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公開番号2019179680
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191017
出願番号2018068656
出願日20180330
発明の名称弾性コネクタおよび弾性コネクタの製造方法
出願人積水ポリマテック株式会社
代理人個人
主分類H01R 11/01 20060101AFI20190920BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】強く圧縮された状態となった場合でも、抵抗値の変化割合の急激な増加を抑え、荷重上昇を緩和することが可能な弾性コネクタを提供すること。
【解決手段】絶縁性のゴム状弾性体でなるベース部11と、多数の導電粒子を配列して形成される導電部12とを有し、第1の接続対象物と第2の接続対象物との間に圧縮状態で配置されて、前記第1の接続対象物と前記第2の接続対象物とを導通接続する弾性コネクタ10であって、前記導電粒子は、金属層で被覆された永久磁石粒子である弾性コネクタと10した。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
絶縁性のゴム状弾性体でなるベース部と、
多数の導電粒子を配列して形成される導電部とを有し、
第1の接続対象物と第2の接続対象物との間に圧縮状態で配置されて、前記第1の接続対象物と前記第2の接続対象物とを導通接続する弾性コネクタであって、
前記導電粒子は、金属層で被覆された永久磁石粒子である弾性コネクタ。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
前記導電粒子は扁平形状である請求項1記載の弾性コネクタ。
【請求項3】
前記導電粒子のアスペクト比が2以上である請求項1または請求項2記載の弾性コネクタ。
【請求項4】
前記永久磁石は、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石から選択される少なくとも一の永久磁石である請求項1〜請求項3何れか1項記載の弾性コネクタ。
【請求項5】
前記金属層は、銀、金、白金、銅から選択される少なくとも一の金属からなる請求項1〜請求項4何れか1項記載の弾性コネクタ。
【請求項6】
前記金属層の膜厚が0.5〜5.0μmである請求項1〜請求項5何れか1項記載の弾性コネクタ。
【請求項7】
前記ベース部は、A硬度で5.0〜25である請求項1〜請求項6何れか1項記載の弾性コネクタ。
【請求項8】
磁性導電粒子を配合した液状高分子を成形用金型に注入した後、金型内の所望の箇所に磁力を与え、この磁力によって磁性導電粒子を配向させた後に液状高分子を架橋させ、導電部とベース部とを一体成形する弾性コネクタの製造方法において、
前記磁性導電粒子として金属層で被覆された着磁前の永久磁石粒子を前記液状高分子に配合し、前記液状高分子を架橋させた後、当該着磁前の永久磁石粒子を着磁することを特徴とする弾性コネクタの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の接続対象物と第2の接続対象物とを導電接続するための弾性コネクタ及び当該弾性コネクタの製造方法に関する。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
電子機器の内部に組み込まれるマイクロフォンやスピーカ、電池など様々な電子部品、基板電極と筐体等を電気的に接続するために弾性コネクタが用いられている。弾性コネクタは、絶縁性のゴム状弾性体中に、多数の導電粒子を配列して形成した導電部を有する部材であり、電子部品や基板、筐体等の接続対象部材どうしの間に圧縮状態で配置することで、それらの接続対象部材どうしを電気的に接続する。こうした弾性コネクタは、例えば、特開2003−59601号公報(特許文献1)などに記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2003−59601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弾性コネクタは、電子部品等の僅かな隙間に挿入されて用いられることから、元来小さなものであることが多く、従って、組み付けの際、基板の反りや筐体に生じる歪みを抑制するため、公差も小さい事が要求される。しかしながら、市場の製品ニーズの多様化から、ポータブル電子機器製品の多種多様化が急速に進んだことに伴い、弾性コネクタに要求される仕様も変化している。即ち、市場からはコスト低減のために公差の大きな他部品の組み付けで生じた、積み上げ公差を吸収できるような弾性コネクタが求められている。
【0005】
製品に要求される公差が広いということは、使用状態で強く圧縮された状態でも安定した性能を発揮する弾性コネクタが求められていることになる。しかしながら従来の弾性コネクタでは、圧縮率が30%以上の高圧縮状態になってくると、導電粒子の配列が乱れて、抵抗値が急激に上昇するおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、高圧縮状態となった場合でも、急激な抵抗値の上昇を抑えることができる弾性コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の弾性コネクタは以下のとおり構成される。即ち、絶縁性のゴム状弾性体でなるベース部と、多数の導電粒子を配列して形成される導電部とを有し、第1の接続対象物と第2の接続対象物との間に圧縮状態で配置されて、前記第1の接続対象物と前記第2の接続対象物とを導通接続する弾性コネクタであって、前記導電粒子は、金属層で被覆された永久磁石粒子である弾性コネクタとした。
【0008】
絶縁性のゴム状弾性体でなるベース部と、多数の導電粒子を配列して形成される導電部とを有し、第1の接続対象物と第2の接続対象物との間に圧縮状態で配置されて、前記第1の接続対象物と前記第2の接続対象物とを導通接続する弾性コネクタであるから、筐体や電子部品、基板等の間に挟んで用いることができ、第1の接続対象物と第2の接続対象物とを導電接続することができる。そして、前記導電粒子がより低抵抗の金属層で被覆された永久磁石粒子であることから、例えば圧縮率が30%以上となる高圧縮の状態にあっても、永久磁石粒子の磁力により導電粒子どうしが引き合って離間し難くなると考えられ、抵抗値の変化割合の急激な増加を抑えることができ、安定した導電性を確保できる。なお、圧縮時には弾性コネクタが潰れ、弾性コネクタへの圧縮方向に対する直交方向に広がろうとするため、永久磁石ではない導電粒子を用いた従来の弾性コネクタの場合には、導電粒子で形成される配向が乱れ、特に導電粒子どうしが離れる現象が生じ易いことから抵抗値の変化割合の急激な増加が起きたものと考えられる。
【0009】
一般的に製品を造る際には、複数の部品を組み合わせるため、1つ1つの公差は問題なくともそれぞれの部品の公差を合わせた積み上げ公差が大きくなり、接続部分の隙間が開き接続できない、あるいは逆に隙間が狭まり、部品同士が過度に圧接される事で基板や筐体に歪みを生じることがしばしば問題となる。この問題に対し、本発明では従来よりも抵抗値の変化割合が増加しにくいため、幅広い圧縮領域で安定した導電接続が可能となる。これは、即ち、広い公差範囲に対応した導電接続を可能とする。なお、従来品よりも低圧縮領域の抵抗値の変化割合の下がり方が緩やかになっているが、必要な抵抗値の変化割合を得るための弾性コネクタの圧縮量は、初期高さを適当に設計することで調節が出来る。
【0010】
前記導電粒子は扁平形状であるものとして構成できる。導電粒子を扁平形状に構成したため、弾性コネクタを高圧縮した時に、圧縮方向へコンパクトに導電粒子の配列が折れ曲がり、弾性コネクタを圧縮する荷重(圧縮荷重または押圧荷重)の上昇を抑えることができる。そのため、弾性コネクタを圧縮した際の反発により接続対象部材が受ける応力を少なくでき、いわゆる弾性コネクタの低荷重化を実現できる。
【0011】
前記導電粒子のアスペクト比が2以上であるものとして構成できる。前記導電粒子のアスペクト比を2以上としたため、この長軸状の導電粒子は、弾性コネクタを高圧縮した時に、圧縮方向へ配列が折れ曲がり、弾性コネクタへの圧縮荷重の上昇を抑えることができる。そのため、弾性コネクタの低荷重化を実現できる。
【0012】
前記永久磁石は、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石から選択される少なくとも一の永久磁石であるものとして構成できる。前記永久磁石をネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石から選択される少なくとも一の永久磁石で構成したため、特に弾性コネクタを高圧縮率状態で使用する場合に、ネオジム磁石等の持つ強力な磁力により導電粒子どうしが引き合い、離間し難い状態となり、抵抗値の変化割合の急激な増加を抑えることができ、安定した導電性を確保することができる。
【0013】
前記金属層は、銀、金、白金、銅から選択される少なくとも一の金属からなるものとして構成できる。前記金属層は、銀、金、白金、銅から選択される少なくとも一の金属からなるものとして構成したため、安定した導電性をもたらすことができる。
【0014】
前記金属層の膜厚が0.5〜5.0μmであるものとして構成できる。前記金属層の膜厚を0.5〜5.0μmとしたため、安定的な導電性を確保することができる。
【0015】
前記ベース部は、A硬度で5.0〜25であるものとして構成できる。前記ベース部を、A硬度で5.0〜25として構成したため、弾性コネクタの低荷重化を実現でき、また、安定した抵抗値を維持することができる。
【0016】
さらに本発明は、磁性導電粒子を配合した液状高分子を成形用金型に注入した後、金型内の所望の箇所に磁力を与え、この磁力によって磁性導電粒子を配向させた後に液状高分子を架橋させ、導電部とベース部とを一体成形する弾性コネクタの製造方法について、前記磁性導電粒子として金属層で被覆された着磁前の永久磁石粒子を前記液状高分子に配合し、前記液状高分子を架橋させた後、当該着磁前の永久磁石粒子を着磁することを特徴とする弾性コネクタの製造方法として構成することができる。
【0017】
本発明を、磁性導電粒子を配合した液状高分子を成形用金型に注入した後、金型内の所望の箇所に磁力を与え、この磁力によって磁性導電粒子を配向させた後に液状高分子を架橋させ、導電部とベース部とを一体成形する弾性コネクタの製造方法について、前記磁性導電粒子として金属層で被覆された着磁前の永久磁石粒子を前記液状高分子に配合し、前記液状高分子を架橋させた後、当該永久磁石粒子を着磁することを特徴とする弾性コネクタの製造方法として構成したため、金属層で被覆された永久磁石粒子を含有しながら、この粒子が弾性コネクタの圧縮方向に沿うように配向した導電部を容易に形成できる。そのため、金属層で被覆された永久磁石粒子を含有した弾性コネクタの製造を確実かつ容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の弾性コネクタによれば、圧縮率の変化に伴う抵抗値の変化割合の急激な増加を抑え、荷重上昇を緩和することができる。また、本発明の弾性コネクタの製造方法によれば、こうした弾性コネクタの導電部の形成が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の弾性コネクタであり、分図1(a)は弾性コネクタの平面図を、分図1(b)はそのIB−IB線断面図をそれぞれ示す。
荷重抵抗試験機の概略説明図である。
弾性コネクタの圧縮率(%)と抵抗値の変化割合の関係を示すグラフ図である。
弾性コネクタの圧縮率(%)と圧縮荷重(N)の関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の弾性コネクタ10の一実施形態を図1の平面図と断面図で示す。これらの図で示すように、弾性コネクタ10は、絶縁性のゴム状弾性体でなるベース部11と、圧縮する方向に沿って配列する導電粒子でなる導電部12とを有している。
【0021】
この弾性コネクタ10は、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に配置される。弾性コネクタ10は、少なくとも第1の接続対象物又は第2の接続対象物の押圧力を受けて、それらの間に挟持される。これにより弾性コネクタ10は、第1の接続対象物と第2の接続対象物とを導通接続する電気コネクタとして用いられる。
【0022】
なお、「第1の接続対象部材」と「第2の接続対象部材」としては、基板の回路接点、電子部品、接続端子又は接地接続するための金属製の筐体等により構成することができる。
【0023】
ベース部11は、導電接点となる導電部12の露出部分以外を被覆しつつこの導電部12と一体化している。ベース部11は絶縁性のゴム状弾性体からなり、材質としては、天然ゴムや、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロプレンゴム、クロロスルホンゴム、ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル熱可塑性エラストマー、フッ化系樹脂熱可塑性エラストマー、イオン架橋系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。なかでも、電気絶縁性、及び環境特性に優れるシリコーンゴムが好ましい。また、金型中で加熱硬化して弾性コネクタ10を製造する場合は熱硬化性ゴムであることが好ましく、なかでも耐熱性の高いシリコーンゴムやフッ素ゴムがより好ましい。
【0024】
ベース部11の硬度は、JISK6253に準じてA硬度で5.0〜25の範囲が好ましく、15〜20の範囲がより好ましい。A硬度が25を超えると弾性コネクタを圧縮した際の圧縮荷重が上昇し筐体にかかる負荷が大きくなる。A硬度が5.0を下回ると弾性コネクタを圧縮した際に、弾性コネクタが潰れ易くなり、容易に座屈して粒子どうしが離れ易くなり、安定した導電性を確保できないおそれがある。
【0025】
導電部12は、ベース部11内を貫通するように形成され、基板や筐体等の第1接続対象物と第2接続対象物との間を導通させる導通路となる部位である。ゴム状弾性体に分散した導電粒子、即ち金属層で被覆された永久磁石粒子が弾性コネクタを圧縮する方向に沿って配向することで形成される。
【0026】
本発明における永久磁石粒子とは、一度、着磁工程を経れば磁力が備わり、それ以降は、外部からの磁場や電流の供給を受けなくても、常温において減磁が少ない磁石としての性質を比較的長期にわたって保持し続けるものをいう。
【0027】
永久磁石としては、ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石などを例示することができる。またその性質は、異方性でも等方性でもどちらの性質を有していても良い。これらの磁石の中では、サマリウムコバルト磁石が比較的着磁後の磁力が強い点で好ましく、ネオジム磁石がより着磁後の磁力が強い点でより好ましい。弾性コネクタが高圧縮状態になった場合に、磁力が強い方が、導電粒子どうしが磁力で引き付け合うため離間し難い状態をとり易いと考えられ、結果として、抵抗値の変化割合の急激な増加を抑えることができ、安定した導電性を確保できるからである。また、サマリウムコバルト磁石は、高温環境下における減磁の影響を受け難い点で、高温環境下で用いられる製品に適用する場合に好ましい。
【0028】
永久磁石粒子の平均粒子径(D50)は、70〜120μmであることが好ましい。この平均粒子径は、レーザー回折散乱法(JIS R1629)により測定した粒度分布の体積平均粒径で表すことができる。70μmよりも小さいと磁場配向時に配向しづらくなり、また、120μmよりも大きいとベース部と配合した後に、自重で沈降し易くなり、均一な導電部を得られなくなるからである。
【0029】
永久磁石粒子の形状は、長軸状であることが好ましく、アスペクト比では2以上であることが好ましい。粒子の軸方向が弾性コネクタに対する圧縮方向に沿って配列していた永久磁石粒子群が、弾性コネクタに対する高圧縮状態の際に、直列する粒子どうしが接触したままで「く」の字状に折りたたまれるように変形することで、荷重上昇を緩和する作用が働き、弾性コネクタの低荷重化を実現することができると考えられるからである。アスペクト比が2より下回ると、球状や立方体形状に近くなり、折りたたみ現象が起き難くなるものと考えられ、圧縮荷重を低く抑える効果が乏しくなる。
【0030】
また、永久磁石粒子の形状は、鱗片形状や平板形状とも表現される扁平形状であることがより好ましい。弾性コネクタを高圧縮した場合に、例えれば短冊状の折り紙が折り曲がっていくような現象が発生し、より圧縮方向へコンパクトに折りたたまれるため、荷重上昇を緩和する作用がより一層高まり、弾性コネクタの低荷重化が実現できると考えられるからである。
【0031】
永久磁石粒子を被覆する金属層は、銅や亜鉛、ニッケル、クロム等の導電性の金属により形成される層とすることができ、導電性が高い銀や、金、白金、銅またはこれらの混合により形成される層が好ましい。導電性向上の観点からは導電性が最も高い銀がより好ましい。金属層で永久磁石粒子を被覆することで、粒子に導電性を付与して導電路を形成することができる。
【0032】
この金属層の膜厚は0.5〜5.0μmの範囲が好ましく、1.0〜3.0μmの範囲がより好ましい。0.5μmの膜厚より薄いと導通し難くなるおそれがあり、逆に5.0μmより膜厚が大きいと、コストが増大するのは勿論のこと、永久磁石粒子間の距離が空き過ぎ、永久磁石粒子どうしの引き付けが弱まるおそれがある。なお、金属層の膜厚は、導電部をカットした時の断面を、光学顕微鏡やSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することで確認することができる。また、金属層で被覆された永久磁石粒子単体をカットした断面観察から膜厚を測定するものでも良い。
【0033】
金属層で被覆された永久磁石粒子の一の好ましい実施態様としては、膜厚0.7μmの銀層で被覆した鱗片状の等方性ネオジム磁石フィラーが挙げられる。このネオジム磁石フィラーの粒度分布は、レーザー回折散乱法(JIS R1629)により測定したD50が80μmであり、アスペクト比が1:2〜1:5の範囲の粒子を含むものである。また、ネオジム磁石フィラーの組成比は、重量比にしてネオジム30%、ホウ素1%、鉄65%、その他の組成を構成するものとしては、コバルト、ジスプロシウム、プラセオジム、ガリウム等が挙げられる。磁気特性として残留磁束密度が1300mT程度、最大エネルギー積が300kJ/m

程度、保持力が1100kA/m程度のものである。
【0034】
なお、このネオジム磁石フィラーのアスペクト比は、ネオジム磁石フィラー単体の短径に対する長径の比であり、この短径及び長径は、ネオジム磁石フィラー単体がゴム状弾性体に分散している弾性コネクタ10の切断断面の観察によって測定したものであるが、ネオジム磁石フィラー単体の状態で測定されても良い。また、後述する弾性コネクタ10の製造方法で説明するように、ネオジム磁石フィラーは、液状高分子の中で磁場配向し、この液状高分子を硬化させた後に着磁されることが好ましい。即ち、弾性コネクタ10の製造過程で着磁されるものであって、着磁されたネオジム磁石フィラーを原材料として用いることは好ましくない。所望の状態に配向した導電部12を形成することが困難だからである。
【0035】
弾性コネクタ10の製造の一例を次に説明する。最初に、弾性コネクタ10の成形と導電粒子の配列化を行う成形工程を行う。硬化させることでゴム状弾性体となる液状高分子に磁性導電粒子を分散させ金型のキャビティー内に注型する。液状高分子に混合されている磁性導電粒子は、この段階では着磁されておらず永久磁石粒子にはなっていない。次に、キャビティーに磁場を印加して、分散している磁性導電粒子を接触させて連なった状態にするために磁場方向に沿って配向させる。その後、液状高分子を架橋硬化させて、磁性導電粒子が硬化した高分子内で一定方向に磁性導電粒子が配向してなる弾性コネクタ10が得られる。この段階でもまた磁性導電粒子は永久磁石粒子にはなっていない。
【0036】
次に、磁性導電粒子を永久磁石化する着磁工程を行う。成形された弾性コネクタ10を、例えば着磁コイル内に配置し、着磁電源に電圧を印加して着磁コイル内に磁場を誘起させる。これにより磁性導電粒子を永久磁石化することができる。以上2つの工程に従い、金属層で被覆された永久磁石粒子が導電部を形成する弾性コネクタ10を製造することができる。
【0037】
弾性コネクタ10は、抵抗値の変化割合の急激な増加を抑え、荷重上昇を緩和することができる。特に圧縮率が30%以上の高圧縮時においても抵抗値の変化割合の急激な増加を抑えることから、公差が広い弾性コネクタ10とすることができる。
【実施例】
【0038】
次に実施例に基づいて本発明をさらに詳しく説明するが、本実施例では、本発明の弾性コネクタを比較例とともに製造し、所定の荷重抵抗試験を行って比較例との特性比較を行った。
【0039】
<弾性コネクタの製造>: 液状シリコーンゴム内に磁性導電粒子を分散させて得た液状組成物を金型内に入れ、磁性導電粒子を磁場配向させた後、液状シリコーンゴムを熱硬化した。こうして得られた弾性コネクタ1の形状は図1で示す形状であり、その大きさは、導電部の高さが1.3mm、直径が0.7mmであり、この導電部の周囲のベース部を含めた上面の幅が1.2mm、同様に導電部12の周囲のベース部11を含めた底面の幅が1.5mmであり、ベース部のA硬度は15である。また、磁性導電粒子は、すでに好ましい一態様として説明したものであり、膜厚0.7μmの銀層で被覆した鱗片状の等方性ネオジム磁石フィラーである。磁性導電粒子を永久磁石化する着磁工程は、この弾性コネクタを、径90mmの着磁コイル内に配置して約3Tの磁場を電磁コイル内に誘起させることで行った。こうして試料1の弾性コネクタ1を得た。
【0040】
また、銀層で被覆したネオジム磁石フィラー(「銀被覆ネオジム磁石フィラー」ともいう)に代えて、銀層で被覆したニッケルフィラー(「銀被覆ニッケルフィラー」ともいう)を用いて比較例となる弾性コネクタ1を製造した。この銀被覆ニッケルフィラーは、平均粒径が35μmであり、銀層の膜厚が0.98μm、ニッケルフィラーの形状は球状である。なお、比較例では着磁工程は行わないが、それ以外は実施例と同一とした。こうして試料2の弾性コネクタ1を得た。
【0041】
<弾性コネクタの荷重抵抗試験>: 弾性コネクタに対する荷重抵抗試験について次に説明する。荷重抵抗試験は、弾性コネクタが圧縮された状態の圧縮荷重と、その際の抵抗値との関係を調べる試験である。この試験に用いる荷重抵抗試験機8の模式図を図2に示す。荷重抵抗試験機8は、等電流源4(エーディーシー社製「6146」)と電圧ロガー5(エー・アンド・デイ社製「Remote Scanner Jr. DC3100」)、ロードセル6(アイコーエンジニアリング社製「MODEL−3005」)、ゲージセンサ7(小野測器社製「GS−1630」を有し、)と、金メッキが施されたプリント基板2と、金押子3を有している。弾性コネクタ1はプリント基板2に乗せ、金押子3で圧縮される。
【0042】
プリント基板2と金押子3はそれぞれ等電流源4と電圧ロガー5に電気的に接続がされており、金押子3が弾性コネクタ1を圧縮すると、弾性コネクタ1を挟んだ金押子2から電圧ロガー5により、弾性コネクタ1の抵抗を測定するための回路が形成される。また、金押子3はロードセル6に実装され、ロードセル6の上部にゲージセンサ7が実装されており、ロードセル6とゲージセンサ7はそれぞれ電圧ロガー5と電気的に接続がされて、電圧ロガー5とロードセル6により弾性コネクタ1の圧縮に伴う荷重を測定するための回路が形成され、電圧ロガー5とゲージセンサ7により弾性コネクタ1の圧縮量を測定するための回路が形成される。
【0043】
上記回路の電流は等電流源4により1mAに固定しており、電圧ロガー5で読み取られた電圧(mV)の値を固定電流(1mA)の値で除することにより、圧縮により変化する弾性コネクタ1の抵抗値(Ω)を算出した。また、弾性コネクタ1の圧縮に伴うロードセル6内の抵抗の変化と、弾性コネクタ1の圧縮に伴うゲージセンサ7内の抵抗の変化を電圧ロガー5によりそれぞれ電圧として読み取り、それらの値から弾性コネクタ1を圧縮した際の圧縮荷重値と圧縮量を算出した。実際の測定では、弾性コネクタ1として試料1及び試料2のそれぞれの弾性コネクタ1を毎分1mmの速度で圧縮し、0.5秒毎の経時的な抵抗、荷重、圧縮量の値を電圧ロガー5により記録し、各圧縮率における抵抗と荷重の値を算出した。そしてこれらの値に基づき、圧縮率と抵抗値の変化割合の関係を図3に示した。また、圧縮率と荷重との関係を図4に示した。なお、図3及び図4において、実線は試料1を、破線は試料2をそれぞれ示す。また、抵抗値の変化割合については、それぞれの試料における最低抵抗値を基準にした。
【0044】
<考 察>:図3より、試料2の弾性コネクタでは、圧縮率が30%を超えたあたりから、急激に抵抗値の変化割合が大きくなっているのに対し、試料1の弾性コネクタでは、圧縮率が高くなっても、抵抗値の変化割合が緩やかに上昇するに留まり、急激に大きくなることはなかった。また、試料2では圧縮率が44%のときに抵抗値の変化割合が22.5となったのに対して、試料1では圧縮率が48%のときに抵抗値の変化割合が3.5となった。これらの結果から、試料1では試料2よりも抵抗値の変化割合を大幅に抑えることができることがわかった。なお、抵抗値の変化割合とは、その弾性コネクタの発揮する最低抵抗値に対してある圧縮時における抵抗値の割合(ある圧縮時における抵抗値/最低抵抗値)をいう。
【0045】
図4より、圧縮率が40%や50%のときに、試料1と試料2の弾性コネクタを比較すると、試料2では試料1の約2倍以上に荷重がかかっており、このことから、試料1は試料2と比べて荷重上昇を半分以下に抑えることができることがわかった。
【0046】
上記実施形態は本発明の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態の変更または公知技術の付加や、組合せ等を行い得るものであり、それらの技術もまた本発明の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の弾性コネクタは、圧縮率が変化し易いような製品、筐体間の間隔が変化し易いような製品、または、筐体への振動が加わり易い使用環境(筐体間の間隔が変化し易い)で使われる製品に対して好適に適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 弾性コネクタ
2 プリント基板
3 金押子
4 等電流源
5 電圧ロガー
6 ロードセル
7 ゲージセンサ
8 荷重抵抗試験機
10 弾性コネクタ
11 ベース部
12 導電部

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三菱製紙株式会社
導電材料積層体
サンケン電気株式会社
半導体装置
株式会社ユーシン
操作装置
エイブリック株式会社
半導体装置