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公開番号2019205308
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191128
出願番号2018100297
出願日20180525
発明の名称送電線用スペーサおよび送電線の点検工事方法
出願人中国電力株式会社
代理人個人
主分類H02G 7/12 20060101AFI20191101BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】 作業者が乗り越えたり、屈んだりせずに回避することが可能な送電線用スペーサと、この送電線用スペーサを利用した送電線の点検工事方法とを提供する。
【解決手段】 複導体用スペーサ1は、水平方向に平行に配設された送電線TL1を把持する第1の把持部2と、送電線TL2を把持する第2の把持部3と、第1の把持部2と第2の把持部3とを連結して送電線TL1とTL2との間隔を保つ連結部4とを備える。連結部4は、一端側の端部41がキーロック14によって第1の把持部2から着脱可能となっており、他端側の端部42に設けられたヒンジ部4Cによって端部41が回動自在となっているので、送電線TL1、TL2に吊り下げられた宙乗機で複導体スペーサ1を通過する際に、連結部4が障害にならない。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
平行に配設された複数の送電線をそれぞれ把持する複数の把持部と、前記複数の把持部を連結して前記複数の送電線の間隔を保つ連結部と、を備える送電線用スペーサであって、
前記連結部の一端側と、この一端側が連結される第1の把持部とを着脱自在に連結する連結手段と、
前記連結部の他端側を、この他端側が連結される第2の把持部に対して回動自在にし、前記複数の送電線の間を解放する回動手段と、
を備えることを特徴とする送電線用スペーサ。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
前記連結部の一端側と前記第1の把持部とが連結された状態で前記連結手段をロックするキーロック手段を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の送電線用スペーサ。
【請求項3】
前記把持部には、前記送電線の外周面から前記把持部の外周面へと連なるテーパ部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の送電線用スペーサ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の送電線用スペーサが設置された送電線に沿って走行可能に吊り下げられた宙乗機に搭乗し、前記送電線の点検または工事を行う送電線の点検工事方法であって、
前記宙乗機で前記送電線用スペーサを通過する際に、前記連結手段によって前記連結部の一端側と前記第1の把持部との連結を解除し、前記回動手段により前記連結部を回動させて、前記複数の送電線の間を解放し、
前記宙乗機で前記送電線用スペーサを通過した後に、前記回動手段により前記連結部を回動させ、前記連結手段により前記連結部の一端側と前記第1の把持部とを連結する、
ことを特徴とする送電線の点検工事方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、架空送電線の間隔の保持に利用される送電線用スペーサと、送電線用スペーサが設置された送電線の点検工事方法とに関する。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
架空送電線では、送電効率を高めるために、高電圧化、多導体化が図られている。このような多導体化された送電線において、複数の送電線の間隔を一定に保持するために、送電線用スペーサが所定の間隔(例えば、20〜60mの間隔)で設置されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
図11(A)、(B)は、水平方向に平行に配された2本の送電線TL1、TL2の間隔の保持に利用される複導体用スペーサ70の正面図及び平面図を示している。この複導体用スペーサ70は、送電線TL1、TL2をそれぞれ把持する一対の把持部71、72と、この一対の把持部71、72の間を連結する連結部73とを備えている。
【0004】
連結部73は、棒状の部材であり、図12に示すように、その両端には把持部71、72に取り付けられる取付孔73aが設けられている。この連結部73の端部は、把持部71、72に略水平方向に沿って設けられたクレビス部のスリット71a、72aに挿入される。連結部73と把持部71、72とは、スリット71a、72aと取付孔73aとを貫通するように把持部71、72に螺合される連結ボルト74、75によって連結されている。
【0005】
また、図13(A)、(B)は、水平方向及び垂直方向に平行に配された4本の送電線TL1、TL2、TL3、TL4の間隔の保持に利用される4導体用スペーサ80の正面図及び平面図を示している。この4導体用スペーサ80は、送電線TL1、TL2、TL3、TL4をそれぞれ把持する4個の把持部81A、81B、81C、81Dと、これらの把持部81A〜81Dを連結する連結部82と、を備えている。
【0006】
連結部82は、各把持部81A〜84Aに対応して設けられた4つの円筒状のチャンバ83A、83B、83C、83Dと、チャンバ83A〜83Dと把持部81A〜81Dとを連結する4つのターミナル84A、84B、84C、84Dと、各チャンバ83A〜83Dの間を連結する4本の棒状のフレーム85A、85B、85C、85Dとを備える。ターミナル84A〜84Dは、複導体用スペーサ70の連結部73と同様に取付孔を備えており、把持部81A〜81Dのクレビス部に挿入されて連結ボルト86A、86B、86C、86Dによって連結されている。
【0007】
送電線の保守点検、張り替えあるいは増架工事をする際に、既設の送電線に吊り下げられ、その送電線に沿って走行する宙乗機が一般に用いられている。図14(A)は、水平方向に平行に配された2本の送電線TL1、TL2に吊り下げられた宙乗機Gを示している。この宙乗機Gは、送電線TL1、TL2上を走行する4つの走行車輪部Wと、その走行車輪部Wにフレーム等によって吊り下げられる作業用籠体Cとから主に構成される。作業用籠体C内に作業者Pが搭乗して上記作業が行われるとともに、作業者Pが送電線TL1、TL2を引っ張ることにより走行車輪部Wが送電線TL1、TL2上を走行し、宙乗機Gが送電線TL1、TL2に沿って移動することになる。
【0008】
このような宙乗機Gの移動では、上述した複導体用スペーサ70が障害となる。すなわち、宙乗機Gは、走行車輪部Wによって複導体用スペーサ70の把持部71、72を乗り越えなければならない。また、作業用籠体Cに搭乗した作業者Pは、把持部71、72間を連結する連結部73を回避する必要がある。
【0009】
従来は、図14(A)に示すように、図中右方から左方へと宙乗機Gが移動する際に、進行方向の先頭側の走行車輪部Wを複導体用スペーサ70にできるだけ近づけて、作業者Pは、送電線TL1、TL2で体重を支えて宙乗機Gにかかる重量をできるだけ小さくし、同図(B)に示すように、先頭側の走行車輪部Wで複導体用スペーサ70の把持部71、72を乗り越えている。
【0010】
次いで、作業者Pは、図14(C)に示すように、作業用籠体Cから送電線TL1、TL2上に移動して連結部73を乗り越えたり、同図(D)に示すように、作業用籠体C内に屈んだりして連結部73を回避している。その後、作業者Pは、再び送電線TL1、TL2で体重を支えて宙乗機Gにかかる重量を小さくし、進行方向の後方側の走行車輪部Wで複導体用スペーサ70の把持部71、72を乗り越える。
【0011】
図15は、4導体用スペーサ80が取り付けられた送電線TL1〜TL4で利用される4導体用の宙乗機Gfを示している。この4導体用の宙乗機Gfは、下側の2本の送電線TL2、TL4にかけられる4つの下側走行車輪部Wlの他、上側の2本の送電線TL1、TL3にかけられる2つの上側走行車輪部Wuを備えている。作業者Pは、上述した複導体用スペーサ70の場合と同様に、4導体用スペーサ80の上を乗り越えたり、作業用籠体C内に屈んだりして連結部82を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
特開2012−070560号公報
特開2012−080639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上のような宙乗機G、Gfを利用した作業で長径間を移動する場合、作業者Pは何度も頻繁に複導体用スペーサ70または4導体用スペーサ80を回避する必要があるので、疲労が蓄積して安全性が低下するという問題があった。また、複導体用スペーサ70または4導体用スペーサ80に干渉するような資材などを宙乗機G、Gfに乗せて移動する場合には、作業者Pは自身が複導体用スペーサ70または4導体用スペーサ80を回避しつつ、資材も複導体用スペーサ70または4導体用スペーサ80を回避させなくてはならないので、資材落下の危険性が大きくなる。さらに、作業者Pは、自身の身体と送電線TL1、TL2とを胴綱によって連結し、複導体用スペーサ70または4導体用スペーサ80を通過する際に胴綱をいったん送電線TL1、TL2から取り外し、通過後に再度装着しているが、このような胴綱の着脱は作業を煩雑化させるだけでなく、安全性低下の要因ともなる。
【0014】
そこでこの発明は、作業者が乗り越えたり、屈んだりせずに回避することが可能な送電線用スペーサと、この送電線用スペーサを利用した送電線の点検工事方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、平行に配設された複数の送電線をそれぞれ把持する複数の把持部と、前記複数の把持部に連結されて前記複数の送電線の間隔を保つ連結部と、を備える送電線用スペーサであって、前記連結部の一端側と、この一端側が連結される第1の把持部とを着脱自在に連結する連結手段と、前記連結部の他端側を、この他端側が連結される第2の把持部に対して回動自在にし、前記複数の送電線の間を解放する回動手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、送電線用スペーサは、平行に配設された複数の送電線を複数の把持部によってそれぞれ把持し、複数の把持部の間を連結部によって連結することにより、複数の送電線の間隔を保つ。連結部による複数の送電線の間隔保持を解放する場合には、連結部の一端側と、この一端側が連結される第1の把持部とを連結する連結手段による連結を解除し、連結部の他端側を、この他端側が連結される第2の把持部に対して回動させる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1に記載の送電線用スペーサであって、前記連結部の一端側が前記第1の把持部から外れないように、前記連結手段をロックするキーロック手段を備える、ことを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の送電線用スペーサであって、前記把持部には、前記送電線の外周面から前記把持部の外周面へと連なるテーパ部が設けられている、ことを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の送電線用スペーサが設置された送電線に沿って走行可能に吊り下げられた宙乗機に搭乗し、前記送電線の点検または工事を行う送電線の点検工事方法であって、前記宙乗機で前記送電線用スペーサを通過する際に、前記連結手段によって前記連結部の一端側と前記第1の把持部との連結を解除し、前記回動手段により前記連結部を回動させて、前記複数の送電線の間を解放し、前記宙乗機で前記送電線用スペーサを通過した後に、前記回動手段により前記連結部を回動させ、前記連結手段により前記連結部の一端側と前記第1の把持部とを連結する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1および請求項4の発明によれば、連結部の一端側と第1の把持部との連結を連結手段によって解除し、連結部の他端側を回動手段によって第2の把持部に対して回動させることにより、複数の送電線の間を解放することができるので、宙乗機の作業用籠体に搭乗した作業者は、作業用籠体から送電線上に移動して連結部を乗り越えたり、作業用籠体内に屈んだりして連結部を回避しなくても、送電線用スペーサを容易に通過することが可能である。したがって、宙乗機に搭乗して長径間を移動する場合でも、送電線用スペーサの連結部を回避する動作が不要になるので、作業者の疲労を軽減して安全性の向上を図ることが可能である。
【0021】
また、送電線用スペーサに干渉するような資材などを宙乗機に乗せて移動する場合に、送電線用スペーサを回避するために資材を移動させる必要がなくなるので、資材が落下する危険性を大幅に低減することが可能である。さらに、作業者は、連結部に邪魔されることなく送電線上の胴綱を移動させることができるので、胴綱を着脱する作業が不要となり、作業の簡素化、安全性向上を図ることが可能である。
【0022】
また、連結手段の連結状態を解除する場合、当然ながらその近傍には宙乗機が位置するので、宙乗機の走行車輪部によって複数の送電線の間隔は保たれる。したがって、送電線同士の接触による事故を防ぐことができる。また、送電線用スペーサを通過した後、すぐに連結部を連結し直すことで、送電線同士の接触による事故を防ぐことができる。
【0023】
請求項2の発明によれば、連結部の一端側が第1の把持部から外れないように連結手段をロックするキーロック手段を備えるので、連結手段による連結部の連結及び連結解除に特殊な工具や大がかりな工具は不要であり、通過後の閉め忘れも防ぐことが可能である。
【0024】
請求項3の発明によれば、把持部に、送電線の外周面から把持部の外周面へと連なるテーパ部を設けたので、宙乗機の走行車輪部が容易に把持部を乗り越えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
この発明の実施の形態1に係る複導体用スペーサの概略構成を示し、(A)は複導体用スペーサの正面図、(B)は複導体用スペーサの平面図を示す。
図1の複導体用スペーサの連結部の一端側に設けられた切欠を示す斜視図である。
図1の複導体用スペーサの連結部の他端側に設けられた取付孔と、ヒンジ部とを示す斜視図である。
図1の複導体用スペーサの連結部の一端側を第1の把持部から取り外し、ヒンジ部で回動させて送電線間を解放した状態を示す平面図である。
図1の複導体用スペーサの第2の把持部を拡大した正面図である。
図1の複導体用スペーサの第1の把持部を拡大した正面図である。
図1の複導体用スペーサの第1の把持部を拡大した平面図である。
図1の複導体用スペーサが設置された送電線を宙乗機に搭乗して点検または工事する状態を示す説明図であり、(A)は宙乗機を複導体用スペーサに近づけた状態を示し、(B)は先頭側の走行車輪部で複導体用スペーサを乗り越えた状態を示し、(C)は連結部の一端側を第1の把持部から取り外し、ヒンジ部で回動させて送電線間を解放した状態を示す。
この発明の実施の形態2に係る4導体用スペーサの概略構成を示し、(A)は4導体用スペーサの正面図、(B)は4導体用スペーサの平面図を示す。
図9の4導体用スペーサの連結部の一端側を把持部から取り外し、ヒンジ部で回動させて送電線間を解放した状態を示す平面図である。
従来の複導体用スペーサの概略構成を示し、(A)は複導体用スペーサの正面図、(B)は複導体用スペーサの平面図を示す。
図11の複導体用スペーサの連結部の一端側に設けられた取付孔を示す斜視図である。
従来の4導体用スペーサの概略構成を示し、(A)は4導体用スペーサの正面図、(B)は4導体用スペーサの平面図を示す。
図11の従来の複導体用スペーサが設置された送電線を宙乗機に搭乗して点検または工事する状態を示す説明図であり、(A)は宙乗機を複導体用スペーサに近づけた状態を示し、(B)は先頭側の走行車輪部で複導体用スペーサを乗り越えた状態を示し、(C)は作業者が連結部の上を乗り越える状態を示し、(D)は作業者が作業用籠体に屈んで連結部を開示する状態を示す。
図13の従来の4導体用スペーサが設置された送電線を宙乗機に搭乗して点検または工事する状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1〜図8は、この発明の実施の形態を示し、図1(A)は、水平方向に平行に配された2本の送電線TL1、TL2の間隔の保持に利用される複導体用スペーサ1の正面図を示し、同図(B)は、複導体用スペーサ1の平面図を示している。複導体用スペーサ1は、送電線TL1を把持する第1の把持部2と、送電線TL2を把持する第2の把持部3と、これら第1の把持部2と第2の把持部3とを連結する連結部4とを備えている。
【0028】
連結部4は棒状の部材であり、第1の把持部2に取り付けられる一端側の端部41には、図2に示すように、連結部4の長手方向に対して直交する幅方向に延ばされた切欠41aが設けられている。この切欠41aは、本発明の連結手段の一部を構成する。また、連結部4の第2の把持部3に取り付けられる他端側の端部42には、図3に示すように、連結部4を垂直方向に貫通するように設けられた取付孔42aが設けられている。
【0029】
連結部4は、他端側の端部42の近傍で第1部品4Aと、第2部品4Bの2部品に分割されている。第1部品4Aと、第2部品4Bは、ヒンジ部4Cによって回動自在に連結されている。ヒンジ部4Cは、第1部品4Aの端部に垂直方向に延びるように設けられた略円筒形状の軸受部4A1と、第2部品4Bの端部に軸受部4A1をその上下から挟み込むように設けられた一対の略円板状の軸受部4B1とを備えている。また、ヒンジ部4Cには、軸受部4A1と軸受部4B1とに上方から挿入される回転軸4Dと、回転軸4Dの抜け止めのために回転軸4Dに挿入される割りピン4Eとが含まれる。これにより、第1部品4Aは、第2部品4Bに対して水平面上で奥側に回転自在とされている。
【0030】
このヒンジ部4Cは、本発明の回動手段を構成している。したがって、第1部品41Aがヒンジ部4Cを利用して第2部品41Bに対して水平面上で回動された場合には、図4に示すように、2本の送電線TL1とTL2との間が解放される。
【0031】
図5は、図1に示した第2の把持部3を拡大して示している。第2の把持部3は、従来の送電線用スペーサの把持部と同様のものであり、把持部本体5と、把持部蓋体6と、T字ボルト7と、締付バネ8と、バネ受け部9と、押しボルト10と、連結ボルト11と、緩衝バネ12と、スプリングピン13と、を備える。
【0032】
把持部本体5は、送電線TL2が挿入される凹部51aが設けられた半円筒形状のクランプ部51と、締付バネ8などが収容される収容空間52aが設けられた本体部52と、連結部4が連結されるクレビス部53と、が一体に設けられている。
【0033】
把持部蓋体6は、送電線TL2が挿入される凹部6aが設けられた半円筒形状をしており、ヒンジ6bにより把持部本体5のクランプ部51に開閉可能に軸着されている。また、把持部蓋体6には、所定幅のスリット6cを有するボルト係合部6dが設けられている。このような構成により、把持部蓋体6をクランプ部51側へ閉じると、凹部5aと凹部6aとにより構成された円柱状の凹部内に送電線TL2を挟持することができる。
【0034】
図1(A)に示すように、把持部本体5のクランプ部51と、把持部蓋体6とには、送電線TL2の外周面から、クランプ部51及び把持部蓋体6の外周面へと連なるテーパ部54、61が設けられている。このテーパ部54、61は、送電線TL1、TL2上を移動する宙乗機が複導体用スペーサ1の上を乗り越える際の傾斜路として機能する。
【0035】
T字ボルト7は、棒状部7aと、この棒状部7aの先端に設けられた頭部7bとを備えている。棒状部7aは、円柱状部材からなり、その円周面に雄ネジが設けられている。頭部7bは、把持部蓋体6に設けられたスリット6cを通る幅と、スリット6cの幅より大きな長さを有したブロック状の形状を有している。把持部本体5には、収納空間52aへ連通された挿通孔が設けられている。T字ボルト7の棒状部7aは、この挿通孔を通して収納空間52a内に挿入されている。
【0036】
このような構成により、T字ボルト7の頭部7bは、把持部本体5から棒状部7aの軸方向に移動可能で、かつ棒状部7aの軸を回転中心として回転可能となっている。したがって、T字ボルト7の頭部7bを、棒状部7aの軸方向で把持部本体5側へ移動させ、かつ棒状部7aの軸を回転中心として90度だけ回転させると、頭部7bの底面が把持部蓋体6のボルト係合部6dの上面に係止し、把持部本体5と把持部蓋体6とを連結することができる。
【0037】
締付バネ8は、弦巻バネであり、把持部本体5の収納空間52a内で、T字ボルト7の棒状部7aに貫通され、その一端が収容空間52aの内面により支持され、他端がバネ受け部9により支持されている。バネ受け部9は、締付バネ8を受ける平座金91と、T字ボルト7の棒状部7aに螺合されるナット92と、ナット92を固定する固定スリーブ93と、を備える。このような構成により、締付バネ8は、T字ボルト7を把持部本体5に接近させる方向、すなわち把持部蓋体6を閉じる方向へ付勢する。
【0038】
押しボルト10は、収納空間52aに連なる挿通孔と逆側の側面に設けられたボルト孔に螺合され、その先端が収納空間52a内のT字ボルト7に当接するように構成されている。押しボルト10をボルト孔にねじ込むと、締付バネ8の付勢に抗してT字ボルト7が押圧されて移動する。これにより、T字ボルト7の頭部7bと、把持部蓋体6のボルト係合部6dとの係止が解除されるので、把持部蓋体6を開くことができる。逆に、押しボルト10を緩めると、締付バネ8の付勢によってT字ボルト7が移動するので、頭部7bが把持部蓋体6のボルト係合部6dに係止する。
【0039】
把持部本体5には、略水平方向に沿うように形成されたスリット53aと、スリット53aに対して直交するように設けられた収容孔53bと、ボルト穴53cと、が設けられている。スリット53aには、連結部4の他端側の端部42が挿入される。ボルト穴53cに連結ボルト11が螺合されると、連結ボルト11が連結部4の取付孔42aに挿通されて、連結部4が第2の把持部3に連結される。
【0040】
クレビス部53の収容孔53bには、連結部4とクレビス部53とのガタつきを吸収して騒音を抑える緩衝バネ12が、連結ボルト11に挿通されて収容されている。スプリングピン13は、把持部本体5の側面に設けられた孔から挿入されて、連結ボルト11に設けられた孔に挿入されることにより、連結ボルト11の抜け止めを行う。
【0041】
図6及び図7は、図1に示した第1の把持部2を拡大して示している。第1の把持部2は、連結部4との連結部分以外は、第2の把持部3と共通の構成を有している。共通の構成については、同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
【0042】
第1の把持部2は、把持部本体5のクレビス部55に、スリット55aと、スリット55aに直交するように設けられた収容孔55bと、連結穴55cと、を備える。また、このクレビス部55には、キーロック14(キーロック手段)と、緩衝バネ15と、押圧板16と、割りピン17と、が取り付けられる。このキーロック14、緩衝バネ15、押圧板16および割りピン17と、上述した連結部4の一端側の端部41の切欠41aとは、本発明の連結手段を構成する。
【0043】
キーロック14は、クレビス部55の連結穴55cに挿入される円柱状の連結棒141と、連結棒141の端部に設けられてクレビス部55の上面に配されるロック部142と、を備える。ロック部142は、上面にキー18が挿入されて回転操作される鍵穴142aを備えている。ロック部142は、詳しくは図示しないが、鍵穴142aにキー18を挿入して回転操作すると、ロック部142から突出したロック片がクレビス部55に係合してロックするロック機構を内蔵している。このロック機構は、キー18が逆方向に回転操作されると、ロック片をロック部142内に収容してロックを解除する。
【0044】
緩衝バネ15は、クレビス部55の収容孔55bに収容され、キーロック14の連結棒141が貫通されている。押圧板16は、キーロック14の連結棒141が挿通される孔が設けられた略円板形状をしており、収容孔55bの下方でスリット55a内に配されている。
【0045】
スリット55aには、連結部4の一端側の端部41が挿入される。連結穴55cにキーロック14が挿入されると、キーロック14の連結棒141が連結部4の切欠41aに挿通される。そして、キーロック14のロック機構をキー18でロックすると、緩衝バネ15により押圧された押圧板16が連結部4の端部41を挟み込み、連結部4が第1の把持部2に連結される。また、キーロック14のロック機構をキー18で解除すると、押圧板16による連結部4の端部41への押圧が解除されるので、端部41の切欠41aを利用して、連結部4の端部41を第1の把持部2から取り外すことができる。
【0046】
割りピン17は、把持部本体5の側面に設けられた孔から挿入されて、キーロック14の連結軸141に設けられた孔に挿入されることにより、キーロック14の抜け止めを行う。
【0047】
次に、このような構成の複導体用スペーサ1が設置された送電線の点検工事を行う方法について説明する。図8(A)に示すように、送電線の保守点検、張り替えあるいは増架工事をする際に、既設の送電線TL1、TL2に宙乗機Gが吊り下げられ、この宙乗機Gに作業者Pが搭乗する。宙乗機Gは、送電線TL1、TL2上を走行する4つの走行車輪部Wと、その走行車輪部Wにフレーム等によって吊り下げられる作業用籠体Cとから主に構成される。作業用籠体C内に作業者Pが搭乗して作業を行うとともに、作業者Pが送電線TL1、TL2を引っ張ることにより走行車輪部Wが送電線TL1、TL2上を走行し、宙乗機Gが送電線TL1、TL2に沿って移動することになる。
【0048】
このような宙乗機Gの移動では、走行車輪部Wによって複導体用スペーサ1の第1の把持部2および第2の把持部3を乗り越えるとともに、作業用籠体Cに搭乗した作業者Pは連結部4を回避する必要がある。
【0049】
まず、走行車輪部Wによって複導体用スペーサ1の第1の把持部2および第2の把持部3を乗り越える作業について説明する。作業者Pは、図中右方から左方へと宙乗機Gが移動する際に、進行方向の先頭側の走行車輪部Wを複導体用スペーサ1にできるだけ近づける。次いで、作業者Pは、送電線TL1、TL2で体重を支えて宙乗機Gにかかる重量をできるだけ小さくし、同図(B)に示すように、先頭側の走行車輪部Wで第1の把持部2および第2の把持部3を乗り越える。
【0050】
第1の把持部2および第2の把持部3のクランプ部51及び把持部蓋体6には、送電線TL1、TL2の外周面から、クランプ部51及び把持部蓋体6の外周面へと連なるテーパ部54、61が設けられているので、このテーパ部54、61は、走行車輪部Wが第1の把持部2および第2の把持部3の上を乗り越える際の傾斜路として機能する。したがって、宙乗機Gは、従来よりも格段に容易に第1の把持部2および第2の把持部3の上を乗り越えることが可能となる。また、テーパ部54、61は、第1の把持部2および第2の把持部3の両側に設けられているので、走行車輪部Wが第1の把持部2および第2の把持部3の上を乗り越えて送電線TL1、TL2の上に戻る際の衝撃も小さくなる。
(【0051】以降は省略されています)

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