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公開番号2019178337
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191017
出願番号2019114900
出願日20190620
発明の名称作動媒体含有組成物
出願人AGC株式会社
代理人特許業務法人 志賀国際特許事務所
主分類C10M 107/24 20060101AFI20190920BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】燃焼性が抑えられ、オゾン層への影響が少なく、地球温暖化への影響が少なく、かつサイクル性能(効率および能力)に優れる熱サイクルシステムを与える熱サイクル用作動媒体、および安全性が確保され、サイクル性能(効率および能力)に優れる熱サイクルシステムを提供する。
【解決手段】1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む作動媒体とエーテル系潤滑油とを含む作動媒体含有組成物を、熱サイクルシステム(ランキンサイクルシステム、ヒートポンプサイクルシステム、冷凍サイクルシステム10、熱輸送システム等)に用いる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む作動媒体とエーテル系潤滑油とを含む、作動媒体含有組成物。
続きを表示(約 570 文字)【請求項2】
前記エーテル系潤滑油が、ポリビニルエーテル油およびポリオキシアルキレン系潤滑油からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の作動媒体含有組成物。
【請求項3】
前記エーテル系潤滑油の含有量が、作動媒体(100質量部)に対して、10〜100質量部である、請求項1または2に記載の作動媒体含有組成物。
【請求項4】
前記作動媒体の水分濃度が、100ppm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の作動媒体含有組成物。
【請求項5】
安定剤をさらに含む、請求項1〜4いずれか一項に記載の作動媒体含有組成物。
【請求項6】
前記安定剤の含有量が、作動媒体含有組成物100質量%中5質量%以下である請求項5に記載の作動媒体含有組成物。
【請求項7】
漏れ検出物質をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の作動媒体含有組成物。
【請求項8】
前記漏れ検出物質が、紫外線蛍光染料、臭気ガスまたは臭いマスキング剤である、請求項7に記載の作動媒体含有組成物。
【請求項9】
前記漏れ検出物質含有量が作動媒体含有組成物100質量%中2質量%以下である、請求項7または8に記載の作動媒体含有組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、作動媒体含有組成物に関する。
続きを表示(約 11,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来、冷凍機用冷媒、空調機器用冷媒、発電システム(廃熱回収発電等)用作動流体、潜熱輸送装置(ヒートパイプ等)用作動媒体、二次冷却媒体等の熱サイクル用作動媒体としては、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のクロロフルオロカーボン(CFC)、またはクロロジフルオロメタン等のヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)が用いられてきた。しかし、CFCおよびHCFCは、成層圏のオゾン層への影響が指摘され、現在、規制対象となっている。
【0003】
そこで、熱サイクル用作動媒体としては、オゾン層への影響が少ない、ジフルオロメタン(HFC−32)、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン等のヒドロフルオロカーボン(HFC)が用いられている。しかし、HFCは、地球温暖化の原因となる可能性が指摘されている。そのため、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化係数の小さい熱サイクル用作動媒体の開発が急務となっている。
【0004】
たとえば、自動車空調機器用冷媒として用いられている1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)は、地球温暖化係数が1430(100年値)と大きい。しかも、自動車空調機器においては、接続ホース、軸受け部等から冷媒が大気中へ漏洩する確率が高い。
【0005】
HFC−134aに代わる冷媒としては、二酸化炭素、およびHFC−134aに比べて地球温暖化係数が124(100年値)と小さい1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)が検討されている。
しかし、二酸化炭素は、HFC−134aに比べて機器圧力が極めて高くなるため、全ての自動車へ適用するためには、多くの解決すべき課題を有する。HFC−152aは、燃焼範囲を有しており、安全性を確保するための課題を有する。
【0006】
燃焼性が抑えられ、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が少ない熱サイクル用作動媒体としては、燃焼性を抑えるハロゲンの割合が多く、かつ大気中のOHラジカルによって分解されやすい炭素−炭素二重結合を有する、ヒドロクロロフルオロプロペン等のヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、クロロフルオロオレフィン(CFO)が考えられる。
ヒドロクロロフルオロプロペンとしては、たとえば、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)(HCFO−1233zd(E))が知られている(特許文献1)。
しかし、HCFO−1233zd(E)を熱サイクル用作動媒体として用いた場合、サイクル性能(能力)が不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開第2010/077898号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、燃焼性が抑えられ、オゾン層への影響が少なく、地球温暖化への影響が少なく、かつサイクル性能(効率および能力)に優れる熱サイクルシステムを与える熱サイクル用作動媒体、および安全性が確保され、サイクル性能(効率および能力)に優れる熱サイクルシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記[1]〜[9]の発明である。
[1] 1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(以下、HCFO−1224ydとも記す。)を含む作動媒体とエーテル系潤滑油とを含む、作動媒体含有組成物。
[2] 前記エーテル系潤滑油が、ポリビニルエーテル油およびポリオキシアルキレン系潤滑油からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]の作動媒体含有組成物。
[3]前記エーテル系潤滑油の含有量が、作動媒体(100質量部)に対して、10〜100質量部である、[1]または[2]の作動媒体含有組成物。
[4] 前記作動媒体の水分濃度が、100ppm以下である、[1]〜[3]のいずれかの作動媒体含有組成物。
[5] 安定剤をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかの作動媒体含有組成物。
[6] 前記安定剤の含有量が、作動媒体含有組成物100質量%中5質量%以下である[5]の作動媒体含有組成物。
[7] 漏れ検出物質をさらに含む[1]〜[6]のいずれかの作動媒体含有組成物。
[8] 前記漏れ検出物質が、紫外線蛍光染料、臭気ガスまたは臭いマスキング剤である、[7]の作動媒体含有組成物。
[9] 前記漏れ検出物質含有量が作動媒体含有組成物100質量%中2質量%以下である、[7]または[8]の作動媒体含有組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の作動媒体は、ハロゲンの割合が多いHCFO−1224ydを含むため、燃焼性が抑えられる。また、大気中のOHラジカルによって分解されやすい炭素−炭素二重結合を有するHCFO−1224ydを含むため、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が少ない。また、HCFO−1224ydを含むため、サイクル性能(効率および能力)に優れる熱サイクルシステムを与える。
本発明の熱サイクルシステムは、燃焼性が抑えられた本発明の作動媒体を用いているため、安全性が確保されたものとなる。
また、熱力学性質に優れる本発明の作動媒体を用いているため、サイクル性能(効率および能力)に優れる。また、効率が優れていることから、消費電力の低減が図れるともに、能力が優れていることから、システムを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
冷凍サイクルシステムの一例を示す概略構成図である。
冷凍サイクルシステムにおける作動媒体の状態変化を温度−エントロピ線図上に記載したサイクル図である。
冷凍サイクルシステムにおける作動媒体の状態変化を圧力−エンタルピ線図上に記載したサイクル図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<作動媒体>
本発明の作動媒体は、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むものである。
本発明の作動媒体は、必要に応じて、炭化水素、HFC、HFOなどの、HCFO−1224ydとともに気化、液化する他の作動媒体を含んでもよい。また、本発明の作動媒体は、作動媒体とともに使用される作動媒体以外の成分と併用することができる(以下、作動媒体と作動媒体以外の成分を含む組成物を作動媒体含有組成物という)。作動媒体以外の成分としては、潤滑油、安定剤、漏れ検出物質、乾燥剤、その他の添加剤等が挙げられる。
HCFO−1224ydの含有量は、作動媒体(100質量%)中、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
【0013】
(炭化水素)
炭化水素は、鉱物系潤滑油に対する作動媒体の溶解性を向上させる作動媒体成分である。
炭化水素としては、炭素数が2〜5であるのが好ましく、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
炭化水素としては、具体的には、プロパン、プロピレン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタンおよびイソペンタンが好ましく、特に、プロパン、ブタン、イソブタンが好ましい。
炭化水素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
炭化水素の含有量は、作動媒体(100質量%)中、1〜40質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。炭化水素が1質量%以上であれば、作動媒体への潤滑油の溶解性が充分に向上する。炭化水素が40質量%以下であれば、作動媒体の燃焼性を抑制するのに効果がある。
【0015】
(HFC)
HFCは、熱サイクルシステムのサイクル性能(能力)を向上させる作動媒体成分である。
HFCとしては、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が小さいHFCが好ましい。
【0016】
HFCとしては、炭素数が1〜5であるのが好ましく、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
HFCとしては、具体的には、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ペンタフルオロブタン、ヘプタフルオロシクロペンタン等が挙げられる。なかでもオゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が小さい点から、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)およびペンタフルオロエタン(HFC−125)が特に好ましい。
HFCは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
作動媒体(100質量%)中のHFCの含有量は、1〜99質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましい。たとえば、HFCがHFC−134aの場合、1〜99質量%の範囲で成績係数の大きな低下を生じることなく冷凍能力が向上する。HFC−245faの場合、1〜40質量%の範囲で成績係数および冷凍能力が向上する。HFC−125の場合、1〜40質量%の範囲で、成績係数の大きな低下なく、冷凍能力が大幅に向上する。HFC−32の場合、1〜20質量%の範囲で、成績係数の低下を生じることなく冷凍能力が大幅に向上する。HFC−152aの場合、1〜99質量%の範囲で成績係数の低下を生じることなく冷凍能力が大幅に向上する。作動媒体の要求特性に応じてHFC含有量の制御を行うことができる。
【0018】
(HFO)
HFOは、熱サイクルシステムのサイクル性能(能力)を向上させる作動媒体成分である。
HFOとしては、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が小さいHFOが好ましい。
【0019】
HFOとしては、炭素数が2〜5であるのが好ましく、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
HFOとしては、具体的には、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン等が挙げられる。なかでもオゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が小さい点から、1,1−ジフルオロエチレン(HFO−1132a)、1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)、および1,1,2−トリフルオロエチレン(HFO−1123)が特に好ましい。
なお、HFO−1132はE体及びZ体が存在するが、どちらでもよく、それらの混合物であってもよい。
HFOは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
HFOの含有量は、作動媒体(100質量%)中、1〜99質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましい。HFOの含有量が1〜40質量%であれば、HCFO−1224ydの作動媒体に比べ、サイクル性能(効率および能力)に優れる熱サイクルシステムを与える。
【0021】
(潤滑油)
作動媒体含有組成物に使用される潤滑油としては、熱サイクルシステムに用いられる公知の潤滑油が用いられる。
潤滑油としては、含酸素系合成油(エステル系潤滑油、エーテル系潤滑油等)、フッ素系潤滑油、鉱物油、炭化水素系合成油等が挙げられる。
【0022】
エステル系潤滑油としては、二塩基酸エステル油、ポリオールエステル油、コンプレックスエステル油、ポリオール炭酸エステル油等が挙げられる。
【0023】
二塩基酸エステル油としては、炭素数5〜10の二塩基酸(グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等)と、直鎖または分枝アルキル基を有する炭素数1〜15の一価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール等)とのエステルが好ましい。具体的には、グルタル酸ジトリデシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジトリデシル、セバシン酸ジ(3−エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0024】
ポリオールエステル油としては、ジオール(エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ネオペンチルグリコール、1,7−ヘプタンジオール、1,12−ドデカンジオール等)または水酸基を3〜20個有するポリオール(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物等)と、炭素数6〜20の脂肪酸(ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、エイコサン酸、オレイン酸等の直鎖または分枝の脂肪酸、もしくはα炭素原子が4級であるいわゆるネオ酸等)とのエステルが好ましい。
ポリオールエステル油は、遊離の水酸基を有していてもよい。
ポリオールエステル油としては、ヒンダードアルコール(ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスルトール等)のエステル(トリメチロールプロパントリペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート等)が好ましい。
【0025】
コンプレックスエステル油とは、脂肪酸および二塩基酸と、一価アルコールおよびポリオールとのエステルである。脂肪酸、二塩基酸、一価アルコール、ポリオールとしては、上述と同様のものを用いることができる。
【0026】
ポリオール炭酸エステル油とは、炭酸とポリオールとのエステルである。
ポリオールとしては、上述と同様のジオールや上述と同様のポリオールが挙げられる。また、ポリオール炭酸エステル油としては、環状アルキレンカーボネートの開環重合体であってもよい。
【0027】
エーテル系潤滑油としては、ポリビニルエーテル油やポリオキシアルキレン系潤滑油が挙げられる。
ポリビニルエーテル油としては、アルキルビニルエーテルなどのビニルエーテルモノマーを重合して得られたもの、ビニルエーテルモノマーとオレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーとを共重合して得られた共重合体がある。
ビニルエーテルモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーとしては、エチレン、プロピレン、各種ブテン、各種ペンテン、各種ヘキセン、各種ヘプテン、各種オクテン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、スチレン、α−メチルスチレン、各種アルキル置換スチレン等が挙げられる。オレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリビニルエーテル共重合体は、ブロックまたはランダム共重合体のいずれであってもよい。
ポリビニルエーテルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
ポリオキシアルキレン系潤滑油としては、ポリオキシアルキレンモノオール、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリオキシアルキレンモノオールやポリオキシアルキレンポリオールのアルキルエーテル化物、ポリオキシアルキレンモノオールやポリオキシアルキレンポリオールのエステル化物等が挙げられる。ポリオキシアルキレンモノオールやポリオキシアルキレンポリオールは、水酸化アルカリなどの触媒の存在下、水や水酸基含有化合物などの開始剤に炭素数2〜4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)を開環付加重合させる方法等により得られたものが挙げられる。また、ポリアルキレン鎖中のオキシアルキレン単位は、1分子中において同一であってもよく、2種以上のオキシアルキレン単位が含まれていてもよい。1分子中に少なくともオキシプロピレン単位が含まれることが好ましい。
開始剤としては、水、メタノールやブタノール等の1価アルコール、エチレンギリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール等の多価アルコールが挙げられる。
【0029】
ポリオキシアルキレン系潤滑油としては、ポリオキシアルキレンモノオールやポリオキシアルキレンポリオールの、アルキルエーテル化物やエステル化物が好ましい。また、ポリオキシアルキレンポリオールとしては、ポリオキシアルキレングリコールが好ましい。特に、ポリグリコール油と呼ばれる、ポリオキシアルキレングリコールの末端水酸基がメチル基等のアルキル基でキャップされた、ポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテル化物が好ましい。
【0030】
フッ素系潤滑油としては、合成油(後述する鉱物油、ポリα−オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等)の水素原子をフッ素原子に置換した化合物、ペルフルオロポリエーテル油、フッ素化シリコーン油等が挙げられる。
【0031】
鉱物油としては、原油を常圧蒸留または減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、精製処理(溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、白土処理等)を適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油等が挙げられる。
【0032】
炭化水素系合成油としては、ポリα−オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等が挙げられる。
潤滑油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
潤滑油の含有量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、用途、圧縮機の形式等によっても異なるが、作動媒体(100質量部)に対して、10〜100質量部が好ましく、20〜50質量部がより好ましい。
【0034】
(安定剤)
作動媒体含有組成物に使用される安定剤は、熱および酸化に対する作動媒体の安定性を向上させる成分である。
安定剤としては、耐酸化性向上剤、耐熱性向上剤、金属不活性剤等が挙げられる。
【0035】
耐酸化性向上剤および耐熱性向上剤としては、N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、p−オクチルジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N−(p−ドデシル)フェニル−2−ナフチルアミン、ジ−1−ナフチルアミン、ジ−2−ナフチルアミン、N−アルキルフェノチアジン、6−(t−ブチル)フェノール、2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4−メチル−2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。耐酸化性向上剤および耐熱性向上剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
金属不活性剤としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2,5−ジメチルカプトチアジアゾール、サリシリジン−プロピレンジアミン、ピラゾール、ベンゾトリアゾール、トルトリアゾール、2−メチルベンズアミダゾール、3,5−イメチルピラゾール、メチレンビス−ベンゾトリアゾール、有機酸またはそれらのエステル、第1級、第2級または第3級の脂肪族アミン、有機酸または無機酸のアミン塩、複素環式窒素含有化合物、アルキル酸ホスフェートのアミン塩またはそれらの誘導体等が挙げられる。
【0037】
安定剤の含有量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、作動媒体含有組成物(100質量%)中、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0038】
(漏れ検出物質)
作動媒体含有組成物に使用される漏れ検出物質としては、紫外線蛍光染料、臭気ガスや臭いマスキング剤等が挙げられる。
紫外線蛍光染料としては、米国特許第4249412号明細書、特表平10−502737号公報、特表2007−511645号公報、特表2008−500437号公報、特表2008−531836号公報に記載されたもの等、公知の紫外線蛍光染料が挙げられる。
臭いマスキング剤としては、特表2008−500437号公報、特表2008−531836号公報に記載されたもの等、公知の香料が挙げられる。
【0039】
漏れ検出物質を用いる場合には、作動媒体への漏れ検出物質の溶解性を向上させる可溶化剤を用いてもよい。
可溶化剤としては、特表2007−511645号公報、特表2008−500437号公報、特表2008−531836号公報に記載されたもの等が挙げられる。
【0040】
漏れ検出物質の含有量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、作動媒体含有組成物(100質量%)中、2質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
【0041】
(他の化合物)
本発明の作動媒体や作動媒体含有組成物は、炭素数1〜4のアルコール、または、従来の作動媒体、冷媒、熱伝達媒体として用いられている化合物(以下、該アルコールおよび化合物をまとめて、他の化合物と記す。)を含んでいてもよい。
【0042】
他の化合物としては、下記の化合物が挙げられる。
含フッ素エーテル:ペルフルオロプロピルメチルエーテル(C



OCH

)、ペルフルオロブチルメチルエーテル(C



OCH

)、ペルフルオロブチルエチルエーテル(C



OC



)、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル(CF

HCF

OCH

CF

、旭硝子社製、AE−3000)等。
【0043】
他の化合物の含有量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、作動媒体含有組成物(100質量%)中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
【0044】
<熱サイクルシステム>
本発明の熱サイクルシステムは、本発明の作動媒体を用いたシステムである。
熱サイクルシステムとしては、ランキンサイクルシステム、ヒートポンプサイクルシステム、冷凍サイクルシステム、熱輸送システム等が挙げられる。
【0045】
(冷凍サイクルシステム)
熱サイクルシステムの一例として、冷凍サイクルシステムについて説明する。
冷凍サイクルシステムとは、蒸発器において作動媒体が負荷流体より熱エネルギーを除去することにより、負荷流体を冷却し、より低い温度に冷却するシステムである。
【0046】
図1は、本発明の冷凍サイクルシステムの一例を示す概略構成図である。冷凍サイクルシステム10は、作動媒体蒸気Aを圧縮して高温高圧の作動媒体蒸気Bとする圧縮機11と、圧縮機11から排出された作動媒体蒸気Bを冷却し、液化して低温高圧の作動媒体Cとする凝縮器12と、凝縮器12から排出された作動媒体Cを膨張させて低温低圧の作動媒体Dとする膨張弁13と、膨張弁13から排出された作動媒体Dを加熱して高温低圧の作動媒体蒸気Aとする蒸発器14と、蒸発器14に負荷流体Eを供給するポンプ15と、凝縮器12に流体Fを供給するポンプ16とを具備して概略構成されるシステムである。
【0047】
冷凍サイクルシステム10においては、以下のサイクルが繰り返される。
(i)蒸発器14から排出された作動媒体蒸気Aを圧縮機11にて圧縮して高温高圧の作動媒体蒸気Bとする。
(ii)圧縮機11から排出された作動媒体蒸気Bを凝縮器12にて流体Fによって冷却し、液化して低温高圧の作動媒体Cとする。この際、流体Fは加熱されて流体F’となり、凝縮器12から排出される。
(iii)凝縮器12から排出された作動媒体Cを膨張弁13にて膨張させて低温低圧の作動媒体Dとする。
(iv)膨張弁13から排出された作動媒体Dを蒸発器14にて負荷流体Eによって加熱して高温低圧の作動媒体蒸気Aとする。この際、負荷流体Eは冷却されて負荷流体E’となり、蒸発器14から排出される。
【0048】
冷凍サイクルシステム10は、断熱・等エントロピ変化、等エンタルピ変化および等圧変化からなるサイクルであり、作動媒体の状態変化を温度−エントロピ線図上に記載すると図2のように表すことができる。
図2中、AB過程は、圧縮機11で断熱圧縮を行い、高温低圧の作動媒体蒸気Aを高温高圧の作動媒体蒸気Bとする過程である。BC過程は、凝縮器12で等圧冷却を行い、高温高圧の作動媒体蒸気Bを低温高圧の作動媒体Cとする過程である。CD過程は、膨張弁13で等エンタルピ膨張を行い、低温高圧の作動媒体Cを低温低圧の作動媒体Dとする過程である。DA過程は、蒸発器14で等圧加熱を行い、低温低圧の作動媒体Dを高温低圧の作動媒体蒸気Aに戻す過程である。
【0049】
同様に、作動媒体の状態変化を圧力−エンタルピ線図上に記載すると図3のように表すことができる。
【0050】
(水分濃度)
熱サイクルシステム内に水分が混入する問題がある。水分の混入は、キャピラリーチューブ内での氷結、作動媒体や潤滑油の加水分解、熱サイクル内で発生した酸成分による材料劣化、コンタミナンツの発生等の原因となる。特に、上述したエーテル系潤滑油、エステル系潤滑油等は、吸湿性が極めて高く、また、加水分解反応を生じやすく、水分の混入は、潤滑油としての特性が低下し、圧縮機の長期信頼性を損なう大きな原因となる。また、自動車空調機器においては、振動を吸収する目的で使用されている冷媒ホースや圧縮機の軸受け部から水分が混入しやすい傾向にある。したがって、潤滑油の加水分解を抑えるためには、熱サイクルシステム内の水分濃度を抑制する必要がある。熱サイクルシステム内の作動媒体の水分濃度は、100ppm以下が好ましく、20ppm以下がより好ましい。
(【0051】以降は省略されています)

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