値と実際値との偏差に基づいて、界磁巻線に印加する界磁電圧の指令値である第2指令電圧を設定し、界磁電流の指令値と実際値との偏差に基づいて第1指令電圧を補正し、電機子電流の指令値と実際値との偏差に基づいて第2指令電圧を補正することにより、電機子電流のd軸成分と界磁電流とを非干渉化する、構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017−28836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転電動機の三相巻線(電機子巻線)を流れる三相巻線電流(電機子電流)の基本波周波数の逓倍の高調波成分(空間高調波とも言う)が、界磁巻線に現れることがある。界磁巻線に空間高調波が現れると、回転電動機にトルクリップルが発生してしまう。特許文献1に記載の制御装置は、界磁巻線に対する三相巻線電流の基本波成分の干渉を抑制する構成であり、界磁巻線に現れる三相巻線電流の高調波成分を抑制することができない。
【0006】
本発明の目的は、界磁巻線に現れる三相巻線の空間高調波を抑制して、回転電動機のトルクリップルを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の回転電動機の制御装置は、界磁巻線と三相巻線を備える回転電動機に適用され、前記界磁巻線に界磁電流を流すコンバータのスイッチングを制御する制御部を備える回転電動機の制御装置であって、前記制御部は、界磁電流測定値と界磁電流指令値の偏差に基づき暫定界磁電圧指令値を設定する暫定指令値設定部と、前記暫定界磁電圧指令値に付加する付加指令値を生成する付加指令値生成部とを備え、前記付加指令値生成部は、前記界磁電流測定値に現れる、前記三相巻線を流れる三相電流の基本波周波数に対する予め定められた次数の高調波成分を、前記界磁電流測定値から抽出してf軸電流値を出力するバンドパスフィルタと、前記f軸電流値の位相を90度遅らせた、または、進ませたc軸電流値を出力するオールパスフィルタと、f−c軸直交座標における前記f軸電流値と前記c軸電流値を、前記回転電動機の回転角の前記予め定められた次数倍の回転角で回転するfh−ch軸直交座標におけるfh軸電流値とch軸電流値に変換する第1座標変換部と、前記fh軸電流値を0に近づけるようにfh軸電圧値を設定すると共に、前記ch軸電流値を0に近づけるようにch軸電圧値を設定する電圧値設定部と、前記fh−ch軸直交座標における前記fh軸電圧値と前記ch軸電圧値を、前記f−c軸直交座標におけるf軸電圧値に変換する第2座標変換部と、を含み、前記f軸電圧値を前記付加指令値として出力し、前記制御部は、前記暫定界磁電圧指令値に前記付加指令値を加算して界磁電圧指令値を出力する加算部をさらに備え、前記界磁電圧指令値に基づいて、前記コンバータのスイッチングを制御する、ことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、界磁電流測定値に現れる三相巻線の予め定められた次数の高調波成分を抽出したf軸電流値と、f軸電流値の90度位相遅れ、または進みのc軸電流値とを生成し、f軸電流値およびc軸電流値を、回転電動機の回転角の上記予め定められた次数倍の回転角で回転するfh−ch軸直交座標におけるfh軸電流値とch軸電流値に変換する。これにより、界磁電流測定値から抽出された高調波成分は、直流成分としてのfh軸電流値とch軸電流値に変換され、直流成分を対象とした制御処理が可能となる。具体的には、この後、fh軸電流値を0に近づけるようにfh軸電圧値を設定すると共に、ch軸電流値を0に近づけるようにch軸電圧値を設定する。fh軸電圧値とch軸電圧値は、界磁電流測定値に現れる上記予め定められた次数の高調波成分を打ち消すための成分を表している。そして、fh−ch軸直交座標におけるfh軸電圧値とch軸電圧値を、f−c軸直交座標におけるf軸電圧値(交流成分)に変換する。なお、この際、f軸電圧値に加えてc軸電圧値にも変換することができるが、c軸電圧値は、界磁電流測定値に現れる高調波成分に対して90度位相遅れ、または進みの成分であり、以降の制御で使用しないので変換は不要である。なお、f軸電圧値は、界磁電流測定値に現れる高調波成分の位相と同じ位相の成分である。そして、f軸電圧値を、界磁電圧指令値の付加指令値として出力する。付加指令値(f軸電圧値)は、界磁巻線上の上記予め定められた次数の高調波成分を打ち消すための制御成分である。そして、界磁電流測定値と界磁電流指令値の偏差に基づいて暫定界磁電圧指令値を設定した上で、暫定界磁電圧指令値に上記付加指令値を加算して界磁電圧指令値とする。この界磁電圧指令値には、界磁巻線に現れる三相巻線の上記予め定められた次数の高調波成分を打ち消すための制御成分が含まれているため、この界磁電圧指令値に基づいてコンバータのスイッチングを制御することにより、界磁巻線における三相巻線の空間高調波(高調波成分)の発生を抑制することができる。そのため、回転電動機のトルクリップルを抑制することができ、回転電動機のトルクを制御する界磁電流の制御性能を向上させることができる。
【0009】
また、本発明の回転電動機の制御装置において、前記予め定められた次数は、6のn倍(但しnは1以上の整数)の数である、としてもよい。
【0010】
また、本発明の回転電動機の制御装置において、前記バンドパスフィルタの中心周波数は、前記三相巻線を流れる三相電流の基本波周波数の6×n倍(但しnは1以上の整数)の周波数に設定される、としてもよい。
【0011】
また、本発明の回転電動機の制御装置において、前記オールパスフィルタを前記f軸電流値の位相を90度遅らせるフィルタとして機能させる場合において、前記オールパスフィルタの通過帯域の特性を示すクオリティファクタQを√2(ルート2)に設定した際の前記オールパスフィルタの基底周波数Fac1は、前記バンドパスフィルタの中心周波数をFbcとし、前記予め定められた次数をDとする時、下記(1)式を満たす、としてもよい。
Fac1=Fbc×2×(D/6)・・・(1)
【0012】
また、本発明の回転電動機の制御装置において、前記オールパスフィルタを前記f軸電流値の位相を90度進ませるフィルタとして機能させる場合において、前記オールパスフィルタの通過帯域の特性を示すクオリティファクタQを√2(ルート2)に設定した際の前記オールパスフィルタの基底周波数Fac2は、前記三相巻線を流れる三相電流の基本波周波数をFとし、前記予め定められた次数をDとする時、下記(2)式を満たす、としてもよい。
Fac2=F×π×(D/6)・・・(2)
【0013】
また、本発明の回転電動機の制御装置において、前記制御部は、前記予め定められた次数の設定値が異なる複数の前記付加指令値生成部を備え、前記制御部の前記加算部は、複数の前記付加指令値生成部のそれぞれから出力される前記付加指令値を前記暫定界磁電圧指令値に加算して前記界磁電圧指令値を出力する、としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、界磁巻線に現れる三相巻線の空間高調波を抑制して、回転電動機のトルクリップルを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
回転電動機の制御システムの回路図である。
回転電動機の制御装置の機能構成及び処理手順を示す図である。
α−β軸直交座標とd−q軸直交座標の関係を示す図である。
第1制御部(制御部)のブロック構成図である。
f軸およびf軸の90度位相遅れのc軸(f−c軸直交座標)と、fh−ch軸直交座標との関係を示す図である。
付加指令値生成部においてc軸電流値をf軸電流値の90度位相遅れにして処理した際の各信号の時間変化の一例を示す図である。
f軸およびf軸の90度位相進みのc軸(f−c軸直交座標)と、fh−ch軸直交座標との関係を示す図である。
付加指令値生成部においてc軸電流値をf軸電流値の90度位相進みにして処理した際の各信号の時間変化の一例を示す図である。
別の回転電動機の制御システムの回路図である。
界磁電流に現れる、三相電流の6次の空間高調波の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下で述べる構成は、説明のための例示であって、回転電動機の制御システムの仕様等に合わせて適宜変更が可能である。全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0017】
図1は、本実施形態における回転電動機の制御システム10の回路図である。回転電動機の制御システム10は、直流電源14、コンデンサ15、コンバータ16、インバータ18、回転電動機20、及び制御装置12を含んで構成される。回転電動機20は、ステータとロータを含み、ステータは、ロータに界磁を作る直流電流を流す界磁巻線24と、当該界磁との相互作用によりロータにトルクを発生させる交流電流を流す電機子巻線22(三相巻線)とを備える。なお、ここでは、ステータが界磁巻線24を備えるとしたが、ロータまたはロータ周辺の部材が界磁巻線24を備える構成であってもよい。
【0018】
コンデンサ15、コンバータ16及びインバータ18は、直流電源14に対し並列に接続される。コンバータ16は、フルブリッジ回路で構成される。具体的には、コンバータ16は、並列接続された第1アームA1及び第2アームA2を含む。また、各アームA1,A2には2つのスイッチング素子S1及びS2とスイッチング素子S3及びS4がそれぞれ直列に接続され、各スイッチング素子の両端には、各スイッチング素子の電流方向とは逆方向の電流が流れるようにダイオードが並列接続される。界磁巻線24の一端は、第1アームA1のスイッチング素子S1,S2間の中点に接続され、界磁巻線24の他端は、第2アームA2のスイッチング素子S3,S4間の中点に接続される。スイッチング素子S1とS4のオン時間をスイッチング素子S2とS3のオン時間より長くすることで、正の界磁電流ifの大きさを制御できる。また、スイッチング素子S1とS4のオン時間をスイッチング素子S2とS3のオン時間より短くすることで、負の界磁電流ifの大きさを制御できる。このようにしてコンバータ16は、界磁巻線24の電流の大きさ及び流れ方向をスイッチングによって制御する。また、界磁電流ifの電流経路には電流センサ30が設けられている。電流センサ30によって測定された界磁電流ifの測定値(以下、界磁電流測定値ifとも言う)は、制御装置12に送信される。
【0019】
インバータ18は、3相インバータである。具体的には、インバータ18は、並列接続されたU相アームB1、V相アームB2及びW相アームB3を含む。また、各アームB1,B2,B3には2つのスイッチング素子Sa,Sbが直列に接続され、各スイッチング素子Sa,Sbの両端には、各スイッチング素子の電流方向とは逆方向の電流が流れるようにダイオードが並列接続される。三相巻線22は、U相電流が流れるU相巻線、V相電流が流れるV相巻線、及びW相電流が流れるW相巻線を含む。図1では、U相巻線、V相巻線、W相巻線にそれぞれu、v、wの符号を付している。インバータ18は、三相巻線22の電流(三相電流)をスイッチングによって制御する。図1では、三相巻線22の各相の巻線を簡略化して示して、各相で1つのみとしているが、実際には、各相で複数の巻線が直列に接続される。
【0020】
U相巻線の一端は、U相アームB1のスイッチング素子Sa、Sb間の中点に接続される。V相巻線の一端は、V相アームB2のスイッチング素子Sa、Sb間の中点に接続される。W相巻線の一端は、W相アームB3のスイッチング素子Sa、Sb間の中点に接続される。U相巻線、V相巻線及びW相巻線の他端は、中性点Gで共通に接続される。
【0021】
U相巻線に流れる電流iuは、電流センサ28uによって測定され、その測定値が制御装置12へ送信される。また、V相巻線に流れる電流ivは、電流センサ28vによって測定され、その測定値が制御装置12へ送信される。また、W相巻線に流れる電流iwは、電流センサ28wによって測定され、その測定値が制御装置12へ送信される。なお、三相巻線22の各相の巻線は中性点Gで共通接続されているため、各相の巻線に流れる電流iu,iv,iwの総和がゼロになることから、電流iu,iv,iwのいずれか1つの電流は、他の2つの電流から算出することが可能である。そのため、電流iu,iv,iwを測定するための電流センサ28u,28v,28wのうちのいずれか1つを省略するようにしてもよい。
【0022】
回転電動機20には、回転角センサ26(例えばレゾルバ)が設けられている。回転角センサ26によって検出されたロータの回転角度位置(以下、回転角とも言う)θeは、制御装置12へ送信される。
【0023】
制御装置12は、コンバータ16及びインバータ18のスイッチングを制御する。制御装置12は、発生または入力されたトルク指令に基づいて、スイッチングの指令信号を生成し、その指令信号によって、インバータ18のスイッチングを制御し、三相巻線22に流れる三相電流iu,iv,iwを制御する。また、制御装置12は、if指令値に基づいてコンバータ16のスイッチング制御を行い、界磁電流ifを制御する。
【0024】
次に、本実施形態の制御装置12における制御について具体的に説明する。図2は、制御装置12の機能構成及び処理手順を示す図である。図2に示すように、制御装置12は、コンバータ16のスイッチングを制御する第1制御部(単に制御部とも言う)40と、インバータ18のスイッチングを制御する第2制御部42を備える。本実施形態の制御装置12は、第1制御部40に特徴があり、第1制御部40は、界磁巻線24における三相巻線22の空間高調波の発生を抑制するようにコンバータ16のスイッチングを制御する。第1制御部40については、第2制御部42を説明した後に詳細に述べる。
【0025】
図2に示すように、第2制御部42は、トルク指令値Trが与えられると、ステップS1において、トルク指令値Trに対応するdq軸電流指令値ird,irqを導出する。なお、トルク指令値Trは、外部から与えられてもよいし、例えば、制御システム10が車両に搭載される場合にはアクセル開度及び車速から制御装置12においてマップ参照等により導出してもよい。
【0026】
そして、第2制御部42は、ステップS2において、制御装置12に入力された三相電流測定値iu,iv,iwを、回転電動機(ロータ)の回転角θeを用いて、d軸電流測定値id及びq軸電流測定値iqに変換する。具体的には、この変換は、次のように行う。まず、以下の(数1)式を用いて、三相電流測定値iu,iv,iwを二相電流測定値iα,iβに変換する。
【0027】
・・・(数1)
【0028】
次に、二相電流測定値iα,iβ(交流成分)を、d軸電流測定値id及びq軸電流測定値iq(直流成分)に変換する。この変換は、図3に示すように、静止するα−β軸直交座標にプロットされる二相電流測定値iα,iβのプロット点(例えば図3に示す星印)を、回転電動機の回転角θeで回転するd−q軸直交座標におけるd軸電流測定値id及びq軸電流測定値iqで表すようにする座標変換である。この座標変換は、以下の(数2)式を用いて行うことができる。
【0029】
・・・(数2)
【0030】
この座標変換により、交流成分であった二相電流測定値iα,iβが、直流成分であるd軸電流測定値id及びq軸電流測定値iqに変換され、以下に説明する、直流成分を制御対象とする比例積分制御を行うことが可能となる。
【0031】
図2に戻り、第2制御部42の処理の説明を続ける。第2制御部42は、ステップS2でdq軸電流測定値id,iqを取得した後、ステップS3に進む。第2制御部42は、ステップS3においてd軸電流指令値ird及びq軸電流指令値irqとd軸電流測定値id及びq軸電流測定値iqとの誤差を算出し、ステップS4においてこれらの誤差をゼロに近づけるように比例積分制御(PI制御)を行って、ステップS5においてd軸電圧指令値vrd及びq軸電圧指令値vrqを設定する。
【0032】
そして、第2制御部42は、続くステップS6において、回転電動機20(ロータ)の回転角θeを用いて、d軸電圧指令値vrd及びq軸電圧指令値vrqを三相電圧指令値vru,vrv,vrwに変換する。具体的には、この変換は、次のように行う。まず、回転するd−q軸直交座標から、静止するα−β軸直交座標に戻す座標変換を行う(図3参照)。具体的には、d軸電圧指令値vrd及びq軸電圧指令値vrqから二相電圧指令値vrα,vrβを取得する。この座標変換は、以下の(数3)式を用いて行うことができる。
【0033】
・・・(数3)
【0034】
次に、以下の(数4)式を用いて、二相電圧指令値vrα,vrβを三相電圧指令値vru,vrv,vrwに変換する。
【0035】
・・・(数4)
【0036】
第2制御部42は、図2のステップS6において三相電圧指令値vru,vrv,vrwを取得した後、続くステップS7において、三相電圧指令値vru,vrv,vrwに基づいて三相制御信号J2を生成する。そして、第2制御部42は、三相制御信号J2を用いて、インバータ18のスイッチングを制御する。
【0037】
次に、第1制御部40について詳細に説明する。第1制御部40は、コンバータ16のスイッチングを制御して、界磁巻線24に流れる界磁電流ifを制御する。界磁電流には、三相巻線22を流れる三相電流の基本波周波数の逓倍の高調波成分(空間高調波)が現れることがある。図10は、界磁電流if_tに現れる、三相電流iu,iv,iwの6次の空間高調波の一例を示す図である。図10に示すように、三相電流iu,iv,iwの基本波の1周期T1の間に、界磁電流if_tに6つの山が現れていることが分かる。このように、界磁電流に三相巻線22の空間高調波が現れると、回転電動機20にトルクリップルが発生してしまう。そこで、本実施形態の第1制御部40は、界磁巻線24における三相巻線22の空間高調波の発生を抑制するようにコンバータ16のスイッチングを制御する。
【0038】
図4は、第1制御部40(制御部)のブロック構成図である。第1制御部40は、界磁電流指令値irfと制御装置に入力された界磁電流測定値ifとの偏差(誤差)に基づき暫定界磁電圧指令値vrftを設定する暫定指令値設定部50と、界磁電流測定値ifに基づいて付加指令値vsfを生成する付加指令値生成部52と、暫定界磁電圧指令値vrftと付加指令値vsfとを加算して界磁電圧指令値vrfを出力する加算部(加算器)94と、界磁電圧指令値vrfに対応する界磁制御信号J1を生成するPWM96と、を備える。
【0039】
暫定指令値設定部50は、トルク指令値Trに対応する界磁電流指令値irfを生成する界磁電流指令値生成器60と、界磁電流指令値生成器60で生成された界磁電流指令値irfと制御装置12に入力された界磁電流測定値ifの誤差(=irf−if)を算出する加算器62と、加算器62で算出された誤差を0に近づけるように比例積分制御(PI制御)を行い、暫定界磁電圧指令値vrftを設定する比例積分制御器64と、を備える。暫定指令値設定部50は、以上説明した処理(図2に示すステップS8〜S11の処理)を行い、暫定界磁電圧指令値vrftを出力する。
【0040】
一方、付加指令値生成部52は、図4に示すように、バンドパスフィルタ70と、オールパスフィルタ72と、第1座標変換部74と、2つのゼロ電流指令値生成器80,82、2つの加算器84,86、及び2つの比例積分制御器(PI制御器)88,90を有する電圧値設定部76と、第2座標変換部92と、を備える。
【0041】
バンドパスフィルタ70は、界磁電流測定値ifに現れる、三相巻線22を流れる三相電流の基本波周波数に対する予め定められた次数Dの高調波成分を、界磁電流測定値ifから抽出してf軸電流値isfを出力する。予め定められた次数Dは、6のn倍(但しnは1以上の整数)の数にするのが好ましく、この場合、バンドパスフィルタ70の中心周波数は、三相巻線22を流れる三相電流の基本波周波数の6×n倍(但しnは1以上の整数)の周波数に設定される。このように、三相電流の6の逓倍の次数(6次,12次,18次・・・)の空間高調波を処理対象とする理由は、回転電動機20において界磁電流ifに三相電流の6の逓倍の次数の空間高調波が現れやすいためであり、界磁電流ifにおけるこのような空間高調波の発生を抑制するためである。また、界磁電流ifに低い次数の空間高調波が発生すると、回転電動機20のトルクリップルも低い周波数で現れ、回転電動機20の運転に悪影響を生じさせ易い。そこで、本実施形態では、予め定められた次数Dを6とし、6次の空間高調波(高調波成分)を処理対象としている。
【0042】
オールパスフィルタ72は、バンドパスフィルタ70から出力されたf軸電流値isfを入力し、f軸電流値isfの位相を90度遅らせたc軸電流値iscを出力する。なお、発明者らは、予め定められた次数Dが6のn倍(但しnは1以上の整数)である場合(6の逓倍の次数の空間高調波を処理対象とする場合)、オールパスフィルタ72の通過帯域の特性を示すクオリティファクタQを√2(ルート2)に設定した際のオールパスフィルタの基底周波数Fac1を、以下の(数5)式を満たすように設定することにより、f軸電流値isfに対してc軸電流値iscを精度高く90度位相遅れにできることを見出している。なお、(数5)式において、Fbcは、バンドパスフィルタ70の中心周波数を、Dは、上記予め定められた次数を表している。
【0043】
【0044】
図4に示す第1座標変換部74は、バンドパスフィルタ70から出力されたf軸電流値isf(交流成分)と、オールパスフィルタ72から出力されたc軸電流値isc(交流成分)とを入力し、それらを直流成分であるfh軸電流値isfhとch軸電流値ischに変換する。この変換は、図5に示すように、静止するf−c軸直交座標にプロットされるf軸電流値isfとc軸電流値iscのプロット点(例えば図5に示す星印)を、回転電動機の回転角θeの上記予め定められた次数D(本実施形態では6)倍の回転角で回転するfh−ch軸直交座標におけるfh軸電流値isfh及びch軸電流値ischで表すようにする座標変換である。この座標変換は、以下の(数6)式を用いて行うことができる。
【0045】
・・・(数6)
【0046】
ここで、図5に示すf−c軸およびfh−ch軸は、図3に示すα−β軸およびd−q軸に対応するものであり、(数6)式は(数2)式に対応するものである。すなわち、本実施形態では、三相巻線22の制御における二相電流測定値iα,iβ(交流成分)からdq軸電流測定値id,iq(直流成分)にする座標変換処理と同様の座標変換処理を、界磁電流測定値ifに現れる高調波成分の制御にも適用する。界磁電流測定値ifから抽出したf軸電流値isf(界磁電流に現れる空間高調波、交流成分)だけでは、2つの交流成分が存在せず、三相巻線22の制御と同様の交流成分から直流成分への座標変換処理を行うことはできない。しかし、上記したように、f軸電流値isfに加えて、f軸電流値isfの90度位相遅れのc軸電流値icfを作り、2つの交流成分を用意することにより、三相巻線22の制御と同様の座標変換処理を適用可能とし、界磁電流測定値ifに現れる高調波成分を表す直流成分(fh軸電流値isfhとch軸電流値isch)を生成している。これにより、以下で説明する、直流成分を制御対象とする比例積分制御を行うことが可能となる。図6の上側には、f軸電流値isf、c軸電流値isc、fh軸電流値isfh、及びch軸電流値ischの時間変化の一例が示されている。
【0047】
図4に戻り、第1座標変換部74の後段にある電圧値設定部76は、第1座標変換部74から出力されたfh軸電流値isfhとch軸電流値ischを入力し、比例積分制御により、fh軸電流値isfhを0に近づけるようにfh軸電圧値vsfhを設定すると共に、ch軸電流値を0に近づけるようにch軸電圧値vschを設定する。具体的には、次のように設定を行う。まず、ゼロ電流指令値生成器82が生成した0Aの電流指令値と、第1座標変換部74から出力されたfh軸電流値isfhとの誤差(=0−isfh)を加算器86で算出し、算出された誤差を0に近づけるように比例積分制御器90が比例積分制御(PI制御)を行い、fh軸電圧値vsfhを設定する。同様に、ゼロ電流指令値生成器80が生成した0Aの電流指令値と、第1座標変換部74から出力されたch軸電流値ischとの誤差(=0−isch)を加算器84で算出し、算出された誤差を0に近づけるように比例積分制御器88が比例積分制御(PI制御)を行い、ch軸電圧値vschを設定する。ここで、fh軸電圧値vsfhとch軸電圧値vschは、界磁電流測定値ifに現れる上記予め定められた次数Dの高調波成分(本実施形態では6次の空間高調波)を打ち消すための成分を表している。図6には、fh軸電流値isfhとch軸電流値ischに対する、fh軸電圧値vsfhとch軸電圧値vschの一例が示されている。
【0048】
図4に戻り、第2座標変換部92は、比例積分制御器90,88から出力された直流成分であるfh軸電圧値vsfhとch軸電圧値vschを入力し、それらを交流成分であるf軸電圧値とc軸電圧値に変換する。この変換は、回転するfh−ch軸直交座標から静止するf−c軸直交座標に戻す座標変換である(図5参照)。この座標変換は、以下の(数7)式を用いて行うことができる。(数7)式において、θeは、回転電動機(ロータ)の回転角を、Dは、上記予め定められた次数を表している。
【0049】
・・・(数7)
【0050】
ここで、(数7)式は、三相巻線の制御における(数3)式に対応するものである。なお、(数7)式において、c軸電圧値vscは、界磁電流測定値ifに現れる高調波成分に対して90度位相遅れの成分であり、以降の制御で使用しないので、c軸電圧値vscへの変換は省略してもよい。なお、f軸電圧値vsfは、界磁電流測定値ifに現れる高調波成分の位相と同じ位相の成分である。
(【0051】以降は省略されています)

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