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公開番号2019189001
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191031
出願番号2018083510
出願日20180424
発明の名称ドアビーム
出願人株式会社神戸製鋼所
代理人個人
主分類B60J 5/00 20060101AFI20191004BHJP(車両一般)
要約【課題】溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材からなるドアビームにおいて、衝突時の破断を生じにくくする。
【解決手段】本発明に係るドアビームは、長手方向(押出方向)に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材からなり、車体幅方向内側及び外側に配置される一対のフランジ2,3と、前記一対のフランジを接続する一対のウエブ4,5を備え、溶着部6,7が前記一対のウエブに設けられ、かつ車体幅方向への曲げ変形に対する曲げの中立軸8の近傍に位置する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
長手方向に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材からなるドアビームであり、車体幅方向内側及び外側に配置される一対のフランジと、前記一対のフランジを接続する一対のウエブを備え、前記溶着部が前記一対のウエブに設けられ、かつ車体幅方向への曲げ変形に対する曲げの中立軸の近傍に位置することを特徴とするドアビーム。
続きを表示(約 60 文字)【請求項2】
7000系アルミニウム合金押出材からなることを特徴とする請求項1に記載されたドアビーム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、閉断面構造のアルミニウム合金押出形材からなる自動車のドアビームに関する。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金押出形材からなるドアビームは、一般に、一対のフランジ(車体幅方向外側に位置するアウターフランジと、車体幅方向内側に位置するインナーフランジ)と、それらを連結する一対のウエブからなる(特許文献1参照)。ドアビームは、これらの一対のフランジ及びウエブにより、閉断面構造を有する。
【0003】
このような閉断面構造のアルミニウム合金押出形材は、ポートホールダイス、ブリッジダイス、スパイダーダイスなどのホローダイを用いて製造される。例えば、ポートホールダイスを用いた押出方法では、複数のポート孔を備えたマンドレルボディとダイスを組み合わせたポートホールダイスが使用される。ポートホールダイスに押し込まれたアルミニウムビレットは、前記ポート孔で分断された後、前記マンドレルを取り囲んで再び溶着して一体化し、内面を前記マンドレルで、外面を前記ダイスで成形されて閉断面構造の押出形材となる。このように、ホローダイを用いて製造された閉断面構造のアルミニウム合金押出形材には、必然的に溶着部が存在する。
【0004】
溶着部があるアルミニウム合金押出形材は、溶着部と溶着部以外(通常部)とで組織が異なり、前記溶着部の機械的性質、例えば破断限界が通常部に比べて低いことが問題となる。アルミニウム合金押出形材からなるドアビームにおいて、溶着部の破断限界が低いことは、ドアビームのエネルギー吸収部材としての強度及びエネルギー吸収量の低下を招く可能性がある。
一方、溶着部がある閉断面構造のアルミニウム合金押出形材について、例えば特許文献2〜5に記載されているように、材料組成や製造条件を改良することにより、溶着部の機械的性質を向上させることが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2006−233336号公報
特開平10−306338号公報
特開2003−154407号公報
特開2007−231408号公報
特開2009−45672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような材料組成や製造条件の改良によっても、アルミニウム合金押出形材の溶着部と通常部の機械的性質を同等にすることは難しい。
本発明は、このような溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材からなるドアビームにおいて、衝突時の破断を生じにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るドアビームの一形態は、長手方向(押出方向)に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材からなり、車体幅方向内側及び外側に配置される一対のフランジと、前記一対のフランジを接続する一対のウエブを備え、前記溶着部が前記一対のウエブに設けられ、かつ車体幅方向への曲げ変形に対する曲げの中立軸の近傍に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るドアビームの一形態において、溶着部が一対のウエブに設けられ、かつその位置が車体幅方向への曲げ変形に対する曲げの中立軸の近傍であることにより、衝突時にドアビームが曲げ変形する際に、前記溶着部に大きい曲げ荷重が掛かるのが防止される。それにより、衝突時に前記溶着部を起点とするウエブの変形が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明に係るドアビームの一形態を示す断面図(断面構造)である。
本発明に係るドアビームの別の形態を示す断面図(断面構造)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、本発明に係るドアビームの一形態について説明する。
図1に示すドアビーム1は、長手方向(押出方向)に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材からなる。ドアビーム1は、押出方向に垂直な断面で見たとき、一対のフランジ(内側フランジ2、外側フランジ3)と、それらを接続する一対のウエブ4,5からなる。内側フランジ2及び外側フランジ3はいずれも、一対のウエブ4,5との接続部から外側に突出した部分(突出フランジ2a,2b,3a,3b)を有する。ドア内において、内側フランジ2は車体幅方向内側に配置され、外側フランジ3は同外側に配置され、各フランジ2,3の幅方向がいずれも上下方向を向く。一対のフランジ2,3と一対のウエブ4,5はいずれも平板状で、互いに略垂直に形成されている。
なお、一対のウエブ4,5の間に1つ以上の中リブを設けても良い。また、図1に示すドアビーム1では、一対のフランジ2,3にはそれぞれ両端に突出フランジ2a,2b,3a,3bが設けられているが、その点は必須ではなく、一方又は両方のフランジに突出フランジが設けられていない断面形状であっても良い。
【0011】
ドアビーム1では、溶着部6,7が一対のウエブ4,5に形成され、その位置が車体幅方向への曲げ変形(衝突時の変形)に対する曲げの中立軸8上に位置している。ここで、曲げの中立軸8は、フランジ2,3に平行で、断面(押出方向に垂直な断面)の図心Cを通る軸である。この溶着部6,7は、ドアビーム1の長手方向(アルミニウム合金押出形材の押出方向)に沿って形成されている。
この断面構造では、ドアビーム1が衝突時に曲げ変形する際にウエブ4,5に係る曲げ荷重(長手方向への引張又は圧縮荷重)の大きさは、溶着部6,7の位置(中立軸8の位置)で実質的にゼロとなる。それにより、衝突時に溶着部6,7を起点とするウエブ4,5の変形が生じにくくなり、ドアビーム1のエネルギー吸収量の増加が期待できる。
【0012】
図2に本発明に係るドアビームの別の形態を示す。図2において、図1に示すドアビーム1と実質的に同じ部位に同じ番号を付与している。
図2に示すドアビーム11は、断面形状がドアビーム1と同じであるが、溶着部6,7の位置が中立軸8から少しフランジ3側(車体幅方向外側)にずれている。衝突時にドアビーム11が車体内側に向けて曲げ変形する際にウエブ4,5に掛かる曲げ荷重の大きさは、中立軸8からの距離にほぼ比例する。従って、このドアビーム11のように、溶着部6,7が中立軸8に近い位置に形成されている場合、ドアビーム11が衝突時に曲げ変形する際にウエブ4,5に掛かる曲げ荷重(長手方向への引張又は圧縮荷重)の大きさが、溶着部6,7の位置で小さい。
【0013】
溶着部6,7の位置は中立軸8に近いほど好ましい。従って、本発明に係るドアビームにおいて、溶着部6,7は中立軸8の近傍(中立軸8の位置自体を含む)に位置させる。本発明において中立軸8の近傍とは、フランジ2の表面から中立軸8までの距離をd

とし、中立軸8からフランジ3の表面までの距離をd

としたとき(図2参照)、概ね、中立軸8から車体幅方向内側に距離d

/5、車体幅方向外側に距離d

/5の範囲内(図2にAで示す範囲)を意味する。溶着部6,7が上記範囲A内に位置していれば、衝突時にドアビームが曲げ変形する際に、溶着部6,7に大きい曲げ荷重が掛かるのが防止されると考える。なお、溶着部6,7は、押出方向に垂直な断面において所定の幅(厚み)を有する。本発明において、溶着部6,7の幅の中心が上記範囲A内に位置するとき、溶着部6,7が上記範囲A内に位置するとみなす。溶着部に係る曲げ荷重をより軽減するとの観点からは、溶着部6,7がより中立軸8に近い位置、例えば中立軸8から車体幅方向内側に距離d

/10、車体幅方向外側に距離d

/10の範囲内に位置することが好ましい。
【0014】
溶着部は、ウエブ4,5だけでなく、フランジ2,3にも形成されてよい。衝突時にドアビームが曲げ変形する場合、曲げの内側及び外側に位置するフランジ2,3には大きい曲げ荷重(長手方向への引張又は圧縮荷重)が掛かるが、その曲げ荷重はフランジ2,3の幅全体に掛かるため、溶着部の存在がフランジ2,3の強度及び変形形態に大きい影響は及ぼさない。ウエブ4,5の間に中リブを設け、かつ前記中リブに溶着部を形成する場合、当該溶着部の位置は中立軸8の近傍に形成することが好ましい。
【0015】
本発明に係るドアビームの素材である閉断面構造のアルミニウム合金押出形材は、ポートホールダイス、ブリッジダイス、スパイダーダイスなどのホローダイを用いて製造される。前記溶着部6,7は、メタルフローがホローダイの中で一度分断され、その後一体化されることにより形成されたもので、アルミニウム合金押出形材の長手方向(押出方向)に沿って存在し、溶着部以外の部分(通常部)とはミクロ組織が異なる。溶着部は前記通常部に挟まれた領域であり、押出方向に垂直な断面において、その幅(厚み)は、アルミニウム合金押出材では一般に約2〜3mmである。なお、本発明に係るアルミニウム合金押出形材は、全体が単一のアルミニウム合金組成を有する。
【0016】
本発明に係るドアビームは、長手方向に真直な形態(曲げ加工されていない状態)を有していてもよく、他の形態として、長手方向に曲げ加工(いわゆる大R曲げ)が施され、それにより車体幅方向外側に凸湾曲した形状(例えば特開2015−147490号公報の図5(b)参照)を有していてもよい。本発明に係るドアビームのさらに他の形態として、長手方向の少なくとも一部にプレス加工(潰し加工)が施され、それにより長手方向の一部に一対のフランジの間隔が狭くなった潰し加工部を有していてもよい。
【0017】
本発明に係るドアビームの上記各形態において、衝突時の曲げ変形で高い強度を確保するには、中立軸8に近い一対のウエブ4,5より、中立軸8から遠い位置にある一対のフランジ2,3の肉厚を大きくした方が効果的である。一方、ホローダイを用いた押出の場合、互いに接続された2辺(フランジとウエブ)の肉厚差が3倍を超えると、欠肉などの製造不良が生じやすい。このため、本発明に係るドアビームの上記各形態において、フランジ2,3の肉厚は、ウエブ4,5の肉厚の1倍を超え、3倍以下に設定されていることが好ましい。フランジ2,3の肉厚は、より好ましくはウエブ4,5の肉厚の2〜3倍である。
【0018】
ドアビームの素材であるアルミニウム合金押出形材として、特に限定しないが、6000系アルミニウム合金押出形材に比べて破断限界が低く、応力腐食割れの問題が生じやすい高強度の7000系アルミニウム合金押出形材を好適に採用できる。7000系アルミニウム合金の組成としては、JIS又はAA規格で規定される組成が適用できる。好ましい組成として、Zn:3〜8質量%、Mg:0.4〜2.5質量%、Cu:0.05〜2.0質量%、Ti:0.005〜0.2質量%を含有し、さらにMn:0.01〜0.5質量%、Cr:0.01〜0.3質量%、Zr:0.01〜0.3質量%の1種以上を含有し、残部Al及び不純物からなる組成を挙げることができる。
【符号の説明】
【0019】
1,11 ドアビーム
2 内側フランジ
3 外側フランジ
4,5 ウエブ
6,7 溶着部

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