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公開番号2020025421
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200213
出願番号2018149335
出願日20180808
発明の名称パワーウインド用モータユニット
出願人マブチモーター株式会社
代理人個人
主分類H02K 7/116 20060101AFI20200121BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】小型・軽量化を達成した上で、耐逆転性と起動性とを高次元で両立できるパワーウインド用モータユニットを提供する。
【解決手段】本体ケーシング2のウォーム収容室7内でモータ8の出力軸8aを左側方に延設して、先端のウォーム9をウォームホイール6に噛合させる。出力軸8aの延設箇所にホルダ16を介して回転角センサ15のマグネット15aを固定し、ウォーム収容室7内にバイモルフ型圧電アクチュエータ18を配設して、その自由端に摩擦部材20を貼着する。レギュレータの停止中には、圧電アクチュエータ18を非通電として摩擦部材20をホルダ16の外周面に圧接させ、モータ8の出力軸8aに回転抵抗を付与して耐逆転性を確保する。レギュレータの作動時には、圧電アクチュエータ18の通電により摩擦部材20をホルダ16の外周面から離間させ、出力軸8aの回転を許容して起動性を確保する。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
出力軸を有するウォームホイールの軸線と交差するようにモータの出力軸が配設され、該モータの出力軸に固定されたウォームが前記ウォームホイールに噛合されてなるパワーウインド用モータユニットにおいて、
前記モータの出力軸から前記ウォームを経て前記ウォームホイールの出力軸に至るまでの動力伝達経路の何れかの回転部分に設けられたブレーキリングと、
前記ブレーキリングに係合部を相対向させて配置される圧電アクチュエータと、
前記圧電アクチュエータの通電状態を切り換える通電切換手段と
を備えたことを特徴とするパワーウインド用モータユニット。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記圧電アクチュエータは、非通電時に前記係合部を前記ブレーキリングに係合させて回転抵抗を付与する一方、通電時には前記ブレーキリングに対する前記係合部の係合を解除し、
前記通電切換手段は、前記モータの非通電時に前記圧電アクチュエータを非通電状態に保ち、前記モータの通電時には前記圧電アクチュエータを通電状態に切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載のパワーウインド用モータユニット。
【請求項3】
前記圧電アクチュエータは、バイモルフ型圧電アクチュエータであり、自由端に設けられた前記係合部を前記ブレーキリングの外周面と相対向させるように構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパワーウインド用モータユニット。
【請求項4】
前記圧電アクチュエータの係合部は、高摩擦材料からなる摩擦部材である
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のパワーウインド用モータユニット。
【請求項5】
前記ブレーキリングの外周面は、多数の凹凸が周方向に列設され、
前記圧電アクチュエータの係合部は、前記外周面の多数の凹凸の何れかと噛合可能な凹凸を有する噛合部材である
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のパワーウインド用モータユニット。
【請求項6】
前記モータの出力軸は、本体ケーシングに形成されたウォーム収容室内で前記ウォームホイール側に延設され、該延設箇所に前記ブレーキリングが設けられると共に、先端に固定された前記ウォームが前記ウォームホイールに噛合され、
前記圧電アクチュエータは、前記ウォーム収容室内に配設されて前記係合部を前記ブレーキリングに相対向させている
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のパワーウインド用モータユニット。
【請求項7】
前記モータの出力軸の延設箇所にホルダを介して取り付けられたマグネット、及び前記マグネットの回転に伴って回転角信号を出力するセンサ本体からなる回転角センサをさらに備え、
前記ホルダは、前記ブレーキリングとして機能して前記圧電アクチュエータの係合部が係合可能とされている
ことを特徴とする請求項6に記載のパワーウインド用モータユニット。
【請求項8】
前記圧電アクチュエータは、前記ウォームホイールの近接位置に配設され、
前記ウォームホイールは、前記ブレーキリングとして機能して前記圧電アクチュエータの係合部が係合可能とされている
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のパワーウインド用モータユニット。
【請求項9】
前記通電切換手段は、前記モータと前記圧電アクチュエータとの間に介装されたブリッジ回路であり、パワーウインドの昇降のための前記モータの正逆何れの通電時においても前記圧電アクチュエータを同一方向に通電させるように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のパワーウインド用モータユニット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーウインド用モータユニットに係り、詳しくはパワーウインドのレギュレータに組み込まれて動力源として機能するパワーウインド用モータユニットに関する。
続きを表示(約 11,000 文字)【背景技術】
【0002】
車両に装備されるパワーウインドは、ドア内に設置されたレギュレータ(昇降機構)をモータユニットの駆動力により作動させてウインドを昇降するように構成されている。パワーウインドが操作されないレギュレータの停止中においては、ウインドの重量に抗して所期の昇降位置に保ち、且つ盗難等を目的として外部よりウインドが開けられる事態を防止するために、いわゆる耐逆転性がレギュレータに要求されている。
【0003】
このようなパワーウインドに要求される耐逆転性を補助するために、動力源であるパワーウインド用モータユニットにも耐逆転性を確保するための対策が講じられる場合がある。例えば特許文献1〜3に記載の技術では、モータの駆動力を伝達するためのウォームやウォームホイールの歯面を意図的に荒らし、回転抵抗の増加によりギヤ効率を低下させて耐逆転性を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平04−138049号公報
特開2003−097671号公報
特開2006−177426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、良好なパワーウインドの操作感を実現するには、スイッチ操作に応答して迅速にウインドを昇降させるための起動性が要求される。特許文献1〜3の技術のようにギヤ効率を低下させた場合、レギュレータの停止中に、ギヤ効率の低下が耐逆転性の確保に貢献するが、レギュレータの作動時には、ギヤ効率の低下が起動性を妨げる方向に作用してしまう。結果として、特許文献1〜3の技術では耐逆転性と起動性とを両立し難く、起動性の確保のためにモータを大型化する等の別の対策を要することから、モータユニットの小型・軽量化の要望に対応できないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、モータユニットの小型・軽量化を達成した上で、耐逆転性と起動性とを高次元で両立することができるパワーウインド用モータユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のパワーウインド用モータユニットは、出力軸を有するウォームホイールの軸線と交差するようにモータの出力軸が配設され、該モータの出力軸に固定されたウォームが前記ウォームホイールに噛合されてなるパワーウインド用モータユニットにおいて、前記モータの出力軸から前記ウォームを経て前記ウォームホイールの出力軸に至るまでの動力伝達経路の何れかの回転部分に設けられたブレーキリングと、前記ブレーキリングに係合部を相対向させて配置される圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータの通電状態を切り換える通電切換手段と備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0008】
このように構成したパワーウインド用モータユニットによれば、通電切換手段により圧電アクチュエータの通電状態が切り換えられる。そして、圧電アクチュエータの通電状態に応じて、係合部がブレーキリングに係合したときには回転抵抗が付与されて耐逆転性が確保され、ブレーキリングに対する係合部の係合が解除されたときには起動性が確保される。結果として耐逆転性と起動性とが高次元で両立されると共に、モータを大型化しなくても起動性を確保可能となる。
【0009】
その他の態様として、前記圧電アクチュエータが、非通電時に前記係合部を前記ブレーキリングに係合させて回転抵抗を付与する一方、通電時には前記ブレーキリングに対する前記係合部の係合を解除し、前記通電切換手段が、前記モータの非通電時に前記圧電アクチュエータを非通電状態に保ち、前記モータの通電時には前記圧電アクチュエータを通電状態に切り換えるように構成することが好ましい(請求項2)。
【0010】
このように構成したパワーウインド用モータユニットによれば、モータの非通電時(レギュレータの停止中)には、圧電アクチュエータが非通電状態に保たれて係合部がブレーキリングに係合し、モータの通電時(レギュレータの作動中)には、圧電アクチュエータが通電状態に切り換えられてブレーキリングに対する係合部の係合が解除される。
【0011】
その他の態様として、前記圧電アクチュエータは、バイモルフ型圧電アクチュエータであり、自由端に設けられた前記係合部を前記ブレーキリングの外周面と相対向させるように構成することが好ましい(請求項3)。
このように構成したパワーウインド用モータユニットによれば、バイモルフ型圧電アクチュエータの自由端に係合部が設けられ、非通電時にブレーキリングの外周面に係合部が係合し、通電時には係合部の係合が解除される。
【0012】
また別の態様として、前記圧電アクチュエータの係合部が、高摩擦材料からなる摩擦部材であることが好ましい(請求項4)。
このように構成したパワーウインド用モータユニットによれば、圧電アクチュエータの非通電時に、高摩擦材料からなる摩擦部材がブレーキリングの外周面に圧接されて回転抵抗を付与する。
【0013】
また別の態様として、前記ブレーキリングの外周面に、多数の凹凸が周方向に列設され、前記圧電アクチュエータの係合部が、前記外周面の多数の凹凸の何れかと噛合可能な凹凸を有する噛合部材であることが好ましい(請求項5)。
このように構成したパワーウインド用モータユニットによれば、圧電アクチュエータの非通電時に、噛合部材の凹凸がブレーキリングの外周面の凹凸と噛合し、摩擦に頼ることなく形状的な噛合により回転規制されるため、より確実な耐逆転性が達成される。
【0014】
また別の態様として、前記モータの出力軸が、前記本体ケーシングに形成されたウォーム収容室内で前記ウォームホイール側に延設され、該延設箇所に前記ブレーキリングが設けられると共に、先端に固定された前記ウォームが前記ウォームホイールに噛合され、前記圧電アクチュエータが、前記ウォーム収容室内に配設されて前記係合部を前記ブレーキリングに相対向させていることが好ましい(請求項6)。
【0015】
このように構成したパワーウインド用モータユニットによれば、モータの出力軸に固定されたウォームをウォームホイールに噛合させるために、出力軸がウォームホイール側に延設される。結果として形成されたウォーム収容室内に圧電アクチュエータが配設されると共に、出力軸の延設箇所にブレーキリングが設けられる。従って、本体ケーシングの外寸に影響を及ぼすことなく、耐逆転性の機能がモータユニットに与えられる。
また、ウインドに対する下降方向の力がレギュレータを介してウォームホイールに作用したとしても、本来セルフロック作用によりウォームは回転され難い。このようなウォーム、ひいてはモータの出力軸に回転抵抗が付与されるため、強い耐逆転性が実現される。
【0016】
また別の態様として、前記モータの出力軸の延設箇所にホルダを介して取り付けられたマグネット、及び前記マグネットの回転に伴って回転角信号を出力するセンサ本体からなる回転角センサをさらに備え、前記ホルダが、前記ブレーキリングとして機能して前記圧電アクチュエータの係合部が係合可能とされていることが好ましい(請求項7)。
このように構成したパワーウインド用モータユニットによれば、係合部材の係合対象であるブレーキリングとして、既存の回転角センサのホルダが利用される。
【0017】
また別の態様として、前記圧電アクチュエータが、前記ウォームホイールの近接位置に配設され、前記ウォームホイールが、前記ブレーキリングとして機能して前記圧電アクチュエータの係合部が係合可能とされていることが好ましい(請求項8)。
このように構成したパワーウインド用モータユニットによれば、ウォームホイールがブレーキリングとして機能し、圧電アクチュエータの係合部が係合される。
【0018】
また別の態様として、前記通電切換手段が、前記モータと前記圧電アクチュエータとの間に介装されたブリッジ回路であり、パワーウインドの昇降のための前記モータの正逆何れの通電時においても前記圧電アクチュエータを同一方向に通電させるように構成されていることが好ましい(請求項9)。
このように構成したパワーウインド用モータユニットによれば、モータと圧電アクチュエータとの間にブリッジ回路を介装するだけで、モータの正逆何れの通電時でも圧電アクチュエータが同一方向に通電されて、ブレーキリングに対する係合部の係合を解除可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のパワーウインド用モータユニットによれば、モータユニットの小型・軽量化を達成した上で、耐逆転性と起動性とを高次元で両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
実施形態のパワーウインド用モータユニットを示す斜視図である。
同じくモータユニットを示す断面図である。
通電されずに規制位置にあるときの圧電アクチュエータを示す部分拡大図である。
通電により解除位置に切り換えられた圧電アクチュエータを示す部分拡大図である。
図3のV-V線断面図である。
パワーウインド用モータユニットの電気回路図である。
圧電アクチュエータの自由端に凹凸を有する噛合部材を取り付けた別例を示す図5に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化したパワーウインド用モータユニットの一実施形態を説明する。
図1は本実施形態のパワーウインド用モータユニットを示す斜視図、図2は同じくモータユニットを示す断面図である。
【0022】
モータユニット1の本体ケーシング2は合成樹脂材料により製作され、正面視で円形状をなすホイール収容室3が前方に開口するように形成されると共に、本体ケーシング2の周囲の3箇所には取付ブラケット4が一体形成されている。ホイール収容室3は前後方向に所定の厚みを有し、開口部が前面カバー5により閉塞されている。ホイール収容室3内にはウォームホイール6が前後方向に延びる軸線Cwを中心として回転可能に支持され、ウォームホイール6の出力軸6aが前面カバー5を貫通して前方に突出している。
【0023】
本体ケーシング2のホイール収容室3の上方位置には右側方からウォーム収容室7が形成され、その内部は下側に位置するホイール収容室3の上部と連通している。ウォーム収容室7の開口部には、ウォームホイール6の軸線Cwと直交する右側方からモータ8が取り付けられ、モータ8の出力軸8aはウォーム収容室7内で軸線Cmに沿って左側方(ウォーム9側)に向けて延設され、出力軸8aの先端に固定されたウォーム9がウォームホイール6と噛合している。
【0024】
モータユニット1は、取付ブラケット4を介して図示しない車両のドア内に設置されたレギュレータに組み付けられ、ウォームホイール6の出力軸6aがレギュレータと連結される。そして、モータ8の出力軸8aが所定方向に回転すると、その回転がウォーム9及びウォームホイール6を介して減速された上で出力軸6aからレギュレータに伝達され、回転方向に対応してウインドが昇降する。
【0025】
図2に示すように、本体ケーシング2のウォーム収容室7の上側には基板収容室11が一体形成され、内部に配設された制御基板12は、図示はしないが端子を介してモータ8と電気的に接続されると共に、基板収容室11の一側に設けられたコネクタ14に対しても電気的に接続されている。レギュレータへのモータユニット1の組付け状態ではコネクタ14に車両側からのコネクタが接続され、ウインドの昇降スイッチ22(図6に示す)の操作に応じてモータ駆動のための電力が制御基板12に入力される。
【0026】
ウォーム収容室7内において、モータ8の出力軸8aの延設箇所には円筒状をなすマグネット15aが固定され、マグネット15aの外周面と相対向するようにセンサ本体15b(図3,4に示す)が配設されて制御基板12と電気的に接続されている。これらのマグネット15a及びセンサ本体15bにより回転角センサ15が構成され、モータ8の出力軸8aと共に回転するマグネット15aの磁力変化により、センサ本体15bから制御基板12に回転角信号が入力される。
【0027】
焼結材料からなるマグネット15aは靱性に乏しく、例えばモータ8の出力軸8aへの固定のために圧入すると割れてしまう。そこで、マグネット15aに接着したホルダ16を出力軸8aに圧入することにより、間接的にマグネット15aが出力軸8aに固定されている。
【0028】
ところで、パワーウインドに要求される耐逆転性を補助するために、特許文献1〜3のモータユニットでは、ウォームやウォームホイールの歯面を意図的に荒らすことによりギヤ効率を低下させて耐逆転性を得ている。しかし、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、ギヤ効率を低下させると、良好なパワーウインドの操作感に必要不可欠な起動性を低下させてしまうという問題があった。
【0029】
このような不具合を鑑みて本発明者は、特許文献1〜3の歯面を荒らす対策が、レギュレータの停止・作動に関わらず常にギヤ効率を低下させ、起動性に関しては不利な方向に作用している点に着目した。即ち、レギュレータの作動・停止に応じてギヤ効率、ひいてはギヤの回転抵抗を切換可能とすれば、耐逆転性が要求されるレギュレータの停止中には回転抵抗を付与し、起動性が要求されるレギュレータの作動時(特にウインドの上昇開始時)には回転抵抗の付与を中止することができ、結果として耐逆転性と起動性とを高次元で両立することができる。
【0030】
以上の知見の下に、モータ8の通電状態に応じてバイモルフ型圧電アクチュエータ18(以下、単に圧電アクチュエータと称する)により回転抵抗を付与するようにしたものが本発明であり、その詳細を以下に説明する。
図3は通電されずに規制位置にあるときの圧電アクチュエータ18を示す部分拡大図、図4は通電により解除位置に切り換えられた圧電アクチュエータ18を示す部分拡大図、図5は図3のV-V線断面図である。
【0031】
本実施形態ではモータ8の出力軸8aに回転抵抗を付与しており、図2に示すように、圧電アクチュエータ18はウォーム収容室7内に配設されている。周知のようにバイモルフ型圧電アクチュエータ18は、シム材を兼ねた中間電極18bを挟んで2枚の圧電素子18aを貼着して構成され、この中間電極18bと各圧電素子18aの表面側に形成された表面電極18cとの間に印加した電圧により、各圧電素子18aを逆方向に伸縮させて圧電アクチュエータ18全体に反り変形を発生させる。
【0032】
図3〜5に示すように圧電アクチュエータ18は、その固定端をベース部材19を介してウォーム収容室7内の上壁に固定され、右方に延設された自由端を回転角センサ15のホルダ16の直上に位置させている。圧電アクチュエータ18の自由端の下面には摩擦部材20(係合部)が貼着されてホルダ16の外周面と相対向し、この摩擦部材20は高い摩擦係数を有する材料(高摩擦材料)、例えばシリコンゴムやウレタン等により製作されている。
【0033】
ホルダ16は軸線Cmを中心とした円筒状をなして本発明のブレーキリングとして機能するため、以下、ブレーキリング16と称する。そして、ブレーキリング16の外周面と対応するように摩擦部材20の下面は断面円弧状をなし、下面全体をブレーキリング16の外周面に圧接させ得るようになっている。
【0034】
図3に示すように、非通電時の圧電アクチュエータ18は、自由端を下方に変位させてブレーキリング16の外周面に摩擦部材20を圧接させており、モータ8の出力軸8aは回転抵抗を受けて回転を妨げられている(以下、規制位置と称する)。また図4に示すように、通電時の圧電アクチュエータ18は、自由端を上方に変位させてブレーキリング16の外周面から摩擦部材20を離間させており、モータ8の出力軸8aは回転抵抗を受けることなく回転を許容される(以下、解除位置と称する)。
【0035】
図6はパワーウインド用モータユニット1の電気回路図である。
ウインドの昇降スイッチ22は中立位置、上昇位置及び下降位置の間で切り換えられ、スイッチ操作に応じて車載バッテリ23からの電力がコネクタ14を介して制御基板12に入力される。入力された電力は制御基板12を経てモータ8に供給され、モータ8の駆動によりレギュレータが作動してウインドを停止、上昇或いは下降させる。また制御基板12は、回転角センサ15からの回転角信号に基づきウインドの昇降位置を認識し、全閉位置や全開位置でモータ8を自動停止させる。
【0036】
以上の構成は一般的なパワーウインドと相違なく、次いで、圧電アクチュエータ18を駆動するための構成を述べる。
上記したようにレギュレータの停止中には耐逆転性が要求されるため、図6に実線で示すように、圧電アクチュエータ18を規制位置に切り換えてモータ8の出力軸8aに回転抵抗を付与する必要がある。これに対してレギュレータの作動時、即ちウインドの上昇中及び下降中には起動性が要求されるため、図6に仮想線で示すように、圧電アクチュエータ18を解除位置に切り換えてモータ8の出力軸8aの回転を許容する必要がある。
【0037】
そして、レギュレータの停止及び作動はモータ8の通電状態の切換と連動するため、モータ8に供給される電力を圧電アクチュエータ18にも供給すれば、レギュレータの停止及び作動に連動して圧電アクチュエータ18の作動状態を切り換えることができる。但し、レギュレータの作動時であっても、ウインドの上昇時と下降時とではモータ8の回転方向、ひいては通電方向が逆になり、何れかの通電方向では圧電アクチュエータ18を解除位置にできない。そこで本実施形態では、モータ8と圧電アクチュエータ18との間に単相ブリッジ形全波整流回路24(本発明の通電切換手段であり、以下、単にブリッジ回路と称する)を介装して、圧電アクチュエータ18への通電方向の統一を図っている。
【0038】
ブリッジ回路24は4つのダイオード24aを接続したダイオードブリッジとして構成され、その一対の入力端24bをモータ8の両入力端にそれぞれ接続されることにより、モータ8に対して並列接続されている。またブリッジ回路24の正側の出力端24cは、圧電アクチュエータ18の表面電極18cにそれぞれ接続され、負側の出力端24dは圧電アクチュエータ18の中間電極18bに接続されている。
【0039】
昇降スイッチ22の中立位置では、モータ8が通電されないためレギュレータが停止し、ウインドは全開から全閉までの所期の昇降位置に保たれている。また圧電アクチュエータ18も通電されず、図6に実線で示す規制位置に保たれており、モータ8の出力軸8aは回転抵抗を受けて回転を妨げられている。従って、モータユニット1により耐逆転性が発揮されてレギュレータに作用し、現在のウインドの昇降位置を保つために貢献する。
【0040】
また昇降スイッチ22の上昇位置では、図6中に実線矢印で示す方向に電流が流される。このため、ブリッジ回路24の正側の出力端24cには正の電位が生じ、負側の出力端24dには負の電位が生じ、圧電アクチュエータ18が通電されて図6に仮想線で示す解除位置に切り換えられる。同時に、モータ8が正転してレギュレータによりウインドが上昇されるが、圧電アクチュエータ18が解除位置にあるため、モータ8の出力軸8aは回転抵抗を受けることなく回転して良好な起動性が発揮される。結果としてウインドが迅速に上昇し、特に上昇開始がスイッチ操作に応答して迅速になされるため、良好なパワーウインドの操作感を実現することができる。
【0041】
また昇降スイッチ22の下降位置では、図6中に破線矢印で示す方向に電流が流される。上昇位置と同様にブリッジ回路24の正側の出力端24cには正の電位が生じ、負側の出力端24dには負の電位が生じ、上昇時と同一方向に圧電アクチュエータ18が通電されて解除位置に切り換えられる。同時に、モータ8が逆転してレギュレータによりウインドが下降されるが、圧電アクチュエータ18が解除位置にあるため、モータ8により良好な起動性が発揮される。結果としてウインドが迅速に下降して、良好なパワーウインドの操作感を実現することができる。
【0042】
以上のように本実施形態のパワーウインド用モータユニット1によれば、耐逆転性が要求されるレギュレータの停止中に圧電アクチュエータ18によりモータ8の出力軸8aに回転抵抗を付与し、起動性が要求されるレギュレータの作動時には出力軸8aに対する回転抵抗の付与を中止している。このため、耐逆転性と起動性とを高次元で両立できると共に、モータ8を大型化しなくても起動性を確保できるため、モータユニット1の小型・軽量化を達成することができる。
【0043】
また、モータ8の出力軸8aに回転抵抗を付与するために、ウォーム収容室7内に圧電アクチュエータ18を配設しており、図2から判るように、ウォーム収容室7は何ら利用されないデッドスペースである。即ち、本体ケーシング2上での各部品のレイアウトからウォームホイール6とモータ8との位置関係が定まり、モータ8の出力軸8aの先端に固定されたウォーム9をウォームホイール6に噛合させるためには、出力軸8aを左方に向けて延設する必要が生じる。結果として形成された空間がウォーム収容室7であり、その内部には出力軸8aが挿通されているだけである。
【0044】
本実施形態では、このデッドスペースであるウォーム収容室7を利用して圧電アクチュエータ18を配設しており、しかも、その自由端の摩擦部材20の圧接対象であるブレーキリングとして、既存の回転角センサ15のホルダ16を利用している。結果として本体ケーシング2の外寸に全く影響を及ぼすことなく、耐逆転性の機能をモータユニット1に与えることができ、この点も小型・軽量化に大きく貢献する。
なお、必ずしもホルダ16をブレーキリングとする必要はなく、ホルダ16とは別にブレーキリングを設けてもよい。また、摩擦部材20によるブレーキリング16の圧接箇所は外周面に限ることはなく、例えばブレーキリング16の側面に圧接させてもよい。
【0045】
さらに、モータ8の出力軸8aに回転抵抗を付与することは、耐逆転性の強化にもつながる。ウォーム9とウォームホイール6との噛合にはセルフロック作用が働くことから、ウインドに対する下降方向の力がレギュレータを介してウォームホイール6に作用したとしても、ウォーム9は回転され難い。このように本来ウインド側から伝達される力の影響を受け難いウォーム9、ひいてはモータ8の出力軸8aに回転抵抗を付与しているため、例えばウォームホイール6に回転抵抗を付与した場合等に比較して、同一の圧電アクチュエータ18の駆動力でより強い耐逆転性を実現することができる。
【0046】
但し、必ずしもモータ8の出力軸8aに回転抵抗を付与する必要はなく、モータ8の出力軸8aからウォーム9を経てウォームホイール6の出力軸6aに至るまでの動力伝達経路の回転部分であれば、何れの箇所にブレーキリング16を設けて回転抵抗を付与してもよい。例えば、上記のようにウォームホイール6に回転抵抗を付与してもよい。この場合には、ウォームホイール6の近接位置に圧電アクチュエータ18を配設し、ウォームホイール6をブレーキリングとして機能させて、圧電アクチュエータ18の自由端の摩擦部材20を圧接させることで実現できる。
【0047】
また、圧電アクチュエータ18によりブレーキリング16の外周面に圧接される摩擦部材20は、シリコンゴムやウレタン等の高摩擦材料からなるため、例えば金属製等のように圧接時(換言すると、昇降スイッチ22の操作中止時)に衝突音を発生することはない。従って、良好な車室内の静粛性を保つことができる。
【0048】
なお、本発明の係合部材は摩擦部材20に限るものではなく、例えば図7に示すように構成してもよい。この別例では、ブレーキリング16の外周全体に多数の凹凸が周方向に列設され、圧電アクチュエータ18の自由端に、ブレーキリング16の多数の凹凸の何れかと噛合可能な凹凸を有する噛合部材31(係合部)が取り付けられている。圧電アクチュエータ18の非通電時には、噛合部材31の凹凸がブレーキリング16の外周面の凹凸と噛合し、摩擦に頼ることなく形状的な噛合により回転規制されるため、より確実な耐逆転性を達成できる。
【0049】
また、上記のようにウォームホイール6をブレーキリングとして機能させる場合には、ウォームホイール6の歯面(凹凸)に噛合部材31の凹凸を噛合させてもよい。なお、噛合部材31の材質は金属製でもよいし、実施形態の摩擦部材20と同じくシリコンゴムやウレタン製としてもよい。後者の場合には、噛合時の衝突音を防止して良好な車室内の静粛性を実現できる。
【0050】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、バイモルフ型圧電アクチュエータ18を用いたが、これに代えて積層型圧電アクチュエータを使用してもよい。
【符号の説明】
(【0051】以降は省略されています)

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