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公開番号2019205306
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191128
出願番号2018100152
出願日20180525
発明の名称モータ装置およびモータ
出願人日本電産サンキョー株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類H02K 7/116 20060101AFI20191101BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】モータの出力部材が外部からの負荷によって回転することを抑制することのできるモータ装置、およびモータを提供すること。
【解決手段】モータ10は、ステータ21を含む固定体20、ステータ21と対向するロータ30、およびロータ30の回転が歯車伝達機構50を介して伝達されて軸線L周りに回転する出力部材40を備えたモータ10と、出力部材40の外周面に形成された溝41に係合して出力部材40に従動する従動部材90とを有している。従動部材90は、溝41での係合部分を介して出力部材40を軸線L周りの一方側に回転させる方向の負荷F1を出力部材40に印加する。モータ10には、出力部材40にブレーキ力を印加して、ステータ21への通電を停止した期間、従動部材90からの負荷F1による出力部材40の回転を阻止する付勢部材80が設けられている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ステータを含む固定体、前記ステータと対向するロータ、および前記ロータの回転が伝達されて軸線周りに回転する出力部材を備え、前記出力部材の外周面に溝が形成されたモータと、
前記溝に係合して前記出力部材に従動する従動部材と、
を有し、
前記従動部材は、前記溝での係合部分を介して前記出力部材を前記軸線周りの一方側に回転させる方向の負荷を前記出力部材に印加しており、
前記モータには、前記出力部材にブレーキ力を印加して、前記ステータへの通電を停止している期間、前記負荷による前記出力部材の前記軸線周りの一方側への回転を阻止する付勢部材が設けられていることを特徴とするモータ装置。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記モータは、前記ロータの回転を前記出力部材に伝達する歯車伝達機構を有していることを特徴とするモータ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータ装置において、
前記溝は、前記出力部材の外周面に螺旋状に形成されており、
前記従動部材は、前記溝との係合部分で前記出力部材に前記軸線方向の一方側に向かう負荷を印加することにより、前記出力部材を前記軸線周りの一方側に回転させる負荷を前記出力部材に印加していることを特徴とするモータ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のモータ装置において、
前記出力部材は、ウォームギアであり、
前記従動部材は、ヘリカルギアであることを特徴とするモータ装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載のモータ装置において、
前記固定体は、前記ステータから前記軸線方向に離間する位置で前記出力部材の先端部が前記軸線方向から当接する受け部を備え、
前記付勢部材は、前記出力部材の前記先端部を前記受け部に向けて付勢するバネ部材であることを特徴とするモータ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のモータ装置において、
前記従動部材が前記溝での係合部分を介して前記出力部材を前記軸線周りの一方側に回転させる方向のトルクをT0とし、前記出力部材の前記先端部と前記受け部との摺動半径をRとし、前記出力部材の前記先端部と前記受け部との間の摩擦係数をμとし、前記バネ部材によるバネ荷重をFとしたとき、トルクT0、摺動半径R、摩擦係数μ、およびバネ荷重Fは、下式
T0<R×μ×F
を満たすことを特徴とするモータ装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のモータ装置において、
前記バネ部材は、前記出力部材と前記固定体とが前記軸線方向で対向する部分に配置された圧縮コイルバネであることを特徴とするモータ装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載のモータ装置において、
前記バネ部材は、前記出力部材と前記固定体とが前記軸線方向で対向する部分に配置された板状バネであることを特徴とするモータ装置。
【請求項9】
請求項1から5までの何れか一項に記載のモータ装置において、
前記付勢部材は、前記出力部材の外周面に弾性をもって接するバネ部材であることを特徴とするモータ装置。
【請求項10】
請求項1から5までの何れか一項に記載のモータ装置において、
前記固定体は、前記軸線方向に延在する固定軸を備え、
前記出力部材は、前記固定軸が嵌る軸穴が形成された筒状部材であって、径方向内側に弾性変形可能な弾性部を備え、
前記付勢部材は、前記弾性部を前記固定軸に向けて弾性変形させて前記固定軸の外周面に接触させるトーションバネであることを特徴とするモータ装置。
【請求項11】
ステータを含む固定体と、
前記ステータと対向するロータと、
外周面に溝が形成され、前記ロータの回転が伝達されて軸線周りに回転する出力部材と、
前記出力部材の軸線周りの回転に抗するブレーキ力を前記出力部材に印加する付勢部材と、
を有することを特徴とするモータ。
【請求項12】
請求項11に記載のモータにおいて、
前記ロータの回転を前記出力部材に伝達する歯車伝達機構を有していることを特徴とするモータ。
【請求項13】
請求項11または12に記載のモータにおいて、
前記溝は、前記出力部材の外周面に螺旋状に形成されていることを特徴とするモータ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、モータによって駆動される従動部材に負荷が印加されたモータ装置、およびモータに関するものである。
続きを表示(約 11,000 文字)【背景技術】
【0002】
モータは、ステータを含む固定体と、ステータと対向するロータと、ロータの回転が伝達されて軸線周りに回転する出力部材とを備えており、出力部材の外周面には、螺旋溝等の溝が形成されている(特許文献1参照)。かかるモータを備えたモータ装置では、従動部材が出力部材の螺旋溝等の溝に係合して出力部材に従動する。
【0003】
一方、ステータへの通電を停止した際、ロータがディテントトルクによって停止予定位置からずれた位置に停止することを防止することを目的にロータの摺動負荷を増大させる付勢部材を配置した構造が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017−93104号公報
特開2014−212686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1等に記載のモータ装置において、従動部材あるいは従動部材に機構的に接続された被駆動部材の自重等の影響によって、従動部材が溝での係合部分を介して出力部材を軸線周りの一方側に回転させる方向の負荷を出力部材に印加することがある。また、特許文献1等に記載のモータ装置において、従動部材あるいは被駆動部材のガタつきの防止等を目的に従動部材や被駆動部材を付勢部材によって付勢する構造が採用されることがあり、このような場合にも、従動部材は、溝での係合部分を介して出力部材を軸線周りの一方側に回転させる方向の負荷を出力部材に印加する。
【0006】
このような場合、ステータへの通電を停止した際、出力部材は、従動部材からの負荷によって、軸線周りの一方側に回転するおそれがある。また、ロータの回転を出力部材に伝達する歯車伝達機構を設けると、従動部材から負荷を受けている方向と同一方向(軸線周りの一方側)に出力部材を駆動した際、互いに噛み合う2つ歯車では、ロータからの駆動力によって駆動側の歯車が回転する一方、従動側の歯車は、従動部材からの負荷によって回転するため、歯車間のバックラッシュの範囲で歯同士の接触が不安定になる。その結果、歯同士の接触に起因する異音が発生するという問題点がある。
【0007】
なお、特許文献2には、ロータの摺動負荷を増大させる技術が開示されているが、かかる技術は、ロータがディテントトルクによって停止予定位置からずれた位置に停止することを防止することを目的にしているため、出力部材が従動部材からの負荷によって軸線周りに回転することを防止できるとは限らない。また、ロータと出力部材との間に歯車伝達機構が設けられていないため、出力部材が従動部材からの負荷によって軸線周りに回転することに起因する歯同士の接触に起因する異音については発生を防止することが困難である。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、出力部材が外部からの負荷によって回転することを抑制することのできるモータ装置、およびモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るモータ装置は、ステータを含む固定体、前記ステータと対向するロータ、および前記ロータの回転が伝達されて軸線周りに回転する出力部材を備え、前記出力部材の外周面に溝が形成されたモータと、前記溝に係合して前記出力部材に従動する従動部材と、を有し、前記従動部材は、前記溝での係合部分を介して前記出力部材を前記軸線周りの一方側に回転させる方向の負荷を前記出力部材に印加しており、前記モータには、前記出力部材にブレーキ力を印加して、前記ステータへの通電を停止している期間、前記負荷による前記出力部材の前記軸線周りの一方側への回転を阻止する付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明において、ロータが回転すると、出力部材は軸線周りに回転し、出力部材の溝に係合する従動部材が出力部材に従動する。ここで、従動部材は、溝での係合部分を介して出力部材を軸線周りの一方側に回転させる方向の負荷を出力部材に印加しているが、モータには、従動部材からの負荷に抗するブレーキ力を出力部材に印加する付勢部材が設けられている。このため、ステータに対する通電を停止した際、付勢部材によるブレーキ力は、従動部材からの負荷による出力部材の軸線周りの一方側への回転を阻止するので、出力部材が軸線周りの一方側にずれない。従って、ステータへの通電を再開して従動部材を駆動した際、従動部材の位置にずれが発生しにくい。
【0011】
本発明において、前記モータは、前記ロータの回転を前記出力部材に伝達する歯車伝達機構を有している態様を採用することができる。かかる態様の場合には、出力部材を従動部材からの負荷と同一方向(軸線周りの一方側)に回転駆動した際、互いに噛み合う2つ歯車において、ロータからの駆動力によって駆動側の歯車が回転する一方、従動側の歯車は、従動部材からの負荷によって回転しようとするため、歯車間のバックラッシュの範囲で歯同士の接触が不安定になるという問題があるが、本発明によれば、かかる問題が発生しにくい。
【0012】
本発明において、前記溝は、前記出力部材の外周面に螺旋状に形成されており、前記従動部材は、前記溝との係合部分で前記出力部材に前記軸線方向の一方側に向かう負荷を印加することにより、前記出力部材を前記軸線周りの一方側に回転させる負荷を前記出力部材に印加している態様を採用することができる。本発明において、前記出力部材は、ウォームギアであり、前記従動部材は、ヘリカルギアである態様を採用することができる。また、本発明は、出力部材が送りねじであって、従動部材が、送りねじと係合するナットやスライダである場合に適用してもよい。
【0013】
本発明において、前記固定体は、前記ステータから前記軸線方向に離間する位置で前記出力部材の先端部が前記軸線方向から当接する受け部を備え、前記付勢部材は、前記出力部材の前記先端部を前記受け部に向けて付勢するバネ部材である態様を採用することができる。
【0014】
この場合、前記従動部材が前記溝での係合部分を介して前記出力部材を前記軸線周りの一方側に回転させる方向のトルクをT0とし、前記出力部材の前記先端部と前記受け部との摺動半径をRとし、前記出力部材の前記先端部と前記受け部との間の摩擦係数をμとし、前記バネ部材によるバネ荷重をFとしたとき、トルクT0、摺動半径R、摩擦係数μ、およびバネ荷重Fは、下式
T0<R×μ×F
を満たす態様を採用することができる。
【0015】
本発明において、前記バネ部材は、前記出力部材と前記固定体とが前記軸線方向で対向
する部分に配置された圧縮コイルバネである態様を採用することができる。
【0016】
本発明において、前記バネ部材は、前記出力部材と前記固定体とが前記軸線方向で対向する部分に配置された板状バネである態様を採用してもよい。
【0017】
本発明において、前記付勢部材は、前記出力部材の外周面に弾性をもって接するバネ部材である態様を採用することができる。
【0018】
本発明において、前記固定体は、前記軸線方向に延在する固定軸を備え、前記出力部材は、前記固定軸が嵌る軸穴が形成された筒状部材であって、径方向内側に弾性変形可能な弾性部を備え、前記付勢部材は、前記弾性部を前記固定軸に向けて弾性変形させて前記固定軸の外周面に接触させるトーションバネである態様を採用することができる。
【0019】
本発明に係るモータは、ステータを含む固定体と、前記ステータと対向するロータと、外周面に溝が形成され、前記ロータの回転が伝達されて軸線周りに回転する出力部材と、前記出力部材の軸線周りの回転に抗するブレーキ力を前記出力部材に印加する付勢部材と、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明に係るモータにおいて、ロータが回転すると、出力部材は軸線周りに回転し、出力部材の溝に係合する従動部材が出力部材に従動する。ここで、従動部材が、溝での係合部分を介して出力部材を軸線周りの一方側に回転させる方向の負荷を出力部材に印加する場合でも、モータには、従動部材からの負荷に抗するブレーキ力を出力部材に印加する付勢部材が設けられている。このため、ステータに対する通電を停止した際、付勢部材によるブレーキ力は、従動部材からの負荷による出力部材の軸線周りの一方側への回転を阻止するので、出力部材が軸線周りの一方側にずれない。従って、ステータへの通電を再開して従動部材を駆動した際、従動部材の位置にずれが発生してしにくい。
【0021】
本発明に係るモータにおいて、前記ロータの回転を前記出力部材に伝達する歯車伝達機構を有している態様を採用することができる。かかる態様の場合には特に、ステータに対する通電を停止した際に出力部材が軸線周りの一方側に回転すると、歯車伝達機構の歯車間のバックラッシュの範囲で歯同士の接触が不安定になって、ステータへの通電を再開して従動部材を駆動した際、駆動方向によっては、歯同士の接触に起因する異音が発生しやすいが、本発明によれば、かかる異音の発生を抑制することができる。
【0022】
本発明に係るモータにおいて、前記溝は、前記出力部材の外周面に螺旋状に形成されている態様を採用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明において、ロータが回転すると、出力部材は軸線周りに回転し、出力部材の溝に係合する従動部材が出力部材に従動する。ここで、従動部材は、溝での係合部分を介して出力部材を軸線周りの一方側に回転させる方向の負荷を出力部材に印加しているが、モータには、従動部材からの負荷に抗するブレーキ力を出力部材に印加する付勢部材が設けられている。このため、ステータに対する通電を停止した際、付勢部材によるブレーキ力は、従動部材からの負荷による出力部材の軸線周りの一方側への回転を阻止するので、出力部材が軸線周りの一方側にずれない。従って、ステータへの通電を再開して従動部材を駆動した際、従動部材の位置にずれが発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の実施形態1に係るモータ装置の斜視図である。
図1に示すモータ装置の側面図である。
図1に示すモータの斜視図である。
本発明の実施形態2に係るモータ装置の説明図である。
本発明の実施形態3に係るモータ装置の説明図である。
本発明の実施形態4に係るモータ装置の説明図である。
図6に示す出力部材、付勢部材、および固定軸を離間させたときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して、本発明を適用したモータの一例を説明する。
【0026】
[実施形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態1に係るモータ装置1の斜視図である。図2は、図1に示すモータ装置1の側面図である。図3は、図1に示すモータ10の斜視図であり、出力部材40を省略して示してある。
【0027】
図1、図2および図3に示すモータ装置1は、モータ10と、モータ10によって駆動される従動部材90とを有しており、従動部材90は、被駆動部材(図示せず)に機構的に連結されている。モータ10は、ステータ21を含む固定体20と、ステータ21と対向するロータ30(図2参照)と、ロータ30の回転が伝達されて軸線L周りに回転する出力部材40とを備えており、本形態において、ステータ21およびロータ30はステッピングモータを構成している。
【0028】
(固定体20の構成)
固定体20は、ステータ21の出力側Laの端面211に固定されたフレーム23と、固定軸25と、出力部材40の根元部分を覆うようにフレーム23に固定されたカバー27とを有している。フレーム23は、ステータ21の出力側Laの端面211に溶接等により固定された板状の固定部231と、ステータ21に対して軸線L方向の出力側Laに離間する位置で固定部231に対向する板状の受け部233と、受け部233と固定部231とを繋ぐ板状の連結部235とを有している。フレーム23は金属製である。
【0029】
固定部231と受け部233との間には、固定部231および受け部233に両端が各々、固定された固定軸25が配置されており、固定軸25は、軸線Lと同軸状に延在している。
【0030】
カバー27は、固定部231および連結部235にフック等により固定された第1カバー部材271と、第1カバー部材271に対して連結部235とは反対側に配置された第2カバー部材273とを有しており、第2カバー部材273は、固定部231にフック等により固定されている。
【0031】
(出力部材40の構成)
出力部材40は、固定軸25が嵌る軸穴(図示せず)が形成された筒状部材であり、固定軸25によって回転可能に支持されている。従って、固定軸25の中心軸線が出力部材40の回転中心軸線(軸線L)である。本形態において、出力部材40は樹脂製である。
【0032】
出力部材40の外周面には溝41が形成されている。本形態において、溝41は螺旋状に形成されており、出力部材40は、ウォームギアである。出力部材40の外周面には、溝41が形成されている部分に対して軸線L方向の反出力側Lbに離間する位置に歯車42が形成されている。
【0033】
(歯車伝達機構50の構成)
本形態において、モータ10は、カバー27の内側に、ロータ30の回転を出力部材40に伝達する歯車伝達機構50を備えたギアードモータである。歯車伝達機構50は、ロータピニオン31と噛み合う複合歯車51を有しており、複合歯車51は支軸53に回転可能に支持されている。支軸53は、フレーム23の固定部231、および第1カバー部材271に両端が各々、固定されている。複合歯車51は、ロータピニオン31と噛み合う大径歯車511と、出力部材40の歯車42と噛み合う小径歯車513とが同軸状に一体に形成されている。ここで、大径歯車511はロータピニオン31より大径であり、小径歯車513は出力部材40の歯車42より小径である。従って、歯車伝達機構50は、ロータ30の回転をロータピニオン31、複合歯車51および歯車42を介して出力部材40に減速して伝達する減速歯車機構として構成されている。
【0034】
(従動部材90の構成)
従動部材90は、軸線Lに対して直交する軸線L0を中心に可能な扇形のヘリカルギアであり、円弧状の外周面には、出力部材40の螺旋状の溝41と係合する斜歯91が形成されている。従って、ステータ21に通電した際、ロータ30が回転し、出力部材40が軸線Lを中心に時計周りCW1に回転すると、従動部材90は、軸線L0を中心に反時計周りCCW2に回転する。これに対して、出力部材40が軸線Lを中心に反時計周りCCW1に回転すると、従動部材90は、軸線L0を中心に時計周りCW2に回転する。
【0035】
(従動部材90からの負荷対策)
このように構成したモータ装置1において、従動部材90は、従動部材90や被駆動部材(図示せず)の自重等の影響によって、従動部材90が出力部材40の溝41での係合部分を介して出力部材40を軸線L周りの一方側に回転させる方向の負荷を出力部材40に印加する。また、モータ装置1では、従動部材90や被駆動部材(図示せず)のガタつきの防止等を目的に、従動部材90や被駆動部材を付勢部材によって付勢する構造が採用されることがあり、この場合も、従動部材90は、出力部材40の溝41での係合部分を介して出力部材40を軸線L周りの一方側に回転させる方向の負荷を出力部材40に印加する。
【0036】
本形態において、従動部材90には、従動部材90の回転中心軸線である軸線L0を中心に反時計周りCCW2に回転させる荷重が加わっている。従って、従動部材90は、出力部材40の溝41との係合部分において、出力部材40に軸線L方向の一方側(出力側La)に向かう負荷F2を印加している。ここで、溝41のリード角は、溝41の内面と従動部材90の斜歯91との接触部分での摩擦角より大きい。従って、従動部材90は、出力部材40を軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向)に回転させる負荷F1を出力部材40に印加している。
【0037】
本形態のモータ装置1において、モータ10には、従動部材90からの負荷F1に抗するブレーキ力を出力部材40に印加する付勢部材80(図2および図3参照)が設けられている。本形態において、付勢部材80は、出力部材40の先端部45をフレーム23の受け部233に向けて付勢するバネ部材81であり、本形態において、バネ部材81は、出力部材40と固定体20とが軸線L方向で対向する部分に配置された圧縮コイルバネ86である。
【0038】
より具体的には、出力部材40において、反出力側Lbの端部は、歯車42より小径の円筒部46になっており、円筒部46の周りに圧縮コイルバネ86が配置されている。このため、圧縮コイルバネ86は、出力部材40において歯車42を構成する部分と、フレーム23の固定部231との間で圧縮された状態に配置されており、出力部材40をフレーム23の受け部233に向けて付勢している。従って、出力部材40と受け部233と
の間の摺動抵抗を増大させることができる。それ故、付勢部材80は、出力部材40の軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向)への回転、および出力部材40の軸線L周りの他方側(反時計周りCCWの方向)への回転に対するブレーキ力を出力部材40に常時印加する。よって、付勢部材80は、従動部材90からの負荷F1に抗するブレーキ力を出力部材40に印加する。
【0039】
ここで、従動部材90が出力部材40の溝41での係合部分を介して出力部材40を軸線L周りの一方側に回転させる方向のトルクをT0とし、出力部材40の先端部45と受け部233との摺動半径をRとし、出力部材40の先端部45と受け部233との間の摩擦係数をμとし、バネ部材81(圧縮コイルバネ86)によるバネ荷重をFとしたとき、トルクT0、摺動半径R、摩擦係数μ、およびバネ荷重Fは、下式
T0<R×μ×F
を満たしている。従って、出力部材40は、ステータ21への通電が停止した際でも、付勢部材80によるブレーキ力により、従動部材90からの負荷F1が原因で軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向)に回転することが阻止される。
【0040】
本形態では、圧縮コイルバネ86の端部と出力部材40において歯車42を構成する部分との間にはワッシャ87が配置されているため、出力部材40と圧縮コイルバネ86との間に余計な抵抗が発生しないようになっている。
【0041】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、従動部材90が、出力部材40の溝41での係合部分を介して出力部材40を軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向)に回転させる方向の負荷F1を出力部材40に印加しているが、モータ10には、従動部材90からの負荷F1に抗するブレーキ力を出力部材40に印加する付勢部材80が設けられている。このため、ステータ21に対する通電を停止した際、付勢部材80によるブレーキ力は、従動部材90からの負荷F1による出力部材40の軸線L周りの一方側への回転を阻止するので、出力部材40が軸線L周りの一方側にずれない。従って、ステータ21への通電を再開して従動部材90を駆動した際、従動部材90の位置にずれが発生してしにくい。
【0042】
また、本形態では、ロータ30の回転を出力部材40に伝達する歯車伝達機構50が設けられている。付勢部材80を設けない構造では、出力部材40を、従動部材90から負荷F1を受けている方向と同一方向(軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向))に駆動した際、互いに噛み合う2つ歯車において、ロータ30からの駆動力によって駆動側の歯車が回転する一方、従動側の歯車は、従動部材90からの負荷F1によって回転するため、歯車間のバックラッシュの範囲で歯同士の接触が不安定になるという問題があるが、本実施形態では、従動部材90から負荷F1の影響を出力部材40に印加したブレーキ力によって抑制することができる。従って、本実施形態では、歯車間のバックラッシュの範囲で歯同士の接触が不安定になるという事態が発生しにくいので、歯同士が接触した際の異音が発生しにくい。なお、出力部材40を、従動部材90から負荷F1を受けている方向と逆方向(軸線L周りの他方側(反時計周りCCWの方向))に駆動した際には、従動部材90から負荷F1は、互いに噛み合う2つ歯車において、噛み合う歯同士が当接し合う片寄状態とする方向に作用するので、従動部材90から負荷F1によって歯車間のバックラッシュの範囲で歯同士の接触が不安定になるという事態は発生しない。
【0043】
[実施形態2]
図4は、本発明の実施形態2に係るモータ装置1の説明図であり、出力部材40とフレーム23の固定部231との間を拡大して示す説明図である。なお、本形態および後述する実施形態の基本的な構成は、実施形態1と同様であり、付勢部材80の構成等が相違するのみである。従って、以下の説明では、共通する部分には同一の符号を付して図示し、
それらの説明を省略する。
【0044】
図4に示すように、本形態のモータ装置1でも、実施形態1と同様、モータ10には、図2に示す従動部材90からの負荷F1に抗するブレーキ力を出力部材40に印加する付勢部材80が設けられている。本形態において、付勢部材80は、図2を参照して説明したように、出力部材40の先端部45をフレーム23の受け部233に向けて付勢するバネ部材81である。このため、出力部材40と受け部233との間の摺動抵抗を増大させることができる。従って、付勢部材80は、実施形態1と同様、出力部材40の軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向)への回転、および出力部材40の軸線L周りの他方側(反時計周りCCWの方向)への回転に対するブレーキ力を出力部材40に常時印加する。それ故、出力部材40は、ステータ21への通電が停止した際でも、付勢部材80によるブレーキ力により、従動部材90からの負荷F1が原因で軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向)に回転することが阻止される。
【0045】
本形態では、図4に示すように、バネ部材81として、出力部材40と固定体20とが軸線L方向で対向する部分に配置された板状バネ88である。より具体的には、出力部材40の円筒部46の端部とフレーム23の固定部231との間には、波状に湾曲した円環状の板状バネ88が圧縮された状態に配置されており、板状バネ88は、出力部材40を軸線L方向の出力側Laに付勢している。
[実施形態3]
図5は、本発明の実施形態3に係るモータ装置1の説明図であり、出力部材40とフレーム23の固定部231との間を拡大して示す説明図である。図5に示すように、本形態のモータ装置1でも、実施形態1と同様、モータ10には、図2に示す従動部材90からの負荷F1に抗するブレーキ力を出力部材40に印加する付勢部材80が設けられている。本形態において、付勢部材80は、出力部材40の外周面に弾性をもって接するバネ部材82である。より具体的には、バネ部材82は、フレーム23の固定部231に固定された板部821と、板部821から出力部材40の円筒部46の外周面に当接するように延在するバネ部822とを有しており、バネ部822は、出力部材40を径方向内側に向けて付勢して、出力部材40を固定軸25に向けて押圧している。
【0046】
このため、本形態では、バネ部材82と出力部材40の円筒部46との間に摺動抵抗が発生する。また、バネ部822は、出力部材40を固定軸25に向けて付勢しているため、バネ部材82は、出力部材40と固定軸25との間の摺動抵抗を増大させる。従って、付勢部材80は、実施形態1と同様、出力部材40の軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向)への回転、および出力部材40の軸線L周りの他方側(反時計周りCCWの方向)への回転に対するブレーキ力を出力部材40に常時印加する。それ故、出力部材40は、ステータ21への通電が停止した際でも、付勢部材80によるブレーキ力により、従動部材90からの負荷F1が原因で軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向)に回転することが阻止される。
【0047】
[実施形態4]
図6は、本発明の実施形態4に係るモータ装置1の説明図であり、出力部材40とフレーム23の固定部231との間を拡大して示す説明図である。図7は、図6に示す出力部材40、付勢部材80、および固定軸25を離間させたときの斜視図である。
【0048】
図6に示すように、本形態のモータ装置1でも、実施形態1と同様、モータ10には、図2に示す従動部材90からの負荷に抗するブレーキ力を出力部材40に印加する付勢部材80が設けられている。本形態において、付勢部材80は、出力部材40の外周面に弾性をもって接するバネ部材83である。
【0049】
より具体的には、出力部材40の円筒部46には、軸線L方向に延在するスリット460が形成されており、スリット460に周方向で挟まれた個所は、径方向内側に弾性変形可能な弾性部461になっている。また、弾性部461の外周面には、軸線L方向に延在する凸部462が形成されている。本形態において、弾性部461は、周方向の2箇所に形成されている。バネ部材83は、円筒部46の周りに装着されたトーションバネであり、バネ部材83(トーションバネ)は、凸部462を介して弾性部461を径方向内側に変形させ、弾性部461を固定軸25に向けて押圧している。このため、バネ部材83は、出力部材40と固定軸25との間の摺動抵抗を増大させる。従って、付勢部材80は、実施形態1と同様、出力部材40の軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向)への回転、および出力部材40の軸線L周りの他方側(反時計周りCCWの方向)への回転に対するブレーキ力を出力部材40に常時印加する。それ故、ステータ21への通電が停止した際でも、出力部材40が従動部材90からの負荷F1が原因で軸線L周りの一方側(時計周りCWの方向)に回転することが阻止される。
【0050】
(その他の実施の形態)
上記実施形態では、出力部材40がウォームギアで、従動部材90がヘリカルギアであったが、出力部材40が送りねじで、従動部材90が送りねじによって軸線Lに沿って移動するナットやスライダである場合に本発明を適用してもよい。また、出力部材40がピニオンで、従動部材90がラックである場合に本発明を適用してもよい。また、出力部材40および従動部材90が各々、平歯車である場合に本発明を適用してもよい。
(【0051】以降は省略されています)

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