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公開番号2019174301
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191010
出願番号2018063265
出願日20180328
発明の名称温度判定方法、検体の検査方法、温度判定システム及び検体の検査システム
出願人パナソニックIPマネジメント株式会社
代理人特許業務法人北斗特許事務所
主分類G01J 5/60 20060101AFI20190913BHJP(測定;試験)
要約【課題】検体を収容する検査用ディスクの温度に依存する判定値を判定する温度判定方法を提供する。
【解決手段】温度判定方法は、検体を収容するためのウエル22と、温度に依存するフォトルミネセンス特性を有する発光部100とを有する検査用ディスク1を準備することを含む。温度判定方法は、発光部100に光を照射することで発光部100がフォトルミネセンスにより発する光を検出して検出結果を得ることも含む。温度判定方法は、検出結果に基づいて、検査用ディスク1の温度に依存する判定値を判定することも含む。
【選択図】図5
特許請求の範囲約 1,900 文字を表示【請求項1】
検体を収容するためのウエルと、温度に依存するフォトルミネセンス特性を有する発光部とを有する検査用ディスクを準備すること、
前記発光部に光を照射することで前記発光部がフォトルミネセンスにより発する光を検出して検出結果を得ること、及び
前記検出結果に基づいて、前記検査用ディスクの温度に依存する判定値を判定することを含む、
温度判定方法。
【請求項2】
前記発光部は、第一発光部分と、前記第一発光部分とは異なるフォトルミネセンス特性を有する第二発光部分とを含み、
前記第一発光部分がフォトルミネセンスにより発する光を検出して得た検出結果と、前記第二発光部がフォトルミネセンスにより発する光を検出して得た検出結果とを比較し、この比較した結果に基づいて、前記判定値を判定する、
請求項1に記載の温度判定方法。
【請求項3】
前記第一発光部分と前記第二発光部分とは、前記検査用ディスクの外周に沿った方向に並び、
前記発光部に光を照射するに当たり、前記検査用ディスクへの光の照射位置を前記検査用ディスクの外周に沿った方向に移動させることで、前記第一発光部分と前記第二発光部分とに光を照射する、
請求項2に記載の温度判定方法。
【請求項4】
前記検査用ディスクの厚さ方向に見て、前記発光部の少なくとも一部は、前記ウエルと重複する位置にある、
請求項1から3のいずれか一項に記載の温度判定方法。
【請求項5】
前記検査用ディスクの厚さ方向に見て、前記発光部は、前記ウエルと重複しない位置にある、
請求項1から3のいずれか一項に記載の温度判定方法。
【請求項6】
前記検査用ディスクは、前記ウエルを規定するディスク本体を備え、前記ディスク本体が前記発光部の少なくとも一部を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の温度判定方法。
【請求項7】
前記検査用ディスクは、前記ウエルを規定するディスク本体と、前記ディスク本体に取り付けられた発光部材とを備え、前記発光部材が前記発光部の少なくとも一部を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の温度判定方法。
【請求項8】
前記検査用ディスクは、前記ウエルを規定するディスク本体と、前記ウエルを覆うように前記ディスク本体に重なっているプレートと、前記ディスク本体と前記プレートとの間に介在して前記ディスク本体と前記プレートとを接着している接着層とを備え、前記接着層が、前記発光部の少なくとも一部を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の温度判定方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の温度判定方法で、前記検査用ディスクの温度に依存する前記判定値を判定すること、
前記ウエルに検体を収容すること、
前記判定値に基づいて検出条件を決定すること、及び
前記検出条件下で、前記ウエル内の前記検体に光を照射することで前記検体から発せられる光を検出し、その結果に基づいて前記検体中の検出対象を検出すること、を含む、
検体の検査方法。
【請求項10】
前記検出対象を検出することは、前記検体から発せられる光を検出した結果を二値化処理してその結果に基づいて前記検出対象を検出することを含み、
前記検出条件は、二値化処理のためのしきい値を含む、
請求項9に記載の検体の検査方法。
【請求項11】
検体を収容するためのウエルと温度に依存するフォトルミネセンス特性を有する発光部とを有する検査用ディスクへ光を照射する光源と、
前記光源から前記検査用ディスクへ照射された光に応じて前記検査用ディスクが発する光を検出する光検出器と、
前記検査用ディスクが発する光のうち前記発光部から発せられた光を前記光検出器が検出した結果に基づいて、前記検査用ディスクの温度に依存する判定値を判定する判定部と、を備える、
温度判定システム。
【請求項12】
請求項11に記載の温度判定システムと、
前記判定値に基づいて検出条件を決定する決定部と、
前記検出条件下で、前記検査用ディスクが発する光のうち前記検体から発せられた光を前記光検出器が検出した結果に基づいて、前記検体中の検出対象を検出する検出部と、を備える、
検体の検査システム。

発明の詳細な説明約 30,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、温度判定方法、検体の検査方法、温度判定システム、及び検体の検査システムに関する。詳しくは本発明は、検査用ディスクの温度に依存する判定値を判定する温度判定方法、前記温度判定方法を含む検体の検査方法、前記温度判定方法を実現できる温度判定システム、及び前記温度判定システムを含む検体の検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、赤血球を含有する生体試料と、核酸を染色できる染色液とを用いて赤血球中の外来生物の有無を検出するように構成された診断キットが開示されている。診断キットは、基材プレートと、基材プレートに設けられた診断プレートとを備える。診断プレートは、染色液を貯留し、染色液に生体試料が注入されるように構成された第一チャンバーと、検査プレートと、検査プレートと第一チャンバーとの間を接続する流路とを、有する。基材プレートには、検査プレートに接続されて生体試料の一部と染色液の一部を捕集することができる第二のチャンバーも設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2012/137506号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体試料等の検体の検査する場合、検査結果が温度に依存して変化してしまうことがある。例えば検体を染色液等で染色する場合、染色の程度が温度に依存することがある。特に染色液が蛍光染色試薬である場合、すなわち検体中の検出対象を蛍光指標する場合、検出対象を蛍光染色試薬との反応速度は温度に依存するため、温度によって染色の程度が変化してしまう。そのため、温度によっては、検出対象を精度良く検出できないことがある。
【0005】
本発明の課題は、検体を収容する検査用ディスクの温度に依存する判定値を判定する温度判定方法、この温度判定方法を含む検体の検査方法、この温度判定方法を実現できる温度判定システム、及びこの温度判定システムを含む検体の検査システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様における温度判定方法は、検体を収容するためのウエルと、温度に依存するフォトルミネセンス特性を有する発光部とを有する検査用ディスクを準備すること、前記発光部に光を照射することで前記発光部がフォトルミネセンスにより発する光を検出して検出結果を得ること、及び前記検出結果に基づいて、前記検査用ディスクの温度に依存する判定値を判定すること、を含む。
【0007】
本発明の一態様に係る検体の検査方法は、前記温度判定方法で、前記検査用ディスクの温度に依存する前記判定値を判定すること、前記ウエルに検体を収容すること、前記判定値に基づいて検出条件を決定すること、及び前記検出条件下で、前記ウエル内の前記検体に光を照射することで前記検体から発せられる光を検出し、その結果に基づいて前記検体中の検出対象を検出すること、を含む。
【0008】
本発明の一態様に係る温度判定システムは、検体を収容するためのウエルと温度に依存するフォトルミネセンス特性を有する発光部とを有する検査用ディスクへ光を照射する光源と、前記光源から前記検査用ディスクへ照射された光に応じて前記検査用ディスクが発する光を検出する光検出器と、前記検査用ディスクが発する光のうち前記発光部から発せられた光を前記光検出器が検出した結果に基づいて、前記検査用ディスクの温度に依存する判定値を判定する判定部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る検体の検査システムは、前記温度判定システムと、前記判定値に基づいて検出条件を決定する決定部と、前記検出条件下で、前記検査用ディスクが発する光のうち前記検体から発せられた光を前記光検出器が検出した結果に基づいて、前記検体中の検出対象を検出する検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、検体を収容する検査用ディスクの温度に依存する判定値を判定する温度判定方法、この温度判定方法を含む検体の検査方法、この温度判定方法を実現できる温度判定システム、及びこの温度判定システムを含む検体の検査システムを、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態における第一発光部分と第二発光部分のフォトルミネセンス特性の一例を示すグラフである。
図2は、本発明の一実施形態に係る検査用ディスクの平面図である。
図3Aは、同上の検査用ディスクの斜視図である。図3Bは、同上の検査用ディスクを上側から見て一部破断した斜視図である。図3Cは、同上の検査用ディスクを示し、図3Bの要部Cの拡大図である。
図4Aは、同上の検査用ディスクにおけるディスク本体の上側から見た斜視図である。図4Bは、同上の検査用ディスクにおけるディスク本体の下側から見た斜視図である。図4Cは、同上の検査用ディスクを示し、図4AのX1−X1断面図である。図4Dは、同上の検査用ディスクを示し、図4Cの要部拡大図である。
図5Aは、同上の検査用ディスクにおける発光部の例を示す断面図である。図5Bは、同上の検査用ディスクにおける発光部の例を示す断面図である。図4Cは、同上の検査用ディスクにおける発光部の例を示す断面図である。図4Dは、同上の検査用ディスクにおける発光部の例を示す断面図である。
図6Aは、同上の検査用ディスクにおける発光部の例を示す断面図である。図6Bは、同上の検査用ディスクにおける発光部の例を示す断面図である。図6Cは、同上の検査用ディスクにおける発光部の例を示す断面図である。
図7は、本発明の一実施形態における温度判定システム及び検体の検査システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の一実施形態の概要について、説明する。
【0013】
本実施形態に係る温度判定方法は、次のステップを含む。
【0014】
検体を収容するためのウエル22と、温度に依存するフォトルミネセンス特性を有する発光部100とを有する検査用ディスク1を準備する(図2から図6C参照)。
【0015】
発光部100に光を照射することで発光部100がフォトルミネセンスにより発する光を検出して検出結果を得る(図7参照)。
【0016】
検出結果に基づいて、検査用ディスク1の温度に依存する判定値を判定する。
【0017】
ウエル22とは、検査用ディスク1内における、検体を収容して保持できる空間である。なお、本実施形態では、検査用ディスク1の温度に依存する判定値を判定することを、温度判定という。すなわち、本実施形態に係る温度判定方法では、検査用ディスク1の温度そのものを判定してもよく、検査用ディスク1の温度に依存する温度以外の判定値を判定してもよい。
【0018】
本実施形態の温度判定方法によれば、発光部100は温度に依存するフォトルミネセンス特性を有するため、検査用ディスク1の温度に応じて、発光部100がフォトルミネセンスによって発する光を光センサなどで検出した場合の検出強度が変動する。例えば発光部100が、温度の上昇に伴って発する光の強度が上昇するフォトルミネセンス特性を有する場合、検査用ディスク1の温度が高いほど、検出強度が高くなる。このため、発光部100が発する光の検出結果から、検査用ディスク1の温度に依存する判定値を判定することができる。判定値は、例えば検出強度そのものである。判定値は、検出強度からバックグラウンドノイズを除く処理を行って得た値でもよい。判定値は、検出強度を、あらかじめ特定されている発光部100の温度と検出強度との関係に基づいて、温度に変換した値であってもよい。判定値は、前記以外の、検出強度から導かれる値であってもよい。
【0019】
検査用ディスク1における発光部100は、第一発光部分101と、第一発光部分101とは異なるフォトルミネセンス特性を有する第二発光部分102とを含んでもよい(図5Aから図6C参照)。この場合、判定値を判定するに当たり、第一発光部分101がフォトルミネセンスにより発する光を検出して得た検出結果と、第二発光部分102がフォトルミネセンスにより発する光を検出して得た検出結果とを比較する。この比較した結果に基づいて、判定値を判定してよい。検出強度を比較した結果は、バックグラウンドノイズの影響を受けにくいため、検出強度を比較した結果から判定値を判定すると、判定値を精度良く判定することが可能である。
【0020】
検出結果を比較するに当たっては、例えば第一発光部分101が発する光の検出強度と、第二発光部分102が発する光の検出強度との差の値を特定する。第一発光部分101と第二発光部分102とは、互いに異なるフォトルミネセンス特性を有するため、差の値は、温度に依存する。つまり、第一発光部分101と第二発光部分102との各々は温度に依存するフォトルミネセンス特性を有し、かつ第一発光部分101の温度に依存するフォトルミネッセンス特性と第二発光部分102の温度に依存するフォトルミネセンス特性とは互いに異なる。このため、上述した検出強度の差の値もまた、温度に依存する。
【0021】
図1のグラフに、第一発光部分101のフォトルミネセンス特性の例と、第二発光部分102のフォトルミネセンス特性の例とを示す。図1の符号Aが、第一発光部分101のフォトルミネセンス特性を示し、図1中の符号Bが第二発光部分102のフォトルミネセンス特性の例を示す。グラフの縦軸はフォトルミネセンスにより発せられる光の強度であり、横軸は温度である。例えば、図1に示すように、第一発光部分101と第二発光部分102とは、いずれも温度の上昇に伴ってフォトルミネセンスにより発する光の強度が上昇するフォトルミネセンス特性を有する。さらに、第一発光部分101の光の強度の上昇の程度が、第二発光部分102の光の強度の上昇の程度よりも大きい。このため、第一発光部分101の光の強度と第二発光部分102の光の強度との差Dは、温度上昇に伴って増大する。この場合、検査用ディスク1の温度が高いほど、第一発光部分101の光の検出強度と第二発光部分102の光の検出強度との差の値が大きくなる。このため、検出結果を比較した結果から、検査用ディスク1の温度に依存する判定値を判定することができる。判定値は、例えば検出強度の差の値そのものである。判定値は、検出強度を、あらかじめ特定されている発光部100の温度と検出強度の差との関係に基づいて、温度に変換した値であってもよい。判定値は、前記以外の、検出強度を比較した結果から導かれる値であってもよい。なお、第一発光部分101のフォトルミネセンス特性と、第二発光部分102のフォトルミネセンス特性とが、前記の説明とは逆であってもよい。
【0022】
なお、発光部100は、互いに異なるフォトルミネセンス特性を有する三つ以上の発光部分を含んでもよい。つまり、三つ以上の発光部分の各々が、温度に依存するフォトルミネセンス特性を有し、かつ三つ以上の発光部分それぞれの温度に依存するフォトルミネセンス特性が互いに異なってもよい。この場合、判定値をより精度良く判定することが可能である。例えば、発光部は、第一発光部分、第二発光部分及び第三発光部分を含む。さらに、第一発光部分の光の検出強度と第二発光部分の光の検出強度との差(以下、第一の差という)と、第一発光部分の光の検出強度と第三発光部分の光の検出強度との差(以下、第二の差という)とを比較すると、温度上昇に伴う上昇の程度が、一つの温度域では第一の差の方が大きく、別の温度域では第二の差の方が大きい。このような場合、一つの温度域では第一の差に基づいて判定値を判定し、別の温度域では第二の差に基づいて判定値を判定すれば、広い温度範囲において、精度良く判定値を判定することが可能である。
【0023】
本実施形態に係る検体の検査方法は、次のステップを含む。
【0024】
上記の温度判定方法で、検査用ディスク1の温度に依存する判定値を判定する。
【0025】
ウエル22に検体を収容する。
【0026】
判定値に基づいて検出条件を決定する。
【0027】
決定された検出条件下で、ウエル22内の検体に光を照射することで検体から発せられる光を検出し、その結果に基づいて検体中の検出対象を検出する。
【0028】
検出条件とは、例えば検出対象の検出結果に影響を与えうる条件である。
【0029】
上記のステップの時系列順は、上記の順番でなくてもよい。例えば、ウエル22に検体を収容してから、判定値を判定し、続いて検出条件を決定し、続いて検出対象を検出してよい。上記のステップが、時系列的に重複して行われてもよい。
【0030】
本実施形態に係る検体の検査方法では、ウエル22内の検体に光を照射するための光学系と、温度判定方法において発光部100に光を照射するための光学系とを、共通化してもよい。すなわち、検査のための光学系を利用して温度判定を行うことができるため、検体の検査に当たって、温度判定のための光学系を追加しなくてもよい。
【0031】
本実施形態に係る検体の検査方法によれば、検査用ディスク1の温度に応じて検出条件を決定できる。そのため、特に温度が検出対象の検出結果に影響を及ぼす場合に、検出結果への温度による影響を低減し又はなくすように、検出条件を決定できる。すなわち、検査の精度を温度によって悪化しにくくできる。
【0032】
本実施形態に係る検体の検査方法は、例えば検体を蛍光染色することを更に含む。この場合、ウエル22内の検体に光を照射することで検体から発せられる光には、蛍光指標された検出対象がフォトルミネセンスにより発する光が含まれる。そのため、検出対象がフォトルミネセンスにより発する光を検出した結果に基づいて、検出対象を検出できる。
【0033】
検体を蛍光染色する場合、検出対象は蛍光染色試薬と反応することで蛍光指標される。検出対象と蛍光染色試薬との反応の速度は、温度に依存する。そのため、温度によっては、反応が十分に進まずに、蛍光指標された検出対象がフォトルミネセンスにより発する光の強度が弱くなることがある。その場合、検査の精度が悪化することがある。しかし、本実施形態では、温度と蛍光染色の程度との関係をあらかじめ調査しておけば、温度と蛍光染色の程度との関係を利用して、温度判定の結果によって、蛍光染色の程度を把握できる。そのため、蛍光染色の程度に起因する検出対象の検出結果の精度の悪化を、生じにくくできる。
【0034】
検出対象を検出することは、例えば検体から発せられる光を検出した結果を二値化処理してその結果に基づいて検出対象を検出することを含む。この場合、検出条件は、二値化処理のためのしきい値を含むことが好ましい。特に、検体が蛍光染色されている場合、蛍光指標された検出対象は、フォトルミネセンスによって、検体の中で特に強い光を発する。そのため、二値化処理によって検出対象が発する光を特定し、その結果に基づいて検出対象を特定できる。二値化処理のためのしきい値は、例えば検出対象が発する光の強度よりも低い値に設定される。上記のとおり温度によって蛍光染色の程度が変動し、それによって検出対象が発する光の強度が変動する。しかし、検出条件がしきい値を含めば、検出対象が発する光を特定できるように、判定値に応じてしきい値を設定することで、検出結果の精度の悪化を、生じにくくできる。しきい値を決定するに当たっては、例えば判定値としきい値との関係をあらかじめ決定しておき、この関係に基づいて、温度判定方法によって判定された判定値から、しきい値を決定する。
【0035】
検出条件は、蛍光染色の時間を含んでもよい。温度が低いために検出対象と蛍光染色試薬との反応速度が遅い場合であっても、蛍光染色の時間を十分に長くとれば、検出対象と蛍光染色試薬との反応を十分に進行させ、蛍光指標された検出対象が発する光の強度を十分に高くできる。そのため、検出条件が蛍光染色の時間を含めば、検出対象が発する光を特定できるように、判定値に応じて蛍光染色の時間を設定することで、検出結果の精度の悪化を、生じにくくできる。蛍光染色の時間を決定するに当たっては、例えば判定値と蛍光染色の時間との関係をあらかじめ決定しておき、この関係に基づいて、温度判定方法によって判定された判定値から、蛍光染色の時間を決定する。なお、蛍光染色の時間とは、検体に蛍光染色試薬が混入された時点から、検体が発する光を検出する時点までの経過時間でもある。そのため、蛍光染色の時間を決定することは、検体が発する光を検出するタイミングを決定することでもある。
【0036】
検体は、ヒト等の生物から採取された血液などの生体試料でもよく、河川水、工業廃水といった環境から採取される水試料であってもよい。検体は、生体試料及び水試料以外の適宜の試料であってもよい。検体は、例えば液体である。検体は、低粘度化のために希釈液を含んでもよい。希釈液は、例えば、緩衝液、等張液、培養液、及び界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一種を含む。
【0037】
検出対象に、特に制限はない。検体を蛍光染色することで検出対象を蛍光指標する場合、検出対象は、蛍光指標可能な適宜の物であればよい。例えば検体が血液である場合、検出対象は、例えば赤血球に寄生している病原性微生物(例えばマラリアの原虫)又は白血球などである。検体が水試料である場合、検出対象は、例えば水試料中にある有機化合物である。
【0038】
検体を蛍光染色する場合に使用される蛍光染色試薬は、公知の試薬から検出対象に応じて適宜選択されうる。例えば検出対象が病原性微生物である場合には、蛍光染色試薬の例として、SYTO(登録商標)Blueが挙げられる。
【0039】
本実施形態の温度判定方法及び検体の検査方法を実現するための、検査用ディスク1、温度判定システム及び検査システムについて、説明する。
【0040】
検査用ディスク1について、図2から図6Cを参照して説明する。検査用ディスク1は、上述のとおり、検体を収容するためのウエル22と、温度に依存するフォトルミネセンス特性を有する発光部100とを有する。
【0041】
図2から図4Dに、検査用ディスク1の一具体例を示す。この検査用ディスク1は、厚さを有する円盤の形状を有するディスク体2と、複数のカートリッジ3と、を備える。以下、単に厚さ方向という場合は、検査用ディスク1の厚さ方向のことをいう。また、外周方向という場合は、検査用ディスク1の外周に沿った方向のことをいう。
【0042】
ディスク体2は、厚さ方向において互いに反対側にある第一面2A及び第二面2Bを有する。ディスク体2は、収容部21及び収容部21に通じるウエル22を有する。
【0043】
ディスク体2は、厚さ方向に積層するディスク本体4及びプレート5を備える。ディスク本体4及びプレート5は、いずれも厚さ方向に沿った厚さを有する円盤の形状を有する。ディスク本体4及びプレート5は、接着層6を介して接合されている。接着層6は、例えば接着剤からなり、より具体的には例えばアクリレート系の接着剤からなる。プレート5はプレート5の中央を貫通する円形の孔58を有する。ディスク本体4は、ディスク体2の中央を貫通し、プレート5の孔58よりも大径の円形の孔48を有する。この二つの孔48、58の形状は、ディスク体2の中心を通る厚さ方向の中心軸10を中心とする同心円である。
【0044】
ディスク本体4は、第一面2Aと同じ方向を向く第一面42と、第二面2Bと同じ方向を向く第二面41とを有する。なお、ディスク本体4の第一面42は、ディスク体2の第一面2Aに一致する。プレート5は、ディスク本体4の第二面41に、接着層6を介して重なっている。
【0045】
ディスク本体4は、複数のチャンバー400を有する。複数のチャンバー400は、外周方向に並んでいる。すなわち、複数のチャンバー400は、中心軸10の周りを取り囲むように配置されている。
【0046】
各チャンバー400は、図4Bに示すように、第1チャンバー401と、第2チャンバー402とを有する。第2チャンバー402は、第1チャンバー401に対して、ディスク本体4の外周側に配置されている。第1チャンバー401は、ディスク本体4を厚さ方向に貫通している。第1チャンバー401の第二面41側の開口はプレート5で塞がれ、第一面42側の開口は塞がれずに開放されている。第2チャンバー402は、ディスク本体4の第二面41で開口する凹所であり、すなわち第一面42側には開口しない。第2チャンバー402の開口はプレート5で塞がれている。チャンバー400は、第1チャンバー401と第2チャンバー402との間に、第二面41に開口するチャネル403を有する。チャネル403は、第1チャンバー401及び第2チャンバー402に通じており、このため第1チャンバー401と第2チャンバー402とは、チャネル403を介して、ディスク体2の半径方向に通じている。
【0047】
ディスク本体4における第1チャンバー401の内周面で囲まれた空間が収容部21である。収容部21はディスク本体4の第一面42と第二面41とで開口し、第二面41の開口はプレート5で覆われている。また、ディスク本体4における第2チャンバー402の内周面で囲まれた空間がウエル22である。すなわち、ディスク本体4にウエル22が形成されている。これにより、ディスク本体4がウエル22を規定する。ウエル22はディスク本体4の第二面41で開口し、第1面の開口はプレート5で覆われている。また、チャネル403の内面とプレート5とで囲まれた空間が、収容部21とウエル22とを通じさせる流路23である。
【0048】
複数のカートリッジ3は、複数の第1チャンバー401に、それぞれ着脱可能にはめ込まれる。すなわち、カートリッジ3は、収容部21に着脱可能に取り付けられる。
【0049】
カートリッジ3は、フィルタ35を有する。カートリッジ3は、検体を収納可能な収納空間31も有する。フィルタ35は、例えばディスク本体4の半径方向において収納空間31とウエル22との間にある。カートリッジ3が収容部21に収容された状態において、収納空間31、フィルタ35及びウエル22が、ディスク本体4の中心側から外周側に向かってこの順に並んでいる。すなわち、ディスク体2の中心側から外周側に向けて、ディスク体2の半径方向に収納空間31、フィルタ35及びウエル22が、この順に並んでいる。フィルタ35は、第1チャンバー401から第2チャンバー402へ移動する検体から特定の物質を除去できる。例えばフィルタ35は、検体がフィルタ35を通過する際に検体から、検査を阻害する物質(以下、阻害物質という)を捕捉して取り除き、検出対象は捕捉せずに検体に残存させる。例えば検体がヒトの血液であり、検出対象が赤血球に寄生した病原性微生物であり、かつ検体を蛍光染色する場合は、阻害物質は、病原性微生物と同様に蛍光指標されることで検査を阻害する白血球である。フィルタ35は、例えば繊維材等から構成される多孔質構造体36を含む。
【0050】
ウエル22には、ウエル22内で検体を蛍光染色するための蛍光染色試薬が配置されうることが好ましい。蛍光染色試薬は、例えば、凍結乾燥法又はスピンコート法などによりウエル22に配置されるのが好ましい。
【0051】
ディスク本体4は、第二面41に形成されたゲート跡411と、第一面42から突出し、厚さ方向に見てゲート跡411と重複する突部421と、を有する。ゲート跡411は、例えばディスク本体4の第二面41に形成された凹部の底面である。厚さ方向に見て、突部421の面積がゲート跡411の面積よりも大きいのが好ましい。ゲート跡411は、目視での確認ができない場合でも、例えば、偏光顕微鏡による観察により特定することが可能である。突部421の先端面の全体は、第一面42における突部421以外の部位と比べて表面粗さの大きな粗面部431であるのが好ましい。表面粗さとは、例えばJIS B 0601−2001(ISO 4287−1997)で規定されている算術平均粗さRaである。表面粗さは、例えば、AFM(Atomic Force Microscope)等の3次元形状測定装置で測定できる。
【0052】
プレート5は、円盤の形状を有するプレート本体50(図3C参照)を備える。プレート本体50は、例えば透明な樹脂から作製される。プレート本体50は、ディスク体2の第一面2Aと同じ方向を向く第一面51と、本体の第二面2Bと同じ方向を向く第二面52とを有する。なお、本実施形態では、プレート5の第二面52は、ディスク体2の第二面2Bでもある。第一面51には、光ディスクと同様に、溝の形状を有するトラックが形成されている。トラックは、プレート本体50に、中心軸10を中心とするらせん状に形成されている。トラックには、光を利用して走査されることで読み取り可能なアドレス情報が記録されている。このため、アドレス情報から検査用ディスク1における位置が特定できる。したがって、検査用ディスク1におけるウエル22と重なる位置にあるトラックのアドレス情報が読み取られることで、検査用ディスク1におけるウエル22の位置が特定できる。すなわち、光が照射されている位置にウエル22があることを特定できる。また、検査用ディスク1における発光部100と重なる位置にあるトラックのアドレス情報が読み取られることで、検査用ディスク1における発光部100の位置が特定できる。すなわち、光が照射されている位置に発光部100があることを特定できる。
【0053】
プレート5は、プレート本体50の第一面51にトラックを覆うように重なる誘電体膜54(図3C参照)を、更に備えている。誘電体膜54は、プレート本体50と接着層6との間に介在している。誘電体膜54は、例えば、ZnS−SiO
2
膜である。誘電体膜54は、ディスク体2の第二面2B側からディスク体2へ入射する光の一部を反射し、残りを透過させるように構成されている。すなわち、誘電体膜54とプレート本体50との界面が、ディスク体2の第二面2B側からディスク体2へ入射した光を反射する反射面55を構成する。
【0054】
上述のとおり、検査用ディスク1は、温度に依存するフォトルミネセンス特性を有する発光部100を有する。発光部100は、例えば蛍光物質を含有することで、フォトルミネセンス特性を有する。蛍光物質とは、フォトルミネセンスによって光を発しうる物質である。フォトルミネセンスにより蛍光物質が発する光の波長は、例えば480nm以上600nm以下である。
【0055】
蛍光物質は、例えば希土類イオンで賦活された物質を含む。蛍光物質は、無機系の蛍光物質と有機系の蛍光物質とのうち、少なくとも一方を含むことができる。無機系の蛍光物質は、例えばBAM系の蛍光物質(例えば、BaMgAl
10

17
:Eu
2+
)、SCA系の蛍光物質(例えば(Sr,Ba,Ca)
5
(PO
4

3
Cl:Eu
2+
)、SMS系の蛍光物質(Sr
3
MgSi
2

8
:Eu
2+
)、YAG系の蛍光物質(例えばY
3
Al
3

12
)、CASN系蛍光物質(例えばCaAlSiN
3
:Eu)、及びSSE系蛍光物質(Sr
3
SiO
5
:Eu)からなる群から選択される少なくとも一種の物質を含む。なお、無機系の蛍光物質の組成式は例示であり、元素の組成比が前記の組成式とは異なっていてもよい。無機系の蛍光物質に適宜の添加剤が含まれていてもよい。有機系の蛍光物質は、例えば赤色発光蛍光物質(例えばEu錯体化合物、Sm錯体化合物、Pr錯体化合物、ジシアノメチレン系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、及びポリアルキルチオフェン誘導体)、黄色発光蛍光物質(例えばルブレン系化合物及びペリミドン誘導体)、青色発光蛍光物質(例えばペリレン系化合物、ピレン系化合物、アントラセン系化合物、ジスチリル誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体及びポリパラフェニレン誘導体)、及び緑色発光蛍光物質(例えばクマリン系化合物、Tb錯体化合物及びキナクリドン化合物)からなる群から選択される少なくとも一種の物質を含む。蛍光物質は、3波長形蛍光ランプ用蛍光物質、特殊ランプ用蛍光物質、冷陰極ランプ用蛍光物質、PDP(Plasma Display Panel)用蛍光物質、LED(Light Emitting Diode)用蛍光物質、又は蛍光灯用蛍光物質といった、広く用いられている物質を含んでもよい。蛍光物質は、特に赤色発光蛍光物質であるEu錯体化合物を含むことが好ましい。
【0056】
発光部100の位置は、検査用ディスク1における光が照射されうる位置であれば、特に制限はない。
【0057】
例えば検査用ディスクが上述のとおりウエル22を規定するディスク本体4を備える場合、このディスク本体4が発光部100の少なくとも一部を有してもよい。すなわち、ディスク本体4が、発光部100の一部又は全部を有していてもよい。
【0058】
検査用ディスク1が上述のとおりウエル22を規定するディスク本体4を備える場合、検査用ディスク1が、ディスク本体4に取り付けられた発光部材9を更に備え、発光部材9が発光部100の少なくとも一部を有していてもよい。すなわち、発光部材9の少なくとも一部が、発光部100の一部又は全部であってよい。
【0059】
検査用ディスク1が上述のとおりウエル22を規定するディスク本体4と、ウエル22を覆うようにディスク本体4に重なっているプレート5と、ディスク本体4とプレート5との間に介在してディスク本体4とプレート5とを接着している接着層6とを備える場合、接着層6が、発光部100の少なくとも一部を有してもよい。すなわち、接着層6が、発光部100の一部又は全部を有してもよい。
【0060】
発光部100は、ディスク本体4が有する部分と、発光部材9が有する部分と、接着層6が有する部分とのうち、一種のみを含んでもよく、二種以上を含んでもよい。
【0061】
なお、発光部100の一部とは、例えば発光部100が第一発光部分101と第二発光部分102とを含む場合における、第一発光部分101の全部、第一発光部分101の一部、第二発光部分102の全部又は第二発光部分102の一部である。
【0062】
発光部100の、より具体的な例について、図5Aから図6Cを参照して説明する。図5Aから図6Cの各々は、検査用ディスク1を、検査用ディスク1の半径方向と直交する面でウエル22を横切るように切断した面を示す断面図である。図5Aから図6Cの各々に示す例では、発光部100は、第一発光部分101と第二発光部分102とを含んでいる。
【0063】
図5Aに示す例では、ディスク本体4が蛍光物質を含有し、接着層6がディスク本体4における蛍光物質とは異なる組成の蛍光物質を含有する。ディスク本体4における、厚さ方向に見てウエル22に重複する部分141が、第一発光部分101である。ディスク本体4における、第一発光部分101に外周方向に隣接する部分であって、ディスク本体4の部分142とこれに重なる接着層6の部分161との組合せからなる部分が、第二発光部分102である。
【0064】
図5Bに示す例では、ディスク本体4が蛍光物質を含有し、接着層6の部分162がディスク本体4における蛍光物質とは異なる組成の蛍光物質を含有する。この接着層6の部分162は、ウエル22に、外周方向に隣接する。ディスク本体4における、厚さ方向に見てウエル22に重複する部分141が、第一発光部分101である。接着層6の部分162とディスク本体4における接着層6の部分162に重なる部分142との組合せからなる部分が、第二発光部分102である。
【0065】
図5Aに示す例及び図5Bに示す例では、ディスク体2の第二面2B側から光が照射された場合、第一発光部分101がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の部分141が発する光である。また、この場合、第二発光部分102がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の部分142が発する光と接着層6の部分161、162が発する光との組合せである。上述のとおり、ディスク本体4に含まれる蛍光物質の組成と接着層6(図5Bに示す例では接着層6の部分162)に含まれる蛍光物質の組成とは互いに異なる。そのため、第一発光部分101全体における蛍光物質の組成と第二発光部分102全体における蛍光物質の組成も互いに異なる。このため、第一発光部分101と第二発光部分102とは、互いに異なるフォトルミネセンス特性を有する。
【0066】
図5Cに示す例では、図5Bに示す例と同様、ディスク本体4が蛍光物質を含有し、接着層6の部分162がディスク本体4における蛍光物質とは異なる組成の蛍光物質を含有する。この接着層6の部分162は、ウエル22に、外周方向に隣接する。図5Bに示す例と同様、接着層6の部分162とディスク本体4における接着層6の部分162に重なる部分142との組合せからなる部分が、第二発光部分102である。ただし、図5Cに示す例における第一発光部分101は、ディスク本体4の一部143であって、第二発光部分102に外周方向に隣接し、かつ第二発光部分102に対してウエル22とは反対側にある部分である。第一発光部分101は、接着層6における、蛍光物質を含有しない部分に重なっている。
【0067】
図5Cに示す例では、ディスク体2の第二面2B側から光が照射された場合、第一発光部分101がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の一部143が発する光である。また、この場合、第二発光部分102がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の部分142が発する光と接着層6の部分162が発する光との組合せである。上述のとおり、ディスク本体4に含まれる蛍光物質の組成と接着層6の部分162に含まれる蛍光物質の組成とは互いに異なる。そのため、第一発光部分101全体における蛍光物質の組成と第二発光部分102全体における蛍光物質の組成も互いに異なる。このため、第一発光部分101と第二発光部分102とは、互いに異なるフォトルミネセンス特性を有する。
【0068】
図5Dに示す例では、ディスク本体4は、蛍光物質を含有する第一部分111と、第一部分111とは異なる組成の蛍光物質を含有する第二部分112とを有する。第一部分111と第二部分112とは、外周方向に並んで隣接している。第一部分111と第二部分112との境界は、厚さ方向に見て、ウエル22を検査用ディスク1の半径方向に横切るように配置されている。第一部分111における、厚さ方向に見てウエル22と重複する部分が第一発光部分101である。また、第二部分112における、厚さ方向に見てウエル22と重複する部分が第二発光部分102である。すなわち、ディスク本体4が第一発光部分101と第二発光部分102とを有する。第一発光部分101と第二発光部分102とは、いずれも厚さ方向に見てウエル22と重複している。第一発光部分101と第二発光部分102とは、外周方向に並んで隣接している。
【0069】
図5Dに示す例では、ディスク本体4の第二面2B側から光が照射された場合、第一発光部分101がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の第一部分111の一部が発する光である。また、この場合、第二発光部分102がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の第二部分112の一部が発する光である。ディスク本体は、第一部分111に蛍光物質を含有し、第二部分112に第一部分111とは異なる組成の蛍光物質を含有する。このため、第一発光部分101と第二発光部分102とは、互いに異なるフォトルミネセンス特性を有する。
【0070】
図5Dに示す例では、接着層6は蛍光物質を含有する必要がない。そのため、検査用ディスク1は、接着層6を備えず、例えばディスク本体4とプレート5とが、溶着、プラズマ接合、又は表面活性化接合などの方法で接合されていてもよい。
【0071】
図6Aから図6Cに示す例では、検査用ディスク1は発光部材9を備える。発光部材9は、蛍光物質を含む。発光部材9は、例えばシートの形状を有する。発光部材9は、例えば蛍光物質を含有し又は蛍光物質が塗布された、樹脂シートである。
【0072】
図6Aに示す例では、発光部材9は、ディスク本体4の第一面42(すなわちディスク体2の第一面2A)に貼り付けられている。発光部材9の一部は、厚さ方向に見て、ウエル22の一部と重複する位置にある。なお、発光部材9の全部が、厚さ方向に見て、ウエル22の一部と重複する位置にあってもよい。図6Aに示す例では、ディスク本体4が蛍光物質を含有し、発光部材9がディスク本体4における蛍光物質とは異なる組成の蛍光物質を含有する。ディスク本体4における、厚さ方向に見てウエル22に重複し、かつ発光部材9とは重複していない部分144が、第一発光部分101である。発光部材9における厚さ方向に見てウエル22に重複する部分90と、これに重なるディスク本体4の部分145との組合せからなる部分が、第二発光部分102である。第一発光部分101と第二発光部分102とは、外周方向に並んで隣接している。
【0073】
図6Aに示す例では、ディスク体2の第二面2B側から光が照射された場合、第一発光部分101がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の部分144が発する光である。また、この場合、第二発光部分102がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の部分145が発する光と発光部材9の部分90が発する光との組合せである。上述のとおり、ディスク本体4に含まれる蛍光物質の組成と発光部材9に含まれる蛍光物質の組成とは互いに異なる。そのため、第一発光部分101分全体における蛍光物質の組成と第二発光部分102全体における蛍光物質の組成も互いに異なる。このため、第一発光部分101と第二発光部分102とは、互いに異なるフォトルミネセンス特性を有する。
【0074】
図6Bに示す例では、発光部材9は、ディスク本体4のウエル22の内面における、ディスク体2の第二面2Bと同じ方向を向く面に貼り付けられている。発光部材9は、厚さ方向に見て、ウエル22の一部と重複する位置にある。図6Bに示す例では、ディスク本体4が蛍光物質を含有し、発光部材9がディスク本体4における蛍光物質とは異なる組成の蛍光物質を含有する。ディスク本体4における、厚さ方向に見てウエル22に重複し、かつ発光部材9とは重複していない部分146が、第一発光部分101である。発光部材9とこれに重なるディスク本体4の部分147との組合せからなる部分が、第二発光部分102である。第一発光部分101と第二発光部分102とは、外周方向に並んで隣接している。
【0075】
図6Bに示す例では、ディスク体2の第二面2B側から光が照射された場合、第一発光部分101がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の部分146が発する光である。また、この場合、第二発光部分102がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の部分147が発する光と発光部材9が発する光との組合せである。上述のとおり、ディスク本体4に含まれる蛍光物質の組成と発光部材9に含まれる蛍光物質の組成とは互いに異なる。そのため、第一発光部分101全体における蛍光物質の組成と第二発光部分102全体における蛍光物質の組成も互いに異なる。このため、第一発光部分101と第二発光部分102とは、互いに異なるフォトルミネセンス特性を有する。
【0076】
図6Cに示す例では、ディスク本体4のウエル22の内面における、ディスク体2の第二面2Bと同じ方向を向く面は、第二面2Bの向く方向へ開口する凹所45を有する。発光部材9は、ディスク本体4のウエル22の内面における、ディスク体2の第二面2Bと同じ方向を向く面に、凹所45を埋めるように貼り付けられている。このため、ウエル22の内面には、発光部材9が貼り付けられることによる凹凸は生じにくい。発光部材9は、厚さ方向に見て、ウエル22の一部と重複する位置にある。図6Cに示す例では、ディスク本体4が蛍光物質を含有し、発光部材9がディスク本体4における蛍光物質とは異なる組成の蛍光物質を含有する。ディスク本体4における、厚さ方向に見てウエル22に重複し、かつ発光部材9とは重複していない部分148が、第一発光部分101である。発光部材9とこれに重なるディスク本体4の部分149との組合せが、第二発光部分102である。第一発光部分101と第二発光部分102とは、外周方向に並んで隣接している。
【0077】
図6Cに示す例では、ディスク体2の第二面2B側から光が照射された場合、第一発光部分101がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の部分148が発する光である。また、この場合、第二発光部分102がフォトルミネセンスにより発する光は、ディスク本体4の部分149が発する光と発光部材9が発する光との組合せである。上述のとおり、ディスク本体4に含まれる蛍光物質の組成と発光部材9に含まれる蛍光物質の組成とは互いに異なる。そのため、第一発光部分101分全体における蛍光物質の組成と第二発光部分102全体における蛍光物質の組成も互いに異なる。このため、第一発光部分101と第二発光部分102とは、互いに異なるフォトルミネセンス特性を有する。
【0078】
上述のとおり、図5Aから図6Cに示すいずれの例においても、第一発光部分101と第二発光部分102とは、外周方向に並ぶ。この場合、例えば発光部100に光を照射するに当たり、検査用ディスク1への光の照射位置を外周方向に移動させることで、第一発光部分101と第二発光部分102とに光を照射する。このとおり光を照射すると、第一発光部分101が発する光と第二発光部分102が発する光とを連続的に検出できるため、温度判定のための光の検出を効率良く行える。
【0079】
また、図5Aから図5B、図5D、並びに図6Aから図6Cに示す例では、いずれも、厚さ方向に見て、発光部100の少なくとも一部は、ウエル22と重複する位置にある。具体的には、図5Aから図5B、図5D、並びに図6Aから図6Cに示す例では、発光部100のうち第一発光部分101がウエル22と重複する位置にある。図5Dに示す例では第一発光部分101及び第二発光部分102、すなわち発光部100の全部が、ウエル22と重複する位置にある。この場合、ウエル22に近接する発光部100から得られる情報に基づいて温度判定を行うことができるので、ウエル22内の検体の温度を良好に反映した温度判定を行うことができる。
【0080】
一方、図5Cに示す例では、厚さ方向に見て、発光部100は、ウエル22と重複しない位置にある。具体的には、第一発光部分101と第二発光部分102とは、いずれもウエル22と重複しない位置にある。そのため、ディスク体2の第二面2B側から第一発光部分101に照射される光、及び第一発光部分101から発せられて第二面2B側へ向かう光は、いずれもウエル22内の検体を通過しない。ディスク体2の第二面2B側から第二発光部分102に照射される光、及び第二発光部分102から発せられて第二面2B側へ向かう光も、いずれもウエル22内の検体を通過しない。そのため、温度判定のために発光部100へ照射する光と、発光部100から発せられて検出される光のいずれもが、ウエル22内の検体を通過しないようにできる。このため、検体における光の吸収、反射、発光などの現象が、発光部100から発せられる光の検出結果に影響しないようにできる。このため、温度判定の精度を高めることができる。なお、検体における光の吸収、反射、発光などの現象が、発光部100から発せられる光の検出結果に影響せず、又は無視しうる程度しか影響しない場合には、厚さ方向に見て、発光部100の少なくとも一部が、ウエル22と重複する位置にあってもよい。
【0081】
ディスク本体4に蛍光物質を含有させる場合、ディスク本体4における蛍光物質を含有する部分における蛍光物質の分布は、一様であってもよく、一様でなく例えば厚さ方向に濃度勾配があってもよい。また、接着層6に蛍光物質を含有させる場合、接着層6における蛍光物質を含有する部分における蛍光物質の分布も、一様であってもよく、一様でなく例えば厚さ方向に濃度勾配があってもよい。
【0082】
本実施形態のように検査用ディスク1が複数のウエル22を備える場合、発光部100は、複数のウエル22ごとに設けられていてもよい。すなわち、検査用ディスク1は、複数のウエル22にそれぞれ対応する複数の発光部100を有してもよい。この場合、各ウエル22に対応する発光部100を利用して、ウエル22ごとに判定値を判定できる。ウエル22に収容された検体中の検出対象を検出する場合は、ウエル22ごとに判定された判定値を利用することで、検査精度を更に向上できる。
【0083】
温度判定システム及び温度判定システムを備える検体の検査システムについて、図7を参照して説明する。
【0084】
温度判定システムは、光源71、光検出器75及び判定部91を備える。光源71は、ウエル22と発光部100とを有する検査用ディスク1へ、光を照射する。光検出器75は、光源71から検査用ディスク1へ照射された光に応じて検査用ディスク1が発する光を検出する。判定部91は、検査用ディスク1が発する光のうち発光部100から発せられた光を光検出器75が検出した結果に基づいて、検査用ディスク1の温度に依存する判定値を判定する。
【0085】
検査システムは、上記の温度判定システムと、検出部92と、決定部93とを備える。決定部93は、判定値に基づいて、検出条件を決定する。検出部92は、検出条件下で、検査用ディスク1が発する光のうち検体から発せられた光を光検出器75が検出した結果に基づいて、検体中の検出対象を検出する。
【0086】
温度判定システム及び検体の検査システムの具体的な構成の例を、図7に示す。検査システムは、例えば、光ディスク用の光ピックアップ装置と同様の光学系を備えており、その動作も同様である。検査システムの光学系は、光源71と、偏光ビームスプリッタ72と、対物レンズ73と、ダイクロイックプリズム74と、光検出器75と、アナモフィックレンズ76と、反射光検出器77と、を備えている。
【0087】
検査システムは、上述の光学系の他、ホルダ81と、アクチュエータ82と、回転装置83と、第1の信号演算回路84と、サーボ回路85と、第2の信号演算回路86と、制御部87と、画像表示装置88と、を備えている。
【0088】
制御部87は、温度判定システムにおける判定部91、並びに検査システムにおける検出部92及び決定部93を、兼ねている。制御部87は、例えば1以上のプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータにて構成されている。言い換えれば、制御部87は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されており、1以上のプロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部87として機能する。プログラムは、ここでは制御部87のメモリにあらかじめ記録されているが、インターネット等の通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムを介して、プログラムをロードし、コンピュータシステムに制御部87としての機能を実現させるプログラム命令を実行するコンピュータプログラムプロダクトが用いられてもよい。制御部87は、マイクロコンピュータに限られず、例えばASIC(特定用途向け集積回路)といった、論理回路を含む集積回路でもよい。なお、判定部91、検出部92及び決定部93の各々は、互いに異なるマイクロコンピュータ又は集積回路で構成されていてもよい。
【0089】
回転装置83は、モータである。回転装置83は、サーボ回路85によって制御される。
【0090】
検査システムは、回転装置83により回転するテーブルに検査用ディスク1がセットされた後に、検出のための動作を開始する。
【0091】
光学系、ホルダ81及びアクチュエータ82は、CD又はDVD等の光ディスクの記録及び再生に用いる既存の光ピックアップ装置と同様、ハウジングに設置される。また、このハウジングは、所定のガイド機構によって、検査用ディスク1の径方向に移動可能となっている。サーボ回路85は、ハウジングの移動の制御も行う。この制御は、既存のCDプレーヤ又はDVDプレーヤにおける制御と同様のアクセス制御なので、その詳細な説明は省略する。
【0092】
光源71は、例えばレーザ光を出射するレーザ光源である。光源71は、蛍光指標された検出対象及び発光部100を励起しうる波長の光、例えば波長405nm程度の光を出射する。光源71から出射した光を、以下、照射光ともいう。図7には、光の進行経路を一点鎖線で示してある。光源71から出射された照射光は、偏光ビームスプリッタ72によって反射され、対物レンズ73に入射する。
【0093】
対物レンズ73は、所定の開口数(Numerical Aperture)を有し、照射光を検査用ディスク1に対して適正に収束させるよう構成されている。具体的には、対物レンズ73は、偏光ビームスプリッタ72側から入射する照射光が収束するよう構成されている。
【0094】
対物レンズ73は、ホルダ81に保持された状態で、アクチュエータ82により、フォーカス方向(検査用ディスク1の厚さ方向)とトラッキング方向(検査用ディスク1の径方向)に駆動される。すなわち、対物レンズ73は、照射光が検査用ディスク1の反射面55(図3C参照)に合焦された状態でトラックを追従するように駆動される。反射面55に合焦された照射光は、一部が反射面55によって反射され、大部分が反射面55を透過する。反射面55によって反射された照射光(以下、反射光ともいう)からは、下記の説明のとおりトラックに記録されているアドレス情報を読み取ることができる。反射面55を透過した照射光がウエル22内の検体に到達すると、それに応じて検体から光が発せられる。検体から発せられる光は、検体で反射した光を含み、検体が検出対象を含む場合は蛍光指標された検出対象がフォトルミネセンスにより発する光を含む。以下、この検体から発せられる光を、検査光ともいう。また、反射面55を透過した照射光が発光部100に到達すると、発光部100がフォトルミネセンスにより光を発する。以下、発光部100が発する光を判定光ともいう。
【0095】
ダイクロイックプリズム74は、反射光を反射し、検査光及び判定光を透過させるよう構成されている。例えば、ダイクロイックプリズム74は、波長405nm程度の光を反射し、波長440から600nmまで程度の光を透過するよう構成されている。
【0096】
反射光は、偏光ビームスプリッタ72を透過し、ダイクロイックプリズム74によって反射され、アナモフィックレンズ76に入射する。アナモフィックレンズ76は、偏光ビームスプリッタ72側から入射する反射光に非点収差を導入する。アナモフィックレンズ76を透過した反射光は、反射光検出器77に入射する。反射光検出器77は、受光面上に反射光を受光するための4分割センサを有している。反射光検出器77の検出信号は、第2の信号演算回路86に入力される。
【0097】
第2の信号演算回路86は、反射光検出器77の検出信号から、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成し、かつ、ウォブル信号(Wobble Signal)を生成する。フォーカスエラー信号は、対物レンズ73の焦点位置と検査用ディスク1とのずれ(焦点誤差)を示す信号である。トラッキングエラー信号は、励起光のスポットとトラックとのずれ(トラッキング誤差)を示す信号である。ウォブル信号は、トラックにより規定されるグルーブの蛇行形状に応じた波形信号である。フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号は、非点収差法と1ビームプッシュプル法に従って生成される。ウォブル信号は、トラッキングエラー信号に基づいて生成される。具体的には、トラッキングエラー信号から、ウォブル信号に応じた周波数成分を抽出することにより、ウォブル信号が生成される。サーボ回路85は、第2の信号演算回路86から送られたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を用いて、アクチュエータ82を制御する。また、サーボ回路85は、第2の信号演算回路86から送られたウォブル信号を用いて、所定の線速度で検査用ディスク1が回転されるように回転装置83を制御する。
【0098】
また、第2の信号演算回路86は、ウォブル信号を復調して生成したアドレス情報を出力して制御部87へ送る。
【0099】
対物レンズ73側からダイクロイックプリズム74に入射する検査光及び判定光は、ダイクロイックプリズム74を透過し、光検出器75に入射する。光検出器75は、受光した検査光及び判定光を電気信号からなる検出信号に変換して出力するセンサを有している。光検出器75の検出信号は、第1の信号演算回路84に入力される。
【0100】
第1の信号演算回路84は、検出信号を増幅して光の検出強度の情報(以下、強度情報ともいう)を生成し、この強度情報を制御部87に送る。
【0101】
制御部87は、強度情報とアドレス情報とに基づいて、検査用ディスクの温度に依存する判定値を判定する。また、制御部87は、強度情報とアドレス情報とに基づいて、検体中の検出対象を検出する。また、制御部87は、判定値に基づいて、検出条件を決定する。また、制御部87は、強度情報とアドレス情報とに基づいて、ウエル22内の検体の画像を生成して画像表示装置88に表示させる。画像表示装置88は例えば、ディスプレイにより構成できる。
【0102】
検査用ディスク1及び検査システムを用いて温度判定及び検体の検査を行う手順について、説明する。
【0103】
まず、検査用ディスク1のカートリッジ3を収容部21に取り付けた状態で、カートリッジ3の収納空間31に検体を入れる。なお、カートリッジ3の収納空間31に検体を入れてからカートリッジ3を収容部21に取り付けてもよい。検査用ディスク1のウエル22には、蛍光染色試薬を配置する。
【0104】
次に、検査システムにおいて、回転装置83が検査用ディスク1を、中心軸10を中心に回転させる。このとき、収納空間31内の検体は、遠心力によって、流路23を通じてウエル22へ送られる。このとき、検体中の阻害物質は、カートリッジ3のフィルタ35に捕捉され、検体から取り除かれる。そのため、阻害物質が取り除かれた検体が流路23を通じてウエル22へ到達する。検出対象はフィルタ35に捕捉されないため、検体に検出対象が含まれている場合は、検体は検出対象を含んだまま、ウエル22へ到達する。
【0105】
ウエル22に検体が到達すると、検体には、ウエル22に配置されている蛍光染色試薬が混入される。これにより、検体が蛍光染色され、検体中に検出対象が含まれている場合は検出対象が蛍光指標される。
【0106】
検査用ディスク1を回転させた状態で、光源71が照射光を発する。照射光は検査用ディスクに第二面2B側から照射される。検査用ディスク1が回転し、かつアクチュエータ82が対物レンズ73を駆動させることで、検査用ディスク1における光の照射位置は、らせん状に移動する。
【0107】
照射光が検査用ディスク1の発光部100へ向けて照射されることで、反射面53から反射光が発せられ、かつ発光部100から判定光が発せられると、光検出器75は、判定光を受光して検出信号を生成し、この検出信号を第1の信号演算回路84へ送る。第1の信号演算回路84は、検出信号から強度情報を生成して、この強度情報を制御部87へ送る。また、反射光検出器77が反射光を受光して検出信号を生成し、この検出信号を第2の信号演算回路86へ送る。第2の信号演算回路86は、検出信号からアドレス情報を生成して、このアドレス情報を制御部87へ送る。
【0108】
制御部87は、アドレス情報と発光部100との対応関係を記憶している。制御部87は、強度情報及びアドレス情報を受け取ると、アドレス情報と発光部100との対応関係から、強度情報が発光部100から発せられた判定光の強度情報であるか否かを判定する。制御部87は、発光部100から発せられた判定光の強度情報であると判定すると、強度情報に基づいて、温度に依存する判定値を判定する。
【0109】
判定値を判定する方法は既に説明したとおりである。すなわち、例えば制御部87は、強度情報から得られる検出強度そのものを、判定値と判定する。また、例えば制御部87は、検出強度からバックグラウンドノイズを除く処理を行って得た値を判定値と判定してもよい。また、例えば制御部87は、発光部100の温度と検出強度との関係とを記憶し、この関係に基づいて検出強度を変換して得た温度の値を、判定値と判定してもよい。また、例えば制御部87は、前記以外の適宜の方法で検出強度から導かれる値を、判定値と判定してもよい。
【0110】
また、発光部100が第一発光部分101と第二発光部分102とを含む場合、例えば制御部87は、第一発光部分101についての検出強度と、第二発光部分102についての検出強度とを比較し、この比較した結果に基づいて、判定値を判定する。例えば制御部87は、第一発光部分101が発する光の検出強度と、第二発光部分102が発する光の検出強度との差の値を特定する。また、制御部87は、例えば差の値そのものを、判定値と判定する。制御部87は、発光部100の温度と検出強度の差との関係を記憶し、この関係に基づいて、検出強度の差を変換して得た温度の値を、判定値と判定してもよい。また、例えば制御部87は、前記以外の適宜の方法で検出強度の差から導かれる値を、判定値と判定してもよい。
【0111】
検査用ディスク1が複数の発光部100を有する場合、制御部87は、発光部100ごとに判定値を判定してもよい。
【0112】
制御部87は、判定値を判定したら、判定値に基づいて、検出条件を決定する。検出条件を決定する方法は、既に説明したとおりである。すなわち、検出条件がしきい値を含む場合、例えば制御部87は、判定値としきい値との関係を記憶しており、この関係に基づいて、判定値からしきい値を決定する。また、検出条件が蛍光染色の時間を含んでいる場合は、例えば制御部87は、判定値と蛍光染色の時間との関係を記憶し、この関係に基づいて、判定値から蛍光染色の時間を決定する。
【0113】
制御部87は、決定された検出条件下で、検査光を光検出器75が検出した結果に基づいて、例えば次のとおり、検体中の検出対象を検出する。
【0114】
照射光がウエル22へ向けて照射されることで、反射面53から反射光が発せられ、かつウエル22内の検体から検査光が発せられると、光検出器75は、検査光を受光して検出信号を生成し、この検出信号を第1の信号演算回路84へ送る。第1の信号演算回路84は、検出信号から強度情報を生成して、この強度情報を制御部87へ送る。また、反射光検出器77が反射光を受光して検出信号を生成し、この検出信号を第2の信号演算回路86へ送る。第2の信号演算回路86は、検出信号からアドレス情報を生成して、このアドレス情報を制御部87へ送る。
【0115】
制御部87は、アドレス情報とウエル22との対応関係を記憶している。制御部87は、強度情報及びアドレス情報を受け取ると、アドレス情報とウエル22との対応関係から、強度情報がウエル22内の検体から発せられた検査光の強度情報であるか否かを判定する。制御部87は、検体から発せられた検査光の強度情報であると判定すると、強度情報に基づいて、検体中の検出対象を検出する。検査用ディスク1が複数のウエル22を有する場合、制御部87は、ウエル22ごとに、検体中の検出対象を検出する。
【0116】
検出対象を検出する方法は既に説明したとおりである。すなわち、例えば制御部87は、検査光の強度情報を二値化処理してその結果に基づいて検出対象を検出する。例えば制御部87は、しきい値を超える強度を有する強度情報を、検出対象に由来すると判断することで、検出対象を検出する。制御部87は、強度情報から、検体の画像を生成し、画像中におけるしきい値を超える検出強度を有する部分を、検出対象として検出してもよい。制御部87は、検体の画像を画像表示装置88に表示させてもよい。検体がヒトの血液であり、検出対象が赤血球に寄生している病原性微生物である場合、制御部87は、検出結果に基づいて感染率を判定してもよい。感染率は、例えば{[病原性微生物の寄生している赤血球の数]/[赤血球の全数]}×100〔%〕と規定される。制御部87は、更に判定した感染率を画像表示装置88に表示させてもよい。
【0117】
検出条件がしきい値を含む場合、制御部87は、例えば決定されたしきい値を用いて、上記の説明のとおり検出対象を検出する。また、検出条件が蛍光染色の時間を含む場合、制御部87は、例えば検体に蛍光染色試料が混入された時点から、決定された蛍光染色の時間が経過した時点(以下、開始点ともいう)で、検体中の検出対象の検出を開始する。検体に蛍光染色試料が混入された時点とは、例えば回転装置83が検査用ディスクを回転させることを開始した時点、すなわち検体がカートリッジ3を収容部21から蛍光染色試料が配置されているウエル22への移動を開始した時点である。例えば制御部87は、開始点又はそれ以後において光検出器75が検出した検査光に基づいて、上記の説明のとおり検出対象を検出する。
【0118】
検査用ディスク1が複数のウエル22と、各ウエル22に対応する発光部100とを有する場合、制御部87は、ウエル22ごとに検出条件を決定し、ウエル22ごとに検出条件下で検出対象を検出してもよい。
【0119】
また、検査用ディスク1の温度は、照射光の照射を受けることで上昇することがある。このため、この温度上昇を考慮して温度判定及び検出条件の決定を行うことが好ましい。
【0120】
上記の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つにすぎない。上記の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0121】
例えば、検体が阻害物質を含まない場合、検査用ディスクはフィルタ35を備えなくてもよい。
【0122】
また、ディスク体2では、複数の収容部21が、2以上の整数nを用いた場合に中心軸10を中心としてn回回転対称性を有するように配置されているのが好ましい。同様に、ディスク体2では、複数のウエル22が、2以上の整数nを用いた場合に中心軸10を中心としてn回回転対称性を有するように配置されているのが好ましい。
【0123】
上述の実施形態から明らかなように、第1の態様に係る温度判定方法は、検体を収容するためのウエル(22)と、温度に依存するフォトルミネセンス特性を有する発光部(100)とを有する検査用ディスク1を準備すること、発光部(100)に光を照射することで発光部(100)がフォトルミネセンスにより発する光を検出して検出結果を得ること、及び検出結果に基づいて、検査用ディスク(1)の温度に依存する判定値を判定することを含む。
【0124】
第2の態様に係る温度判定方法は、第1の態様において、発光部(100)は、第一発光部分(101)と、第一発光部分(101)とは異なるフォトルミネセンス特性を有する第二発光部分(102)とを含み、第一発光部分(101)がフォトルミネセンスにより発する光を検出して得た検出結果と、第二発光部分(102)がフォトルミネセンスにより発する光を検出して得た検出結果とを比較し、この比較した結果に基づいて、判定値を判定する。
【0125】
第3の態様に係る温度判定方法は、第2の態様において、第一発光部分(101)と第二発光部分(102)とは、検査用ディスク1の外周に沿った方向に並び、発光部(100)に光を照射するに当たり、検査用ディスク(1)への光の照射位置を検査用ディスク(1)の外周に沿った方向に移動させることで、第一発光部分(101)と第二発光部分(102)とに光を照射する。
【0126】
第4の態様に係る温度判定方法は、第1から第3のいずれか一の態様において、検査用ディスク(1)の厚さ方向に見て、発光部(100)の少なくとも一部は、ウエル(22)と重複する位置にある。
【0127】
第5の態様に係る温度判定方法は、第1から第3のいずれか一の態様において、検査用ディスク(1)の厚さ方向に見て、発光部(100)は、ウエル(22)と重複しない位置にある。
【0128】
第6の態様に係る温度判定方法は、第1から第5のいずれか一の態様において、検査用ディスク(1)は、ウエル(22)を規定するディスク本体(4)を備え、ディスク本体(4)が発光部(100)の少なくとも一部を有する。
【0129】
第7の態様に係る温度判定方法は、第1から第6のいずれか一の態様において、検査用ディスク(1)は、ウエル(22)を規定するディスク本体(4)と、ディスク本体(4)に取り付けられた発光部材(9)とを備え、発光部材(9)が発光部(100)の少なくとも一部を有する。
【0130】
第8の態様に係る温度判定方法は、第1から第7のいずれか一の態様において、検査用ディスク(1)は、ウエル(22)を規定するディスク本体(4)と、ウエル(22)を覆うようにディスク本体(4)に重なっているプレート(5)と、ディスク本体(4)とプレート(5)との間に介在してディスク本体(4)とプレート(5)とを接着している接着層(6)とを備え、接着層(6)が、発光部(100)の少なくとも一部を有する。
【0131】
第9の態様に係る検体の検査方法は、第1から第8のいずれか一の態様に係る温度判定方法で、検査用ディスク(1)の温度に依存する判定値を判定すること、ウエル(22)に検体を収容すること、判定値に基づいて検出条件を決定すること、及び検出条件下で、ウエル(22)内の検体に光を照射することで検体から発せられる光を検出し、その結果に基づいて検体中の検出対象を検出すること、を含む。
【0132】
第10の態様に係る検体の検査方法は、第9の態様において、検出対象を検出することは、検体から発せられる光を検出した結果を二値化処理してその結果に基づいて検出対象を検出することを含み、検出条件は、二値化処理のためのしきい値を含む。
【0133】
第11の態様に係る温度判定システムは、検体を収容するためのウエル(22)と温度に依存するフォトルミネセンス特性を有する発光部(100)とを有する検査用ディスク(1)へ光を照射する光源(71)と、光源(71)から検査用ディスク(1)へ照射された光に応じて検査用ディスク(1)が発する光を検出する光検出器(75)と、検査用ディスク(1)が発する光のうち発光部(100)から発せられた光を光検出器(75)が検出した結果に基づいて、検査用ディスク(1)の温度に依存する判定値を判定する判定部(91)と、を備える。
【0134】
第12の態様に係る検体の検査システムは、第11の態様に係る温度判定システムと、判定値に基づいて検出条件を決定する決定部(92)と、検出条件下で、検査用ディスク(1)が発する光のうち検体から発せられた光を光検出器(75)が検出した結果に基づいて、検体中の検出対象を検出する検出部(93)と、を備える。
【符号の説明】
【0135】
1 検査用ディスク
100 発光部
101 第一発光部分
102 第二発光部分
22 ウエル
4 ディスク本体
5 プレート
6 接着層
71 光源
75 光検出器
91 判定部
92 決定部
93 検出部

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