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公開番号2020115740
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200730
出願番号2020003836
出願日20200114
発明の名称振動型アクチュエータ及び振動型アクチュエータの製造方法
出願人キヤノン株式会社
代理人個人,個人
主分類H02N 2/12 20060101AFI20200703BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】 複数の振動体を有する振動型アクチュエータにおいて、当該複数の振動体における共振周波数のばらつきによる性能低下を低減することを目的とする。
【解決手段】 複数の振動体と、複数の振動体の接触部に接触する接触体と、を有し、複数の振動体のそれぞれに励振された振動は、複数の振動体と接触体とを相対移動させ、振動は、振動体と接触体とが加圧接触する第1の方向に接触部が変位する第1の振動モードの振動と、第1の方向と交差する第2の方向に接触部が変位する第2の振動モードの振動と、を含み、複数の振動体において、第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値が、第1の振動モードの共振周波数のうちの最大値以上であり、且つ、第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値に対する、第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差の割合が所定の値以下である。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
複数の振動体と、
前記複数の振動体の接触部に接触する接触体と、を有し、
前記複数の振動体のそれぞれに励振された振動は、前記複数の振動体と前記接触体とを相対移動させ、
前記振動は、前記振動体と前記接触体とが加圧接触する第1の方向に前記接触部が変位する第1の振動モードの振動と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記接触部が変位する第2の振動モードの振動と、を含み、
前記複数の振動体において、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値が、前記第1の振動モードの共振周波数のうちの最大値以上であり、且つ、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値に対する、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差の割合が所定の値以下であることを特徴とする振動型アクチュエータ。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記所定の値は、0.01であることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータ。
【請求項3】
前記複数の振動体のそれぞれは、電気−機械エネルギ変換素子と、前記電気−機械エネルギ変換素子が接合された弾性体と、を有し、
前記弾性体は、前記弾性体の前記電気−機械エネルギ変換素子が接合された面と反対側の面に、前記第1の方向に突出した突起部を有し、
前記突起部は、中空構造を形成する側壁部と、前記接触体と接触する前記接触部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の振動型アクチュエータ。
【請求項4】
前記第2の方向は、前記第1の方向と直交することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1の振動モードの次数は1であり、前記第2の振動モードの次数は2であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータと、
前記振動型アクチュエータにより駆動されるレンズと、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータと、
前記振動型アクチュエータにより駆動されるレンズと、
前記レンズを通過した光が結像する位置に設けられた撮像素子と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータと、
前記振動型アクチュエータにより駆動される被駆動部材と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
複数の振動体と、
前記複数の振動体の接触部に接触する接触体と、を有し、
前記複数の振動体のそれぞれに励振された振動は、前記複数の振動体と前記接触体とを相対移動させ、
前記振動は、前記振動体と前記接触体とが加圧接触する第1の方向に前記接触部が変位する第1の振動モードの振動と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記接触部が変位する第2の振動モードの振動と、を含む振動型アクチュエータの製造方法であって、
振動体に給電基板を接合する接合工程と、
前記振動体の前記第1の振動モードと前記第2の振動モードの共振周波数を測定する測定工程と、
前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値が、前記第1の振動モードの共振周波数のうちの最大値以上になるように、且つ、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値に対する、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差の割合が、各層内で第1の所定の値以下になるように、複数の振動体を層別する層別工程と、
各層のいずれかから複数の振動体を選択する選択工程と、を有することを特徴とする振動型アクチュエータの製造方法。
【請求項10】
前記第1の所定の値は、0.01であることを特徴とする請求項9に記載の振動型アクチュエータの製造方法。
【請求項11】
前記層別工程が、前記複数の振動体に給電基板を接合し、前記振動体が室温になった後であって、前記給電基板が接合された振動体における共振周波数が一定になる前に、前記複数の振動体において、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値に対する、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差の割合が、各層内で第2の所定の値以下になるように層別することを特徴とする請求項9又は10に記載の振動型アクチュエータの製造方法。
【請求項12】
前記第2の所定の値は、0.007であることを特徴とする請求項11に記載の振動型アクチュエータの製造方法。
【請求項13】
前記第2の方向は、前記第1の方向と直交することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの製造方法。
【請求項14】
前記第1の振動モードの次数は1であり、前記第2の振動モードの次数は2であることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、振動型アクチュエータ等に関するものである。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、振動体(弾性体、圧電素子)に励振された振動により、振動体に接触する接触体が駆動される(振動体と接触体を相対移動させる)振動型アクチュエータに関する提案がなされている。
【0003】
たとえば、特許文献1に記載されているように振動体を2個(特許文献1の図1)あるいは複数個(特許文献1の図7)配置して、直線駆動(特許文献1の図1)や回転駆動(特許文献1の図7)するタイプが提案されている。まずは、図8、9を用いて、従来技術について説明する。
【0004】
図8は、振動体の(a)平面図と(b)側面図を示す。図8において、振動体1は、矩形(四角形)の薄板状に形成された電気−機械エネルギ変換素子(圧電素子)3と、この圧電素子3(の一平面)と接合されて一体化された弾性体2と、により構成されている。
【0005】
弾性体2は、本体部2−3と支持部2−4とを有する。
【0006】
本体部2−3は、圧電素子3とともに振動する矩形の薄板状に形成された基部2−1と、この基部2−1の一平面(弾性体2の、圧電素子が接合された面とは反対側の面)において凸状に形成された2つの突起部2−2と、を有する。突起部2−2は、たとえば特許文献2に記載されているように、前記基部2−1の一平面から、接触体と加圧接触する方向(第1の方向)に突出する、中空構造を形成する(連続した)側壁部2−2−1と、先端に、接触体と接触する接触部2−2−2を有する。
【0007】
支持部2−4は可撓性を有し、本体部2−3と構造上、一体的に形成されている。支持部2−4は、本体部2−3の振動をなるべく本体部2−3の外に伝えないように、一部板厚を小さくした薄肉部2−5を有する。また、支持部2−4は、圧電素子3の接合や振動体の組立などの位置決めの際に用いられる丸穴2−6及び長穴2−7も有する。
【0008】
以下では、Z方向は、振動体と接触体とが加圧接触する方向であり、X方向は、振動体と接触体とが相対移動する方向であり、Y方向は、X方向及びZ方向と直交する方向である。
【0009】
振動体1には、図9(a)に示すように、突起部2−2の先端に主にZ方向(第1の方向)の変位を発生させる短手(Y)方向の第1の屈曲運動を発生させる。また、突起部2−2の先端に主にX方向成分を含む方向(第1の方向と交差する方向。以下、「第2の方向」ともいう)の変位を発生させる長手(X)方向の第2の屈曲運動を発生させる。このとき、第1の屈曲運動と第2の屈曲運動を、時間的位相差を持って発生させる。それにより、突起部2−2の先端が楕円運動し、図中X方向に、不図示の接触体が駆動される。ここで、「第1の方向と交差する方向」(第2の方向)には、「第1の方向と直交する方向」(振動体と接触体とが相対移動する方向)も含まれる。
【0010】
なお、図9(b)にも、第1の屈曲運動(第1の振動モード、モード1)を示した。また、図9(c)にも、第2の屈曲運動(第2の振動モード、モード2)を示した。ここでは、図9(a)、図9(b)に示される第1の振動モードの次数(第1の次数)は1であり、図9(a)、図9(c)に示される第2の振動モードの次数(第2の次数)は2である。次数とは、振動における腹の数のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
特開2011−259559号公報
特開2011−234608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、振動体1は、弾性体や圧電素子の寸法のばらつきなどにより、共振周波数がばらつく。それにより、複数の振動体で1つの接触体を、1つの昇圧回路すなわち共通の交流信号で駆動する場合、振動体の組合せによっては、アクチュエータの性能が低下する場合がある。
【0013】
本発明は、複数の振動体を有する振動型アクチュエータにおいて、当該複数の振動体における共振周波数のばらつきによる性能低下を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る振動型アクチュエータは、複数の振動体と、前記複数の振動体の接触部に接触する接触体と、を有し、前記複数の振動体のそれぞれに励振された振動は、前記複数の振動体と前記接触体とを相対移動させ、前記振動は、前記振動体と前記接触体とが加圧接触する第1の方向に前記接触部が変位する第1の振動モードの振動と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記接触部が変位する第2の振動モードの振動と、を含み、前記複数の振動体において、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値が、前記第1の振動モードの共振周波数のうちの最大値以上であり、且つ、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値に対する、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差の割合が所定の値以下であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る振動型アクチュエータの製造方法は、複数の振動体と、前記複数の振動体の接触部に接触する接触体と、を有し、前記複数の振動体のそれぞれに励振された振動は、前記複数の振動体と前記接触体とを相対移動させ、前記振動は、前記振動体と前記接触体とが加圧接触する第1の方向に前記接触部が変位する第1の振動モードの振動と、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記接触部が変位する第2の振動モードの振動と、を含む振動型アクチュエータの製造方法であって、振動体に給電基板を接合する接合工程と、前記振動体の前記第1の振動モードと前記第2の振動モードの共振周波数を測定する測定工程と、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値が、前記第1の振動モードの共振周波数のうちの最大値以上になるように、且つ、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値に対する、前記第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差の割合が、各層内で第1の所定の値以下になるように、複数の振動体を層別する層別工程と、各層のいずれかから複数の振動体を選択する選択工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の振動体を有する振動型アクチュエータにおいて、当該複数の振動体における共振周波数のばらつきによる性能低下を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施形態に係る、(a)回転型アクチュエータの一部部品単位に展開した全体斜視図、(b)振動体周辺の拡大展開斜視図。
本発明の実施形態に係る、回転型アクチュエータの駆動制御装置の構成を示すブロック図。
本発明の実施形態に係る、(a)振動体単体のインピーダンス特性、(b)3個の振動体の第2の共振周波数のばらつきとモータ性能の関係(横軸は、「第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差」)、(c)3個の振動体の第2の共振周波数のばらつきとモータ性能の関係(横軸は、「第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値に対する、第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差の割合」)を表す図。
本発明の実施形態に係る、振動型アクチュエータの製造工程に係るフロー図。
本発明の実施形態に係る、振動型アクチュエータの製造工程に係るフロー図の変形例。
本発明の実施形態に係る、振動体のフレキ接着(接合)後の共振周波数の変化を表す図。
本発明の実施形態に係る、(a)振動型アクチュエータを備える撮像装置の概略構成を示す上面図、(b)ブロック図。
振動体の構成を示した、(a)平面図、(b)側面図。
振動体の振動モードの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、振動型アクチュエータとは、振動が励起される振動体と、振動体に加圧接触する接触体とを備え、振動により振動体と接触体とが相対移動する構成を有するものを指すこととする。つまり、振動体の駆動出力を、振動体と接触体との相対移動によって取り出すことができる構成となっているものを指すものとする。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、本発明にかかわる第1実施例である。
【0020】
図1(a)は、図8に示したタイプの振動体(を有する振動型アクチュエータ)を円周上に3個(複数)配置した回転型アクチュエータを部品単位に展開した斜視図を示す。図1(b)は、振動体1周辺の拡大展開斜視図を示す。
【0021】
図1(a)に示すように、円環状の基台(支持部材)7に振動体1が3個(複数)配置され、振動体1に接触するロータ(接触体)8を回転駆動する構成となっている。
【0022】
振動体1は、保持部材4のピン4aと、支持部の丸穴2−6及び長穴2−7と、を嵌合させて接着(接合)するなどして接合することにより小基台(保持部材4)に保持される。また、保持部材4は、穴4bと、支持部材7のピン7aで嵌合することにより、加圧方向において自由に動けるように位置決めされる。
【0023】
保持部材4には矩形状の貫通穴4cが形成され、(振動体1を押圧する)押圧部材6が、貫通穴4cの中に納まっている。押圧部材6は、支持部材7と接することで、(フェルトなどの)振動絶縁部材5を介して、不図示の加圧部材(バネなど)により振動体1を押圧する。また、押圧部材6は、保持部材4に対しては、加圧方向において相対移動可能になっている。
【0024】
このような構成にすることにより、支持部2−4に加圧の反力がかかりづらくし、圧電素子の接着(接合)の剥れなどを防止している。電気−機械エネルギ変換素子(圧電素子)3には給電用のフレキシブルプリント基板(給電基板)33が接着(接合)されており、給電基板33を介して交流信号を圧電素子3に印加して振動体1を駆動する。
【0025】
なお、押圧部材6には位置決め用ピン6a、6bが設けられ、支持部材7に設けられた穴7b、7cと嵌合することで位置決めされている。また、支持部材7の半円柱状の面(凸部)7dと接することにより、ピッチング方向(接触体8との相対運動方向)に回転可能になっている。
【0026】
図2は、図1に示した回転型アクチュエータの駆動制御装置の構成を示すブロック図である。この駆動制御装置は、接触体8と一体的に駆動される被駆動体9の目標値を生成する位置指令生成手段11を有し、その出力側には、比較手段12を介して操作量決定手段16が接続されている。比較手段12は、位置指令生成手段11から出力された目標値と、位置検出手段10から出力された被駆動体9の現在位置とを比較する。操作量決定手段16は、比較手段12の比較結果から、振動型アクチュエータの操作量を演算する。操作量決定手段16はPI制御器、またはPID制御器で構成されている。
【0027】
位置検出手段10は、被駆動体9の位置を検出するものであり、例えばエンコーダにて構成される。振動体a、b、cは、上記図1(a)に示した構成の3個の振動体1であり、接触体8と被駆動体9を一体的に駆動されるものである。操作量決定手段16の出力側には、楕円運動における楕円の比率を設定する楕円比決定手段13と、交流信号の周波数を設定する駆動周波数決定手段14が接続されている。
【0028】
楕円比決定手段13は、操作量決定手段16の出力から、振動体1の突起部(接触部)に生成する楕円運動のX軸振幅とZ軸振幅の比率を設定し、その比率を実現する2つの振動モードの時間的位相差を設定可能に構成されている。駆動周波数決定手段14は操作量決定手段16の出力から、振動体1に印加する交流電圧の駆動周波数を設定可能に構成されている。さらに、楕円比決定手段13及び駆動周波数決定手段14の出力側が駆動信号生成手段15に接続されている。
【0029】
駆動信号生成手段15は、駆動周波数決定手段14で決定された周波数で、かつ楕円比決定手段13で決定された位相差を有する2相の交流信号を生成する。駆動信号生成手段15の出力側には昇圧回路17が接続されている。昇圧回路17は駆動信号生成手段15で生成された2相の交流信号を昇圧し、昇圧された2相の交流信号は3個の振動体1(振動体a、b、c)に並列に印加される。昇圧回路17は、電力増幅器、スイッチング素子、DC/DC回路、またはトランス回路で構成されてもよい。
【0030】
図3(a)は、3個の振動体単体のインピーダンス特性の一例を示す(3種類の線はそれぞれ、異なる振動体のインピーダンス特性を示す)。横軸が駆動周波数、縦軸がアドミタンス(インピーダンスの逆数)で、アドミタンスのピークの周波数が共振周波数である。1つの振動体には2つのピークがあり、背景技術で述べた、第1の次数の第1の屈曲運動(第1の振動モード)の共振周波数と、第2の次数の第2の屈曲運動(第2の振動モード)の共振周波数を表している。なお、加圧をかけたモータ状態では2つのピークは近接する傾向がある。また、第1の次数である1と、第2の次数である2は、図8に示したタイプの振動体(を有する振動型アクチュエータ)において好ましい次数である。したがって、第1の次数と第2の次数は、振動体(を有する振動型アクチュエータ)のタイプが変われば変わり得るものなので、本発明を実施する際の次数は、ここに示した次数に限られない。
【0031】
この例では、複数(3個)の振動体において、第2の次数で変位する第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値f

max(94.0kHz)と最小値f

min(93.3kHz)の差は、0.7kHzとなる。つまり、3個の振動体において、f

minに対する、f

maxとf

minの差の割合(0.7/93.3)は、0.0075(0.75%)となる。
【0032】
図3(b)は、図3(a)で求めた第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差(f

max−f

min)とモータ性能の関係を示す測定結果の一例である。横軸は、第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差、である。縦軸は、最大回転数と所定の回転数での消費電力である。図3(c)は、図3(b)の横軸を、第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値に対する、第2の振動モードの共振周波数のうちの最大値と最小値の差の割合、に置き換えたものである。
【0033】
なお、最大回転数は振動体の破損防止のため90rpmを上限としている。図3(b)を見ると、第2の振動モードの共振周波数の最小値f

minが90kHzである複数の振動体において、f

maxとf

minの差が0.9kHzを超えると、消費電力が増加傾向になり、モータ効率が低下していることがわかる。すなわち、複数の振動体において、f

minに対する、f

maxとf

minの差の割合が所定の値(第1の所定の値)、具体的には0.01(1%)を超えると、消費電力が増加傾向になる。そして、モータ効率(性能)が低下している(図3(c)参照)。
【0034】
したがって、f

minに対する、f

maxとf

minの差の割合が所定の値以下(第1の所定の値以下)となるように層別(仕分け)された各層のいずれかに含まれる複数の振動体の中から振動体を複数選別(選択)して組み合わせればよい。ここで、所定の値以下とは、具体的には0.01以下(1%以下)である。そうすれば、共振周波数のばらつきによる性能低下を低減し、良好な性能のアクチュエータを提供することができる。なお、層別の詳細については、後述する。
【0035】
ところで、アクチュエータの性能は、第2の振動モードによるX方向の変位量に依存するところが多く、第1の振動モードによるZ方向の変位はある程度の値であればそれ以上は必要ない。したがって、複数の振動体で駆動するとき、第2の振動モードの共振周波数差のみを見ればよい。
【0036】
ただし、アクチュエータの駆動は、周波数の高いところで起動し、周波数を下げて第2の振動モードの共振周波数に近づけることで速度を上げる。そのため、第2の振動モードの共振周波数を第1の振動モードの共振周波数より高くしないと、第2の振動モードの振動振幅が大きくなる前に第1の振動モードが共振周波数を超えて振動振幅が急激に低下し、良好な性能が得られない。
【0037】
したがって、複数の振動体で駆動する場合は、図3(a)に示すように第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値f

minを第1の振動モードの共振周波数の最大値f

maxより高いか、あるいは等しくするとよい。つまり、f

minを第1の振動モードの共振周波数の最大値以上(f

max以上)にするとよい。
【0038】
なお、振動体単体における第2の振動モードの共振周波数(f

)と第1の振動モードの共振周波数(f

)の差(f

−f

)であるΔfは、0.5kHz以上5kHz以下が好ましい。Δfが0.5kHz未満だと、第2の振動モードの共振周波数周辺で振動体を駆動したときに、駆動周波数が第1の振動モードの共振周波数を超えて、振動振幅が急激に低下する可能性が高まるからである。また、Δfが5kHzより大きいと、第2の振動モードの共振周波数周辺で振動体を駆動したときに、駆動周波数が第1の振動モードの共振周波数から離れて、第1の振動モードの振動振幅が大きくなりづらいからである。
【0039】
<第2実施形態>
図4は、本発明の振動型アクチュエータの製造工程に係るフロー図である。
【0040】
図4に示すように、工程18、工程19(接合工程)の後、振動体単体でインピーダンス測定により2つの振動モードの共振周波数を測定する工程20(測定工程)の第2の振動モードの共振周波数の結果をもとに、層別範囲1%で層別を行う。ここで、工程18は、圧電素子を弾性体に接着(接合)する工程であり、工程19(接合工程)は、フレキシブルプリント基板(給電基板)を圧電素子に接着(接合)する工程である。
【0041】
層別とは、複数の振動体を、いくつかの層に分けることである。たとえば、複数の振動体において、第2の振動モードの共振周波数のうちの最小値f

minが100kHzの場合、その割合0.01(1%)は1kHzである。したがって、たとえば、100kHz以上101kHz未満を第1層、101kHz以上102kHz未満を第2層、102kHz以上103kHz未満を第3層というように、振動体を仕分けすることである。
【0042】
この層別工程21により、同一の層内から選択された振動体の組合せであれば必ず、f

minに対する、f

maxとf

minの差の割合を所定の値以下(第1の所定の値以下)、具体的には0.01以下(1%以下)にすることができる。したがって、工程22(選択工程)は、各層のいずれかから無作為に振動体を選択し、振動体保持部材接着工程23(接合工程)を経てモータ組立工程24を行い、性能が良好なモータを得ることができる。
【0043】
<第3実施形態>
図5は、本発明の振動型アクチュエータの製造工程に係るフロー図の変形例であり、生産現場の状況によってこの形態をとる可能性もある。すなわち、給電基板の接着工程19(接合工程)から共振周波数測定工程120までの短縮をはかりたいときは、給電基板の接着工程19(接合工程)の1時間後(振動体の温度が確実に室温になっている)に行う。
【0044】
ただし、図6に示すように、共振周波数は給電基板の接着(接合)から24時間後まで変化しており、共振周波数が一定になるまでの、共振周波数の変化量のばらつきも考慮しなければならない。したがって、共振周波数測定工程120の場合は、層別工程121の層別範囲を狭めて割合を所定の値以下(第2の所定の値以下)、具体的には0.007以下(0.7%以下)としている。
【0045】
<その他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。例えば、本発明に係る振動体は、図1に示した回転型アクチュエータに限って適用されるものではなく、たとえば2個の振動体を駆動方向に配置したり、接触体を上下面から挟むように配置したりしたリニア型アクチュエータにも適用が可能である。
【0046】
また、本発明の振動型アクチュエータを撮像装置(光学機器)のレンズ駆動用途や、複写機の感光ドラムの回転駆動用途やステージの駆動用途等の様々な用途に用いることができる。ここでは、一例として、振動体を円環状に複数配置し接触体を回転駆動する振動型アクチュエータをレンズ鏡筒に配置されたレンズの駆動に用いた撮像装置(光学機器)について説明する。
【0047】
図7(a)は、電子機器としての撮像装置700の概略構成を示す上面図である。
【0048】
撮像装置700は、撮像素子710及び電源ボタン720を搭載したカメラ本体730を備える。また、撮像装置700は、第1レンズ群(不図示)、第2レンズ群320、第3レンズ群(不図示)、第4レンズ群340、振動型アクチュエータ620,640を備えるレンズ鏡筒740を備える。レンズ鏡筒740は、交換レンズとしてカメラ本体730に対して着脱自在である。
【0049】
撮像装置700では、振動型アクチュエータ620によって、被駆動部材としての第2レンズ群320の駆動が行われる。また、振動型アクチュエータ640によって、被駆動部材としての第4レンズ群340の駆動が行われる。振動型アクチュエータ620,640には、図1(a)乃至図7(a)を参照して説明した振動体1等が用いられる。例えば、振動型アクチュエータ620を構成する接触体の回転をギア等により光軸方向の直進運動に変換し、第2レンズ群320の光軸方向における位置を調整する。振動型アクチュエータ640についても同様の構成とすることができる。
【0050】
図7(b)は、撮像装置700の概略構成を示すブロック図である。第1レンズ群310、第2レンズ群320、第3レンズ群330、第4レンズ群340及び光量調節ユニット350が、レンズ鏡筒740内部の光軸上の所定位置に配置される。第1レンズ群310〜第4レンズ群340と光量調節ユニット350とを通過した光は、撮像素子710に結像する。撮像素子710は、光学像を電気信号に変換して出力し、その出力は、カメラ処理回路750へ送られる。
(【0051】以降は省略されています)

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