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公開番号2020005475
公報種別公開特許公報(A)
公開日20200109
出願番号2018125806
出願日20180702
発明の名称電力変換装置
出願人三菱電機株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H02M 3/155 20060101AFI20191206BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】異常状態のスイッチング素子を使用せず、正常なスイッチング素子だけを使用した動作継続を可能とする電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置100は、電力変換装置100に接続される負荷10に並列に接続される平滑コンデンサ6の電圧値と、複数の電圧変換部のスイッチング素子5a1に流れる電流を第1の電流センサ3aで検出し、スイッチング素子を順次切り替えてスイッチング素子5a1の異常を判定し、スイッチング素子5a1の異常を特定し、スイッチング素子5a1に異常がない場合には、第1の電流センサ3aに異常があると特定する故障判定部300を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
入力電源と負荷との間に設けられる電力変換装置であって、前記入力電源に並列接続された第1の平滑コンデンサと、前記負荷に並列に接続され、負極が前記第1の平滑コンデンサの負極に接続された第2の平滑コンデンサと、前記第1の平滑コンデンサと前記第2の平滑コンデンサの間に設けられ、スイッチング素子の動作によって電圧を変換する複数の電圧変換部と、前記電圧変換部のスイッチング素子に流れる電流を検出する第1の電流センサと、前記第2の平滑コンデンサの電圧を検出する第1の電圧センサと、前記スイッチング素子を駆動制御する制御信号部と、前記第1の電流センサの検出値を基に算出される値が所定値から乖離する場合に、前記第1の電圧センサの値に基づいて、前記第1の電流センサが異常であると判定する故障判定部とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
前記故障判定部は、前記第1の電流センサの検出値を基に算出される値が所定値から乖離する場合に、前記電圧変換部のスイッチング素子を一つずつ駆動させて、前記第2の平滑コンデンサの電圧に変化が無い場合に、駆動の対象となった前記スイッチング素子を異常と判定し、全ての前記電圧変換部の前記スイッチング素子が異常と判定されなければ前記第1の電流センサを異常と判定することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記負荷が、前記第2の平滑コンデンサに並列接続される双方向電源であることを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記双方向電源に流れる電流を検出する第2の電流センサと、前記第1の平滑コンデンサの電圧を検出する第2の電圧センサとを備え、前記スイッチング素子が正常と判定された場合、前記故障判定部は、前記第2の電圧センサによる検出値、前記第1の電圧センサによる検出値、および前記第2の電流センサによる検出値に基づいて算出される前記第1の電流センサの推定値に対して乖離した値となった検出値を示した前記第1の電流センサを故障状態と特定することを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記故障判定部は、前記双方向電源への電力の計測値と、前記第1の平滑コンデンサから供給される電力の計測値に基づいて推定される電流値に対して、前記第1の電流センサによる検出値の乖離の程度によって前記第1の電流センサが異常であると特定することを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記故障判定部は、前記第1の電流センサが3つ以上接続され、前記スイッチング素子が正常と判定された場合、他の前記第1の電流センサの値と乖離した1つの第1の電流センサを異常であると特定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電力変換装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本願は、電力変換装置に関するものである。
続きを表示(約 14,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来の電力変換装置は、入力電圧を昇圧または降圧する電圧変換部を備え、入力電源および蓄電装置を含めて電源システムを構成している。電圧変換部は、スイッチング素子、整流素子、およびリアクトルで構成され、スイッチング素子をオンとオフを繰り返し駆動することで直流の入力電圧を昇圧または降圧する。そして、直流の入力電圧を所定の出力電圧に変換するために、電力変換装置においては、電圧変換部を複数並列で構成し、複数並列に接続された電圧変換部に、電流センサおよび電圧センサを用いて、過電流および過電圧が生じることの無いように制御すると共に、電圧変換部の出力が、基準昇降圧電圧値以上に昇降圧しないように制御が行われている。
【0003】
複数の電圧変換部を並列に接続した多相変換部に対して、電圧変換部の動作を停止させる数を次第に増加させる制御を行うことで、電圧変換部が正常であれば多相変換部の出力が切り替え前後で適正に変化し、電圧変換部が異常であれば多相変換部の出力が切り替えの前後で異常な変化を示す特徴を利用して、異常が生じている1つまたは複数の電圧変換部を特定することができる異常検出装置および電源装置が示されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017−212770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載された異常検出装置および電源装置では電圧変換部の異常状態のスイッチング素子までは特定できず、異常状態と特定された1つまたは複数の電圧変換部を停止させるため、正常動作の継続ができない。さらに、電流センサの故障を想定しておらず、電流センサが異常状態に陥った場合、電流値に基づいて1つまたは複数の電圧変換部が異常状態に陥っていると判断するため、正確に異常状態の箇所を特定できず、前記異常状態のスイッチング素子を特定することができない。また、異常状態と特定された1つまたは複数の電圧変換部を停止させるため、正常動作継続ができない。
本願は前述の問題点を解決するためになされたものであり、電圧変換部の異常状態のスイッチング素子を特定することで、異常状態のスイッチング素子を使用せず、正常なスイッチング素子だけを使用した動作継続を可能とする。また、電流センサの異常状態を特定することで、正確な異常状態の箇所の特定でき、更に異常状態の電流センサを使用しない動作継続を可能とした電力変換装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示される電力変換装置は、入力電源と負荷との間に設けられる電力変換装置であって、前記入力電源に並列接続された第1の平滑コンデンサと、前記負荷に並列に接続され、負極が前記第1の平滑コンデンサの負極に接続された第2の平滑コンデンサと、前記第1の平滑コンデンサと前記第2の平滑コンデンサの間に設けられ、スイッチング素子の動作によって電圧を変換する複数の電圧変換部と、前記電圧変換部のスイッチング素子に流れる電流を検出する第1の電流センサと、前記第2の平滑コンデンサの電圧を検出する第1の電圧センサと、前記スイッチング素子を駆動制御する制御信号部と、前記第1の電流センサの検出値を基に算出される値が所定値から乖離する場合に、前記第1の電圧センサの値に基づいて、前記第1の電流センサが故障であると判定する故障判定部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本願の電力変換装置によれば、複数の電圧変換部のスイッチング素子と、各電圧変換部のスイッチング素子に流れる電流値を検出する第1の電流センサとの中から、異常状態になっているスイッチング素子または第1の電流センサを特定することによって、正常な動作状態を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本願の実施の形態1による電力変換装置を示す回路図である。
本願の実施の形態1による力行動作時の動作モードを示す回路図である。
本願の実施の形態1による力行動作時の動作モードの理想動作波形を示す波形図である。
本願の実施の形態1による第1のIGBT素子にオフ固着異常が発生した場合の力行動作の動作モードを示す回路図である。
本願の実施の形態1による第1のIGBT素子にオフ固着異常が発生した場合の力行動作の動作モードの理想動作波形を示す波形図である。
本願の実施の形態1による故障判定のフローチャートを示す図である。
本願の実施の形態1による故障判定時の動作モードを示す回路図である。
本願の実施の形態1による第1のIGBT素子を駆動させた場合の理想動作波形を示す波形図である。
本願の実施の形態1による第2のIGBT素子を駆動させた場合の理想動作波形を示す波形図である。
本願の実施の形態1による第3のIGBT素子を駆動させた場合の理想動作波形を示す波形図である。
本願の実施の形態1による第4のIGBT素子を駆動させた場合の理想動作波形を示す波形図である。
本願の実施の形態2による電力変換装置を示す回路図である。
本願の実施の形態3による電力変換装置を示す回路図である。
本願の実施の形態4による電力変換装置を示す回路図である。
本願の故障判定部のハードウエアの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本願の実施の形態1を、図1を用いて説明する。図1は、本願の実施の形態1を説明するための電力変換装置100の回路図である。
なお、各図において、同一符号は各々同一または相当部分を示すものである。
【0010】
図1に示すように、電力変換装置100は、直流電源1aと負荷10との間に設けられ、第1の平滑コンデンサ2、第2の平滑コンデンサ6、第1のリアクトル4a、第2のリアクトル4b、第1のリアクトル4aに流れる電流を検出する第1の電流センサ3a、第2のリアクトル4bに流れる電流を検出する第2の電流センサ3bが設けられ、第1の電圧変換部として、第1のIGBT素子5a1、第1のIGBT素子5a1に逆並列接続されている第1のダイオード5a2、第2の電圧変換部として、第2のIGBT素子5b1、第2のIGBT素子5b1に逆並列接続されている第2のダイオード5b2、第3の電圧変換部として、第3のIGBT素子5c1、第3のIGBT素子5c1に逆並列接続されている第3のダイオード5c2、第4の電圧変換部として、第4のIGBT素子5d1、第4のIGBT素子5d1に逆並列接続されている第4のダイオード5d2が設けられ、第2の平滑コンデンサ6の両端電圧を検出する第1の電圧センサ7a、制御信号部200、および故障判定部300から構成されている。
【0011】
制御信号部200は、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1のゲート信号を生成し、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1をスイッチング周波数fsw(スイッチング周期Tsw)にてオン、オフ動作させる。故障判定部300は、第1の電流センサ3aと第2の電流センサ3bと第1の電圧センサ7aの検出値に基づいて故障判定を行う。
【0012】
第1の平滑コンデンサ2は、直流電源1aに対して並列に接続されている。第1の電流センサ3aの一方の端子3a1は、第1の平滑コンデンサ2の正極と第2の電流センサ3bの一方の端子3b1に接続され、第1の電流センサ3aの他方の端子3a2は、第1のリアクトル4aを介して、第1のIGBT素子5a1のコレクタ端子と第2のIGBT素子5b1のエミッタ端子に接続されている。第2の電流センサ3bの他方の端子3b2は、第2のリアクトル4bを介して、第3のIGBT素子5c1のコレクタ端子と第4のIGBT素子5d1のエミッタ端子に接続されている。
【0013】
第1のIGBT素子5a1のエミッタ端子と第3のIGBT素子5c1のエミッタ端子は、第1の平滑コンデンサ2の負極と第2の平滑コンデンサ6の負極に接続されている。第2のIGBT素子5b1のコレクタ端子と第4のIGBT素子5d1のコレクタ端子は、第2の平滑コンデンサ6の正極に接続されている。第1の電圧センサ7aの一方の端子7a1は、第2の平滑コンデンサ6の正極に接続され、他方の端子7a2は、負極に接続されている。負荷10は、第2の平滑コンデンサ6と並列接続されている。
【0014】
制御信号部200の第1の出力端子201aは、第1のIGBT素子5a1のゲート端子に接続され、第2の出力端子201bは、第2のIGBT素子5b1のゲート端子に接続され、第3の出力端子201cは、第3のIGBT素子5c1のゲート端子に接続され、第4の出力端子201dは、第4のIGBT素子5d1のゲート端子に接続されている。故障判定部300の第1の入力端子301aは、第1の電流センサ3aの出力端子3a3に接続され、第2の入力端子301bは、第2の電流センサ3bの出力端子3b3に接続され、第3の入力端子302aは、第1の電圧センサ7aの出力端子7a3に接続されている。制御信号部200の入力端子202は、故障判定部300の出力端子303に接続されている。
【0015】
定常状態における電力変換装置100の動作状態として、第1の平滑コンデンサ2から第2の平滑コンデンサ6に電力を供給する状態(以降、力行動作と称する)と、図1に示す直流電源1aと負荷10の配置を入れ替えて第2の平滑コンデンサ6から第1の平滑コンデンサ2に電力を供給する状態(以降、回生動作と称する)の2つの状態が存在する。
【0016】
図2(a)、図2(b)、図2(c)は、本願の実施の形態1の力行動作時の動作モードを説明するための回路図であり、図3は、本願の実施の形態1の力行動作時の理想動作波形である。図2(a)〜(c)の点線は、電流経路を表しており、図3では動作モードにおける第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1のゲート信号G5a、G5b、G5c、G5d、第1のリアクトル4aの両端電圧V4a、第2のリアクトル4bの両端電圧V4b、第1のリアクトル4aに流れる電流I4a、第2のリアクトル4bに流れる電流I4b、第2の平滑コンデンサ6の電圧V2の関係を表している。図3に示すように、初めの動作モードは、図2(a)に示す第1動作モードである。第1動作モードでは第1のIGBT素子5a1がオン、第2のIGBT素子5b1と第3のIGBT素子5c1と第4のIGBT素子5d1がオフとなり、電流経路は、第1の平滑コンデンサ2、第1のリアクトル4a、第1のIGBT素子5a1、第1の平滑コンデンサ2を通る経路と、第1の平滑コンデンサ2、第2のリアクトル4b、第4のダイオード5d2、第2の平滑コンデンサ6、第1の平滑コンデンサ2を通る経路であり、第1のリアクトル4aの両端には、電圧V1が印加され、第2のリアクトル4bの両端には電圧(V1−V2)が印加されている。電流の向きは力行動作時の方向を正とする。
【0017】
次の動作モードは、図2(c)に示す第3動作モードである。第3動作モードは、図2(c)に示すように、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1がオフとなり、電流経路は、第1の平滑コンデンサ2、第1のリアクトル4a、第2のダイオード5b2、第2の平滑コンデンサ6、第1の平滑コンデンサ2を通る経路と、第1の平滑コンデンサ2、第2のリアクトル4b、第4のダイオード5d2、第2の平滑コンデンサ6、第1の平滑コンデンサ2を通る経路であり、第1のリアクトル4aの両端と第2のリアクトル4bの両端には電圧(V1−V2)が印加されている。
【0018】
次の動作モードは、図2(b)に示す第2動作モードである。第2動作モードは、図2(b)に示すように、第3のIGBT素子5c1がオン、第1のIGBT素子5a1と第2のIGBT素子5b1と第4のIGBT素子5d1がオフとなり、電流経路は、第1の平滑コンデンサ2、第1のリアクトル4a、第2のダイオード5b2、第2の平滑コンデンサ6、第1の平滑コンデンサ2を通る経路と、第1の平滑コンデンサ2、第2のリアクトル4b、第3のIGBT素子5c1、第1の平滑コンデンサ2を通る経路であり、第1のリアクトル4aの両端には電圧(V1−V2)が印加され、第2のリアクトル4bの両端には電圧V1が印加されている。
【0019】
次の動作モードは、図2(c)に示す第3動作モードである。前述した第3動作モードと同様の動作となるため、説明を割愛する。
以上の一連の「第1動作モードから、第3動作モード、第2動作モード、第3動作モード」の繰り返しにより、第1の平滑コンデンサ2の電圧V1を任意の電圧に昇圧して、第2の平滑コンデンサ6の電圧V2として出力させることができる。
【0020】
回生動作の場合、力行動作と異なる点は、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1を流れる電流の向きと第1のIGBT素子5a1のゲート信号G5aと第2のIGBT素子5b1のゲート信号G5bを入れ替え、第3のIGBT素子5c1のゲート信号G5cと第4のIGBT素子5d1のゲート信号G5dを入れ替え、電圧V2を降圧することのみであり、電流経路が両者で同じであるため、以降の説明においても回生動作の説明を割愛する。
【0021】
電力変換装置100では、V2検出値とV2目標値が一致するように第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1をオンオフさせることで制御している。第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1のいずれか1つに異常が発生した場合、第1のリアクトル4aの電流値I4a、または第2のリアクトル4bの電流値I4bが異常値となり、2経路の電流値がアンバランスとなり、電流値I4aまたは電流値I4bが増大することで損失も増大し、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1のいずれかが耐熱温度を超過してしまうこと、および過電流が流れてしまうことによって、正常動作が不可能となる。
【0022】
前記異常の例として、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1のいずれかがオープン故障となる電流を通さない異常(以降、オフ固着異常と称する)を挙げる。
図4(a)、図4(b)は、本願の実施の形態1の第1のIGBT素子5a1にオフ固着異常が発生した場合の力行動作の動作モードを説明するための回路図である。それぞれの動作モードでの電流経路は、実施の形態1の図2(a)、図2(b)、図2(c)と同様のため説明を割愛する。
【0023】
図5は、第1のIGBT素子5a1にオフ固着異常が発生した場合の理想動作波形である。図5に示すように、第1のIGBT素子5a1にオフ固着異常が発生した場合は、第1のIGBT素子5a1がオンせず、電流値I4aが0Aのため、電流値I4aと電流値I4bの間でアンバランスが生じ、正常動作が不可能となる。第2のIGBT素子5b1のオフ固着異常時は、回生動作時に同様の状態となり、第3のIGBT素子5c1と第4のIGBT素子5d1の各オフ固着異常時は、第1のIGBT素子5a1と第2のIGBT素子5b1の各オフ固着異常時に対して、電流値I4aと電流値I4bが変わり、電圧値V4aと電圧値V4bが変わるのみであり、動作は、第1のIGBT素子5a1と第2のIGBT素子5b1の各オフ固着異常時と同様であるため説明を割愛する。
【0024】
また、第1の電流センサ3a、または第2の電流センサ3bに異常が発生した場合は、2並列間の電流値がアンバランスとなることを基に、電流センサの故障判定を行うことができる。第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1にオフ固着異常が発生した場合も、前述の通り、2並列間の電流値がアンバランスとなり、電流センサに異常が発生した場合と同様の挙動となってしまい、電流センサの故障判定と誤判定してしまう。したがって、電流センサの異常とIGBT素子の異常を区別して故障判定を行う必要がある。
【0025】
図6は、本願の実施の形態1に用いられる故障判定のフローチャート図である。図7(a)〜(h)は、本願の実施の形態1に用いられる故障判定時の動作モードを説明するための回路図である。図7(a)〜(h)の点線は、電流経路を表している。
図6に示すように、ステップST0の通常制御を継続し、ステップST1において、2並列間の電流値にアンバランスが生じないことを確認し、アンバランスが生じていなければ、制御を繰り返し、電流値および電圧値の検出を継続する。2並列間の電流値にアンバランスが生じた場合には、ステップST2において、第1のIGBT素子5a1を駆動させ、ステップST3において、第2の平滑コンデンサ6の電圧V2が変動した場合には、第1のIGBT素子5a1は正常であり、電圧V2が変動しない場合は、ステップST4において、第1のIGBT素子5a1のオフ固着異常と判定する。この判定方法は、IGBT素子にオフ固着異常が発生した場合に、前述した通り、電流が流れないため、電圧V2が変動しないことを利用している。
【0026】
第2の平滑コンデンサ6の電圧V2が変動した場合には、ステップST5において、第2のIGBT素子5b1を駆動させる。そしてステップST6において、第2の平滑コンデンサ6の電圧V2が変動するか否かを判定し、変動した場合には、第2のIGBT素子5b1は正常であり、電圧V2が変動しない場合には、ステップST7において、第2のIGBT素子5b1のオフ固着異常と判定する。第2のIGBT素子5b1が正常の場合には、ステップST8において、第3のIGBT素子5c1を駆動させ、ステップST9において、第2の平滑コンデンサ6の電圧V2が変動するか否かを確認し、電圧V2が変動した場合には、第3のIGBT素子5c1は正常であり、電圧V2が変動しない場合には、ステップST10において、第3のIGBT素子5c1のオフ固着異常と判定する。第3のIGBT素子5c1までに異常がなければ、続いて、ステップST11において、第4のIGBT素子5d1を駆動させ、ステップST12において、第2の平滑コンデンサ6の電圧の変動が生じるか否かを確認する。電圧V2が変動した場合には、第4のIGBT素子5d1は正常であり、電圧V2が変動しない場合には、ステップST13において、第4のIGBT素子5d1のオフ固着異常と判定する。第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1が正常と判定されれば、ステップST14において、電流センサの異常と故障判定する。
以上より、電流センサの異常と第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1の異常を区別することが可能となる。
【0027】
図8は、第1のIGBT素子5a1のみを駆動させた場合の理想動作波形であり、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1のゲート信号、リアクトル電流、リアクトル電圧およびコンデンサ電圧の関係を表している。
図8に示すように、初めの動作モードは、図7(a)に示す第6動作モードである。この場合、第1のIGBT素子5a1がオン、第2のIGBT素子5b1、第3のIGBT素子5c1および第4のIGBT素子5d1がオフであって、電流経路は、図7(a)に示すように第1の平滑コンデンサ2、第1のリアクトル4a、第1のIGBT素子5a1、第1の平滑コンデンサ2を通る経路であり、第1のリアクトル4aの両端には電圧V1が印加される。
【0028】
次の動作モードは、図7(b)に示す第7動作モードである。この場合、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1がオフし、電流経路は、図7(b)に示すように第1の平滑コンデンサ2、第1のリアクトル4a、第2のダイオード5b2、第2の平滑コンデンサ6、第1の平滑コンデンサ2を通る経路であり、第1のリアクトル4aの両端には電圧(V1−V2)が印加される。第1のIGBT素子5a1が正常であれば、電圧V4a、電流I4a、電圧V2は、図8の実線グラフ(A)のように変動する。第1のIGBT素子5a1がオフ固着異常であればオンしないため、電圧V4a、電流I4a、電圧V2は、図8の点線グラフ(B)のように変動しない。したがって、電圧V2の変動の有無により第1のIGBT素子5a1の故障判定が可能となる。
【0029】
図9は、第2のIGBT素子5b1のみを駆動させた場合の理想動作波形を示しており、ゲート信号、リアクトル電流、リアクトル電圧およびコンデンサ電圧の関係を表している。
図9に示すように、初期状態の電圧V2は、電圧V1よりも大きい値とする。また、初めの動作モードは、図7(e)に示す第10動作モードである。この場合、第2のIGBT素子5b1がオンし、第1のIGBT素子5a1と第3のIGBT素子5c1と第4のIGBT素子5d1は、オフし、電流経路は、第2の平滑コンデンサ6、第2のIGBT素子5b1、第1のリアクトル4a、第1の平滑コンデンサ2、第2の平滑コンデンサ6を通る経路であり、第1のリアクトル4aの両端には電圧(V1―V2)が印加される。
【0030】
次の動作モードは、図7(f)に示す第11動作モードである。この場合、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1がオフし、電流経路は、第1のリアクトル4a、第1の平滑コンデンサ2、第1のダイオード5a2、第1のリアクトル4aを通る経路であり、第1のリアクトル4aの両端には電圧V1が印加される。第2のIGBT素子5b1が正常であれば、電圧V4a、電流I4a、電圧V2は、図9の実線グラフ(A)のように変動する。第2のIGBT素子5b1がオフ固着異常であれば、オンしないため、電圧V4a、電流I4a、電圧V2は、図9の点線グラフ(B)のように変動しない。したがって、電圧V2の変動の有無により第2のIGBT素子5b1の故障判定が可能となる。
【0031】
図10は、第3のIGBT素子5c1のみを駆動させた場合の理想動作波形であり、ゲート信号、リアクトル電流、リアクトル電圧およびコンデンサ電圧の関係を表している。
図10に示すように、初めの動作モードは、図7(c)に示す第8動作モードである。この場合、第3のIGBT素子5c1がオン、第1のIGBT素子5a1と第2のIGBT素子5b1と第4のIGBT素子5d1がオフし、電流経路は、第1の平滑コンデンサ2、第2のリアクトル4b、第3のIGBT素子5c1、第1の平滑コンデンサ2を通る経路であり、第2のリアクトル4bの両端には電圧V1が印加される。
【0032】
次の動作モードは、図7(d)に示す第9動作モードである。この場合、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1がオフし、電流経路は、第1の平滑コンデンサ2、第2のリアクトル4b、第4のダイオード5d2、第2の平滑コンデンサ6、第1の平滑コンデンサ2を通る経路であり、第2のリアクトル4bの両端には電圧(V1−V2)が印加される。第3のIGBT素子5c1が正常であれば、電圧V4b、電流I4b、電圧V2は、図10の実線グラフ(A)のように変動する。第3のIGBT素子5c1がオフ固着異常であれば、オンしないため、電圧V4b、電流I4b、電圧V2は、図10の点線グラフ(B)のように変動しない。したがって、電圧V2の変動の有無により、第3のIGBT素子5c1の故障判定が可能となる。
【0033】
図11は、第4のIGBT素子5d1のみを駆動させた場合の理想動作波形を示しており、ゲート信号、リアクトル電流、リアクトル電圧およびコンデンサ電圧の関係を表している。
図11に示すように、初期状態の電圧V2は、電圧V1よりも大きい値とする。また、初めの動作モードは、図7(g)に示す第12動作モードである。この場合、第4のIGBT素子5d1がオンし、第1から第3のIGBT素子5a1〜5c1がオフし、電流経路は、第2の平滑コンデンサ6、第4のIGBT素子5d1、第2のリアクトル4b、第1の平滑コンデンサ2、第2の平滑コンデンサ6を通る経路であり、第2のリアクトル4bの両端には電圧(V1―V2)が印加される。
【0034】
次の動作モードは、図7(h)に示す第13動作モードである。この場合、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1がオフし、電流経路は、第2のリアクトル4b、第1の平滑コンデンサ2、第3のダイオード5c2、第2のリアクトル4bを通る経路であり、第2のリアクトル4bの両端には電圧V1が印加される。第4のIGBT素子5d1が正常であれば、電圧V4b、電流I4b、電圧V2は、図11の実線グラフ(A)のように変動する。第4のIGBT素子5d1がオフ固着異常であれば、オンしないため、電圧V4b、電流I4b、電圧V2は、図11の点線グラフ(B)のように変動しない。したがって、電圧V2の変動の有無により、第4のIGBT素子5d1の故障判定が可能となる。
【0035】
第1のIGBT素子5a1、または第3のIGBT素子5c1にオフ固着異常が生じた場合は、力行動作において第1のリアクトル4a、または第2のリアクトル4bに電流が流れず、正常動作できないが、回生動作においては第1のIGBT素子5a1と第3のIGBT素子5c1を使用しないため、正常動作が可能となる。力行動作において、第2のIGBT素子5b1と第4のIGBT素子5d1を使用しないため、第2のIGBT素子5b1、または第4のIGBT素子5d1にオフ固着異常が生じた場合でも正常動作が可能となる。
【0036】
したがって、前記の動作を行うことで第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1のオフ固着異常が生じた箇所を特定することができ、正常なIGBT素子を用いて電力を伝送し続けることが可能となる。
【0037】
なお、実施の形態1の電力変換装置100には、第1から第4のIGBT素子5a1〜5d1として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を使用した場合について説明しているが、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のスイッチング素子を用いても実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0038】
また、実施の形態1では、電力変換装置100のリアクトルとして非結合型のリアクトルを用いた場合の説明を行ったが、結合型のリアクトルを用いても実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0039】
また、実施の形態1では、電流センサとIGBT素子の故障判定においては、2並列間の電流値にアンバランスが生じた場合に、第1のIGBT素子5a1から駆動させているが、どのIGBT素子から駆動させてもよく、どの順番でIGBT素子を駆動させてもよい。
また、実施の形態1では、電流センサをリアクトルと第1の平滑コンデンサ2の正極の間に接続している場合を示しているが、第1と第2のリアクトル4a、4bに流れる電流をそれぞれ検出できる場所に接続しても実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0040】
実施の形態2.
図1〜図11においては、第1の平滑コンデンサ2から第2の平滑コンデンサ6までの構成が2並列構成であったが、3並列構成の場合を実施の形態2で説明する。
【0041】
図12は、実施の形態2を説明するための3並列構成の電力変換装置101の回路図である。3並列構成の場合、2並列構成と異なる構成部品として、第3の電流センサ3c、第3のリアクトル4c、および第5の電圧変換部として、第5のIGBT素子5e1、第5のIGBT素子5e1に逆並列接続されている第5のダイオード5e2、第6の電圧変換部として、第6のIGBT素子5f1、および第6のIGBT素子5f1に逆並列接続されている第6のダイオード5f2が追加されている。すなわち、3つの電流センサが接続されている状態になる。
【0042】
追加された第3の電流センサ3c、第3のリアクトル4c、第5のIGBT素子5e1、および第6のIGBT素子5f1は、2並列構成の部品と同様の機能を果たす。
【0043】
以下に、追加された部品の接続について説明する。第3の電流センサ3cは、端子3c1が第1の平滑コンデンサ2の正極と第1の電流センサ3aの端子3a1に接続され、端子3c2が第3のリアクトル4cを介して、第5のIGBT素子5e1のコレクタ端子と第6のIGBT素子5f1のエミッタ端子に接続されている。第5のIGBT素子5e1のエミッタ端子は、第1の平滑コンデンサ2の負極に接続され、第6のIGBT素子5f1のコレクタ端子は、第2の平滑コンデンサ6の正極に接続されている。制御信号部200の端子201eは、第5のIGBT素子5e1のゲート端子に接続され、制御信号部200の端子201fは、第6のIGBT素子5f1のゲート端子に接続されている。故障判定部300の端子301cは、第3の電流センサ3cの端子3c3に接続されている。
【0044】
実施の形態2の電力変換装置101において、定常状態では力行動作と回生動作の2つが存在する。実施の形態2の電力変換装置101は、実施の形態1の電力変換装置100に比べて1回路の並列接続が増えたのみで、定常状態における動作とオフ固着異常時の挙動は、実施の形態1の電力変換装置100と同様のため、説明を割愛する。
【0045】
実施の形態2の電力変換装置101では、並列間の電流値にアンバランスが生じた場合、第1から第6のIGBT素子5a1〜5f1と電流センサの故障判定を行い、更に第1から第3の電流センサ3a〜3cの中から故障状態にある電流センサを特定することが可能となる。
【0046】
以下に第1から第3の電流センサ3a〜3cの中から故障状態にある電流センサを特定する方法を述べる。第1から第3の電流センサ3a〜3cの電流値I3a〜I3c同士で差分を取り、式(1)〜(3)のように表される。
|I3a−I3b|=I3ab ・・・(1)
|I3a−I3c|=I3ac ・・・(2)
|I3b−I3c|=I3bc ・・・(3)
【0047】
第1から第3の電流センサ3a〜3cのうちいずれかが故障状態にある電流センサは、他の正常な電流センサと値が異なる。例えば第1の電流センサ3aが故障状態である場合、電流値I3aが他の電流値と異なるため、差分I3abと差分I3acが差分I3bcよりも大きい値となる。
【0048】
なお、第2の電流センサ3bまたは第3の電流センサ3cが故障状態にある場合でも同様に説明ができる。
また、実施の形態2の電力変換装置101の第1から第6のIGBT素子5a1〜5f1に、MOSFETのスイッチング素子を用いても実施の形態2と同様の効果が得られる。
【0049】
また、実施の形態2では電力変換装置101のリアクトルに非結合型のリアクトルを用いた場合を示したが、結合型のリアクトルを用いても同様の効果を得ることができる。
また、実施の形態2の電流センサを、リアクトルと第1の平滑コンデンサ2の正極の間に接続している場合を示したが、第1から第3の各リアクトル4a〜4cに流れる電流をそれぞれ検出できる場所に接続しても同様の効果を得ることができる。
また、実施の形態2では3並列構成の電力変換装置101の説明を行ったが、3以上の自然数をNとして、N並列構成の電力変換装置でも同様の効果を得ることができる。すなわち、3つ以上の電流センサが接続されていて、スイッチング素子が正常と判定された場合、他の第1の電流センサの値と乖離した1つの第1の電流センサを異常であると特定することができることになる。
【0050】
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明する。図13は、実施の形態3の電力変換装置102の回路図である。
図13に示すように、実施の形態3の電力変換装置102は、実施の形態1の電力変換装置100の構成部品に加え、第1の平滑コンデンサ2の両端の電圧V1を検出する第2の電圧センサ7bと、双方向電源1bと、双方向電源1bに流れる電流I1bを検出する第4の電流センサ8aとを追加している。ここで、双方向電源1bとは、1台で力行動作を行う際には電源装置として機能し、回生動作を行う際には負荷として機能する電源装置である。
(【0051】以降は省略されています)

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