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公開番号2020078247
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200521
出願番号2020021761
出願日20200212
発明の名称駆動装置、アクチュエータユニット、ロボット装置、駆動装置の制御方法、アクチュエータユニットの制御方法、ロボット装置の制御方法
出願人キヤノン株式会社
代理人特許業務法人近島国際特許事務所
主分類H02P 29/40 20160101AFI20200424BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】俊敏にかつ精密に移動部材を移動制御することが可能なモータ駆動装置の制御装置を提供する。
【解決手段】ロボットアームは、モータ103に接続された減速機を介してアームを移動制御する。そのコントローラ101は、入力された推力指令値FLrefに基づきモータ位置指令値PMrefを生成する推力制御部302と、モータ位置指令値PMrefに基づき電流値IMを生成するモータ制御部303とを備えており、モータ制御部303により、モータエンコーダ104により検出されるモータ位置PMをフィードバックすると共に、推力制御部302により、推力計107により検出される推力FLをフィードバックする。モータ制御部303のフィードバックにより減速機の振動現象を抑制し、推力制御部302のフィードバックにより伝達誤差を抑制することで、俊敏かつ精密なアームの移動制御を可能にする。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
モータに接続された伝達機構を介して移動部材を移動制御するモータ駆動装置の制御装置において、
入力された推力指令値に基づき前記モータの位置指令値を生成する推力制御部と、
前記モータの位置指令値に基づき前記モータを制御する電流値を生成するモータ制御部と、を備え、
前記モータ制御部により、前記モータの回転を出力する出力部材の位置を検出するモータ位置検出手段の検出結果に応じた第1のフィードバック制御を実行すると共に、前記推力制御部により、前記移動部材に発生した推力を検出する推力検出手段の検出結果に応じた第2のフィードバック制御を実行する、
ことを特徴とするモータ駆動装置の制御装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに接続された伝達機構を介して移動部材を移動制御するモータ駆動装置の制御装置に関する。
続きを表示(約 12,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、種々の作業を人間の代わりに行うロボットの開発が進められている。ロボットによって人間の手のように精密で高速な作業を実現させるためには、ロボット動作の高精度化と高速化を両立させることが求められる。このようなロボットにあっては、関節駆動を行うための動力源としてモータが用いられているが、モータの推力を増大したり、回転運動を直動運動に変換したりするため、減速機やボールねじ等の伝達機構を用いるものが多い。
【0003】
しかし、伝達機構には高精度化を妨げる要因がある。例えば、ねじれ、減速機の歯のかみ合いによる角度誤差、バックラッシ、摩擦、小部品の微小振動、ボールねじの変形による角度誤差、ネジ共振、ロストモーション等である。そのためモータを精密に駆動しても、上記の要因によりロボット動作の精度低下を招いている。
【0004】
また、伝達機構はロボットのフレームに代表される構造体と比較すると柔らかいため、ねじれが生じ、弾性体のようにふるまう。このため、伝達機構に接続された移動制御対象(移動部材)は、モータに対して単振動することとなり、これによっても精度低下を招く。さらに、モータに単振動の反力が作用し、モータの位置をずらし、さらに精度が失われることとなる。
【0005】
一般に、例えばロボットの関節などのモータを制御する方式としては、セミクローズド制御(例えば特許文献1参照)とフルクローズド制御(例えば特許文献2,3参照)とがある。セミクローズド制御とは、モータの出力軸(出力部材)の位置を検出し、その検出結果をモータの位置指令にフィードバックする方式である。また、フルクローズド制御とは、モータから減速機等の伝達機構を介して移動駆動される移動部材の位置を検出し、その検出結果をモータの位置指令にフィードバックする方式である。一般的には、セミクローズド制御は、動作速度が早いが位置精度に欠け、反対にフルクローズド制御は、位置精度が高精度であるが動作速度が遅くなり、精密さと俊敏さがトレードオフの関係にあると言える。
【0006】
セミクローズド制御にあっては、反作用力に対抗する推力を出力し、モータの位置ずれを防ぐことが可能であるように思われる。しかし、モータが反作用力に対抗する推力を出力しつづけ、位置ずれしないとフィードバックすることができないので、結果的に単振動が収まらず持続してしまう。一度生じた単振動が持続してしまうと、動作中にあって伝達機構にねじれが発生するたびに生じる単振動が増幅され、メカ共振ともなり得る。
【0007】
このため、セミクローズド制御であっても動作速度(ゲイン)を上げると、伝達機構の弾性力の反作用によるモータの位置ずれを防ぐことはできない。伝達機構の弾性力の反作用による動力源の位置ずれを防ぐためには、セミクローズド制御であっても動作速度(ゲイン)を下げて、単振動が生じないようにモータを駆動制御する必要がある。
【0008】
そこで、特許文献1のセミクローズド制御にあっては、伝達機構の機械的剛性を考慮した運動方程式を予め準備し、その演算結果をセミクローズド制御の指令値に加算するものが提案されている。これにより、精密さと俊敏さとの両立を図ろうとしている。
【0009】
一方、特許文献2のフルクローズド制御にあっては、移動部材の位置をセンサで検出し、目標値から減算し、位置の差に従ってモータの位置を補正し、移動部材の位置を目標値に倣わせるものが提案されている。また、特許文献3のフルクローズド制御にあっては、振動を示す移動部材の位置とモータの位置との差を求め、それにねじり剛性を加味してトルク値を算出し、これがトルク目標値に合致するように制御するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開昭61−201304号公報
特開平7−225615号公報
特開2011−176913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1のセミクローズド制御では、セミクローズド制御の特徴を生かした高速動作は可能であるが、温度変動や経時変化する伝達誤差を予め予測することは困難であり、要求される精度を満たすことは困難であるという問題がある。
【0012】
一方、特許文献2のフルクローズド制御では、振動現象を計測できないため、動作速度(モータの補正のゲイン)を上げると発振してしまうという問題がある。このため、特許文献2のフルクローズド制御では、動作速度(位置修正)も遅鈍となるという問題がある。
【0013】
フルクローズド制御で速度を向上する目的で考えられたのが特許文献3のフルクローズド制御である。特許文献3のフルクローズド制御では、位置修正が遅鈍となる主要因を廃した構成となっているため、ロボットの動作として、精密さと俊敏さを両立できると考えられていた。しかし、フルクローズド制御は、セミクローズド制御と比較して、センサとモータとの間に伝達機構が存在する点が異なり、伝達機構には、バックラッシ、摩擦、上述した単振動よりも周波数の高い固有振動等を有するという特徴がある。特許文献3のフルクローズド制御でも、伝達機構におけるバックラッシ、摩擦、上述した単振動よりも周波数の高い固有振動等のため、動作速度(モータの補正のゲイン)を上げると発振してしまうという問題があることが判明した。そのため、特許文献3のフルクローズド制御でも、高次の振動を加振してしまうためゲインを充分に上げられず、高速に駆動できないという課題がある。
【0014】
そこで本発明は、俊敏にかつ精密に移動部材を移動制御することが可能なモータ駆動装置の制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、モータに接続された伝達機構を介して移動部材を移動制御するモータ駆動装置の制御装置において、入力された推力指令値に基づき前記モータの位置指令値を生成する推力制御部と、前記モータの位置指令値に基づき前記モータを制御する電流値を生成するモータ制御部と、を備え、前記モータ制御部により、前記モータの回転を出力する出力部材の位置を検出するモータ位置検出手段の検出結果に応じた第1のフィードバック制御を実行すると共に、前記推力制御部により、前記移動部材に発生した推力を検出する推力検出手段の検出結果に応じた第2のフィードバック制御を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、推力制御部により、移動部材に発生した推力を検出する推力検出手段の検出結果に応じた第2のフィードバック制御を実行する。これにより、伝達機構を介して移動部材に伝達される推力を、入力された推力指令値に倣うようにすることができ、移動部材の動作を精密にできる。さらに、移動部材に発生した推力には、温度変動や経時変化する伝達誤差の成分も含まれているので、伝達誤差も効果的に抑制できるフィードバック制御を実行することができる。
【0017】
また、モータ制御部は、推力制御部が生成したモータの位置指令値に、モータの回転を出力する出力部材の位置を検出するモータ位置検出手段の検出結果に応じた第1のフィードバック制御を実行する。これにより、モータに生じる伝達機構の弾性力の反作用には、伝達機構におけるバックラッシ、摩擦、固有振動数等の影響による振動現象の成分が含まれているので、この振動現象を俊敏に抑制することができる。
【0018】
このように伝達機構による振動現象及び伝達誤差を抑制しつつ動作速度を早くすることができるので、俊敏にかつ精密に移動部材を移動制御することを可能とすることができる。さらには、振動現象及び伝達誤差を効果的に抑制できるので、モータの補正のゲインを上げることもできて、さらに動作速度を上げることも可能となる。これにより、フルクローズド制御のように精密で、かつセミクローズド制御と同等な動作速度を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
一軸ロボットシステムを示す全体概略図。
一軸ロボットシステムを模式的に示す模式図。
第1の実施の形態に係るコントローラの制御系を示すブロック図。
第1の実施の形態に係る制御を示すフローチャート。
一軸ロボットのトルク制御時の実験結果を示す図で、(a)は第1の実施の形態に係る制御による実験結果の図、(b)は比較例の制御による実験結果の図。
第2の実施の形態に係るコントローラの制御系を示すブロック図。
第3の実施の形態に係るコントローラの制御系を示すブロック図。
第3の実施の形態に係る制御を示すフローチャート。
第4の実施の形態に係るコントローラの制御系を示すブロック図。
第4の実施の形態に係る制御を示すフローチャート。
第5の実施の形態に係るコントローラの制御系を示すブロック図。
第5の実施の形態に係る制御を示すフローチャート。
一軸ロボットの位置制御時の実験結果を示す図で、(a)は第5の実施の形態に係る制御による実験結果の図、(b)は比較例の制御による実験結果の図。
二軸ロボットシステムを示す全体概略図。
二軸ロボットシステムにおける第6の実施の形態に係るコントローラの制御系を示すブロック図。
第7の実施の形態における関節の分解図。
第7の実施の形態における関節の概略図。
図17に示す関節の第1の変形例を示す概略図。
図17に示す関節の第2の変形例を示す概略図。
第8の実施の形態における関節の分解図。
第8の実施の形態における関節の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施の形態について図1乃至図5に沿って説明する。図1は、一軸ロボットシステムを示す全体図である。また、図2は、一軸ロボットシステムを模式的に示す模式図である。また、図3は、第1の実施の形態に係るコントローラの制御系を示すブロック図である。また、図4は、第1の実施の形態に係る制御を示すフローチャートである。そして、図5は、一軸ロボットのトルク制御時の実験結果を示す図で、(a)は第1の実施の形態に係る制御による実験結果の図、(b)は比較例の制御による実験結果の図である。なお、図1及び図2に示す一軸ロボットシステム1

は、後述する第2〜第5の実施の形態においても略々構造が同じであるため、共通の図として用いているが、第1の実施の形態では、詳しくは後述する装置エンコーダ108を有していなくても良いものである。
【0021】
図1に示すように、一軸ロボットシステム1

は、1つの関節を有する一軸のロボットアーム(モータ駆動装置)100と、コントローラ(モータ駆動装置の制御装置)101と、教示用端末装置(ティーチングペンダント)102とを備えて構成されている。教示用端末装置102は、操作者がロボットアーム100を動作させるための指令をコントローラ101に与える装置であり、操作者が操作する各種スイッチ、レバー、表示パネルなどを有している。教示用端末装置102からは、ロボットアーム100の位置指令値として教示点情報が出力可能であり、また、ロボットアーム100の推力指令値として駆動トルク情報も出力可能である。
【0022】
一方、一軸のロボットアーム100は、モータ103と、モータエンコーダ(モータ位置検出手段)104と、減速機(伝達機構)105と、アーム(移動部材)106とを有して構成されている。また、一軸のロボットアーム100は、さらに、推力計(推力検出手段)107と、装置エンコーダ(移動部材位置検出手段)108とを有して構成されている。一般的には、モータ103と減速機105とを組合せたものを、アーム106を移動駆動する関節と定義される。
【0023】
モータ103は、コントローラ101に電気的に接続されており、コントローラ101から出力される電流値によって図示を省略した出力軸(出力部材)の回転状態が制御される。モータエンコーダ104は、モータ103の出力軸の回転位置を検出する。減速機105は、モータ103の出力軸に機械的に接続されており、モータ103の出力回転を減速してアーム106に伝達する。推力計107は、例えば歪みゲージなどから構成され、アーム106に伝達された該アーム106の推力を弾性部材で構成されるフレーム(減速機105の出力軸)の歪み(ねじれ)から検出する。装置エンコーダ108は、アーム106の回転位置を検出する。
【0024】
コントローラ101は、いわゆるサーボ制御装置(コンピュータ)であり、CPU(演算部)201、ROM202、RAM203、HDD(ハードディスク)204、外部インタフェース205などを有している。外部インタフェース205からは、図2に示すように、教示用端末装置102からの指令値(位置指令値P
Lref
や推力指令値F
Lref
)が入力可能となっている。さらに、外部インタフェース205からは、モータエンコーダ104からモータ103の角度であるモータ位置P

が入力可能(フィードバック入力可能)となっている。さらに、外部インタフェース205からは、推力計107からアーム106の推力F

が入力可能(フィードバック入力可能)となっている。さらに、外部インタフェース205からは、装置エンコーダ108からアーム106の角度である装置位置P

が入力可能(フィードバック入力可能)となっている。さらに、外部インタフェース205からは、モータ103に電流値I

が出力可能となっている。即ち、コントローラ101は、教示用端末装置102からの指令値の入力を元に、各種フィードバック制御を行い、モータ103に電流値による指令を出力する。
【0025】
これらモータ103のモータ位置P

、アーム106の推力F

、アーム106の装置位置P

は、詳しくは図3に沿って後述するコントローラ101のCPU201により演算処理を行う各部によってフィードバック制御に用いられる。なお、図3に示す各部は、ROM202やHDD204等の記録媒体に記録されて格納された読み取り可能なプログラムが実行されることで機能する処理を、機能ブロックとして表わしたものである。勿論、これら機能ブロックで示す各部は、ソフトウェアの機能で達成するものだけでなく、ハードウェア構成(電子演算回路)によって達成してもよい。これらの入力から出力までの演算処理を図3に沿って以下に説明する。
【0026】
図3に示す第1の実施の形態に係るコントローラ101は、モータ制御器310

を有しており、このモータ制御器310

には、推力制御部302、モータ制御部303、微分器(モータFF制御部)308が備えられている。推力制御部302は、教示用端末装置102から入力された推力指令値F
Lref
に基づきモータ103の位置指令値(以下、モータ位置指令値という)P
Mref
を生成する。この際、推力制御部302は、アーム106に発生した推力を検出する推力計107の検出結果である推力F

に応じたフィードバック制御(第2のフィードバック制御)を実行する。
【0027】
微分器308は、推力制御部302により生成されたモータ位置指令値P
Mref
に応じて、モータ制御部303をフィードフォワード制御するフィードフォワード値を生成する。
【0028】
そして、モータ制御部303は、モータ位置制御部304、モータ速度制御部305、電流制御部306を有しており、モータ位置指令値P
Mref
に基づきモータ103を制御する電流値I

を生成する。この際、モータ制御部303は、モータ103の回転位置を検出するモータエンコーダ104の検出結果であるモータ位置P

とモータ速度V

とに応じたフィードバック制御(第1のフィードバック制御)を実行する。
【0029】
以下に、コントローラ101による制御について図3を参照しつつ図4のフローチャートに沿って説明する。まず、操作者が教示用端末装置102を操作することで教示用端末装置102から推力指令値F
Lref
が出力され、推力制御部302に入力される(S1)。次に、推力制御部302は、推力指令値F
Lref
に推力計107により検出される推力F

をフィードバックすることでモータ位置指令値P
Mref
を生成する(推力制御工程)(S2)。微分器308は、モータ位置指令値P
Mref
を1階微分してモータ速度FF指令値V
MFFref
と、モータ位置指令値P
Mref
を2階微分して係数を乗じることでモータ推力FF指令値F
MFFref
とを生成する(S3)。
【0030】
モータ制御部303において、モータ位置制御部304は、モータ位置指令値P
Mref
にモータエンコーダ104により検出されるモータ位置P

をフィードバックし(フィードバック工程)、モータ速度指令値V
Mref
を生成する(S4)。次に、モータ速度制御部305は、モータ速度指令値V
Mref
にモータエンコーダ104からのモータ位置P

を微分したモータ速度V

をフィードバックしつつ(フィードバック工程)、モータ速度FF指令値V
MFFref
をフィードフォワードする。これによりモータ速度制御部305は、モータ推力指令値F
Mref
を生成する(S5)。そして、電流制御部306は、モータ推力指令値F
Mref
にモータ推力FF指令値F
MFFref
をフィードフォワードし、モータ103に出力する電流値I

を生成する(モータ制御工程)(S6)。
【0031】
上記制御を制御周期毎に実行する。制御周期が短いほど計算精度が向上し振動を抑制できるが計算リソースを必要とする。
【0032】
以上のように制御される一軸ロボットシステム1

の実験結果を図5(a)に示す。横軸が時間[s]を、縦軸がトルク[Nm]を示している。駆動条件は、トルクを−30[Nm]〜30[Nm]、トルク増減時間を0.5[s]としたものである。推力指令値としてのトルク指令に対して、実験結果としてのアーム106のトルクも−30[Nm]〜30[Nm]まで駆動されていることが分かる。トルク指令に対して実験結果のアーム106のトルクが精度良くかつ俊敏に追従していることが分かる。
【0033】
比較例として一般的なセミクローズド制御で駆動した場合の実験結果を図5(b)に示す。比較例としては、フルクローズド制御も考えられるが、制御帯域不足が原因でセミクローズド制御と比較して性能が落ちるため、今回は比較対象としてセミクローズド制御を挙げている。駆動条件は上記のものと同様であるが、本実施の形態の実験結果と比較すると、本実施の形態の実験結果の方が振動も少なく、誤差も5[Nm]程度少なく、本実施の形態の制御が優れていることが確認できる。
【0034】
以上のように本実施の形態に係るコントローラ101の制御では、推力制御部302により、入力された推力指令値F
Lref
に対し、アーム106に発生した推力F

をフィードバック制御する。これにより、減速機105を介してアーム106に伝達される推力F

を、入力された推力指令値F
Lref
に倣うようにすることができ、アーム106の動作を精密にできる。さらに、アーム106に発生した推力F

には、温度変動や経時変化する伝達誤差の成分も含まれているので、伝達誤差も効果的に抑制できるフィードバック制御を実行することができる。
【0035】
また、モータ制御部303は、推力制御部302が生成したモータ位置指令値P
Mref
に対し、モータ位置制御部304とモータ速度制御部305とにおいてモータ位置P

とモータ速度V

とをフィードバックする。これにより、一般的なセミクローズド制御のようにモータ位置P

をモータ位置指令値P
Mref
に対してフィードバックするよりも、モータ位置P

のフィードバック制御が外乱の影響を受けにくくなる。そして、モータ103に生じる減速機105の弾性力の反作用には、減速機105におけるバックラッシ、摩擦、固有振動数等の影響による振動現象の成分が含まれているが、この振動現象を俊敏に抑制することができる。
【0036】
このように減速機105による振動現象及び伝達誤差を抑制しつつ動作速度を早くすることができるので、俊敏にかつ精密にアーム106を移動制御することを可能とすることができる。さらには、振動現象及び伝達誤差を効果的に抑制できるので、モータの補正のゲインを上げることもできて、さらに動作速度を上げることも可能となる。これにより、フルクローズド制御のように精密で、かつセミクローズド制御と同等な動作速度を可能とすることができる。
【0037】
また、微分器308によりフィードフォワード制御を行うことで、振動現象が発散し難くなり、さらに応答性を向上することができる。なお、このフィードフォワード制御は、性能は低下するものの省略することも可能である。この場合、モータ速度FF指令値V
MFFref
やモータ推力指令値F
Mref
をゼロとする。
【0038】
なお、本実施の形態では、一軸のロボットアーム100を制御した場合を一例として説明したが、この構造に限られるものではない。本実施の形態では回転関節について説明したが、伝達機構を例えばラックアンドピニオン機構などで構成した伸縮関節であってもよい。さらには、伝達機構は、減速機でなく、増速する機構でもよい。
【0039】
また、本実施の形態では、モータエンコーダ104の検出結果をモータ位置制御部304とモータ速度制御部305との両方にフィードバックしたものを説明したが、どちらか一方であっても構わず、その場合でもある程度の振動現象の抑制効果を得られる。また、モータエンコーダ104の検出結果を微分してモータ加速度A

を求め、電流制御部306にフィードバックするようにしてもよい。この場合でもある程度の振動現象の抑制効果を得られる。
【0040】
<第2の実施の形態>
次に、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について図6に沿って説明する。図6は、第2の実施の形態に係るコントローラの制御系を示すブロック図である。
【0041】
上記第1の実施の形態においては、推力計107を用いてアーム106に伝達された推力F

を検出するものを説明したが、本第2の実施の形態では、その検出手法を変更したものである。即ち、本実施の形態のコントローラ101におけるモータ制御器310

は、推力推定部(推力検出手段)318を有している。減速機105の剛性を含む関節剛性係数をKとすると、『F

=(P

−P

)×K』の関係式が成り立つ。推力推定部318は、この数式にモータエンコーダ104で検出されるモータ位置P

と、装置エンコーダ108で検出される装置位置P

とを与えることで推定される推力F

を算出する。
【0042】
本第2の実施の形態のように、モータ制御器310

に推力推定部318を設けることで、推力計107を設置することを不要とすることができる。なお、推力F

は、装置エンコーダ108で検出される装置位置P

を2階微分した加速度にアーム106の重量を掛け合わせることで算出することも可能である。しかし、例えばアーム106の先端側にさらに関節を設けて多関節ロボットを構成した場合は、当該関節の駆動による加速度であるか他の関節の駆動による加速度であるか判別が難しいので、この手法は採用できないことになる。
【0043】
<第3の実施の形態>
次に、上記第1の実施の形態を一部変更した第3の実施の形態について図7及び図8に沿って説明する。図7は、第3の実施の形態に係るコントローラの制御系を示すブロック図である。また、図8は、第3の実施の形態に係る制御を示すフローチャートである。
【0044】
本第3の実施の形態においては、第1の実施の形態における微分器308の代わりに、モータ制御器310

にモータ制御器理想モデル演算部(モータFF制御部)309を備えたものである。モータ制御器理想モデル演算部309は、モータ制御器をモデル化した理想モデルを有している。そのモータ制御器の理想モデルは、モータ103のイナーシャをモデル化したモータイナーシャ仮想モデルと、モータ103の通電制御を行う通電回路をモデル化した回路仮想モデルとからなる。モータ制御器理想モデル演算部309は、回路仮想モデルに所定の制御ゲインが設定されていると仮定し、モータ位置指令値P
Mref
が入力された場合に、モータ103に掛かるモデル演算を実行する。これにより、モータ制御器理想モデル演算部309は、モータ位置FF指令値P
MFFref
、モータ速度FF指令値V
MFFref
、モータ推力FF指令値F
MFFref
を算出する機能を有する。
【0045】
モータ位置FF指令値P
MFFref
、モータ速度FF指令値V
MFFref
、モータ推力FF指令値F
MFFref
の演算式は、以下の通りである。
【0046】
【0047】
このように構成されたコントローラ101の制御では、図8に示すように、第1の実施の形態における図4の制御に比して、ステップS3−2及びステップS4−2が変更される。具体的には、まず、ステップS1及びS2は、第1の実施の形態と同様に実行される。ステップS3−2において、モータ制御器理想モデル演算部309は、モータ制御器理想モデルから、モータ位置FF指令値P
MFFref
、モータ速度FF指令値V
MFFref
、モータ推力FF指令値F
MFFref
を生成する。ステップS4−2において、モータ位置制御部304は、モータ位置FF指令値P
MFFref
にモータエンコーダ104により検出されるモータ位置P

をフィードバックし、モータ速度指令値V
Mref
を生成する。その後は、第1の実施の形態と同様にステップS5及びS6が実行され、モータ103に出力する電流値I

を生成する。
【0048】
上記制御を制御周期毎に実行する。制御周期が短いほど計算精度が向上し振動を抑制できるが計算リソースを必要とする。
【0049】
なお、図7では図示を省略したが、装置オブザーバ部による外乱補正機能を追加するとなお良い。装置オブザーバ部は、モータ103の出力軸に働く外乱力Distを推定し、係数を掛けて外乱推力Fdを生成してモータ推力指令値F
Mref
に加算するものである。これにより、アーム106に作用する外乱をモータ103の推力に反映でき、モータ103の出力軸とアーム106との間の干渉トルクやその計算誤差、摩擦変動による位置精度劣化を防止でき、装置位置P

の精度が向上する。外乱力Distの演算式は、以下の通りである。
【0050】
(【0051】以降は省略されています)

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