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公開番号2020025446
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200213
出願番号2019127575
出願日20190709
発明の名称電機子巻線の製造方法
出願人株式会社デンソー
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H02K 15/04 20060101AFI20200121BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】スロットレス構造の回転電機を構成する固定子巻線521の製造に適した固定子巻線の製造方法を提供する。
【解決手段】分布巻きにより円環状に形成された多相の固定子巻線521は、径方向において内層側に位置する内層側導線523と、径方向において外層側に位置する外層側導線523とを備え、内層側導線523及び外層側導線523それぞれが周方向に複数並べられて構成されており、内層側導線523と外層側導線523とは、軸方向に対して互いに異なる方向へのスキューが施されている。固定子巻線521の製造方法は、各相において、内層側導線523及び外層側導線523それぞれの端部同士を繋げることにより、固定子巻線520を製作する工程を備えている。
【選択図】 図53
特許請求の範囲【請求項1】
分布巻きにより円環状に形成された多相の電機子巻線(521)の製造方法において、
前記電機子巻線は、径方向において内層側に位置する導線である内層側導線(523)と、径方向において前記内層側導線に対して外層側に位置する導線である外層側導線(523)と、を備え、前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれが周方向に複数並べられて構成されており、
前記内層側導線と前記外層側導線とは、軸方向に対して互いに異なる方向へのスキューが施されており、
各相において、前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれの端部同士を繋げることにより、前記電機子巻線を製作する工程を備える電機子巻線の製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
各相において、前記電機子巻線の両端部のうちいずれか一方である接続側端部が、電力変換器(600)に電気的に接続される巻線接続端子(633)に接続され、
前記電機子巻線の軸方向両側のコイルエンドのうち、いずれか一方である接続側コイルエンドに各相の前記接続側端部が含まれており、
前記製作する工程は、複数の前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれを円環状に並べて保持した状態で、前記軸方向両側のコイルエンドのうち前記接続側コイルエンドのみにおいて、前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれの端部同士を溶接により繋げる工程であり、
前記接続側端部と前記巻線接続端子とを溶接により繋げる工程を備える請求項1に記載の電機子巻線の製造方法。
【請求項3】
電力変換器(600)に電気的に接続されるバスバー(643)と、前記バスバーに電気的に接続される巻線接続端子(633)と、を備える回転電機(500)を構成する電機子巻線の製造方法において、
各相において、前記電機子巻線の両端部のうちいずれか一方が、前記巻線接続端子(633)に接続される接続側端部とされており、
前記電機子巻線の軸方向両側のコイルエンドのうち、いずれか一方である接続側コイルエンドに各相の前記接続側端部が含まれており、
前記製作する工程は、複数の前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれを円環状に並べて保持し、かつ、前記軸方向両側のコイルエンドのうち前記接続側コイルエンドに近い位置に前記バスバーが配置された状態で、前記軸方向両側のコイルエンドのうち前記接続側コイルエンド以外のコイルエンドにおいて、前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれの端部同士を溶接により繋げる工程である請求項1に記載の電機子巻線の製造方法。
【請求項4】
前記製作する工程は、各相において、前記電機子巻線の軸方向両側のコイルエンドのそれぞれにおいて、前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれの端部同士を溶接により繋げる工程である請求項1に記載の電機子巻線の製造方法。
【請求項5】
前記製作する工程は、各相に対応した導線材の折り曲げにより、前記電機子巻線の軸方向両側のコイルエンドそれぞれにおいて、前記導線材のうち径方向において内層側に位置する部分である前記内層側導線及び径方向において外層側に位置する部分である前記外層側導線それぞれの端部同士を繋げる工程である請求項1に記載の電機子巻線の製造方法。
【請求項6】
前記内層側導線及び前記外層側導線として、中央領域の軸方向に対する傾斜角度である第1スキュー角度(θs1)が、端部領域の軸方向に対する傾斜角度である第2スキュー角度(θs2)よりも小さくされている導線が用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の電機子巻線の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電機子巻線の製造方法に関する。
続きを表示(約 12,000 文字)【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、周方向に極性が交互となる複数の磁極を有する磁石部を含む界磁子と、多相の電機子巻線を有する電機子とを備える回転電機が知られている。ここで、電機子巻線は、磁石部に対向する位置で周方向に所定間隔で配置された導線部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2013−176202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転電機としては、スロットレス構造のものもある。スロットレス構造とは、電機子において、周方向における各導線部の間に導線間部材を設け、かつその導線間部材として、1磁極における導線間部材の周方向の幅寸法をWt、導線間部材の飽和磁束密度をBs、1磁極における磁石部の周方向の幅寸法をWm、磁石部の残留磁束密度をBrとした場合に、Wt×Bs≦Wm×Brの関係となる磁性材料、若しくは非磁性材料を用いる構成か、又は周方向における各導線部の間に導線間部材を設けていない構造のことである。
【0005】
スロットレス構造の回転電機を構成する電機子巻線として、分布巻きにより円環状に形成されたものが用いられる。この場合、この電機子巻線の製造に適した電機子巻線の製造方法が望まれる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スロットレス構造の回転電機を構成する電機子巻線の製造に適した電機子巻線の製造方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【0008】
手段1は、分布巻きにより円環状に形成された多相の電機子巻線の製造方法において、
前記電機子巻線は、径方向において内層側に位置する導線である内層側導線と、径方向において前記内層側導線に対して外層側に位置する導線である外層側導線と、を備え、前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれが周方向に複数並べられて構成されており、
前記内層側導線と前記外層側導線とは、軸方向に対して互いに異なる方向へのスキューが施されており、
各相において、前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれの端部同士を繋げることにより、前記電機子巻線を製作する工程を備える。
【0009】
手段1では、径方向内外に位置する内層側導線と外層側導線とに、軸方向に対して互いに異なる方向へのスキューが施されている。このため、分布巻きにより形成され、かつ、スキューが施された多相の電機子巻線を製作する上で、内層側導線及び外層側導線それぞれの端部同士を繋げやすくなっている。したがって、手段1によれば、スロットレス構造の回転電機を構成する電機子巻線の製造に適した電機子巻線の製造方法を提供することができる。
【0010】
手段2は、手段1において各相において、前記電機子巻線の両端部のうちいずれか一方である接続側端部が、電力変換器に電気的に接続される巻線接続端子に接続され、
前記電機子巻線の軸方向両側のコイルエンドのうち、いずれか一方である接続側コイルエンドに各相の前記接続側端部が含まれており、
前記製作する工程は、複数の前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれを円環状に並べて保持した状態で、前記軸方向両側のコイルエンドのうち前記接続側コイルエンドのみにおいて、前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれの端部同士を溶接により繋げる工程であり、
前記接続側端部と前記巻線接続端子とを溶接により繋げる工程を備える。
【0011】
手段2では、複数の内,外層側導線それぞれを円環状に並べて保持した状態で、電機子巻線の軸方向両側のコイルエンドのうち接続側コイルエンドのみにおいて、内,外層側導線それぞれの端部同士を溶接により繋げることにより、電機子巻線を製作する。また、接続側コイルエンドにおいて、電機子巻線の接続側端部と巻線接続端子とが溶接により繋がれる。以上説明した手段2によれば、内,外層側導線それぞれの端部同士の溶接と、接続側端部と巻線接続端子との溶接とを一連の工程で行うことができ、電機子巻線の製造工程における作業効率の向上を図ることができる。
【0012】
手段3は、手段1において、電力変換器に電気的に接続されるバスバーと、前記バスバーに電気的に接続される巻線接続端子と、を備える回転電機を構成する電機子巻線の製造方法において、
各相において、前記電機子巻線の両端部のうちいずれか一方が、前記巻線接続端子に接続される接続側端部とされており、
前記電機子巻線の軸方向両側のコイルエンドのうち、いずれか一方である接続側コイルエンドに各相の前記接続側端部が含まれており、
前記製作する工程は、複数の前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれを円環状に並べて保持し、かつ、前記軸方向両側のコイルエンドのうち前記接続側コイルエンドに近い位置に前記バスバーが配置された状態で、前記軸方向両側のコイルエンドのうち前記接続側コイルエンド以外のコイルエンドにおいて、前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれの端部同士を溶接により繋げる工程である。
【0013】
電機子巻線の軸方向両側のコイルエンドのうち接続側コイルエンドに近い位置にバスバーが配置されている。この場合、接続側コイルエンドにおいて内,外層側導線それぞれの端部同士を溶接により繋げる構成を採用すると、その溶接部とバスバーとの接触を避けるために、バスバーと接続側コイルエンドとの間の軸方向における離間距離を十分に取る必要が生じる。その結果、電機子巻線の軸方向の長さ寸法が大きくなる懸念がある。
【0014】
この点、手段3では、複数の内,外層側導線それぞれを円環状に並べて保持した状態で、接続側コイルエンド以外のコイルエンドにおいて、内,外層側導線それぞれの端部同士を溶接により繋げることにより、電機子巻線を製作する。このため、手段3によれば、バスバーと接続側コイルエンドとの間の軸方向における離間距離を小さくできる。これにより、電機子巻線の軸方向の長さ寸法を小さくしたり、バスバーに関する規制を緩めたりすることができる。
【0015】
手段4は、手段1において、前記製作する工程は、各相において、前記電機子巻線の軸方向両側のコイルエンドのそれぞれにおいて、前記内層側導線及び前記外層側導線それぞれの端部同士を溶接により繋げる工程である。
【0016】
手段4によれば、溶接前に用意する導線材として短い線長のものを用いることができ、また、曲げ工程の削減による作業効率の向上を図ることができる。
【0017】
手段5は、手段1において、前記製作する工程は、各相に対応した導線材の折り曲げにより、前記電機子巻線の軸方向両側のコイルエンドそれぞれにおいて、前記導線材のうち径方向において内層側に位置する部分である前記内層側導線及び径方向において外層側に位置する部分である前記外層側導線それぞれの端部同士を繋げる工程である。
【0018】
手段5によれば、電機子巻線において溶接が行われる部位を極力減らすことができる。その結果、溶接工程において、導線の絶縁層が剥離する懸念を低減することができる。
【0019】
手段6は、手段1〜5のいずれか1つにおいて、前記内層側導線及び前記外層側導線として、中央領域の軸方向に対する傾斜角度である第1スキュー角度が、端部領域の軸方向に対する傾斜角度である第2スキュー角度よりも小さくされている導線が用いられる。
【0020】
手段6によれば、電機子巻線のコイルエンドの長さを短くすることができ、ひいては電機子巻線の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
回転電機の縦断面斜視図。
回転電機の縦断面図。
図2のIII−III線断面図。
図3の一部を拡大して示す断面図。
回転電機の分解図。
インバータユニットの分解図。
固定子巻線のアンペアターンとトルク密度との関係を示すトルク線図。
回転子及び固定子の横断面図。
図8の一部を拡大して示す図。
固定子の横断面図。
固定子の縦断面図。
固定子巻線の斜視図。
導線の構成を示す斜視図。
素線の構成を示す模式図。
n層目における各導線の形態を示す図。
n層目とn+1層目の各導線を示す側面図。
実施形態の磁石について電気角と磁束密度との関係を示す図。
比較例の磁石について電気角と磁束密度との関係を示す図。
回転電機の制御システムの電気回路図。
制御装置による電流フィードバック制御処理を示す機能ブロック図。
制御装置によるトルクフィードバック制御処理を示す機能ブロック図。
第2実施形態における回転子及び固定子の横断面図。
図22の一部を拡大して示す図。
磁石ユニットにおける磁束の流れを具体的に示す図。
変形例1における固定子の断面図。
変形例1における固定子の断面図。
変形例2における固定子の断面図。
変形例3における固定子の断面図。
変形例4における固定子の断面図。
変形例7における回転子及び固定子の横断面図。
変形例8において操作信号生成部の処理の一部を示す機能ブロック図。
キャリア周波数変更処理の手順を示すフローチャート。
変形例9において導線群を構成する各導線の接続形態を示す図。
変形例9において4対の導線が積層配置されている構成を示す図。
変形例10においてインナロータ型の回転子及び固定子の横断面図。
図35の一部を拡大して示す図。
インナロータ型の回転電機の縦断面図。
インナロータ型の回転電機の概略構成を示す縦断面図。
変形例11においてインナロータ構造の回転電機の構成を示す図。
変形例11においてインナロータ構造の回転電機の構成を示す図。
変形例12において回転電機子形の回転電機の構成を示す図。
変形例14における導線の構成を示す断面図。
リラクタンストルク、磁石トルク及びDMの関係を示す図。
ティースを示す図。
インホイールモータ構造の車輪及びその周辺構造を示す斜視図。
車輪及びその周辺構造の縦断面図。
車輪の分解斜視図。
回転電機を回転軸の突出側から見た側面図。
図48の49−49線断面図。
図49の50−50線断面図。
回転電機の分解断面図。
回転子の部分断面図。
固定子巻線及び固定子コアの斜視図。
固定子巻線を平面状に展開して示す正面図。
導線のスキューを示す図。
インバータユニットの分解断面図。
インバータユニットの分解断面図。
インバータハウジングでの各電気モジュールの配置の状態を示す図。
電力変換器の電気的構成を示す回路図。
スイッチモジュールの冷却構造例を示す図。
スイッチモジュールの冷却構造例を示す図。
スイッチモジュールの冷却構造例を示す図。
スイッチモジュールの冷却構造例を示す図。
スイッチモジュールの冷却構造例を示す図。
冷却水通路に対する各電気モジュールの配列順序を示す図。
図49の66−66線断面図。
図49の67−67線断面図。
バスバーモジュールを単体で示す斜視図。
各電気モジュールとバスバーモジュールとの電気的な接続状態を示す図。
各電気モジュールとバスバーモジュールとの電気的な接続状態を示す図。
各電気モジュールとバスバーモジュールとの電気的な接続状態を示す図。
インホイールモータにおける変形例1を説明するための構成図。
インホイールモータにおける変形例2を説明するための構成図。
インホイールモータにおける変形例3を説明するための構成図。
インホイールモータにおける変形例4を説明するための構成図。
インホイールモータにおける変形例5に係る固定子巻線の製造工程を示すフローチャート。
導線の溶接箇所を示す図。
固定子巻線の製造工程を示すフローチャート。
導線の溶接箇所を示す図。
固定子巻線の製造工程を示すフローチャート。
固定子巻線の製造工程を示すフローチャート。
固定子巻線の製造工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/又は関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0023】
本実施形態における回転電機は、例えば車両動力源として用いられるものとなっている。ただし、回転電機は、産業用、車両用、家電用、OA機器用、遊技機用などとして広く用いられることが可能となっている。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
【0024】
(第1実施形態)
本実施形態に係る回転電機10は、同期式多相交流モータであり、アウタロータ構造(外転構造)のものとなっている。回転電機10の概要を図1乃至図5に示す。図1は、回転電機10の縦断面斜視図であり、図2は、回転電機10の回転軸11に沿う方向での縦断面図であり、図3は、回転軸11に直交する方向での回転電機10の横断面図(図2のIII−III線断面図)であり、図4は、図3の一部を拡大して示す断面図であり、図5は、回転電機10の分解図である。なお、図3では、図示の都合上、回転軸11を除き、切断面を示すハッチングを省略している。以下の記載では、回転軸11が延びる方向を軸方向とし、回転軸11の中心から放射状に延びる方向を径方向とし、回転軸11を中心として円周状に延びる方向を周方向としている。
【0025】
回転電機10は、大別して、軸受ユニット20と、ハウジング30と、回転子40と、固定子50と、インバータユニット60とを備えている。これら各部材は、いずれも回転軸11と共に同軸上に配置され、所定順序で軸方向に組み付けられることで回転電機10が構成されている。本実施形態の回転電機10は、「界磁子」としての回転子40と、「電機子」としての固定子50とを有する構成となっており、回転界磁形の回転電機として具体化されるものとなっている。
【0026】
軸受ユニット20は、軸方向に互いに離間して配置される2つの軸受21,22と、その軸受21,22を保持する保持部材23とを有している。軸受21,22は、例えばラジアル玉軸受であり、それぞれ外輪25と、内輪26と、それら外輪25及び内輪26の間に配置された複数の玉27とを有している。保持部材23は円筒状をなしており、その径方向内側に軸受21,22が組み付けられている。そして、軸受21,22の径方向内側に、回転軸11及び回転子40が回転自在に支持されている。軸受21,22により、回転軸11を回転可能に支持する一組の軸受が構成されている。
【0027】
各軸受21,22では、不図示のリテーナにより玉27が保持され、その状態で各玉同士のピッチが保たれている。軸受21,22は、リテーナの軸方向上下部に封止部材を有し、その内部に非導電性グリース(例えば非導電性のウレア系グリース)が充填されている。また、内輪26の位置がスペーサにより機械的に保持され、内側から上下方向に凸となる定圧予圧が施されている。
【0028】
ハウジング30は、円筒状をなす周壁31を有する。周壁31は、その軸方向に対向する第1端と第2端を有する。周壁31は、第1端に端面32と有するとともに、第2端に開口33を有する。開口33は、第2端の全体において開放されている。端面32には、その中央に円形の孔34が形成されており、その孔34に挿通させた状態で、ネジやリベット等の固定具により軸受ユニット20が固定されている。また、ハウジング30内、すなわち周壁31及び端面32により区画された内部スペースには、中空円筒状の回転子40と中空円筒状の固定子50とが収容されている。本実施形態では回転電機10がアウタロータ式であり、ハウジング30内には、筒状をなす回転子40の径方向内側に固定子50が配置されている。回転子40は、軸方向において端面32の側で回転軸11に片持ち支持されている。
【0029】
回転子40は、中空筒状に形成された磁石ホルダ41と、その磁石ホルダ41の径方向内側に設けられた環状の磁石ユニット42とを有している。磁石ホルダ41は、略カップ状をなし、磁石保持部材としての機能を有する。磁石ホルダ41は、円筒状をなす円筒部43と、同じく円筒状をなしかつ円筒部43よりも小径の固定部(attachment)44と、それら円筒部43及び固定部44を繋ぐ部位となる中間部45とを有している。円筒部43の内周面に磁石ユニット42が取り付けられている。
【0030】
なお、磁石ホルダ41は、機械強度が充分な冷間圧延鋼板(SPCC)や、鍛造用鋼、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等により構成されている。
【0031】
固定部44の貫通孔44aには回転軸11が挿通される。貫通孔44a内に配置された回転軸11に対して固定部44が固定されている。つまり、固定部44により、回転軸11に対して磁石ホルダ41が固定されている。なお、固定部44は、凹凸を利用したスプライン結合やキー結合、溶接、又はかしめ等により回転軸11に対して固定されているとよい。これにより、回転子40が回転軸11と一体に回転する。
【0032】
また、固定部44の径方向外側には、軸受ユニット20の軸受21,22が組み付けられている。上述のとおり軸受ユニット20はハウジング30の端面32に固定されているため、回転軸11及び回転子40は、ハウジング30に回転可能に支持されるものとなっている。これにより、ハウジング30内において回転子40が回転自在となっている。
【0033】
回転子40には、その軸方向に対向する二つの端部の一方にのみ固定部44が設けられており、これにより、回転子40が回転軸11に片持ち支持されている。ここで、回転子40の固定部44は、軸受ユニット20の軸受21,22により、軸方向に異なる2位置で回転可能に支持されている。すなわち、回転子40は、磁石ホルダ41の、その軸方向に対向する二つの端部の一方において、その軸方向に離間する二つの軸受21,22により回転可能に支持されている。そのため、回転子40が回転軸11に片持ち支持される構造であっても、回転子40の安定回転が実現されるようになっている。この場合、回転子40の軸方向中心位置に対して片側にずれた位置で、回転子40が軸受21,22により支持されている。
【0034】
また、軸受ユニット20において回転子40の中心寄り(図の下側)の軸受22と、その逆側(図の上側)の軸受21とは、外輪25及び内輪26と玉27との間の隙間寸法が相違しており、例えば回転子40の中心寄りの軸受22の方が、その逆側の軸受21よりも隙間寸法が大きいものとなっている。この場合、回転子40の中心寄りの側において、回転子40の振れや、部品公差に起因するインバランスによる振動が軸受ユニット20に作用しても、その振れや振動の影響が良好に吸収される。具体的には、回転子40の中心寄り(図の下側)の軸受22において予圧により遊び寸法(隙間寸法)を大きくしていることで、片持ち構造において生じる振動がその遊び部分により吸収される。前記予圧は、定位置予圧、又は定圧予圧のいずれであっても良い。定位置予圧の場合、軸受21と軸受22の外輪25はいずれも保持部材23に対して、圧入、又は接着等の方法を用いて接合されている。また、軸受21と軸受22の内輪26はいずれも回転軸11に対して、圧入、又は接着等の方法を用いて接合されている。ここで軸受21の外輪25を軸受21の内輪26に対して軸方向に異なる位置に配置する事で予圧を発生させることができる。軸受22の外輪25を軸受22の内輪26に対して軸方向に異なる位置に配置する事でも予圧を発生させることができる。
【0035】
また定圧予圧を採用する場合には、軸方向において、軸受22と軸受21に挟まれた領域から軸受22の外輪25に向けて予圧が発生する様に予圧用バネ、例えばウェーブワッシャ24等を軸受22と軸受21に挟まれた同領域に配置する。この場合も、軸受21と軸受22の内輪26はいずれも回転軸11に対して、圧入、又は接着等の方法を用いて接合されている。軸受21、又は軸受22の外輪25は、保持部材23に対して所定のクリアランスを介して配置される。このような構成とすることで、軸受22の外輪25には軸受21から離れる方向に予圧用バネのバネ力が作用する。そして、この力が回転軸11を伝わることで、軸受21の内輪26を軸受22の方向に押し付ける力が作用する。これにより、軸受21,22ともに、外輪25と内輪26の軸方向の位置がずれ、前述した定位置予圧と同様に2つのベアリングに予圧を掛けることができる。
【0036】
なお、定圧予圧を発生させる際には、必ずしも図2に示す様に軸受22の外輪25にバネ力を印加する必要は無い。例えば、軸受21の外輪25にバネ力を印加しても良い。また軸受21,22のいずれかの内輪26を回転軸11に対して所定のクリアランスを介して配置し、軸受21,22の外輪25を保持部材23に対して圧入、又は接着等の方法を用いて接合することで、2つのベアリングに予圧を掛けても良い。
【0037】
更には、軸受21の内輪26が軸受22に対して離れるように力を作用させる場合には、軸受22の内輪26も軸受21に対して離れるように力を作用させる方が良い。逆に、軸受21の内輪26が軸受22に対して近づくように力を作用させる場合には、軸受22の内輪26も軸受21に対して近づくように力を作用させる方が良い。
【0038】
なお、本回転電機10を車両動力源等の目的で車両に適用する場合には、予圧を発生させる機構に対して予圧の発生方向の成分を持つ振動が加わる可能性や、予圧を印加する対象物に掛る重力の方向が変動してしまう可能性がある。その為、本回転電機10を車両に適用する場合には、定位置予圧を採用することが望ましい。
【0039】
また、中間部45は、環状の内側肩部49aと環状の外側肩部49bを有する。外側肩部49bは、中間部45の径方向において内側肩部49aの外側に位置している。内側肩部49aと外側肩部49bは、中間部45の軸方向において互いに離間している。これにより、中間部45の径方向において、円筒部43と固定部44とは部分的に重複している。つまり、固定部44の基端部(図の下側の奥側端部)よりも軸方向外側に、円筒部43が突出するものとなっている。本構成では、中間部45が段差無しで平板状に設けられる場合に比べて、回転子40の重心近くの位置で、回転軸11に対して回転子40を支持させることが可能となり、回転子40の安定動作が実現できるものとなっている。
【0040】
上述した中間部45の構成によれば、回転子40には、径方向において固定部44を囲みかつ中間部45の内寄りとなる位置に、軸受ユニット20の一部を収容する軸受収容凹部46が環状に形成されるとともに、径方向において軸受収容凹部46を囲みかつ中間部45の外寄りとなる位置に、後述する固定子50の固定子巻線51のコイルエンド54を収容するコイル収容凹部47が形成されている。そして、これら各収容凹部46,47が、径方向の内外で隣り合うように配置されるようになっている。つまり、軸受ユニット20の一部と、固定子巻線51のコイルエンド54とが径方向内外に重複するように配置されている。これにより、回転電機10において軸方向の長さ寸法の短縮が可能となっている。
【0041】
中間部45は、回転軸11側から径方向外側に張り出すように設けられている。そして、その中間部45に、軸方向に延び、固定子50の固定子巻線51のコイルエンド54に対する接触を回避する接触回避部が設けられている。中間部45が張出部に相当する。
【0042】
コイルエンド54は、径方向の内側又は外側に曲げられることで、そのコイルエンド54の軸方向寸法を小さくすることができ、固定子50の軸長を短縮することが可能である。コイルエンド54の曲げ方向は、回転子40との組み付けを考慮したものであるとよい。回転子40の径方向内側に固定子50を組み付けることを想定すると、その回転子40に対する挿入先端側では、コイルエンド54が径方向内側に曲げられるとよい。コイルエンド54の反対側のコイルエンドの曲げ方向は任意でよいが、空間的に余裕のある外側に曲げた形状が製造上好ましい。
【0043】
また、磁石部としての磁石ユニット42は、円筒部43の径方向内側において、周方向に沿って極性が交互に変わるように配置された複数の永久磁石により構成されている。これにより、磁石ユニット42は、周方向に複数の磁極を有する。ただし、磁石ユニット42の詳細については後述する。
【0044】
固定子50は、回転子40の径方向内側に設けられている。固定子50は、略筒状(環状)に巻回形成された固定子巻線51と、その径方向内側に配置されたベース部材としての固定子コア52とを有しており、固定子巻線51が、所定のエアギャップを挟んで円環状の磁石ユニット42に対向するように配置されている。固定子巻線51は複数の相巻線よりなる。それら各相巻線は、周方向に配列された複数の導線が所定ピッチで互いに接続されることで構成されている。本実施形態では、U相、V相及びW相の3相巻線と、X相、Y相及びZ相の3相巻線とを用い、それら3相の巻線を2つ用いることで、固定子巻線51が6相の相巻線として構成されている。
【0045】
固定子コア52は、軟磁性材である電磁鋼板が積層された積層鋼板により円環状に形成されており、固定子巻線51の径方向内側に組み付けられている。電磁鋼板は、例えば鉄に数%程度(例えば3%)の珪素を添加した珪素鋼板である。固定子巻線51が電機子巻線に相当し、固定子コア52が電機子コアに相当する。
【0046】
固定子巻線51は、径方向において固定子コア52に重複する部分であり、かつ固定子コア52の径方向外側となるコイルサイド部53と、軸方向において固定子コア52の一端側及び他端側にそれぞれ張り出すコイルエンド54,55とを有している。コイルサイド部53は、径方向において固定子コア52と回転子40の磁石ユニット42にそれぞれ対向している。回転子40の内側に固定子50が配置された状態では、軸方向両側のコイルエンド54,55のうち軸受ユニット20の側(図の上側)となるコイルエンド54が、回転子40の磁石ホルダ41により形成されたコイル収容凹部47に収容されている。ただし、固定子50の詳細については後述する。
【0047】
インバータユニット60は、ハウジング30に対してボルト等の締結具により固定されるユニットベース61と、そのユニットベース61に組み付けられる複数の電気コンポーネント62とを有している。ユニットベース61は、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により構成されている。ユニットベース61は、ハウジング30の開口33の縁に対して固定されるエンドプレート63と、そのエンドプレート63に一体に設けられ、軸方向に延びるケーシング64とを有している。エンドプレート63は、その中心部に円形の開口65を有しており、開口65の周縁部から起立するようにしてケーシング64が形成されている。
【0048】
ケーシング64の外周面には固定子50が組み付けられている。つまり、ケーシング64の外径寸法は、固定子コア52の内径寸法と同じか、又は固定子コア52の内径寸法よりも僅かに小さい寸法になっている。ケーシング64の外側に固定子コア52が組み付けられることで、固定子50とユニットベース61とが一体化されている。また、ユニットベース61がハウジング30に固定されることからすると、ケーシング64に固定子コア52が組み付けられた状態では、固定子50がハウジング30に対して一体化された状態となっている。
【0049】
なお、固定子コア52は、ユニットベース61に対して接着、焼きばめ、圧入等により組み付けられているとよい。これにより、ユニットベース61側に対する固定子コア52の周方向又は軸方向の位置ずれが抑制される。
【0050】
また、ケーシング64の径方向内側は、電気コンポーネント62を収容する収容空間となっており、その収容空間には、回転軸11を囲むようにして電気コンポーネント62が配置されている。ケーシング64は、収容空間形成部としての役目を有している。電気コンポーネント62は、インバータ回路を構成する半導体モジュール66や、制御基板67、コンデンサモジュール68を具備する構成となっている。
(【0051】以降は省略されています)

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