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公開番号2019173363
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191010
出願番号2018061969
出願日20180328
発明の名称建設機械の作動油量測定装置
出願人コベルコ建機株式会社
代理人特許業務法人創成国際特許事務所
主分類E02F 9/26 20060101AFI20190913BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】建設機械に備えられた油圧シリンダの動作状態によらずに、作動油量の確認を適切に行うことを可能とする作動油量測定装置を提供する。
【解決手段】油圧ショベル1(建設機械)は、油圧シリンダ12a,12b,12cの動作状態情報を取得する動作状態情報取得部31と、動作状態情報に基づいて、油圧シリンダ12a,12b,12cが保有するシリンダ油量を推定するシリンダ油量推定部32と、油タンク21のタンク油量を計測するタンク油量計測部33と、シリンダ油量の推定値とタンク油量の計測値とに基づいて、油圧ショベル1における作動油量の適否又は低下度合いに関する報知情報を出力する油量情報報知部34とを備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲約 1,100 文字を表示【請求項1】
1つ以上の油圧シリンダと、該油圧シリンダの駆動用の作動油を蓄える油タンクとを備える建設機械における作動油量の測定装置であって、
前記油圧シリンダの動作状態を示す動作状態情報を取得する動作状態情報取得部と、
前記動作状態情報に基づいて、前記油圧シリンダが保有する作動油量であるシリンダ油量を推定するシリンダ油量推定部と、
前記油タンクに蓄えられている作動油量であるタンク油量を計測するタンク油量計測部と、
少なくとも前記シリンダ油量の推定値と前記タンク油量の計測値とに基づいて、前記建設機械における作動油量の適否又は低下度合いに関する報知情報を出力する油量情報報知部とを備えることを特徴とする建設機械の作動油量測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の作動油量測定装置において、
前記油タンクに蓄えられている作動油の温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記油量情報報知部は、前記油量情報報知部は、前記シリンダ油量の推定値と前記タンク油量の計測値と前記温度の検出値とに基づいて、前記報知情報を出力するように構成されていることを特徴とする建設機械の作動油量測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の建設機械の作動油量測定装置において、
前記油量情報報知部は、前記建設機械における作動油量が不足状態であるか否かを、少なくとも前記シリンダ油量の推定値と前記タンク油量の計測値とに基づいて判断する機能を有し、当該判断結果が肯定的である場合に、その旨を示す情報を前記報知情報として出力するように構成されていることを特徴とする建設機械の作動油量測定装置。
【請求項4】
請求項3記載の建設機械の作動油量測定装置において、
前記判断結果が肯定的である場合に前記油量情報報知部が出力する報知情報は、前記建設機械における作動油量の不足量を示す情報を含むことを特徴とする建設機械の作動油量測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械の作動油量測定装置において、
前記油量情報報知部は、前記報知情報を前記建設機械の外部の携帯端末に出力する機能を有するように構成されていることを特徴とする建設機械の作動油量測定装置。
【請求項6】
請求項5記載の建設機械の作動油量測定装置において、
前記油量情報報知部は、前記建設機械の作動停止状態で、前記タンク油量の計測値を逐次取得しつつ、該タンク油量の計測値の変化に応じて、前記携帯端末に出力する報知情報を変化させるように構成されていることを特徴とする建設機械の作動油量測定装置。

発明の詳細な説明約 15,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械の作動油の油量を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械では、作業時に、油タンクに蓄えられている作動油を、油圧ポンプを介して油圧シリンダ等の油圧アクチュエータに供給することで該油圧アクチュエータを作動させると共に、その作動時に油圧アクチュエータから排出される作動油を油タンクに戻すようにしている。
【0003】
そして、この種の建設機械では、例えば特許文献1に見られるように、油タンク内の作動油の液面レベルを示すレベルゲージを油タンクに付設し、このレベルゲージを視認することで、油タンク内の作動油量が適量範囲内にあるか否かを確認できるようにしたものが一般に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007−212382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
油圧ショベル等の建設機械に備えられている油圧アクチュエータは、一般に、比較的大きな油圧シリンダを含んでいる。そして、該油圧シリンダは、その油室の全体に充填される作動油量が、該油圧シリンダの動作状態(伸縮状態)に応じて変化する。ひいては、油タンク内の作動油量も、油圧シリンダの動作状態に応じて変化する。
【0006】
このため、この種の建設機械において、特許文献1に見られる如きレベルゲージを用いて油タンク内の作動油量を確認する場合、通常、当該確認のための油圧シリンダの基準の動作状態(あるいは該油圧シリンダにより駆動されるブーム、アーム、バケット等の作業装置の姿勢状態)が定められている。
【0007】
そして、油圧シリンダを基準の動作状態に保持した上で、作業者が、油タンク内の作動油量をレベルゲージにより確認することが行われる。さらに、この確認により、作動油量が不足していることが判明した場合には、作業者が、レベルゲージを視認しながら、不足分の作動油を油タンクに補充することが行われる。
【0008】
しかしながら、作動油量を確認するために、その都度、油圧シリンダを基準の動作状態に作動させることは、煩わしいものとなりやすいと共に、建設機械の運転を行い得る作業者を確保する必要がある。
【0009】
また、建設機械の配置場所等によっては、周囲の物体との干渉の発生等のために、油圧シリンダを基準の動作状態に作動させることが困難となる場合も多々ある。そして、このような場合には、建設機械を適当な場所に移動させた上で、油圧シリンダを基準の動作状態に作動させることが必要となるため、作動油量を確認する作業を適切な頻度で実行することができなくなりやすい。
【0010】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、建設機械に備えられた油圧シリンダの動作状態によらずに、作動油量の確認を適切に行うことを可能とする作動油量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の建設機械の作動油量測定装置は、上記目的を達成するために、1つ以上の油圧シリンダと、該油圧シリンダの駆動用の作動油を蓄える油タンクとを備える建設機械における作動油量の測定装置であって、
前記油圧シリンダの動作状態を示す動作状態情報を取得する動作状態情報取得部と、
前記動作状態情報に基づいて、前記油圧シリンダが保有する作動油量であるシリンダ油量を推定するシリンダ油量推定部と、
前記油タンクに蓄えられている作動油量であるタンク油量を計測するタンク油量計測部と、
少なくとも前記シリンダ油量の推定値と前記タンク油量の計測値とに基づいて、前記建設機械における作動油量の適否又は低下度合いに関する報知情報を出力する油量情報報知部とを備えることを特徴とする(第1発明)。
【0012】
なお、本発明において、前記建設機械における作動油量というのは、前記シリンダ油量及タンク油量を含めて該建設機械に保有されている作動油量を意味する。また、作動油量の適否又は低下度合いに関する報知情報というのは、該報知情報を受ける者が、該作動油量が適量であるか否か、あるいは、該作動油量が適量に対して、どの程度、低下しているか等を認識し得る情報を意味する。
【0013】
上記第1発明によれば、前記油量情報報知部は、少なくとも前記シリンダ油量の推定値と前記タンク油量の計測値とに基づいて前記報知情報を出力するので、該報知情報を受ける者は、建設機械に備えられた油圧シリンダの動作状態によらずに、該建設機械に保有されている作動油量の適否等を評価し得る情報を得ることができる。
【0014】
よって、第1発明によれば、建設機械に備えられた油圧シリンダの動作状態によらずに、作動油量の確認を適切に行うことが可能となる。
【0015】
上記第1発明では、前記油タンクに蓄えられている作動油の温度を検出する温度センサをさらに備え、前記油量情報報知部は、前記油量情報報知部は、前記シリンダ油量の推定値と前記タンク油量の計測値と前記温度の検出値とに基づいて、前記報知情報を出力するように構成されていることが好ましい(第2発明)。
【0016】
これによれば、作動油の温度に応じた体積膨張を考慮した態様で、前記報知情報の出力を行うことが可能となる。ひいては、該報知情報の信頼性を高めることが可能となる。
【0017】
上記第1発明又は第2発明では、前記油量情報報知部は、前記建設機械における作動油量が不足状態であるか否かを、少なくとも前記シリンダ油量の推定値と前記タンク油量の計測値とに基づいて判断する機能を有し、当該判断結果が肯定的である場合に、その旨を示す情報を前記報知情報として出力するように構成され得る(第3発明)。
【0018】
これによれば、前記油量情報報知部は、前記建設機械における作動油量が不足状態であるか否かを、油圧シリンダの動作状態によらずに適切に判断できるので、該作動油量が不足状態になった旨を示す報知情報を、適切なタイミングで出力することができる。
【0019】
なお、第3発明を前記第2発明と組み合わせる場合には、前記油量情報報知部は、前記シリンダ油量の推定値と前記タンク油量の計測値と前記温度の検出値とに基づいて、前記建設機械における作動油量が不足状態であるか否かを判断するように構成され得る。
【0020】
上記第3発明では、前記判断結果が肯定的である場合に前記油量情報報知部が出力する報知情報は、前記建設機械における作動油量の不足量を示す情報を含むことが好ましい(第4発明)。
【0021】
これによれば、前記報知情報を受ける者は、前記油タンクに補充すべき作動油量を容易に認識することができる。
【0022】
上記第1〜第4発明では、前記油量情報報知部は、前記報知情報を前記建設機械の外部の携帯端末に出力する機能を有するように構成されていることが好ましい(第5発明)。
【0023】
これによれば、前記携帯端末を所持する者は、油タンクの注入口の近く等で、前記報知情報を携帯端末を介して取得することができる。このため、油タンクへの作動油の補充作業等を円滑に実施することが可能となる。
【0024】
上記第5発明では、前記油量情報報知部は、前記建設機械の作動停止状態で、前記タンク油量の計測値を逐次取得しつつ、該タンク油量の計測値の変化に応じて、前記携帯端末に出力する報知情報を変化させるように構成されていることが好ましい(第6発明)。
【0025】
これによれば、前記携帯端末を所持する者は、油タンクへの作動油の補充作業を行いながら、前記報知情報を携帯端末を介して取得することができる。このため、作動油量の不足が解消したか否か等をリアルタイムで確認しながら、作動油の補充作業を行うことができる。ひいては、該補充作業を的確に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の実施形態における建設機械の一例としての油圧ショベルの側面図。
実施形態の油圧ショベルの要部のシステム構成を示す図。
実施形態の油圧ショベルに備えた油圧シリンダの内部構成と油圧回路構成を概略的に示す図。
図2に示す制御装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態を図1〜図4を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の作動油量測定装置は、建設機械の一例としての油圧ショベル1に備えられている。この油圧ショベル1は、クローラ式の走行体2と、走行体2上に搭載された旋回体3と、旋回体3に取り付けられた作業装置4とを備える。
【0028】
走行体2には、その左右のクローラをそれぞれ駆動する走行用アクチュエータとしての一対の油圧モータ(図示省略)が組み付けられている。
【0029】
旋回体3は、走行体2に対して、上下方向の旋回軸心Cz周りの方向(ヨー方向)に旋回し得るように、該走行体2に取り付けられており、旋回用アクチュエータとしての油圧モータ(図示省略)及び旋回ギヤ(図示省略)等を含む旋回駆動装置7により旋回駆動される。この旋回体3の前部には、作業者が搭乗する運転室5が備えられ、後部には、図示を省略するエンジン、油圧機器等の種々の機械類が収容された機械室6が備えられている。
【0030】
作業装置4は、旋回体3の前部から延設されたブーム11aと、ブーム11aの先端部から延設されたアーム11bと、アーム11bの先端部に組付けられたアタッチメント11c(図示例ではバケット)と、ブーム11aを旋回体3に対してピッチ方向(旋回体3の左右方向の軸周り方向)に揺動させるアクチュエータとしてのブーム用油圧シリンダ12aと、アーム11bをブーム11aに対してピッチ方向に揺動させるアクチュエータとしてのアーム用油圧シリンダ12bと、アタッチメント11cをアーム11bに対してピッチ方向に揺動させるアタッチメント用油圧シリンダ12cとを備える。
【0031】
本実施形態では、これらの油圧シリンダ12a,12b,12cが本発明における油圧シリンダに相当する。以降の説明では、油圧シリンダ12a,12b,12cを区別する必要が無いときは、それぞれを単に油圧シリンダ12と表記する。
【0032】
また、油圧ショベル1には、図2に示すように、油圧シリンダ12(12a,12b,12c)を含む各油圧アクチュエータの駆動用の作動油を蓄える油タンク21と、各油圧アクチュエータの作動時に油タンク21から各油圧アクチュエータに作動油を供給し、また、各油圧アクチュエータから排出される作動油を油タンク21に戻すように構成された油圧回路装置22とが搭載されている。これらの油タンク21及び油圧回路装置22は、機械室6に収容されている。
【0033】
なお、上記油圧アクチュエータには、油圧シリンダ12a,12b,12cの他、走行体2の走行用の油圧モータと、旋回体3の旋回用の油圧モータとが含まれる。
【0034】
油圧回路装置22は、ポンプや、各油圧アクチュエータ毎の方向切換弁等を含む公知の回路構成のものであり、各油圧アクチュエータは、油圧回路装置22を介して油タンク21に接続されている。
【0035】
図3は、各油圧シリンダ12に関する油圧回路装置22の構成を概略的に示している。図示の如く、各油圧シリンダ12は、筒体121と、筒体121内をその軸心方向に摺動自在なピストン122と、ピストン122から延設されたロッド123とを有し、筒体121内には、ピストン122により隔てられたボトム側油室124a及びロッド側油室124bが形成されている。
【0036】
そして、油圧回路装置22は、油圧シリンダ12のボトム側油室124a及びロッド側油室124bにそれぞれ油通路221a,221bを介して接続された方向切換弁222と、該方向切換弁222を油タンク21に接続するメータイン側油通路223及びメータアウト側油通路224と、メータイン側油通路223に介装されたポンプ225とを有する。
【0037】
この場合、方向切換弁222は、ポンプ225を図示しないエンジンにより駆動した状態で、運転室5に配置された図示しない操作レバー等の操作器を操作することで駆動される。そして、その駆動により、メータイン側油通路223が油通路221a,221bの一方側に連通されると共に、メータアウト側油通路224が油通路221a,221bの他方側に連通される。
【0038】
これにより、油圧シリンダ12のボトム側油室124a及びロッド側油室124bの一方側に、油タンク21からメータイン側油通路223、方向切換弁222、及び油通路221a,221bの一方を介して作動油が供給されると共に、ボトム側油室124a及びロッド側油室124bの他方側から排出される作動油が、油通路221a,221bの他方、方向切換弁222及びメータアウト側油通路224を介して油タンク21に戻される。
【0039】
ひいては、油圧シリンダ12のピストン122及びロッド123が筒体121の軸心方向に移動する(ロッド123が筒体121の外部で伸縮する)ように油圧シリンダ12が駆動される。
【0040】
図2に戻って、油圧ショベル1には、さらに、該油圧ショベル1の運転制御等を行う機能を有する制御装置30と、各油圧シリンダ12の動作状態を検出するためのシリンダ動作検出用センサ40と、油タンク21内の作動油の液面レベルを検出する液面レベルセンサ41と、油タンク21内の作動油の温度を検出する温度センサ42と、油圧ショベル1の作動状態等に関する種々の情報を表示する表示器45とが搭載されている。また、油タンク21の側面部には、該油タンク21内の作動油量を簡易的に視認し得る油量ゲージ43が組み付けられている。
【0041】
油量ゲージ43は、その内部の液体の液面又はフロートの高さが、油タンク21内の作動油量の増減に伴い上下するように構成された公知の構造のゲージであり、該液面又はフロートの高さ(上下方向位置)を視認することで、油タンク21内の作動油量を認識することが可能である。
【0042】
シリンダ動作検出用センサ40は、例えば、旋回体3に対するブーム11aの回転角(以降、第1回転角という)を検出する角度センサ40aと、ブーム11aに対するアーム11bの回転角(以降、第2回転角という)を検出する角度センサ40bと、アーム11bに対するアタッチメント11cの回転角(以降、第3回転角)を検出する角度センサ40cとを含む。これらの角度センサ40a,40b,40cは、例えば、ロータリエンコーダ、レゾルバ等により構成され、作業装置4に組付けられている。
【0043】
ここで、上記第1回転角、第2回転角、及び第3回転角のそれぞれは、ブーム用油圧シリンダ12aのロッド123(又はピストン122)の変位量、アーム用油圧シリンダ12bのロッド123(又はピストン122)の変位量、及びアタッチメント用油圧シリンダ12cのロッド123(又はピストン122)の変位量のそれぞれと一定の相関関係を有する。従って、第1回転角、第2回転角、及び第3回転角のそれぞれの検出値から、上記相関関係に基づいて、ブーム用油圧シリンダ12a、アーム用油圧シリンダ12b、及びアタッチメント用油圧シリンダ12cのそれぞれの動作状態を特定することが可能である。
【0044】
なお、シリンダ動作検出用センサ40は、上記角度センサ40a,40b,40cの代わりに、ブーム用油圧シリンダ12a、アーム用油圧シリンダ12b、及びアタッチメント用油圧シリンダ12cのそれぞれのロッド123の変位量(ストローク量)を検出可能な変位センサを備えていてもよい。
【0045】
液面レベルセンサ41は、例えば、レーザ式の測距センサにより構成され、油タンク21の上面部に組付けられている。この場合、液面レベルセンサ41は、油タンク21内の作動油の液面に向かってレーザ光を照射しつつ、その反射光を受光することで、油タンク21内の作動油の液面までの距離(換言すれば、該液面の高さ)を、三角測距方式又はTOF方式(TOF:Time of Flight)で測定し、該距離の測定値に応じた検出信号を出力する。
【0046】
なお、液面レベルセンサ41は、レーザ式の測距センサに限らず、例えば、赤外線式、あるいは、超音波式の測距センサ、あるいは、フロート式のレベルセンサを用いることも可能である。
【0047】
温度センサ42は、サーミスタ等により構成され、油タンク21内の作動油の温度を検出し得るように、該油タンク21の側面部等に組付けられている。なお、温度センサ42は、油タンク21に連通する油通路に組付けられていてもよい。
【0048】
表示器45は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成され、運転室5に設置されている。
【0049】
制御装置30は、マイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路等を含む一つ以上の電子回路ユニットにより構成される。この制御装置30には、前記シリンダ動作検出用センサ40、液面レベルセンサ41、温度センサ42の検出信号が入力される。
【0050】
そして、制御装置30は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能として、作動油量測定装置としての機能を含む。
【0051】
より詳しくは、制御装置30は、シリンダ動作検出用センサ40の検出信号を基に、各油圧シリンダ12の動作状態を示す情報(具体的には、各油圧シリンダ12のピストン122又はロッド123の変位量を示す情報)を取得する動作状態情報取得部31としての機能と、各油圧シリンダ12が保有する作動油量(詳しくは、ボトム側油室124a及びロッド側油室124bの全体に充填されている作動油量。以降、シリンダ油量Vsという)を推定するシリンダ油量推定部32としての機能と、液面レベルセンサ41の検出信号を基に、油タンク21内の作動油量(以降、タンク油量Vtという)を計測するタンク油量計測部33としての機能と、油圧ショベル1の作動油量の不足の有無の判断等を行って、該作動油量の適否等に関する報知情報を出力する油量情報報知部34としての機能とを含む。
【0052】
さらに、制御装置30は、表示器45の表示を制御することが可能であると共に、スマートフォン、タブレット端末、フィーチャーフォン等の携帯端末50とWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の通信方式で無線通信を行うことが可能である。この場合、携帯端末50には、所定のアプリケーションがあらかじめインストールされており、該アプリケーションを起動した状態で、制御装置30から送信される種々の情報を表示することが可能である。
【0053】
次に、油圧ショベル1の作動油量に関する制御装置30の処理を図4のフローチャートを参照して説明する。
【0054】
油圧ショベル1の作動(詳しくは、走行体2の走行動作、旋回体3の旋回動作及び作業装置4の作動)が停止された状態で、制御装置30が起動されると(あるいは、制御装置30に対する所定の入力操作が行われると)、制御装置30は、図4のフローチャートに示す処理を実行する。
【0055】
STEP1において、制御装置30は、タンク油量計測部33により、現在のタンク油量Vtを計測する処理を実行する。この処理では、タンク油量計測部33は、液面レベルセンサ41の検出信号を取得し、該検出信号により示される液面レベル(油タンク21内の作動油の液面までの距離)の検出値から、該液面レベルとタンク油量との相関関係を表すものとしてあらかじめ作成された関数データ(演算式、マップデータ等)を用いてタンク油量Vt(計測値)を求める。
【0056】
次いで、STEP2において、制御装置30は、動作状態情報取得部31により、各油圧シリンダ12の現在の動作状態を示す情報(各油圧シリンダ12のロッド123又はピストン122の変位量)を取得する処理を実行する。
【0057】
この処理では、動作状態情報取得部31は、シリンダ動作検出用センサ40(角度センサ40a,40b,40c)の検出信号を取り込む。そして、動作状態情報取得部31は、角度センサ40aによる第1回転角の検出値から、該第1回転角とブーム用油圧シリンダ12aのロッド123(又はピストン122)の変位量との相関関係を表すものとしてあらかじめ作成された関数データ(演算式、マップデータ等)を用いてブーム用油圧シリンダ12aのロッド123(又はピストン122)の変位量(計測値)を求める。
【0058】
同様に、動作状態情報取得部31は、角度センサ40bによる第2回転角の検出値から、該第2回転角とアーム用油圧シリンダ12bのロッド123(又はピストン122)の変位量との相関関係を表す関数データ(演算式、マップデータ等)を用いてアーム用油圧シリンダ12bのロッド123(又はピストン122)の変位量(計測値)を求める。また、動作状態情報取得部31は、角度センサ40cによる第3回転角の検出値から、該第3回転角とアタッチメント用油圧シリンダ12cのロッド123(又はピストン122)の変位量との相関関係を表す関数データ(演算式、マップデータ等)を用いてアタッチメント用油圧シリンダ12cのロッド123(又はピストン122)の変位量(計測値)を求める。
【0059】
なお、STEP2で求められる各油圧シリンダ12のロッド123(又はピストン122)の変位量は、より詳しくは、各油圧シリンダ12のロッド123(又はピストン122)の基準位置からの変位量である。この場合、該基準位置は任意に設定され得る。
【0060】
次いで、STEP3において、制御装置30は、シリンダ油量推定部32により、各油圧シリンダ12の現在のシリンダ油量Vsを推定する処理を実行する。この処理では、シリンダ油量推定部32は、各油圧シリンダ12のシリンダ油量Vsの推定値を、該油圧シリンダ12のサイズに応じて規定される次式(1a)〜(1c)により算出する。
【0061】
Vs=V1+V2 ……(1a)
ただし、
V1=ボトム側油室の体積
=π×(Ds/2)
2
×L1 ……(1b)
V2=ロッド側油室の体積
=π×(Ds/2)
2
×L2−π×(Dr/2)
2
×L2 ……(1c)
【0062】
ここで、図3を参照して、式(1b),(1c)におけるDsは油圧シリンダ12の筒体121の内径、Drは油圧シリンダ12のロッド123の外径、L1はボトム側油室124aの軸心方向の長さ、L2はロッド側油室124bの軸心方向の長さである。
【0063】
この場合、Ds、Drの値は、各油圧シリンダ12毎に、制御装置30のメモリにあらかじめ記憶保持されている。
【0064】
また、L1,L2は、各油圧シリンダ12のロッド123(又はピストン122)の変位量の計測値と、L1+L2=L−L3=一定値(ただし、L:筒体121の内部の軸心方向の長さ、L3:ピストン122の厚さ)という関係式とから求められる。
【0065】
例えば、前記STEP2において、各油圧シリンダ12毎に、L1,L2の一方の値を、該油圧シリンダ12のロッド123(又はピストン122)の変位量の計測値として得ることが可能である。この場合、L1,L2の他方の値は、一方の値と、L1+L2=L−L3という関係式とから算出できる。
【0066】
なお、L1,L2の値、あるいは、V1,V2の値を個別に求めずとも、各油圧シリンダ12のロッド123(又はピストン122)の変位量から、例えばマップデータ、あるいは演算式を用いて、該油圧シリンダ12のシリンダ油量Vsを直接的に求めることも可能である。
【0067】
上記の如く各油圧シリンダ12毎に求められるシリンダ油量Vs(推定値)は、各油圧シリンダ12のロッド123(又はピストン122)の変位量に応じて変化する。この場合、筒体121の外部におけるロッド123の長さ(筒体121からの突出量)が大きいほど、筒体121の内部に存在するロッド123の体積が減少するため、シリンダ油量Vsが増加する。
【0068】
なお、以降の説明では、各油圧シリンダ12毎のシリンダ油量Vsを区別するために、ブーム用油圧シリンダ12aのシリンダ油量VsをVsa、アーム用油圧シリンダ12bのシリンダ油量VsをVsb、アタッチメント用油圧シリンダ12cのシリンダ油量VsをVscと表記する場合がある。
【0069】
図4の説明に戻って、制御装置30は、次に、油量情報報知部34により、STEP4〜9の処理を実行する。
【0070】
STEP4では、油量情報報知部34は、STEP1で求めたタンク油量Vtの計測値と、STEP3で求めた全ての油圧シリンダ12(12a,12b,12c)のシリンダ油量Vsa,Vsb,Vscの推定値とを加え合わせた総油量Vall(=Vt+Vsa+Vsb+Vsc)を算出する。
【0071】
次いで、STEP5において、油量情報報知部34は、総油量Vallの算出値を、前記温度センサ42の検出信号により示される作動油の現在の温度Toilの検出値に応じて補正する処理を実行する。この処理では、例えば次式(2a),(2b)の演算を行うことで、総油量Vallが補正してなる値Vall_cが求められる。
【0072】
Vall_c=Vall−δ(Toil) ……(2a)
ただし、
δ(Toil)=Vall×α×(Toil−Tbase) ……(2b)
【0073】
ここで、δ(Toil)は、作動油の温度Toilに応じた体積膨張量、αは作動油の熱膨張率、Tbaseは基準温度(例えば常温)である。このように総油量Vallを補正することで、補正後の総油量Vall_cは、所定の基準温度Tbaseでの総油量を示すものとなる。
【0074】
なお、作動油の温度Toilの検出値と基準温度Tbaseとの偏差が所定範囲内に収まる場合、あるいは、油圧ショベル1の作動停止後に、作動油の温度Toilが、基準温度Tbase、又はそれに近い温度まで低下していることが明らかである場合(例えば油圧ショベル1の作動停止の継続時間が十分に長い場合)には、STEP5では、Vall_c=Vallとしてもよい。
【0075】
次いで、STEP6において、油量情報報知部34は、補正後の総油量Vall_cを、該総油量Vall_cが不足状態であるか否か(作動油の補充が必要であるか否か)を判断するための所定の判定基準値Vthと比較し、総油量Vall_cが判定基準値Vthよりも小さいか否かを判断する。なお、このSTEP6の処理は、換言すれば、STEP4で算出された総油量Vallと、上記判定基準値Vthを体積膨張量δ(Toil)により補正してなる判定基準値(=Vth+δ(Toil))と比較する処理と等価である。
【0076】
このSTEP6の判断結果が否定的である場合は、総油量Vall_cが適量なものとなっている(不足していない)状況である。この場合には、図4のフローチャートに示す処理が終了される。
【0077】
一方、STEP6の判断結果が肯定的である場合は、総油量Vall_cが不足している状況である。この場合には、油量情報報知部34は、STEP7において、作動油が不足している旨を示す作動油不足情報(換言すれば、作動油を補充すべき旨を示す情報)と、作動油の不足量ΔV(換言すれば、作動油の補充必要量)を示す不足量情報とを表示器45に表示させる。この場合、不足量ΔVは、例えば、判定基準値Vthよりも所定量だけ大きい値から、STEP5で求められた総油量Vall_cの算出値を減算してなる値として算出される。
【0078】
なお、不足量情報は、不足量ΔVの数値に限らず、例えば、不足量ΔVを、前記油量ゲージ43の液面もしくはフロートの高さの変化量に換算してなる情報(例えば油量ゲージ43に付設されている目盛で表される変化量を示す情報)であってもよい。
【0079】
上記のように、表示器45に作動油不足情報と不足量情報とが表示されることで、油圧ショベル1の運転者は、表示器45の表示によって、作動油を油タンク21に補充すべきことと、作動油の不足量ΔVとを認識することができる。
【0080】
なお、STEP7では、作動油不足情報及び不足量情報を表示器45で視覚的に報知する代わりに、又は、表示器45での視覚的な報知に加えて、作動油不足情報及び不足量情報を音声等により聴覚的に報知するようにしてもよい。
【0081】
油量情報報知部34は、さらに、STEP8において、通信可能な携帯端末50が存在するか否かを判断する。この判断結果が否定的である場合には、図4のフローチャートに示す処理が終了される。
【0082】
また、STEP8の判断結果が肯定的である場合には、油量情報報知部34は、STEP9において、作動油量に関する報知情報を逐次更新しつつ携帯端末50に表示させる端末報知処理を実行する。
【0083】
この端末報知処理では、油量情報報知部34は、タンク油量Vtの計測値を、所定の制御処理周期で、タンク油量計測部33を介して逐次取得しつつ、STEP4,5の処理を逐次実行することで、総油量Vall_cを逐次算出する。そして、油量情報報知部34は、総油量Vall_cの算出毎に、該総油量Vall_cの新たな算出値に対してSTEP6と同じ判断処理を実行し、その判断結果が肯定的となる状況では、前記作動油不足情報及び不足量情報と同一、もしくは類似の情報を携帯端末50に送信して、該携帯端末50で表示させる。
【0084】
そして、STEP6と同じ判断処理の判断結果が否定的になると、油量情報報知部34は、前記作動油不足情報及び不足量情報と同一、もしくは類似の情報を携帯端末50に送信することを中止して、該情報の表示を終了させる。
【0085】
上記のように端末報知処理を行うことで、油タンク21への作動油の補充を行う作業者は、携帯端末50で表示させる情報を確認しながら、不足量ΔVの作動油を油タンク21に補充することを円滑に行うことができる。
【0086】
なお、STEP9では、作動油不足情報及び不足量情報と同一、もしくは類似の情報を携帯端末50で表示させることに加えて、又は該表示の代わりに、音声等により聴覚的な報知出力を携帯端末50で発生してもよい。
【0087】
本実施形態では、以上説明した如く制御装置30での処理が実行されるので、各油圧シリンダ12の動作状態によらずに(換言すれば、作業装置4の姿勢状態によらずに)、油圧ショベル1が保有する作動油量の適否等を示す報知情報を、表示器45や携帯端末50を介して的確に出力することができる。ひいては、作業者等は、作業装置4を任意に姿勢状態で停止させた状態で、作動油量の適否等を適切に確認することができる。
【0088】
また、作業者等は自身が所持する携帯端末50を介して作動油不足情報や不足量情報を取得できるので、油タンク21の注入口の近く等で作動油量の適否等を確認することができる。このため、作動油量が不足している場合には、速やかに作動油を油タンク21に補充する作業を開始することができる。
【0089】
また、作業者等は、油タンク21への作動油の補充作業中でも、携帯端末50を介して作動油不足情報や不足量情報をリアルタイムで取得できるので、補充作業の終了タイミング等を容易に認識するこができると共に、該補充作業を効率よく実施できる。
【0090】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下に他の実施形態をいくつか説明する。
【0091】
前記実施形態では、STEP6において、タンク油量Vtとシリンダ油量Vsとを合わせた総油量Vall_cを判定基準値Vthと比較することで、油圧ショベル1の作動油量が不足状態であるか否かを判断するようにした。ただし、例えば、次のような手法で、作動油量が不足状態であるか否かを判断してもよい。
【0092】
すなわち、油圧ショベル1の作動油量が適量である場合におけるタンク油量の値(以降、適正タンク油量という)を、各油圧シリンダ12の現在の動作状態でのシリンダ油量Vsa,Vsb,Vscの総和の油量である総シリンダ油量の推定値(又は該推定値を作動油の温度Toilに応じて補正した値)と、作業装置4の基準姿勢状態での総シリンダ油量の値(所定値)との偏差に応じて設定する。そして、タンク油量Vtの計測値(又は該計測値を作動油の温度Toilに応じて補正した値)を、設定した適正タンク油量と比較することで、油圧ショベル1の作動油量が不足状態であるか否かを判断する。このようにしても、当該判断を適切に行うことができる。
【0093】
また、前記実施形態では、油量情報報知部34は、油圧ショベル1の作動油量が不足していると判断される場合に、前記作動油不足情報と不足量情報とを報知情報として出力するようにした。ただし、例えば作動油不足情報と不足量情報との一方だけを出力するようにしてもよい。また、油圧ショベル1の作動油量が不足していない場合でも、そのことを示す情報を報知情報として出力するようにしてもよい。
【0094】
さらに、作動油不足情報及び不足量情報の一方又は両方に加えて、あるいは、作動油不足情報及び不足量情報の一方又は両方の代わりに、前記総油量Vall_c(又はVall)と判定基準値Vthとを棒グラフ等により対比させた情報を報知情報として出力するようにしてもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、本発明を適用する建設機械として、図1に示した油圧ショベル1を例示した。ただし、本発明を適用し得る建設機械は、他の構造の建設機械であってもよい。例えば、建設機械は、前記した3つの油圧シリンダ12a,12b,12cの他、ブーム11aを旋回体3に対してヨー方向に揺動させる油圧シリンダ、あるいは、ブーム11aを旋回体3の幅方向にスライドさせる油圧シリンダを備える油圧ショベル、あるいは、油圧シリンダを含むアタッチメントを備える油圧ショベル、あるいは、ドーザ用の油圧シリンダを備える油圧ショベル、あるいは、車輪型の走行体を備える油圧ショベルであってもよい。
【0096】
また、建設機械は、油圧ショベルに限らず、例えば、クレーン等の建設機械であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…油圧ショベル(建設機械)、12a,12b,12c…油圧シリンダ、21…油タンク、30…制御装置(作動油量測定装置)、31…動作状態情報取得部、32…シリンダ油量推定部、33…タンク油量計測部、34…油量情報報知部、42…温度センサ、50…携帯端末。

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