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公開番号2019197842
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191114
出願番号2018091830
出願日20180511
発明の名称パワーモジュール、電力変換装置、およびパワーモジュールの製造方法
出願人三菱電機株式会社
代理人個人,個人全 4 件を表示,個人,個人
主分類H01L 23/28 20060101AFI20191018BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】封止樹脂の注入性を向上させることによりボイドレスを実現し、信頼性の高いパワーモジュール、電力変換装置、およびパワーモジュールの製造方法を得ることを目的とする。
【解決手段】セラミック基板10上に配置されたパワー半導体素子21、22と、パワー半導体素子21とパワー半導体素子22、パワー半導体素子21とネジ止め電極621の内部パッド62a、またはセラミック基板10とネジ止め電極622の内部パッド62bを接続するための2以上の接続部を有する板状のソース電極板611およびドレイン電極板612と、ソース電極板611とドレイン電極板612の隣り合う接続部間の中央部分に、裏面側に凸型で傾斜が設けられセラミック基板10に対して短手方向に棒状で設けられた樹脂成形部601、602と、接続部の周辺を封止する封止樹脂部7とを備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
基板上に配置された半導体素子と、
前記半導体素子同士、前記半導体素子と外部端子、または前記基板と前記外部端子を接続するための2以上の接続部を有する板状の電極板と、
前記電極板の隣り合う前記接続部間の前記基板面側に、凸型で傾斜が設けられた樹脂成形部と、
前記接続部の周辺を封止する封止樹脂部と、
を備えたことを特徴とするパワーモジュール。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
前記樹脂成形部は、前記基板に対して垂直方向の断面が、前記基板面側に凸型のV字型またはU字型であることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記樹脂成形部は、前記半導体素子の主電極の前記電極板と、前記半導体素子の信号電極の前記電極板とに用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記樹脂成形部は、前記基板に対して短手方向に棒状に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記樹脂成形部は、複数の前記電極板を連接することを特徴とする請求項4に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記樹脂成形部は、前記基板に固定されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記基板に固定され、前記封止樹脂部を囲うケースをさらに備え、前記樹脂成形部は、前記ケースに固定されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のパワーモジュールを有し、入力される電力を変換して出力する主変換回路と、
前記主変換回路を制御する制御信号を前記主変換回路に出力する制御回路と
を備えた電力変換装置。
【請求項9】
基板の上に半導体素子を搭載する工程と、
板状の電極板の接続部間の前記基板面側に、凸型で傾斜が設けられた樹脂成形部を形成し、前記半導体素子に前記電極板を接続する工程と、
前記半導体素子と前記電極板の接続部を封止する封止樹脂部を形成する工程とを含むことを特徴とするパワーモジュールの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本願は、実装基板が封止樹脂により封止されるパワーモジュール、電力変換装置、およびパワーモジュールの製造方法に関する。
続きを表示(約 12,000 文字)【背景技術】
【0002】
パワーモジュールの絶縁封止として、金型が不要で高耐熱エポキシ封止が可能なダイレクトポッティング(Direct Potting、以下DPと称する)封止技術が普及しつつある。一般的なシリコーンゲル封止材に比較して粘度が高いため、狭間隙への注入が難しく、絶縁特性および長期信頼性に影響するボイドが抜けにくいという問題を有する。
【0003】
高信頼性を実現する電極板を直接パワー半導体素子に接続する構造のモジュールの場合、電極板の銅と、セラミック基板およびパワー半導体素子との膨張係数差による熱応力によって信頼性が損なわれる懸念があるため、接合部の厚さを確保してひずみを低減する必要があった。また、電極板が広い面積を有し、半導体素子が搭載された絶縁基板と平行平板構造となっているために狭間隙では特にボイドが抜けにくい。その対策として真空中での注入装置などが用いられているが、装置が大掛かりで、減圧および樹脂の広がりに時間を要するなど生産性の面で課題を残している。
【0004】
これに対して、特許文献1においては、半導体素子との接合面よりも高い位置に段差を設けて間隙を大きくし、さらに開口部を形成することでDP樹脂の注入性を改善し、ボイドの形成を抑制しようとするものである。また、特許文献2においては、ケースの側壁と実装基板の端部との間の樹脂充填スペースに傾斜部を設置し、この傾斜部を介してケース内へDP樹脂を充填しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2006−202885号公報(段落0015〜0020、図1)
特開2011−211107号公報(段落0012〜0016、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来技術を用いても、平行平板間に一旦閉じ込められた空気は動きにくく、間隙を大きくしたり開口部があっても空気が残り、十分にはボイドを抜くことができないという問題があった。
【0007】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、封止樹脂の注入性を向上させることによりボイドレスを実現し、信頼性の高いパワーモジュール、電力変換装置、およびパワーモジュールの製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に開示されるパワーモジュールは、基板上に配置された半導体素子と、前記半導体素子同士、前記半導体素子と外部端子、または前記基板と前記外部端子を接続するための2以上の接続部を有する板状の電極板と、前記電極板の隣り合う前記接続部間の前記基板面側に、凸型で傾斜が設けられた樹脂成形部と、前記接続部の周辺を封止する封止樹脂部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本願に開示されるパワーモジュールの製造方法は、基板の上に半導体素子を搭載する工程と、板状の電極板の接続部間の前記基板面側に、凸型で傾斜が設けられた樹脂成形部を形成し、前記半導体素子に前記電極板を接続する工程と、前記半導体素子と前記電極板の接続部を封止する封止樹脂部を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願によれば、板状の電極板の接続間の中央裏面に、凸型で傾斜が設けられた樹脂成形部を備えたので、封止樹脂の注入性を向上させることによりボイドレスを実現し、信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
実施の形態1によるパワーモジュールの構成を示す斜視図である。
実施の形態1によるパワーモジュールの構成を示す断面図である。
実施の形態1によるパワーモジュールの製造方法を示す断面図である。
実施の形態1によるパワーモジュールの製造方法を示す斜視図である。
実施の形態1によるパワーモジュールの他の製造方法を示す断面図である。
実施の形態1によるパワーモジュールの他の構成を示す断面図である。
実施の形態1によるパワーモジュールの他の構成を示す断面図である。
実施の形態1によるパワーモジュールの他の構成を示す断面図である。
実施の形態2によるパワーモジュールの構成を示す斜視図である。
実施の形態2によるパワーモジュールの構成を示す断面図である。
実施の形態2によるパワーモジュールの製造方法を示す斜視図である。
実施の形態3による電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパワーモジュール101の構成を示す斜視図でり、図2は、図1のAA矢視断面図である。図1および図2に示すように、パワーモジュール101は、絶縁基板であるセラミック基板10と、セラミック基板10に配置されるパワー半導体素子21、22と、パワー半導体素子21、22の電極に電気的に接続される主端子としてのソース電極板611と、セラミック基板10の銅導体層13に電気的に接続される主端子としてのドレイン電極板612と、パワー半導体素子22とワイヤ4を介して電気的に接続する信号端子630と、これらパワー半導体素子21、22とその接続する部分の周辺を封止する封止樹脂部7とから構成される。
【0013】
セラミック基板10は、AlN製のセラミック基材11(40mm×25mm×厚さ0.635mm)の両面に、銅導体層12、13(パターン厚さ0.4mm)が設けられている。セラミック基板10の表面には、銅導体層13上に、パワー半導体素子21、22が配置されている。
【0014】
パワー半導体素子21、22としては、それぞれダイオード21(Diode、15mm×15mm×厚さ0.3mm)と、IGBT22(Insulated Gate Bipolar Transistor、15mm×15mm×厚さ0.3mm)が、はんだダイボンド3によりセラミック基板10の表面の銅導体層13上に接合されている。
【0015】
ソース電極板611とドレイン電極板612は、それぞれ銅製の板状電極(厚さ0.3mm、ソース電極板:幅8mm、ドレイン電極板:幅4mm)であり、インサートモールド工法により形成された、樹脂成形部601で連接され、樹脂成形部601によりケース5に固定されている。ソース電極板611は、ダイオード21とIGBT22との間にも、樹脂成形部602が形成され、樹脂成形部602によりケース5に固定されている。ソース電極板611は、一端がダイオード21およびIGBT22のパワー半導体素子の大電流が流れる電極であるソース電極211、221と、はんだ接合部32a、32bによって電気的に接続され、他端が外部端子としてのケース5外周部に形成されている銅製のネジ止め電極621(厚さ0.8mm、幅5mm)にはんだ接合部33aにより電気的に接続されている。一方、ドレイン電極板612は、一端がセラミック基板10の銅導体層13とはんだ接合部により電気的に接続され、他端がネジ止め電極622にはんだ接合部により電気的に接続されている。ケース5に形成された信号端子630(631、632、633)は、信号端子630(631、632、633)の内部パッド63(63a、63b、63c)と、IGBT22のゲート電極222a、222bおよび温度センサー電極222cとが、アルミ製のワイヤ(φ0.15mm)4でそれぞれ電気的に接続されている。
【0016】
ケース5は、PPS(Poly Phenylene Sulfide)樹脂製(48mm×28mm×高さ12mm)で、枠状に形成されており、シリコーン製の接着剤8を用いてセラミック基板10の縁部に固定されている。ケース5は、封止樹脂部7を囲い、接着剤8は、ケース5とセラミック基板10との間の隙間を埋めることで、ダイレクトポッティングを用いて封止樹脂部7を形成する際の樹脂の漏れを防止している。
【0017】
樹脂成形部601、602は、PPS樹脂製であり、矩形のセラミック基板10に対して長手方向の垂直断面が、セラミック基板面側に凸型のV字型に傾斜が形成されている。樹脂成形部601は、ネジ止め電極621の内部パッド62aとダイオード21を跨ぐソース電極板611の中央部分に、およびネジ止め電極622の内部パッド62bとセラミック基板10上の銅導体層13とを跨ぐドレイン電極板612の中央部分を連接するように、セラミック基板10の短手方向に棒状で設けられている。また、樹脂成形部602は、ダイオード21とIGBT22とを跨ぐソース電極板611の中央部分に、セラミック基板10の短手方向に棒状で設けられている。樹脂成形部601、602のそれぞれの両端601a、601b、および602a、602bは、矩形のケース5の長手方向の側面上部に設けられた凹部51a、51b、および52a、52bにそれぞれはめ込み、固定され、ソース電極板611とドレイン電極板612は、位置決めされる。なお、樹脂成形部601、602は、セラミック基板面側に凸型のV字型としたが、これに限るものではない。セラミック基板面側に凸型に傾斜が形成されていればよく、例えばセラミック基板面側に凸型のU字型でもよい。また、セラミック基板10に対して長手方向の垂直断面をセラミック基板面側に凸型のV字型としたが、これに限るものではない。例えば、セラミック基板10に対して短手方向の垂直断面をセラミック基板面側に凸型のV字型としてもよい。
【0018】
実施の形態1のパワーモジュール101においては、樹脂成形部601、602の底面が凸型のV字断面を有することで、セラミック基板10との間の空間は、短手方向の端部に向かうほど厚さが大きくなる構造となる。そのため、樹脂成形部601、602では、製造の際に下面に入り込んだ気泡は、その場にとどまることなく端部に向かって移動し、樹脂成形部601、602の外部に排出されて液面から外部に解放されることになる。また、樹脂成形部601、602は、ケース5に対して位置決めすることでソース電極板611およびドレイン電極板612と、セラミック基板10およびパワー半導体素子(ダイオード21、IGBT22)との間隔を一定の距離に保持することで、熱応力の軽減を図り、封止樹脂の注入性を向上させることができる。
【0019】
次に、実施の形態1によるパワーモジュール101の製造方法について、図3に基づき説明する。図3(a)から図3(c)は、実施の形態1によるパワーモジュール101の製造工程を示す断面図である。
【0020】
まず、図3(a)に示すように、セラミック基板10に対して、板状のはんだ31a、31bを用いて、それぞれダイオード21およびIGBT22と重ねて位置決め搭載し、リフロー炉を用いてはんだ31a、31bを加熱溶融させて、はんだダイボンディングを行う。
【0021】
続いて、図3(b)に示すように、ケース5の内周部にシリコーン製の接着剤8を塗布し、セラミック基板10を位置決め搭載し、50℃〜150℃のオーブンで30分加熱して接着剤8を硬化させる。
【0022】
次いで、図3(c)に示すように、ダイオード21とIGBT22のそれぞれのソース電極211、221および銅導体層13の図示しないドレイン電極板612を接続する位置に、それぞれクリーム状のはんだ32a、32b、32cをディスペンス供給し、ネジ止め電極621、622の内部パッド62a、62bにクリーム状のはんだ33a、33bをディスペンス供給する。
【0023】
図4は、図3(c)に対応する斜視図であるが、はんだ32a、32b、32c、33a、33bをディスペンス供給した後、ソース電極板611とドレイン電極板612に設けられた、樹脂成形部601、602の両端601a、601b、および602a、602bをそれぞれ、図4に示すケース5の凹部51a、51b、および52a、52bにはめ込むことで位置決めして、ダイオード21およびIGBT22のそれぞれのソース電極211、221と、ネジ止め電極621、622の内部パッド62a、62bに搭載し、はんだを加熱溶融させることで、ダイオード21およびIGBT22とネジ止め電極621、およびセラミック基板10上の銅導体層13とネジ止め電極622とを電気的に接続して回路を形成する。
【0024】
最後に、ワイヤ4(4a、4b、4c)を用いてIGBT22のゲート電極222a、222bおよび温度センサー電極222cと、ケース5の信号端子630(631、632、633)の内部パッド63(63a、63b、63c)をワイヤボンドによってそれぞれ接続する。その後、ダイレクトポッティング封止樹脂を40℃〜90℃に加熱した状態で流し込み、真空脱泡して加熱(50℃〜200℃に所定の時間保持)して硬化させて封止樹脂部7を形成し、図2に示すパワーモジュール101が完成する。
【0025】
封止に用いるダイレクトポッティング封止樹脂(粘度:5Pa・S〜30Pa・S)は、シリコーンゲル(粘度:0.2Pa・S〜2Pa・S)に比較して粘度が高いため、空気を噛みこみやすく、抜けにくいという特徴がある。ソース電極板およびドレイン電極板の下面に取り込まれた気泡は、重力の影響(浮力)によって液面に浮上しようとするが、ソース電極板およびドレイン電極板が平板である場合、ソース電極板およびドレイン電極板の下面にとどまる可能性が懸念される。
【0026】
これに対し、実施の形態1のパワーモジュール101においては、樹脂成形部601、602の底面が凸型のV字断面を有することで、セラミック基板10との間の空間は、樹脂成形部601、602の短手方向の端部に向かうほど封止樹脂部分の厚さが大きくなる構造となる。そのため、樹脂成形部601、602では、製造の際に下面に入り込んだ気泡は、その場にとどまることなく端部に向かって移動し、樹脂成形部601、602の外部に排出されて液面から外部に解放されることになる。さらに、ダイレクトポッティング封止樹脂は高温になるほど粘度が下がる傾向を有するため、注入後にプレート型のヒータまたはオーブンを用いて加熱することで気泡が動きやすくなり、抜けやすくなる効果が得られる。また、例えば、ケース5に電動式のバイブレータ上に置いた状態で振動および衝撃を与えたりすることでも気泡の動きを活発にしたり、真空デシケータ中に投入して減圧によって気泡の体積が増大することによって、よりダイレクトポッティング封止樹脂の厚さが大きい方へ移動しやすくすることにより、気泡はさらに抜けやすくなる。
【0027】
なお、実施の形態1では、複数の電極板をインサートモールド工法で樹脂成形部601、602を形成するが、これに限るものではない。図5に示すように絶縁性の接着剤691、692で形成するなどして、樹脂成形部601、602を構成しても同様の効果が得られる。
【0028】
また、樹脂成形部601、602の一部(端部)を、ケース5の凹部51a、51b、および52a、52bに対してはめ込み、固定したがこれに限るものではない。図6に示すように、樹脂成形部601、602の一部を、セラミック基板10の銅導体層13のパターンにはめ込んだりして、セラミック基板10に固定することにより、ソース電極板611およびドレイン電極板612は、ダイオード21、IGBT22、およびセラミック基板10に対して一定の間隔を保持することが可能となり、ダイオード21とIGBT22の表面電極へのソース電極板611の接触によるダメージを解消し、位置ズレおよび傾きの発生が抑制され、供給したはんだ32、33の量が一定であればはみ出しおよびオープン不良にはなりにくく、封止樹脂も注入されやすくなる。なお、この場合、セラミック基板10の長手方向の垂直断面が、セラミック基板面側に凸型のU字型に傾斜を形成するものであるが、これに限るものではない。例えば、セラミック基板10の短手方向の垂直断面が、セラミック基板面側に凸型のU字型に傾斜を形成することも可能である。また、図7に示すように、セラミック基板の絶縁部に搭載したり、図8に示すように、電極板単独でケースに対してアウトサート(挿入固定)しても、同様の効果が得られる。
【0029】
樹脂成形部601、602の素材としては、PPSを用いたが、これは封止樹脂に比較すると安価であるため、封止樹脂の減量によるコスト低減にも効果がある。
【0030】
ソース電極板611は、銅製で、膨張係数が17ppm/K程度であるのに対し、ダイオード21、IGBT22、およびセラミック基板10は3〜7ppm/Kと小さいため、はんだ接合のための加熱後の冷却時および実使用環境での温度サイクルによって熱応力が発生する。そのため、ソース電極板611は、使用する電流容量の範囲でなるべく薄くすることが望ましい。一方で、ネジ止め電極621は、ネジの締結力に耐える必要があるためある程度の厚さが必要である。また、ソース電極板611は、はんだ付け性に優れたニッケルおよび銀などの表面メタライズが望ましいが、ネジ止め電極620(621、622)は耐候性に優れた銅のままの方が好ましい。場所によって厚さを変えた異厚銅板、および場所によってメタライズを変えた部分めっき銅板も存在するが高価で入手性が悪い場合が多いため、ソース電極板611とネジ止め電極620が別部材であることのメリットは多い。
【0031】
この膨張係数差に伴う熱応力の軽減に関しては、樹脂成形部601、602を、ケース5の凹部51a、51b、および52a、52bに対して、はめ込み、固定することにより、ソース電極板611およびドレイン電極板612は、ダイオード21、IGBT22、およびセラミック基板10との間隔を一定の距離に保持することで、熱応力の軽減を図り、封止樹脂の注入性を向上させることができる。
【0032】
また、搭載するダイオード21とIGBT22の容量および形状によっては、ソース電極板611またはドレイン電極板612のパターンが変わる場合があり、ワイヤボンドによって置き換えることも可能で、この面でもソース電極板611およびドレイン電極板612と、ネジ止め電極620とが別部材であることが有効である。
【0033】
はんだ32a、32bの供給方法としては、クリーム状のはんだを用いたが、板状のはんだを挟み込んでリフローする方法を取ることも可能である。また、ソース電極板611の、ダイオード21とIGBT22のソース電極211、221に対応した部分にあけた開口部65a、65bから溶融したはんだを流し込むことによっても同様の効果が得られる。
【0034】
セラミック基板10の基材としては、AlNを用いたが、アルミナおよびSiNなどのセラミック材料でも同様の効果が得られる。さらに放熱性の必要があまりない場合には、金属ベース基板またはガラスエポキシ基板などを用いることも可能である。また、ケース5の材料としてPPSを用いたが、より耐熱性の高いLCP(Liquid Crystal Polymer、液晶ポリマー)を用いても同様の効果が得られる。
【0035】
また、ソース電極板611の材料として銅板を用いたが、銅めっきしたアルミ板とすることで軽量化が可能となり、銅とインバーを重ね合わせたCIC(Copper Invar Copper)板を用いることでセラミック基板10との膨張係数差を抑制して熱応力を低減し、信頼性を向上させることも可能となる。
【0036】
モジュール構成としては、ダイオード21とIGBT22が1対の1in1を用いたが、2対の2in1または6対の6in1であっても同様の効果が得られる。また、ここではアルミ製のワイヤ4を用いたが、銅製ワイヤまたはアルミ被服銅ワイヤ、または金ワイヤを用いても同様の効果が得られる。また、ダイレクトポッティング封止樹脂については、流し込んで常温硬化させる種類のものでも同様の効果が得られる。また、ダイオード21およびIGBT22とセラミック基板10との接続、ダイオード21およびIGBT22とソース電極板611、およびセラミック基板10とドレイン電極板612との接続にはんだを用いたが、Agフィラーをエポキシ樹脂に分散させた導電性接着剤、またはナノ粒子を低温焼成させるAgナノパウダまたはCuナノパウダなどを用いても同様の効果が得られる。また、ケース5を用いずに金型を用いてトランスファモールド封止樹脂によって封止するトランスファモールドパッケージにおいても同様の効果が得られる。
【0037】
以上のように、実施の形態1によるパワーモジュール101によれば、セラミック基板10上に配置されたパワー半導体素子(ダイオード21、IGBT22)と、パワー半導体素子(ダイオード)21とパワー半導体素子(IGBT)22、パワー半導体素子(ダイオード)21とネジ止め電極621の内部パッド62a、またはセラミック基板10とネジ止め電極622の内部パッド62bを接続するための2以上の接続部を有する板状のソース電極板611およびドレイン電極板612と、ソース電極板611およびドレイン電極板612の隣り合う接続部間の中央部分に、裏面側に凸型で傾斜が設けられセラミック基板10に対して短手方向に棒状で設けられた樹脂成形部601、602と、接続部の周辺を封止する封止樹脂部7とを備えるようにしたので、封止樹脂の注入性を向上させることによりボイドレスを実現し、信頼性の向上を図ることができる。また、601、602は、セラミック基板10に固定されるか、セラミック基板10に固定されたケース5に固定されるようにしたので、セラミック基板およびパワー半導体素子との間隔を一定の距離に保持することで、熱応力の軽減を図ることができる。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態1では、主端子としてのソース電極板611とドレイン電極板612に樹脂成形部を用いたが、実施の形態2では、信号端子にも、樹脂成形部を用いる場合について説明する。
【0039】
図9は、実施の形態2におけるパワーモジュール102の構成を示す斜視図であり、図10は、図9のBB矢視断面図である。図9および図10に示すように、実施の形態2では、パワーモジュール102は、IGBT22と信号端子630との接続に、ワイヤではなく、銅製の板状の信号電極板(厚さ0.15mm、幅0.3mm)613を用いる。
【0040】
信号電極板613(613a、613b、613c)は、中央部分に、樹脂成形部603cが形成されている。信号電極板613(613a、613b、613c)は、一端がIGBT22のパワー半導体素子のゲート電極222a、222bおよび温度センサー電極とそれぞれ、はんだ接合部34a、34b、34cによって電気的に接続され、他端は信号端子630(631、632、633)の内部パッド63(63a、63b、63c)にそれぞれ、はんだ接合部35a、35b、35cにより電気的に接続されている。
【0041】
樹脂成形部603cは、PPS樹脂製であり、信号端子630(631、632、633)の内部パッド63(63a、63b、63c)とIGBT22を跨ぐ信号電極板613(613a、613b、613c)の中央部分を連接するように、インサートモールド工法により形成され、底部が凸型のV字型で傾斜が設けられている。また、樹脂成形部603cは、ソース電極板のダイオード21とIGBT22との間の中央部分に形成される樹脂成形部603と一体成型により連結して設けられており、樹脂成形部603cは、樹脂成形部603の両端603a、603bによりケース5の凹部52a、52bに固定され、信号電極板613(613a、613b、613c)は、位置決めされる。
【0042】
図11は、実施の形態2によるパワーモジュール102の製造方法について説明する図であり、図4に対応する斜視図であるが、図3(c)の工程と同様に、はんだ32a、32b、32c、33a、33b、および34a、34b、34c、35a、35b、35cをディスペンス供給した後、図11に示すように、ソース電極板611、ドレイン電極板612、および信号電極板613(613a、613b、613c)に設けられた、樹脂成形部601、603(603c)の両端601a、601b、および603a、603bをそれぞれ、ケース5の凹部51a、51b、および52a、52bにはめ込むことで位置決めして、ダイオード21およびIGBT22のそれぞれのソース電極211、221と、ネジ止め電極621、622の内部パッド62a、62bに搭載し、はんだを加熱溶融させることで、ダイオード21およびIGBT22とネジ止め電極621、セラミック基板10上の銅導体層13とネジ止め電極622、およびIGBT22と信号端子630(631、632、633)とを電気的に接続して回路を形成する。実施の形態2によるパワーモジュール102のその他の構成および製造方法については、実施の形態1のパワーモジュール101と同様であり、対応する部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0043】
これにより、信号電極板613(613a、613b、613c)を用いることにより、ワイヤボンドを行わずにパワーモジュールの組立が可能となるだけでなく、ワイヤボンドを行う場合に、IGBTのゲート電極などの直下のはんだ接合部にボイドがあると、ワイヤボンドの衝撃でIGBTにクラックを発生させる懸念があるため、X線検査などによってボイドがないことを確認する必要があったが、信号電極板をはんだ接続する場合には衝撃が加わらないため、ボイド観察を省略することが可能となる。
【0044】
以上のように、実施の形態2によるパワーモジュール102によれば、主端子としてのソース電極板611とドレイン電極板612だけでなく、IGBT22と信号端子630との接続に信号電極板613(613a、613b、613c)を用い、信号電極板613(613a、613b、613c)にも接続部間の裏面側に凸型で傾斜が設けられた樹脂成形部603cを備えるようにしたので、実施の形態1における効果でけでなく、製造が容易となるとともに、さらに信頼性の向上を図ることができる。
【0045】
実施の形態3.
実施の形態3は、上述した実施の形態1〜2にかかるパワーモジュールを電力変換装置に適用したものである。本願は特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、実施の形態3として、三相のインバータに本願を適用した場合について説明する。
【0046】
図12は、実施の形態3による電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
【0047】
図12に示す電力変換システムは、電源100、電力変換装置200、負荷300から構成される。電源100は、直流電源であり、電力変換装置200に直流電力を供給する。電源100は種々のもので構成することが可能であり、例えば、直流系統、太陽電池、蓄電池で構成することができるし、交流系統に接続された整流回路またはAC/DCコンバータで構成することとしてもよい。また、電源100を、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC/DCコンバータによって構成することとしてもよい。
【0048】
電力変換装置200は、電源100と負荷300の間に接続された三相のインバータであり、電源100から供給された直流電力を交流電力に変換し、負荷300に交流電力を供給する。電力変換装置200は、図12に示すように、直流電力を交流電力に変換して出力する主変換回路201と、主変換回路201を制御する制御信号を主変換回路201に出力する制御回路203とを備えている。
【0049】
負荷300は、電力変換装置200から供給された交流電力によって駆動される三相の電動機である。なお、負荷300は特定の用途に限られるものではなく、各種電気機器に搭載された電動機であり、例えば、ハイブリッド自動車または電気自動車、鉄道車両、エレベーター、もしくは、空調機器向けの電動機として用いられる。
【0050】
以下、電力変換装置200の詳細を説明する。主変換回路201は、スイッチング素子と還流ダイオードを備えており(図示せず)、スイッチング素子がスイッチングすることによって、電源100から供給される直流電力を交流電力に変換し、負荷300に供給する。主変換回路201の具体的な回路構成は種々のものがあるが、実施の形態4にかかる主変換回路201は2レベルの三相フルブリッジ回路であり、6つのスイッチング素子とそれぞれのスイッチング素子に逆並列された6つの還流ダイオードから構成することができる。主変換回路201の各スイッチング素子および各還流ダイオードは、上述した実施の形態1〜2のいずれかに相当するパワーモジュール(ここではパワーモジュール101で説明する)によって構成する。6つのスイッチング素子は2つのスイッチング素子ごとに直列接続され上下アームを構成し、各上下アームはフルブリッジ回路の各相(U相、V相、W相)を構成する。そして、各上下アームの出力端子、すなわち主変換回路201の3つの出力端子は、負荷300に接続される。
(【0051】以降は省略されています)

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