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公開番号2020115714
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200730
出願番号2019006147
出願日20190117
発明の名称電動車両
出願人株式会社SOKEN,トヨタ自動車株式会社
代理人特許業務法人アイテック国際特許事務所
主分類B60L 15/20 20060101AFI20200703BHJP(車両一般)
要約【課題】駆動輪が路面高抵抗部の乗越を完了したのを検知可能にする。
【解決手段】駆動輪に接続されたモータと、駆動輪が路面高抵抗部を乗り越える際に乗越制御を実行する制御装置と、を備える電動車両であって、制御装置は、駆動輪が路面高抵抗部を乗り越えているときには、車体のピッチング運動に関する物理量であるピッチング物理量を用いて駆動輪が路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する。これにより、駆動輪が路面高抵抗部の乗越を完了したのを検知することができる。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
駆動輪に接続されたモータと、
前記駆動輪が路面高抵抗部を乗り越える際に乗越制御を実行する制御装置と、
を備える電動車両であって、
前記制御装置は、前記駆動輪が前記路面高抵抗部を乗り越えているときには、車体のピッチング運動に関する物理量であるピッチング物理量を用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する、
電動車両。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
請求項1記載の電動車両であって、
前記制御装置は、前記ピッチング物理量として、ピッチ角、ピッチレート、ピッチ角の角加速度、前記車体の鉛直上向きの速度、前記車体の鉛直上向きの移動量、前記車体と前記駆動輪との距離、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する、
電動車両。
【請求項3】
請求項2記載の電動車両であって、
前記制御装置は、前記ピッチレートの絶対値が第1閾値以上である条件、前記ピッチ角の絶対値が第2閾値以上で且つ前記ピッチ角の角加速度が第3閾値以上である条件、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する、
電動車両。
【請求項4】
請求項2または3記載の電動車両であって、
前記制御装置は、前記車体の鉛直上向きの速度が前記駆動輪の鉛直上向きの速度よりも大きい条件、前記車体の鉛直上向きの移動量が前記駆動輪の鉛直上向きの移動量よりも大きい条件、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する、
電動車両。
【請求項5】
請求項2ないし4のうちの何れか1つの請求項に記載の電動車両であって、
前記制御装置は、前記車体と前記駆動輪との距離として、前記車体と前記駆動輪との間に取り付けられるサスペンション装置のショックアブソーバのピストンの後退速度、前記ショックアブソーバに作用する荷重、前記ショックアブソーバの長さ、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する、
電動車両。
【請求項6】
請求項5記載の電動車両において、
前記制御装置は、前記ピストンの後退速度が第4閾値以上である条件、前記ショックアブソーバに作用する荷重が第5閾値以下である条件、前記ショックアブソーバの長さが第6閾値以上である条件、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する、
電動車両。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちの何れか1つの請求項に記載の電動車両であって、
前記制御装置は、前記ピッチング物理量に加えて、前記駆動輪の角速度および角加速度のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する、
電動車両。
【請求項8】
請求項7記載の電動車両であって、
前記制御装置は、前記駆動輪の角速度が第7閾値以上である条件、前記駆動輪の角速度と前記駆動輪の角加速度との積が負である条件、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する、
電動車両。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に関する。
続きを表示(約 12,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動車両としては、車両が段差を乗り越える際に、駆動輪に接続された走行用の電動機のトルク制限を連続定格トルクからそれよりも大きい時間定格トルクまで増加させ、その後に設定時間が経過すると時間定格トルクから連続定格トルクまで低下させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電動車両では、こうした制御により、路面の段差を乗り越えやすくすると共に電動機の過熱を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2015−95923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電動車両において、設定時間(電動機のトルク制限が時間定格トルク)の間に駆動輪が路面の段差などの路面高抵抗部の乗越を完了するとは限らない。一方、設定時間が経過する前に駆動輪が路面高抵抗部の乗越を完了すると、運転者に飛び出し感を与える可能性がある。これらのことから、駆動輪が路面高抵抗部の乗越を完了したのを検知可能な手法を考案することが求められている。
【0005】
本発明の電動車両は、駆動輪が路面高抵抗部の乗越を完了したのを検知可能にすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電動車両は、
駆動輪に接続されたモータと、
前記駆動輪が路面高抵抗部を乗り越える際に乗越制御を実行する制御装置と、
を備える電動車両であって、
前記制御装置は、前記駆動輪が前記路面高抵抗部を乗り越えているときには、車体のピッチング運動に関する物理量であるピッチング物理量を用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の電動車両では、駆動輪が路面高抵抗部を乗り越える際に乗越制御を実行する。そして、駆動輪が路面高抵抗部を乗り越えているときには、車体のピッチング運動に関する物理量であるピッチング物理量を用いて駆動輪が路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する。ここで、「路面高抵抗部」としては、例えば、路面の段差や傾斜、溝、オフロード(舗装されていない路面)の窪みなどを挙げることができる。また、「乗越制御」としては、例えば、モータから駆動輪に出力する駆動力を大きくする制御を挙げることができる。発明者らは、実験や解析により、駆動輪が路面高抵抗部の乗越を完了すると、車体が浮いて車体と駆動輪との距離が長くなり、車体にピッチング運動が生じることを見出した。したがって、ピッチング物理量を用いることにより、駆動輪が路面高抵抗部の乗越を完了したのを検知することができる。
【0009】
こうした本発明の電動車両において、前記制御装置は、前記ピッチング物理量として、ピッチ角、ピッチレート(ピッチ角の1回微分)、ピッチ角の角加速度(ピッチ角の2回微分)、前記車体の鉛直上向きの速度、前記車体の鉛直上向きの移動量、前記車体と前記駆動輪との距離、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定するものとしてもよい。
【0010】
この態様の本発明の電動車両において、前記制御装置は、前記ピッチレートの絶対値が第1閾値以上である条件、前記ピッチ角の絶対値が第2閾値以上で且つ前記ピッチ角の角加速度が第3閾値以上である条件、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定するものとしてもよい。
【0011】
また、この態様の本発明の電動車両において、前記制御装置は、前記車体の鉛直上向きの速度が前記駆動輪の鉛直上向きの速度よりも大きい条件、前記車体の鉛直上向きの移動量が前記駆動輪の鉛直上向きの移動量よりも大きい条件、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定するものとしてもよい。
【0012】
さらに、この態様の本発明の電動車両において、前記制御装置は、前記車体と前記駆動輪との距離として、前記車体と前記駆動輪との間に取り付けられるサスペンション装置のショックアブソーバのピストンの後退速度(車体と駆動輪との距離を長くする側の速度)、前記ショックアブソーバに作用する荷重(圧力)、前記ショックアブソーバの長さ、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定するものとしてもよい。
【0013】
この場合、前記制御装置は、前記ピストンの後退速度が第4閾値以上である条件、前記ショックアブソーバに作用する荷重が第5閾値以下である条件、前記ショックアブソーバの長さが第6閾値以上である条件、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定するものとしてもよい。
【0014】
本発明の電動車両において、前記制御装置は、前記ピッチング物理量に加えて、前記駆動輪の角速度および角加速度のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定するものとしてもよい。この場合、前記制御装置は、前記駆動輪の角速度が第7閾値以上である条件、前記駆動輪の角速度と前記駆動輪の角加速度との積が負である条件、のうちの少なくとも1つを用いて前記駆動輪が前記路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定するものとしてもよい。こうすれば、駆動輪が路面高抵抗部の乗越を完了したのをより適切に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の第1実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。
駆動輪30a,30bが路面抵抗部としての段差に差し掛かる前後の駆動輪30a,30bに作用する力を示す説明図である。
処理ルーチンの一例を示す説明図である。
処理ルーチンの一例を示す説明図である。
第2実施例の電気自動車20Bの構成の概略を示す構成図である。
処理ルーチンの一例を示す説明図である。
第3実施例の電気自動車20Cの構成の概略を示す構成図である。
処理ルーチンの一例を示す説明図である。
処理ルーチンの一例を示す説明図である。
処理ルーチンの一例を示す説明図である。
ハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
ハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
ハイブリッド自動車320の構成の概略を示す構成図である。
燃料電池車420の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の第1実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。第1実施例の電気自動車20は、前輪駆動車両として構成されており、図示するように、モータ22と、インバータ24と、バッテリ26と、前輪としての駆動輪30a,30bおよび後輪としての従動輪30c,30dと、車体38と、サスペンション装置40a〜40dと、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)50とを備える。
【0018】
モータ22は、例えば同期発電電動機として構成されており、モータ22の回転軸は、駆動輪30a,30bにデファレンシャルギヤ35を介して連結された駆動軸36に接続されている。このモータ22は、ECU50によってインバータ24の複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。バッテリ26は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ラインを介してインバータ24に接続されている。
【0019】
サスペンション装置40a〜40dは、駆動輪30a,30bや従動輪30c,30dと車体38との間に取り付けられ、路面から車体38に伝達される衝撃を緩和する周知のサスペンション装置として構成されており、アームやスプリング、ショックアブソーバ(ダンパ)42a〜42dを有する。ショックアブソーバ42a〜42dは、それぞれ、シリンダやピストン(ピストンバルブ)44a〜44d、ピストンロッド、作動油(オイル)を有する複筒式や単筒式の周知のショックアブソーバとして構成されており、複筒式の場合、アウターチューブ(外筒)やベースバルブ、ガスを更に有し、単筒式の場合、フリーピストンや高圧ガスを更に有する。
【0020】
ECU50は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。ECU50には、各種センサからの信号が入力される。
【0021】
ECU50に入力される信号としては、例えば、回転位置センサからのモータ22の回転子の回転位置θmや、モータ22の各相の相電流Iu,Ivを挙げることができる。電圧センサからのバッテリ26の電圧Vbや、電流センサからのバッテリ26の電流Ibも挙げることができる。角速度センサ31a,31bからの駆動輪30a,30bの角速度ωwa,ωwb(進行方向の回転を正とする)や、空気圧センサ32a,32bからの駆動輪30a,30bのタイヤ空気圧Pwa,Pwbも挙げることができる。イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号や、シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSPも挙げることができる。アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ68からの車速Vも挙げることができる。車両の周辺を認識する周辺認識装置69からの車体38がピッチング運動する際のピッチ角θp(車両前側が上昇するときを正とする、即ち、ピッチ角θpは仰角に相当する)や、ピッチ角θpの1回微分であるピッチレート(仰角速度)Rp、ピッチ角θpの2回微分であるピッチ角加速度αpも挙げることができる。周辺認識装置69は、カメラや加速度センサ、ミリ波レーダー、準ミリ波レーダー、赤外線レーザーレーダ、ソナーなどにより構成される。なお、周辺認識装置69に代えて、携帯端末(例えば、スマートフォンやタブレット)を用いるものとしてもよい。この場合、携帯端末で、内蔵のジャイロセンサなどによる検出値に基づいてピッチ角θpやピットレートRp、ピッチ角加速度αpを演算し、演算結果を携帯端末からECU50に無線通信により入力するものとしてもよい。
【0022】
ECU50からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力される。ECU50から出力される信号としては、例えば、インバータ24の複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号を挙げることができる。
【0023】
ECU50は、回転位置センサからのモータ22の回転子の回転位置に基づいてモータ22の電気角θeや回転数Nmを演算したり、電流センサからのバッテリ26の電流Ibの積分値に基づいてバッテリ26の蓄電割合SOCを演算したりする。ECU50は、角速度センサ31a,31bからの駆動輪30a,30bの角速度ωwa,ωwbの平均値を角速度ωw(代表値)として演算したり、角速度ωwの微分値(単位時間当たりの変化量)を角加速度αwとして演算したりする。ECU50は、空気圧センサ32a,32bからの駆動輪30a,30bのタイヤ空気圧Pwa,Pwbの平均値をタイヤ空気圧Pw(代表値)として演算する。
【0024】
こうして構成された第1実施例の電気自動車20では、ECU50は、基本的には、以下の通常制御を行なう。通常制御では、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に要求される要求トルクTd*を設定し、要求トルクTd*がモータ22から駆動軸36に出力されるようにモータ22のトルク指令Tm*を設定し、モータ22がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ24の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
【0025】
また、電気自動車20では、ECU50は、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部を乗り超える際には、乗越制御を行なう。具体的には、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部に差し掛かると、乗越制御を開始し、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了すると、乗越制御を終了する。
【0026】
ここで、路面高抵抗部としては、例えば、路面の段差や傾斜、溝、オフロード(舗装されていない路面)の窪みなどを挙げることができる。乗越制御では、要求トルクTd*に所定トルクΔTdを加えたトルク(Td*+ΔTd)がモータ22から駆動軸36に出力されるようにモータ22のトルク指令Tm*を設定し、モータ22がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ24の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。なお、所定トルクΔTdは、路面高抵抗部の乗越に必要なトルクとして適宜設定される。
【0027】
駆動輪30a,30bが路面抵抗部に差し掛かったか否かは、例えば、タイヤ空気圧Pwの単位時間当たりの減少量である空気圧減少量ΔPwを閾値ΔPwrefと比較することにより判定することができる。図2は、駆動輪30a,30bが路面抵抗部としての段差に差し掛かる(段差に当接する)前後の駆動輪30a,30bに作用する力を示す説明図である。図2(A)は、駆動輪30a,30bが段差に当接していないときの様子を示し、図2(B)は、駆動輪30a,30bが段差に当接したときの様子を示す。
【0028】
駆動輪30a,30bが段差に当接していないときには、図2(A)に示すように、駆動輪30a,30bが路面(平坦な地面)により支持され、重力により駆動輪30a,30bが路面を押す力に対する抗力として、路面から駆動輪30a,30bに鉛直上向きの力F0が作用する。一方、駆動輪30a,30bが段差に当接したときには、図2(B)に示すように、駆動輪30a,30bが段差よりも手前の路面と段差とにより支持され、重力により駆動輪30a,30bが段差よりも手前の路面や段差を押す力に対する抗力として、段差よりも手前の路面や段差から駆動輪30a,30bに鉛直上向きの力F1,F2がそれぞれ作用する。ここで、力F1と力F2との和は力F0に等しい。また、力F2は、段差から駆動輪30a,30bの中心に向かう向きの力F3と、力F3に対して車両の進行方向に90度だけ異なる向きの力F4とに分解することができる。このことから、駆動輪30a,30bが段差に当接したときには、当接していないときに比して駆動輪30a,30bの中心に向かう向きの力が減少してタイヤ空気圧Pwが減少する(空気圧減少量ΔPwが大きくなる)ことが分かる。なお、発明者らは、実験や解析によりこのことを確認した。こうした理由から、空気圧減少量ΔPwを閾値ΔPwrefと比較することにより、駆動輪30a,30bが路面の段差に当接したか否かを判定することができるのである。
【0029】
次に、電気自動車20の動作、特に、後進走行で駆動輪30a,30bが路面高抵抗部を乗り越えているときにその乗越を完了したか否かを判定する(乗越を完了したのを検知する)際の動作について説明する。図3は、ECU50により実行される処理ルーチンの一例を示す説明図である。このルーチンは、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部に差し掛かったと判定して乗越制御を開始したときに実行が開始される。
【0030】
図3の処理ルーチンが実行されると、ECU50は、ピッチレートRp、駆動輪30a,30bの角速度ωwおよび角加速度αwを入力する(ステップS100)。ここで、ピッチレートRpは、周辺認識装置69により検出された値を入力するものとした。駆動輪30a,30bの角速度ωwおよび角加速度αwは、角速度センサ31a,31bからの駆動輪30a,30bの角速度ωwa,ωwbに基づいて演算した値を入力するものとした。
【0031】
こうしてデータを入力すると、入力したピッチレートRpの絶対値を閾値Rpthと比較し(ステップS110)、駆動輪30a,30bの角速度ωwを閾値ωwthと比較し(ステップS120)、駆動輪30a,30bの角速度ωwと角加速度αwとの積の符号を調べる(ステップS130)。ここで、ステップS110〜S130の処理は、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定する処理である。以下、詳細について説明する。
【0032】
最初に、ステップS110の処理について説明する。駆動輪30a,30bや従動輪30c,30dと車体38との間にはサスペンション装置40a〜40dが設けられており、このサスペンション装置40a〜40dにより、駆動輪30a,30bや従動輪30c,30dは、車体38によって路面に押しつけられ、車体38は、駆動輪30a,30bや従動輪30c,30dによって上側(路面から離間する側)に押し上げられている。車両が平坦路を走行する際には、車体38と駆動輪30a,30bや従動輪30c,30dとが受ける鉛直方向の力は略一定であり、サスペンション装置40a〜40dのスプリング(図示省略)やショックアブソーバ42a〜42dの伸縮がそれほど生じないから、車体38と駆動輪30a,30bや従動輪30c,30dとの距離がそれほど変化しない。これに対して、後進走行で、前輪としての駆動輪30a,30bが路面高抵抗部を乗り越える際には、駆動輪30a,30bがサスペンション装置40a,40bからの力に抗して上側に移動し、平坦路を走行する際に比してサスペンション装置40a,40bのスプリング(図示省略)やショックアブソーバ42a,42bが縮む。そして、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了すると、駆動輪30a,30bの上側に向かう運動が終了するから、縮んでいたスプリングやショックアブソーバ42a,42bが伸びて車体38前部を上側に押し上げる。これにより、車体38がピッチング運動する。このピッチング運動により、ピッチ角θpやピッチレートRpの絶対値が大きくなる。ステップS110の処理は、このことを踏まえたものである。なお、発明者らは、実験や解析によりこのことを確認した。
【0033】
続いて、ステップS120,S130の処理について説明する。駆動輪30a,30bが路面高抵抗部を乗り越える際には、乗越制御の実行によりモータ22から駆動輪30a,30bに出力するトルクを大きくするから、駆動輪30a,30bの角速度ωwが上昇しやすい。そして、路面高抵抗部の乗越の完了の若干手前から路面抵抗が小さくなると、駆動輪30a,30bの角速度ωwが更に上昇しやすい。ステップS120の処理は、このことを踏まえたものである。その後に、駆動輪30a,30bの角速度ωwが駆動輪30a,30bに出力されるトルクに応じた値に収束し(減速し)、駆動輪30a,30bの角加速度αwが負の値になる。ステップS130の処理は、このことを踏まえたものである。なお、発明者らは、実験や解析により、これらのことを確認した。
【0034】
ステップS110でピッチレートRpの絶対値が閾値Rpth未満のときや、ステップS120で駆動輪30a,30bの角速度ωwが閾値ωwth未満のとき、ステップS130で駆動輪30a,30bの角速度ωwと角加速度αwとの積が値0または正のときには、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了していないと判定し、ステップS100に戻る。
【0035】
そして、ステップS100〜S130の処理を繰り返し実行し、ステップS110でピッチレートRpの絶対値が閾値Rpth以上で且つステップS120で駆動輪30a,30bの角速度ωwが閾値ωwth以上で且つステップS130で駆動輪30a,30bの角速度ωwと角加速度αwとの積が負のときに、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したと判定して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。このようにして、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したのを検知することができる。
【0036】
上述したように、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了すると乗越制御を終了するから、このようにして駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したのを検知することにより、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了する前に乗越制御を終了して乗越が困難になるのを抑制することができると共に、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したにも拘わらずに乗越制御を継続して運転者に飛び出し感を与えてしまうのを抑制することができる。
【0037】
以上説明した第1実施例の電気自動車20では、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部を乗り越えているときには、ピッチレートRpの絶対値が閾値Rpth以上で且つ駆動輪30a,30bの角速度ωwが閾値ωwth以上で且つ駆動輪30a,30bの角速度ωwと角加速度αwとの積が負のときに、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したと判定する。これにより、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したのを検知することができる。
【0038】
第1実施例の電気自動車20では、ECU50は、図3の処理ルーチンを実行するものとしたが、これに代えて、図4の処理ルーチンを実行するものとしてもよい。図4の処理ルーチンは、ステップS100,S110の処理に代えて、ステップS200〜S220の処理を実行する点を除いて、図3の処理ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0039】
図4の処理ルーチンが実行されると、ECU50は、ピッチ角θpやピッチ角加速度αp、駆動輪30a,30bの角速度ωwおよび角加速度αwを入力する(ステップS200)。ここで、ピッチ角θpやピッチ角加速度αpは、周辺認識装置69により検出された値を入力するものとした。駆動輪30a,30bの角速度ωwおよび角加速度αwの入力方法については上述した。
【0040】
こうしてデータを入力すると、入力したピッチ角θpの絶対値を閾値θpthと比較し(ステップS210)、ピッチ角加速度αpを閾値αpthと比較し(ステップS220)、駆動輪30a,30bの角速度ωwを閾値ωwthと比較し(ステップS120)、駆動輪30a,30bの角速度ωwと角加速度αwとの積の符号を調べる(ステップS130)。ステップS210,S220の処理は、ステップS110の処理と同様の理由を踏まえたものである。上述したように、後進走行で、前輪としての駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了すると、駆動輪30a,30bの上側に向かう運動が終了し、縮んでいたスプリングやショックアブソーバ42a,42bが伸びて車体38を上側に押し上げて、車体38前部がピッチング運動する。このピッチング運動により、ピッチ角θpが大きくなる。そして、ピッチ角θpの上昇が終了する。このとき、ピッチレートRpが急低下、即ち、ピッチ角加速度αpが負側に大きくなる。ステップS210の処理は、このことを踏まえたものである。なお、発明者らは、実験や解析によりこのことを確認した。
【0041】
ステップS210でピッチ角θpの絶対値が閾値θpth未満のときや、ステップS220でピッチ角加速度αpが閾値αpthよりも大きいとき、ステップS120で駆動輪30a,30bの角速度ωwが閾値ωwth未満のとき、ステップS130で駆動輪30a,30bの角速度ωwと角加速度αwとの積が値0または正のときには、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了していないと判断し、ステップS200に戻る。
【0042】
そして、ステップS200〜S130の処理を繰り返し実行し、ステップS210でピッチ角θpの絶対値が閾値θpth以上で且つステップS220でピッチ角加速度αpが閾値αpth以下で且つステップS120で駆動輪30a,30bの角速度ωwが閾値ωwth以上で且つステップS130で駆動輪30a,30bの角速度ωwと角加速度αwとの積が負のときに、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したと判定して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。このようにしても、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したか否かを判定することができる。
【0043】
第1実施例や変形例の電気自動車20では、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したか否かの判定において、図3の処理ルーチンでは、車体38のピッチング運動に関する物理量(以下、「ピッチング物理量」という)としてピッチレートRpを用いるものとし、図4の処理ルーチンでは、ピッチング物理量としてピッチ角θpおよびピッチ角加速度αpを用いるものとした。しかし、ピッチング物理量として、ピッチレートRp、ピッチ角θp、ピッチ角加速度αの全てを用いるものとしてもよい。
【0044】
第1実施例や変形例の電気自動車20では、駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了したか否かの判定において、駆動輪30a,30bの角速度ωw、および、駆動輪30a,30bの角速度ωwと角加速度αwとの積の符号を用いるものとしたが、これらのうちの一方だけをものとしてもよいし、これらを何れも用いないものとしてもよい。
【実施例】
【0045】
図5は、第2実施例の電気自動車20Bの構成の概略を示す構成図である。第2実施例の電気自動車20Bは、速度センサ33a,33b,39a,39bを備える点を除いて、図1に示した第1実施例の電気自動車20と同一のハード構成である。したがって、第2実施例の電気自動車20Bのうち第1実施例の電気自動車20と同一の部分については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0046】
電気自動車20BのECU50に入力される信号としては、第1実施例の電気自動車20のECU50に入力される信号に加えて、速度センサ33a,33bからの駆動輪30a,30bの上昇速度Vzwa,Vzwb(鉛直上向きを正とする速度)や、速度センサ39a,39bからの車体38前部の駆動輪30a,30b付近(サスペンション装置40a,40bとの接続部付近)の上昇速度Vzba,Vzbb(鉛直上向きを正とする)を挙げることができる。
【0047】
ECU50は、速度センサ33a,33bからの駆動輪30a,30bの上昇速度Vzwa,Vzwbの平均値を上昇速度Vzw(代表値)として演算したり、この上昇速度Vzwの所定時間における積分値を駆動輪30a,30bの上昇量Δhzw(鉛直上向きを正とする)として演算したりする。また、ECU50は、速度センサ39a,39bからの車体38前部の上昇速度Vzba,Vzbbの平均値を上昇速度Vzb(代表値)として演算したり、この上昇速度Vzbの所定時間における積分値を車体38前部の上昇量Δhzb(鉛直上向きを正とする)として演算したりする。
【0048】
第2実施例の電気自動車20Bでは、ECU50は、図3の処理ルーチンに代えて、図6の処理ルーチンを実行する。図6の処理ルーチンは、ステップS100,S110の処理に代えて、ステップS300〜S320の処理を実行する点を除いて、図3の処理ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
図6の処理ルーチンが実行されると、ECU50は、車体38前部の上昇量Δhzbや上昇速度Vzb、駆動輪30a,30bの上昇量Δhzwや上昇速度Vzw、駆動輪30a,30bの角速度ωwおよび角加速度αwを入力する(ステップS300)。ここで、車体38前部の上昇量Δhzbや上昇速度Vzbは、速度センサ39a,39bからの車体38前部の上昇速度Vzba,Vzbbに基づいて演算した値を入力するものとした。駆動輪30a,30bの上昇量Δhzwや上昇速度Vzwは、速度センサ33a,33bからの駆動輪30a,30bの上昇速度Vzwa,Vzwbに基づいて演算した値を入力するものとした。駆動輪30a,30bの角速度ωwおよび角加速度αwの入力方法については上述した。
【0050】
こうしてデータを入力すると、入力した車体38前部の上昇量Δhzbと駆動輪30a,30bの上昇量Δhzwとを比較し(ステップS310)、車体38前部の上昇速度Vzbと駆動輪30a,30bの上昇速度Vzwとを比較し(ステップS320)、駆動輪30a,30bの角速度ωwを閾値ωwthと比較し(ステップS120)、駆動輪30a,30bの角速度ωwと角加速度αwとの積の符号を調べる(ステップS130)。ステップS310,S320の処理は、ステップS110の処理と同様の理由を踏まえたものである。上述したように、後進走行で、前輪としての駆動輪30a,30bが路面高抵抗部の乗越を完了すると、駆動輪30a,30bの上側に向かう運動が終了し、縮んでいたスプリングやショックアブソーバ42a,42bが伸びて車体38を上側に押し上げて、車体38がピッチング運動する。このピッチング運動により、車体38前部の上昇量Δhzbが駆動輪30a,30bの上昇量Δhzwよりも大きくなり、且つ、車体38前部の上昇速度Vzbが駆動輪30a,30bの上昇速度Vzwよりも大きくなる。ステップS310の処理は、このことを踏まえたものである。なお、発明者らは、実験や解析によりこのことを確認した。
(【0051】以降は省略されています)

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