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公開番号2019205315
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191128
出願番号2018100651
出願日20180525
発明の名称電線端末加工装置
出願人矢崎総業株式会社
代理人個人,個人
主分類H02G 1/12 20060101AFI20191101BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】奇数本や偶数本の線芯を具備する電線に、所定深さの切り込みを加工することが出来る電線端末加工装置を提供する。
【解決手段】電線端末加工装置100は、電線1を把持すると共に、装置基準軸101を中心にして電線1を回転する把持回転部10と、電線1の外径の装置基準面に投影された計測外径を計測する計測部20と、計測角度と計測外径とを関連付けて記憶する記憶部30と、切り込み刃51a、51bと切り込み刃51a、51bを装置基準軸101に向けて進退する進退機構59とを具備する切り込み加工部50と、計測角度および計測外径と線芯外径および芯線間形態とから、切り込み角度と切り込み刃51a、51bの進退量とを演算する演算部40とを有し、切り込み加工部50は、電線1が切り込み角度だけ回転された状態で、切り込み刃51a、51bを進退量だけ進退させる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
線芯と前記線芯を被覆した絶縁体とを具備する電線について、前記電線の端末から所定の位置において前記絶縁体に切り込みを加工する電線端末加工装置であって、
前記電線の長手方向が装置基準軸に一致した状態で前記電線を把持すると共に、前記電線を前記装置基準軸を中心にして回転する把持回転部と、
前記装置基準軸を含む面である装置基準面に投影された前記電線の外径を計測する計測部と、
計測のために前記電線を回転する角度である計測角度と、前記計測部によって計測された前記計測角度における前記電線の外径である計測外径とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記装置基準軸に垂直で前記装置基準面に回転中心がある切り込み刃と前記切り込み刃を前記装置基準軸に向けて進退する進退機構とを具備する切り込み加工部と、
前記計測角度および前記計測外径と前記線芯の外径および配置形態とから、切り込み加工のために前記電線を回転する角度である切り込み角度と、前記切り込み角度における前記切り込み刃の前記装置基準軸に向かった方向の切り込み進退量を演算する演算部とを有し
前記進退機構は、前記電線が前記切り込み角度だけ回転された状態で、前記切り込み刃を前記進退量だけ進退させることを特徴とする電線端末加工装置。
続きを表示(約 170 文字)【請求項2】
前記線芯が複数であって、前記電線の断面が略楕円または略多角形であることを特徴とする請求項1記載の電線端末加工装置。
【請求項3】
前記切り込み刃が一対であって、それぞれ互いに対向して配置され、切り込み加工時に前記電線が180°回転されることを特徴とする請求項1または2記載の電線端末加工装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は電線端末加工装置、特に複数の線芯が絶縁体によって被覆されている電線の端末を加工する電線端末加工装置に関する。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来、複数の線芯が絶縁体によって被覆されている電線において、端末から所定の範囲の絶縁体を撤去する所謂「皮剥き作業」が行われている。このとき、皮剥き作業を、簡単かる効率的に実行するために、絶縁体に「切り込み」を加工する発明が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2016−214062号公報(第2−3頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明(被遮蔽ケーブル処理装置)は、捩られている4本の線芯が遮蔽膜に被覆され、遮蔽膜が導電性の遮蔽カバ−によって包囲されている被遮蔽ケーブルについて、遮蔽膜に切り込みを加工するものである。すなわち、4本の線芯は断面十字状に配置され、4本の線芯の中心軸から断面十字方向に進退可能に4個のナイフが設けられ、ナイフは線芯の外径に対応した径の凹状に形成されている。したがって、ナイフの凹状の中心と線芯の中心とを結ぶ仮想線が断面十字方向に一致した状態で、一対のナイフを互いに近接させることで遮蔽膜に局所的に均一の切り込みを加工している。
しかしながら、4本の線芯は捩られているため、線芯の中心は長手方向の位置において変動する。このため、ナイフの位置における前記仮想線上に線芯の中心を配置することが困難であることから、前記仮想線上に線芯の中心が配置されない場合には、所定深さの切り込みを加工することが出来ないという問題があった。さらに、線芯が奇数本である被遮蔽ケーブルには適用することができないという問題があった。さらに、線芯の外径毎にナイフを設ける必要があるという問題もあった。
【0005】
本発明は、前記問題を解消するものであり、奇数本や偶数本の線芯を具備する電線に所定深さの切り込みを加工することが出来る電線端末加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電線端末加工装置は、線芯と前記線芯を被覆した絶縁体とを具備する電線について、前記電線の端末から所定の位置において前記絶縁体に切り込みを加工する電線端末加工装置であって、
前記電線の長手方向が装置基準軸に一致した状態で前記電線を把持すると共に、前記電線を前記装置基準軸を中心にして回転する把持回転部と、前記装置基準軸を含む面である装置基準面に投影された前記電線の外径を計測する計測部と、計測のために前記電線を回転する角度である計測角度と、前記計測部によって計測された前記計測角度における前記電線の外径である計測外径とを関連付けて記憶する記憶部と、前記装置基準軸に垂直で前記装置基準面に回転中心がある切り込み刃と前記切り込み刃を前記装置基準軸に向けて進退する進退機構とを具備する切り込み加工部と、前記計測角度および前記計測外径と前記線芯の外径および配置形態とから、切り込み加工のために前記電線を回転する角度である切り込み角度と、前記切り込み角度における前記切り込み刃の前記装置基準軸に向かった方向の切り込み進退量を演算する演算部とを有し、
前記進退機構は、前記電線が前記切り込み角度だけ回転された状態で、前記切り込み刃を前記進退量だけ進退させることを特徴とする。
また、前記線芯が複数であって、前記電線の断面が略楕円または略多角形であることを特徴とする。
さらに、前記切り込み刃が一対であって、それぞれ互いに対向して配置され、切り込み加工時に前記電線が180°回転されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電線端末加工装置は、計測部の計測結果に基づいて、演算された切り込み角度に対応した切り込み進退量だけ切り込み刃が進退するから、切り込み加工位置における線芯の位相に関わりなく、所定深さの切り込みを加工することができる。また、線芯が奇数本であっても適用することができ、さらに、線芯の外径毎に切り込み刃を設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施の形態1に係る電線端末加工装置を模式的に示す平面図である。
本発明の実施の形態1に係る電線端末加工装置を模式的に示す側面図である。
本発明の実施の形態1に係る電線端末加工装置を模式的に示すものであって、図3の(a)は電線を示す側面図、図3の(b)は電線の当初の姿勢を説明する拡大断面図、図3の(c)は電線の計測時の姿勢を説明する拡大断面図、図3の(c)は電線の切り込み加工時の姿勢を説明する拡大断面図である。
本発明の実施の形態2に係る電線端末加工装置を模式的に示す平面図である。
本発明の実施の形態2に係る電線端末加工装置を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態1、2に係る電線端末加工装置について説明する。なお、各図面は模式的に描かれているため、各部材の形状や大きさ、あるいは部材間の位置関係は図示された形態に限定されるものではない。
【0010】
[実施の形態1]
図1〜図3は本発明の実施の形態1に係る電線端末加工装置を模式的に示すものであって、図1は平面図、図2は側面図、図3の(a)は電線を示す側面図、図3の(b)は電線の当初の姿勢を説明する拡大断面図、図3の(c)は電線の計測時の姿勢を説明する拡大断面図、図3の(d)は電線の切り込み加工時の姿勢を説明する拡大断面図である。なお、図面の煩雑さを避けるため、一部の部材(配置のための保持部材等)の記載を省略している。
【0011】
(電線)
図3の(a)において、電線端末加工装置100は、線芯2と線芯2を被覆した絶縁体3とを具備する電線1について、電線端末4から所定の距離の位置(以下「切り込み位置」と称す)5において絶縁体3に切り込み6を加工するものである。
なお、絶縁体3とは、線芯2を除く電線1を構成する部材の総称であって、電気絶縁性の単一材(たとえば、シース)に限定されるものではなく、電気絶縁性あるいは通電性の複数の材料から構成されたものであってもよい。また、以下、理解を容易にするため、線芯2が2本の場合について説明するが、線芯2の本数は限定されるものではない。
【0012】
(電線端末加工装置)
図1および図2において、電線端末加工装置100は、把持回転部10と、計測部20と、記憶部30と、演算部40と、切り込み加工部50と、操作部90とを有している。以下、それぞれについて説明する。
【0013】
(把持回転部)
把持回転部10は、装置基板110に設置され、電線端末4が突き当てられると共に電線端末4を案内する端末案内台13と、端末案内台13において電線端末4が突き当てられる面(図示しない)に垂直な仮想軸(以下「装置基準軸101」と称す)に、電線1の中心が一致するように把持する把持機構11と、把持機構11に把持された電線1を、装置基準軸101を中心にして回転する回転機構12とを具備している。
把持機構11は、円筒体11aと、円筒体11aを装置基準軸101を中心にして回転可能に支持する支持体11bと、円筒体11aの中心軸(装置基準軸101に同じ)に電線1を把持するチャック11cとを具備する。
【0014】
回転機構12は、装置基板110に設置されたモータ12aと、モータ12aの回転軸に固定された駆動歯車12bと、円筒体11aに固定され、駆動歯車12bにかみ合う従動歯車12cとを具備する。なお、以上は、回転機構12として歯車を使用しているが、本発明はこれに限定するものではなく、ベルトを使用してもよく、さらに、モータ12aを撤去して、手動によって、直接または減速手段を介して円筒体11aを回転してもよい(これについては、実施の形態2において詳細に説明する)。
以下、説明の便宜上、装置基準軸101を含み装置基板110の上面に平行な仮想面を「装置基準面102」と、装置基準軸101に垂直な仮想面を「計測切り込み面103」と、装置基準軸101を含み装置基準面102に垂直な仮想面を「装置対称面104」と称す。
なお、線芯2の中心を結ぶ仮想線を電線中心線7と称すると、把持された当初は、計測切り込み面103において電線中心線7と装置基準面102とがなす角度(以下「ねじれ角度φm」と称す)は不明である(図3の(b)参照)。
【0015】
(計測部)
計測部20は、回転機構12によって円筒体11a(電線1に同じ)が回転された角度(以下「計測角度θm」と称す)を計測する角度計測機構21と、計測切り込み面103において、装置基準面102(または装置基準面102に平行な仮想投影面)に投影された電線1の外径(以下「計測外径Dm」と称す)を計測する外径計測機構22とを具備している(図3の(c)参照)。そして、計測部20は計測角度θmおよび計測外径Dmを記憶部30に出力する。
【0016】
なお、計測角度θmは所定の間隔毎に0°から180°までの複数の値、すなわち、所定の計測間隔Δθmの整数倍であるが、電線1を連続して回転する間に計測される。
角度計測機構21は、円筒体11aに固定された円盤21aと、円盤21aの外周に対向したフォトセンサー21bとを具備している。すなわち、円盤21aの外周に沿ってスリット(図示しない)が所定の間隔を空けて等角配置され、フォトセンサー21bは、円盤21aが回転した際の、スリットの通過数を計測する。
なお、装置基準面102を装置基板110の上面と平行な仮想面としているが、装置基準面102は適宜設定することができるものである。また、回転機構12および角度計測機構21に代えて、両者の機能を具備する装置(たとえばサーボモータ)を設けてもよい。さらに、外径計測機構22は電線1の輪郭を示す影等の画像を採取して、当該画像のデータから計測外径Dm求める非接触タイプであるが、電線1に直接接触して計測外径Dmを計測する接触タイプであってもよい。また、計測された計測角度θmおよび計測外径Dmを表示するようにしてもよい。
【0017】
(記憶部)
記憶部30は、計測部20から入力された計測角度θm毎に、計測角度θm(たとえば、θm0=0、θm1=1・Δθm、θm2=2・Δθm・・・)と計測外径Dm(たとえば、Dm0、Dm1、Dm2・・・)とを関連付けた(θm0、Dm0)、(θm1、Dm1)、(θm2、Dm2)・・・のデータを記憶する。そうすると、かかるデータによって電線1の外形が算出されるから、計測外径Dmが最大になる角度、すなわち、ねじれ角度φmが特定される。そして、ねじれ角度φmを演算部40に出力する。
なお、ねじれ角度φmは、計測角度θmの増加に伴って計測外径Dmが増加する範囲と、計測角度θmの増加に伴って計測外径Dmが減少する範囲との境界であり、計測角度θmは所定の計測間隔Δθmだけ離れた値であるため、ねじれ角度φmは計測角度θmの何れかに一致する場合もあれば、一対の計測角度θmの間の値である場合もある。
【0018】
(切り込み加工部)
切り込み加工部50は、計測切り込み面103内に配置された一対の切り込み刃51a、51bと、切り込み刃51a、51bを進退させる進退機構59とを具備している。
すなわち、切り込み刃51a、51bはモータ52a、52bによって回転され、モータ52a、52bは摺動台53a、53bに設置されている。このとき、切り込み刃51a、51bの回転軸はそれぞれ、モータ52a、52bの回転軸にカップリング(図1および図2において、一対の対角線を付した四角で表示している)によって連結され、装置基準面102内で装置基準軸101と平行になっている。
【0019】
(進退機構)
そして、進退機構59は、モータ52a、52bがそれぞれ設置された摺動台53a、53bと、摺動台53a、53bを計測切り込み面103と平行に移動可能に案内する案内台54と、摺動台53aおよび摺動台53bのそれぞれに螺合したスプライン軸55と、スプライン軸55にカップリングによって連結されたサーボモータ56とを具備している。このとき、摺動台53a、53bは直方体であって、案内台54に形成された凹溝に侵入し、案内台54とサーボモータ56とは装置基板110に固定されている。
なお、切り込み刃51a、51bの回転軸を、ベアリングを保持した支持体で支持し、かかる支持体を摺動台53a、53bに設置してもよい。
さらに、本発明は、切り込み刃51a、51bを回転刃に限定するものではなく、装置対称面104と平行に往復運動をするハックソーや、装置対称面104と平行に配置された熱線(溶断線)等にしてもよい。
【0020】
スプライン軸55は、装置対称面104に対して面対称、すなわち、摺動台53aが螺合する範囲は左巻きで、摺動台53bが螺合する範囲は右巻きで、共に同一ピッチの螺旋である。したがって、当初(電線1を回転する前)、切り込み刃51aと切り込み刃51bとを装置対称面104から同一距離に配置しておけば、サーボモータ56が回転しても、両者は常に装置対称面104から同一の距離に位置している。
なお、本発明は進退機構59を前記構成に限定するものではなく、摺動台53a、53bの両方に螺合しているスプライン軸55に代えて、摺動台53a、53bのそれぞれに別個のスプライン軸を螺合させ、それぞれのスプライン軸毎に別個のサーボモータを連結してもよい。さらに、スプライン軸およびサーボモータに代えて、摺動台53a、53bをそれぞれ移動するサーボシリンダ等を設けてもよい。
【0021】
(演算部)
演算部40は、記憶部30から受け取ったねじれ角度φmと予め製造メーカから提供された線芯2の線芯外径D2および配置形態(線芯2の線芯間距離B2)とから、切り込み加工に当たって電線1を当初位置から回転する角度である切り込み角度θc毎に、線芯2の外面から僅かの距離T2だけに離れた仮想円(図3の(d)において破線にて示す。以下「残肉円8」と称す)に、切り込み刃51a、51bの外周が到達するまでの進退量Ccを算出する(図3の(d)参照)。
このとき、切り込み角度θcがねじれ角度φmに等しいときは、切り込み刃51a、51bの外周は装置基準面102上において残肉円8に到達するが、切り込み角度θcがねじれ角度φmに等しくないときは、切り込み刃51a、51bの外周は装置基準面102から偏位した位置において残肉円8に到達する。
なお、2本の線芯2が密着した状態で捩られている場合は、線芯間距離B2は線芯外径D2と同じ値になる。また、切り込み角度θcは計測角度θmに一致する場合もあれば相違する場合もある。
【0022】
(操作部)
操作部90は、電線1の回転開始を指示する回転開始ボタン91と切り込み作業開始を指示する切り込み開始ボタン92と、緊急停止ボタン93と、図示しない制御手段を具備している。このとき、計測時には、計測部20が計測する計測角度θmが180°に到達した時点で、電線1の回転(モータ12a)は停止される。
【0023】
(切り込み作業)
切り込み加工は、切り込み開始ボタン92が押されると、演算部40の指令によって、切り込み加工部50の進退機構59(サーボモータ56)と把持回転部10の回転機構12(モータ12a)とが連動して実行される。すなわち、切り込み角度θc毎に、切り込み刃51a、51bが残肉円8に到達する進退量Ccまで、切り込み刃51a、51bは進退させられる。
このとき、絶縁体3の切除範囲を図3の(d)において斜線および塗り潰しにて模式的に示す。なお、切り込み角度θcは所定の切り込み間隔Δθcの整数倍で、0°から180°までの複数の値であるから、所定の切り込み角度θcにおいて切り込まれた後、次に切り込む際に形成される切除範囲は、三日月を半分にした略鋭角三角形状(模式的に塗り潰し範囲で示す)になる。
また、切り込み加工は、電線1の外径計測が終了した後に実行されるものであるから、外径計測が終了した後、一旦、電線1を計測時とは反対の方向に回して、初期の位置(θc=0°)に戻してから計測時と同じ方向に回しながら実行してもよいし、外径計測が修了したところ(θc=180°)から、電線1を計測時とは反対の方向に回しながら実行してもよい。
【0024】
さらに、切り込み加工は連続的に電線1を回転しながら、切り込み刃51a、51bを進退させることができるが、過剰な切り込みや切り込み不足を防止するためには、切り込み間隔Δθcを小さくして、切り込み刃51a、51bの進退頻度を増すのが望ましい。
また、切り込み間隔Δθcが大きい場合には、所定の切り込み角度θcにおいて切り込みが終了したところで電線1の回転を停止したまま、一旦、切り込み刃51a、51bを後退させてから電線1を切り込み間隔Δθcだけ回転し、その後で切り込み刃51a、51bを前進するようにしてもよい。
なお、以上は、電線1に両側から同時に切り込みを加工しているが、一方の切り込み刃51aのみを用いて片側のみから切り込みを加工するようにしてもよい。このとき、電線1は360°回転されることになるが、切り込み刃51b、モータ52bおよび摺動台53bが不要になり、設備コストが安価になる。
さらに、線芯2が奇数本(3本等)で、電線1の断面が非対称である場合には、一対の切り込み刃51a、51bをそれぞれ独立して進退可能にして、それぞれに相違した進退をさせたり(このとき、スプライン軸55を途中で分断して、それぞれにサーボモータを連結する)、あるいは、一方の切り込み刃51aのみにして、電線1を360°回転させたりすることになる。
【0025】
(作用効果)
以上のように、電線端末加工装置100は、ねじれ角度φmを算出して、切り込み角度θc毎に残肉位置Acに到達するまで、切り込み刃51a、51bを進退させるから、切り込み過多や切り込み不足が生じない。また、切り込み刃が円盤状の回転刃であるから、線芯2の外径毎に切り込み刃を用意する必要がない。
さらに、以上は、線芯が2本の場合を説明しているが、線芯2が2本でない場合でも同様の切り込み作業ができるから、工具費用が抑えられ、前記と同様の効果が得られる。
なお、計測角度θmは0°から180°である。一方、切り込み角度θcは、線芯2が奇数本の場合など、一対の切り込み刃51a、51bをそれぞれ相違する進退量Ccで作業するときは、0°から180°になるが、一方の切り込み刃51aのみの一台にするときは、0°から360°になる。さらに、線芯2が偶数本の場合でも、一方の切り込み刃51bのみの一台にすると、切り込み角度θcは0°から360°になる。
さらに、線芯2がたとえば遮蔽膜等によって包囲され、遮蔽膜等が絶縁体2によって包囲され、遮蔽膜等にまで切り込みを加工したい場合には、前記要領において遮蔽膜等も絶縁体3の一部であると看做し、残肉位置Acを線芯2内の遮蔽膜等の位置にする。
【0026】
[実施の形態2]
(電線端末加工装置)
図4および図5は本発明の実施の形態2に係る電線端末加工装置を模式的に示すものであって、図4は平面図、図5は側面図である。なお、実施の形態1と同じ部位または相当する部位には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、図面の煩雑さを避けるため、一部の部材の記載を省略している。
図4および図5において、電線端末加工装置200は、実施の形態1で説明した電線端末加工装置100の把持回転部10を、電動の回転機構12から手動の手回し機構14に変更したものである。したがって、把持回転部10は、把持機構11と端末案内台13と手回し機構14とを具備している。
【0027】
(手回し機構)
手回し機構14は円筒体11aに連結された回転ホイール14aと、回転ホイール14aに設置された装置基準軸101に平行なホイール取手14bとを具備している。
また、円筒体11aには、外面から突出した円筒体アーム15aが設けられ、円筒体11aが回転した際、円筒体アーム15aが当接する第1ストッパ15bおよび第2ストッパ15cが装置基板110に設置されている。このとき、円筒体アーム15aが第1ストッパ15bに当接してから第2ストッパ15cに当接するまで、円筒体11aは180°回転する。
【0028】
なお、外径計測機構22は、計測切り込み面103を含む面内で、装置基準軸101を中心にして測定用の光線を照射する光源手段22aと、電線1によって一部が遮られた前記光線を受光する受光手段22bと、受光手段22bを支持する支持手段22cとを具備している。
さらに、操作部90は、電線1の計測開始を指示する計測開始ボタン94と切り込み作業開始を指示する切り込み開始ボタン92と、緊急停止ボタン93と、図示しない制御手段を具備している。このとき、計測開始ボタン94が押された後で、円筒体11aが回転されると、計測角度θmおよび計測外径Dmが計測され、それぞれ、記憶部30に出力される。
【0029】
(切り込み作業)
切り込み加工は、切り込み開始ボタン92が押された状態で、円筒体11aが回転されると、切り込み角度θcが計測される。そうすると、電線端末加工装置100と同様に、切り込み角度θcに対応したサーボモータ56の回転数(正転または逆転の回転角度)が算出され、かかる回転数でサーボモータ56が回転される。すなわち、切り込み角度θc毎に、切り込み刃51a、51bが残肉円8に到達する進退量Ccまで、切り込み刃51a、51bが進退される(図3の(d)参照)。
【0030】
(作用効果)
以上のように、電線端末加工装置200は、電線端末加工装置100と同様に切り込み過多や切り込み不足が生じない。特に、円筒体11aを手動で回転するから、回転機構が簡素になり装置コストが安価になる。さらに、切り込み刃が円盤状の回転刃であるから、線芯2の外径毎に切り込み刃を用意する必要がない。
【0031】
以上、本発明を実施の形態1、2をもとに説明した。この実施の形態1、2は例示であり、それらの各構成要素およびその組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は以上であるから、様々な形状の各種電線について外周に所定深さの切り込みを加工する電線端末加工装置として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 :電線
2 :線芯
3 :絶縁体
4 :電線端末
5 :切り込み位置
6 :切り込み
7 :電線中心線
8 :残肉円
10 :把持回転部
11 :把持機構
11a:円筒体
11b:支持体
11c:チャック
12 :回転機構
12a:モータ
12b:駆動歯車
12c:従動歯車
13 :端末案内台
14 :手回し機構
14a:回転ホイール
14b:ホイール取手
15a:円筒体アーム
15b:第1ストッパ
15c:第2ストッパ
20 :計測部
21 :角度計測機構
21a:円盤
21b:フォトセンサー
22 :外径計測機構
22a:光源手段
22b:受光手段
22c:支持手段
30 :記憶部
40 :演算部
50 :切り込み加工部
51a:切り込み刃
51b:切り込み刃
52a:モータ
52b:モータ
53a:摺動台
53b:摺動台
54 :案内台
55 :スプライン軸
56 :サーボモータ
59 :進退機構
90 :操作部
91 :回転開始ボタン
92 :切り込み開始ボタン
93 :緊急停止ボタン
94 :計測開始ボタン
100 :電線端末加工装置(実施の形態1)
101 :装置基準軸
102 :装置基準面
103 :計測切り込み面
104 :装置対称面
110 :装置基板
200 :電線端末加工装置(実施の形態2)
Ac:残肉位置
B2:線芯間距離
Cc:進退量
D2:線芯外径
Dm:計測外径
T2:距離
θc:切り込み角度
θm:計測角度
φm:ねじれ角度

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