TOP特許意匠商標
特許ウォッチ DM通知 Twitter
公開番号2020078200
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200521
出願番号2018210745
出願日20181108
発明の名称回転電機のロータ
出願人本田技研工業株式会社
代理人特許業務法人航栄特許事務所
主分類H02K 1/27 20060101AFI20200424BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】回転電機の出力性能を向上させつつ、磁極部を冷却することができる回転電機のロータを提供する。
【解決手段】回転電機のロータ10は、ロータコア20と、磁極部30と、を備える。磁極部30は、外径側磁石部310と、内径側磁石部320と、を含む、径方向に沿って少なくとも二層の磁石部300を有する。ロータコア20は、正面視で、外径側磁石挿入孔410と、内径側磁石挿入孔421、422と、外径側磁石部310と内径側磁石部320との間に、d軸と重なるように設けられる第2冷媒流路孔90と、を備え、外径側磁石挿入孔410と第2冷媒流路孔90との間に形成される磁路の最小幅D9が、外径側磁石挿入孔410と内径側磁石挿入孔421、422との間に形成される磁路の最小幅D11、D12以上である。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
ロータコアと、
周方向に沿って配置される複数の磁極部と、
該磁極部を構成する複数の円弧磁石と、を備える回転電機のロータであって、
各磁極部は、
径方向に沿って少なくとも二層の磁石部を有し、
前記磁石部は、
径方向内側に凸となるように配置される少なくとも一つの前記円弧磁石から構成される外径側磁石部と、
前記径方向内側に凸となるように配置される少なくとも一対の前記円弧磁石から構成される内径側磁石部と、を含み、
各磁極部の中心軸をd軸、該d軸に対し電気角で90°隔てた軸をq軸とした場合、
前記ロータコアは、正面視で、
前記外径側磁石部を構成する前記少なくとも一つの前記円弧磁石が挿入される外径側磁石挿入孔と、
前記内径側磁石部を構成する前記少なくとも一対の前記円弧磁石が挿入される内径側磁石挿入孔と、
前記外径側磁石部と前記内径側磁石部との間に、前記d軸と重なるように設けられる冷媒流路孔と、を備え、
前記外径側磁石挿入孔と前記冷媒流路孔との間に形成される磁路の最小幅が、前記外径側磁石挿入孔と前記内径側磁石挿入孔との間に形成される磁路の最小幅以上である、回転電機のロータ。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
請求項1に記載の回転電機のロータであって、
前記内径側磁石部の前記一対の円弧磁石は、
前記d軸に対し前記周方向で一方側に位置する第1円弧磁石と、
前記d軸に対し前記周方向で他方側に位置する第2円弧磁石と、を備え、
前記第1円弧磁石の円弧中心が、前記d軸に対し前記周方向で他方側に位置し、
前記第2円弧磁石の円弧中心が、前記d軸に対し前記周方向で一方側に位置し、
前記冷媒流路孔は、前記ロータコアの正面視で、
前記第1円弧磁石のd軸側端面と該第1円弧磁石の前記円弧中心とを結ぶ第1仮想線と、前記第2円弧磁石のd軸側端面と該第2円弧磁石の前記円弧中心とを結ぶ第2仮想線と、前記第1円弧磁石の内周面に沿って延びる円弧状の第1延長線と、前記第2円弧磁石の内周面に沿って延びる円弧状の第2延長線と、によって囲まれる領域に設けられる、回転電機のロータ。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電機のロータであって、
前記冷媒流路孔は、前記第1仮想線に沿って延びる第1側壁部と、前記第2仮想線に沿って延びる第2側壁部と、を有する回転電機のロータ。
【請求項4】
請求項3に記載の回転電機のロータであって、
前記第1仮想線と前記第2仮想線との交点は、前記外径側磁石部と前記内径側磁石部との間に位置し、
前記冷媒流路孔は、前記交点を外径側頂部として、該外径側頂部から前記第1側壁部及び前記第2側壁部が延びる形状を有する、回転電機のロータ。
【請求項5】
請求項3に記載の回転電機のロータであって、
前記冷媒流路孔は、前記径方向内側に向かって凸の円弧形状の外径側壁部を有する、回転電機のロータ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の回転電機のロータであって、
前記外径側磁石部と、前記内径側磁石部と、前記冷媒流路孔とは、前記d軸について対称である、回転電機のロータ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の回転電機のロータであって、
前記外径側磁石部の前記少なくとも一つの円弧磁石は、前記d軸上に円弧中心を有する一つの円弧磁石から構成される、回転電機のロータ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の回転電機のロータであって、
前記内径側磁石部の前記円弧磁石と前記外径側磁石部の前記円弧磁石との距離は、前記d軸に近づくに従って広くなる、回転電機のロータ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の回転電機のロータであって、
各円弧磁石は、内周面と外周面とが同じ円弧中心を有し、
前記円弧磁石の板厚は、前記内径側磁石部の方が前記外径側磁石部よりも大きく、
前記円弧磁石の円弧半径は、前記内径側磁石部の方が前記外径側磁石部よりも大きい、回転電機のロータ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両等に搭載される回転電機のロータに関し、特に、複数の円弧磁石を備える回転電機のロータに関する。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、回転電機に使用されるロータとして、ロータコアの内部に周方向に所定の間隔で複数個の永久磁石を配置したロータが知られている。このような回転電機のロータにおいて、ロータの外径側に位置する円弧磁石と、ロータの内径側に位置する円弧磁石とが、間隔を置いて2層に配置された磁極部を有するものがある。例えば、特許文献1には、ロータの外径側に位置する外径側円弧磁石と、ロータの内径側に位置する内径側円弧磁石とが、略同一の板厚を有し、略同心円状に配置された磁極部を有する回転電機のロータが開示されている。特許文献1の回転電機のロータでは、円弧磁石が径方向で2層に配置されているので、円弧磁石が1層のみに配置されたロータに比べて磁石量が増え、マグネットトルクを大きくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平09−233744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、駆動源として回転電機が用いられるハイブリッド車両やEV車両において、より高出力な回転電機が求められている。しかしながら、回転電機の高出力化に伴い、回転電機の性能に大きな影響を及ぼす永久磁石の温度上昇が問題となっている。そのため、回転電機の出力性能を向上させつつ、磁極部を効率的に冷却する方法が模索されている。
【0005】
本発明は、回転電機の出力性能を向上させつつ、磁極部を冷却することができる回転電機のロータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ロータコアと、
周方向に沿って配置される複数の磁極部と、
該磁極部を構成する複数の円弧磁石と、を備える回転電機のロータであって、
各磁極部は、
径方向に沿って少なくとも二層の磁石部を有し、
前記磁石部は、
径方向内側に凸となるように配置される少なくとも一つの前記円弧磁石から構成される外径側磁石部と、
前記径方向内側に凸となるように配置される少なくとも一対の前記円弧磁石から構成される内径側磁石部と、を含み、
各磁極部の中心軸をd軸、該d軸に対し電気角で90°隔てた軸をq軸とした場合、
前記ロータコアは、正面視で、
前記外径側磁石部を構成する前記少なくとも一つの前記円弧磁石が挿入される外径側磁石挿入孔と、
前記内径側磁石部を構成する前記少なくとも一対の前記円弧磁石が挿入される内径側磁石挿入孔と、
前記外径側磁石部と前記内径側磁石部との間に、前記d軸と重なるように設けられる冷媒流路孔と、を備え、
前記外径側磁石挿入孔と前記冷媒流路孔との間に形成される磁路の最小幅が、前記外径側磁石挿入孔と前記内径側磁石挿入孔との間に形成される磁路の最小幅以上である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転電機の出力性能を向上させつつ、磁極部を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の一実施形態の回転電機のロータの正面図である。
図1の回転電機のロータの磁極部周辺の拡大図である。
本発明の一実施形態の回転電機のロータの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の回転電機のロータの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1に示すように、一実施形態の回転電機のロータ10は、ロータシャフト(不図示)の外周部に取り付けられるロータコア20と、ロータコア20の内部に周方向に所定の間隔で形成された複数の磁極部30(本実施形態では12個)と、を備え、ステータ(不図示)の内周側に配置されている。
【0011】
ロータコア20は、同一形状の略円環状の電磁鋼板200が軸方向に複数積層されて形成されている。ロータコア20は、円環中心Cと同中心のロータシャフト孔21と、隣り合う磁極部30間に形成された第1冷媒流路孔70と、を有する。さらに、円環中心Cと各磁極部30の中心とを結ぶ、各磁極部30の中心軸をd軸(図中d−axis)、d軸に対し電気角で90°隔てた軸をq軸(図中q−axis)とした場合、ロータコア20は、各磁極部30に対応するように、ロータコア20の外径側にd軸を横切るように形成された外径側磁石挿入孔410と、外径側磁石挿入孔410の内径側にd軸を挟んで径方向外側に向かって広がる略ハの字状に形成された一対の内径側磁石挿入孔421、422と、内径側磁石挿入孔421、422のd軸側端部に形成され、それぞれ径方向に延びる一対のリブ510、520と、一対のリブ510、520間に形成された空隙部60と、一対の内径側磁石挿入孔421、422と外径側磁石挿入孔410との間に、d軸と重なるように設けられる第2冷媒流路孔90と、を有する。外径側磁石挿入孔410及び内径側磁石挿入孔421、422は、いずれも径方向内側に凸となる円弧形状を有する。
【0012】
各磁極部30は、外径側磁石部310及び内径側磁石部320を含む磁石部300を有する。外径側磁石部310は、外径側磁石挿入孔410に挿入され、径方向内側に凸となるように配置された外径側円弧磁石810から構成される。内径側磁石部320は、一対の内径側磁石挿入孔421、422にそれぞれ挿入され、径方向内側に凸となるように配置された一対の内径側円弧磁石821、822から構成される。
【0013】
外径側円弧磁石810及び一対の内径側円弧磁石821、822は、径方向に磁化されている。また、外径側円弧磁石810及び一対の内径側円弧磁石821、822は、隣り合う磁極部30と磁化方向が異なり、磁極部30が周方向で交互に磁化方向が異なるように配置されている。
【0014】
ここで、ロータ10の正面視において、円環中心Cを下方、d軸方向外径側を上方として見て、一対の内径側磁石挿入孔421、422は、d軸に対して左側に第1内径側磁石挿入孔421、右側に第2内径側磁石挿入孔422が配置され、一対のリブ510、520は、d軸を挟んで左側に第1リブ510、右側に第2リブ520が配置され、一対の内径側円弧磁石821、822は、d軸を挟んで左側に第1内径側円弧磁石821、右側に第2内径側円弧磁石822が配置されている。
【0015】
さらに、外径側磁石部310と、内径側磁石部320と、空隙部60と、第2冷媒流路孔90とは、d軸について対称に配置されている。これにより、リラクタンストルクを得るための効率的な配置とすることができる。
【0016】
以降、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、ロータ10の正面視において、円環中心Cを下方、d軸方向外径側を上方と定義して説明する。図2〜5には、ロータ10の上方をU、下方をD、左側をL、右側をR、として示す。
【0017】
図2に示すように、外径側円弧磁石810は、同じ円弧中心C10を有する内周面810N及び外周面810Fと、左側端面810Lと、右側端面810Rと、を有する。第1内径側円弧磁石821は、同じ円弧中心C21を有する内周面821N及び外周面821Fと、q軸側端面821Qと、d軸側端面821Dと、を有する。第1内径側円弧磁石821の円弧中心C21は、d軸に対して第1内径側円弧磁石821と反対側の右側に位置している。第2内径側円弧磁石822は、同じ円弧中心C22を有する内周面822N及び外周面822Fと、q軸側端面822Qと、d軸側端面822Dと、を有する。第2内径側円弧磁石822の円弧中心C22は、d軸に対して第2内径側円弧磁石822と反対側の左側に位置している。
【0018】
ここで、外径側円弧磁石810の円弧中心C10は、d軸上に位置している。これにより、外径側磁石部310をd軸上に円弧中心を有する一つの円弧磁石で構成できるので、シンプルな構造で効率的にマグネットトルクを得ることができる。
【0019】
さらに、第1内径側円弧磁石821のd軸側端面821Dと第1内径側円弧磁石821の円弧中心C21とを結ぶ第1仮想線L1と、第2内径側円弧磁石822のd軸側端面822Dと第2内径側円弧磁石822の円弧中心C22とを結ぶ第2仮想線L2との交点Xは、外径側磁石部310と内径側磁石部320との間のd軸上に位置している。
【0020】
外径側円弧磁石810、第1内径側円弧磁石821、及び第2内径側円弧磁石822は、例えば、熱間加工プロセスを用いた成形により形成されたリング状磁石を径方向に切断した円弧磁石を用いることができる。
【0021】
一般に、熱間押出し成形等の熱間加工プロセスを用いた成形によりリング状磁石を形成する場合、熱間押出し成形することにより、ランダムに配向していたリング状磁石素材の結晶群に径方向の応力が作用し、リング状磁石素材の結晶群は、応力方向と同方向に配向する。その結果、径方向に配向した異方性リング状磁石が得られる。
【0022】
したがって、高性能な磁化特性を持ったリング状磁石を得るためには、リング状磁石素材の結晶群に作用する応力が全域で均一となることが望ましい。しかし、リング状磁石素材のリング半径が小さく、リング状磁石素材の肉厚が大きい場合は、リング状磁石素材の結晶群に作用する応力が不均一となり、リング状磁石の配向度が低下してしまう。また、リング状磁石素材の肉厚が不均一の場合も、リング状磁石素材の結晶群に作用する応力が不均一となり、リング状磁石の配向度が低下してしまう。よって、リング状磁石素材の結晶群に作用する応力が全域で均一となるためには、(リング状磁石素材の肉厚)/(リング状磁石素材のリング半径)の値が、所定範囲内にある必要があり、円弧磁石の磁石量を増やすに際し、高性能な磁化特性を持った円弧磁石を複数層に配置するには、板厚に応じて円弧磁石の円弧半径も大きくする必要がある。
【0023】
第1内径側円弧磁石821の板厚d21及び第2内径側円弧磁石822の板厚d22は、外径側円弧磁石810の板厚d10よりも大きくなっている。これにより、第1内径側円弧磁石821及び第2内径側円弧磁石822の磁石量を増やすことができ、回転電機のマグネットトルクを大きくできるので、回転電機の出力性能を向上できる。
【0024】
また、第1内径側円弧磁石821の板厚d21及び第2内径側円弧磁石822の板厚d22を大きくした分、第1内径側円弧磁石821の内周面821Nの円弧半径r21及び第2内径側円弧磁石822の内周面822Nの円弧半径r22は、外径側円弧磁石810の内周面810Nの円弧半径r10よりも大きくなっている。これにより、高性能な磁化特性を持つ外径側円弧磁石810、第1内径側円弧磁石821、及び第2内径側円弧磁石822を用いることができるので、回転電機の出力性能を向上できる。
【0025】
ここで、外径側円弧磁石810の内周面810Nの円弧半径r10と、外径側円弧磁石810の板厚d10との比であるd10/r10と、第1内径側円弧磁石821の内周面821Nの円弧半径r21と、第1内径側円弧磁石821の板厚d21との比であるd21/r21と、第2内径側円弧磁石822の内周面822Nの円弧半径r22と、第2内径側円弧磁石822の板厚d22との比であるd22/r22とは、所定範囲で略同一の値であることが好ましい。より好ましくは、第1内径側円弧磁石821の内周面821Nの円弧半径r21と第2内径側円弧磁石822の内周面822Nの円弧半径r22とが同一、かつ、第1内径側円弧磁石821の板厚d21と第2内径側円弧磁石822の板厚d22が同一であり、第1内径側円弧磁石821と第2内径側円弧磁石822とが同一形状となっている。
【0026】
さらに、第1内径側円弧磁石821と外径側円弧磁石810との距離及び第2内径側円弧磁石822と外径側円弧磁石810との距離は、いずれも、q軸からd軸に近づくに従って長くなっている。
【0027】
これにより、磁極部30の周方向長さが大きくなることを抑制できるので、ロータ10が大型化するのを抑制できる。したがって、ロータ10は、第1内径側円弧磁石821及び第2内径側円弧磁石822の磁石量を増やすに際し、大型化を抑制しつつ、高性能な磁化特性を持つ外径側円弧磁石810、第1内径側円弧磁石821、及び第2内径側円弧磁石822を用いることが可能となる。また、ロータ10におけるq軸に沿った磁路(以下、q軸磁路とも呼ぶ)を広くとることができ、回転電機のリラクタンストルクを大きくできるので、回転電機の出力性能を向上できる。さらに、第1内径側円弧磁石821及び第2内径側円弧磁石822と、外径側円弧磁石810とによるマグネット磁束がd軸に集約されやすくなり、回転電機のマグネットトルクを効率的に利用でき、回転電機の出力性能を向上できる。
【0028】
外径側磁石挿入孔410は、外径側円弧磁石810の内周面810N及び外周面810Fに沿って形成された内周壁面410N及び外周壁面410Fと、左側壁面410Lと、右側壁面410Rと、を有する。第1内径側磁石挿入孔421は、第1内径側円弧磁石821の内周面821N及び外周面821Fに沿って形成された内周壁面421N及び外周壁面421Fと、q軸側壁面421Qと、d軸側壁面421Dと、を有する。第2内径側磁石挿入孔422は、第2内径側円弧磁石822の内周面822N及び外周面822Fに沿って形成された内周壁面422N及び外周壁面422Fと、q軸側壁面422Qと、d軸側壁面422Dと、を有する。
【0029】
第2冷媒流路孔90は、外径側磁石部310と内径側磁石部320との間に、d軸と重なるように設けられている。
【0030】
これにより、第2冷媒流路孔90によって、外径側磁石部310と内径側磁石部320との間で、d軸上に空隙を有することになるため、d軸インダクタンスを低減することができる。
【0031】
また、第2冷媒流路孔90は、外径側磁石挿入孔410と第2冷媒流路孔90との間に形成される磁路の最小幅D9が、外径側磁石挿入孔410と第1内径側磁石挿入孔421との間に形成される磁路の最小幅D11及び外径側磁石挿入孔410と第2内径側磁石挿入孔422との間に形成される磁路の最小幅D12よりも大きくなるように配置されている。
【0032】
これにより、ロータ10におけるq軸磁路は、第2冷媒流路孔90によって狭くなることがなく、q軸インダクタンスの低下を抑制できる。
【0033】
したがって、第2冷媒流路孔90によって、q軸インダクタンスの低下を抑制しつつ、d軸インダクタンスを低減することができるので、リラクタンストルクを有効に利用することが可能となり、回転電機の出力性能を向上させることができる。
【0034】
さらに、第2冷媒流路孔90によって、外径側磁石部310と内径側磁石部320との間に冷媒を供給することができるので、発熱体である外径側磁石部310及び内径側磁石部320を冷却することができる。
【0035】
第2冷媒流路孔90は、第1仮想線L1と、第2仮想線L2と、第1内径側円弧磁石821の内周面821Nに沿って延びる円弧状の第1延長線E1と、第2内径側円弧磁石822の内周面822Nに沿って延びる円弧状の第2延長線E2と、によって囲まれる領域Sに設けられている。
【0036】
これにより、第2冷媒流路孔90は、第1内径側円弧磁石821及び第2内径側円弧磁石822によるマグネット磁束の磁路を狭めることなく、外径側磁石部310と内径側磁石部320との間に配置される。よって、回転電機の出力性能が低下することなく、外径側磁石部310と内径側磁石部320との間に第2冷媒流路孔90を設けることができる。
【0037】
本実施形態では、第2冷媒流路孔90は、第1仮想線L1と第2仮想線L2との交点Xに位置する外径側頂部90Tと、外径側頂部90Tから第1仮想線L1に沿って径方向内側に延びる第1側壁部91と、外径側頂部90Tから第2仮想線に沿って径方向内側に延びる第2側壁部92と、第1側壁部91の径方向内側端部から第2側壁部92の径方向内側端部へと周方向に延びる内径側壁部93と、を有する。
【0038】
これにより、第2冷媒流路孔90の外径側頂部90Tは、第1仮想線L1と第2仮想線L2との交点Xに位置するので、第1内径側円弧磁石821及び第2内径側円弧磁石822によるマグネット磁束の磁路を狭めない範囲で、第2冷媒流路孔90を最も径方向外側に配置できる。したがって、第1内径側円弧磁石821及び第2内径側円弧磁石822によるマグネット磁束の磁路を狭めない範囲で、外径側磁石部310と内径側磁石部320との間の最も径方向外側に冷媒を供給できるので、特に冷却が困難な外径側磁石部310をより効果的に冷却することができる。
【0039】
さらに、第2冷媒流路孔90は、第1側壁部91が第1仮想線L1に沿って延び、第2側壁部92が第2仮想線L2に沿って延びているので、第1内径側円弧磁石821及び第2内径側円弧磁石822によるマグネット磁束の磁路を狭めない範囲で、第2冷媒流路孔90の周方向長さを最も長くすることができる。また、第2冷媒流路孔90によって、第1内径側円弧磁石821のd軸側端面821D近傍の周方向外側及び第2内径側円弧磁石822のd軸側端面822D近傍の周方向外側が空隙となるため、第1内径側円弧磁石821のd軸側端面821D近傍の回り込み磁束、及び第2内径側円弧磁石822のd軸側端面822D近傍の回り込み磁束を低減することができる。
【0040】
また、第1内径側円弧磁石821のd軸側端面821Dとd軸との間には、径方向に延びる第1リブ510が形成され、第2内径側円弧磁石822のd軸側端面822Dとd軸との間には、径方向に延びる第2リブ520が形成されている。さらに、第1リブ510と第2リブ520の間は、空隙部60となっている。よって、空隙部60は、d軸と重なるように設けられている。
【0041】
これにより、内径側磁石部320において、d軸上が空隙となるため、d軸インダクタンスを低減することができる。よって、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差を大きくすることができるので、リラクタンストルクを有効に利用することが可能となり、回転電機の出力性能を向上できる。
【0042】
第1リブ510は、第1内径側磁石挿入孔421のd軸側壁面421Dと、空隙部60の左側壁面61によって構成されている。第2リブ520は、第2内径側磁石挿入孔422のd軸側壁面422Dと、空隙部60の右側壁面62によって構成されている。
【0043】
したがって、第1内径側円弧磁石821による遠心荷重は第1リブ510が受け、第2内径側円弧磁石822による遠心荷重は、第2リブ520が受けることとなる。すなわち、第1リブ510と第2リブ520は、第1内径側円弧磁石821による遠心荷重と第2内径側円弧磁石822による遠心荷重とを、それぞれ別個に受けることとなる。これにより、第1内径側円弧磁石821と第2内径側円弧磁石822の重量バラツキに起因してロータコア20に発生する曲げ応力を低減することができる。
【0044】
さらに、第1リブ510と第2リブ520は、径方向内側に向かって第1リブ510と第2リブ520との距離D5が長くなる略ハの字状に設けられている。これにより、第1リブ510の径方向外側端部511及び径方向内側端部512と、第2リブ520の径方向外側端部521及び径方向内側端部522のいずれも、角Rを大きくすることができるので、第1リブ510及び第2リブ520の径方向両端部への応力集中を緩和することができる。
【0045】
ここで、空隙部60には、冷媒が供給されていてもよい。これにより、外径側円弧磁石810、第1内径側円弧磁石821、及び第2内径側円弧磁石822の近傍に冷媒を供給することができるので、外径側円弧磁石810、第1内径側円弧磁石821、及び第2内径側円弧磁石822をより効果的に冷却することができる。
【0046】
なお、図3に示すように、第2冷媒流路孔90は、第1仮想線L1に沿って径方向内側に延びる第1側壁部91と、第2仮想線に沿って径方向内側に延びる第2側壁部92と、第1側壁部91の径方向内側端部から第2側壁部92の径方向内側端部へと周方向に延びる内径側壁部93と、第1側壁部91の径方向外側端部から第2側壁部92の径方向外側端部へと径方向内側に向かって凸の円弧形状に延びる外径側壁部94と、を有していてもよい。
【0047】
これにより、ロータコア20の製造誤差により、外径側磁石挿入孔410と第1内径側磁石挿入孔421との間に形成されるq軸磁路の幅、または外径側磁石挿入孔410と第2内径側磁石挿入孔422との間に形成されるq軸磁路の幅が大きくなった場合でも、q軸インダクタンスが低下するのを防止できる。また、ロータ10の回転時における遠心力による第2冷媒流路孔90の径方向外側での応力集中を緩和することができる。
【0048】
なお、前述した実施形態は、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0049】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0050】
(1) ロータコア(ロータコア20)と、
周方向に沿って配置される複数の磁極部(磁極部30)と、
該磁極部を構成する複数の円弧磁石(外径側円弧磁石810、内径側円弧磁石821、822)と、を備える回転電機のロータ(ロータ10)であって、
各磁極部は、
径方向に沿って少なくとも二層の磁石部(磁石部300)を有し、
前記磁石部は、
径方向内側に凸となるように配置される少なくとも一つの前記円弧磁石(外径側円弧磁石810)から構成される外径側磁石部(外径側磁石部310)と、
前記径方向内側に凸となるように配置される少なくとも一対の前記円弧磁石(内径側円弧磁石821、822)から構成される内径側磁石部(内径側磁石部320)と、を含み、
各磁極部の中心軸をd軸、該d軸に対し電気角で90°隔てた軸をq軸とした場合、
前記ロータコアは、正面視で、
前記外径側磁石部を構成する前記少なくとも一つの前記円弧磁石が挿入される外径側磁石挿入孔(外径側磁石挿入孔410)と、
前記内径側磁石部を構成する前記少なくとも一対の前記円弧磁石が挿入される内径側磁石挿入孔(内径側磁石挿入孔421、422)と、
前記外径側磁石部と前記内径側磁石部との間に、前記d軸と重なるように設けられる冷媒流路孔(第2冷媒流路孔90)と、を備え、
前記外径側磁石挿入孔と前記冷媒流路孔との間に形成される磁路の最小幅(最小幅D9)が、前記外径側磁石挿入孔と前記内径側磁石挿入孔との間に形成される磁路の最小幅(最小幅D11、D12)以上である、回転電機のロータ。
(【0051】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

本田技研工業株式会社
車両
本田技研工業株式会社
ロータ
本田技研工業株式会社
ロータ
本田技研工業株式会社
塗布装置
本田技研工業株式会社
制御装置
本田技研工業株式会社
回転電機
本田技研工業株式会社
回転電機
本田技研工業株式会社
内燃機関
本田技研工業株式会社
通信装置
本田技研工業株式会社
表示装置
本田技研工業株式会社
給油装置
本田技研工業株式会社
車体構造
本田技研工業株式会社
固体電池
本田技研工業株式会社
消音部材
本田技研工業株式会社
消音部材
本田技研工業株式会社
高圧容器
本田技研工業株式会社
吹出口装置
本田技研工業株式会社
荷受用車両
本田技研工業株式会社
鞍乗型車両
本田技研工業株式会社
波巻コイル
本田技研工業株式会社
鞍乗型車両
本田技研工業株式会社
シール構造
本田技研工業株式会社
運転支援装置
本田技研工業株式会社
摩擦係合装置
本田技研工業株式会社
感情推定装置
本田技研工業株式会社
自動運転車両
本田技研工業株式会社
物品供給装置
本田技研工業株式会社
ランナー構造
本田技研工業株式会社
部品供給方法
本田技研工業株式会社
車体後部構造
本田技研工業株式会社
駆動ユニット
本田技研工業株式会社
車両制御装置
本田技研工業株式会社
部品取付装置
本田技研工業株式会社
車両システム
本田技研工業株式会社
車両用制御装置
本田技研工業株式会社
車両用空調装置
続きを見る