TOP特許意匠商標
特許ウォッチ DM通知 Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2020099167
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200625
出願番号2018237430
出願日20181219
発明の名称複数の電動機組立体を備えた駆動装置
出願人株式会社荏原製作所
代理人個人,個人
主分類H02P 5/46 20060101AFI20200529BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】共振を防止しつつ、不具合を検出することができる駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置は、第1電動機組立体1Aおよび第2電動機組立体1Bと、第1電動機組立体1Aおよび第2電動機組立体1Bに電気的に接続された周波数ジャンプ制御部63を備える。周波数ジャンプ制御部63は、第1インバータ3Aへの指令周波数が周波数ジャンプ帯域内にある場合は、周波数ジャンプ帯域の下限値または上限値に相当する周波数の交流電力を第1インバータ3Aに出力させるように構成されており、周波数ジャンプ制御部は、第1振動センサ60Aの出力値の最大値と第2振動センサ60Bの出力値の最大値との差が、予め設定された許容値よりも大きいときに、警報信号を発する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第1電動機組立体および第2電動機組立体と、
前記第1電動機組立体および前記第2電動機組立体に電気的に接続された周波数ジャンプ制御部を備え、
前記第1電動機組立体は、第1電動機と、前記第1電動機に交流電力を供給する第1インバータと、前記第1インバータに固定された第1振動センサを備え、前記第1インバータは、前記第1電動機に固定されており、
前記第2電動機組立体は、第2電動機と、前記第2電動機に交流電力を供給する第2インバータと、前記第2インバータに固定された第2振動センサを備え、前記第2インバータは、前記第2電動機に固定されており、
前記周波数ジャンプ制御部は、前記第1インバータへの指令周波数が周波数ジャンプ帯域内にある場合は、前記周波数ジャンプ帯域の下限値または上限値に相当する周波数の交流電力を前記第1インバータに出力させるように構成されており、
前記周波数ジャンプ制御部は、前記第1振動センサの出力値の最大値と前記第2振動センサの出力値の最大値との差が、予め設定された許容値よりも大きいときに、警報信号を発するように構成されている、駆動装置。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
前記周波数ジャンプ制御部は、前記第1電動機および前記第2電動機の運転中に前記第1振動センサの出力値および前記第2振動センサの出力値を取得し、前記第1振動センサの出力値の最大値および前記第2振動センサの出力値の最大値を決定し、前記第1振動センサの出力値の最大値と、前記第2振動センサの出力値の最大値との差を算出し、前記差が前記許容値よりも大きいときに、警報信号を発するように構成されている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記周波数ジャンプ制御部は、前記差が前記許容値よりも大きく、かつ前記第1振動センサの出力値の最大値および前記第2振動センサの出力値の最大値のうちの少なくとも1つが、予め設定された上限値よりも大きいときに、警報信号を発するように構成されている、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記周波数ジャンプ制御部は、警報信号を発するとともに、前記第1電動機または前記第2電動機を停止させるように構成されている、請求項2または3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記周波数ジャンプ帯域は、しきい値よりも大きい前記第1振動センサの出力値に対応する前記第1インバータへの第1指令周波数の範囲である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第1インバータは、電気回路を有するインバータ基板と、スイッチング素子と、前記インバータ基板および前記スイッチング素子を収容するインバータケーシングを備えており、
前記第1振動センサは、前記インバータ基板に固定されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記インバータケーシングの内部空間の少なくとも一部は、樹脂で充填されており、
前記インバータ基板および前記第1振動センサは、前記樹脂に埋設されている、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記インバータ基板は、前記第1電動機の駆動軸に対して垂直である、請求項6または7に記載の駆動装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータと電動機が一体に構成された電動機組立体を備えた駆動装置に関するものである。
続きを表示(約 12,000 文字)【背景技術】
【0002】
インバータと電動機が一体に構成された電動機組立体は、ポンプなどの回転機械の駆動源として使用される。電動機組立体が組み込まれた機械システムでは、回転速度が機械システムの固有振動数と一致すると、共振が起こり、大きな振動や騒音が発生する。そこで、共振を回避する周波数ジャンプの機能がインバータに備えられている。
【0003】
周波数ジャンプは、共振が起こりうる周波数ジャンプ帯域を回避して電動機を駆動する機能である。周波数ジャンプ帯域の設定は、次のように行われる。電動機組立体に振動センサを設置し、モータの回転速度(すなわち、インバータの出力周波数)を徐々に変えながら、振動のピーク(極大値)に基づいて固有振動数を決定し、その固有振動数をインバータに入力する。インバータは、入力された固有振動数を中心とする周波数ジャンプ帯域を設定し、記憶装置に格納する。
【0004】
図8および図9は、周波数ジャンプを説明するグラフである。縦軸はインバータの出力周波数を表し、横軸はインバータに入力される指令周波数を表している。図8に示すように、指令周波数が上昇して、周波数ジャンプ帯域に達すると、インバータの出力周波数は周波数ジャンプ帯域の下限値Lに固定される。上昇中の指令周波数が周波数ジャンプ帯域内にある間は、インバータの出力周波数は周波数ジャンプ帯域の下限値Lに維持される。指令周波数が周波数ジャンプ帯域を超えると、インバータの出力周波数は指令周波数と同じ周波数に復帰する。
【0005】
図9に示すように、指令周波数が低下して、周波数ジャンプ帯域に達すると、インバータの出力周波数は周波数ジャンプ帯域の上限値Hに固定される。低下中の指令周波数が周波数ジャンプ帯域内にある間は、インバータの出力周波数は周波数ジャンプ帯域の上限値Hに維持される。指令周波数が周波数ジャンプ帯域を下回ると、インバータの出力周波数は指令周波数と同じ周波数に復帰する。
【0006】
このような周波数ジャンプ機能によれば、インバータは、共振が起こりうる周波数帯域を避けて電動機を回転させることができる。したがって、インバータおよび電動機が組み込まれた機械システムの共振を未然に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平10−336946号公報
特表2008−536467号公報
特開2016−111793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インバータおよび電動機を備えた電動機組立体を含む機械システムの固有振動数は、機械システム自身のみならず、機械システムに固定された配管などの付加物に依存して変わりうる。特に、複数の電動機組立体を備えた駆動装置では、共振が発生する条件はより複雑である。このため、上述した周波数ジャンプの機能が正常に動作しているときでも、機械システムの設置環境の変化、または機械システム自体の状態の変化により、電動機組立体が大きく振動することがある。しかしながら、振動が共振に起因するものか、あるいは機械システム自体の不具合によるものかを判断することは難しい。振動が共振に起因して起こっているのであれば、適切な周波数ジャンプ帯域を設定することにより振動を回避することができる。これに対し、振動が機械システムの不具合に起因して起こっている場合には、機械システムのダメージを最小にするために電動機組立体の運転を直ちに停止する必要がある。
【0009】
そこで、本発明は、共振を防止しつつ、不具合を検出することができる駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、第1電動機組立体および第2電動機組立体と、前記第1電動機組立体および前記第2電動機組立体に電気的に接続された周波数ジャンプ制御部を備え、前記第1電動機組立体は、第1電動機と、前記第1電動機に交流電力を供給する第1インバータと、前記第1インバータに固定された第1振動センサを備え、前記第1インバータは、前記第1電動機に固定されており、前記第2電動機組立体は、第2電動機と、前記第2電動機に交流電力を供給する第2インバータと、前記第2インバータに固定された第2振動センサを備え、前記第2インバータは、前記第2電動機に固定されており、前記周波数ジャンプ制御部は、前記第1インバータへの指令周波数が周波数ジャンプ帯域内にある場合は、前記周波数ジャンプ帯域の下限値または上限値に相当する周波数の交流電力を前記第1インバータに出力させるように構成されており、前記周波数ジャンプ制御部は、前記第1振動センサの出力値の最大値と前記第2振動センサの出力値の最大値との差が、予め設定された許容値よりも大きいときに、警報信号を発するように構成されている、駆動装置が提供される。
【0011】
一態様では、前記周波数ジャンプ制御部は、前記第1電動機および前記第2電動機の運転中に前記第1振動センサの出力値および前記第2振動センサの出力値を取得し、前記第1振動センサの出力値の最大値および前記第2振動センサの出力値の最大値を決定し、前記第1振動センサの出力値の最大値と、前記第2振動センサの出力値の最大値との差を算出し、前記差が前記許容値よりも大きいときに、警報信号を発するように構成されている。
一態様では、前記周波数ジャンプ制御部は、前記差が前記許容値よりも大きく、かつ前記第1振動センサの出力値の最大値および前記第2振動センサの出力値の最大値のうちの少なくとも1つが、予め設定された上限値よりも大きいときに、警報信号を発するように構成されている。
一態様では、前記周波数ジャンプ制御部は、警報信号を発するとともに、前記第1電動機または前記第2電動機を停止させるように構成されている。
【0012】
一態様では、前記周波数ジャンプ帯域は、しきい値よりも大きい前記第1振動センサの出力値に対応する前記第1インバータへの第1指令周波数の範囲である。
一態様では、前記第1インバータは、電気回路を有するインバータ基板と、スイッチング素子と、前記インバータ基板および前記スイッチング素子を収容するインバータケーシングを備えており、前記第1振動センサは、前記インバータ基板に固定されている。
一態様では、前記インバータケーシングの内部空間の少なくとも一部は、樹脂で充填されており、前記インバータ基板および前記第1振動センサは、前記樹脂に埋設されている。
一態様では、前記インバータ基板は、前記第1電動機の駆動軸に対して垂直である。
【発明の効果】
【0013】
共振が起こっているとき、第1電動機組立体と第2電動機組立体は、同じように振動する。これに対し、第1電動機組立体または第2電動機組立体のどちらかに不具合が発生している場合、あるいは第1電動機組立体または第2電動機組立体に連結されている回転機械(例えばポンプ)に不具合が発生している場合は、両者は異なる態様で振動する。本実施形態によれば、周波数ジャンプ制御部は、第1振動センサの出力値の最大値と第2振動センサの出力値の最大値の差に基づいて、不具合が発生していることを正しく決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
複数の電動機組立体を備えた駆動装置の上面図である。
図1の矢印Aで示す方向から見た駆動装置の図である。
第1電動機組立体の一実施形態を示す断面図である。
第1電動機組立体の他の実施形態を示す断面図である。
周波数ジャンプ帯域を決定および設定する方法の一実施形態を説明するグラフである。
周波数ジャンプ帯域を決定および設定する方法の一実施形態を説明するグラフである。
上述した実施形態に係る駆動装置が組み込まれたポンプ装置の一実施形態を示す模式図である。
指令周波数が上昇しているときの周波数ジャンプを説明するグラフである。
指令周波数が低下しているときの周波数ジャンプを説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、複数の電動機組立体を備えた駆動装置の上面図であり、図2は、図1の矢印Aで示す方向から見た駆動装置の図である。本実施形態の駆動装置は、共通の架台15に固定された第1電動機組立体1Aおよび第2電動機組立体1Bと、第1電動機組立体1Aおよび第2電動機組立体1Bに電気的に接続された周波数ジャンプ制御部63を備えている。周波数ジャンプ制御部63の配置は特に限定されない。例えば、周波数ジャンプ制御部63は架台15上に配置されてもよいし、第1電動機組立体1Aまたは第2電動機組立体1B上に配置されてもよい。一実施形態では、駆動装置は、第1電動機組立体1Aおよび第2電動機組立体1Bに加えて、1つまたは複数の電動機組立体をさらに備えてもよい。
【0016】
第1電動機組立体1Aは、第1電動機2Aと、第1電動機2Aに交流電力を供給する第1インバータ3Aと、第1インバータ3Aに固定された第1振動センサ60Aを備えている。第1インバータ3Aは第1電動機2Aに固定されており、第1電動機2Aと第1インバータ3Aは一体的な構造体を構成している。第2電動機組立体1Bは、第2電動機2Bと、第2電動機2Bに交流電力を供給する第2インバータ3Bと、第2インバータ3Bに固定された第2振動センサ60Bを備えている。第2インバータ3Bは第2電動機2Bに固定されており、第2電動機2Bと第2インバータ3Bは一体的な構造体を構成している。
【0017】
第1電動機組立体1Aと第2電動機組立体1Bは、同じ構成を有している。したがって、特に説明しない第2電動機組立体1Bの構成および動作は、第1電動機組立体1Aと同じであるので、第2電動機組立体1Bの重複する説明を省略する。
【0018】
図3は、第1電動機組立体1Aの一実施形態を示す断面図である。図3に示すように、第1電動機組立体1Aは、第1電動機2Aと、第1電動機2Aに交流電力を供給する第1インバータ3Aを備えている。第1インバータ3Aは第1電動機2Aに固定されており、第1電動機2Aと第1インバータ3Aは一体的な構造体を構成している。第1電動機2Aの駆動軸5は第1インバータ3Aを貫通して延びている。
【0019】
第1電動機2Aは、駆動軸5と、駆動軸5に固定された回転子6と、回転子6の周囲に配置された固定子7と、回転子6および固定子7を収容するモータケーシング10を備えている。駆動軸5は、モータケーシング10に固定された2つの軸受27,28によって回転可能に支持されている。第1インバータ3Aは、電力線(図示せず)によって固定子7に接続されている。第1インバータ3Aが固定子7に交流電力を供給すると、固定子7は回転子6の周りに回転磁界を形成する。回転子6は、回転磁界によって回転し、駆動軸5は回転子6とともに回転する。
【0020】
第1インバータ3Aは、電気回路41を有するインバータ基板42と、コンデンサ43と、スイッチング素子44と、インバータ基板42およびスイッチング素子44を収容するインバータケーシング21を備えている。インバータケーシング21は、モータケーシング10に固定されている。
【0021】
駆動軸5は、モータケーシング10およびインバータケーシング21を貫通して延びている。モータケーシング10およびインバータケーシング21は、駆動軸5と同心状に配置されている。本実施形態では、モータケーシング10およびインバータケーシング21は、駆動軸5に沿って直列に配置されているため、第1電動機組立体1Aをコンパクトにすることができる。
【0022】
駆動軸5の一端は、図示しない回転機械(例えばポンプ)に連結される。駆動軸5の他端には、冷却ファン25が固定されている。この冷却ファン25は第1インバータ3Aの外側に配置されており、第1インバータ3Aの端面に隣接している。第1電動機2Aが回転すると、冷却ファン25が回転し、インバータケーシング21およびモータケーシング10の外面に空気の流れを形成する。第1電動機組立体1Aは、冷却ファン25を覆うファンカバー51を備えている。ファンカバー51は、インバータケーシング21に固定されている。
【0023】
図3において、第1電動機2Aは模式的に描かれている。第1電動機2Aは、例えば、回転子6に永久磁石を用いた永久磁石型モータである。しかしながら、第1電動機2Aは、永久磁石型モータに限定されず、誘導モータやSRモータなど、様々な種類のモータであってもよい。
【0024】
インバータケーシング21は、その外周面に冷却フィン56を有している。冷却フィン56は、駆動軸5の長手方向に延びている。インバータケーシング21は、その端面に冷却フィン36をさらに有している。冷却フィン36は、冷却ファン25に隣接しており、駆動軸5から放射状に延びている。モータケーシング10は、その外周面に冷却フィン57を有している。冷却フィン57は、駆動軸5の長手方向に延びている。
【0025】
冷却ファン25によって形成される空気の流れは、冷却フィン36、冷却フィン56、および冷却フィン57に接触しながら、第1インバータ3Aおよび第1電動機2Aの外面上を流れる。第1インバータ3Aおよび第1電動機2Aは、この空気の流れによって冷却される。スイッチング素子44は、インバータケーシング21の内面に接触しており、かつ冷却フィン36の裏側に位置している。このような配置により、スイッチング素子44は、冷却ファン25によって形成される空気の流れによって効率よく冷却される。
【0026】
インバータ基板42は、冷却フィン36の裏側の位置において、インバータケーシング21の内面に固定されている。第1電動機2Aの駆動軸5は、インバータ基板42を貫通して延びている。インバータ基板42は、駆動軸5に対して垂直である。第1電動機組立体1Aは、駆動軸5の外周面を覆う筒状壁50をさらに備えている。この筒状壁50は、第1インバータ3A内に配置されている。インバータ基板42は、駆動軸5および筒状壁50が貫通する環状形状を有しており、駆動軸5と同心状に配置されている。筒状壁50は、第1インバータ3Aと固定子7とを接続する上記電力線(図示せず)が駆動軸5に接触することを防止することができる。
【0027】
第1電動機組立体1Aは、第1インバータ3Aに固定された第1振動センサ60Aをさらに備えている。本実施形態では、第1振動センサ60Aは、インバータ基板42に固定されている。一実施形態では、第1振動センサ60Aは、インバータケーシング21に固定されてもよい。この第1振動センサ60Aは、第1電動機2Aの回転に起因して発生する振動の大きさを測定するための振動検出器である。第1インバータ3Aは第1電動機2Aに固定され、第1振動センサ60Aは第1インバータ3Aに固定されているので、第1振動センサ60Aは、振動の大きさを正確に検出することができる。
【0028】
本実施形態では、第1振動センサ60Aは、特に、第1電動機2Aの回転速度が、図1に示す駆動装置が組み込まれた機械システム(例えば給水装置などのポンプ装置)の固有振動数に一致したときの共振を検出するために用いられる。共振が発生したときの振動の方向は、駆動軸5に対して垂直である。インバータ基板42は、駆動軸5に対して垂直であるので、共振が発生したときにインバータ基板42は撓みにくい(変形しにくい)。したがって、インバータ基板42に固定された第1振動センサ60Aは、共振を精度良く検出することができる。
【0029】
図4に示すように、インバータ基板42の撓みを防ぎ、かつ振動が第1振動センサ60Aに効率よく伝わるようにするために、インバータケーシング21の内部空間の少なくとも一部を樹脂68で充填し、インバータ基板42および第1振動センサ60Aを樹脂68に埋設してもよい。
【0030】
図3に戻り、周波数ジャンプ制御部63は、第1インバータ3Aに隣接して配置されている。一実施形態では、周波数ジャンプ制御部63は、第1インバータ3A内に配置されてもよい。より具体的には、周波数ジャンプ制御部63は、インバータ基板42またはインバータケーシング21に固定されてもよい。
【0031】
周波数ジャンプ制御部63は、プログラムを格納する記憶装置63aと、プログラムに従って演算を実行する演算装置63bを有している。本実施形態では、演算装置63bは、第1インバータ3Aとは独立に設けられているが、第1インバータ3Aの演算装置が、周波数ジャンプ制御部63の演算装置として機能してもよい。第1振動センサ60Aは、周波数ジャンプ制御部63に電気的に接続されており、第1振動センサ60Aの出力値は周波数ジャンプ制御部63に送られるようになっている。図1に示す第2振動センサ60Bも、周波数ジャンプ制御部63に電気的に接続されており、第2振動センサ60Bの出力値は周波数ジャンプ制御部63に送られるようになっている。
【0032】
周波数ジャンプ制御部63は、第1振動センサ60Aの出力値に基づいて周波数ジャンプ帯域を決定するように構成されている。より具体的には、周波数ジャンプ制御部63は、第1振動センサ60Aの出力値をしきい値と比較し、しきい値よりも大きい出力値に対応する第1インバータ3Aへの指令周波数の範囲を決定し、決定した指令周波数の範囲を周波数ジャンプ帯域に設定するように構成されている。周波数ジャンプ制御部63は、決定された周波数ジャンプ帯域を記憶装置63aに記憶する。
【0033】
図1に示す駆動装置の運転中は、周波数ジャンプ制御部63は、駆動装置の外部に配置された制御装置(図示せず)に接続されている。制御装置は、例えば、第1電動機組立体1Aおよび第2電動機組立体1Bに連結された複数のポンプの運転を制御するための制御装置である。この制御装置から第1指令周波数が周波数ジャンプ制御部63に入力される。第1指令周波数は、第1インバータ3Aが第1電動機2Aに供給すべき交流電力の周波数の指令値である。周波数ジャンプ制御部63は、第1インバータ3Aへの第1指令周波数が周波数ジャンプ帯域外にある場合は、第1指令周波数と同じ周波数の交流電力を第1インバータ3Aに出力させ、第1インバータ3Aへの第1指令周波数が周波数ジャンプ帯域内にある場合は、周波数ジャンプ帯域の下限値または上限値に相当する周波数の交流電力を第1インバータ3Aに出力させるように構成されている。このような機能は、周波数ジャンプ機能と呼ばれる。本明細書では、第1インバータ3Aおよび第2インバータ3Bから出力される交流電力の周波数を、出力周波数という。
【0034】
周波数ジャンプ機能は、図8および図9を参照して説明した動作と同じである。すなわち、図8に示すように、指令周波数(本実施形態では第1指令周波数)が上昇して、周波数ジャンプ帯域に達すると、第1インバータ3Aの出力周波数は周波数ジャンプ帯域の下限値Lに固定される。上昇中の指令周波数が周波数ジャンプ帯域内にある間は、第1インバータ3Aの出力周波数は周波数ジャンプ帯域の下限値Lに維持される。指令周波数が周波数ジャンプ帯域を超えると、第1インバータ3Aの出力周波数は指令周波数と同じ周波数に復帰する。
【0035】
図9に示すように、指令周波数が低下して、周波数ジャンプ帯域に達すると、第1インバータ3Aの出力周波数は周波数ジャンプ帯域の上限値Hに固定される。低下中の指令周波数が周波数ジャンプ帯域内にある間は、第1インバータ3Aの出力周波数は周波数ジャンプ帯域の上限値Hに維持される。指令周波数が周波数ジャンプ帯域を下回ると、第1インバータ3Aの出力周波数は指令周波数と同じ周波数に復帰する。
【0036】
第2電動機2Bを運転するときは、上述した外部の制御装置から第2指令周波数が周波数ジャンプ制御部63に入力される。第2指令周波数は、第2インバータ3Bが第2電動機2Bに供給すべき交流電力の周波数の指令値である。第2インバータ3Bは、第2指令周波数に相当する周波数を持つ交流電力を第2電動機2Bに供給する。
【0037】
第2電動機組立体1Bは、第1電動機組立体1Aと実質的に同じ構成を有している。したがって、第1電動機組立体1A用に設定された上記周波数ジャンプ帯域は、第2電動機組立体1Bの運転にも適用できる。すなわち、周波数ジャンプ制御部63は、第2インバータ3Bへの第2指令周波数が周波数ジャンプ帯域外にある場合は、第2指令周波数と同じ周波数の交流電力を第2インバータ3Bに出力させ、第2インバータ3Bへの第2指令周波数が周波数ジャンプ帯域内にある場合は、周波数ジャンプ帯域の下限値または上限値に相当する周波数の交流電力を第2インバータ3Bに出力させるように構成されている。
【0038】
第1電動機組立体1Aおよび第2電動機組立体1Bが組み込まれた機械システム(例えば給水装置などのポンプ装置)の固有振動数は、機械システム自身のみならず、機械システムに固定された配管などの付加物に依存して変わりうる。本実施形態によれば、第1振動センサ60Aと周波数ジャンプ制御部63との組み合わせにより、機械システムが設置された後に、周波数ジャンプ帯域の決定および設定を自動で実行することができる。したがって、第1電動機組立体1Aおよび第2電動機組立体1Bを含む機械システムの共振が防止される。
【0039】
一実施形態では、周波数ジャンプ帯域の決定および設定は、第1電動機組立体1Aおよび第2電動機組立体1Bの通常運転の前の試運転時に実行される。図5に示すように、試運転では、周波数ジャンプ制御部63は、第1インバータ3Aへの第1指令周波数を0から最大周波数(定格周波数)Fmaxまで変化させ、第1電動機2Aの回転速度を変化させながら、第1振動センサ60Aの出力値を取得する。本実施形態では、周波数ジャンプ制御部63は、第1インバータ3Aへの第1指令周波数を0から最大周波数Fmaxまで直線的に変化させ、第1電動機2Aの回転速度を一定の加速度で直線的に変化させるように構成されている。周波数ジャンプ制御部63は、取得した第1振動センサ60Aの出力値をしきい値と比較し、しきい値よりも大きい第1振動センサ60Aの出力値に対応する第1指令周波数の範囲R1,R2を決定し、決定された範囲R1,R2を周波数ジャンプ帯域に設定する。周波数ジャンプ制御部63は、周波数ジャンプ帯域R1,R2を記憶装置63a内に記憶する。図5に示す例では、2つの周波数ジャンプ帯域R1,R2が設定される。周波数ジャンプ制御部63に設定可能な周波数ジャンプ帯域の数は、予め定められている。
【0040】
第1電動機2Aの運転中に、外部の制御装置から周波数ジャンプ制御部63に入力された第1指令周波数が、上記複数の周波数ジャンプ帯域R1,R2のうちのいずれかにある場合は、周波数ジャンプ制御部63は、その周波数ジャンプ帯域の下限値または上限値に相当する周波数の交流電力を第1インバータ3Aに出力させる。
【0041】
周波数ジャンプ制御部63は、周波数ジャンプ帯域R1,R2を第2電動機組立体1Bの運転にも適用する。すなわち、第2電動機2Bの運転中に周波数ジャンプ制御部63に入力された第2指令周波数が、上記複数の周波数ジャンプ帯域R1,R2のうちのいずれかにある場合は、周波数ジャンプ制御部63は、その周波数ジャンプ帯域の下限値または上限値に相当する周波数の交流電力を第2インバータ3Bに出力させる。
【0042】
一実施形態では、周波数ジャンプ制御部63は、図6に示すように、第1電動機2Aおよび第2電動機2Bの運転中に周波数ジャンプ帯域R3を設定してもよい。より具体的には、周波数ジャンプ制御部63は、第1電動機2Aおよび第2電動機2Bの運転中に第1振動センサ60Aの出力値を取得し、第1振動センサ60Aの出力値をしきい値と比較し、しきい値よりも大きい第1振動センサ60Aの出力値に対応する第1指令周波数の範囲R3を決定し、決定された範囲R3を周波数ジャンプ帯域に設定する。周波数ジャンプ制御部63は、周波数ジャンプ帯域R3を記憶装置63a内に記憶する。
【0043】
上述したように、周波数ジャンプ機能は、共振が起こると予想される周波数帯域を回避することで、図1に示す駆動装置が組み込まれた機械システムの安全な運転を確保することができる。しかしながら、上述した周波数ジャンプ帯域が既に設定されているにもかかわらず、共振が発生した場合には、駆動装置、または駆動装置に連結されたポンプなどの回転機械に何らかの不具合が発生していると推定される。
【0044】
そこで、本実施形態では、周波数ジャンプ制御部63は、第1振動センサ60Aの出力値の最大値と第2振動センサ60Bの出力値の最大値との差が、予め設定された許容値よりも大きいときに、警報信号を発するように構成されている。より具体的には、周波数ジャンプ制御部63は、第1電動機2Aおよび第2電動機2Bの運転中に第1振動センサ60Aの出力値および第2振動センサ60Bの出力値を取得し、第1振動センサ60Aの出力値の最大値および第2振動センサ60Bの出力値の最大値を決定し、第1振動センサ60Aの出力値の最大値と、第2振動センサ60Bの出力値の最大値との差を算出し、差が許容値よりも大きいときに、警報信号を発するように構成されている。
【0045】
周波数ジャンプ制御部63は、決定した第1振動センサ60Aの出力値の最大値および第2振動センサ60Bの出力値の最大値を記憶装置63a内に記憶する。周波数ジャンプ制御部63は、第1電動機2Aの運転中に新たに取得した第1振動センサ60Aの出力値を上記最大値と比較し、新たに取得した出力値が上記最大値よりも大きければ、第1振動センサ60Aの出力値の最大値を更新する。同様に、周波数ジャンプ制御部63は、第2電動機2Bの運転中に新たに取得した第2振動センサ60Bの出力値を上記最大値と比較し、新たに取得した出力値が上記最大値よりも大きければ、第2振動センサ60Bの出力値の最大値を更新する。
【0046】
共振が起こっているとき、第1電動機組立体1Aと第2電動機組立体1Bは、同じように振動する。これに対し、第1電動機組立体1Aまたは第2電動機組立体1Bのどちらかに不具合が発生している場合、あるいは第1電動機組立体1Aまたは第2電動機組立体1Bに連結されている回転機械(例えばポンプ)に不具合が発生している場合は、両者は異なる態様で振動する。本実施形態によれば、周波数ジャンプ制御部63は、第1振動センサ60Aの出力値の最大値と第2振動センサ60Bの出力値の最大値の差に基づいて、不具合が発生していることを正しく決定することができる。
【0047】
周波数ジャンプ制御部63は、警報信号を発するとともに、第1振動センサ60Aの出力値の最大値と、第2振動センサ60Bの出力値の最大値のうちの大きい方に対応する電動機の運転を停止してもよい。例えば、第1振動センサ60Aの出力値の最大値が第2振動センサ60Bの出力値の最大値よりも大きい場合は、周波数ジャンプ制御部63は、第1振動センサ60Aに対応する第1電動機2Aの運転を停止させる。このような動作により、不具合が発生している電動機組立体へのダメージを最小にすることができる。
【0048】
一実施形態では、第1電動機組立体1Aまたは第2電動機組立体1Bの不具合をより正確に検出するために、周波数ジャンプ制御部63は、上記差が許容値よりも大きく、かつ第1振動センサ60Aの出力値の最大値および第2振動センサ60Bの出力値の最大値のうちの少なくとも1つが、予め設定された上限値よりも大きいときに、警報信号を発するように構成されてもよい。
【0049】
次に、上述した実施形態に係る駆動装置をポンプ装置に適用した例について説明する。図7は、上述した実施形態に係る駆動装置が組み込まれたポンプ装置の一実施形態を示す模式図である。以下に説明する実施形態は、ポンプ装置を給水装置に適用した例であるが、上記駆動装置を備えたポンプ装置は、消火ポンプ装置や汚水ポンプなどの他のタイプのポンプ装置にも適用することができる。以下、上述した実施形態に係る駆動装置が組み込まれたポンプ装置を給水装置として説明する。
【0050】
給水装置は、集合住宅などの建物に水を供給するためのポンプ装置である。図7に示すように、給水装置の吸込み口71は、吸込管73を介して受水槽75に接続されている。受水槽75は、図示しない水道本管から延びる導水管77を通じて水が供給される。給水装置の吐出し口72は給水管78に接続されており、この給水管78は、図示しない建物の給水栓(蛇口など)に連通している。
(【0051】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

株式会社荏原製作所
基板洗浄装置
株式会社荏原製作所
電動機組立体
株式会社荏原製作所
電動機組立体
株式会社荏原製作所
回転機械装置
株式会社荏原製作所
真空ポンプ装置
株式会社荏原製作所
研磨レシピ決定装置
株式会社荏原製作所
研磨方法および研磨装置
株式会社荏原製作所
研磨装置および研磨方法
株式会社荏原製作所
すべり軸受装置及びポンプ
株式会社荏原製作所
移載機及びベベル研磨装置
株式会社荏原製作所
基板ホルダに使用するシール
株式会社荏原製作所
基板ホルダおよびめっき装置
株式会社荏原製作所
キャンドモータ、及び液中ポンプ
株式会社荏原製作所
光学式膜厚測定システムの洗浄方法
株式会社荏原製作所
複数の電動機組立体を備えた駆動装置
株式会社荏原製作所
複数の電動機組立体を備えた駆動装置
株式会社荏原製作所
キャンドモータ、及び液中ポンプ装置
株式会社荏原製作所
処理ツール及びこれを備えた処理装置
株式会社荏原製作所
ポンプ制御ユニット、及び、ポンプ装置
株式会社荏原製作所
研磨装置及び研磨部材のドレッシング方法
株式会社荏原製作所
研磨装置及び研磨部材のドレッシング方法
株式会社荏原製作所
めっき装置及び処理槽への基板の収容方法
株式会社荏原製作所
研磨装置および静止リングの傾きを制御する方法
株式会社荏原製作所
基板ホルダのシールから液体を除去するための方法
株式会社荏原製作所
漏れ検査方法、漏れ検査装置、めっき方法、およびめっき装置
株式会社荏原製作所
触媒基準エッチングに使用される触媒、触媒を備える処理パッド、および触媒基準エッチング装置
株式会社荏原製作所
めっき可能な基板の枚数を予測する予測モデルを構築する方法、不具合を引き起こす構成部材を予想するための選択モデルを構築する方法、およびめっき可能な基板の枚数を予測する方法
個人
分電盤
日本電産株式会社
モータ
日本電産株式会社
モータ
日本電産株式会社
モータ
個人
充電装置
TOTO株式会社
水力発電機
FDK株式会社
電源装置
KYB株式会社
回転電機
株式会社デンソー
駆動装置
続きを見る