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公開番号2020115720
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200730
出願番号2019006396
出願日20190117
発明の名称モータ制御装置、シート搬送装置、原稿読取装置及び画像形成装置
出願人キヤノン株式会社
代理人個人,個人
主分類H02P 21/16 20160101AFI20200703BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】 制御パラメータの値がモータAに対応する値に設定されているモータ制御装置にモータAとは種類が異なるモータBが取り付けられてベクトル制御が実行されると、モータBの回転子の回転位相を高精度に決定することができなくなってしまう。その結果、モータBの制御が不安定になり、モータBが脱調してしまう可能性がある。
【解決手段】 トルク電流成分の値iqが所定値iqth以上になると、CPU151aは、モータ制御装置157に取り付けられているモータの種類を判別する。その後、判別結果に基づいてCPU151aは制御値を設定する。この結果、取り付けられたモータの回転子の回転位相を高精度に決定することができなくなることに起因してモータの制御が不安定になりモータが脱調してしまうことを抑制することができる。即ち、モータの回転に異常が生じることを抑制することができる。
【選択図】 図6
特許請求の範囲【請求項1】
モータの回転子の目標位相を表す指令位相に基づいて前記モータを制御するモータ制御装置において、
前記モータの巻線に流れる駆動電流を検出する検出手段と、
前記巻線に発生する誘起電圧の大きさを、前記検出手段によって検出される駆動電流と予め設定されたインダクタンスの値とを用いて決定する第1決定手段と、
前記第1決定手段によって決定される前記誘起電圧の大きさに基づいて、前記回転子の回転位相を決定する第2決定手段と、
前記検出手段によって検出された駆動電流に含まれる電流成分であって前記回転子にトルクを与える電流成分であるトルク電流成分の値が目標値になるように前記巻線に流れる駆動電流を制御する制御手段と、
前記制御手段によって制御されるモータの巻線のインダクタンスの値を決定する第3決定手段と、
前記制御手段によって制御されるモータの種類を、前記第3決定手段によって決定される前記インダクタンスの値に基づいて判別する判別手段と、
前記第1決定手段が前記誘起電圧の大きさを決定する際に用いられる前記インダクタンスの値を、前記判別手段によって判別されたモータの種類に対応する値に設定する設定手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第2決定手段によって決定された回転位相と前記指令位相との偏差が小さくなるように前記目標値を設定し、
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された駆動電流のトルク電流成分の値が所定値以上の値になると、前記モータの駆動を停止し、
前記第3決定手段は、前記モータの駆動が停止されると、前記インダクタンスの値を決定する処理を開始することを特徴とするモータ制御装置。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
シートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラを駆動するモータと、
請求項に記載のモータ制御装置と、
を有し、
前記モータ制御装置は、前記搬送ローラを駆動するモータの駆動を制御することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
原稿を積載する原稿積載部と、
前記原稿積載部に積載された前記原稿を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラによって搬送された原稿を読み取る読取手段と、
負荷を駆動するモータと、
前記モータを制御する請求項1に記載のモータ制御装置と、
を有することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項4】
記録媒体を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラによって搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
負荷を駆動するモータと、
前記モータを制御する請求項1に記載のモータ制御装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置、シート搬送装置、原稿読取装置及び画像形成装置におけるモータの制御に関する。
続きを表示(約 11,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来、モータを制御する方法として、モータの回転子の回転位相を基準とした回転座標系における電流値を制御することによってモータを制御するベクトル制御と称される制御方法が知られている。具体的には、回転子の指令位相と回転位相との偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法が知られている。なお、回転子の指令速度と回転速度との偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法も知られている。
【0003】
ベクトル制御において、モータの巻線に流れる駆動電流は、回転子が回転するためのトルクを発生させる電流成分であるq軸成分(トルク電流成分)と、モータの巻線を貫く磁束の強度に影響する電流成分であるd軸成分(励磁電流成分)とにより表される。回転子にかかる負荷トルクの変化に応じてトルク電流成分の値が制御されることによって、回転に必要なトルクが効率的に発生する。この結果、余剰トルクに起因したモータ音の増大や消費電力の増大が抑制される。
【0004】
ベクトル制御では、回転子の回転位相を決定する構成が必要となる。特許文献1では、巻線のレジスタンスR、巻線のインダクタンスL(以下、制御パラメータと称する)の値を用いて、回転子の回転に起因して巻線に発生する誘起電圧を決定し、当該誘起電圧に基づいて回転子の回転位相を決定する構成が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2012−509056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1の方法で誘起電圧を決定する際に用いられる制御パラメータの値はモータに固有の値であり、モータ制御装置に取り付けられるべきモータの巻線のレジスタンスR、巻線のインダクタンスLの値に基づいて予め設定されている。
【0007】
例えば、制御パラメータの値がモータAに対応する値に設定されているモータ制御装置にモータAとは種類が異なるモータBが取り付けられてベクトル制御が実行されると、モータBの回転子の回転位相を高精度に決定することができなくなってしまう。その結果、モータBの制御が不安定になり、モータBが脱調してしまう可能性がある。
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、モータの回転に異常が生じることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかるモータ制御装置は、
モータの回転子の目標位相を表す指令位相に基づいて前記モータを制御するモータ制御装置において、
前記モータの巻線に流れる駆動電流を検出する検出手段と、
前記巻線に発生する誘起電圧の大きさを、前記検出手段によって検出される駆動電流と予め設定されたインダクタンスの値とを用いて決定する第1決定手段と、
前記第1決定手段によって決定される前記誘起電圧の大きさに基づいて、前記回転子の回転位相を決定する第2決定手段と、
前記検出手段によって検出された駆動電流に含まれる電流成分であって前記回転子にトルクを与える電流成分であるトルク電流成分の値が目標値になるように前記巻線に流れる駆動電流を制御する制御手段と、
前記制御手段によって制御されるモータの巻線のインダクタンスの値を決定する第3決定手段と、
前記制御手段によって制御されるモータの種類を、前記第3決定手段によって決定される前記インダクタンスの値に基づいて判別する判別手段と、
前記第1決定手段が前記誘起電圧の大きさを決定する際に用いられる前記インダクタンスの値を、前記判別手段によって判別されたモータの種類に対応する値に設定する設定手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第2決定手段によって決定された回転位相と前記指令位相との偏差が小さくなるように前記目標値を設定し、
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された駆動電流のトルク電流成分の値が所定値以上の値になると、前記モータの駆動を停止し、
前記第3決定手段は、前記モータの駆動が停止されると、前記インダクタンスの値を決定する処理を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モータの回転に異常が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
第1実施形態に係る画像形成装置を説明する断面図である。
第1実施形態に係る画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
A相及びB相から成る2相のモータと、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。
第1実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
モータの種類を判別する方法を説明する図である。
第1実施形態に係るモータの制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置等にも用いられる。
【0013】
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
【0014】
以下に、図1を用いて、画像形成装置100の構成および機能について説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、原稿給送装置201、読取装置202及び画像印刷装置301を有する。
【0015】
原稿給送装置201の原稿積載部203に積載された原稿は、給送ローラ204によって給送され、搬送ガイド206に沿って読取装置202の原稿ガラス台214上に搬送される。更に、原稿は、搬送ベルト208によって搬送されて、排紙ローラ205によって不図示の排紙トレイへ排紙される。読取装置202の読取位置において照明209によって照明された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210、211、212からなる光学系によって画像読取部111に導かれ、画像読取部111によって画像信号に変換される。画像読取部111は、レンズ、光電変換素子であるCCD、CCDの駆動回路等で構成される。画像読取部111から出力された画像信号は、ASIC等のハードウェアデバイスで構成される画像処理部112によって各種補正処理が行われた後、画像印刷装置301へ出力される。前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
【0016】
また、原稿の読取モードとして、第1読取モードと第2読取モードがある。第1読取モードは、一定速度で搬送される原稿の画像を、所定の位置に固定された照明系209及び光学系によって読み取るモードである。第2読取モードは、読取装置202の原稿ガラス214上に載置された原稿の画像を、一定速度で移動する照明系209及び光学系によって読み取るモードである。通常、シート状の原稿の画像は第1読取モードで読み取られ、本や冊子等の綴じられた原稿の画像は第2読取モードで読み取られる。
【0017】
画像印刷装置301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
【0018】
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、ピックアップローラ303によって給送されて、搬送ローラ306、329によってレジストレーションローラ308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、ピックアップローラ305によって給送されて、搬送ローラ307、306及び329によってレジストレーションローラ308へ送り出される。
【0019】
読取装置202から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、読取装置202から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。
【0020】
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写帯電器315によって記録媒体に転写される。この転写タイミングに合わせて、レジストレーションローラ308は記録媒体を転写位置へ送り込む。
【0021】
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
【0022】
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
【0023】
また、第1面に画像形成された記録媒体がフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
【0024】
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。なお、本実施形態における負荷とはモータによって駆動される対象物である。例えば、給送ローラ204、ピックアップローラ303、305、レジストレーションローラ308及び排紙ローラ319等の各種ローラ(搬送ローラ)や現像器314等は本実施形態における負荷に対応する。本実施形態のモータ制御装置は、これら負荷を駆動するモータに適用することができる。
【0025】
図2は、画像形成装置100の制御構成の例を示すブロック図である。システムコントローラ151は、図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151cを備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置157、センサ類159、ACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
【0026】
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
【0027】
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置157に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが記憶される。
【0028】
システムコントローラ151は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部112に送信する。更に、システムコントローラ151は、センサ類159からの信号を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155の設定値を設定する。
【0029】
高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に応じて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写帯電器315等)に必要な電圧を供給する。
【0030】
モータ制御装置157は、CPU151aから出力された指令に応じてモータ509を制御する。なお、図2においては、画像形成装置のモータとしてモータ509のみが記載されているが、実際には、画像形成装置には2個以上のモータが設けられている。また、1個のモータ制御装置が複数個のモータを制御する構成であっても良い。更に、図2においては、モータ制御装置が1個しか設けられていないが、2個以上のモータ制御装置が画像形成装置に設けられていてもよい。
【0031】
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
【0032】
システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類(以下、紙種と称する)等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成動作の進行状況、原稿読取装置201及び画像印刷装置301におけるシートのジャムや重送等に関する情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
【0033】
前述の如くして、システムコントローラ151は画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。
【0034】
[モータ制御装置]
次に、本実施形態におけるモータ制御装置157について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置157は、ベクトル制御を用いてモータ509を制御する。なお、本実施形態では、モータ509として、モータA又はモータAとは種類が異なるモータBが画像形成装置100に取り付けられ得るが、以下の説明では、モータ509としてモータAが画像形成装置100に取り付けられた構成について説明する。なお、以下の説明においては、電気角としての回転位相θ、指令位相θ_ref及び電流の位相等に基づいて以下の制御が行われるが、例えば、電気角が機械角に変換され、当該機械角に基づいて以下の制御が行われてもよい。
【0035】
<ベクトル制御>
まず、図3及び図4を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置157がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないが、ロータリエンコーダなどのセンサが設けられている構成であってもよい。
【0036】
図3は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)509と、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。図3では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、図3では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)とが用いられる。
【0037】
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する方法もある。
【0038】
図4は、モータ509を制御するモータ制御装置157の構成の例を示すブロック図である。なお、モータ制御装置157は、少なくとも1つのASICで構成されており、以下に説明する各機能を実行する。
【0039】
図4に示すように、モータ制御装置157は、ベクトル制御を行う回路として、位相制御器502、電流制御器503、座標逆変換器505、座標変換器511、モータの巻線に駆動電流を供給するPWMインバータ506等を有する。座標変換器511は、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系からq軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、巻線に流れる駆動電流は、回転座標系における電流値であるq軸成分の電流値(q軸電流)とd軸成分の電流値(d軸電流)とによって表される。なお、q軸電流は、モータ509の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータ509の巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流に相当する。モータ制御装置157は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。この結果、モータ制御装置157は、回転子402にかかる負荷トルクに応じてq軸電流を制御することによって、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。即ち、ベクトル制御においては、図3に示す電流ベクトルの大きさは、回転子402にかかる負荷トルクに応じて変化する。
【0040】
モータ制御装置157は、モータ509の回転子402の回転位相θを後述する方法により決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU151aは、モータ509の回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成し、指令位相θ_refをモータ制御装置157へ出力する。なお、実際には、CPU151aはモータ制御装置157に対してパルス信号を出力しており、パルスの数が指令位相に対応し、パルスの周波数が目標速度に対応する。指令位相θ_refは、例えば、モータ509の目標速度に基づいて生成される。
【0041】
減算器101は、モータ509の回転子402の回転位相θと指令位相θ_refとの偏差Δθを演算して出力する。
【0042】
位相制御器502は、偏差Δθを周期T(例えば、200μs)で取得する。位相制御器502は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から取得する偏差Δθが小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器502は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から取得する偏差Δθが0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成するが、これに限定されるものではない。例えば、位相制御器502は、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、本実施形態においては、巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
【0043】
モータ509のA相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器507によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。また、モータ509のB相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器508によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。なお、電流検出器507、508が電流を検出する周期は、例えば、位相制御器502が偏差Δθを取得する周期T以下の周期(例えば、25μs)である。
【0044】
A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、図3に示す電流ベクトルの位相θeを用いて次式によって表される。なお、電流ベクトルの位相θeは、α軸と電流ベクトルとの成す角度と定義される。また、Iは電流ベクトルの大きさを示す。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512とに入力される。
【0045】
座標変換器511は、次式によって、静止座標系における電流値iα及びiβを回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに変換する。
id=cosθ´*iα+sinθ´*iβ (3)
iq=−sinθ´*iα+cosθ´*iβ (4)
座標変換器511は、変換された電流値iqを減算器102に出力する。また、座標変換器511は、変換された電流値idを減算器103に出力する。
【0046】
減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
【0047】
また、減算器103は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
【0048】
電流制御器503は、PID制御に基づいて、入力される偏差がそれぞれ小さくなるように駆動電圧Vq及びVdを生成する。具体的には、電流制御器503は、入力される偏差がそれぞれ0になるように駆動電圧Vq及びVdを生成して座標逆変換器505に出力する。なお、本実施形態における電流制御器503は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、電流制御器503は、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
【0049】
座標逆変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに逆変換する。
Vα=cosθ´*Vd−sinθ´*Vq (5)
Vβ=sinθ´*Vd+cosθ´*Vq (6)
座標逆変換器505は、逆変換されたVα及びVβを誘起電圧決定器512及びPWMインバータ506に出力する。
【0050】
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有する。フルブリッジ回路は座標逆変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM(パルス幅変調)信号によって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータ509の各相の巻線に供給することによって、モータ509を駆動させる。なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、PWMインバータはハーフブリッジ回路等であっても良い。
(【0051】以降は省略されています)

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