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公開番号2020078235
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200521
出願番号2019187453
出願日20191011
発明の名称筒型リニアモータおよび筒型リニアモータの製造方法
出願人KYB株式会社
代理人個人
主分類H02K 41/03 20060101AFI20200424BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】推力を向上できる筒型リニアモータの提供である。
【解決手段】上記した目的を達成するため、本発明の筒型リニアモータ1は、筒状のコア3とコア3の外周に設けられたスロット4に装着される巻線5とを有する電機子2と、筒状であって内方に電機子2が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6とを備え、コア3が、筒状のヨーク3aと、ヨーク3aの外周に軸方向に並べて設けられる複数のティース3bと、ティース3b,3b間に設けられる複数のスロット4と、ティース3bの外周端からヨーク3aにかけて形成されてティース3bを軸方向に貫くとともに巻線5のリード線5aが挿入されるスリット3cを有している。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
筒状のコアと、前記コアの外周に設けられるスロットに装着される巻線とを有する電機子と、
筒状であって内方に前記電機子が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁とを備え、
前記コアは、筒状のヨークと、前記ヨークの外周に軸方向に並べて設けられる複数のティースと、前記ティースの外周端から前記ヨークにかけて形成されて前記ティースを軸方向に貫くとともに前記巻線のリード線が挿入されるスリットを有する
ことを特徴とする筒型リニアモータ。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記コアは、それぞれ一つのティースを持つように軸方向で分割された複数の環状のコア分割体を積層して形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の筒型リニアモータ。
【請求項3】
前記コア分割体は、
前記ヨークに相当する部位の同一円周上に120度間隔で配置されて前記リード線を収容する3つの孔を有して前記コアの一端を構成する環状の第一コア分割体と、
前記スリットと前記ヨークに相当する部位であって前記スリットを通る同一円周上に前記リード線を収容する2つの孔とを有する複数の第二コア分割体とを有し、
前記第二コア分割体における前記スリットおよび前記2つの孔は、前記同一円周上に120度間隔で配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の筒型リニアモータ。
【請求項4】
前記コア分割体は、前記ヨークに相当する部位であって前記スリットを通る同一円周上に3つの孔を有し、
前記スリットおよび前記3つの孔は、前記同一円周上に90度間隔で配置されており、
前記3つの孔のうち2つの孔を前記リード線を収容する孔として利用し、残りの孔にキーの差込が可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の筒型リニアモータ。
【請求項5】
前記コア分割体は、
前記ヨークに相当する部位の同一円周上に60度間隔で配置される6つの孔を有して前記コアの一端を構成する環状の第一コア分割体と、
前記スリットと前記ヨークに相当する部位であって前記スリットを通る同一円周上に5つの孔を有する複数の第二コア分割体とを有し、
前記第二コア分割体における前記スリットおよび前記5つの孔は、前記同一円周上に60度間隔で配置されており、
前記第一コア分割体の3つの孔と、前記第二コア分割体のスリットおよび2つの孔に前記リード線が収容される
ことを特徴とする請求項2に記載の筒型リニアモータ。
【請求項6】
前記コア分割体を積層した状態で互いに連通されるとともに、前記スリットに接続されない前記孔のうち一つに挿入されて前記コア分割体を周方向で位置決めするキーを備えた
ことを特徴とする請求項4または5に記載の筒型リニアモータ。
【請求項7】
前記スリットは、前記ヨークの内周に通じている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の筒型リニアモータ。
【請求項8】
予め電線を巻き回して、筒状のコアの外周に設けられるスロットに装着可能な形状の巻線を形成する巻線製造工程と、
筒状のコアがそれぞれ一つのティースを持つように軸方向で分割された複数の環状のコア分割体で形成されており、前記コア分割体同士で前記巻線を挟み込んで、前記コア分割体に前記巻線を装着しつつ前記コア分割体同士を積層して電機子を製造するコア組立工程とを備える
ことを特徴とする筒型リニアモータの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、筒型リニアモータおよび筒型リニアモータの製造方法に関する。
続きを表示(約 14,000 文字)【背景技術】
【0002】
筒型リニアモータは、たとえば、軸方向に並べて配置される複数のティースを外周に持つ筒型のコアとティース間のスロットに装着されるU相、V相およびW相の巻線を有する電機子と、電機子の外周に設けられた円筒形のヨークと軸方向にS極とN極とが交互に並ぶようにベースの内周に取付けられた複数の永久磁石とでなる固定子とを備えるものがある。
【0003】
このように構成された筒型リニアモータでは、電機子のU相、V相およびW相の巻線へ適宜通電すると、電機子が永久磁石に吸引されて電機子が可動子として固定子に対して軸方向へ駆動される。
【0004】
このような筒型リニアモータでは、筒状のヨークとヨークに設けた環状のティースとを備えたコアをティース毎に軸方向に分割した複数のコア分割体で形成して、巻線を挟み込むようにしてコア分割体を積層して電機子を形成する場合がある。
【0005】
コア分割体を積層した電機子を持つ筒型リニアモータでは、電機子が界磁の外周に配置される構造を例に取れば、電機子における巻線をU相、V相およびW相の相毎に結線しなければならないので、コアのヨークからティースにかけて大きな切欠を設け、ティースの側面にティース先端から切欠へ通じるスリットを設けて巻線を結線する渡り線をコア外へ引き出し結線する(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2001−286122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記筒型リニアモータでは、コアにおけるヨークとティースに大きな切欠が形成されているので、磁気飽和が発生しやすく推力を向上し難いという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、推力を向上できる筒型リニアモータの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の筒型リニアモータは、筒状のコアと、コアの外周に設けられるスロットに装着される巻線とを有する電機子と、筒状であって内方に電機子が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁とを備え、コアは、筒状のヨークと、ヨークの外周に軸方向に並べて設けられる複数のティースと、ティースの外周端からヨークにかけて形成されて前記ティースを軸方向に貫くとともに巻線のリード線が挿入されるスリットを有している。
【0010】
このように構成された筒型リニアモータでは、コアにおけるヨークとティースに設けられるスリットの断面積は、リード線の挿入が可能である程度の大きさで済むので、コアにおける磁路断面積を著しく減少させることが無い。よって、コアにおいて磁気飽和が生じにくくなる。さらに、巻線同士を結線するリード線がコアのスリット内に収容されてリード線が巻線の内側に格納されるために、コアと界磁との間にリード線を配置する必要がなく、両者の径方向距離を短くできる。
【0011】
また、筒型リニアモータにおけるコアは、それぞれ一つのティースを持つように軸方向で分割された複数の環状のコア分割体を積層して形成されてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、コアへの巻線の装着と巻線の結線とを容易に行うことができ、筒型リニアモータの製造が容易となる。
【0012】
さらに、筒型リニアモータにおけるコア分割体は、ヨークに相当する部位の同一円周上に120度間隔で配置されてリード線を収容する3つの孔を有してコアの一端を構成する環状の第一コア分割体と、スリットとヨークに相当する部位であってスリットを通る同一円周上に前記リード線を収容する2つの孔とを有する複数の第二コア分割体とを有し、第二コア分割体におけるスリットおよび2つの孔は、同一円周上に120度間隔で配置されていてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、各相の巻線のリード線を個別にスリットと孔に収容でき各相の巻線を良好に絶縁できる。また、このように構成された筒型リニアモータによれば、スリットをコアの全体で周方向に120度の位相差で満遍なく配置できるので、コアが界磁から径方向に偏心させる大きな吸引力を受けにくくなり、筒型リニアモータが円滑に伸縮でき、推力低下も招くこともない。
【0013】
また、筒型リニアモータにおけるコア分割体は、ヨークに相当する部位であってスリットを通る同一円周上に3つの孔を有し、スリットおよび3つの孔は、前記同一円周上に90度間隔で配置されており、3つの孔のうち2つの孔をリード線の収容のための孔として利用し、残りの孔にキーの差込が可能であってもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、3つの孔のうち1つの孔にキーを差し込んでコア分割体を容易に位置決めできるのでコアの製造作業が非常に容易となり、巻線のリード線をそれぞれ異なるスリットと孔に分散して収容できるので、各相の巻線を良好に絶縁できる。
【0014】
さらに、筒型リニアモータにおけるコア分割体は、ヨークに相当する部位の同一円周上に60度間隔で配置される6つの孔を有してコアの一端を構成する環状の第一コア分割体と、スリットとヨークに相当する部位であってスリットを通る同一円周上に5つの孔とを有する複数の第二コア分割体とを有し、第二コア分割体におけるスリットおよび5つの孔は、同一円周上に60度間隔で配置されており、第一コア分割体の3つの孔と第二コア分割体のスリットおよび2つの孔にリード線が収容されてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、スリットをコアの全体で周方向に120度の位相差で満遍なく配置できるので、コアが界磁から径方向に偏心させる大きな吸引力を受けにくくなり、筒型リニアモータが円滑に伸縮でき、推力低下も招くこともない。また、リード線が収容されない孔を空気の抜け孔として利用できるので、筒型リニアモータの伸縮時に筒型リニアモータ内の電機子の軸方向両側の部屋が圧縮される際に圧力が上昇して筒型リニアモータの伸縮を妨げることがないので、この点でも、筒型リニアモータが円滑に伸縮でき、推力低下も招くこともない。また、このように構成された筒型リニアモータによれば、スリットに接続されない3つの孔で形成される3つの軸方向孔の1つの孔にキーを差し込んで第一コア分割体と第二コア分割体を容易に位置決めできるのでコアの製造作業が非常に容易となる。
【0015】
また、筒型リニアモータは、コア分割体を積層した状態で互いに連通されるとともにスリットに接続されない孔のうち一つに挿入されてコア分割体を周方向で位置決めするキーを備えてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、コア組立後にコア分割体の分離が防止される。
【0016】
さらに、筒型リニアモータにおけるコアのスリットはヨークの内周に通じていてもよく、このように筒型リニアモータが構成されると、リード線をコアの内周に配置できるようになるので異なる相の巻線に接続されたリード線同士を絶縁し易くなる。
【0017】
また、本発明の筒型リニアモータの製造方法は、予め電線を巻き回して筒状のコアの外周に設けられるスロットに装着可能な形状の巻線を形成する巻線製造工程と、筒状のコアがそれぞれ一つのティースを持つように軸方向で分割された複数の環状のコア分割体で形成されており、コア分割体同士で前記巻線を挟み込んで、前記コア分割体に前記巻線を装着しつつ前記コア分割体同士を積層して電機子を製造するコア組立工程とを備えている。このように構成された筒型リニアモータの製造方法によれは、コアへの巻線の装着と巻線の結線とを容易に行うことができるので、筒型リニアモータの製造が容易となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の筒型リニアモータによれば、推力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
一実施の形態における筒型リニアモータの縦断面図である。
一実施の形態の筒型リニアモータのコアの拡大縦断面図である。
一実施の形態の筒型リニアモータのコアの平面図である。
一実施の形態の第一変形例における筒型リニアモータの縦断面図である。
一実施の形態の第一変形例における筒型リニアモータのコアを組み立てる工程を説明する図である。
一実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータの縦断面図である。
(A)は、一実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータのコアの一端の対応するコア分割体の斜視図である。(B)は、一実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータのコアの一端以外に対応するコア分割体の斜視図である。
一実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータのコアの平面図である。
一実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータのコア分割体を積層する工程を説明する図である。
(A)は、一実施の形態の第三変形例における筒型リニアモータのコアの一端の対応する第一コア分割体の斜視図である。(B)は、一実施の形態の第三変形例における筒型リニアモータのコアの一端以外に対応する第二コア分割体の斜視図である。
一実施の形態の第四変形例における筒型リニアモータの縦断面図である。
(A)は、一実施の形態の第四変形例における筒型リニアモータのコアの一端の対応する第一コア分割体の斜視図である。(B)は、一実施の形態の第四変形例における筒型リニアモータのコアの一端以外に対応する第二コア分割体の斜視図である。
一実施の形態の第四変形例における筒型リニアモータのコアの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。一実施の形態における筒型リニアモータ1は、図1に示すように、筒状のコア3とコア3の外周に設けられるスロット4に装着される巻線5とを有する電機子2と、筒状であって内方に電機子2が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6とを備えて構成されている。
【0021】
以下、筒型リニアモータ1の各部について詳細に説明する。電機子2は、コア3と巻線5とを備えて構成されている。コア3は、円筒状のヨーク3aと、環状であってヨーク3aの外周に軸方向に間隔を空けて設けられる複数のティース3bと、ティース3b,3b間に設けられる複数のスロット4と、ティース3bの外周端からヨーク3aにかけて形成されてティース3bを軸方向に貫くとともにヨーク3aの軸方向両端に通じて巻線5のリード線5aが挿入されるスリット3cとを備えて構成されて可動子とされている。
【0022】
本実施の形態では、図1に示すように、ヨーク3aの外周に7個の環状のティース3bが、軸方向に等間隔に並べて設けられており、ティース3b,3b間に巻線5が装着される空隙でなる6個のスロット4が形成されている。
【0023】
スリット3cは、図2および図3に示すように、ティース3bの外周端からヨーク3aにかけて設けられており、コア3の軸方向に沿ってティース3bを軸方向に貫通している。なお、本実施の形態では、スリット3cは、コア3の軸方向に沿って各ティース3bを軸方向に貫くとともに、ヨーク3aの軸方向一端から他端へ通じている。スリット3cは、ヨーク3aの内周へ通じさせてもよいしヨーク3aにまで形成されていれば、ヨーク3aの径方向の途中まで形成されるものでもよい。
【0024】
また、本実施の形態では、図1中で隣り合うティース3b,3b同士の間には、空隙でなるスロット4が合計で6個設けられていて、スロット4には、巻線5が巻き回されて装着されている。巻線5は、U相、V相およびW相の三相巻線とされている。6個のスロット4には、図1中左側からW相、U相、V相、W相、U相、V相の順で巻線5が装着されている。
【0025】
また、U相、V相およびW相の巻線5同士は、相毎に巻線5から引き出されるリード線5a同士を結線して直列に接続されており、各相の巻線5の終端のうち一端はリード線5bによって互いに接続され、前記終端のうち他端は図示しない外部電源に接続されるケーブル16に接続されている。そして、巻線5から引き出されるリード線5aは、コア3に設けたスリット3c内に収容されて巻線5の内周側に配置される。
【0026】
そして、このように構成された電機子2は、出力軸である非磁性体で形成されたロッド11の外周に装着されている。具体的には、電機子2は、その図1中で左端と右端とがロッド11に固定される環状のスライダ12,13によって保持されて、ロッド11に固定されている。
【0027】
また、本実施の形態では、界磁6は、筒状の積層磁石体Mと積層磁石体Mの外周に嵌合されるバックヨーク8とを備えており、円筒状の非磁性体で形成されるアウターチューブ7とアウターチューブ7内に挿入される円筒状の非磁性体のインナーチューブ9との間に形成される環状隙間内に収容されている。そして、電機子2は、界磁6内に軸方向移動自在に挿入されている。
【0028】
積層磁石体Mは、筒状のバックヨーク8とインナーチューブ9との間の環状隙間に軸方向に交互に積層されて挿入される複数の環状の主磁極となる永久磁石10aと複数の環状の副磁極となる永久磁石10bとを備えて構成されている。なお、図1中で主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bに記載されている三角の印は、着磁方向を示しており、主磁極の永久磁石10aの着磁方向は径方向となっており、副磁極の永久磁石10bの着磁方向は軸方向となっている。主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bは、ハルバッハ配列で配置されており、界磁6の内周側では、軸方向にS極とN極が交互に現れるように配置されている。
【0029】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1では、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1は、副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2よりも長くなっている。主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1を副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2よりも長くすれば、コア3との間の主磁極の永久磁石10aとの間の磁気抵抗を小さくできコア3へ作用させる磁界を大きくできるので筒型リニアモータ1の推力を向上できる。主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1と副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2に最適な関係があり、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1と副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2が0.2≦L2/L1≦0.5を満たすように設定されれば、L2/L1の値を理想的な値に設定した際の推力に対して98%以上の推力を確保できる。ただし、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1と副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2との関係は、前述の設定に限られない。
【0030】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1では、界磁6は、永久磁石10a,10bで構成される積層磁石体Mの外周にバックヨーク8を備えている。バックヨーク8を設けない場合、副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2が短くなると主磁極の永久磁石10aの軸方向中央部分における磁石外部の磁気抵抗が増大し、界磁磁束が小さくなるため、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1を長くする際の筒型リニアモータ1の推力向上度合が小さくなる。これに対して、永久磁石10a,10bの外周にバックヨーク8を設けると、磁気抵抗の低い磁路を確保できるので副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2の短縮に起因する磁気抵抗の増大が抑制される。よって、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1を副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2よりも長くするとともに永久磁石10a,10bの外周に筒状のバックヨーク8を設けると筒型リニアモータ1の推力を大きく向上させ得る。バックヨーク8の肉厚は、主磁極の永久磁石10aの外部磁気抵抗の増大を抑制に適する肉厚に設定されればよい。
【0031】
なお、副磁極の永久磁石10bは、主磁極の永久磁石10aより高い保磁力を有する永久磁石とされている。永久磁石における残留磁束密度と保磁力は、互いに密接に関係しており、一般的に残留磁束密度を高めると保磁力は低くなり、保磁力を高めると残留磁束密度が低くなるという、互いに背反する関係にある。ハルバッハ配列では、副磁極の永久磁石10bには減磁方向に大きな磁界が印加されるため、副磁極の永久磁石10bの保磁力を高くして減磁を抑制し、大きな磁界をコア3に作用させ得るようにしている。対して、コア3に対して作用する磁界の強さは、主磁極の永久磁石10aの磁力線数に左右される。そのため、主磁極の永久磁石10aに高い残留磁束密度の永久磁石を使用して大きな磁界をコア3に作用させるようにしている。本実施の形態では、副磁極の永久磁石10bを主磁極の永久磁石10aよりも保磁力を高くするのに際して、副磁極の永久磁石10bの材料を主磁極の永久磁石10aの材料よりも保磁力が高い材料としている。よって、材料の選定によって、主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bの組合せを簡単に実現できる。なお、本実施の形態では、主磁極の永久磁石10aは、ネオジム、鉄、ボロンを主成分とする残留磁束密度が高い材料で構成され、副磁極の永久磁石10bは、前記材料にジスプロシウムやテリビウム等の重希土類元素の添加量を増やした減磁しにくい磁石で構成されている。
【0032】
前述のように、界磁6の内周側には、コア3が挿入されており、界磁6は、コア3に磁界を作用させている。なお、界磁6は、コア3の可動範囲に対して磁界を作用させればよいので、コア3の可動範囲に応じて永久磁石10a,10bの設置範囲を決定すればよい。したがって、アウターチューブ7とインナーチューブ9との環状隙間のうち、コア3に対向し得ない範囲には、永久磁石10a,10bを設置しなくともよい。
【0033】
バックヨーク8の軸方向長さは、積層磁石体Mの全長以上になっていればよく、積層磁石体Mの全長と等しい長さとしてもよい。また、バックヨーク8の軸方向長さが積層磁石体Mの全長よりも長い場合、積層磁石体Mの末端の磁力線が大気へ洩れず筒型リニアモータ1の推力低下を防止できる。このように、バックヨーク8の軸方向長さを積層磁石体Mの軸方向長さよりも長くするには、積層磁石体Mが永久磁石10a,10bの加工誤差によって採りうる軸方向の最大長さよりもバックヨーク8の軸方向長さを長くしておけばよい。
【0034】
また、アウターチューブ7、バックヨーク8およびインナーチューブ9の図1中左端はキャップ14によって閉塞されており、アウターチューブ7、バックヨーク8およびインナーチューブ9の図1中右端は内周に挿入されるロッド11の軸方向の移動を案内する環状のヘッドキャップ15によって閉塞されている。
【0035】
インナーチューブ9の内周には、スライダ12,13が摺接しており、スライダ12,13によって電機子2はロッド11とともに界磁6に対して偏心せずに軸方向へスムーズに移動できる。インナーチューブ9は、コア3の外周と各永久磁石10a,10bの内周との間の磁気ギャップを形成するとともに、スライダ12,13と協働してコア3の軸方向移動を案内する役割を果たしている。コア3の外径は、インナーチューブ9の内径よりも小さく、インナーチューブ9に干渉することはなく、筒型リニアモータ1は円滑に伸縮できるが、インナーチューブ9の内周に摺接してもよい。なお、インナーチューブ9は、非磁性体で形成されればよいが、合成樹脂で形成されると筒型リニアモータ1の推力密度向上効果が高くなる。インナーチューブ9を非磁性体の金属で製造すると、電機子2が軸方向へ移動する際にインナーチューブ9の内部に渦電流が生じて、電機子2の移動を妨げる力が発生してしまう。これに対して、インナーチューブ9を合成樹脂とすれば渦電流が生じないので筒型リニアモータ1の推力をより効果的に向上できるとともに、筒型リニアモータ1の質量を低減できる。なお、インナーチューブ9を合成樹脂とする場合、フッ素樹脂で製造すればスライダ12,13との間の摩擦および摩耗を低減できる。また、インナーチューブ9を他の合成樹脂で形成してもよく、また、摩擦および摩耗を低減するべく他の合成樹脂で形成されたインナーチューブ9の内周をフッ素樹脂でコーティングしてもよい。
【0036】
なお、キャップ14には、巻線5に接続されるケーブル16を外部の図示しない電源に接続するコネクタ14aを備えており、外部電源から巻線5へ通電できるようになっている。また、アウターチューブ7、バックヨーク8およびインナーチューブ9の軸方向長さは、コア3の軸方向長さよりも長く、コア3は、界磁6内の軸方向長さの範囲で図1中左右へストロークできる。
【0037】
そして、たとえば、巻線5の界磁6に対する電気角をセンシングし、前記電気角に基づいて通電位相切換を行うとともにPWM制御により、各巻線5の電流量を制御すれば、筒型リニアモータ1における推力と電機子2の移動方向とを制御できる。なお、前述の制御方法は、一例でありこれに限られない。このように、本実施の形態の筒型リニアモータ1では、電機子2が可動子であり、界磁6は固定子として振る舞う。また、電機子2と界磁6とを軸方向に相対変位させる外力が作用する場合、巻線5への通電、あるいは、巻線5に発生する誘導起電力によって、筒型リニアモータ1は、前記相対変位を抑制する推力を発生して前記外力による機器の振動や運動をダンピングし得るし、外力から電力を生むエネルギ回生も可能である。
【0038】
以上のように、本発明の筒型リニアモータ1は、筒状のコア3とコア3の外周に設けられたスロット4に装着される巻線5とを有する電機子2と、筒状であって内方に電機子2が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6とを備え、コア3が、筒状のヨーク3aと、ヨーク3aの外周に軸方向に並べて設けられる複数のティース3bと、ティース3b,3b間に設けられる複数のスロット4と、ティース3bの外周端からヨーク3aにかけて形成されてティース3bを軸方向に貫くとともに巻線5のリード線5aが挿入されるスリット3cを有している。
【0039】
このように構成された筒型リニアモータ1では、コア3におけるヨーク3aとティース3bに設けられるスリット3cの断面積は、リード線5aの挿入が可能である程度の大きさで済むので、コア3における磁路断面積を著しく減少させることが無い。さらに、巻線5同士を結線するリード線5aがコア3のスリット3c内に収容されるので、リード線5aが巻線5の内側に格納されるために、コア3と界磁6との間にリード線5aを配置する必要がなく、両者の径方向距離を短くできる。よって、筒型リニアモータ1によれば、コア3において磁気飽和が生じにくくなるので、従来のリニアモータに比較して推力を向上できる。
【0040】
なお、図4に示した一実施の形態の第一変形例における筒型リニアモータ1Aのコア3のように、それぞれ一つのティース3bを持つように軸方向で分割された複数の環状のコア分割体C1,C2を積層して形成されてもよい。図4に示すように、コア3の両端に対応するコア分割体C1は、コア3におけるヨーク3aに対応する環状のヨーク部20と、ヨーク部20の外周に設けられたティース3bと、ティース3bの外周からヨーク部20に内周へ通じるスリット22とを備えて、平面視でC型形状とされている。また、コア3の両端以外に対応するコア分割体C2は、コア3におけるヨーク3aに対応する環状のヨーク部23と、ヨーク部20の軸方向中央の外周に設けられたティース3bと、ティース3bの外周からヨーク部23に内周へ通じるスリット25とを備えて、平面視でC型形状とされている。
【0041】
このように構成されたコア3の端部に対応するコア分割体C1に8つのコア分割体C2を積層したうえに、さらにコア分割体C1を積層すると、コア3が形成される。なお、コア3を軸方向から見て、コア分割体C1のスリット22とコア分割体C2のスリット25とは、軸方向に一直線上に配置されてスリット3cを形成する。すると、コア分割体C1,C2のティース3b,3b間に或いはコア分割体C2,C2のティース3b,3b間に巻線5が装着されるスロット4が形成される。
【0042】
このように構成されたコア3に巻線5を装着するには、図5に示すように、予め、電線を巻き回してスロット4に装着可能な形状の巻線5を作っておき(巻線製造工程)、相毎に全ての巻線5を直列にリード線5aで接続しておく。その後、巻線5,5間に巻線5の径方向からコア分割体C2を挿入するとともにコア分割体C2同士を積層させて巻線5をコア分割体C2,C2に装着する。また、コア分割体C1をコア分割体C2に積層する(コア組立工程)。その際に、スリット25側からコア分割体C2を巻線5へ近づけるようにし、リード線5aをスリット25内に挿入しつつ巻線5,5間にコア分割体C2を挿入する。そして、巻線5,5間に挿入されたコア分割体C2を隣のコア分割体C1,C2へ接近させて巻線5内にヨーク部20,23を挿入しつつ、コア分割体C1,C2或いはコア分割体C2,C2のティース3b,3bで巻線5を挟み込み、順次、巻線5をコア分割体C1,C2或いはコア分割体C2,C2の外周のスロット4に装着しつつコア分割体C1,C2を積層する。なお、コア分割体C1,C2は、接着によって一体化される。
【0043】
このように、コア3がティース3b毎に分割されたコア分割体C1,C2で構成される筒型リニアモータ1Aでは、予め巻線5のリード線5aを結線しておいてから、コア分割体C1,C2を積層して巻線5をコア分割体C1,C2の外周に装着しつつコア3を組み立て得る。
【0044】
よって、筒型リニアモータ1Aにおけるコア3がそれぞれ一つのティース3bを持つように軸方向で分割された複数の環状のコア分割体C1,C2を積層して形成されるように構成されると、予め巻線5のリード線5aを結線した状態としてからコア3を組み立てつつ巻線5のスロット4の装着も行える。筒型リニアモータ1Aおよび筒型リニアモータ1Aの製造方法では、コア3への巻線5の装着と巻線5の結線とを容易に行うことができるので、筒型リニアモータ1Aの製造が容易となる。なお、スリット22,25は、コア分割体C1,C2の内周へ通じているが、ヨーク部20,23の径方向の途中まで形成されていてコア分割体C1,C2の内周へ通じていなくともよい。ただし、スリット22,25がコア分割体C1,C2の内周まで通じている場合、コア3を形成するとスリット3cがコア3の内周へ貫通するので、コア3とロッド11との間に図4に示すように環状隙間を設けておくことで、リード線5aをコア3の内周に配置できるようになり、異なる相の巻線5に接続されたリード線5a同士を離間させて絶縁し易くなる。
【0045】
また、図6に示した一実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータ1Bのコア3のように、コア3は、それぞれ一つのティース3bを持つように軸方向で分割された複数の環状のコア分割体C3,C4を積層して形成されてもよい。
図6および図7に示すように、コア3は、コア3の一端に対応する1個のコア分割体C3と、6個のコア分割体C4とで構成されている。コア分割体C3は、孔あきの円盤30と、円盤30の外周から中心に向けて形成されるスリット30aと、ヨーク3aに相当する部位であってスリット30aを通る同一円周上に3つの孔30b,30c,30dとを備えている。そして、スリット30a、3つの孔30b,30c,30dは、コア分割体C3のヨーク3aに対応する部位の同一円周上に90度間隔で配置されている。
【0046】
また、コア分割体C4は、コア3におけるヨーク3aに対応する環状のヨーク部31aと、ヨーク部31aの外周に設けられたティース3bと、ティース3bの外周からヨーク部31aの内周へ向けて形成されるスリット31cと、ヨーク部31aであってスリット31cを通る同一円周上に設けられる3つの孔31d,31e,31fとを備えている。そして、スリット31c、3つの孔31d,31e,31fは、コア分割体C4のヨーク3aに対応するヨーク部31aの同一円周上に90度間隔で配置されている。
【0047】
このように構成されたコア3の端部に対応するコア分割体C3に6個のコア分割体C4を積層すると、コア3が形成される。詳細には、コア分割体C3,C4は、図8に示すように、スリット30a,31cを互いに正対させ、開口を上方に向けた状態で積層される。コア分割体C4は隣のコア分割体C4の孔の1つに対向するようにして、左端のコア分割体C3から積層数で数えると4層目までは周方向で同一方向に90度ずつ位相をずらしつつ積層される。つまり、図8中で、2層目のコア分割体C4のスリット31cの開口は上向きとされ、破線で示す3層目のコア分割体C4のスリット31cの開口は左向きとされ、破線で示す4層目のコア分割体C4のスリット31cの開口は下向きとされる。そして、5層目のコア分割体C4は4層目のコア分割体C4に対して同方向へ180度位相をずらして積層される。つまり、5層目のコア分割体C4のスリット31cの開口は上方に向けられる。そして、5層目から7層目までのコア分割体C4は同方向へ90度ずつ位相をずらしつつ積層される。よって、5層目から7層目までのコア分割体C4は、2層目から4層目のコア分割体C4と同じ向きにして積層されている。さらに、8層目のコア分割体C4は7層目のコア分割体C4に対して同方向へ180度位相をずらして積層され、8層目から10層目までのコア分割体C4は同方向へ90度ずつ位相をずらしつつ積層される。
【0048】
このようにコア分割体C3,C4を積層すると、スリット30a,31cと3つの孔30b,30c,30d,31d,31e,31fが同一円周上に90度間隔で配置されているので、図8に示すように、層が異なる毎にスリット31cが隣のコア分割体C3の孔30b,30c,30d或いはコア分割体C4の孔31d,31e,31fのうちの1つに対向するが、図8中で各層のコア分割体C4の右側に配置される孔には対向しない。また、コア分割体C4の3つの孔31d,31e,30fは、隣のコア分割体C4のいずれかの孔31d,31e,31fd或いはスリット31cに対向するが、図8中で各層のコア分割体C4の右側に配置される孔は、スリット30a,31cには連通されず他のコア分割体C3,C4における孔30b,30c,30d,31d,31e,31fのいずれかの孔のみに連通される。
【0049】
このように、コア分割体C3,C4の3つの孔のうち、必ず1つの孔がスリット30a,31cに接続されずにコア3の軸方向で一直線上に並んでコア3の一端から他端へ通じる1つの軸方向孔を形成する。他方、コア分割体C4におけるスリット31cは、二つのコア分割体C4の孔31d,31e,31fのいずれかを通じて3つ先のコア分割体C4のスリット31cに接続される。つまり、コア3のU,V,Wの各相同士のスロット4がスリット31cと孔31d,31e,31fによって連通される一方、スリット31cに対向しない孔でコア3の軸方向の一端から他端へ貫く軸方向孔が形成される。なお、スリット30a,31cの先端の形状は、任意であり孔30b,30c,30d,31d,31e,31fと符合する形状としてもよい。
【0050】
このように構成されたコア3に巻線5を装着して電機子2を製造するには、コア分割体C4毎に巻線5を装着して、リード線5aをスリット31c内に通しておく。このようにして巻線5とアッセンブリ化されたコア分割体C4を前述の要領で周方向に位相をずらして積層していく。リード線5aは、巻線5が装着されたコア分割体C4に積層される二層のコア分割体C4の孔を通して三層先のコア分割体C4のスリット31cを通して同相の巻線5へ接続される。このコア分割体C3,C4を積層する工程において、スリット31cに対せずにコア3を貫く軸方向孔を形成する孔に図9に示すようにキーKを差し込んでおく。このようにキーKを差し込んでおけば、コア分割体C4が周方向に位置決めされるので、スリット31cと孔31e,31e,31fの位置合わせが非常に容易となるので、コア3の製造作業が非常に容易となる。なお、コア分割体C3,C4は、互いに接着されるので、コア3の組み立てが終了すればキーKを抜き去ることができる。
(【0051】以降は省略されています)

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