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公開番号2019189994
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191031
出願番号2019072506
出願日20190405
発明の名称リチウムイオン伝導性ナノファイバー、その製造方法、ナノファイバー集積体、その製造方法、複合膜、高分子固体電解質およびリチウムイオン電池
出願人公立大学法人首都大学東京
代理人個人
主分類D06M 13/203 20060101AFI20191004BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約【課題】高いイオン伝導度を実現できると共に、製造が容易で、安価な原料を用いて製造できる高分子電解質膜、及びその原料となるリチウムイオン伝導性ナノファイバーを提供すること。
【解決手段】表面にリチウムイオン伝導に寄与するイオン伝導性基を有する高分子材料からなり、上記イオン伝導性基は、リチウムイオンあるいはリチウム塩と相互作用可能な官能基を含有し、上記の相互作用可能な官能基が、水酸基、ニトリル基、エステル基、アミド基、カーボネート基、ウレタン基、尿素基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルホニルイミド基、アンモニウム基、ピリジニウム基あるいはエチレンオキサイドユニット、プロピレンオキサイドユニット、エチレンスルフィドユニット、エチレンイミンユニットの繰り返しからなる基である、イオン伝導性ナノファイバー。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
表面にリチウムイオン伝導に寄与するイオン伝導性基を有する高分子材料を含んでなることを特徴とするリチウムイオン伝導性ナノファイバー。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
上記イオン伝導性基は、リチウムイオンあるいはリチウム塩と相互作用可能な官能基を含有する請求項1記載のイオン伝導性ナノファイバー。
【請求項3】
上記の相互作用可能な官能基が、
水酸基、ニトリル基、エステル基、アミド基、カーボネート基、ウレタン基、尿素基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルホニルイミド基、アンモニウム基、ピリジニウム基あるいはエチレンオキサイドユニット、プロピレンオキサイドユニット、エチレンスルフィドユニット、エチレンイミンユニットの繰り返しからなる基である、
請求項1および2に記載のイオン伝導性ナノファイバー。
【請求項4】
上記イオン伝導性基が、末端に親水性基を有する請求項1〜3のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバー。
【請求項5】
上記高分子材料が、前駆体高分子材料に上記イオン伝導性基を導入してなり、上記前駆体高分子材料が、ポリビニルアルコールである請求項1〜4のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバーの製造方法であって、
前駆体高分子を用いて微細ファイバーを作成する微細ファイバー製造工程と、
得られた微細ファイバーに、イオン伝導性基を導入するイオン伝導性基導入工程とを具備し、
上記イオン伝導性基導入工程は、
疎水性の官能基を導入する第1官能基導入工程と、
第1官能基導入工程により導入された疎水性基にさらに親水性基を導入する第2官能基導入工程とを具備するか、
又は
疎水性の化合物と親水性の化合物とを反応させてイオン伝導性化合物を調製するイオン伝導性化合物調整工程と、
イオン伝導性化合物を微細ファイバーの反応点と反応させてイオン伝導性基を導入する導入工程とを具備する
イオン伝導性ナノファイバーの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバーの集積体であるナノファイバー集積体。
【請求項8】
請求項7記載のナノファイバー集積体の製造方法であって、
前駆体高分子を用いて微細ファイバー集積体を作成する微細ファイバー集積体製造工程と、
得られた微細ファイバー集積体における各微細ファイバーに、イオン伝導性基を導入するイオン伝導性基導入工程とを具備し、
上記イオン伝導性基導入工程は、
疎水性の官能基を導入する第1官能基導入工程と、
第1官能基導入工程により導入された疎水性基にさらに親水性基を導入する第2官能基導入工程とを具備するか、
又は
疎水性の化合物と親水性の化合物とを反応させてイオン伝導性化合物を調製するイオン伝導性化合物調整工程と、
イオン伝導性化合物を微細ファイバーの反応点と反応させてイオン伝導性基を導入する導入工程とを具備する
ナノファイバー集積体の製造方法。
【請求項9】
請求項7記載のナノファイバー集積体と、該ナノファイバー集積体の内部空隙に設けられたリチウムイオンを含有するイオン含有化合物とを具備するナノファイバー繊維集積体の複合膜。
【請求項10】
請求項9に記載の複合膜を具備してなることを特徴とする、リチウムイオン伝導性の高分子固体電解質膜。
【請求項11】
請求項10に記載の高分子固体電解質膜を具備することを特徴とする、リチウムイオン二次電池。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン伝導性ナノファイバー、その製造方法。ナノファイバー集積体、その製造方法、複合膜、高分子固体電解質およびリチウムイオン電池に関し、更に具体的には、高いイオン伝導度を実現できると共に、製造が容易で、安価な原料を用いて製造できる高分子固体電解質及びそれを用いたリチウムイオン電池、並びにその原料となるリチウムイオン伝導性ナノファイバー、その製造方法。ナノファイバー集積体、その製造方法、複合膜に関するものである。
続きを表示(約 25,000 文字)【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池はエネルギー密度が高くサイクル特性に優れるなどの利点から携帯電話やノートパソコン等の携帯電子機器の電源として広く普及している。
しかし、現在市販されているリチウムイオン二次電池の多くは電解質として有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられており、何らかの理由で内部短絡が生じてしまうと大きな発熱が生じて発火する危険性があるという課題が指摘されている。
そこで、この安全性の課題を解決する方法として、固体中でリチウムイオンを伝導することができるリチウムイオン伝導体を固体電解質として用いる、全固体電池が注目されている。
全固体電池は安全性に優れ、サイクル寿命にも優れていることが知られている。さらに、高分子で全固体電池を作成できれば、軽量化や小型化が容易で、薄膜化もできるためこれまでにない全く新しい用途展開が期待できる。しかし、高分子電解質を用いた場合、室温で高いリチウムイオン伝導性を実現するといった課題に答えられていない。
そこで、全固体電池として最適な電解質膜について種々検討がなされている。このような全固体電池に用いられる電解質膜としては、セラミックス系のものと有機高分子系のものとが提案されている。有機高分子系のものは、柔軟性や軽量化において有利であるため、種々提案がなされている。
【0003】
具体的には、例えば以下の提案がなされている。
特許文献1には、リチウムイオン電池の性能を上げるため、より高いイオン伝導性を有するリチウムイオン電池用高分子電解質を提供するべく、芳香族ビニル化合物由来の構造単位、共役ジエン由来の構造単位、およびイオン伝導性基を有する共重合体を含有することを特徴とするリチウムイオン電池用高分子電解質を提供することが開示されている。
特許文献2には、高い伝導性を有するリチウムイオン電池用固体電解質を提供するべく、高分子材料からなるナノファイバーであって、該高分子材料は、リチウムイオンを含有し、前記高分子材料は、A)脂肪族あるいは芳香族ポリマーの主鎖あるいは/かつ側鎖に、エチレンオキサイドユニットを含む繰り返し単位を有する、及び前記エチレンオキシドユニットと相互作用するリチウム塩あるいはリチウムイオンを含有する、構成成分を有し、前記高分子材料は、エチレンオキサイドユニットを主鎖に有するポリエチレンオキサイド高分子およびその共重合体、ポリエチレンオキサイドユニットを側鎖グラフト構造として有するグラフト高分子、および該ポリエチレンオキサイド高分子と形状安定化を志向した異種高分子のブレンド物からなる群により選択される高分子材料であるナノファイバーを提供することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2012-212546号公報
特開2016-102287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の提案にかかる電解質では、未だ十分に高いイオン伝導度を実現していない。また特許文献2の提案にかかる電解質膜は、高いイオン伝導度は実現できているものの用いるナノファイバーが高価であり、また、より高いイオン伝導度を実現すべき要請もある。
したがって、本発明の目的は、高いイオン伝導度を実現できると共に、製造が容易で、安価な原料を用いて製造できる高分子電解質膜、及びその原料となるリチウムイオン伝導性ナノファイバー、その製造方法、ナノファイバー集積体、その製造方法、複合膜、およびリチウムイオン電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解消するために鋭意検討した結果、電解質膜の原料をナノファイバーとすることにより、物質移動を飛躍的に向上させることができ、またリチウムイオンのデンドライドの抑制も可能であることを見出し、更に検討した結果、ナノファイバーの電気的安定性、柔軟性、強度、表面官能基などの観点からポリビニルアルコールをナノファイバー化して原料繊維として用いることで優れたイオン伝導性を実現すると共に安価で製造も容易な高分子電解質膜が得られることを知見し、本発明を完成するに至った。
本発明はかかる観点から完成されたものであり、以下の発明を提供するものである。
1.表面にリチウムイオン伝導に寄与するイオン伝導性基を有する高分子材料を含んでなることを特徴とするリチウムイオン伝導性ナノファイバー。
2.上記イオン伝導性基は、リチウムイオンあるいはリチウム塩と相互作用可能な官能基を含有する請求項1記載のイオン伝導性ナノファイバー。
3.上記の相互作用可能な官能基が、
水酸基、ニトリル基、エステル基、アミド基、カーボネート基、ウレタン基、尿素基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルホニルイミド基、アンモニウム基、ピリジニウム基あるいはエチレンオキサイドユニット、プロピレンオキサイドユニット、エチレンスルフィドユニット、エチレンイミンユニットの繰り返しからなる基である、
請求項1および2に記載のイオン伝導性ナノファイバー。
4.上記イオン伝導性基が、末端に親水性基を有する請求項1〜3のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバー。
5.上記高分子材料が、前駆体高分子材料に上記イオン伝導性基を導入してなり、上記前駆体高分子材料が、ポリビニルアルコールである請求項1〜4のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバー。
6.請求項1〜5のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバーの製造方法であって、
前駆体高分子を用いて微細ファイバーを作成する微細ファイバー製造工程と、
得られた微細ファイバーに、イオン伝導性基を導入するイオン伝導性基導入工程とを具備し、
上記イオン伝導性基導入工程は、
疎水性の官能基を導入する第1官能基導入工程と、
第1官能基導入工程により導入された疎水性基にさらに親水性基を導入する第2官能基導入工程とを具備するか、
又は
疎水性の化合物と親水性の化合物とを反応させてイオン伝導性化合物を調製するイオン伝導性化合物調整工程と、
イオン伝導性化合物を微細ファイバーの反応点と反応させてイオン伝導性基を導入する導入工程とを具備する
イオン伝導性ナノファイバーの製造方法。
7.請求項1〜5のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバーの集積体であるナノファイバー集積体。
8.請求項7記載のナノファイバー集積体の製造方法であって、
前駆体高分子を用いて微細ファイバー集積体を作成する微細ファイバー集積体製造工程と、
得られた微細ファイバー集積体における各微細ファイバーに、イオン伝導性基を導入するイオン伝導性基導入工程とを具備し、
上記イオン伝導性基導入工程は、
疎水性の官能基を導入する第1官能基導入工程と、
第1官能基導入工程により導入された疎水性基にさらに親水性基を導入する第2官能基導入工程とを具備するか、
又は
疎水性の化合物と親水性の化合物とを反応させてイオン伝導性化合物を調製するイオン伝導性化合物調整工程と、
イオン伝導性化合物を微細ファイバーの反応点と反応させてイオン伝導性基を導入する導入工程とを具備する
ナノファイバー集積体の製造方法。
9.請求項7記載のナノファイバー集積体と、該ナノファイバー集積体の内部空隙に設けられたリチウムイオンを含有するイオン含有化合物とを具備するナノファイバー繊維集積体の複合膜。
10.請求項9に記載の複合膜を具備してなることを特徴とする、リチウムイオン伝導性の高分子固体電解質膜。
11.請求項10に記載の高分子固体電解質膜を具備することを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
【発明の効果】
【0007】
本発明の高分子電解質膜は、高いイオン伝導度を実現できると共に、製造が容易で、更にはリチウムイオンのデンドライドの生成を抑制できるという効果もある。
本発明のリチウムイオン伝導性ナノファイバー及びナノファイバー集積体は、安価な原料を用いて製造できるものであり、本発明の高分子電解質膜の原料として最適なものである。
本発明の複合膜は、高いイオン伝導度を実現できると共に、製造が容易なものである。
また、リチウムイオン伝導性ナノファイバーの製造方法及びナノファイバー集積体の製造方法によれば、簡易且つ簡便に目的物であるリチウムイオン伝導性ナノファイバーの製造方法及びナノファイバー集積体を得ることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、高いイオン伝導度を実現でき、柔軟性を有し、種々用途に用いることが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1(a)〜(j)は、それぞれ、実施例1〜6で得られたナノファイバー集積体又はその原料の微細ファイバー集積体のSEM画像を示す図(図面代用写真)である。
図2(a)は、実施例1で得られたナノファイバー集積体とその原料の微細ファイバー集積体のIRチャートであり、(b)は実施例2,4,6で得られたナノファイバー集積体のIRチャートである。
図3(a)及び(b)は、それぞれナノファイバー集積体と複合膜との断面を示すSEM写真(図面代用写真)である。
図4は、実施例13及び比較例1で得られた複合膜を用いた電池の充放電特性を示すチャートである。
図5は、実施例17で得られたナノファイバー集積体7(PVA−Br−PCYEA)のSEM像を示す写真(図面代用写真)である。
図6は、実施例17で得られたナノファイバー集積体7(PVA−Br−PCYEA)のIRスペクトルチャートである。
図7は、実施例18で得られたナノファイバー集積体8(PVA−Br−PHEMA)のSEM像を示す写真(図面代用写真)である。
図8は、実施例18で得られたナノファイバー集積体8(PVA−Br−PHEMA)のIRスペクトルチャートである。
図9は、実施例19で得られたナノファイバー集積体9(PVA−Br−PSTFSI)のSEM像を示す写真(図面代用写真)である。
図10は、実施例19で得られたナノファイバー集積体9(PVA−Br−PSTFSI)のIRスペクトルチャートである。
図11は、実施例20で得られたナノファイバー集積体10(PVA−Br−PAA)のSEM像を示す写真(図面代用写真)でる。
図12は、実施例210で得られたナノファイバー集積体11(PVA−Br−P(DADMAC))のSEM像を示す写真(図面代用写真)である。
図13は、実施例22で得られたナノファイバー集積体(PVA−PyNf)のSEM像を示す写真(図面代用写真)である。
図14は、実施例22で得られたナノファイバー集積体(PVA−PyNf)のIRスペクトルチャートである。
図15は、実施例22で得られたナノファイバー集積体12(PVA−Py−PEONf)のSEM像を示す写真(図面代用写真)である。
図16は、実施例22で得られたナノファイバー集積体12(PVA−Py−PEONf)のIRスペクトルチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン伝導性ファイバー(以下、単に「ナノファイバー」という場合がある)は、表面にリチウムイオン伝導に寄与するイオン伝導性基を有する高分子材料を含んでなることを特徴とする。
以下さらに詳細に説明する。
【0010】
<高分子材料>
本発明において用いられる高分子材料としては、前駆体高分子に上記イオン伝導性基を導入してなるもの(以下、導入に代えて「修飾」という場合がある)が好ましく用いられる。
【0011】
(前駆体高分子)
上記前駆体高分子としては、主鎖に上記イオン伝導性基を導入するための反応点を有する高分子が好ましく用いられる。
具体的には、
メタクリル樹脂等のカルボン酸基含有高分子;
ポリクロロメチルスチレン(PCMS)等のハロゲン化アルキル基含有高分子
ポリグリシジルメタクリレート(PGMA)等のエポキシ記含有高分子;
ポリビニルアルコール(PVA)、ポリセルロース等の水酸基含有高分子;
ポリアクロロニトリル(PAN)等のニトリル基含有高分子;
ポリイミド(PI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)等の開環反応可能なヘテロ環状官能基含有高分子;
ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリールアミン(PAA)、ポリビニルイミダゾール、ポリピロール等の四級化付加反応可能な塩基性高分子;
ポリメタクリル酸(PMA)、ポリアクリル酸(PAA)等の酸性高分子;
等が挙げられる。
また、本発明において用いられる上記高分子材料としては、
ポリスルフィド、ポリジスルフィド等の含硫黄高分子;
ポリカーボネート(PC)、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等の交換反応可能な縮合系高分子;
等を挙げることができ、この場合にはイオン伝導性基をこれらの高分子が有する親水性基で構成することもできる。
また、上記前駆体高分子は後述するナノファイバー化できるものであれば、その重合度や平均分子量は特に制限されるものではないが、数平均分子量(常法により測定できる)は、500〜2,000,000であるのが好ましく、5,000〜2,000,000であるのが更に好ましく、50,000〜200,000であるのが最も好ましい。また、重量平均分子量は、1000〜5,000,000であるのが好ましく、10,000〜5,000,000であるのが更に好ましく、100,000〜500,000であるのが最も好ましい。
また、上記前駆体高分子に用いることができる上述の各高分子は、後述するナノファイバー化が可能な性質を有することが好ましく、また後述する製造方法に適用できるようにたとえば第2官能基導入工程において用いられる溶媒に不要なことが好ましい。かかる観点からは、上述の前駆体高分子として例示した構造を有するものであればよいが、たとえば、芳香族系構造を主鎖に有するか、懸架などによる架橋構造を有するのが好ましい。たとえば、上記前駆体高分子として上記PVAを用いる場合、ケン化度が70〜95であるのが好ましく、他の高分子についてもこのケン化度が70〜95であるPVAと同様の架橋度で架橋構造を有するのが好ましい。
また、後述するエレクトロスピニング法でナノファイバー化する場合には、エレクトロスピニングに適した溶媒、たとえば水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ハロゲン化溶媒(クロロホルム、テトラクロロエタンなど)、エーテル系溶媒(THFなど)、非プロトン性極性溶媒(DMF、DMAcなど)、酸性水溶液(ギ酸、酢酸など)に、1wt%(望ましくは5wt%)程度以上の濃度で溶解する高分子であることが好ましい。
また、イオン伝導性基を側鎖に導入する場合には、イオン伝導性基を導入可能な反応点の密度が十分高いことが好ましく、具体的には、前駆体高分子1gあたり0.1mmol以上、更にはポリマー1gあたり1mmol以上存在することが好ましい。
【0012】
(イオン伝導性基)
上記イオン伝導性基は、上記前駆体高分子の反応点に化学反応により導入されてなる基であるのが好ましく、リチウムイオンあるいはリチウム塩と相互作用可能な官能基を含有する基であるのが好ましい。
このような官能基としては、
水酸基、
ニトリル基、
エステル基、
アミド基、
カーボネート基、
ウレタン基、
尿素基、
カルボン酸基、
スルホン酸基、
ホスホン酸基、
スルホニルイミド基、
アンモニウム基、
ピリジニウム基あるいは
エチレンオキサイドユニットの繰り返しからなる基(繰り返し数2〜500、以下、単に「PEO」という場合がある。また、例えば繰り返し数8の場合には以下の記載において「PEO

」と記載する場合がある)
プロピレンオキサイドユニットの繰り返しからなる基(繰り返し数2〜500)
エチレンスルフィドユニットの繰り返しからなる基(繰り返し数2〜500)
エチレンイミンユニットの繰り返しからなる基(繰り返し数2〜500)
等を挙げることができ、これらをそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。
また、上記イオン伝導性基は、高分子置換基であってもよい。このような高分子置換基としては、以下のもの等を好ましく挙げることができる。いずれの置換基においても繰り返し数は2〜500(後述する実施例における各化学式中のnの数)であるのが好ましい。
また、以下のイオン伝導性基を用いることもできる。
ポリ(シアノエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルアメタクリレート)、ポリ(スチレントリフルオロスルホニルイミド)、ピリジン基、ポリエチレンオキサイド基、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム ビストリフルオロメタンスルホニルイミド)、ポリビニルイミダゾール、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリ(((2−メタクリロイルオキシ)エチル)ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド)等。
また、上記イオン伝導性基が、末端に位置する親水性基と、上記親水性基を上記高分子材料の主鎖骨格に連結する疎水性基とを有してなる基であるのが好ましい。ここで上記親水性基としては上記官能基を挙げることができる。
また、疎水性基としては、このような基としては、具体的にはたとえば下記する基を挙げることができる。
【0013】
【0014】
式中、XはO、S、NH、CO、COO、CONH、CONHCO、OCONHを示し、RはHまたはCH

を示す。aは0〜20の整数、l、m、nは同一若しくは異なる数であって、それぞれ1〜200の整数を示す。
上記の好ましく用いられるイオン伝導性基としては、例えば以下の基等を挙げることができる。
【0015】
【0016】
式中、XはO、S、NH、CO、COO、CONH、CONHCO、OCONHを示し、RはHまたはCH

を示す。aは0〜20の整数、nは1〜200の整数を示す。
【0017】
(高分子材料)
上述の前駆体高分子に上記イオン伝導性基が導入されてなる本発明において用いられる上記高分子材料としては、下記の高分子等を具体的に挙げることができる。なお、下記する構造式においてはイオン伝導性基が多数前駆体高分子に導入されていることを省略して主鎖骨格である前駆体高分子とそこに導入されたイオン伝導性基を一つだけ示すが、実際には多数のイオン伝導性基が前駆体高分子の反応点に導入されている。
【0018】
【0019】
高分子材料の質量平均分子量(Mw)は、1.0×10

〜5.0×10

であることが好ましく、数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比Mw/Mnは、1〜5であることが好ましい。これらをこの範囲内とすることにより、より均一な微細ファイバーを製造することが可能となる。
また、重量平均分子量は、以下の方法でGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定、算出したポリスチレン換算値である。
<GPCによる分子量の測定方法>
微量のLiBr(10mM)を添加したジメチルホルムアミド(以下「DMF」という。)を用い、合成したグラフトポリマーの分子量をポリスチレン換算で測定する。サンプル溶液は1mg/mlの濃度でポリマーを臭化リチウム添加DMFに溶解させて作製する。
イオン伝導性基の含有率は、上記高分子材料全体中5〜80重量%であるのが好ましく、20〜80重量%であるのが更に好ましい。
【0020】
<イオン伝導性ファイバー>
本発明のイオン伝導性ファイバー(以下単に「ナノファイバー」と称する場合もある)は、上記高分子材料を含んでなるナノファイバーである。なお、本発明のナノファイバーは、後述するように、ナノファイバー単独の状態、すなわち1本のファイバー自体であっても、繊維の接点において結着している場合がある繊維集積体となっていてもよい。
上記ナノファイバーの繊維径は、500nm以下であるのが後述する複合膜の膜厚を薄くし、且つリチウムイオン伝導性も向上させる観点で好ましく、50〜300nmであるのがさらに好ましい。また、上記ナノファイバーの繊維長は用いられる用途に応じて特に制限されないが、100μm以上であるのが好ましい。
【0021】
<製造方法>
ついで、本発明のイオン伝導性ナノファイバーの製造方法について説明する。
本発明のナノファイバーは、
上記高分子材料の前駆体高分子を用いて微細ファイバーを作成する微細ファイバー製造工程と、
得られた微細ファイバーに、イオン伝導性基を導入するイオン伝導性基導入工程とを具備し、
上記イオン伝導性基導入工程は、
疎水性の官能基を導入する第1官能基導入工程と、
第1官能基導入工程により導入された疎水性基にさらに親水性基を導入する第2官能基導入工程とを具備するか、
又は
疎水性の化合物と親水性の化合物とを反応させてイオン伝導性化合物を調製するイオン伝導性化合物調整工程と、
イオン伝導性化合物を微細ファイバーの反応点と反応させてイオン伝導性基を導入する導入工程とを行うことにより実施することができる(以下この製造方法を「製法A」という)。
また、本発明のイオン伝導性ナノファイバーは、以下のナノファイバー集積体の製造方法により、集積体を製造すると同時にナノファイバーそのものを製造することもできる。
すなわち、上記高分子材料の主鎖骨格のみからなる前駆体高分子を用いて微細ファイバー集積体を作成する微細ファイバー集積体製造工程と、
得られた微細ファイバー集積体における各微細ファイバーに、イオン伝導性基を導入するイオン伝導性基導入工程とを具備し、
上記イオン伝導性基導入工程は、
疎水性の官能基を導入する第1官能基導入工程と、
第1官能基導入工程により導入された疎水性基にさらに親水性基を導入する第2官能基導入工程とを具備するか、
又は
疎水性の化合物と親水性の化合物とを反応させてイオン伝導性化合物を調製するイオン伝導性化合物調整工程と、
イオン伝導性化合物を微細ファイバーの反応点と反応させてイオン伝導性基を導入する導入工程とを行うことにより、ナノファイバー集積体の製造と同時に本発明のナノファイバーの製造を実施することができる(以下この製造方法を「製法B」という)。
以下、それぞれについて説明するが、特に好ましい製法は、微細ファイバーの製造と同時にファイバー集積体を製造することであるので、まず製法Bから説明する。
【0022】
(製法B)
・微細ファイバー集積体製造工程
この工程は、例えば、特開2003−73964号公報、特開2004−238749号公報、特開2005−194675号公報に開示されている、吐出機を用いた微細ファイバーの不織布の製造に準じて行うことができる。
すなわち、特開2005−194675号公報に開示の吐出機を用いて行うことができる。上記吐出機は、紡糸液を吐出するノズルと紡糸液を貯蔵するタンクとを有する。また、ノズルに対向して位置する、アースされた捕集体を有する。そのため、電圧印加装置によって印加し、ノズルと捕集体との間に電界を形成すると、ノズルから吐出され、電界によって延伸されて形成した繊維は、捕集体へ向かって飛翔し、捕集体上に堆積して、微細ファイバーからなる微細ファイバー集積体を形成する。
この際用いることができる溶媒としては例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられ、原料ポリマー濃度は、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。紡糸液の粘度は、100〜10000mPa・sであることが好ましく、500〜5000mPa・sであることがより好ましい。
この装置を用いると、紡糸液はノズルから捕集体に向けて押し出されるとともに、アースされた捕集体と電圧印加装置によって印加されたノズルとの間の電界による延伸作用を受け、繊維化しながら捕集体へ向かって飛翔する(いわゆる静電紡糸法である)。そして、この飛翔した繊維は直接、捕集体上に集積し、微細ファイバー集積体を形成する。なお、微細ファイバー集積体の厚さが前記範囲内にない場合、ホットプレスなどにより加圧して、微細ファイバー集積体の密度を高め、薄膜化することができる。
【0023】
イオン伝導性基導入工程については、第1官能基導入工程及び第2官能基導入工程と、イオン伝導性化合物調整工程及び導入工程とに分けて説明する。
・第1官能基導入工程及び第2官能基導入工程
上記両工程は、用いる前駆体高分子及び導入するイオン伝導性基により異なるが、各工程について、説明すると、下記化学式に示すように、まず第1官能基導入工程は、上記前駆体高分子における反応点と反応する化合物であり、且つ上記疎水性基を形成し得る化合物(アクリル酸クロライド)を上記前駆体高分子(PVA)と、最適な反応条件にて反応させて前駆体高分子に疎水性基を導入する。ついで、第2官能基導入工程は、上記第1官能基導入工程において導入された疎水性基における反応点(CH=CH

)と反応し得、且つ上記親水性基を構成する化合物(ポリエチレンオキサイド(繰り返し数8)メタクリル酸エステル)を、最適な反応条件にて反応させて親水性基を導入することでイオン伝導性基を形成し、最終的な高分子材料を得る。この際、上記微細ファイバー集積体製造工程において微細ファイバー集積体が形成されているので本両工程において得られるナノファイバーは、すでに微細ファイバー集積体の形態にて高分子反応により上記イオン伝導性基を導入してなる、ナノファイバー集積体形態におけるナノファイバーである。
【0024】
【0025】
・イオン伝導性化合物調整工程及び導入工程
これらの工程を行う場合には、下記化学式に示すように、まず、疎水性の化合物(メルカプトフェニルボロン酸)と親水性の化合物(ポリエチレンオキサイド(繰り返し数8)メタクリル酸エステル)とを最適な反応条件にて反応させてイオン伝導性化合物を調製する(イオン伝導性化合物調整工程)。ここで反応条件は、用いる溶媒や反応温度、反応時間等であるが、疎水性の化合物と親水性の化合物とに応じて種々選択可能である。
ついで、得られたイオン伝導性化合物を微細ファイバー集積体(PVA)における各微細ファイバーと反応させる(導入工程)。この際の反応条件も用いる前駆体高分子及びイオン伝導性化合物に応じて種々選択可能である。
【0026】
【0027】
上述の2つの手法のうちいずれを採用するかは、イオン伝導性基の構造に応じて決定されるが、例えば、上記高分子材料における上記反応点が少ない場合は、第2官能基導入工程を行う化5に示す手法を用いるのが好ましく、反応点が十分多い場合は、イオン伝導性化合物調整工程を行う化6に示す手法が好ましい。また、イオン伝導性化合物調整工程を行う化6に示す手法の場合には、後述する複合膜とする場合に後述するイオン含有化合物と複合化がより有利である。
【0028】
(製法A)
・微細ファイバー製造工程
本工程は上記微細ファイバー集積体製造工程と同様にして行うことができる。異なる点は繊維集積体ができないように印加する電界の強さを調整して、各微細ファイバーを所定方向に配向させつつ飛翔させる点である。これにより各微細ファイバーが所定方向に配向した状態で微細ファイバーを得ることができる。
第1官能基導入工程及び第2官能基導入工程、並びにイオン伝導性化合物調整工程及び導入工程は、上述した通りである。
製法Aによると、ナノファイバー単体が得られるので、後述するナノファイバー集積体とする場合には各ナノファイバーを絡合する工程が必要となる。ここでナノファイバーを絡合する工程は、公知の繊維絡合方法を特に制限なく用いて行うことができる。
【0029】
<ナノファイバー集積体>
ついで本発明のナノファイバー集積体について説明する。
本発明のナノファイバー集積体は、上述の本発明のイオン伝導性ナノファイバーを集積してなるナノファイバー集積体である。
このナノファイバー集積体の厚みは100μm以下であるのが複合膜全体の厚さを低減する観点から好ましく、30μm以下であるのがさらに好ましい。なお、不織布の厚さが前記範囲内にない場合、ホットプレスなどにより加圧して、微細ファイバーの密度を高め、薄膜化することができる。
上記ナノファイバー集積体における坪量は、2〜10g/m

であるのが、電解質膜として用いた場合に要求される効果を十分に発揮し得るので好ましい。また、空隙率は、50〜90%であるのが、リチウムイオン伝導性と複合膜とした際の膜強度の点で好ましい。特に上述した繊維径のナノファイバーをこの範囲の空隙率で不織布化したものを用いることが、本発明の所望の効果を発揮する点で好ましい。
ここで、空隙率は、ナノファイバー繊維集積体を3cm角に切り出し、110℃で12時間真空乾燥後の質量(W)と膜厚計により測定した膜厚から算出した見かけの体積(V)、PVAの比重(1.05g/cm

)を用いて、下記の式より算出した。
空隙率(%)=(1−W/1.05V)×100
<用途>
以下、本発明のナノファイバー及びナノファイバー集積体の用途について説明する。
(複合膜)
本発明の複合膜は、上述の本発明のナノファイバー集積体と、該ナノファイバー集積体の内部空隙に設けられたリチウムイオンを含有するイオン含有化合物とを具備する。
上記イオン含有高分子材料としては、下記するもの等を挙げることができ、使用に際してはそれぞれ単独で又は2種以上混合して用いることができる。
ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド リチウム塩(LiTFSI)、リチウムクロライド(LiCl)、リチウムブロマイド(LiBr)、過塩素酸リチウム(LiClO

)、テトラフルオロボレート(LiBF

)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF

)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF

)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF

SO

)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド(LiBETI)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)リチウムフルオロアルキルボレート(LiFAB)、リチウムジフルオロオキサラートボレート(LiFOB)、リチウムビスオキサレートボラート(LiBOB)など。
さらに、リチウム塩とオリゴエチレンオキシド(グライム)、例えばリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)とテトラエチレングリコールジメチルエーテルなどをモル比1:1で混合して得られるリチウムイオン液体も挙げられる。
上記イオン含有化合物の配合割合は、上記ナノファイバー集積体における空隙に対して、空隙の50〜100%を埋める充填量とするのが後述する固体電解質として用いた場合に2次電池に対する要求性能を満足させる観点から好ましい。また、上記イオン含有化合物の使用量は、十分なリチウムイオン伝導性を得る観点から10〜100g/m

であるのが好ましい。
また、上記イオン含有化合物としては、下記の高分子組成物を用いることもできる。
・高分子組成物
上記高分子組成物としては、下記A)及びB)の構成成分を有するものを好ましく用いることができる。
A)脂肪族あるいは芳香族ポリマーの主鎖あるいは/かつ側鎖に、エチレンオキサイドユニットを含む繰り返し単位を有する。
B)上記エチレンオキシドユニットと相互作用するリチウム塩あるいはリチウムイオンを含有する。
具体的には、エチレンオキサイドユニットを主鎖に有するポリエチレンオキサイド高分子およびその共重合体、
ポリエチレンオキサイドユニットを側鎖グラフト構造として有するグラフト高分子、及び該ポリエチレンオキサイド高分子と形状安定化を志向した異種高分子のブレンド物からなる群より選択される高分子物を含み、この高分子物に後述するリチウム塩又はリチウムイオンを含有させてリチウムイオンを含有する高分子材料としてなるものであるのが好ましい。
以下、さらに具体的に説明する。
(ポリエチレンオキサイド高分子)
上記ポリエチレンオキサイド高分子及びその共重合体としては、エチレンオキサイドユニットを主鎖に有するものであればとくに制限されないが、具体的には、下記骨格を有するものが挙げられる。
【0030】
【0031】
一般式(2)及び(3)中、m、n及びlは、それぞれ整数であり、
mは、1〜25000、
nは、1〜25000、
lは、1〜25000を示す。
また、xは、0〜20の整数を示す。
また、bは、ブロック構造あるいはランダム構造であることを示す。
また、上記高分子材料の平均分子量(Mw)は、1.0×10

〜1.0×10
7
とするのが好ましい。
【0032】
(グラフト高分子)
上記グラフト高分子は、下記骨格を有するものが挙げられる。
【0033】
【0034】
上記式(4)、(5)及び(6)中、n、1−n及びmはそれぞれ(重合分率)を示し、nは、0≦n≦1の数を示し、mは側鎖重合度を満足する数、すなわち1〜1000の数を示す。
上記各式を満足するグラフト高分子としては、特に具体的には、3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)と、2,2−ビスフェニルヘキサフルオロイソプロピリデントカルボン酸二無水物(6FDA)とを反応させて得られるポリイミドの側鎖にテトラエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGME、m=4)を反応させて側鎖にポリエチレングリコールユニットからなるグラフト構造を導入した化合物(6FDA−DABA−g−TEGME、一般式(4)において下線を引いた基を具備し、RがCOOである高分子)、等を挙げることができる
また、上記グラフト高分子における側鎖導入率((導入された側鎖mol数)/(主鎖繰返しユニットのmol数)×100)は、50〜150%であるのが好ましい。
上記グラフト高分子の重量平均分子量(Mw)は、1.0×10

〜1.0×10
7
であるのが好ましい。
リチウムイオンの導入量は上述のポリエチレンオキサイド高分子における導入量と同様である。
【0035】
(ブレンド物)
上記ブレンド物は、上記ポリエチレンオキサイド高分子と、ポリエチレンオキサイド高分子と形状安定化を志向した異種高分子、具体的には上記グラフト高分子とを混合してなるものが好ましい。
上記ブレンド物における上記ポリエチレンオキサイド高分子と上記グラフト高分子との混合割合は、上記ポリエチレンオキサイド高分子10〜90重量部に対して上記グラフト高分子90〜10重量部とするのが好ましく、上記ポリエチレンオキサイド高分子20〜80重量部に対して上記グラフト高分子80〜20とするのがさらに好ましい。
リチウムイオンの導入量は上述のポリエチレンオキサイド高分子における導入量と同様である。
【0036】
(リチウムイオン)
上記高分子組成物材料はリチウムイオンを含有するのが好ましい。リチウムイオンは、リチウム塩を上記高分子物と混合することで上記高分子材料に上記リチウムイオンを含有させるか、又は上記高分子物そのものにリチウムイオン性基を導入することで上記高分子材料に上記リチウムイオンを含有させることができる。
本発明においてリチウムイオンの導入に際して用いられるリチウム化合物(リチウム塩)としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムクロライド(LiCl)、リチウムブロマイド(LiBr)、過塩素酸リチウム(LiClO

)、テトラフルオロボレート(LiBF

)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF

)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF

)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF

SO

)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド(LiBETI)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)リチウムフルオロアルキルボレート(LiFAB)、リチウムジフルオロオキサラートボレート(LiFOB)、リチウムビスオキサレートボラート(LiBOB)などを挙げることができる。
さらに、リチウム塩とオリゴエチレンオキシド(グライム)、例えばリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)とテトラエチレングリコールジメチルエーテルなどをモル比1:1で混合して得られるリチウムイオン液体も挙げられる。
リチウムイオンの導入量は、PEOのエーテル酸素2〜48個に対してリチウムが1個配位する量とするのが好ましい。
このリチウムイオンに関する記載は上記高分子物がポリエチレンオキサイド高分子及びその共重合体の場合だけでなく、他のグラフト高分子及びブレンド物についても妥当する。
【0037】
本発明の複合膜は、上記ナノファイバー集積体に上記イオン含有化合物を含浸させることにより得ることができる。この際上記イオン含有化合物が液状物質であれば、液状のイオン含有化合物に上記ナノファイバー集積体を浸漬してイオン含有化合物をナノファイバー集積体の内部の空隙に配設することができる。また、イオン含有化合物が固体の物質である場合には、この固体のイオン含有化合物を有機溶剤に溶解してなる溶液を用いることで液状のイオン含有化合物と同様にしてナノファイバー集積体の空隙に配設することができる。
また、本発明の複合膜を高分子固体電解質膜として用いる場合には、更に電解質膜に通常用いられる添加剤を本発明の所望の効果を損なわない範囲で添加してもよい。この際用いることができる添加剤としては、二酸化珪素粉末等を挙げることができる。使用においては、上記イオン含有化合物の添加に際して同時に配合して用いることができる。
【0038】
(高分子固体電解質膜)
本発明の高分子固体電解質膜は、上記複合膜を具備してなる。
上記複合膜は、そのまま高分子固体電解質膜として用いることができる。
(リチウムイオン二次電池)
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記の本発明の高分子固体電解質膜を具備する。
この他は通常のリチウムイオン二次電池と同様に、正負両電極及びセパレータを具備し、更に本発明の電解質膜を有する構成とすることができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
【0040】
(実施例1)[PVAナノファイバーのアクリレート修飾及び更にPEOメタクリレート修飾](本発明のナノファイバー集積体1の調製)
PVA(ケン化度88%)を用いて、上述の特開2005−194675号公報に開示の吐出機を用いた製法に準じてPVA繊維からなる微細ファイバー集積体を得た。
得られた微細ファイバー集積体における、各微細ファイバーの繊維径(平均繊維径)は、229±28nmであり、平均繊維長は、100μm以上であった。また、微細ファイバー集積体の膜厚は、22μmであり、空隙率は、79%であった。得られた微細ファイバー集積体についてSEM写真を撮影した。また、水に対する接触角を以下のようにして測定した。SEM写真を図1に(a)として示す。
水の接触角の測定法:接触角測定装置[商品名「Gonio meter, Type G−1(Erma社製)」を用い、1cm×1cmに切り取った微細ファイバー集積体上に10μLの純水を滴下し、水滴が成す角度を2θ法(水滴端と水滴頂上を結んだ直線と微細ファイバー集積体表面が成す角度を測定し、その2倍を静的接触角とする方法)により測定した。
なお、繊維径及び繊維長は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察し測定した。
空隙率は、上述の通りに測定し、膜厚は電磁式デジタル膜厚計[商品名「LE−300」、(株)ケット科学研究所社製)]を用い、30箇所以上、常法に従って測定し、その平均値をもって膜厚とした。
ついで、得られた微細ファイバー集積体について、上述の化5に示すように第1官能基導入工程と第2官能基導入工程とを行った。
すなわち、得られた微細ファイバー集積体6.0cm×6.0cmの大きさに切り取ったもの(18.5mg)とアクリル酸クロライド1.55mLと脱水トリエチルアミン2.67mLを、溶媒として脱水ジクロロメタンを40ミリリットル用い、該溶媒中にて、80℃にて、24時間反応させて、第1官能基導入工程を行った。得られた第1官能基が導入された微細ファイバー集積体(図および表においてはPVA―Acと称する)についてSEM写真を撮影した。また、水に対する接触角を以下のようにして測定した。SEM写真を図1に(b)として示す。
ついで、得られた第1官能基としての疎水性基が導入された微細ファイバー集積体2.0cm×2.0cmの大きさに切り取ったもの(2.2mg)に(ポリエチレンオキサイド(繰り返し数8)メタクリル酸エステル485μL、アゾビスイソブチロニトリル20.25mgを、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド30ミリリットル中にて、80℃にて、24時間反応させて、第2官能基導入工程を行い、本発明のナノファイバー並びにナノファイバー集積体(ナノファイバー集積体1、図および表においてはPVA−Ac−P(MEO)と称する)を得た。得られたナノファイバー集積体についてSEM写真を撮影した。また、水に対する接触角を以下のようにして測定した。SEM写真を図1に(c)として示す(図および表においてはPVA―Ac−P(MEO)と称する)。
また、それぞれのIRを常法に従って測定した。その結果を図2(a)に示す。
得られた微細ファイバー及びナノファイバーとそれらの平均繊維径と接触角について表1に示す。
表1に示す結果から、ナノファイバー径は修飾に伴い、順次増大したことがわかる。
また、微細ファイバー集積体においては、水の接触角が0°であったのに対して疎水性の第1官能基が導入された場合には接触角が40℃と高くなり撥水機能が発揮されているのがわかる。また、SEM写真でも繊維径が太くなっており、微細ファイバーの表面に置換基が導入されていることを確認できる。また、第2官能子を導入することにより、接触角は再び0°に戻っている。更に第2官能基が導入されたことで繊維径が更に大きくなっており、これらのことから、PVAの表面にイオン伝導性基が導入されているのがわかる。また、IR測定の結果から、PVA−Acにおける700cm
−1
付近のビニル基由来のピークの出現、PVA−Ac−P(MEO)におけるビニル基由来ピークの減少が観測され、修飾反応がそれぞれ進行していることが同様にわかる。
【0041】
(実施例2)[PVAナノファイバーのアクリレート修飾及び更にPSTFSI修飾](本発明のナノファイバー集積体2の調製)
実施例1と同様にして得られた第1官能基としての疎水性基が導入された微細ファイバー集積体(PVA−Ac)を4.0cm×4.0cmの大きさに切り取ったもの(6.6mg)に4―スチレンスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミドNa塩0.106g、アゾビスイソブチロニトリル0.0258gを、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド40ミリリットル中にて、80℃にて、24時間反応させた。続いて過塩素酸リチウム0.1262gをエタノール10mlに溶解させた溶液に浸漬させ、50℃にて、24時間イオン交換反応させた、第2官能基導入工程を行い、本発明のナノファイバー並びにナノファイバー集積体(ナノファイバー集積体2、図および表においてはPVA−Ac−PSTFSIと称する)を得た。得られたナノファイバー集積体についてSEM写真を撮影した。SEM写真を図1(d)に示す。また、水に対する接触角を以測定した。それらの結果を表1に示す
【0042】
(実施例3)[PVAナノファイバーのブロモ化(ATRP重合開始点の導入)及び更にPEOメタクリレート修飾](本発明のナノファイバー集積体3の調製)
まず、実施例1と同様にして得られたPVAからなる微細ファイバー集積体を用い、得られた微細ファイバー集積体4.0cm×4.0cmの大きさに切り取ったもの(8.3mg)とジメチルアミノピリジン540mgとを2−ブロモイソブチリルブロミド148μLとを、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド15ml用い、該溶媒中にて、25℃にて、24時間反応させて、第1官能基導入工程を行った。得られた第1官能基が導入された微細ファイバー集積体(図および表においてはPVA―Brと称する)についてSEM写真を撮影した。SEM写真を図1(e)に示す。FT−IR測定を行った。その結果を図2(b)に示す。
ついで、不活性雰囲気下、得られた第1官能基としての疎水性基が導入された微細ファイバー集積体(9.3mg)に(ポリエチレンオキサイド(繰り返し数8)メタクリル酸エステル3.6mL、塩化第一銅0.1089gと2,2‘−ビピリジン0.1718gとを、溶媒として脱気処理した脱水トルエン15ミリリットル中にて、60℃にて、24時間反応させて、第2官能基導入工程を行い、本発明のナノファイバー並びにナノファイバー集積体(ナノファイバー集積体3、図および表においてはPVA−Br−P(MEO)と称する)を得た。得られたナノファイバー集積体についてSEM写真を撮影した。SEM写真を図1(f)に示す。FT−IR測定を行った。その結果を図2(b)に示す。
【0043】
(実施例4)[PVAナノファイバーのPEOボロン酸ポリマー修飾](本発明のナノファイバー集積体4の調製)
まず、ボロン酸スチレン0.3gとポリエチレンオキサイド(繰り返し数8)メタクリル酸エステル2.9gとアゾビスイソブチロニトリル16mgを、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドと純水の混合液(95体積%:5体積%)50ミリリットル中にて、70℃にて、19時間反応させて、イオン伝導性化合物とし上述の化学式に示す側鎖にポリエチレンオキサイド鎖およびボロン酸を有するポリマーBO−P(MEO)を得た。
ついで、実施例1と同様にして得られたPVAからなる微細ファイバー集積体を用い、この微細ファイバー集積体4.0cm×4.0cmの大きさに切り取ったもの(9.5mg)に、メタノール9.0mLに溶解させた上記で得られたイオン伝導性化合物0.7gを加え、25℃にて、24時間反応させて、本発明のナノファイバー集積体((ナノファイバー集積体3、図および表においてはPVA−BO−P(MEO)と称する)を得た。
得られたナノファイバー集積体についてSEM写真を撮影した。図1(g)に示す。FT−IR測定を行った。図2(b)に示す。
【0044】
(実施例5)[PVAナノファイバーのPEOエステル修飾(PEO単層修飾)](本発明のナノファイバー集積体5の調製)
まず、実施例1と同様にして得られたPVAからなる微細ファイバー集積体を用い、得られた微細ファイバー集積体8.0cm×8.0cmの大きさに切り取ったもの(36.5mg)と無水コハク酸1.66gとジメチルアミノピリジン0.2026gとを、溶媒として脱水ジクロロメタン60ml用い、該溶媒中にて、25℃にて、24時間反応させて、第1官能基導入工程を行った。得られた第1官能基が導入された微細ファイバー集積体(図および表においてはPVA―COOHと称する)についてSEM写真を撮影した。SEM写真を図1(h)に示す。
ついで、不活性雰囲気下、得られた第1官能基としての疎水性基が導入された微細ファイバー集積体(37.1mg)にポリエチレンオキサイド(繰り返し数12)ものメチルエーテル1.01mL、ジシクロヘキシルカルボジイミド41.26mgとジメチルアミノピリジン12.21mgとを、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド50ミリリットル中にて、25℃にて、24時間反応させて、第2官能基導入工程を行い、本発明のナノファイバー並びにナノファイバー集積体(ナノファイバー集積体4、図および表においてはPVA−COOH−PEOと称する)を得た。得られたナノファイバー集積体についてSEM写真を撮影した。SEM写真を図1(i)に示す。
【0045】
(実施例6)[PVAナノファイバーのPEOボロン酸単層修飾](本発明のナノファイバー集積体6の調製)
まず、ボロン酸フェニルチオオール154mgとポリエチレンオキサイド(繰り返し数8)メタクリル酸エステル3.6gと2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン256.3mgとを、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを10ミリリットル用い、該溶媒中にて25℃でUV(380nm、20W)照射下で4時間反応を行い、イオン伝導性化合物とし上述の化学式に示す端部にポリエチレンオキサイド鎖を有するボロン酸化合物(BO−PEO)を得た。
ついで、実施例1と同様にして得られたPVAからなる微細ファイバー集積体を用い、この微細ファイバー集積体4.0cm×4.0cmの大きさに切り取ったもの(9.0mg)に上記で得られたイオン伝導性化合物溶液全量を加え、25℃にて、24時間反応させて、本発明のナノファイバー集積体((ナノファイバー集積体3、図および表においてはPVA−BO−PEOと称する)を得た。
得られたナノファイバー集積体についてSEM写真を撮影した。SEM写真を図1(j)に示す。FT−IR測定を行った。その結果を図2(b)に示す。
実施例4、6で得られた表面修飾ナノファイバーのIR測定より、670cm
−1
付近にボロン酸エステルのB−Oに由来するピークが観測され、ボロン酸エステルを介した表面修飾反応が進行していることが示された。
【0046】
(実施例7) [ナノファイバー集積体1の複合膜(A−1)の作製](PEO/LiTFSIマトリクスとの複合化)
実施例1で得られたナノファイバー集積体1(PVA―Ac−P(MEO))に、イオン含有化合物として、高分子化合物(以下、高分子マトリクスという場合もある)を含浸させた。
高分子マトリクスは、LiTFSIを含有するポリエチレンオキシド(PEOのエーテル酸素24個に対してリチウムが1個配位してなるもの)であり、充填に際しては、純水7.1mLにポリエチレンオキシド(PEO)(Mw=2.0×10

)0.37g、LiTFSI0.10mgを加えたリチウム塩含有PEO溶液(電解質マトリクス溶液、電解質マトリクスの含有量3.0重量%)を用いた。リチウム塩含有PEO溶液を、ナノファイバー集積体1 20体積%に対して、高分子マトリクス80体積%となるようにキャストし、自然乾燥後、24時間真空乾燥して、ナノファイバー繊維集積体内部の空隙にイオン含有化合物としての高分子マトリクスが充填されてなる本発明の複合膜を作製した(以下この複合膜を「複合膜A−1」という)。
なお、膜厚は22μmであった。リチウムイオン化合物の含有量は、複合膜全体に対し17重量%であった。なおリチウムイオン化合物の含有量は除去されるのが溶媒のみであるため、仕込み比率と同じである。
実施例1で得られたナノファイバー集積体1(PVA―Ac−P(MEO))および複合膜(A−1)(PVA―Ac−P(MEO)+PEO/LiTFSI)の断面SEM観察結果を図3(a)(b)に示す。ナノファイバー集積体において観測された空隙が、マトリクス電解質との複合化により充填され、緻密な電解質膜を形成している様子が観察された。
【0047】
得られた複合膜をリチウムイオン二次電池、及びその高分子電解質膜として用いるために伝導度の測定を行った。
伝導度は以下の通り行った。
(伝導度評価)
・コイン型セルの作製]
得られた複合膜をアルゴンガスで充填したバキューム型グローブボックスmini(UNICO製)内に導入し、18φのポンチを用いて円状に抜き、48時間乾燥後、2032型コインセル部材である、ケース、ガスケット、ワッシャー、スペーサー、アルミ電極(いずれも宝泉製)を組合せてコイン電池を作製した。
・複合膜の伝導度測定
インピ−ダンスアナライザ−VersaSTAT3(東洋テクニカ社製)を用いて、0.1Hz〜5MHzまでの周波数応答性を測定して、実施例6で作製したコイン型セルにおけるナノファイバー複合膜の伝導度を測定した。なお、伝導度測定時の温度は、恒温槽を用いて、30℃および60℃に保持した。
式:電極間距離[cm]/サンプル面積[cm

]×抵抗[Ω])から、リチウムイオン伝導度A[S/cm]を算出した。30℃および60℃のイオン伝導度の結果を表2に示す。
【0048】
(比較例1)
実施例7で用いた高分子マトリクスのみを用いて、リチウム塩含有高分子マトリクスからなる単独膜(X−1)を作製した。得られた単独膜(X−1)の膜厚は 130μmであった。得られた膜について実施例7と同様の方法で伝導度測定を行い、その結果を表2に示す。単独膜(X−1)は60℃で高いイオン伝導性を示したが、この膜は溶融し十分な膜形状を維持できなかった。イオン伝導性が高かったのは、電極間距離が変化し見かけ上高い値を示したものと考えられ、全固体電池としては安定に利用できないと言える。
【0049】
(比較例2)
[PVAナノファイバー複合膜(X−2)の作製](PEO/LiTFSIマトリクスとの複合化)
実施例1と同様にして得られたPVAからなる微細ファイバー集積体を用い、高分子マトリクスは、LiTFSIを含有するポリエチレンオキシド(PEOのエーテル酸素24個に対してリチウムが1個配位してなるもの)を用いた。充填に際しては、純水7.1mLにポリエチレンオキシド(PEO)(Mw=2.0×10

)370mg、LiTFSI100mgを加えたリチウム塩含有PEO溶液(電解質マトリクス溶液、電解質マトリクスの含有量5.0重量%)を用いた。リチウム塩含有PEO溶液を、ナノファイバー集積体2 20体積%に対して、高分子マトリクス80体積%となるようにキャストし、自然乾燥後、24時間真空乾燥して、ナノファイバー繊維集積体内部の空隙にイオン含有化合物としての高分子マトリクスが充填されてなる本発明の複合膜を作製した(以下この複合膜を「複合膜(X−2)」という)。
なお、膜厚は22μmであった。リチウムイオン化合物の含有量は、複合膜全体に対し17重量%であった。
30℃および60℃のイオン伝導度の結果を表2に示す。
表2に示す結果から明らかなように、本発明の複合膜からなる高分子電解質膜は、室温付近の低温において優れたイオン伝導度を示すことがわかる。
【0050】
(比較例3)
[PANナノファイバー複合膜(X−3)の作製](PEO/LiTFSIマトリクスとの複合化)
ポリアクリロニトリル(PAN)を用いて、上述の特開2005−194675号公報に開示の吐出機を用いた製法に準じてPAN繊維からなる微細ファイバー集積体を得た。
得られた微細ファイバー集積体における、各微細ファイバーの繊維径(平均繊維径)は、300nmであり、平均繊維長は、100μm以上であった。また、微細ファイバー集積体の膜厚は、18μmであり、空隙率は、80%であった。
PANからなる微細ファイバー集積体を用い、高分子マトリクスは、LiTFSIを含有するポリエチレンオキシド(PEOのエーテル酸素24個に対してリチウムが1個配位してなるもの)である。充填に際しては、純水7.1mLにポリエチレンオキシド(PEO)(Mw=2.0×10

)370mg、LiTFSI100mgを加えたリチウム塩含有PEO溶液(電解質マトリクス溶液、電解質マトリクスの含有量5.0重量%)を用いた。リチウム塩含有PEO溶液を、ナノファイバー集積体20体積%に対して、高分子マトリクス80体積%となるようにキャストし、自然乾燥後、24時間真空乾燥して、ナノファイバー繊維集積体内部の空隙にイオン含有化合物としての高分子マトリクスが充填されてなる本発明の複合膜を作製した(以下この複合膜を「複合膜(X−3)」という)。
なお、膜厚は18μmであった。リチウムイオン化合物の含有量は、複合膜全体に対し17重量%であった。
30℃および60℃のイオン伝導度の結果を表2に示す。
(【0051】以降は省略されています)

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