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公開番号2019197841
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191114
出願番号2018091794
出願日20180511
発明の名称加工装置
出願人東邦エンジニアリング株式会社
代理人個人
主分類H01L 21/306 20060101AFI20191018BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】加工液を加温するヒータの設置が不要な触媒基準平坦加工装置を提供する
【解決手段】 ウェハWと表面に触媒層を有するパッド9につき、触媒反応を促進する加工液Lの存在下で、ウェハWとパッド9の各表面を互いに当接ないし近接させて、これらを触媒反応によるウェハWの表面の平坦化が可能な量だけ相対移動させるようにした触媒基準平坦加工装置において、ウェハWの表面に向けて紫外線を出力する紫外線発光用LED8を保持体7内に設け、当該LED8から発せられる熱が加工液Lに放散されて当該加工液Lが加温されると同時にLED8が冷却されるように構成する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
被加工物の表面に向けて紫外線を出力する紫外線発光素子を設け、当該紫外線発光素子から発せられる熱が前記被加工物を加工する加工液に放散されて当該加工液が加温されると同時に前記紫外線発光素子が冷却されるように構成されている加工装置。
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
少なくとも表面に触媒層を有する触媒体をさらに備え、触媒反応を促進する前記加工液の存在下で、前記被加工物と前記触媒体の各表面を互いに当接ないし近接させて、これらを触媒反応による前記被加工物の表面の平坦化が可能な量だけ相対移動させるようにした加工装置であって、前記紫外線発光素子は前記被加工物の表面に向けて紫外線を出力するものである請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記触媒体は加工液を貯留する容器内に設置されており、前記紫外線発光素子は、前記被加工物側から見て前記触媒体と同一位置で前記容器内に位置する保持体内に設けられている請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記触媒体は加工液を貯留する容器内に設置されており、前記紫外線発光素子は、前記被加工物側から見て前記触媒体と異なる位置で前記容器内に設置された前記保持体内に設けられていて、前記被加工物が前記触媒体に対向する位置と前記保持体に対向する位置に相対移動するように構成されている請求項2に記載の加工装置。
【請求項5】
前記触媒体は補助板上に載置されており、前記補助板に一方の電極が設けられるとともに、前記被加工物の背後に他方の電極が設けられて、これら電極間に電界が生じるように構成されている請求項2ないし4のいずれかに記載の加工装置
【請求項6】
少なくとも表面に触媒層を有する触媒体をさらに備え、触媒反応を促進する前記加工液の存在下で、前記被加工物と前記触媒体の各表面を互いに当接ないし近接させて、これらを触媒反応による前記被加工物の表面の平坦化が可能な量だけ相対移動させるようにした加工装置であって、前記紫外線発光素子は前記触媒体の表面に向けて紫外線を出力するものである請求項1に記載の加工装置。
【請求項7】
前記紫外線発光素子は紫外線発光ダイオードである請求項1ないし6のいずれかに記載の加工装置。
【請求項8】
常温から加工時の温度上昇に伴う熱収縮に耐性がある共有結合、イオン結合、金属結合のいずれかによって構成されている請求項2ないし7のいずれかに記載の加工装置に使用される触媒体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線照射によって加工速度を向上させるようにした加工装置に関するものであり、特に触媒基準平坦加工に好適に使用できる加工装置に関するものである。
続きを表示(約 12,000 文字)【背景技術】
【0002】
加工装置のうち、触媒基準平坦加工装置は、触媒体の表面を被加工物の表面に当接ないし近接させ、触媒反応を促進する液体(加工液)の存在下で両者を互いに相対移動させることによって、特に難加工性のSiC等の表面を原子レベルで平坦化できる装置である。このような触媒基準平坦加工装置において、被加工物の表面に紫外線を照射すると新たな加工起点が生成されるために加工速度が向上することが知られている。
【0003】
そこで従来は、例えば特許文献1の明細書[0047]欄に記載されているように、紫外線を通す石英ガラス製の定盤の下方にHg−Xeランプを配置し、当該ランプから射出される紫外線を定盤内に通過させた後、定盤上に載置された触媒体(Pt膜付きラバーパッド)の貫通孔を通して当該触媒体に対向する被加工物の表面に紫外線を照射する構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2015−173216
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の構造では、被加工物の大型化のニーズに合わせて石英ガラスで定盤を製作すると高価であり、しかも被加工物のサイズが大型化することで、被加工物の単位面積当たりの荷重を保とうとすると、光透過可能な定盤に高荷重がかかる必要性が生じ、定盤へのモーメント加重も増加する。定盤は、厚みが従来のものと同じままで、サイズが大型化すると、例えば石英などを材料として形成されているため、強度が弱く、破損しやすい。一方、定盤の厚みを破損しないように厚くすると、コスト増につながる。また、短波長の場合、石英定盤は消耗品となるだけでなく、短波長対応の石英であるほど材料が高価になり、短波長対応であるほど、定盤制作時に求められる紫外線を通過させる表面状態への要求水準が高くなるため、物理的に定盤を加工する専用装置が必要となる。そのため、大型で重量のある被加工物の加工が困難であるという問題があった。
【0006】
一方、触媒基準平坦加工装置では触媒反応を効果的に生起させるために加工温度を上げた方が良いという知見が得られている。その一例を図11に示す。図11において、被加工物がSiO2の場合(線y)も加工温度を上げた方が加工速度は大きくなるが、難加工性といわれるSiCの場合(線x)には加工温度が50℃を越えると加工温度の上昇とともに加工速度は著しく向上する。なお、図11でSiO2とSiCではその加工速度のスケールが異なっており、実際にはSiO2の加工速度はSiCの加工速度の100倍以上である。
【0007】
ちなみに、SiCを触媒基準平坦加工する際に加温した場合の加工速度は発明者の実験によれば次の通りであった。被加工物が4インチSiCで、触媒体はパッド白金触媒、加工液が超純水で温度を70度の条件で、3分間加工を4回繰り返した場合の、触媒体を当接もしくは、近接させた被加工物加工表面の平均的な厚み減少量は7nm、3分間加工を10回繰り返した場合は5nm、3分間加工を12回繰り返した場合は10nm、3分間加工を12回繰り返した場合は6nmであり、加工速度が常温時に比べて大きく向上した。なお、加工速度にバラつきが出たのは触媒体を連続使用したことから触媒毒であるCが生じたのが原因と思われる。同一の被加工物、触媒体を使用し、加工液を超純水の温度20度とした場合は、0〜1nmであった。
【0008】
そこで、本発明はこのような知見に基づいてなされたもので、加工温度を上昇させることが可能で、しかも定盤の強度低下も回避できる加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明では、被加工物(W)の表面に向けて紫外線を出力する紫外線発光素子(8)を設け、当該紫外線発光素子(8)から発せられる熱が前記被加工物(W)を加工する加工液(L)に放散されて当該加工液(L)が加温されると同時に前記紫外線発光素子(8)が冷却されるように構成されている。ここで、「加工液」には液中に気体が混入しているマイクロバブルやナノバブル、ミストが含まれる。また、紫外線発光素子は例えば紫外線発光ダイオードである。
【0010】
本第1発明によれば、紫外線発光素子から発せられる熱が加工液に放散されて当該加工液が加温されると同時に発光素子が冷却されるから、発光素子の過熱が防止されるとともに、加温用ヒータが不要あるいは小電力のものとすることができる。
【0011】
本第2発明では、少なくとも表面に触媒層を有する触媒体(9)をさらに備え、触媒反応を促進する前記加工液(L)の存在下で、前記被加工物(W)と前記触媒体(9)の各表面を互いに当接ないし近接させて、これらを触媒反応による前記被加工物(W)の表面の平坦化が可能な量だけ相対移動させるようにした加工装置であって、前記紫外線発光素子(8)は前記被加工物(W)の表面に向けて紫外線を出力するものである。
【0012】
本第2発明においては、紫外線発光素子から発せられる熱が加工液に放散されて当該加工液が加温されるから加工速度が向上し、効率的な加工が実現される。そして、加温用ヒータが不要あるいは小電力のものとすることができる。併せて、加工液に熱が放散されることによって発光素子は冷却されるから、発光素子の過熱が防止される。
【0013】
本第3発明では、前記触媒体(9)は加工液(L)を貯留する容器(4)内に設置されており、前記紫外線発光素子(8)は、前記被加工物(W)側から見て前記触媒体(9)と同一位置で前記容器(4)内に位置する保持体(7)内に設けられている。ここで、「保持体」は容器と別体である必要はなく、容器の一部、あるいは定盤の一部であっても良い。
【0014】
本第3発明によれば、本第2発明の作用効果に加えて、発光素子が加工液を貯留する容器内に設けられているから、オゾンやOHラジカル等が生じてこれを平坦加工に寄与させることができる。また定盤を、紫外線を透過させる石英ガラスで製作したり、定盤に紫外線を通過させる開口を設ける必要がなく、またレール等で定盤の中央やその周辺の下面を支える構造にすることが可能であるから、定盤自体を安価かつ十分な強度を有するものとできるとともにその支持構造を強化することができ、大型で重量のある被加工物の加工を良好に行うことができる。
【0015】
本第4発明では、前記触媒体(9)は加工液(L)を貯留する容器(4)内に設置されており、前記紫外線発光素子(8)は、前記被加工物(W)側から見て前記触媒体(9)と異なる位置で前記容器(4)内に位置する前記保持体(7)内に設けられていて、前記被加工物(W)が前記触媒体(9)に対向する位置と前記保持体(7)に対向する位置に相対移動するように構成されている。
【0016】
本第4発明においては、本第2および第3発明の作用効果に加えて、触媒体に紫外線通過用の貫通穴を設ける必要がないから、加工の手間が不要であるとともに触媒層の表面に貫通穴が開口しないからより良好な平坦加工を行うことが可能である。
【0017】
本第5発明では、前記触媒体(9)は補助板(20)上に載置されており、前記補助板(20)に一方の電極(30)が設けられるとともに、前記被加工物(W)の背後に他方の電極が設けられて、これら電極間に電界が生じるように構成されている。
【0018】
本第5発明によれば、電界によって被加工物の表面に加工起点を発生させることにより平坦加工の加工効率が向上させられる。
【0019】
本第6発明では、少なくとも表面に触媒層を有する触媒体(9)をさらに備え、触媒反応を促進する前記加工液(L)の存在下で、前記被加工物(W)と前記触媒体(9)の各表面を互いに当接ないし近接させて、これらを触媒反応による前記被加工物(W)の表面の平坦化が可能な量だけ相対移動させるようにした加工装置であって、前記紫外線発光素子(8)は前記触媒体(9)の表面に向けて紫外線を出力するものである。
【0020】
本第6発明においては、紫外線発光素子から発せられる熱で触媒体周辺の加工液が加温される結果、触媒体表面に付着した触媒毒(触媒作用を阻害する物質で、例えば被加工物がSiCの場合はSi)が加工液中に溶解除去される。この際、加工液が酸素や空気のナノバブルやマイクロバブルを含む場合には、紫外線が照射されることによってオゾンや活性酸素が生じ、これによって触媒表面に付着した触媒毒(例えばC)が気化してさらに効果的に除去される。
【0021】
本第7発明に係る触媒体は、常温から加工時の温度上昇に伴う熱収縮に耐性がある共有結合、イオン結合、金属結合のいずれかによって構成されている。
【0022】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を参考的に示すものである。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、加工温度を上昇させて加工効率を上げることが可能で、しかも定盤の強度低下も回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の第1実施形態における、触媒基準平坦加工装置の垂直縦断面図である。
触媒基準平坦加工装置の要部垂直縦断面図である。
図2のX部拡大断面図である。
容器の平面図である。
本発明の第2実施形態における、触媒基準平坦加工装置の垂直縦断面図である。
支持板移動後の触媒基準平坦加工装置の垂直縦断面図である。
本発明の第3実施形態における、触媒基準平坦加工装置の要部垂直縦断面図である。
補助板の平面図である。
図8のY方向から見た拡大斜視図である。
本発明の第4実施形態における触媒基準平坦加工装置の要部概略垂直縦断面図である。
加工温度と加工速度の関係を示すグラフである。
貫通穴を形成したパッドの拡大平面図である。
回転方式の平坦加工装置の要部概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。
【0026】
(第1実施形態)
図1には触媒基準平坦加工装置の垂直断面図を示す。図1において、基台1上に平行レール11が設けられ、当該平行レール11上にこれに沿って図1の左右方向へ移動可能に矩形の支持板2が架設されている。支持板2上には平行レール11と直交する方向へ三本のレール21が等間隔で平行に設けられ、これらレール21上にこれに沿って図1の紙面前後方向へ移動可能に矩形の定盤3が架設されている。
【0027】
定盤3上には矩形周状の枠壁41(図4参照)が立設され、これによって定盤3上に、上方へ開放する容器4が形成されている(図2)。容器4内には超純水等の加工液Lが貯留されている。なお、加工液Lは供給パイプ51によって容器4内に所定量が供給されるとともに排出パイプ52によって所定量が排出されて、容器4内の加工液Lの液位が一定に保たれている。
【0028】
加工液Lに浸漬されて容器4の底面(定盤3の上面)上にヒートシンク6が設けられている。ヒートシンク6は内部に加工液Lを流通させる流路を形成したもので、この上に載置された板状の保持体7と平面視において同形で、容器4よりもやや小さい矩形の扁平な筒状体である。
【0029】
ヒートシンク6上に載置された保持体7は加工液L内に浸漬されており、保持体7の内部には上面へ露出させて紫外線を上方へ射出する発光素子たる発光ダイオード(LED)8(図2)が埋設されている。LED8は保持体7内に平面視で必要数が後述するように分布して設けられている。保持体7の上面には全面に、紫外線が透過可能な石英ガラスのガラス板71が覆着されている。なお、一般に紫外線LED8はエネルギー変換効率が20%程度で、エネルギーの大部分が熱になる。一例として現状のAlGaN製のLEDは発熱量が毎分当たり約750cal/cm2である。したがって、LED8を動作保証温度範囲に維持するためには積極的に冷却する必要がある。
【0030】
ガラス板71の上面には全面に、触媒体たる一定厚の金属材やゴム材等のパッド9が設けられている。パッド9の上面には全面にPt等の触媒層が形成されている。パッド9には周縁を除くその板面の大部分に上下に延びる円形の貫通穴91が多数設けられている(図3、図4)。これら貫通穴91はそれぞれ各LED8の直上位置にこれらに対応させて設けられており、LED8と同様に図4に示すように平面視で交互に位置をずらして配置されている。なお、LED8(及び貫通穴91)の設置密度や配置は目的に応じて設計的に変更されるものであり、図4はあくまで一例を示すに過ぎないとともに理解を容易にするために貫通穴91を実際の大きさよりも相対的に大きく描いている。
【0031】
容器4内には上方から主軸10が挿入されてその先端(下端)に公知の円形のホルダ101が設けられて、当該ホルダ101に被加工物としてウェハWが保持されている。主軸10は図略の機構によって回転可能であるとともにその軸方向(上下方向)に移動可能である。
【0032】
平坦加工を行う場合には、ホルダ101に保持されたウェハWの研磨面である下面が図2に示すようにパッド9の上面に当接(ないし近接)させられる。そしてこの状態で、ホルダ101が駆動軸10によって回転させられるとともに、定盤3が図略の駆動機構によって図1の紙面前後方向へ水平振動させられる。この時の振動距離は、図4に示す貫通穴91が定盤3の振動に伴って図4の紙面に沿う上下方向へ直線往復動することによって、貫通穴91を通過する紫外線が当該貫通穴91の形成された略矩形の領域全体に隙なく照射されるように設定されている。すなわち平坦加工の場合、紫外線照射ムラによる加工バラツキを押さえるために被加工物の表面全面に均等に好ましくは同じ時間だけ紫外線が照射されるように設定されている。例えば、図12のようにφ5の貫通穴91が、貫通穴91の中心から正三角形でピッチa(=7.5mm)で設けられており、紙面に沿う上下方向への直線往復動が12.99mmに設定されている。
【0033】
平坦加工は加工液Lの存在下でパッド9の触媒層と接触する(近接する)ウェハWの研磨面が回転と振動によってパッド9に対し相対移動させられる間に加水分解によりエッチングされて平坦化が進行するものである。そして、この平坦加工の際に、図略の給電線によって各LED8に通電されてこれから出力される紫外線が貫通穴91を経てウェハWの研磨面に入射させられる。この紫外線の照射によってウェハWの研磨面に新たな加工起点が形成される結果、平坦加工が効率的に進行させられる。なお、平坦加工の際には支持板2も図略の駆動機構によって図1の紙面左右方向へゆっくりと往復移動(揺動)させられ、これによってさらに良好かつ効率的な平坦化が行われる。なお駆動軸10の回転は無くても良い。
【0034】
ところで、触媒をより有効に作用させるためには加工液Lを常温以上に加熱する必要がある。一方、LED8は発光時に発熱するため通常はヒートシンクを付設して放熱することにより過度な温度上昇を防止している。
【0035】
ここにおいて本実施形態では既述のように、LED8を容器4内に位置する保持体7内に埋設し、保持体7の背後に加工液Lが流通可能なヒートシンク6を設けている。これにより、容器4内に供給される加工液Lはヒートシンク6を流通する間にここで熱交換を行い、LED8からの放熱を受けて加熱されると同時にLED8の温度上昇を防止する。すなわち、LED8はヒータの機能をはたして加工液Lを加温する一方、加工液Lは冷却液としてLED8の過度な温度上昇を防止している。なお、加工液Lの温度は容器4内へのその供給量(=容器4からの排出量)を変更することによって調節することができる。
【0036】
このように本実施形態によれば、加工液Lを加熱するヒータを別途設ける必要が無くなる可能性があるからその設置スペースと費用を軽減することができる。併せて、紫外線出力用のLED8を容器4内の保持体7内に埋設したから、従来のように定盤の下方の外部空間に紫外線ランプを設ける必要が無く、したがって定盤に紫外線を通過させる開口を設け、あるいは定盤全体を紫外線が透過可能な石英ガラスで製作する必要が無いから定盤の強度を十分確保でき、かつ、図1に示すように定盤3の中央下面やその周辺にこれを支持するレール21を設けることができるから、容器4の支持構造が強化され、大型ウェハの平坦加工を良好に行うことができる。
【0037】
さらに、外気中で紫外線を出力しないから、従来は外気中に発生するオゾンを分解する消耗品であるオゾン分解装置を設け紫外線ランプ使用時に発生するオゾンを無毒化などしていたが、本実施形態によれば液中で出力された紫外線によって生じるオゾンやOHラジカルを平坦加工に寄与させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
図5には本発明の第2実施形態を示す。本実施形態では支持板2およびこれに載置された定盤3を、支持板2の移動方向へ延長し、加工液Lを貯留する容器4も支持板2の移動方向へ延長拡大されている。そして、支持板移動方向の、容器4の一端半部の底壁を構成する定盤3上に第1実施形態と同様のパッド9が設けられている。また、容器4の他端半部の底壁を構成する定盤3上には第1実施形態と同様のヒートシンク6と、その上に、紫外線発光用のLED8を埋設した保持体7およびガラス板71が積載されている。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0039】
このような構成において、平坦加工を行う場合には、図5に示すように、支持板2を平行レール11に沿ってその他端側(図5の右端側)へ移動させた状態で、第1実施形態と同様に、主軸10を下降させてホルダ101に支持させたウェハWをパッド9に当接または近接させ、主軸10を回転させるとともに、定盤3を図5の紙面垂直方向へ振動させるとともに、この状態で支持板2を一定範囲で揺動させる。
【0040】
そして、平坦加工中に主軸10を上昇させウェハWをパッド9から離間させて平坦加工を一時停止し、図6に示すように、支持板2を平行レール11に沿ってその一端側(図5の左端側)へ移動させて、ウェハWを、LED8を埋設した保持体7に対向させる。そして、LED8から出力される紫外線をウェハWの研磨面(下面)に照射して研磨面に新たな加工起点を形成する。この後、再び図5に示す状態へ戻して平坦加工を続行する。以下、これを繰り返す。なお、保持体7にウェハWを対向させた状態で主軸10(ホルダ101)を回転させれば紫外線をウェハWの研磨面により均一に照射可能である。
【0041】
このような構成によれば、上記第1実施形態と同様に、LED8がヒータの機能をはたして容器4内の加工液Lが加温される一方、加工液Lは冷却液としてLED8の過度な温度上昇を防止する。そして、本実施形態によれば、パッド9に紫外線を通過させる図2に示すような貫通穴91を設ける必要が無いから、穴形成加工の手間が軽減されるとともにパッド9の強度を維持するのに有利である。特にウェハWに接する触媒層を形成したパッド面に貫通穴91が開口しないから、微細な触媒基準平坦加工をより良好に行うことができる。
【0042】
(第3実施形態)
図7には本発明の第3実施形態を示す。基本構造は第1実施形態と同様であるが、本実施形態では支持板7(ガラス板71)上のパッド9が、特許第4680314号公報に示されるような補助板20上に載置されている。補助板20は支持板7上からパッド9を取り外すに際しての当該パッド9の損傷を防止してパッド9の再利用を可能にするものである。補助板20は支持板7と同形の矩形の平板部201を有する(図8)とともに、その周縁には全周に、ガラス板71の外周に嵌着される(図7参照)周壁202が形成されている。取り付けスペースによっては、周壁202は無くても良く、補助板20と支持板7の固定はネジ止めでも良い。
【0043】
そして補助板20の平板部201には第1実施形態で説明したパッド9の貫通穴91と同形の貫通穴203が同一位置に設けられており(図8)、かつ、一本の電極線30が、対向する周壁202部分で折り返すようにして全ての貫通穴203の直下を連ねるように配線されている。電極線30の折り返し部301は周壁202の、平板部201に近接した位置に形成されたガイド穴204(図9)に通されており、ガイド穴204の開口部に形成された湾曲に倣って湾曲して(図8)急峻な屈曲による断線が防止されている。電極線30の一端は図略の電圧源の例えば負極に接続されている。なお、図8では電極線30の中央部は図示を省略してある。このような構造によれば、電極線30の取り付けが容易になる。例えば石英定盤に溝を加工し、蛇行させるように電極線30をとりつけていたが、その方法の場合、電極線の蛇行回数が多くなると電極線の一部が浮いて電極線を固定するための板やパッドが取り付けられないという問題があった。ひどい場合は、取り付け時に線を押し込むことによって、例えば高価な白金線が切れる事があった、本実施形態の方法であれば縫い針のように通して引っ張り通して引っ張りを繰り返し電極線の取り付けを容易に完了できる。電極線30の例は、紫外線耐性のある電極線、白金線や金線などの線、電極線は白金や金がメッキなどコーティングされている電極線でも良い。また、電極30を紫外線が通過する穴の中心位置に従来は持ってくることが困難であったが、本発明の構造であれば、ガイド穴204の端が貫通穴203の中心位置に来るようにあらかじめ加工することで、電極線30を所定のテンションで引っ張った時に貫通穴203の中心位置に少しでも電極線30を持ってくることが出来る。その結果、加工時における電極線の動作による加工ムラを抑制することが出来る。
【0044】
この場合、ホルダ101に保持されたウェハWの裏面(上面)には、例えば特開2015−128161号公報に示されているように導電性ゴム板(図示略)が密着させられており、当該導電性ゴム板は引出電極を介して上記電圧源の例えば正極に接続されている。これにより、導電性ゴム板と電極線30との間に電界が生じて、電界中に位置するウェハWの表面に酸素分子が滞留させられて酸化を促すことにより平坦加工の加工効率が向上させられる。
【0045】
(第4実施形態)
図10において、定盤3上にこれとは別体の、枠壁41と底壁42を備える容器4が固定されており、容器4内には加工液Lが貯留されている。容器4内の底壁42上には第2実施形態で説明したと同様の補助板20が設けられて、補助板20上にパッド9が載置されている。加工液L中に位置するパッド9の上面には上方からウェハWが当接ないし近接させてあり、ウェハWは主軸10の下端に設けられたホルダ101に支持されている。そして本実施形態では、円形のホルダ101の下面外周部に、紫外線発光素子たる発光ダイオード(LED)8が埋設されて、パッド9の上面外周部に向けて紫外線が出力される(矢印)ようになっている。他の構造は第1実施形態と同様である。
【0046】
このような構造によれば、例えば被加工物がSiCの場合、ホルダ101に設けられたLED8の発熱によって触媒体9の外周部付近の加工液Lが加温されてその温度が上昇し、これにより、パッド9の表面に形成された触媒層に付着したSi成分等の触媒毒や触媒反応阻害物質が加工液L中に良好に溶解して除去される。この場合、加工液Lとして酸素や空気のナノバブルやマイクロバブルを含むものを使用すれば、LED8からの紫外線の照射によって加工液L中にオゾンや活性酸素が生じ、これらオゾンや活性酸素によって触媒層に付着したC成分等の触媒毒がCOやCO2となって気化して、効果的に除去される。
【0047】
(その他の実施形態)
なお、本発明は容器内に加工液を貯留した構造に限られず、パッド上に加工液をノズルから供給するようにした、いわゆる滴下型の平坦加工装置にも適用可能である。
上記第2実施形態では容器4を移動させるようにしたが、主軸10を移動させるようにしても良い。
上記第1実施形態において、供給パイプ51と排出パイプ52の配置は図2に示すものに限られず、例えば容器4の枠壁41に側方から連結されるような構造であっても良い。また、ヒートシンク6は必ずしも必要なものではない。容器4の底壁を定盤3で兼用せず、定盤3とは別体の容器体を定盤3上に載置する構造でも良い。
なお、被加工物Wはウェハ、エピタキシャル成長膜や成膜面、3元素混晶、4元素混晶に限定されず、凹凸形状、円筒、四角、孔の部分、長物、複雑な任意形状でも構わない。被加工物Wは例えばSi成分C成分Al成分N成分Ga成分、O成分、In成分の少なくともいずれかを含む材質やSiCやGaNやアルミニウムガリウムナイトライドや酸化ガリウムやダイヤモンド、サファイアである。触媒体は被加工物表面を加工可能な板形状や円形状や球形状や細長い形状のものでも良い。ガラス板71は石英や被加工物との関係で使用出来るようであれば紫外線の波長を落としてサファイアが使用できる。
【0048】
紫外線発光素子の一例は紫外発光ダイオードであれば何でもよい。一例としてAlNやAlGaNやGaNやダイヤモンドなどである。LEDは衝撃に強いので定盤や容器や支持板やホルダに搭載可能である。好ましくは触媒基準エッチングを用いて加工された紫外線発光素子を使用すると発光素子ごとの加工ムラを軽減可能である。
加工ムラを押さえる目的とLEDの使用個数を減らす目的で図4の二点鎖線の矩形枠E,F内にある貫通穴のみから紫外線を照射するようにしても良い。この場合、その他の穴加工部は穴である必要は無くパッド表面は溝加工がされていても良い。図4の貫通穴全部から光を出そうとしたら、穴径と穴ピッチによってはLEDの取り付けスペースが確保できずLEDを搭載出来ないケースがある。その場合に上記方法は有効な方法で、図4のようにLEDとLEDの距離を離して設置しても良い。この場合、揺動できる距離は、被加工物が等速でLED上を通過できるのが好ましいので、被加工物外径の2倍以上ある方が好ましい。一例として、被加工物を保持するヘッド直径の2倍の長さと光を照射する矩形枠E,F内の貫通穴の直径長さぶん揺動できる方が好ましい。
【0049】
ちなみに、小振幅方式の場合は光が出る部分は被加工物を触媒に当接させないで通過させるのが良い。理由は紫外線をかけながら小振幅運動をするとその部分周辺の小振幅範囲のみ高速で加工が促進されるため加工ムラになるからで、そうなるように意図的にしたいのでなければ、一度当接させないで紫外線上を通過させて紫外線の無いところでパッドに被加工物を当接させて小振幅を行い、小振幅を停止後、ヘッドを少し上昇させて再度紫外線を揺動動作により通過させて紫外線の無いところでパッドに被加工物を当接させて小振幅を行う動作を繰り返す。
定盤3は必ずしも水平振動させる必要は無く、図13に示すような平坦加工装置で多用されている、相対的に大径の定盤401を回転させ、その外周部で相対的に小径のホルダ402を回転させるようないわゆる回転方式の装置にも本発明を適用することが可能である。なお、この場合は図13のように光照射上を被加工物が通過してくれるため、例えば図13の二点鎖線の矩形枠E、Fに図4の二点鎖線の矩形枠E、Fで示したような貫通穴がそれぞれ設けられていてそこから紫外線が照射されていても、被加工物全面に同じ時間紫外線が照射されるように貫通穴を配置すれば被加工物はムラが少なく加工が進む。なお、矩形枠E、Fはそろって配置されていても良い。また矩形枠E、Fはそれぞれ複数配置されていても良い。この場合も、LEDから発熱する熱で加工液の加温が可能である。
【符号の説明】
【0050】
4…容器、7…保持体、8…LED(紫外線発光素子)、9…パッド(触媒体)、20…補助板、30…電極線(電極)、L…加工液、W…ウェハ(被加工物)。

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